JP5640398B2 - 窒化物半導体素子及びその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体素子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒化物半導体素子及びその製造方法に関し、より詳細には、電極と接する保護膜を有する窒化物半導体素子及びその製造方法に関する。
窒化物半導体は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、0≦x+y≦1)を含む窒化物半導体によって形成されており、特に有望視されている構造として、リッジ導波路構造を有するものがある。このような構造の半導体レーザ素子は、通常、リッジ側面から、リッジ両側の窒化物半導体層の表面にわたって、光閉じ込めを行うために、第1の保護膜が形成されており、さらに、窒化物半導体層の側面に第2の保護膜が形成されている。
これらの保護膜のうち、特に第1の保護膜は、窒化物半導体層との屈折率差、密着性などを考慮して、例えば、SiO、Al等の酸化物誘電体又はAlN等の窒化物誘電体によって形成されている(例えば、特許文献1)。
また、第2の保護膜は、通常、AlN、SiC等の絶縁材料等によって形成されている(例えば、特許文献2)。
特開2009−4645号公報 特開2006−332195号公報
特に、窒化物半導体層の側面を保護するための保護膜としては、絶縁性のみならず、放熱性の良好な材料を用いることが適しているが、同時に、窒化物半導体層及び電極に対する密着性を確保する必要がある。
しかし、上述した窒化物半導体層の側面に配置されるSiC等は、一般には、放熱性は良好であるが、電極との密着性が良好であるとは言えず、保護膜と電極との界面で剥がれが生じるという問題があった。
さらに、レーザ素子の場合においては、光照射部位に近接するために、その材料の屈折率、減衰係数等の種々の物性においてもレーザ光照射に対する影響を最小限に留めることが必要である。
しかし、上述した窒化物半導体層の側面に配置されるSiC等は、屈折率が大きいために、出射されるレーザ光を効率よく閉じ込めることができず、レーザ光の出射に対して悪影響を与えることが懸念されている。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、窒化物半導体層の側面に配置される保護膜として最適な材料を確保し、配置することにより、密着性、放熱性を与えることができ、特に、レーザ素子の場合にあっては光出射効率、リップル低減等の全てにおいて良好な特性を与えることができ、より信頼性の高い窒化物半導体素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の窒化物半導体素子は、基板と、前記基板上に積層される窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層の上方に配置されたSiとCとを含む第1保護膜と、前記第1保護膜と接して、前記窒化物半導体層と電気的に接続する電極とを有し、前記第1保護膜は、前記電極との界面に、前記電極を構成する少なくとも一部の元素と前記保護膜を構成する少なくとも一部の元素とが混在した混在層を有することを特徴とする。
また、本発明の別の窒化物半導体素子は、基板と、前記基板上に積層され、その表面にリッジを有する窒化物半導体層と、前記リッジ側面から該リッジ両側の窒化物半導体層の上面に配置された絶縁性の第2保護膜と、前記窒化物半導体層の側面から前記第2保護膜の上面の少なくとも一部を被覆し、SiとCとを含む第1保護膜と、前記第1保護膜の上方に前記窒化物半導体層と電気的に接続する電極とを有し、前記第1保護膜は、前記電極との界面に、前記電極を構成する少なくとも一部の元素と前記保護膜を構成する少なくとも一部の元素とが混在した混在層を有することを特徴とする。
これらの窒化物半導体素子では、前記第1保護膜の上面は、前記リッジの上面よりも高く形成されていることが好ましい。
前記第1保護膜は、前記第2保護膜又は前記窒化物半導体層との界面において、前記混在層以外の領域を有することが好ましい。
前記第2保護膜又は前記窒化物半導体層との界面における前記混在層以外の領域の膜厚は、1000Å以上であることが好ましい。
前記第1保護膜であって、前記混在層以外の領域の屈折率が、前記窒化物半導体層の屈折率よりも小さいことが好ましい。
前記第1保護膜であって、前記混在層以外の領域における、前記窒化物半導体素子から照射される波長の光に対する減衰係数は、0.05よりも大きいことが好ましい。
前記電極は、それぞれ異なる元素を含む複数の層を有しており、前記複数の層のうち、前記第1保護膜と接する層を構成する元素は前記混在層に含まれていないことが好ましい。
前記電極は、それぞれ異なる元素を含む複数の層を有しており、前記複数の層のうち、前記第1保護膜から最も離れた位置にある層を構成する少なくとも一部の元素は前記混在層に含まれていないことが好ましい。
本発明の窒化物半導体素子の製造方法では、基板上に窒化物半導体層を積層し、前記窒化物半導体層の上方に、SiとCとを含む第1保護膜を形成し、前記第1保護膜と接して、前記窒化物半導体層と電気的に接続する電極を形成し、少なくとも前記第1保護膜と前記電極とを形成した後に熱処理することにより、前記第1保護膜と前記電極との界面に、前記電極を構成する少なくとも一部の元素と前記第1保護膜を構成する少なくとも一部の元素とが混在した混在層を形成する工程を含むことを特徴とする。
このような製造方法では、前記保護膜を、4nm/min以上の成膜レートによって形成することが好ましい。
本発明によれば、窒化物半導体層の側面に配置される保護膜として最適な材料を確保し、配置することにより、電極に対する密着性、放熱性、光出射効率及び/又はリップル低減等において良好な特性を与えることができ、より信頼性の高い窒化物半導体レーザ素子を提供することができる。
また、そのような窒化物半導体レーザ素子を確実かつ簡便に製造することができる製造方法を提供することができる。
本発明の窒化物半導体レーザ素子の構造を説明するための概略断面図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の別の構造を説明するための概略断面図である。 本発明の第1保護膜の構造を説明するための第1保護膜周辺の概略断面図である。 本発明の第1保護膜の構造を説明するためのエリプソメータ測定結果(屈折率)を示すグラフである。 本発明の第1保護膜の構造を説明するためのエリプソメータ測定結果(減衰係数)を示すグラフである。 本発明の第1保護膜と、第1保護膜の上面に被覆する電極との界面における混在層の構造を説明するための断面SEM像である。 本発明の第1保護膜と、第1保護膜の上面に被覆する電極との界面における混在層の構造を説明するための元素分析結果を示すグラフである。 本発明の窒化物半導体発光素子の構造を説明するための概略断面図である。
<第1実施形態:窒化物半導体レーザ素子>
この実施形態における窒化物半導体レーザ素子は、主として、図1に示すように、基板10上に、窒化物半導体層、つまり、第1窒化物半導体層(例えば、n側半導体層11)、活性層12、第2窒化物半導体層(例えば、p側半導体層13)がこの順に積層されている。第2窒化物半導体層の上面にはリッジ14が形成されている。また、第2窒化物半導体層及び活性層と、第1窒化物半導体層11の膜厚方向の一部とが除去されて、第1窒化物半導体層11の一部が露出されている。
リッジ側面からリッジ両側の第2窒化物半導体層の上面に、第2保護膜15が形成されている。また、窒化物半導体層の側面から第2保護膜15の上面の少なくとも一部、つまり、第2窒化物半導体層の両縁部分を被覆する第1保護膜17が形成されている。第1保護膜17は、第1窒化物半導体層11の露出面の一部をも被覆している。
リッジ14上には、このリッジ14と電気的に接続されたp側電極16及びp側パッド電極19が形成されている。
n側電極20は、基板10に対して、p側電極16と異なる主面側に形成されている。つまり、基板10の裏面にn側電極20が形成されている。
窒化物半導体層の側面であって、リッジ14に直交する方向に共振器面が形成されており、その表面には、端面保護膜(図示せず)が形成されている。
別の窒化物半導体レーザ素子の形態としては、図2に示すように、n側電極20が第1窒化物半導体層11の露出部であって、第1保護膜17で被覆されていない領域に電気的に接続されており、p側電極16とn側電極20とが、基板10に対して同一主面側に形成されている以外は、実質的に図1の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成である。
つまり、基板10の第1主面上に第1窒化物半導体層、活性層12、第2窒化物半導体層がこの順に形成され、第2窒化物半導体層上にp側電極16が形成されている。
(第2保護膜15)
第2保護膜15は埋込膜とも称され、通常、p側半導体層13の上面からリッジ14の側面に配置されている。第2保護膜15は、p側半導体層13上であって、p側半導体層13と後述するp側電極16とが直接接触して、電気的な接続をとる領域以外の領域に形成されている。ただし、p側半導体層13の上面のうち、電気的な接続をとる領域以外の領域の全面に設けられている必要はなく、例えばリッジから離れた領域には、形成されていなくてもよい。ここで、窒化物半導体層と電極との接続領域とは、特にその位置、大きさ、形状等は限定されず、窒化物半導体層の表面の一部、例えば、窒化物半導体層の表面に形成されるストライプ状のリッジ上面のほぼ全面又はリッジ上面のほぼ全面からその両側にわたる部分が例示される。
第2保護膜15は、窒化物半導体層への密着性が良好で、熱伝導率が大きく、屈折率が窒化物半導体層よりも小さく及び/又は減衰係数が0あるいはそれ相当に小さい材料によって形成されていることが好ましい。
例えば、熱伝導率の良好な材料として、0℃における熱伝導率が10W/m・K以上が適しており、30W/m・K以上、50W/m・K以上、さらに100W/m・K以上の材料が好ましい。
リッジの側面から、リッジの両側の窒化物半導体表面に直接接触して、このような熱伝導率の良好な材料による保護膜が形成されることにより、従来から埋込膜として形成されている絶縁膜に比較して、より優れた放熱性を確保することができる。
第2保護膜15は、一般に、窒化物半導体層よりも屈折率が小さな材料によって形成されている。具体的には、屈折率が2.5より小さいもの、特に2.0以下のものが好ましい。
屈折率は、エリプソメトリーを利用した分光エリプソメータ、具体的には、J.A.WOOLLAM社製のHS−190等を用いて測定することができる。
第2保護膜15を形成する材料としては、具体的には、Si、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Taよりなる群から選択された少なくとも一種の元素を含む材料が挙げられる。特に、SiO、ZrO、SiN、BN、SiC、SiOC、AlN、AlGaNであることが好ましい。
第2保護膜は、例えば、1〜1000nm程度の膜厚であることが適しており、10〜500nm程度が好ましい。電極の形成時に、保護膜の均一性及び十分な絶縁性を確保し、リッジ側面において、リッジとの間に良好な屈折率差を与えることができるからである。
第2保護膜は、単一の材料の単層膜又は積層膜でもよいし、異なる材料の積層膜でもよい。積層膜にすることにより、放熱性、保護性(例えば、耐薬品性、硬度等)等の種々の機能を有する各層を組み合わせて相互に各機能を補償することができる。
第2保護膜15は、当該分野で公知の方法によって形成することができる。例えば、蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、ECRプラズマスパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、ディップ法又はこれらの方法の2種以上を組み合わせる方法、あるいはこれらの方法と酸化処理(熱処理)とを組み合わせる方法等、種々の方法を利用することができる。
あるいは、成膜方法及びその条件等については、例えば、特開2008−182202号公報、特開2009−4645号公報等に記載に準じて、適宜調整することができる。
(第1保護膜17及び混在層18)
第1保護膜17は、SiとCとを含んでおり、窒化物半導体層の側面から第2保護膜の上面の少なくとも一部を被覆して配置されている。第1保護膜17は、単一の材料の単層膜又は積層膜でもよいし、異なる材料の積層膜でもよい。この場合、少なくとも1層がSiとCを含んでいればよい。
第1保護膜が、2層構造の場合には、例えば、図3(a)〜(f)に示したように、第1膜17aが第2膜17b上に積層された状態であって、第2膜17bの上面が完全に覆われている状態(図3(a))、第2膜17bを完全に覆う状態(図3(b))、第2膜17bの上面が一部露出している状態(図3(c))等のいずれであってもよい。また、第1保護膜17は、第2保護膜15の少なくとも一部を覆っていればよく、直接窒化物半導体層(p側半導体層13)と接していてもよい(図3(d)〜(f))。後述の電極との接触面積を大きく取ることができることから、第1膜17aがSiとCとを含むことが好ましい。
第1保護膜17は、窒化物半導体層及び第2保護膜への密着性が良好で、熱伝導率が大きく、硬度が大きく、屈折率が小さく、減衰係数が比較的大きい絶縁性材料によって形成されていることが好ましい。ただし、第1保護膜17の熱伝導率、硬度、屈折率及び減衰係数は、混在層18を除いた部分における熱伝導率、硬度、屈折率及び減衰係数をいうものとする。
例えば、熱伝導率の良好な材料として、0℃における熱伝導率が10W/m・K以上の材料が適しており、30W/m・K以上、50W/m・K以上、さらに100W/m・K以上の材料が好ましい。レーザ素子の光出射領域の近傍に、このような熱伝導率の良好な材料による保護膜が形成されることにより、より優れた放熱性を確保することができる。
また、硬度の良好な材料として、修正モース硬度(15段階に修正、硬さ15:ダイヤモンド)が10以上、さらに12以上、さらに13以上であるものが好ましい。ここで、修正モース硬度は、市販の15段階モース硬度計によって測定することができる。
屈折率が比較的小さな材料として、窒化物半導体よりも屈折率が小さな材料が好ましい。例えば、GaNよりも屈折率が小さいものが挙げられる。具体的には、屈折率が2.5より小さいもの、特に2.45以下のものが好ましい。このような屈折率を有することにより、活性層から漏れ出す光を適切に閉じ込めることができ、レーザ光の出射をより効率的に行わせることができる。
減衰係数が比較的大きな材料として、窒化物半導体層素子から照射される波長の光に対する減衰係数が0.05よりも大きい材料であることが好ましい。ここで、減衰係数は、透過測定及び反射測定により見積もることができ、エリプソメトリーを利用した分光エリプソメータ、具体的には、J.A.WOOLLAM社製のHS−190等を用いて測定することができる。減衰係数が大きい材料を用いることにより、レーザ素子の側面からリークする光を吸収することにより、自然放出光等によるリップルを低減することができる。
このような材料としては、具体的には、SiCが挙げられる。また、酸素雰囲気中でSiC膜を成膜する場合に生成されるSiOCであってもよい。
SiCは、屈折率が窒化物半導体と同等又は大きいが、成膜条件を調整することにより、あるいは、成膜後に熱処理を行うことにより、SiC内の不純物が昇華又は除去により空隙を形成し、SiC膜の平均屈折率及び平均吸収係数を小さくすることができる。
ここで、所定温度及び所定時間としては、例えば、材料内の不純物が昇華又は除去されるのに十分な温度及び時間、材料内に含有されていた気体等が除去されるのに十分な温度及び時間等が挙げられる。例えば、600℃程度にて10分間程度が挙げられる。
第1保護膜は、実装態様に応じて、適切な放熱性を確保することができる。
例えば、フェイスダウン実装の場合に、硬度の大きな第1保護膜によって、実装基板側からの衝撃に対する保護を十分に確保し、リッジに対する機械的ダメージを減少することができる。
また、通常使用されるヒートシンク等に対する効率的な放熱経路を確保し、窒化物半導体層との密着性の確保、これによるより良好な放熱性とが相まって、高温環境下でのレーザ素子の使用、高出力でのレーザ素子の駆動、長時間のレーザ素子の駆動を実現できるとともに、このような使用によっても長寿命化を実現することができる。
第1保護膜17は、混在層を含む膜厚として、例えば、200nm〜1500nm程度の膜厚を有することが適している。特に、第1保護膜17の上面は、後述するリッジ14の上面よりも高く形成されていることが好ましい。これにより、露出した窒化物半導体層の側面又は表面等を確実に保護することができる。なお、第1保護膜17が積層構造の場合の膜厚は、総膜厚が上述した範囲内となるように適宜調整することができる。
さらに、第1保護膜17は、第2保護膜15又は窒化物半導体層(p側半導体層13)との界面において、後述する混在層18以外の領域を有することが好ましい。混在層18以外の領域とは、本来の第1保護膜材料のみを含む第1保護膜の部位を意味し、第1保護膜17において、実質的に電極を形成する元素を含まない領域を指す。第2保護膜15上に形成された第1保護膜17の膜厚は、後述するp側パッド電極19と第1保護膜17の界面に形成された混在層18の厚さよりも厚いことが好ましい。これにより、第1保護膜と電極との密着性のみならず、十分な絶縁性の確保ができる。例えば、10V程度の絶縁性を保つためには、第2保護膜15との界面における混在層18以外の領域の膜厚は100nm以上であることが好ましい。
第1保護膜17は、公知の方法を利用して成膜することができるが、上述した特性を発揮させるように、その方法及び条件等を適宜選択/調整することが必要である。
そのための成膜方法としては、例えば、一般に用いられているスパッタ法、ECRスパッタ法、蒸着法等を利用することができる。
第1保護膜17の膜質は、用いる装置、成膜方法等によって種々変動するために、絶対的な成膜条件を特定することは困難であるが、成膜速度を比較的遅くして成膜すると、屈折率は低くなり、減衰係数も低くなる傾向がある。一方、成膜速度を比較的遅く設定して成膜すると、熱処理により、第1保護膜と窒化物半導体層との界面において剥れが生じる。第1保護膜17と窒化物半導体層との密着性を確保するために、成膜速度は速く設定することが好ましい。例えば、スパッタ法において、成膜速度が4nm/min程度以上であることが好ましい。
なお、第1保護膜と第2保護膜とが同じ元素を含んで形成される場合には、第2保護膜の一部を第1保護膜によって被覆することと相まって、第2保護膜のみならず、第1保護膜の窒化物半導体層への密着性をより良好なものとすることができ、これによって、より良好な放熱性を確保することが可能となる。
混在層とは、SiとCとを含む第1保護膜17と、電極、例えば、p側パッド電極19との接触部位において形成される、第1保護膜17内の層を指す。つまり、混在層には、Si及び/又はCと、電極、例えば、p側パッド電極19を構成する少なくとも一部の元素が含まれる。また、図2の窒化物半導体レーザ素子においては、SiとCとを含む第1保護膜17と、n電極20との接触部位においても混在層を形成することができる。
このような混在層によって、第1保護膜と窒化物半導体層との密着性を保証しつつ、電極と第1保護膜との密着をより良好なものとすることができ、これによって、より良好な放熱性を確保することが可能となる。また、上述した各物性を満たす第1保護膜を形成して混在層を配置する場合には、第1保護膜が上述した各物性を満たさないものに比較して、放熱性、保護/絶縁性、吸光性、光閉じ込め性等の種々の機能を十分に果たすことができ、より高品質な窒化物半導体レーザ素子が得られる。
混在層は、少なくとも第1保護膜と電極とを形成した後に熱処理を行うことによって、適所に、第1保護膜を構成する元素と電極を構成する元素とが熱により移動するために、両者が混在した新たな層として形成することができる。混在層の位置、厚み、大きさ等は、熱処理の程度によって制御することができる。この熱処理は、混在層の形成のために、別途行ってもよいが、通常、電極を形成した後のオーミック化のために行う熱処理を利用することが適している。従って、オーミック化のための熱処理の温度及び時間で行うことが好ましい。熱処理の雰囲気は、特に限定されない。
混在層における電極形成元素は、密着性の観点から、混在層18における混在層全体の50〜70%を占めることが好ましい。なお、混在層では、通常、電極側から第1保護膜側にかけて、電極形成元素が徐々に減少している。混在層の厚みは、特に限定されないが、例えば、100nm程度が挙げられる。これによって、良好な両元素の量的勾配又は分布を確保することができ、密着性をより向上させることができる。
(基板10)
本発明において、基板10は、サファイア、スピネル(MgA1)のような絶縁性基板であってもよいし、炭化珪素、シリコン、ZnS、ZnO、GaAs、ダイヤモンド及び窒化物半導体と格子接合するニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジウム等の酸化物基板でもよいが、窒化物半導体基板(GaN、AlN等)であることが好ましい。また、第1主面及び/又は第2主面に0°以上10°以下のオフ角を有する基板であることが好ましい。その厚みは、例えば、50μmから10mm程度が挙げられる。なお、基板として、例えば、特開2006−24703号公報に例示されている種々の公知の基板、市販の基板等を用いてもよい。基板10の、窒化物半導体層を成長させる成長面の面方位に関しては、C面(0001)、A面(11−20)、M面(1−100)又は半極性面(11−22)などの基板を用いることができる。
窒化物半導体基板は、MOVPE(有機金属気相成長法)、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)、HVPE法(ハイドライド気相成長法)、MBE法(分子線エピタキシー法)等の気相成長法、超臨界流体中で結晶育成させる水熱合成法、高圧法、フラックス法、溶融法等により形成することができる。
(窒化物半導体層(11、12、13))
窒化物半導体層としては、一般式InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を含むものを用いることができる。また、これに加えて、III族元素としてBが一部に置換されたものを用いてもよいし、V族元素としてNの一部をP、Asで置換されたものを用いてもよい。n側半導体層は、n型不純物として、Si、Ge、Sn、S、O、Ti、Zr、CdなどのIV族元素又はVI族元素等のいずれか1つ以上を含有していてもよい。p側半導体層は、p型不純物として、Mg、Zn、Be、Mn、Ca、Sr等を含有していてもよい。不純物は、例えば、5×1016/cm〜1×1021/cm程度の濃度範囲で含有されていることが好ましい。
活性層は、多重量子井戸構造又は単一量子井戸構造のいずれでもよい。
窒化物半導体層は、n側半導体層とp側半導体層とに光の導波路を構成する光ガイド層を有することで、活性層を挟んだ分離光閉じ込め型構造であるSCH(Separate Confinement Heterostructure)構造とすることが適している。
窒化物半導体層の成長方法は、特に限定されないが、MOVPE、MOCVD、HVPE、MBEなど、窒化物半導体の成長方法として知られている全ての方法を好適に用いることができる。特に、MOCVD又はMBEは結晶性良く成長させることができるので好ましい。
(リッジ14)
窒化物半導体層、つまり、p側半導体層の表面には、リッジが形成されている。リッジは、導波路領域として機能するものであり、その幅は1.0μm〜30.0μm程度、さらに、1.0μm〜3.0μm程度が好ましい。その高さ(エッチングの深さ)は、p側半導体層を構成する層の膜厚、材料等、さらに光閉じ込めの程度等を適宜調整することができ、例えば、0.1〜2μmが挙げられる。リッジは、共振器方向の長さが100μm〜1000μm程度になるように設定することが好ましい。また、共振器方向においてすべて同じ幅でなくてもよいし、その側面が垂直であっても、テーパー状であってもよい。この場合のテーパー角は45°〜90°程度が適当である。
リッジの形成は、当該分野で通常用いられる方法により形成することができる。例えば、フォトリソグラフィ及びエッチング工程が挙げられる。この際のエッチングは、ドライエッチング(例えば、RIE法)、ウェットエッチングのいずれでもよいし、双方を、この順序又は逆の順序で、行ってもよい。なかでも、窒化物半導体の表面をドライエッチング、続いてウェットエッチングすることが好ましい。
なお、窒化物半導体層においては、例えば、上述したリッジが延びる方向に共振器が形成されており、その方向に直交して、一対の共振器端面が形成されている。共振器長は、100μm〜5000μm程度になるように設定することが好ましい。共振器端面の面方位については、特に限定されない。例えば、M軸、A軸、C軸及びR軸配向が挙げられ、つまり、M面(1−100)、A面(11−20)、C面(0001)又はR面(1−102)からなる群から選ばれる面であり、特にM軸配向、M面(1−100)であることが好ましい。
本発明のレーザ素子の幅、すなわち共振器方向と直交する方向の長さは、50〜2000μm程度に設定される。
(電極16、19、20)
本発明における電極は、第1窒化物半導体層(n側)及び第2窒化物半導体層(p側)とそれぞれ電気的に接続された一対の電極の少なくとも一方を指し、いわゆるオーミック電極と称される電極(少なくともp側及びn側半導体層又は基板上にそれぞれ接触して形成された電極)及びパッド電極と称される電極(外部との接続を可能とする電極)等のいずれであってもよい。混合層と接触する電極としては、パッド電極であることが好ましい。
p側電極(例えば、オーミック電極)は、窒化物半導体層及び第2保護膜上に形成されることが好ましい。電極が最上層の窒化物半導体層及び第2保護膜上に連続して形成されていることにより、第2保護膜の剥がれを防止することができる。特に、リッジ側面に形成された第2保護膜の表面までp側電極が形成されていれば、第2保護膜の剥がれを有効に防止することができる。
電極は、例えば、パラジウム、白金、ニッケル、金、チタン、タングステン、銅、銀、亜鉛、錫、インジウム、アルミニウム、イリジウム、ロジウム、ITO等の金属又は合金の単層膜又は積層膜により形成することができる。具体的には、Ni/Pd/Pt/Au、Ni/Au/Pt/Au、Ti/Pt/Au、Ti/Pd/Pt/Au等が例示される。電極の膜厚は、用いる材料等により適宜調整することができ、例えば、50〜500nm程度が適当である。
特に、p側パッド電極19は、p側電極16及びn側電極20と同様の材料により、同様に形成することができる。
p側パッド電極19が積層膜により形成されている場合は、積層されるそれぞれの層は、それぞれ異なる元素を有していてもよい。例えば、第1保護膜17と接する側からNi/Au/Pt/Auの順でp側パッド電極10を形成することができる。この場合には、第1保護膜17と接するNi層を形成する元素は混在層18には殆ど含まれず、主としてPtが混在層18に含まれる。混在層18に含まれやすい電極材料としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)等の白金族元素が挙げられ、これらの材料を使用することが好ましい。
また、p側パッド電極が、それぞれ異なる元素を含む複数の層からなる場合、前記第1保護膜から最も離れた位置にある層では、その層を構成する少なくとも一部の元素が混在層に含まれていないことが好ましい。
(端面保護膜)
端面保護膜は、少なくとも光出射側の共振器面を被覆するように形成されている保護膜を意味する。通常、活性層を含む任意の部位、好ましくは、ほぼ全体に形成される保護膜である。また、光出射側とは反対側(光反射側)に、反射ミラーとして、誘電体膜が形成されていることが好ましい。
端面保護膜及び反射ミラーは、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜、これらの組み合わせ等により形成することができる。具体的には、SiO2、ZrO2、TiO2、Al23、Nb25、SiN、AlN、SiON、AlON等の酸化膜、窒化膜等からなる誘電体による単層膜及び多層膜が例示される。
(窒化物半導体レーザ素子の製造方法)
本発明の半導体レーザ素子は、基板上に窒化物半導体層を形成し、この窒化物半導体層の第2窒化物半導体層の上面にリッジを形成し、リッジ側面からリッジ両側の窒化物半導体層の上面に第2保護膜を形成し、窒化物半導体層の側面から第2保護膜の上面の少なくとも一部を被覆するSiとCとを含む第1保護膜を形成し、第1保護膜と接する電極を形成し、この第1保護膜を、電極と共に熱処理する工程を含んで製造することができる。
このような製造方法により、これまで一般に用いられていた、例えば、SiCとは異なる物性を有する第1保護膜を備えた半導体レーザ素子を製造することができる。
<第2実施形態:LED素子>
この実施形態における窒化物半導体LED素子は、主として、図6に示すように絶縁性の基板10の上に第1窒化物半導体層(例えば、n側半導体層11)、活性層12、第2窒化物半導体層(例えば、p側半導体層13)がこの順に積層されている。
第2の窒化物半導体層の上端面(p側半導体層13の上端面)はp側電極16とオーミック接触しており、更にp側電極16はp側パッド電極19と電気的に接続されている。また、窒化物半導体層の上端面の一部に凹部が設けられ、この凹部の底面は第1の窒化物半導体層(n側半導体層11)の露出面である。そして、この第1の窒化物半導体層(n側半導体層11)上に、n側電極20が設けられ、n側電極20が形成されている。
p側電極16は、窒化物半導体層に電力を供給するための正極である。p側電極16は、p側半導体層13の上端面のほぼ全領域とオーミック接触する透光性の全面電極であり、p側電極16の上端面の一部に設けられたp側パッド電極19と電気的に接続されている。
第2実施形態の窒化物半導体発光素子は、電極配置面側からも光を取り出す構成とすることができる。電極配置面側から光を取り出す構成とする場合には、p側電極16が、活性層12から放出される光の波長において透光性を有することが好ましい。このような透光性と導電性とを兼ね備えた材料として、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、p型半導体層13側から順にNi、Auを積層した金属薄膜、Ag、Ni、Auなどの金属又はこれらの合金の薄膜などを用いることができる。
p側電極16は、前記した材料を、例えば、スパッタ法や蒸着法などによって積層して形成することができる。
p側パッド電極19は、p側電極17の上端面の一部に設けられ、外部電源(図示せず)とAuワイヤ(図示せず)などで接続され、p側電極17に電力を供給するための電極パッドである。
p側パッド電極19は、第1実施形態におけるp側パッド電極19と同様の材料を用いて構成することができる。
n側電極20は、窒化物半導体層に電力を供給するための負極である。n側電極20は、n型半導体層上に形成される。
n側電極20は、第1実施形態におけるn側電極20と同様の材料を用いて構成することができる。
窒化物半導体発光素子の、p側パッド電極19及びn側電極20の一部を除く上端面及び側面は、SiとCを含む第1保護膜で被覆されており、第1保護膜とp側パッド電極19及びn側電極20の界面には、混在層18が形成されている。
窒化物半導体発光素子の構成は、少なくとも、p側パッド電極19及びn側電極20と第1保護膜17とが接する界面において、混在層18が形成されていればよく、窒化物半導体層層構成や電極の配置など、他の発光ダイオード素子構成としてもよい。
第2実施形態における基板及び窒化物半導体層は、実質的に第1実施形態のものとすることができる。
(窒化物半導体発光素子の製造方法)
第2実施形態の窒化物半導体発光素子製造方法において、基板10上に窒化物半導体の積層構造を形成するまでの製造工程は、前記した第1実施形態と同様の製造工程とすることができる。
次いで、窒化物半導体層の上端面にスパッタ法などにより、ITOなどの透光性の導電材料からなるp側電極16を形成する。
続いて、窒化物半導体層に対して、n側電極20を形成するために、窒化物半導体層の一部の領域をn型半導体層11が露出するまでエッチングする。
次に、n型半導体層11の露出面上にスパッタ法などにより金属材料からなるn側電極20を形成する。また、p側電極16の一部にスパッタ法などにより金属材料からなるp側パッド電極19を形成する。p側パッド電極19及びn側電極20として同じ材料を用いる場合は、これらは同じ工程で形成するようにしてもよい。
さらに、窒化物半導体発光素子の、p側パッド電極19及びn側電極20の上面の一部を除く上端面及び側面を、SiとCとを含む第1保護膜17で被覆する。
そして、熱処理によって、第1保護膜17とp側パッド電極19及びn側電極20との界面に混在層18を形成し、電極の合金化処理を行う。その後、一辺が150〜1000μm程度の四角形又は多角形のチップに分割及び/又は劈開して、窒化物半導体発光素子を得る。
以下に、本発明の窒化物半導体レーザ素子及びその製造方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
実施例1
この実施例の窒化物半導体レーザ素子は、図1に示すように、基板10上に、窒化物半導体層、つまり、n側半導体層11、活性層12、p側半導体層13がこの順に積層されている。p側半導体層13の上面にはリッジ14が形成されており、リッジ側面からリッジ両側のp側半導体層13の上面に、第2保護膜15が形成されている。
また、窒化物半導体層の側面から第2保護膜15の上面の少なくとも一部を被覆するSiCからなる第1保護膜17が形成されている。第1保護膜は、第1窒化物半導体層11の露出面の一部をも被覆している。
リッジ14上には、このリッジ14と電気的に接続されたp側電極16及びp側パッド電極19が形成されており、基板10の裏面(第2主面側)には、n側電極20が電気的に接続されている。窒化物半導体層の側面であって、リッジ14に直交する方向に共振器面が形成されており、その表面には、端面保護膜(図示せず)が形成されている。
このレーザ素子は、以下の方法で製造することができる。
(基板)
まず、n型不純物を含有したGaN基板を準備する。
このGaN基板の第1主面を成長面として、MOVPE反応容器内にセットし、原料ガスとして、TMA(トリメチルアルミニウム)、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)、不純物ガスとして、シランガス(SiH4)を用い、Siを1.8×1018/cm3ドープしたn−Al0.02Ga0.98Nよりなる第1バッファ層を2μmの膜厚で成長させる。その後、昇温して、原料ガスとして、TMI(トリメチルインジウム)、TMG、アンモニア、不純物ガスにシランガスを用い、Siを3×1018/cm3ドープしたn−In0.05Ga0.95Nよりなる第2バッファ層を1500オングストロームの膜厚で成長させる。
(n側半導体層11)
その後、アンモニア、TMA、TMG、不純物ガスとしてシランガスを用い、Siを1×1018/cm3ドープしたAl0.11Ga0.89Nよりなるn側クラッド層を0.7μmの膜厚で成長させる。ここで、成長されたn側クラッド層には、微細なクラックが発生しておらず、結晶性の良好な素子構造を成長させることができる。
次に、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、同様の温度で、アンドープのAl0.06Ga0.94Nよりなるn側光ガイド層を0.15μmの膜厚で成長させる。
(活性層12)
温度を950℃にして、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、不純物ガスとしてシランガスを用い、Siを5×1018/cm3ドープしたAl0.15Ga0.85Nよりなる障壁層を70オングストロームの膜厚で成長させる。続いて、シランガスを止め、原料ガスにTMI、TMG及びアンモニアを用い、アンドープのIn0.01Ga0.09Nよりなる井戸層を100オングストロームの膜厚で成長させる。さらに、同温度で原料ガスにTMA、TMG、アンモニアを用い、Al0.15Ga0.85Nよりなる障壁層を50オングストロームの膜厚で成長させて、単一量子井戸(SQW)からなる活性層を成長させる。
(p側半導体層13)
その後、原料ガスにTMA、TMG、アンモニアを用い、さらに、Cp2Mgを流し、Mgを1×1020/cm3ドープしたp−Al0.30Ga0.70Nよりなるp側キャップ層を100オングストロームの膜厚で成長させる。続いてCp2Mgを止め、1050℃で、アンドープAl0.06Ga0.94Nよりなるp側光ガイド層を0.15μmの膜厚で成長させる。このp側光ガイド層は、アンドープとして成長させるが、p側キャップ層からのMgの拡散により、Mg濃度が5×1016/cm3となりp型を示す。
続いて、1050℃でアンドープAl0.13Ga0.87Nよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させ、続いてCp2Mgを流し、Mg濃度が1×1019/cm3からなるAl0.09Ga0.91Nよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させ、総膜厚0.6μmの超格子層よりなるp側クラッド層を成長させる。
最後に、p側クラッド層の上に、Mgを1×1020/cm3ドープしたp側GaNよりなるp側コンタクト層を150オングストロームの膜厚で成長させる。
(リッジ14の形成)
得られた窒化物半導体を成長させたウェハを反応容器から取り出し、最上層のp側コンタクト層の表面に、所定の形状のマスクを介して、幅2.0μmのストライプ状のSiO2よりなるマスクパターンを形成する。
その後、このマスクパターンを利用してRIE(反応性イオンエッチング)を用い、p側クラッド層とp側光ガイド層とを界面付近までエッチングし、任意に酸性溶液(例えば、リン酸と硫酸との混合溶液)を用いたウェットエッチング(表面処理)を行い、幅2.0μmのストライプ状のリッジ14を形成する。あるいは、RIE(反応性イオンエッチング)を用いてSiClガスによりエッチングして、ストライプ状のリッジを形成する。
(第2保護膜15の形成)
続いて、リッジを形成した際のマスクをつけたまま、窒化物半導体層の表面に、例えば、ZrO膜を200nm形成する。
その後、バッファードフッ酸に浸漬して、リフトオフ法により、p側コンタクト層上に形成したマスクパターンを溶解除去するとともに、p側コンタクト層上にある第2保護膜15を除去する。これによって、リッジ側面からリッジ両側の窒化物半導体層の上面に第2保護膜15を形成することができる。
(第1窒化物半導体層の露出)
リッジ14が形成された窒化物半導体層の表面に、さらに別の所定形状のマスクパターンを、上記と同様の方法で形成し、このマスクパターンを用いてドライエッチングすることにより、レーザ素子の側面を規定するために、窒化物半導体層を表面から3μm程度掘り下げて、n側半導体層を露出させる。ここでは、n側半導体層の表面を露出させてもよいし、膜厚方向にn側半導体層の一部を掘り下げてもよい。
(電極16、20の形成)
p側コンタクト層のリッジ最表面にNi/Au/Ptを順に形成してなるp電極16をストライプ状に形成する。
一方、基板10の裏面側(第2主面側)に、Ti/Pt/Auを順に積層してn側電極20を形成する。
(第1保護膜17の形成)
p電極16と、n電極20との間に露出した窒化物半導体層、その露出面に対向する反対側の窒化物半導体層の側面に、SiCからなる第1保護膜17を形成する。
マグネトロンスパッタ装置にて、SiCターゲットを用いて、RF電力200W、アルゴン流量45sccmの条件で、室温にてSiC膜を500nm形成する。
上記と同様な条件下で成膜したSiC膜について、エリプソメータを用いて光学特性の分析を行った。ここで用いたエリプソメータはJ.A.WOOLLAM社製のHS−190である。図4A、及び図4Bはそれぞれ屈折率(n)、及び減衰係数(k)の測定結果である。ここで熱処理条件は後述の電極とSiC膜の界面混合化における熱処理の条件である。さらに、RF電力100W、アルゴン流量45sccmの条件で、室温にて成膜したSiC膜を参考に示してある。
図4Aより、熱処理を行うことにより、屈折率が小さくなる傾向があり、窒化物半導体層の屈折率よりも小さくすることができる。さらに、図4Bより、熱処理を行うことにより、減衰係数が小さくなる傾向がある。
図4A、及び図4Bより、RF電力200Wで成膜し、かつ熱処理を行ったSiC膜と、RF電力100Wで成膜し、かつ熱処理を行わなかったSiC膜において光学特性は同等であることがわかる。しかし、RF電力100Wで成膜し、かつ熱処理を行わなかったSiC膜は後述の電極とSiC膜の界面混合化における熱処理において、窒化物半導体層から剥れる傾向がある。
(パッド電極19の形成)
この第1保護膜17を介してp側電極16と電気的に接続したNi/Au/Pt/Auを順に形成してなるp側パッド電極19を形成する。
(混在層18の形成)
第2保護膜17とパッド電極19の界面に混在層18を形成するために、熱処理を行う。ここでの熱処理は、窒素雰囲気下、600℃の温度にて、10分間程度行った。
また、p電極のオーミック化のための熱処理と、混在層18形成のための熱処理を同時に行うこともできる。このとき、双方の熱処理の条件が同等であることが好ましい。
図5Aに、混在層18付近の断面SEM像を、図5Bにエネルギー分散型X線分光法による元素分析結果を示す。P1〜P4は測定箇所を示している。P4に関しては図示していないが、構成比が異なるものの、P3とほぼ同じ元素が検出された。
図5Bから、第1保護膜17とパッド電極19の界面に、第1保護膜17であるSiCを構成する元素とp側パッド電極19を構成する元素であるPtが混在した層であり、かつp側パッド電極19を構成する元素のうち、第1保護膜17と接するNiおよび最も離れた位置にあるAuが含まれていない層が形成されていることが確認された。
このように、混在層18により、第1保護膜17とp側パッド電極19の密着性を確保することができる。
また、第1保護膜を、従来とは異なる新たな特定の物性を有するSiCによって形成することにより、活性層から漏れ出す光を適切に閉じ込めることができ、レーザ光の出射をより効率的に行わせることができる。
さらに、レーザ素子の側面からリークする光を吸収することにより、自然放出光等によるリップルを低減することができる。
また、電極、第1保護膜及び混合層によって、電極と第1保護膜との密着性、放熱性、保護/絶縁性、吸光性、光閉じ込め性等の種々の機能を十分に果たすことができ、より高品質な窒化物半導体レーザ素子を提供することができる。
特に、フェイスダウン実装の場合に、硬度の大きな第1保護膜によって、実装基板側からの衝撃に対する保護を十分に確保し、リッジに対する機械的ダメージを減少させることができる。また、通常使用されるヒートシンク等に対する放熱経路を効率的に確保することができ、窒化物半導体層との密着性の確保、これによるより良好な放熱性とが相まって、高温環境下でのレーザ素子の使用、高出力でのレーザ素子の駆動、長時間のレーザ素子の駆動を実現できるとともに、このような使用によっても長寿命化を実現することができる。
実施例2
この実施例の半導体レーザ素子は、図2に示すように、n電極20がとp側電極16とが基板10の同一主面側に形成されている以外、実質的に実施例1の半導体レーザ素子と同様の構成である。
このレーザ素子は、以下のように製造することができる。
まず、C面を窒化物半導体層の成長面とするサファイアからなる基板10を準備する。この基板をMOVPE反応容器内に搬入し、原料ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)を用い、800℃以下の成長温度でGaNよりなるバッファ層を20nmの膜厚で成長させる。
成長温度を1050℃まで昇温して、原料ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)、TMA(トリメチルアルミニウム)、アンモニア(NH3)、不純物ガスにシランガスを用い、Siを3×1018/cm3ドープしたAl0.02Ga0.98Nを4.5μmの膜厚で成長させる。この層をn側コンタクト層とする。
その後、原料ガスとして、トリメチルインジウム(TMI)、TMG、アンモニア、不純物ガスにシランガスを用い、Siを3×1018/cm3ドープしたInyGa1-yN(0<y≦1)層を150nmの膜厚で成長させる。
次に、TMA、TMG、アンモニアを用い、1050℃でアンドープAl0.16Ga0.84Nよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させ、続いてTMAを止めて、シランガスを流し、Siを1×1019/cm3ドープしたn−GaNよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させる。それらの層を交互積層して超格子層を構成し、総膜厚1.2μmの超格子よりなるn側クラッド層を成長させる。n側クラッド層には、微細なクラックが発生しておらず、クラックの発生が良好に防止されている。
続いて、原料ガスにTMG及びアンモニアを用い、1050℃の温度で、アンドープのGaNよりなるn側光ガイド層を75nmの膜厚で成長させる。
次に、温度を900℃にして、SiドープIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層を14nmの膜厚で成長させ、続いて同一温度で、アンドープIn0.07Ga0.93Nよりなる井戸層を7nmの膜厚で成長させる。障壁層と井戸層とを2回交互に積層し、最後に障壁層で終わり、総膜厚56nmの多重量子井戸構造(MQW)の活性層を成長させる。
温度を1000℃に上げ、TMG、TMA、アンモニア、CpMg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、p側光ガイド層よりもバンドギャップエネルギーが大きい、Mgを1×1020/cmドープしたp型Al0.25Ga0.75Nよりなるp側キャップ層を10nmの膜厚で成長させる。
続いて、CpMg、TMAを止め、1000℃で、バンドギャップエネルギーがp側キャップ層10よりも小さい、アンドープGaNよりなるp側光ガイド層を0.145μmの膜厚で成長させる。
次に、1000℃でアンドープAl0.10Ga0.90Nよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させ、続いてTMAを止め、Cp2Mgを用いてMgドープGaNよりなる層を2.5nmの膜厚で成長させ、総膜厚0.45μmの超格子層よりなるp側クラッド層を成長させる。
最後に、1000℃で、p側クラッド層の上に、Mgを1×1020/cmドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層を15nmの膜厚で成長させる。
その後、実施例1と同様にストライプ状のリッジを形成し、第1保護膜、第2保護膜、p電極及びn電極等を形成し、熱処理等を行って、レーザチップを得る。
このようにして得られた窒化物半導体レーザ素子は、実施例1と同様の効果が得られる。
本発明の窒化物半導体素子は、例えば、照明用光源、光ディスク用途、光通信システム、ディスプレイ、印刷機、露光用途、測定、バイオ関連の励起用光源等、広範に利用することができる。
10 基板
11 n側半導体層
12 活性層
13 p側半導体層
14 リッジ
15 第2保護膜
16 p電極
17 第1保護膜
18 混在層
19 p側パッド電極
20 n側電極

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上に積層され、その表面にリッジを有する窒化物半導体層と、
    前記リッジ側面から該リッジ両側の窒化物半導体層の上面に配置された絶縁性の第2保護膜と、
    前記リッジと離間し、かつ前記窒化物半導体層の側面から、前記リッジ両側の前記窒化物半導体層上の前記第2保護膜の上面の少なくとも一部を被覆し、SiとCとを含む第1保護膜と、
    前記第1保護膜の上方に前記窒化物半導体層と電気的に接続する電極とを有し、
    前記第1保護膜は、前記電極との界面に、前記電極を構成する少なくとも一部の元素と前記第1保護膜を構成する少なくとも一部の元素とが混在した混在層を有することを特徴とする窒化物半導体素子。
  2. 前記第1保護膜の上面は、前記リッジの上面よりも高く形成されている請求項に記載の窒化物半導体素子。
  3. 前記第1保護膜は、前記第2保護膜又は前記窒化物半導体層との界面において、前記混在層以外の領域を有する請求項1又は2に記載の窒化物半導体素子。
  4. 前記第2保護膜又は前記窒化物半導体層との界面における前記混在層以外の領域の膜厚は、1000Å以上である請求項に記載の窒化物半導体素子。
  5. 前記第1保護膜であって、前記混在層以外の領域の屈折率が、前記窒化物半導体層の屈折率よりも小さい請求項3又は4に記載の窒化物半導体素子。
  6. 前記第1保護膜であって、前記混在層以外の領域における、前記窒化物半導体素子から照射される波長の光に対する減衰係数は、0.05よりも大きい請求項3から5のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
  7. 前記電極は、それぞれ異なる元素を含む複数の層を有しており、前記複数の層のうち、前記第1保護膜と接する層を構成する元素は前記混在層に含まれていない請求項1からのいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
  8. 前記電極は、それぞれ異なる元素を含む複数の層を有しており、前記複数の層のうち、前記第1保護膜から最も離れた位置にある層を構成する少なくとも一部の元素は前記混在層に含まれていない請求項1からのいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
  9. 基板上に窒化物半導体層を積層し、
    前記窒化物半導体層の表面にリッジを形成し、
    前記リッジ側面から該リッジ両側の窒化物半導体層の上面に絶縁性の第2保護膜を形成し、
    前記リッジと離間し、かつ前記窒化物半導体層の側面から、前記リッジ両側の前記窒化物半導体層上の前記第2保護膜の上面の少なくとも一部を被覆する、SiとCとを含む第1保護膜を形成し、
    前記第1保護膜と接して、前記窒化物半導体層と電気的に接続する電極を形成し、
    少なくとも前記第1保護膜と前記電極とを形成した後に熱処理することにより、前記第1保護膜と前記電極との界面に、前記電極を構成する少なくとも一部の元素と前記第1保護膜を構成する少なくとも一部の元素とが混在した混在層を形成する工程を含む窒化物半導体素子の製造方法。
  10. 前記保護膜を、4nm/min以上の成膜レートによって形成する請求項に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
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