JP2007133349A - 感光性フィルムロール - Google Patents
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Abstract
【課題】 保護フィルムレス型の感光性フィルムを用い、エッジフュージョン発生時間が遅く、且つ、使用時に未露光部の現像残渣の発生を十分に抑制することが可能な保護フィルムレス型の感光性フィルムロールを提供すること。
【解決手段】 支持フィルム10上に第一感光性樹脂層12及び第二感光性樹脂層14を含む2層以上の層からなる感光性樹脂層20を備え、且つ、前記感光性樹脂層20上には保護フィルムを有しない感光性フィルム100を巻芯16にロール状に巻き取ってなる巻き取り体の側面を、ステップタブレットにおける光学濃度が0.05の段を通して露光された前記感光性樹脂層が硬化し、且つ、光学濃度が0.05を超える段を通して露光された前記感光性樹脂層が硬化しない光量の4分の1以下の光量の活性光線で露光してなることを特徴とする感光性フィルムロール。
【選択図】 図2
【解決手段】 支持フィルム10上に第一感光性樹脂層12及び第二感光性樹脂層14を含む2層以上の層からなる感光性樹脂層20を備え、且つ、前記感光性樹脂層20上には保護フィルムを有しない感光性フィルム100を巻芯16にロール状に巻き取ってなる巻き取り体の側面を、ステップタブレットにおける光学濃度が0.05の段を通して露光された前記感光性樹脂層が硬化し、且つ、光学濃度が0.05を超える段を通して露光された前記感光性樹脂層が硬化しない光量の4分の1以下の光量の活性光線で露光してなることを特徴とする感光性フィルムロール。
【選択図】 図2
Description
本発明は、感光性フィルムロールに関する。
従来、感光性フィルムは、透明な支持フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥し、保護フィルムを貼りあわせたサンドイッチ構造のものであった。通常、この感光性フィルムの長尺物は、紙管、木管、プラスチック管等の芯に巻き取った捲回物の形として保管、輸送などの取り扱いがなされている。
この感光性フィルムは、プリント配線板製造や、金属精密加工の分野で、微細な回路を形成するために用いられており、その使用方法としては、まず感光性フィルムの保護フィルムをはく離した後、感光性樹脂層が基材に直接触れるよう圧着(ラミネート)し、支持フィルム上にパターニングされたネガフィルムを密着し、活性光線(紫外線を用いることが多い)を照射(露光)し、次いで有機溶剤又はアルカリ水溶液を噴霧して不要部分を除去することでレジストパターンを形成(現像)し、その後塩化第二銅水溶液などを用いてエッチングする方法が一般的である。
感光性フィルムの支持フィルムとしては、一般的にPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等のポリエステルフィルムが用いられ、保護フィルムとしてはPE(ポリエチレン)フィルムなどのポリオレフィンフィルムが用いられている。
通常、保護フィルムは、ラミネート時に除去されるので、使用に際しては不要のものであり、ゴミとしての処理問題が生じる。さらに、保護フィルムの使用は、感光性フィルムの製造コストを高める要因ともなる。
また、保護フィルムとして用いられるポリオレフィンフィルムは、原材料を熱溶融し、混練、押出し、2軸延伸又はキャスティング法によって製造されており、一般的にポリオレフィンフィルムなどの保護フィルム中にはフィッシュアイとよばれる未溶解及び熱劣化物が含まれる。フィッシュアイは一般的に、直径が30〜600μmの大きさで、フィルム表面から2〜40μmの高さで突き出ている。
このようなフィッシュアイが生じた保護フィルムを感光性樹脂層上に積層した場合、フィッシュアイの凸部が感光性樹脂層に転写されて感光性樹脂層に凹みが生じ、ラミネート後の基板上にエアーボイドが生じることとなる。このエアーボイドの生じやすさは、感光性樹脂層の膜厚と相関し、感光性樹脂層の膜厚が薄いほど発生しやすく、次工程である露光、現像、エッチングの像形成において、パターン欠けや断線の原因となる。
上記のように、保護フィルムの使用は種々の問題を誘発する要因となり、保護フィルムを有さない保護フィルムレス型の感光性フィルムが望まれている。このような保護フィルムレス型感光性フィルムとしては、これまでシリコン系又は非シリコン系の離型処理を施した支持フィルムと感光性樹脂層との二層構造のものが知られている(下記特許文献1〜3参照)。
上記特許文献1〜3に記載されている感光性フィルムは、捲回又は積み重ねたときに、感光性樹脂層が離型層を介して接触するので、感光性樹脂層同士が付着することなく、使用時の取り扱いが容易になる。しかしながら、離型処理を施した支持フィルムを用いた感光性フィルムは、これを離型層と感光性樹脂層とが接触した状態で保管した場合、離型層に含まれる成分が感光性樹脂層に移行(マイグレーション)するため、レジストパターンの密着性が低下するという問題が生じる。また、離型層として用いる材料が高コストであるため、感光性フィルム全体のコストも高くなるという問題があった。
また、この感光性フィルムの長尺物は、紙管、木管、プラスチック管等の芯に巻き取った捲回物の形(感光性フィルムロール)として通常保管するものの、ロール状に巻き取った感光性フィルムの側面(ロール端面)から感光性樹脂組成物が徐々に浸みだして、支持フィルム又は保護フィルムを超えて、隣接する感光性樹脂層と融着するエッジフュージョンと呼ばれる現象が発生する。
このエッジフュージョンは、保管温度、保管湿度、感光性フィルムにかかる圧力などにより、発生する時期に変化が生じる。エッジフュージョンが発生した感光性フィルムロールは、感光性フィルムを巻きほぐすと、上記融着部分から感光性樹脂組成物が飛び散り、ゴミとなる問題がある。
保護フィルムレス型の感光性フィルムロールの場合、感光性樹脂層は支持フィルム1層のみで隔てられているだけであり、ある感光性樹脂層の感光性樹脂組成物が隣接する感光性樹脂層の感光性樹脂組成物と融着する時間が、従来の保護フィルムを有する感光性フィルムロールよりも短くなるために、感光性フィルムロールの保管日数が短縮する問題があった。
このようなエッジフュージョンの発生日数を延ばす技術として、ロール状の感光性フィルムの側面を充分に硬化することが知られている(特許文献4参照)。通常感光性フィルムを基材にラミネートする場合に、感光性フィルムは基材の内側にラミネートされる場合が多い。感光性フィルムの側面を充分に硬化した場合、基材と感光性樹脂層との密着性が悪くなり基材へのラミネートが不可能となる又は現像しても硬化箇所で残渣が残る問題が発生する。
特開平06−236026号公報
特開平09−230580号公報
特開平11−237732号公報
特公昭53−19403号公報
近年、廃棄物による環境問題や、感光性フィルムのコスト削減等の要求から、機能面で割愛可能な保護フィルムや高価な離型処理済み支持フィルムを使用しないで済む感光性フィルムが強く望まれており、本発明の目的は、このような保護フィルムや離型処理済み支持フィルムを使用しないで済む保護フィルムレス型の感光性フィルムを用い、エッジフュージョン発生時間が遅く、詳しくは製品寿命が長く、且つ、使用時に未露光部の現像残渣の発生を十分に抑制することが可能な保護フィルムレス型の感光性フィルムロールを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、支持フィルム上に第一感光性樹脂層及び第二感光性樹脂層を含む2層以上の層からなる感光性樹脂層を備え、且つ、上記感光性樹脂層上には保護フィルムを有しない感光性フィルムを巻芯にロール状に巻き取ってなる巻き取り体の側面を、ステップタブレットにおける光学濃度が0.05の段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化し、且つ、光学濃度が0.05を超える段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化しない光量の4分の1以下の光量の活性光線で露光してなることを特徴とする感光性フィルムロールを提供する。
かかる感光性フィルムロールは、保護フィルムレス型でありながら、上述した構成を有することにより、エッジフュージョン発生時間を十分に遅くして製品寿命を長くすることができ、且つ、使用時に未露光部の現像残渣の発生を十分に抑制することができる。
また、本発明の感光性フィルムロールにおいて、上記感光性樹脂層は、上記第一感光性樹脂層及び上記第二感光性樹脂層を含む2〜8の層を積層してなるものであることが好ましい。これにより、基板にラミネートした際の基板と感光性樹脂層との間のエアボイド発生をより十分に抑制でき、且つ、ロールからの巻きほぐしが容易になる傾向がある。
また、本発明の感光性フィルムロールにおいて、上記活性光線は、紫外線活性光線であることが好ましい。これにより、感光性樹脂層の硬化をより効率的に行うことが可能となる傾向がある。
また、本発明の感光性フィルムロールにおいて、上記感光性樹脂層は、上記支持フィルムの一面上に感光性樹脂組成物を塗布し乾燥してなる層であり、上記支持フィルムの上記一面と上記感光性樹脂層の上記一面に対向する対向面との間の接着力PU(単位:N/m)、及び、上記支持フィルムにおける上記一面と反対側の反対支持面と上記感光性樹脂層における上記対向面と反対側の反対感光性樹脂面との間の接着力PT(単位:N/m)が、下記式(I)で表される条件を満たすことが好ましい。
1.5≦(PU/PT)≦10.0 (I)
1.5≦(PU/PT)≦10.0 (I)
本発明の感光性フィルムロールにおいて、上記(PU/PT)の値が上記式(I)で表わされる条件を満たしていることにより、第二感光性樹脂層上に保護フィルムを有していなくても、ロールの形態で保管した後も良好に使用することが可能となる。
また、本発明の感光性フィルムロールにおいて、上記感光性樹脂層は、上記支持フィルムの一面と対向する対向面を有する上記第一感光性樹脂層と、上記感光性樹脂層における上記対向面と反対側の反対感光性樹脂面を有する上記第二感光性樹脂層とを含み、上記第一感光性樹脂層及び上記第二感光性樹脂層がそれぞれバインダーポリマーを含有し、上記第二感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーが、上記第一感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーよりも高いガラス転移温度(Tg)を有するものであることが好ましい。これにより、上記式(I)で表わされる条件をより確実に満たすことができ、保管後の本発明の感光性フィルムロールを良好に使用することが可能となる。
また、本発明の感光性フィルムロールにおいて、上記感光性樹脂層は、上記支持フィルムの一面と対向する対向面を有する上記第一感光性樹脂層と、上記感光性樹脂層における上記対向面と反対側の反対感光性樹脂面を有する上記第二感光性樹脂層とを含み、上記第一感光性樹脂層及び上記第二感光性樹脂層がそれぞれバインダーポリマーを含有し、上記第二感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーが、スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むものであることが好ましい。これにより、上記式(I)で表わされる条件をより確実に満たすことができ、保管後の本発明の感光性フィルムロールを良好に使用することが可能となる。
また、本発明の感光性フィルムロールにおいて、上記感光性樹脂層は、上記支持フィルムの一面と対向する対向面を有する上記第一感光性樹脂層と、上記感光性樹脂層における上記対向面と反対側の反対感光性樹脂面を有する上記第二感光性樹脂層とを含み、上記第一感光性樹脂層及び上記第二感光性樹脂層がそれぞれバインダーポリマーを含有し、上記第二感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーが、上記第一感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーよりも小さい重量平均分子量を有するものであることが好ましい。これにより、上記式(I)で表わされる条件をより確実に満たすことができ、保管後の本発明の感光性フィルムロールを良好に使用することが可能となる。
本発明の感光性フィルムロールによれば、保護フィルムレス型の感光性フィルムを用いているため、基板へのラミネート時のエアーボイド発生やゴミの排出を低減することができる。また、本発明の感光性フィルムロールは、保護フィルムレス型であることにより、巻き径を変えずに同質量でより長い製品を巻く事ができるため、ラミネート装置への感光性フィルムの取り付け作業の回数が減り、調整等によるロスが減り、歩留まりや生産性を向上させることができる。さらに、感光性フィルムロールのエッジフュージョンが発生する日数を遅延させることができるために、感光性フィルムロールの寿命を長くすることができる。さらにまた、本発明の感光性フィルムロールによれば、使用時に未露光部の現像残渣の発生を十分に抑制することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本発明の感光性フィルムロールを構成する感光性フィルムは、支持フィルム上に、第一感光性樹脂層及び第二感光性樹脂層の2層以上の層を含む感光性樹脂層を備えた感光性フィルムであって、上記感光性樹脂層上には保護フィルムを有さず、ロール状に巻き取り可能であることを特徴とするものである。
また、本発明の感光性フィルムロールは、上記感光性フィルムを巻芯に巻き取ってなる巻き取り体の側面(端面)を、ステップタブレットにおける光学濃度が0.05の段を通して露光された上記感光性樹脂層(第一感光性樹脂層及び第二感光性樹脂層の両方)が硬化し、且つ、光学濃度が0.05を超える段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化しない光量の4分の1以下の光量の活性光線で露光していることを特徴とするものである
ここで、図1は、本発明の感光性フィルムロールを構成する感光性フィルムの一例を示す模式断面図であり、図2は、図1に示す感光性フィルムを用いた本発明の感光性フィルムロールの好適な一実施形態を示す模式断面図である。まず、本発明の感光性フィルムロール110を構成する保護フィルムレス型の感光性フィルム100について、図1を参照しつつ以下に詳しく説明する。
本発明における保護フィルムレス型感光性フィルム100は、支持フィルム10と、該支持フィルム10の一面上に形成された第一感光性樹脂層(対向感光性樹脂層)12と、該第一感光性樹脂層12上に形成された第二感光性樹脂層(反対感光性樹脂層)14とを備える構成を有している。ここで、第一感光性樹脂層12及び第二感光性樹脂層14の2層により感光性樹脂層20が構成されている。
この感光性フィルム100において、支持フィルム10における第一感光性樹脂層12が形成されている上記一面と感光性樹脂層20の上記一面に対向する対向面(第一感光性樹脂層における支持フィルムに接する側の面)との間の接着力PU(単位:N/m)、及び、支持フィルムにおける上記一面と反対側の反対支持面F1と感光性樹脂層20における上記対向面と反対側の反対感光性樹脂面(第二感光性樹脂層における第一感光性樹脂層と接していない側の面)F2との間の接着力PT(単位:N/m)が、下記式(I)で表される条件を満たしていることが好ましい。
1.5≦(PU/PT)≦10.0 (I)
感光性フィルム100において、上記(PU/PT)の値が上記式(I)で表わされる条件を満たしていることにより、第二感光性樹脂層14上に保護フィルムを有していなくても、感光性フィルム100を例えばロール状に巻き取った状態や、シート状で積層した状態で保管した後も良好に使用することが可能となる。このとき、支持フィルム10と第二感光性樹脂層14とは接した状態となっているが、上記(PU/PT)の値が上記式(II)で表わされる条件を満たしていることにより、感光性フィルム100をロールから解く際には支持フィルム10と第二感光性樹脂層14との間で容易に解くことが可能となる。
また、支持フィルム10は、上記感光性フィルム100を基板上にラミネート後、又は紫外線照射後に第一感光性樹脂層12から剥離する必要があり、第一感光性樹脂層12と支持フィルム10との間の接着力は、第一感光性樹脂層12と第二感光性樹脂層14との間の接着力よりも小さいことが好ましい。このように、感光性フィルム100は、当該感光性フィルム100を積層してなる感光性フィルム積層体として、感光性フィルム100を巻芯にロール状に巻き取ってなる感光性フィルムロール110として好適に保管及び使用することができる。
ここで、上記効果をより十分に得る観点から、上記(PU/PT)の値は、次式(II)で表わされる条件を満たしていることがより好ましく、次式(III)で表わされる条件を満たしていることがさらに好ましく、次式(IV)で表わされる条件を満たしていることが特に好ましい。
2.0≦(PU/PT)≦8.0 (II)
2.5≦(PU/PT)≦7.0 (III)
3.0≦(PU/PT)≦6.0 (IV)
2.5≦(PU/PT)≦7.0 (III)
3.0≦(PU/PT)≦6.0 (IV)
支持フィルム10における上記一面と第一感光性樹脂層12における上記対向面との間の接着力PU(単位:N/m)よりも、支持フィルム10における上記反対支持面F1と第二感光性樹脂層14における上記反対感光性樹脂面F2との間の接着力PT(単位:N/m)を低くし、特に(PU/PT)の値が上記式(I)〜(IV)のいずれかで表わされる条件を満たすようにするための第一の方法としては、第二感光性樹脂層14に含有されるバインダーポリマーのTg(ガラス転移温度)が、第一感光性樹脂層12に含有されるバインダーポリマーのTgよりも高くなるようにする方法が挙げられる。
第二感光性樹脂層14に含有されるバインダーポリマーのTgと、第一感光性樹脂層12に含有されるバインダーポリマーのTgの温度差は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、15℃以上であることがさらに好ましく、20℃以上であることが特に好ましい。
本発明におけるバインダーポリマーのTg(ガラス転移温度、単位:℃)は、下記式(V)から求めたものである。
Tg=1/{Σ(Wi/Tgi)}−273 (V)
Tg=1/{Σ(Wi/Tgi)}−273 (V)
上記式(V)中、iはバインダーポリマーを構成する重合性単量体混合物中の各重合性単量体成分を示す添え字である。Wiは重合性単量体iの質量分率を、Tgiは重合性単量体iの単独重合体のガラス転移温度(単位:K)をそれぞれ示す。
また、第二の方法としては、第二感光性樹脂層14に含有されるバインダーポリマーを、スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むものとする方法が挙げられる。さらに、第三の方法としては、第二感光性樹脂層14に含有されるバインダーポリマーを、第一感光性樹脂層12に含有されるバインダーポリマーよりも小さい重量平均分子量を有するものとする方法が挙げられる。
本発明における感光性フィルムは、支持フィルム上に2つの層からなる感光性樹脂層を積層した構造又は支持フィルム上に3つ以上の層からなる感光性樹脂層を積層した構造を有することが好ましく、それにより、上述したような保護フィルムレス型の感光性フィルムを容易に構成することができる。
感光性樹脂層が2以上の層で構成される感光性フィルムにおいて、各々の感光性樹脂層は接していてもよく、2つの感光性樹脂層の間に感光性を有さない非感光性樹脂層を有していてもよい。例えば、感光性フィルムは、感光性樹脂層としての第一感光性樹脂層と、感光性樹脂層としての第二感光性樹脂層との間に、非感光性樹脂層としての第一中間層及び第二中間層を有していてもよい。この感光性フィルムにおいて、第一中間層及び第二中間層は、現像液に溶解する樹脂を用いたものが好ましい。中間層が溶解しないものを用いた場合、第一感光性樹脂層は現像できるが、第二感光性樹脂層が現像出来なくなる。
本発明における保護フィルムを有さない感光性フィルムは、支持フィルムと該支持フィルムに接触している第一感光性樹脂層との間の接着力PU(単位:N/m)よりも、第一感光性樹脂層が設けられた面とは反対側の支持フィルムの面(反対支持面)と支持フィルムから複数層(n層)積層した最上層の第二感光性樹脂層との間の接着力PT(単位:N/m)を低くすることで、感光性フィルムをロール状に巻き取っても、ラミネート時に再びシート状に戻す際に、支持フィルムからの上記第二感光性樹脂層の剥離が容易となる。
また、このように感光性樹脂層がn層構造を有する場合においても、(PU/PT)の値が上記式(I)〜(IV)のいずれかで表わされる条件を満たすようにすることが好ましい。さらに、PUよりもPTを低くする方法、特に、(PU/PT)の値が上記式(I)〜(IV)のいずれかで表わされる条件を満たすようにする方法としては、前述の第一〜第三の方法が挙げられる。なお、感光性樹脂層がn層構造を有する場合において、nは2〜8であることが好ましく、2〜5であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。
また、支持フィルムは、m層積層したm層構造を有することが好ましく、さらに、表裏(上記一面とこれと反対側の反対支持面との2つの面)がほぼ同一の接着力を有することが好ましい。ここで、mは1〜5の整数であることが好ましい。かかる支持フィルムを用いることにより、感光性フィルムを構成する際に表裏どちらでも感光性樹脂層を形成することができる。また支持フィルムの再生利用が容易に可能となる。
さらに、支持フィルムの表裏両主面の最大表面粗さが3000nm(3.0μm)以下であることが好ましく、2000nm(2.0μm)以下であることがより好ましく、1000nm(1.0μm)以下であることがさらに好ましい。これにより、支持フィルム上への感光性樹脂層の形成が容易になると共に、感光性フィルムをラミネートする際に、エアーボイドの発生を防止することができる。
本発明における保護フィルムレス型の感光性フィルムは、ロール状であっても、シート状であってもよい。但し、感光性フィルムの断面が、支持フィルム、第一感光性樹脂層、必要に応じて設けられる第一及び第二感光性樹脂層以外の1層以上の他の感光性樹脂層及び/又は1層以上の中間層、並びに、第二感光性樹脂層がこの順で繰返される構造であることが好ましい。
本発明における保護フィルムレス型の感光性フィルムは、感光性フィルムを基板にラミネートし、パターンマスクを介して、UVなどの放射線等により露光を行った後、現像工程を経た際に、少なくとも本発明における感光性フィルムの上記基板に接する層(感光性樹脂層における支持フィルムから最も遠い側の層、好ましくは第二感光性樹脂層)が基板上にパターンとして残ることが好ましい。
基板の材質及び形状については、プリント配線板用、リードフレーム用、ディスプレイ用等により変わってもよい。また本発明における感光性フィルムは、サンドブラスト用マスクフィルム、カバーレイフィルム、ソルダーレジスト用フィルムとして用いることができる。
次に、上述した保護フィルムレス型の感光性フィルムの各構成要素について説明する。本発明で用いる支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンセルローストリアセテート、塩化ビニルと塩化ビニリデンの共重合体、セロファン等のフィルムが挙げられる。
支持フィルムがm層(mは好ましくは1〜5の整数)積層したm層構造としては、PETフィルムの少なくとも片側にPETフィルムを積層したもの、滑剤を混入させた滑剤混入フィルムからなるもの、滑剤を含まないか又は微量に含む無滑剤フィルムの両面に上記滑剤混入フィルムを形成してなるもの、接着剤又は帯電防止剤などを混入させた機能フィルムの両面にそれぞれ上記無滑剤フィルム及び上記滑剤混入フィルムを形成してなるもの、ナイロン系多層フィルム、PE系多層フィルム、超ハイガスバリヤフィルム、シリコーンコートフィルム、プラスチック金属複合材、アルミ蒸着フィルム、ナイロン/PET、PP/PET、PE/PET、PET/AL/PE、PET/AL/PP及びPET/ポリオレフィン/AL/PP積層フィルム等があげられる。これらは、前述のように表裏同一の接着力を持つことが好ましい。
これらの支持フィルムは、後に感光性樹脂層から除去可能でなくてはならないため、除去が不可能となるような表面処理が施されたものであったり、材質であったりしてはならない。また、支持フィルムの表裏両面の最大表面粗さを3000nm(3.0μm)以下にすることで、感光性樹脂層の塗布及び、本発明における感光性フィルムをラミネートする際、エアーボイドの発生を防止することができる。
これらの支持フィルムの厚みは、1〜100μmとすることが好ましく、4〜50μmとすることがより好ましく、8〜30μmとすることが特に好ましい。この厚みが1μm未満の場合、機械的強度が低下し、塗工時に感光性フィルムが破れるなどの問題が発生する傾向があり、100μmを超えると解像度が低下し、価格が高くなる傾向がある。
感光性樹脂層としては、公知のものが使用でき、例えば、(A)バインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物からなるものなどが挙げられる。
上記(A)バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。これらの中でも良好なアルカリ現像性及び銅基板への密着性を得る観点から、アクリル系樹脂が好ましく用いられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(A)バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン等の重合可能なスチレン誘導体、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を含有させることが好ましく、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、メタクリル酸が好ましい。
なお、支持フィルム上に、複数の層からなる感光性樹脂層を有する場合、支持フィルムから最も離れた反対感光性樹脂層(第二感光性樹脂層)に含まれるバインダーポリマーには、支持フィルムとの接着力を低減できる観点から、スチレン又はスチレン誘導体を重合性単量体として含有させることが好ましい。
また、支持フィルムに塗布した第一感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーには、支持フィルムとの接着力を向上できる観点から、スチレン又はスチレン誘導体を重合性単量体として含有しないことが好ましい。
支持フィルムから最も離れた反対感光性樹脂層(第二感光性樹脂層)に含まれるバインダーポリマーを構成する重合性単量体中に、上記スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として0.1〜45質量%含むことが好ましく、1〜40質量%含むことがより好ましく、1.5〜35質量%含むことがさらに好ましく、2〜30質量%含むことが最も好ましい。この含有量が0.1質量%未満では、支持フィルムとの接着力を低減できなく又基板との密着性が劣る傾向があり、45質量%を超えると、剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向がある。
上記(A)バインダーポリマーは、重量平均分子量が20,000〜200,000であることが好ましく、30,000〜150,000であることがより好ましい。この重量平均分子量が20,000未満では耐現像液性及び膜強度が低下する傾向があり、200,000を超えると解像度が低下する傾向がある。
なお、支持フィルム上に、複数の層からなる感光性樹脂層を有する場合、支持フィルムから最も離れた反対感光性樹脂層(第二感光性樹脂層)に含まれるバインダーポリマーの重量平均分子量は、支持フィルムとの接着力を低減できる観点から、20,000〜100,000であることが好ましく、25,000〜80,000であることがより好ましく、30,000〜60,000であることがさらに好ましい。
また、支持フィルムに塗布した第一感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーの重量平均分子量は、支持フィルムとの接着力を向上できる観点から、40,000〜200,000であることが好ましく、50,000〜150,000であることがより好ましく、60,000〜100,000であることがさらに好ましい。
これらのバインダーポリマーは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーなどが挙げられる。
上記の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算されたものである。
上記(B)光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェノキシポリアルキレンオキシ(メタ)アクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられるが、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物又はウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物を必須成分とすることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であり、プロピレン基の数が2〜14であるポリエチレンポリプロピレングリコールグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、製品名UA−11等が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、製品名UA−13などが挙げられる。なお、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキシ基のブロック構造を有する。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキシ基のブロック構造を有する。
ノニルフェノキシポリアルキレンオキシ(メタ)アクリレートとしては、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシメタクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシメタクリレート、ブチルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、ブチルフェノキシポリエチレンオキシメタクリレート、ブチルフェノキシポリプロピレンオキシアクリレート、ブチルフェノキシポリプロピレンオキシメタクリレート等が挙げられる。
上記ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシアクリレート等が挙げられる。
上記ノニルフェノキシポリエチレンオキシメタクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシメタクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシメタクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシメタクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシメタクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシメタクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシメタクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシメタクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記(C)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。
また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、密着性及び感度の見地からは、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体がより好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記(A)バインダーポリマーの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、40〜80質量部とすることが好ましい。この配合量が40質量部未満では光硬化物が脆くなり易く、感光性樹脂層として用いた場合に、塗膜性が劣る傾向があり、80質量部を超えると光感度が不充分となる傾向がある。
上記(B)光重合性化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、20〜60質量部とすることが好ましい。この配合量が20質量部未満では光感度が不充分となる傾向があり、60質量部を超えると光硬化物が脆くなる傾向がある。
上記(C)光重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。この配合量が0.1質量部未満では光感度が不充分となる傾向があり、20質量部を超えると露光の際に組成物の表面での吸収が増大して内部の光硬化が不充分となる傾向がある。
また、上記感光性樹脂組成物には、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等を(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液として塗布することができる。
また、複数の層からなる感光性樹脂層の全体の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜200μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましく、2〜50μmであることがさらに好ましく、3〜25μmであることが最も好ましい。この厚みが1μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、200μmを超える場合では感度が不十分となり、レジスト底部の光硬化性が悪化する傾向がある。
また、感光性樹脂層を多層とする場合、各々の感光性樹脂層は独立に、1〜75μmとすることが好ましく、1〜50μmとすることがより好ましく、1〜35μmとすることが更に好ましく、2〜25μmとすることがさらに好ましく、3〜15μmとすることが最も好ましい。
一般的に感光性樹脂層は、例えば、支持フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥することにより得られる。
上記塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ、スレーコータ等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、70〜150℃、5〜30分程度で行うことができる。さらに、感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2質量%以下とすることが好ましい。
多層の感光性樹脂層を塗布する場合は、上記の公知の方法により、同時塗工(多層塗工)又は逐次塗工で行うことができる。例えば、感光性樹脂層が2層の場合は、(イ)支持フィルム上に第一感光性樹脂層を積層した後、続いて、第二感光性樹脂層を積層する方法、(ロ)支持フィルム上に第一感光性樹脂層と第二感光性樹脂層とを同時に積層する方法、等が挙げられ、作業性の観点からは、(ロ)の方法が好ましい。また、多層構造を有する感光性樹脂層は、多層押出成形により同時に得られるものであってもよい。
また、感光性樹脂層が複数の層を有している場合において、少なくとも第一感光性樹脂層及び第二感光性樹脂層を有していれば、全ての層が感光性樹脂層である必要はなく、感光性を有さない非感光性樹脂層を有していてもよい。このとき、第一感光性樹脂層及び第二感光性樹脂層の配置は特に制限されないが、感光性フィルムにおける支持フィルムから最も遠い側に配置される反対の樹脂層(反対感光性樹脂層)が少なくとも感光性樹脂層(第二感光性樹脂層)であることが好ましい。
上記非感光性樹脂層は、現像液に溶解する樹脂を用いたものであれば特に制限はない。例えば、非感光性樹脂層は、カルボキシル基を有するポリマーを含み、光重合開始剤を含まない樹脂組成物より構成される。
本発明における保護フィルムレス型の感光性フィルムは、例えば、円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵される。
本発明の感光性フィルムロールは、上述した感光性フィルムを巻芯にロール状に巻き取った後、得られる巻き取り体の側面を、ステップタブレットにおける光学濃度が0.05の段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化し、且つ、光学濃度が0.05を超える段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化しない光量の4分の1以下の光量の活性光線で露光してなるものであり、例えば図2に示すように、支持フィルム10上に第一感光性樹脂層12及び第二感光性樹脂層14を備える感光性フィルム100を巻芯16にロール状に巻き取り、その側面を上記の条件で露光してなるものである。
ここで、円筒状の巻芯の材質としては、例えば、紙管、木管、プラスチック管又は金属管等が挙げられるが、巻き取り時の加圧に耐え得る観点から金属管が好ましい。上記巻芯の材質がプラスチックの場合、該プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等が挙げられる。
支持フィルム上に塗工した多層の感光性樹脂層を備えた感光性フィルムを芯に巻き取る方法としては、特に制限はないが、気泡の混入及び皺を低減できる観点から、以下に示す方法が好ましい。
感光性フィルムの巻取は、巻き軸幅方向に対して平行に配置された加圧ロールにより線状に巻き芯に対し圧力を掛ける。この圧力は、100〜500kg/mであることが好ましく、150〜450kg/mであることがより好ましく、200〜400kg/mであることがさらに好ましい。
上記加圧ロールの表面材質は弾性材料、特にゴムを用いることが好ましく、硬度は40〜90°であることが好ましい。感光性フィルムの巻き取り時の張力は、10〜30kg/mであることが好ましく、12〜25kg/mであることがより好ましく、14〜20kg/mであることが特に好ましい。ここで、巻き始めと巻き終わりでの感光性フィルムに対する張力を一定に保つよう巻き径に応じて張力の制御を行うことが好ましい。(一般的な保護フィルムを有する感光性フィルムの巻き取り時の上記接圧は、50kg/m以下であり、上記張力は10kg/m程度である。)
また、感光性フィルムを巻芯に巻き取る際、支持フィルムが1番外側になるように巻き取ることが好ましい。ロール状の感光性フィルムの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。
また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
本発明において保護フィルムレス型の感光性フィルムをロール状にする場合、活性光線で感光性フィルムの側面を露光することが良い。その光量は、ステップタブレットの光学濃度が0.05を超えて硬化しない光量(ステップタブレットにおける光学濃度が0.05の段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化し、且つ、光学濃度が0.05を超える段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化しない光量)の4分の1以下の光量であることが好ましく、さらに好ましくは光学濃度が0.02を超えて硬化しない光量(ステップタブレットにおける光学濃度が0.02の段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化し、且つ、光学濃度が0.02を超える段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化しない光量)の4分の1以下の光量である。また、光量は、光学濃度が0.02を超えて硬化しない光量(ステップタブレットにおける光学濃度が0.02の段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化し、且つ、光学濃度が0.02を超える段を通して露光された上記感光性樹脂層が硬化しない光量)の20分の1以上であることが好ましい。
また、活性光線としては300〜450nmの波長を有する光線(紫外線)が好ましい。
上記光量を設定する方法は、以下の通りである。まず、銅張積層板と感光性樹脂層とが接するように、本発明の感光性フィルムロールを構成する感光性フィルムを銅張積層板上にラミネートする。その後、上記感光性フィルムの支持フィルムの上にステップタブレット(日立41段ステップタブレット、日立化成工業社製)を置き、活性光線を、ステップタブレットを通過して感光性樹脂層に到達するように照射する。次いで現像を行なった後、ステップタブレットの像を確認し、残存する最大段数を読み、その最大段数の光学濃度に応じて所定の光量を設定する。現像時間は、未露光の感光性樹脂層が現像により除去される時間の2倍とする。
感光性フィルムの側面を活性光線で露光する方法として、感光性フィルムの両端を露光しながら巻芯に巻き取ってもよく、巻き取り後に感光性フィルムの側面から露光してもよい。感光性フィルムの側面以外は、活性光線の照射を防ぐために遮光処置をすることが好ましい。ここで、活性光線を照射する幅は、感光性フィルムの側面から20mm以内であることが好ましく、5mm以内であることがより好ましい。
上記感光性フィルムを用いて基板にパターンを製造するに際しては、上記感光性フィルムを70〜130℃程度に加熱しながら回路形成用基板に0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)の圧力で圧着することにより積層する方法などが挙げられ、減圧下で積層することが好ましい。積層される表面は、特に制限はないが、通常金属面である。
このようにして積層が完了した感光性フィルムは、ネガ又はポジマスクパターンを通して放射線(活性光線)が画像状に照射される。
上記活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。支持フィルムが放射線(活性光線)に対して不透過の場合は、支持フィルムを剥離してから、ネガ又はポジマスクパターンを通して放射線(活性光線)を画像状に照射する。
次いで、露光後、感光性樹脂層上に支持フィルムが存在している場合には、支持フィルムを除去した後、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去して現像し、レジストパターンを製造することができる。上記アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。上記アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節される。
また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10mJ/cm2程度の露光を行うことによりパターンをさらに硬化して用いてもよい。
現像後に行われる金属面のエッチングには、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液等を用いることができる。
本発明における感光性フィルムを用いてプリント配線板を製造する場合、現像されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の表面を、エッチング、めっき等の公知方法で処理する。
上記めっき法としては、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっきなどがある。
次いで、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。上記強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。
上記剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられる。また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
また、本発明の感光性フィルムロールを基板に上記条件でラミネート、露光した場合、露光後の感光性樹脂層と回路形成用基板(銅張り積層板)表面との間には、配線パターンの欠けや断線を低減できる観点から、80μm以上のエアボイド数が少ないことが好ましい。実用上問題ないレベルのエアボイド数としては、10個/m2であり、5個/m2であることが好ましく、0個/m2であることが最も好ましい。
以下、本発明の好適な実施例についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1及び表2に使用した感光性樹脂組成物の組成を示す。表1及び表2中の(A)成分はポリマー成分であり、これらのポリマーは、メチルセルソルブ/トルエン=6/4(重量比)の混合溶液で希釈され不揮発分40重量%となるように混合した溶液として使用した。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件は、以下の通りである。
(GPC条件)
ポンプ:日立 L−6000型[(株)日立製作所製]
カラム:Gelpack GL−R420+Gelpack GL−R430+Gelpack GL−R440(計3本)(以上、日立化成工業(株)製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:25℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI[(株)日立製作所製]
ポンプ:日立 L−6000型[(株)日立製作所製]
カラム:Gelpack GL−R420+Gelpack GL−R430+Gelpack GL−R440(計3本)(以上、日立化成工業(株)製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:25℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI[(株)日立製作所製]
(感光性フィルムの作製)
上記第一感光性樹脂層の溶液(表1)と第二感光性樹脂層(表2)の溶液を同時塗工により、支持フィルムとしての16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に均一に塗布し、90℃の熱風で10分間乾燥させ感光性フィルムを得た。
上記第一感光性樹脂層の溶液(表1)と第二感光性樹脂層(表2)の溶液を同時塗工により、支持フィルムとしての16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に均一に塗布し、90℃の熱風で10分間乾燥させ感光性フィルムを得た。
第一感光性樹脂層と第二感光性樹脂層の厚みは、乾燥後の膜厚がそれぞれ10μm及び15μm(第一感光性樹脂層と第二感光性樹脂層の合計膜厚が25μm)になるように塗工した。
(感光性フィルムの光量の測定)
銅箔(厚み35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張り積層板(日立化成工業株式会社製、商品名:MCL−E−61)の銅表面を、#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥した。得られた銅張り積層板を80℃に加温し、その銅表面上に上記感光性フィルムを高温ラミネーター(日立化成工業(株)製、商品名:HLM−3000)を用いて温度110℃、圧力0.3MPa、ラミネート速度3m/分でラミネートした。
銅箔(厚み35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張り積層板(日立化成工業株式会社製、商品名:MCL−E−61)の銅表面を、#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥した。得られた銅張り積層板を80℃に加温し、その銅表面上に上記感光性フィルムを高温ラミネーター(日立化成工業(株)製、商品名:HLM−3000)を用いて温度110℃、圧力0.3MPa、ラミネート速度3m/分でラミネートした。
次に、高圧水銀灯ランプを有する露光機HMW−1201(オーク(株)製)を用いて、ネガとして日立41段ステップタブレットを試験片の上に置いて露光した。光量が強すぎる場合には、ポリエチレンフィルムをステップタブレットの上に置いて調整した。
その後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液を感光性樹脂層の最少現像時間の2倍(ブレイクポイント50%)の時間スプレーし、未露光部分を除去した後、銅張り積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定した。段数1段(光学濃度0.05)が残存し、光学濃度0.05を超える段数が残存しなかった光量は3.0mJ/cm2であった。
[実施例1〜2及び比較例1〜3]
(感光性フィルムロールの作製)
幅300mmの上記感光性フィルムを、3.5インチの円筒状の支管に、巻き軸幅方向に対して平行に配置された表面材質がゴム製の加圧ロールにより、支管に対し線状に200kg/mの圧力を掛け、15kg/mの張力で200m巻き取り、感光性フィルムロールを得た。得られた感光性フィルムロールは、外径が120mmであり、気泡の混入及び皺もない良好なものであった。
(感光性フィルムロールの作製)
幅300mmの上記感光性フィルムを、3.5インチの円筒状の支管に、巻き軸幅方向に対して平行に配置された表面材質がゴム製の加圧ロールにより、支管に対し線状に200kg/mの圧力を掛け、15kg/mの張力で200m巻き取り、感光性フィルムロールを得た。得られた感光性フィルムロールは、外径が120mmであり、気泡の混入及び皺もない良好なものであった。
(感光性フィルムの側面への活性光線露光)
得られた感光性フィルムロールの側面から、表3に示す光量で高圧水銀灯ランプの光(波長:365nm)を照射し、実施例1〜2及び比較例1〜2の感光性フィルムロールを作製した(側面以外の部分はブラックシートで覆った)。また、比較例3として、感光性フィルム側面から高圧水銀ランプを照射しない感光性フィルムロールも作製した。
得られた感光性フィルムロールの側面から、表3に示す光量で高圧水銀灯ランプの光(波長:365nm)を照射し、実施例1〜2及び比較例1〜2の感光性フィルムロールを作製した(側面以外の部分はブラックシートで覆った)。また、比較例3として、感光性フィルム側面から高圧水銀ランプを照射しない感光性フィルムロールも作製した。
(エッジフュージョンの評価)
実施例1〜2及び比較例1〜3の感光性フィルムロール全体をブラックシートで覆い、20℃、60%RHで静置した。この状態でエッジフュージョンが発生するまで静置し、エッジフュージョンが発生するまでに経過した日数を評価した。
実施例1〜2及び比較例1〜3の感光性フィルムロール全体をブラックシートで覆い、20℃、60%RHで静置した。この状態でエッジフュージョンが発生するまで静置し、エッジフュージョンが発生するまでに経過した日数を評価した。
(感光性フィルムロール側面の現像残り評価)
実施例1〜2及び比較例1〜3の感光性フィルムロールについて、感光性フィルム側面に活性光線を照射した直後に、上述した感光性フィルムの光量の測定方法と同じ方法で、感光性フィルムを基材にラミネートし、現像した。露光は実施しなかった。また、感光性フィルムの側面が基材の内側にラミネートされるようにした。現像後に、現像残り(残渣)が発生しているか確認した。上記の各々についての評価結果を表3に示す。
実施例1〜2及び比較例1〜3の感光性フィルムロールについて、感光性フィルム側面に活性光線を照射した直後に、上述した感光性フィルムの光量の測定方法と同じ方法で、感光性フィルムを基材にラミネートし、現像した。露光は実施しなかった。また、感光性フィルムの側面が基材の内側にラミネートされるようにした。現像後に、現像残り(残渣)が発生しているか確認した。上記の各々についての評価結果を表3に示す。
表3に示すように、感光性フィルム側面に活性光線を照射すると、未照射の場合と比較してエッジフュージョン発生日数が長くなり、製品寿命が延びることが分かる。また、感光性フィルム側面に活性光線を0.4及び0.6mJ/cm2(段数1が硬化した光量の13%及び20%に相当)照射すると、現像残りが発生せず、回路形成において不具合が発生しないことが分かる。また0.8mJ/cm2以上(段数1が硬化した光量の27%以上に相当)照射すると、現像残りが発生し、回路形成において不具合が発生することが分かる。
10…支持フィルム、12…第一感光性樹脂層、14…第二感光性樹脂層、16…巻芯、100…感光性フィルム、110…感光性フィルムロール。
Claims (7)
- 支持フィルム上に第一感光性樹脂層及び第二感光性樹脂層を含む2層以上の層からなる感光性樹脂層を備え、且つ、前記感光性樹脂層上には保護フィルムを有しない感光性フィルムを巻芯にロール状に巻き取ってなる巻き取り体の側面を、ステップタブレットにおける光学濃度が0.05の段を通して露光された前記感光性樹脂層が硬化し、且つ、光学濃度が0.05を超える段を通して露光された前記感光性樹脂層が硬化しない光量の4分の1以下の光量の活性光線で露光してなることを特徴とする感光性フィルムロール。
- 前記感光性樹脂層は、前記第一感光性樹脂層及び前記第二感光性樹脂層を含む2〜8の層を積層してなるものであることを特徴とする請求項1記載の感光性フィルムロール。
- 前記活性光線が、紫外線活性光線であることを特徴とする請求項1又は2記載の感光性フィルムロール。
- 前記感光性樹脂層が、前記支持フィルムの一面上に感光性樹脂組成物を塗布し乾燥してなる層であり、前記支持フィルムの前記一面と前記感光性樹脂層の前記一面に対向する対向面との間の接着力PU(単位:N/m)、及び、前記支持フィルムにおける前記一面と反対側の反対支持面と前記感光性樹脂層における前記対向面と反対側の反対感光性樹脂面との間の接着力PT(単位:N/m)が、下記式(I)で表される条件を満たすことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の感光性フィルムロール。
1.5≦(PU/PT)≦10.0 (I) - 前記感光性樹脂層は、前記支持フィルムの一面と対向する対向面を有する前記第一感光性樹脂層と、前記感光性樹脂層における前記対向面と反対側の反対感光性樹脂面を有する前記第二感光性樹脂層とを含み、前記第一感光性樹脂層及び前記第二感光性樹脂層がそれぞれバインダーポリマーを含有し、前記第二感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーが、前記第一感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーよりも高いガラス転移温度を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の感光性フィルムロール。
- 前記感光性樹脂層は、前記支持フィルムの一面と対向する対向面を有する前記第一感光性樹脂層と、前記感光性樹脂層における前記対向面と反対側の反対感光性樹脂面を有する前記第二感光性樹脂層とを含み、前記第一感光性樹脂層及び前記第二感光性樹脂層がそれぞれバインダーポリマーを含有し、前記第二感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーが、スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として含むものであることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の感光性フィルムロール。
- 前記感光性樹脂層は、前記支持フィルムの一面と対向する対向面を有する前記第一感光性樹脂層と、前記感光性樹脂層における前記対向面と反対側の反対感光性樹脂面を有する前記第二感光性樹脂層とを含み、前記第一感光性樹脂層及び前記第二感光性樹脂層がそれぞれバインダーポリマーを含有し、前記第二感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーが、前記第一感光性樹脂層に含有されるバインダーポリマーよりも小さい重量平均分子量を有するものであることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の感光性フィルムロール。
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-
2006
- 2006-03-06 JP JP2006059846A patent/JP2007133349A/ja active Pending
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