JP4284592B2 - 感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造方法、プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造方法、プリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来プリント配線板の製造分野において、エッチング、めっき等に用いられるレジスト材料としては、感光性樹脂組成物およびそれに支持体と保護フィルムを用いて得られる感光性エレメントが広く用いられている。
プリント配線板は、感光性エレメントを銅基板上にラミネートして、パターン露光した後、硬化部分を現像液で除去し、エッチング又はめっき処理を施して、パターンを形成させた後、硬化部分を基板上から剥離除去する方法によって製造されている。
【0003】
感光性エレメントは、近年のプリント配線板の高密度化に伴い、従来の感光性エレメントに比べて高解像性・高密着性に関する要求がますます高くなっている。さらにBGA、CSPなどの半導体チップが搭載される基板にたいしては、米国半導体工業会のロードマップに見られるように格段に高いレベルの解像性が要求されることが予想されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−321767号公報
【特許文献2】
特開2000−29211号公報
【特許文献3】
特開2001−222104号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これまでの光開始剤技術では2,4,5−トリフェニルイミダゾール二量体とp−アミノフェニルケトンを使用することにより高解像性を実現してきたが、現状ではまだ十分とは言えない。また、一方では、作業性の向上という点から、高感度、低めっき浴汚染性の感光性樹脂組成物が望まれており、これらの特性は、使用される光開始剤の種類及び量に依存する。
本発明は、解像度、密着性、感度、めっき浴汚染性、現像性及び機械強度に優れる感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造方法、プリント配線板の製造方法を提供するものである。
すなわち、請求項1、2、3、4及び5に記載の発明は、解像度、密着性、感度、めっき浴汚染性、現像性及び機械強度が優れる感光性樹脂組成物を提供するものである。また、請求項6に記載の発明は、解像度、密着性、感度、めっき浴汚染性、現像性、機械強度、作業性及び生産性が優れ、プリント配線の高密度化に有用な感光性エレメントを提供するものである。さらに、請求項7に記載の発明は、解像度、密着性、感度、めっき浴汚染性、現像性、機械強度、作業性及び生産性が優れ、プリント配線の高密度化に有用なレジストパターンの製造方法を提供するものである。そして、請求項8に記載の発明は、解像度、密着性、感度、めっき浴汚染性、現像性、機械強度、作業性及び生産性が優れ、プリント配線の高密度化に有用なプリント配線板の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、(A)バインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有してなる感光性樹脂組成物において、前記(C)成分として一般式(I)で表される化合物を必須成分として含有する感光性樹脂組成物である。
【0007】
【化2】
(式中、12個のRは各々独立に塩素原子又はメチル基を示し、Rの少なくとも1つは塩素原子であり、少なくとも1つはメチル基である)
【0008】
請求項2に記載の発明は、(B)成分がビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を必須成分とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物である。
請求項3に記載の発明は、(A)バインダーポリマーの重量平均分子量が、20,000〜300,000である請求項1又は請求項2に記載の感光性樹脂組成物である。
請求項4に記載の発明は、(A)バインダーポリマーの酸価が、30〜200mgKOH/gである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物である。
請求項5に記載の発明は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合量が、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、(A)成分が40〜80重量部、(B)成分が20〜60重量部及び(C)成分が0.01〜20重量部であり、かつ一般式(I)で表される化合物の配合量が、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、1.0〜6.0重量部である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物である。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥してなる感光性エレメントである。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の感光性エレメントを、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造方法である。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のレジストパターンの製造方法により、レジストパターンの製造された回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味する。
【0011】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有し、前記(C)成分として前記一般式(I)で表される化合物を必須成分として含有する。
【0012】
前記(A)バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。アルカリ現像性の見地からは、アクリル系樹脂が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
前記(A)バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン等の重合可能なスチレン誘導体、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸などが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、一般式(II)
【0014】
【化3】
CH2=C(R1)−COOR2 (II)
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜12のアルキル基を示す)で表される化合物、これらの化合物のアルキル基に水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等が置換した化合物などが挙げられる。
【0015】
上記一般式(II)中のR2で示される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
上記一般式(II)で表される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
前記(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を含有させることが好ましく、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、メタクリル酸が好ましい。また、前記(A)バインダーポリマーは、可とう性の見地からスチレン又はスチレン誘導体を重合性単量体として含有させることが好ましい。
【0017】
上記スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として、密着性及び剥離特性を共に良好にするには、0.1〜30重量%含むことが好ましく、1〜28重量%含むことがより好ましく、1.5〜27重量%含むことが特に好ましい。この含有量が0.1重量%未満では、密着性が劣る傾向があり、30重量%を超えると、剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向がある。
【0018】
これらのバインダーポリマーは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーなどが挙げられる。
【0019】
前記(A)成分の酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、45〜150mgKOH/gであることがより好ましい。この酸価が30mgKOH/g未満では現像時間が長くなる傾向があり、200mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が低下する傾向がある。
【0020】
前記重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算)は、20,000〜300,000であることが好ましく、25,000〜150,000であることがより好ましい。この重量平均分子量が、20,000未満では耐現像液性が低下する傾向があり、300,000を超えると現像時間が長くなる傾向がある。
【0021】
前記(B)光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェニルポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられるが、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を必須成分とすることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0022】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であり、プロピレン基の数が2〜14であるポリエチレンポリプロピレングリコールグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。なお、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物は、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有する。
【0024】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0025】
前記一般式(I)において、12個のRは各々独立にハロゲン原子または、アルキル基である。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アスタチン原子等が挙げられ、塩素原子であることが好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、これらの構造異性体等が挙げられ、メチル基であることが好ましい。
【0026】
また、前記一般式(I)で表される化合物中のフェニル基は置換基を有することができる。上記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、フェナシル基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基、アリル基、水酸基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜10のアルキルカルボニル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のN−アルキルカルバモイル基、複素環を含む基、これらの置換基で置換されたアリール基等が挙げられる。これら置換基が2つ以上の場合、2つ以上の置換基は各々同一でも相違していてもよい。
【0027】
前記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、2,2′−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2′−ビス(2,3−ジフロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2′−ビス(2,3−ジブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビスイミダゾール等が挙げられ、2,2′−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビスイミダゾールであることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0028】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、前記一般式(I)で表される化合物以外の光重合開始剤を含有させることができる。それらの例としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、前記一般式(I)で表される化合物以外の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0029】
前記(A)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、40〜80重量部であることが好ましく、40〜70重量部であることがより好ましい。この配合量が40重量部未満では光硬化物が脆くなり易く、感光性エレメントとして用いた場合、塗膜性に劣る傾向があり、80重量部を超えると感度が不充分となる傾向がある。
【0030】
前記(B)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、20〜60重量部であることが好ましく、30〜60重量部であることが好ましい。この配合量が20重量部未満では感度が不充分となる傾向があり、60重量部を超えると光硬化物が脆くなる傾向がある。
【0031】
前記(C)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、0.01〜10重量部であることがより好ましく、0.05〜8重量部であることが非常に好ましく、0.1〜6重量部とすることが極めて好ましい。この配合量が0.01重量部未満では感度が不十分となる傾向があり、20重量部を超えると解像度が悪化する傾向がある。
【0032】
また、前記一般式(I)で表される化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、1.0〜6.0重量部であることが好ましく、1.5〜5.0重量部であることがより好ましく、2.0〜4.0重量部であることが特に好ましい。この配合量が1.0重量部未満では感度が不十分となる傾向があり、6.0重量部を超えると解像度が悪化する傾向がある。
【0033】
前記感光性樹脂組成物には、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0034】
前記感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60重量%程度の溶液として塗布することができる。
【0035】
前記感光性樹脂組成物は、特に制限はないが、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属面上に、液状レジストとして塗布して乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、感光性エレメントの形態で用いられることが好ましい。
【0036】
また、感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。液状レジストに保護フィルムを被覆して用いる場合は、保護フィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどが挙げられる。
【0037】
上記感光性エレメントは、例えば、支持体として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥することにより得ることができる。上記塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。また、感光性樹脂組成物層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2重量%以下とすることが好ましい。
【0038】
これらの重合体フィルムの厚みは、1〜100μmとすることが好ましい。これらの重合体フィルムの一つは感光性樹脂組成物層の支持体として、他の一つは感光性樹脂組成物の保護フィルムとして感光性樹脂組成物層の両面に積層してもよい。保護フィルムとしては、感光性樹脂組成物層及び支持体の接着力よりも、感光性樹脂組成物層及び保護フィルムの接着力の方が小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。
【0039】
また、前記感光性エレメントは、感光性樹脂組成物層、支持体及び保護フィルムの他に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層を有していてもよい。
【0040】
前記感光性エレメントは、例えば、そのまま又は感光性樹脂組成物層の他の面に保護フィルムをさらに積層して円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵される。なお、この際、支持体が1番外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
【0041】
上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。
【0042】
上記感光性エレメントを用いてレジストパターンを製造するに際しては、前記の保護フィルムが存在している場合には、保護フィルムを除去後、感光性樹脂組成物層を70〜130℃程度に加熱しながら回路形成用基板に0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)の圧力で圧着することにより積層する方法などが挙げられ、減圧下で積層することが好ましい。積層される表面は、通常金属面であるが、特に制限はない。
【0043】
このようにして積層が完了した感光性樹脂組成物層は、ネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。上記活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。
【0044】
次いで、露光後、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去して現像し、レジストパターンを製造することができる。上記アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。上記アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
【0045】
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10mJ/cm2程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
【0046】
現像後に行われる金属面のエッチングには、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液等を用いることができる。
【0047】
本発明の感光性エレメントを用いてプリント配線板を製造する場合、現像されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の表面を、エッチング、めっき等の公知方法で処理する。上記めっき法としては、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっきなどがある。次いで、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。上記強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10重量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10重量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。上記剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレイ方式等が挙げられる。また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【0048】
【実施例】
実施例1〜3及び比較例1
表1に示す材料に、表2の添加量にて感光性樹脂組成物の溶液を得た。
次いで、この感光性樹脂組成物の溶液を、16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥器で、10分間乾燥して、感光性エレメントを得た。感光性樹脂組成物層の膜厚は、20μmであった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
以下に表2において使用した材料を示す。
EX1-HABI*1
【化4】
【0052】
EX2-HABI
【化5】
【0053】
EX3-HABI
【化6】
【0054】
Cl−HABI*2:2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5'−テトラフェニルビスイミダゾール(保土ヶ谷化学工業株式会社製商品名)
EAB*3:ジエチルアミノベンゾフェノン
【0055】
銅箔(厚さ35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張り積層板(日立化成工業株式会社製商品名;MCL−E−61)の銅表面を、♯600相当のブラシを持つ研磨機(三啓株式会社製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥し、得られた銅張り積層板を80℃に加温し、その銅表面上に、前記感光性樹脂組成物層を、110℃に加熱しながらラミネートした。
【0056】
次に、高圧水銀灯ランプを有する露光機(オーク株式会社製)590を用いて、ネガとしてストーファー41段ステップタブレットを試験片の上に置いて60mJ/cm2露光した。
【0057】
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液を20秒間スプレーすることにより、未露光部分を除去した。さらに、銅張り積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、感光性樹脂組成物の光感度を評価し、その結果を表3に示した。光感度は、ステップタブレットの段数で示され、このステップタブレットの段数が高いほど、光感度が高いことを示す。
【0058】
現像後のパターンを観察し、ライン・アンド・スペースとして残ったライン幅(μm)から解像度(μm)を求めた。解像度は、現像処理によって未露光部をきれいに除去することができたライン幅間のスペース幅の最も小さい値により評価した。解像度の評価は数値が小さいほど良好な値である。
また、現像後に剥離せずに残った浮島パターンのライン幅(μm)を測定し密着性として評価した。この密着性の数字が小さいほど、細いラインでも銅張り積層板から剥離せずに銅張り積層板に密着していることを示し、密着性が高いことを示す。それらの結果を表3に示した。
さらに、実施例1〜3、比較例1の組成において、半田めっき浴汚染度とその時の錫比率を表4に示した。ここで、めっき浴汚染度はブランクと比較し、比率の落ち込みを評価したもの。錫比率は錫60%の半田をブランクとし、各組成の感光性樹脂を溶解させて、液温25℃の槽にハルセル試験片を入れ、電流密度5A/dm2、5分間かけた時の試験片への半田付着量で錫比率を算出する。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
実施例1〜3は、光重合開始剤として一般式(I)で表される化合物を配合したものであり、解像度、密着性に優れている。一方、従来から使用されている光重合開始剤のイミダゾール系二量体を用いた比較例1は、解像度や密着性に劣る。また、比較例1は半田めっき浴汚染に対し、汚染が少なく実績があることは周知であり、その比較例1に同等以上の結果を得る事ができ、めっき浴汚染性に優れると言える。
【0061】
請求項1、2、3、4及び5に記載の感光性樹脂組成物は、解像度、密着性、感度、めっき浴汚染性が優れる。
【0062】
請求項6に記載の感光性エレメントは、解像度、密着性、感度、めっき浴汚染性、現像性、機械強度、作業性及び生産性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
【0063】
請求項7に記載のレジストパターンの製造方法は、解像度、密着性、感度、めっき浴汚染性、現像性、機械強度、作業性及び生産性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
【0064】
請求項8に記載のプリント配線板の製造方法は、解像度、密着性、感度、めっき浴汚染性、現像性、機械強度、作業性及び生産性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
Claims (8)
- (B)成分がビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を必須成分とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- (A)バインダーポリマーの重量平均分子量が、20,000〜300,000である請求項1又は請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
- (A)バインダーポリマーの酸価が、30〜200mgKOH/gである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- (A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合量が、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、(A)成分が40〜80重量部、(B)成分が20〜60重量部及び(C)成分が0.01〜20重量部であり、かつ一般式(I)で表される化合物の配合量が、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、1.0〜6.0重量部である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥してなる感光性エレメント。
- 請求項6に記載の感光性エレメントを、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造方法。
- 請求項7に記載のレジストパターンの製造方法により、レジストパターンの製造された回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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