JP2007132963A - 多色表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子を含む分散液が塗布され、加熱処理が施され、さらに導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持されたことで形成された表示層を有する表示素子であって、導電性または半導体性微粒子の加熱処理条件が異なり、かつ、異なる色を発色する有機エレクトロクロミック化合物が担持された複数の表示層が積層されたことを特徴とする多色示素子。
【選択図】図1
Description
また、特許文献1の特表2001−510590公報には、半導体性微粒子の表面に有機EC化合物を担持させた表示層を有する表示素子の該表示層を、半導体性微粒子を含む分散液を透明電極付き基板上に塗布し、450℃程度で加熱処理をした後、有機EC化合物を吸着させることで作製することが開示されている。
さらに、前述した微粒子層を加熱処理する代わりに、加圧処理をしても表示層を作製することができ、その際、さらに加圧条件を変えることで発色・消色閾値電圧を変えることができるということを見いだした。
斯して、上記課題は、本発明の(1)「表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子を含む分散液が塗布され、加熱処理が施され、さらに導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持されたことで形成された表示層を有する表示素子であって、導電性または半導体性微粒子の加熱処理条件が異なり、かつ、異なる色を発色する有機エレクトロクロミック化合物が担持された複数の表示層が積層されたことを特徴とする多色示素子」、
(2)「表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子を含む分散液が塗布され、加圧処理が施され、さらに導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持されたことで形成された表示層を有する表示素子であって、導電性または半導体性微粒子の加圧処理条件が異なり、かつ、異なる色を発色する有機エレクトロクロミック化合物が担持された複数の表示層が積層されたことを特徴とする多色表示素子」、
(3)「表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子を含む分散液が塗布され、加熱および加圧処理が施され、さらに導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持されたことで形成された表示層を有する表示素子であって、導電性または半導体性微粒子の加熱および加圧処理条件が異なり、かつ、異なる色を発色する有機エレクトロクロミック化合物が担持された複数の表示層が積層されたことを特徴とする多色表示素子」、
(4)「表示電極に最も近接する表示層の加熱処理温度が200℃以上であり、かつ、最も近接する表示層に含まれる有機エレクトロクロミック化合物の発色および消色機能が失われる温度以下でその他の表示層が加熱処理されたものであることを特徴とする前記第(1)項又は第(3)項に記載の多色表示素子」、
(5)「複数の表示層のうち少なくとも1層はマイクロ波を用いて加熱処理がおこなわれたものであることを特徴とする前記第(1)項、第(3)項又は第(4)項の何れかに記載の多色表示素子」により達成される。
また、導電性または半導体性微粒子からなる表示層の加圧処理条件のみで閾値電圧を変えることができるため、積層構造による多色表示媒体を安価で提供できる。また、耐熱性のない有機EC化合物を用いることができるため材料選択の幅が広がり、より多彩な色を容易に表示できる多色表示媒体を提供でき、
また、導電性または半導体性微粒子からなる表示層の加熱および加圧処理条件のみで閾値電圧を変えることができるため、積層構造による多色表示媒体を安価で提供できるだけでなく、閾値電圧を大きく変えることができるため色調制御を容易にすることができ、
また、導電性または半導体性微粒子からなる表示層の加熱処理条件のみで閾値電圧を変えることができるため、積層構造による多色表示媒体を安価で提供できるだけでなく、加熱温度を最小限にすることで製造コストを抑え、より安価な多色表示媒体を提供でき、
また、導電性または半導体性微粒子からなる表示層の加熱処理条件のみで閾値電圧を変えることができるため、積層構造による多色表示媒体を安価で提供できるだけでなく、マイクロ波は有機EC化合物にダメージを与えずに導電性または半導体性微粒子を選択的に加熱できるため、加熱処理条件をより大きく変えることができ、色調制御を容易にすることができるという極めて優れた効果を奏するものである。
ここで、上記のように、加熱処理の温度を変えてEC表示素子を作製すると発色・消色する閾値電圧が大きく異なることが見い出され、この現象を用いることで本発明の多色表示素子を開発するに至った。
本発明の多色表示素子の構成例を図1に示し、以下に説明する。ただし、本発明の多色表示素子の構成は図1に限ることではない。
本発明の多色表示素子は、表示電極に異なる色を発色する複数の表示層が積層された構造である。各表示層は導電性または半導体性微粒子とその表面に吸着した有機EC化合物から成るEC組成物を含んでいる。表示電極の作製手順を示す。
導電性または半導体性微粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化すずなどを材質とした粒径5nm〜50nm程度の微粒子が望ましい。これらの材質は導電性、半導体性の性質を有しており、電極および有機EC化合物との電荷の授受をおこなうことができる。また、粒径5nm〜50nm程度の微粒子層にすることで平滑な電極面に対して非常に大きな比表面積をもつことができ、効率良く電荷が授受できる。さらに透明な膜を形成することができるため表示素子として大きな利点がある。各々の表示層の厚さは0.1〜100μm程度が望ましく、十分な発色濃度および高速な発色・消色応答を得るには1〜10μm程度がさらに望ましい。微粒子分散液の塗布方法としては、スクリーン印刷法、スピンコート法、スキージ法、ドクターブレード法、スプレー法、インクジェット法などがありどれを用いても構わない。一般に厚い膜を形成するためにはスクリーン印刷法、スキージ法などが有用な方法である。また、表示層は、透明電極付き基板上に任意のパターンで形成しても構わない。本発明の多色表示素子は、透明電極付き基板の全面に表示層を設けた場合においても部分的に電圧を印加することでその部分のみを発色させることができるが、電荷がわずかに拡散するため発色画像が少しぼやけてしまうことがある。そこで、あらかじめ表示層を画素ごとに高精細にパターニングしておくことで、電荷の拡散による画像のぼやけを防ぎ、シャープな発色画像を得ることができる。
対向電極としては、ガラス、あるいはプラスチックフィルムにITO、FTO、ZnOなどの透明導電薄膜をコーティングしたもの、亜鉛や白金などの導電性金属膜をコーティングしたものなどを用いる。ITO、FTO、ZnOなどの透明導電薄膜をコーティングした基板を用いる場合は、酸化錫微粒子やITO微粒子など、比表面積の大きな導電性粒子を形成すると電荷を効率良く授受することができる。
電解質としては、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウムなどのリチウム塩をアセトニトリル、炭酸プロピレンなどの有機溶媒に溶解させた溶液系、パーフルオロスルフォン酸系高分子膜などの固体系などがある。溶液系はイオン伝導度が高いという利点がある。固体系は劣化がなく高耐久性の素子を作製することに適している。
白色反射層としては、白色顔料粒子を樹脂に分散させ対向基板上に塗布することが最も簡便な作製方法である。白色顔料微粒子としては、一般的な金属酸化物からなる粒子が適用でき、具体的には酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウムなどが挙げられる。また、電解液中に白色顔料粒子を分散する場合は、あらかじめ電解液に白色顔料粒子を分散しておいてから、表示素子中に注入すればよい。この場合、白色顔料粒子を固定するための樹脂は必要ないため素子内のイオン伝導度がよく、低電圧で素子を駆動できる。
本発明の表示装置の駆動方法としては、任意の電圧、電流を印加することができればどのような方法を用いても構わない。パッシブ駆動方法を用いれば安価な表示装置を作製することが出来る。また、アクティブ駆動方法を用いれば高精細、かつ高速な表示をおこなうことができる。本発明の多色表示素子においては、対向基板上にアクティブ駆動素子を設けることで容易にアクティブ駆動ができる。
透明電極付きガラス基板に前述の微粒子分散液を塗布、乾燥した後、加圧処理をおこなう。加圧処理をおこなうにはプレス装置を用いることが最も簡便である。加える圧力値は10000fkg/cm2程度までが好ましい。10000fkg/cm2より大きいと加圧プレス処理により表示層を破損してしまう恐れがある。こうして作製した多色表示素子の加圧条件と発色・消色閾値電圧との関係を評価したところ、大きな圧力をかける程、発色・消色閾値電圧が小さくなることが分かった。従って、透明電極付きガラス基板に近接した表示層ほど大きな圧力をかけるようにして表示電極を作製することで前述の加熱処理と同等の多色表示ができることが分かった。加圧処理が加熱処理と同様の効果がある原因としては近接する微粒子同士の表面が加圧処理でより接近し、加熱焼結と同様の効果が起こるためと考えられる。加圧処理の場合、吸着させた有機EC化合物を熱的に破壊することがないため、耐熱性のない有機EC化合物を用いることができる利点がある。
前述のように異なる加熱処理、加圧処理をおこなうことによって発色・消色閾値電圧を変えることができる。従って、両方を同時におこなうことでさらに大きく発色・消色閾値電圧を変えることができ、色制御が容易にできるようになる。また、両方を同時におこなうことで加熱処理のみの場合を比較して加熱温度は低くできる。
而して、本発明の多色表示素子であるか否かは、微粒子同士が焼結した結果、表示電極面における電極材料が減少した結果等の各種理由によって、微粒子層の導電特性が向上したか否かにより、蛍光X線分析等で容易に識別することができる。
(実施例1)
多色表示媒体は以下のように作製した。
[微粒子分散液の調製]
一次粒径6nmの酸化チタン微粒子(テイカ株式会社製)を水に対して20wt%入れ、分散させた。この分散液の中に界面活性剤としてPolyoxyethylene(10)octylphenyl etherを0.5wt%加え、微粒子分散液を調製した。
[表示層(1)の作製]
酸化スズ透明電極膜が全面に付いたガラス基板の一部(面積1cm2)に、微粒子分散液をスピンコート法で厚さ約2μmになるように塗布した。その後、450℃で1時間加熱処理をおこなった。
有機EC化合物として、1−Benzl−1’−(2−phosphonoethyl)−4、4’−bipyridinium dibromide(以下、EC1と呼称する)を用い、水に溶解させ0.02M溶液を調製した。このEC1水溶液にガラス基板を室温で24時間浸漬させ、微粒子層にEC1を付着させた。
[表示層(2)の作製]
表示層(1)の上に微粒子分散液をスピンコート法で厚さ約2μmになるように塗布した。その後、100℃で1時間加熱処理をおこなった。
有機EC化合物として、1−Ethyl−1’−(3−phosphonopropyl)−4、4’−bipyridinium dichloride(以下、EC2と呼称する)を用い、水に溶解させ0.02M溶液を調製した。このEC2水溶液にガラス基板を室温で24時間浸漬させ、微粒子層にEC2を付着させた。
[多色表示媒体の作製]
対向電極は以下のように作製した。一次粒径300nmの酸化チタン粒子5gおよびポリエチレン樹脂1gをテトラヒドロフラン溶液10mlに分散させた。厚さ0.2mmの亜鉛板に調製した分散液をスピンコート法で全面に塗布した。膜厚は約5ミクロンであり、紙と同様な白色を示した。表示電極と対向電極を50μmのスペーサーを介して貼り合わせ、セルを作製した。過塩素酸リチウムを炭酸プロピレンに0.2M溶解させた電解質溶液を調製し、このセル内に封入することで多色表示素子を作製した。
[多色表示媒体の評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。なお、この測定には、反射分光測色装置(大塚電子株式会社製)を用いておこなった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧1.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが赤紫色に発色した。この色はEC1が発色したことに起因する。この電圧ではEC2は発色しなかった。−0.5Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。−4.0Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−0.5Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。
実施例1の多色表示媒体の作製手順において、表示層(1)の作製時に、450℃で1時間加熱処理の工程を100℃で1時間加熱処理に変えた。それ以外は実施例1と同様に表示素子を作製した。
[多色表示媒体の評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧1.5Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分は発色しなかった。電圧2.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。従ってEC1のみを発色させることはできなかった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−1.0Vの電圧を1秒印加したところ何も変化は起こらなかった。−4.0Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。従ってEC2の色のみを表示させることはできなかった。
実施例1の多色表示媒体の作製手順において、表示層(1)の作製時に、450℃で1時間加熱処理の工程を10000fkg/cm2プレス処理に変えた。また、表示層(2)の作製時に、100℃で1時間加熱処理の工程を100fkg/cm2プレス処理に変えた。それ以外は実施例1と同様に表示素子を作製した。
[多色表示媒体の評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧1.5Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが赤紫色に発色した。この色はEC1が発色したことに起因する。この電圧ではEC2は発色しなかった。−1.0Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。−4.0Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−1.0Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。
実施例1の多色表示媒体の作製手順において、表示層(1)の作製時に、450℃で1時間加熱処理の工程を、450℃で10000fkg/cm2加熱プレス処理に変えた。また、表示層(2)の作製時に、100℃で1時間加熱処理の工程を、100℃で200fkg/cm2プレス処理に変えた。それ以外は実施例1と同様に表示素子を作製した。
[多色表示媒体の評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧0.9Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが赤紫色に発色した。この色はEC1が発色したことに起因する。この電圧ではEC2は発色しなかった。−0.4Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。−4.0Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−0.4Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。
実施例1の多色表示媒体の作製手順において、表示層(1)の作製時に、450℃で1時間加熱処理の工程を、200℃で1時間加熱処理に変えた。それ以外は実施例1と同様に表示素子を作製した。
[多色表示媒体の評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧1.2Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが赤紫色に発色した。この色はEC1が発色したことに起因する。この電圧ではEC2は発色しなかった。−0.7Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して再び白色になった。この結果は実施例1とほぼ同じであった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。−4.0Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。この結果は実施例1と同じであった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−0.7Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。この結果は実施例1とほぼ同じであった。
実施例1の多色表示媒体の作製手順において、表示層(1)の作製時に、450℃で1時間加熱処理の工程を、180℃で1時間加熱処理に変えた。それ以外は実施例1と同様に表示素子を作製した。
[多色表示媒体の評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧1.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分はあまり発色せず、電圧1.8Vを1秒印加したところ、赤紫色に発色した。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−0.5Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色はあまり消色せず、−1.2Vの電圧を1秒印加したところ青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。
実施例1の多色表示媒体の作製手順において、表示層(2)の作製時に、100℃で1時間加熱処理の工程を、マイクロ波(株式会社東芝製 家庭用電子レンジ)200Wで5分間照射に変えた。それ以外は実施例1と同様に表示素子を作製した。
[多色表示媒体の評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧1.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが赤紫色に発色した。この色はEC1が発色したことに起因する。この電圧ではEC2は発色しなかった。−0.5Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧1.9Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。−3.8Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧1.9Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−0.5Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。
2 表示層
Claims (5)
- 表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子を含む分散液が塗布され、加熱処理が施され、さらに導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持されたことで形成された表示層を有する表示素子であって、導電性または半導体性微粒子の加熱処理条件が異なり、かつ、異なる色を発色する有機エレクトロクロミック化合物が担持された複数の表示層が積層されたことを特徴とする多色示素子。
- 表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子を含む分散液が塗布され、加圧処理が施され、さらに導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持されたことで形成された表示層を有する表示素子であって、導電性または半導体性微粒子の加圧処理条件が異なり、かつ、異なる色を発色する有機エレクトロクロミック化合物が担持された複数の表示層が積層されたことを特徴とする多色表示素子。
- 表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子を含む分散液が塗布され、加熱および加圧処理が施され、さらに導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持されたことで形成された表示層を有する表示素子であって、導電性または半導体性微粒子の加熱および加圧処理条件が異なり、かつ、異なる色を発色する有機エレクトロクロミック化合物が担持された複数の表示層が積層されたことを特徴とする多色表示素子。
- 表示電極に最も近接する表示層の加熱処理温度が200℃以上であり、かつ、最も近接する表示層に含まれる有機エレクトロクロミック化合物の発色および消色機能が失われる温度以下でその他の表示層が加熱処理されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の多色表示素子。
- 複数の表示層のうち少なくとも1層はマイクロ波を用いて加熱処理がおこなわれたものであることを特徴とする請求項1、3又は4の何れかに記載の多色表示素子。
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