JP2004020928A - エレクトロクロミック表示素子及びその製造方法、エレクトロクロミック表示装置 - Google Patents

エレクトロクロミック表示素子及びその製造方法、エレクトロクロミック表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性高分子タイプのエレクトロクロミック材料としてポリマー自体の着色を抑えて理想的な呈色を実現する。
【解決手段】第1の透明電極と、第1の透明電極に接して設けられ導電性高分子である主鎖と共役系分子ペンダントを金属又は金属イオンを介して結合したグラフト導電性高分子からなるグラフト導電性高分子層と、グラフト導電性高分子層に接触する電解質層と、第1の透明電極との間にグラフト導電性高分子層と電解質層を挟んでなる第2の電極を有するエレクトロクロミック表示素子である。グラフト導電性高分子組成物は、共役系導電性高分子材料と、該共役系導電性高分子材料の光吸収領域を変化させ金属(または金属イオン)を介した共役系分子ペンダントとを含有する。エレクトロクロミック材料として用いた場合、共役系導電性高分子材料の透明化を図ることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気化学的な酸化、還元によって変色する機構を有する有機錯体組成物を用いたエレクトロクロミック表示素子及びその製造方法に関し、さらにはこれを応用したエレクトロクロミック表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスなどにおけるコンピューターの普及により、文書の保存や伝達用に使用される紙の量は減少してきているが、デジタル情報を閲覧する際、紙に印刷して読む傾向は依然として根強い。一時的に使用するだけで破棄される紙の量は近年増加している。また、書箱・雑誌・新聞などに日々消費される紙の量は、資源・環境の面から脅威であり、これらは媒体が変わらない限り減少する見込みはないと懸念されている。
【0003】
しかしながら、人間の情報認識方法や思考方法を考慮するとCRT(Cathode Ray Tube:陰極線管またはブラウン管)や透過型液晶に代表されるような”ディスプレイ”に対する”紙”の優位性も無視することはできない。そこで、”紙の長所”と、”デジタル情報をそのまま扱えるディスプレイの長所”を融合した電子ペーパーの実現が期待されている。
【0004】
電子ペーパーの表示方式としては、反射型液晶方式や電気泳動方式、2色ボール表示方式、エレクトロクロミック方式などがある。反射型液晶方式は、液晶の旋光性や複屈性を利用した偏光板を使用する表示素子であるため暗く、また、金属反射板の性質上白表示がぎらぎらとした反射光となるなどの欠点を持ち、長時間画面を見つづけると目にかなりの負担を強いる。電気泳動方式は、白色顔料や黒色トナーなどが、電界の作用によって電極上に積層する。2色ボール表示方式は、半分が白色・半分が黒色などの色である球体からなり、電界の作用による回転を利用したものである。どちらの方式も流状体が入り込めるだけの隙間が必要であり、最密に充填できないことから高コントラストを得ることは難しい。
【0005】
エレクトロクロミック方式の中にも、酸化タングステンに代表される無機物を利用したもの、ビオロゲンに代表される有機物エレクトロクロミック材料の析出を利用したもの、導電性高分子の導電性を制御したものなどいくつかの種類がある。無機物の作製は真空系で行うのが主流であり、コスト面やサイズ面に問題がある。黒い色素は存在しないが、電子ペーパーとしては、反射率の高い白および品位の良い黒を表示できることが要求されている。
【0006】
導電性高分子を利用した方式は、伝導度が高いほど電子の吸収が強くなり、したがって黒色に見え、電気化学的な方法でそのエレクトロクロミック性を制御できることが知られている。導電性高分子の中には、異種原子または分子(ドーパント)がドーピングされて導電性を有するものがある。このドーピングタイプには、ドーバントの種類によって伝導度が著しく変化する。すなわち、エレクトロクロミックという観点からは、ドーピングによって劇的に色を変化させることができるというわけである。また、一般にエレクトロクロミック材料層は溶液中で電解重合法により比較的容易に作製することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、理想的な電子ペーパーとして使用するためには、当然のことながら、可視光の全域で反射率の高い白を表示できることが望ましい。一方、エレクトロクロミック素子には、エレクトロクロミック層にイオンを供給するため電解質層が必要であり、白色化するためには、この電解質層に酸化チタンや酸化アルミなどの白色顔料を含有させる方法があり、例えば、特願2000−398012号に添付された明細書及び図面に記載されるように、固体またはゲル状の電解質層に、酸化チタンや酸化アルミなどからなる白色顔料を添加して電解質層自体を白くして、電子ペーパーとして理想的な所望の白色を得る技術がある。
【0008】
したがって、エレクトロクロミック層は、透明と黒色の間を切り替えるように制御できればよいことになるが、無機物タイプと有機析出タイプのエレクトロクロミック材料を用いた場合では透明にはなるが高品位の黒色を得ることができない。一方、導電性高分子タイプのエレクトロクロミック材料は、他の有機物には出すことのできない黒発色が可能であるが、一般にπ電子共役系を使った導電性を利用していることから、その光吸収が強く、アンドープ時である本来の高分子自体の色が、濃い黄色や赤色、緑色、藍色などと着色していることが問題となり、理想的な透明性を得ることが困難になっている。
【0009】
そこで、本発明は、新規な有機錯体組成物を用いることにより、導電性高分子タイプのエレクトロクロミック材料における共役系高分子組成物自体の着色を抑え、理想的な呈色を実現し得るエレクトロクロミック表示素子及びその製造方法を提供することを目的とし、さらにはエレクトロクロミック表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本件発明者は、上述の技術的な課題を解決せんと鋭意研究を重ねた末、高品位の黒色を得ることのできる導電性高分子タイプのエレクトロクロミック材料を主成分としながら、可視光の範囲で吸収を低減させて無色化または任意に着色化することのできる有機錯体組成物を見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであり、前記有機錯体組成物を導電性高分子タイプのエレクトロクロミック材料における共役系高分子組成物として活用したものである。
【0011】
すなわち、本発明のエレクトロクロミック表示素子は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極に接して設けられ導電性高分子である主鎖と共役系分子ペンダントを金属又は金属イオンを介して結合したグラフト導電性高分子からなるグラフト導電性高分子層と、前記グラフト導電性高分子層に接触する電解質層と、前記第1の透明電極との間に前記グラフト導電性高分子層と前記電解質層を挟んでなる第2の電極を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のエレクトロクロミック表示装置は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極に接して設けられ導電性高分子である主鎖と共役系分子ペンダントを金属又は金属イオンを介して結合したグラフト導電性高分子からなるグラフト導電性高分子層と、前記グラフト導電性高分子層に接触する電解質層と、前記第1の透明電極との間に前記グラフト導電性高分子層と前記電解質層を挟んでなる第2の電極を有するエレクトロクロミック表示素子が複数個、それぞれ前記グラフト導電性高分子層の光吸収領域が互いに異なるように形成することを特徴とする。
【0013】
本発明において、グラフト導電性高分子は、上記有機錯体組成物に相当し、エレクトロクロミック材料として用いられる主成分であり、重合した分子鎖に導電性高分子である主鎖と、金属(または金属イオン)を介して結合した共役系分子ペンダントを有し、共役系導電性高分子材料として機能する。前記共役系導電性高分子材料は、電極間に介在され且つ電極間を通電させた場合に電気活性が生ずる共役系高分子材料であり、共役系導電性高分子材料の光吸収領域を変化させ、金属(イオン)を介した共役系分子ペンダントは、共役系導電性高分子材料に固有なπ電子の結合状態を変化させ、あるいはπ−π*遷移エネルギを変化させるように作用する。その結果、共役系導電性高分子材料による光吸収領域が短波長側もしくは長波長側に移動し、可視光領域での光吸収が目立たなくなる程度に抑制され、当該共役系導電性高分子材料の透明化が達成される。
【0014】
上記本発明のエレクトロクロミック表示素子及びエレクトロクロミック表示装置によれば、第1の透明電極と第2の電極は対向して配置され、第1の透明電極と第2の電極の間に、前述の如きグラフト導電性高分子と電解質層が介在される構造とされ、電解質層はイオン伝導を行う電気活性層であってキャリアとしてのイオンが電解質層の層内を通過するように作用する。前述のように、グラフト導電性高分子層においては、光吸収領域が短波長側もしくは長波長側に移動し、可視光領域での光吸収が目立たなくなる程度に抑制されたり、所望の位置に吸収させることができることから、グラフト導電性高分子層の透明化または多色化が達成される。
【0015】
上記グラフト導電性高分子の合成方法は、例えば、共役系導電性高分子材料のモノマーを主たる材料とする組成物と前記共役系導電性高分子材料の光吸収領域を変化させ金属(イオン)を介した共役系分子ペンダントとを電解液中に共存させ、前記電解液の一対の電極間に通電させることで前記電極の一方に前記共役系導電性高分子材料のポリマーを電解重合させる。
【0016】
導電性高分子組成物の主材料である共役系導電性高分子材料のポリマーを電解重合させる際に、前記金属(イオン)を介した共役系分子ペンダントを共存させることで、その金属(イオン)を介した共役系分子ペンダントによって共役系の電子の結合状態を変化させることができる。その結果、共役系導電性高分子材料による光吸収領域が短波長側若しくは長波長側に移動し、当該共役系導電性高分子材料の透明化が達成される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したエレクトロクロミック表示素子及びその方法、さらにはエレクトロクロミック表示装置について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
先ず、本発明において用いられるグラフト導電性高分子は、共役系導電性高分子材料と、該共役系導電性高分子材料の光吸収領域を変化させ金属(イオン)を介した共役系分子ペンダントとを含有することを特徴としている。本発明において、共役系導電性高分子材料は導電性高分子タイプのエレクトロクロミック材料として用いられる主成分であり、重合した分子鎖に当該共役系導電性高分子材料の光吸収領域を変化させ導電性に寄与しないイオンが作用する構成を有する。
【0019】
前記共役系導電性高分子材料は電極間に介在され且つ電極間を通電させた場合に電気活性が生ずる共役系高分子材料であれば良く、このような共役系高分子材料の一例としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアズレン、ポリインドール、またはポリカルバゾールから選ばれた1または複数の材料を主たる材料とする。また、π共役系導電性高分子として挙げられる化合物例としては、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリイソチアナフテン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェニレンオキシド)、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリペリナフタレン、ニッケルフタロシアニンなどでもよい。
【0020】
次の化1乃至化3に、グラフト導電性高分子に用いられる代表的な共役系導電性高分子材料である、ポリピロール(化1)、ポリチオフェン(化2)、ポリアニリン(化3)のそれぞれ分子構造を示す。
【0021】
【化1】
Figure 2004020928
ポリピロール
【0022】
【化2】
Figure 2004020928
ポリチオフェン
【0023】
【化3】
Figure 2004020928
ポリアニリン
【0024】
このような共役系導電性高分子材料の光吸収領域を変化させ金属(または金属イオン)を介した共役系分子ペンダントは、共役系導電性高分子材料に固有なπ電子の結合状態を変化させ、あるいはπ−π*遷移エネルギーを変化させるように作用する。その結果、共役系導電性高分子材料による光吸収領域が短波長側若しくは長波長側に移動し、可視光領域での光吸収が目立たなくなる程度に抑制され、当該共役系導電性高分子材料の透明化が達成される。
【0025】
図1は共役系導電性高分子材料の透明化の機構を説明するためのスペクトル図であり、共役系導電性高分子材料としてポリピロールを用いて測定したものである。図1の(A)、(B)の各縦軸は反射率であり、各横軸は波長である。図1の(A)が通常のポリピロールの各波長における反射率を示しており、図1の(B)が金属イオンを含有したポリピロールの各波長における反射率を示している。図1の(A)に示すように、通常のポリピロールは波長が500nm以下の領域で光吸収があり、これは電子のπ−π*遷移に伴う吸収と考えらており、実際に通常のポリピロールを見てみると黄色系の色合いを呈している。これに対して、(B)の金属(または金属イオン)を介した共役系分子ペンダントを含有したポリピロールの場合は、波長が500nm以下の領域で光吸収が低減されており、ほぼ全可視光の範囲で変化の小さな反射率の曲線を示している。このように全可視光の範囲で変化の小さな反射率の曲線を有することは、光吸収が有る特段の波長が存在しないことを意味する。実際に金属イオンを含有したポリピロールを見てみると、当該ポリピロールは無色な状態とされる。この無色透明な材料色はπ−π*遷移エネルギーが高く変化した状態またはπ電子の結合状態が変化したことで現れると考えられ、特に共役系導電性高分子材料の高品位の黒色を使用し、且つ下地層の色をそのまま透過させることができる。
【0026】
共役系導電性高分子材料の光吸収領域を変化させ金属(または金属イオン)を介した共役系分子ペンダントのための金属(または金属イオン)の例としては、銀、ナトリウム、カリウム、亜鉛、イットリウム、カドミウム、カルシウム、クロム、コバルト、サマリウム、 ストロンチウム、錫、セシウム、鉄、銅、ニッケル、マンガン、マグネシウム、バリウム及びルビジウムの各金属(または金属イオン)から選ばれる1つ又は複数を挙げることができる。これら金属(または金属イオン)は、後述するように電解重合中に電解溶液の液中に供給することで透明化に寄与し、一例としてはAgClO、AgPF,KBF、NaBFなどの形で金属カチオンを電解溶液中に混ぜる。共役系ペンダントとしては、たとえばピロール誘導体のオリゴマ(ピロール誘導体が20以下重合したもの)などでよく、ピロールに限らず共役系分子の混合でも構わない。
【0027】
ここで、金属(または金属イオン)によって効果的に共役系導電性高分子材料の無色化が実現されることを、本件発明者が行った実験に基づき説明を加える。この実験は、カチオン種をテトラエチルアンモニウムカチオン、トリエチルモノメチルアンモニウムカチオン、ジエチルジメチルアンモニウムカチオン、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラエチルフォスフォニウムカチオン、エチルメチルフォルフォリニウムカチオン、ジメチルモルフォリイウムカチオン、カリウムイオン、銀イオン、ナトリウムイオン、リチウムイオンなどに変えてポリピロールアンドープ時の色との関係を調べてみたものである。たとえば、共役系導電性高分子材料のアンドープ時の色については、過塩素酸テトラエチルアンモニウム使用時には濃い黄色を示すが、過塩素酸リチウム使用時には褐色を示すというような傾向がある。ここで紹介するのは、数多く行った実験の一部として、特にテトラエチルアンモニウムカチオン(EtNPF)、銀イオン(AgClO、AgPF)、カリウムイオン(KBF)、ナトリウムイオン(NaBF)のそれぞれカチオンをポリピロール系モノマーの重合時に存在させて、その重合されたポリマーについて国際照明委員会のL表色系の座標値を測定するための測定装置である色彩色差計によって測定したものである。
【0028】
図2はその測定結果を図示したものであり、a座標値とb座標値の2本の棒グラフによって示されている。この座標値においてa座標値が大きければ赤色がかった色合いを呈し、a座標値がマイナス方向に大きければ緑色がかった色合いを呈し、b座標値が大きければ黄色がかった色合いを呈し、b座標値がマイナス方向に大きければ青色がかった色合いを呈する。この図2からも明かなように、テトラエチルアンモニウムカチオン(EtNPF)を存在させた場合(a)では、b座標値が大きく黄色がかった色合いを呈しているに過ぎないが、銀イオン(AgClO、AgPF)を存在させた場合(b、c)では、銀イオン(AgClO)の場合にb座標値がゼロに近く、また銀イオン(AgPF)の場合にa座標値がゼロに近く、無色化が好適になされていることが示されている。同様に、カリウムイオン(KBF)、ナトリウムイオン(NaBF)のそれぞれの場合(d、e)についてもアンモニウム系のイオンに比べa座標値とb座標値が著しく小さく制御されており、有効な透明化がなされていることが示されている。本件発明者らは、このような実験を数多くイオンの種類を変えてを行った結果、ポリピロールなどの共役系導電性高分子材料のアンドープ時の色が、アニオンではなく、カチオンによって効果的に変化することに確信を得ている。
【0029】
次に、上記グラフト導電性高分子組成物の合成方法について説明する。前述の如き共役系導電性高分子材料はそのモノマーを電解重合させることで、電解液に漬けられた部分の電極上に高分子薄膜を得ることができる。例えば、共役系導電性高分子材料としてポリピロールを用いる場合では、電解液として誘電率の高い溶液、例えばアセトニトリルや炭酸プロピレンなどに、過塩素酸系電解質例えば過塩素酸テトラアンモニウムや過塩素酸テトラエチルフォスフォニウムなど用いる。作用電極には透明電極付のガラス基板やプラスティック基板を用いる対極には、ステンレス板でもよいしプラチナ板でもよい。この電解液にピロールモノマーを0.1〜1モル/リットル程度混合する。このようなピロールモノマー入りの電解質液に、+2mA程度定電流で30mC/cm程度印加すると、電極上でピロールが重合し、同時に電解酸化されてアニオンドープされた黒色ポリピロール導電性薄膜が形成される。この導電膜は、1〜3×10S/cm程度の電気伝導度を示す。ついで−1mA定電流を6mC/cm程度印加するとアニオンがアンドープされ、高い導電性を示さずイオンの存在から本来は黄色であるものが透明色とされる。
【0030】
このような重合反応によって共役系導電性高分子材料の薄膜が形成されるが、本例のグラフト導電性高分子組成物の合成方法では、重合前の溶液に特徴がある。例えば、酸素を溶存させた炭酸プロピレン溶液に水1重量%を加えたものを溶媒とする。この溶媒に、例えばピロールモノマ0.1mol/l、例えば銀塩0.04mol/lを添加しよく攪拌後、72時間静置する。72時間後に、紫外・可視吸収スペクトルを測定すると、3.90と2.66eVに吸収極大が観測され、ヒドロキシピロールトリマ(中性)とピロールトリマカチオンが生成していることがわかる。また同溶液の赤外吸収スペクトルを観測すると、ヒドロキシピロールトリマと銀イオンが酸塩基錯体となっていることが、特徴的なN−H振動吸収バンドにより確認される。また、ピロールトリマカチオンと銀イオンがπ錯体となっていることもN−H伸縮振動バンドその他から帰属される。この溶液を定電流法にて重合するが、通常のピロールモノマの重合電位と比較して1.6Vも低い一定電位を示す。また重合膜の赤外吸収スペクトルを観測することにより、N−H振動吸収バンドとN−H伸縮振動バンドがともに観測されることから、この重合膜は、酸塩基錯体側が重合されて高分子鎖となり、π錯体側がペンダントのように配されたユニークな構造をしていることが証明される。この際使用する金属(または金属イオン)としては、ピロールを化学酸化してオリゴマとすることができるものでもあればよく、様々な遷移金属を選択できる。
【0031】
ペンダントとなる共役系分子側も、重合されて高分子鎖となる側も、電極間に介在され且つ電極間を通電させた場合に電気活性が生ずる共役系高分子材料であれば良く、このような共役系高分子材料の一例としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアズレン、ポリインドール、またはポリカルバゾールから選ばれた1または複数の材料を主たる材料とする。また、π共役系導電性高分子として挙げられる化合物例としては、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリイソチアナフテン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェニレンオキシド)、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリペリナフタレン、ニッケルフタロシアニンなどでもよい。この導電性高分子である主鎖と、共役系分子ペンダントを金属(イオン)を介して結合したグラフト導電性高分子は、エレクトロクロミック素子として有用な、無色−黒色間をスイッチングする。
【0032】
このような無色化がなされたグラフト導電性高分子組成物は、エレクトロクロミック表示素子の表示材料として使用することができ、本発明のエレクトロクロミック表示素子は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極に接して設けられ共役系導電性高分子材料と該共役系導電性高分子材料の光吸収領域を変化させ金属(金属イオン)を介した共役系分子ペンダントとを含有するグラフト導電性高分子組成物層と、前記グラフト導電性高分子組成物層に接触する電解質層と、前記第1の透明電極との間に前記グラフト導電性高分子組成物層と前記電解質層を挟んでなる第2の電極とを有することを特徴とする。第1の透明電極と第2の電極は対向して配置され、これら電極間に前述の如きグラフト導電性高分子組成物層と電解質層が介在される。この電解質層はイオン伝導を行う電気活性層であり、キャリアとしてのイオンが電解質層の層内を通過する。
【0033】
図3はエレクトロクロミック表示素子の一構成を示す図である。表示素子として見る側に透明電極1が配され、この透明電極1に対向して対向電極4が設けられる。透明電極1は、例えばInとSnOの混合物、いわゆるITO膜やSnOまたはInをコーティングした膜を用いることが好ましい。これらITO膜やSnOまたはInをコーティングした膜にSnやSbをドーピングしたものでも良く、MgOやZnOなどを用いることも可能である。対向電極4は電気化学的に安定な金属などにより構成され、例えば白金、クロム、アルミニウム、コバルト、パラジウムなどによって構成される。これら透明電極1や対向電極4は、後述するように支持体や支持基板上に形成することができる。
【0034】
これら透明電極1と対向電極4の間には前述の如きグラフト導電性高分子組成物層2と高分子固体電解質層3が介在される。グラフト導電性高分子組成物層2は導電性高分子である主鎖と、共役系分子ペンダントを金属(または金属イオン)を介して結合したグラフト導電性高分子とからなり、還元時に黒色を呈し(図3の(B)参照。)、酸化時に無色とされる(図3の(A)参照。)。高分子固体電解質層3はマトリクス用高分子に電解質を溶解せしめて形成される材料層であり、電極1、4の間に電流を流すことでグラフト導電性高分子組成物層2に対する酸化状態と還元状態とを形成することができる。この高分子固体電解質層3にはコントラストを向上させるために着色剤が含有される。グラフト導電性高分子組成物層2の発色が黒色の場合には、背景色としては白色の隠蔽性の高い材料が導入される。このような材料として、例えば、着色用の白色粒子が用いられ、着色用の白色粒子としては二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムを使用することができる。
【0035】
このような構造のエレクトロクロミック表示素子は、特にグラフト導電性高分子組成物層2が光吸収領域を変化させ導電性に寄与しないイオンを含有しているために、アンドープ時に透明色となり、高分子固体電解質層3の表面の色をそのまま透明電極1と透明化したグラフト導電性高分子組成物層2を介して表示させることができる。従って、高分子固体電解質層3に白色の着色剤などを含有させることで、コントラストの高い表示素子を製造することができる。
【0036】
図4及び図5は、本発明によるエレクトロクロミック表示素子を複数個マトリクス状に配列したエレクトロクロミック表示装置を示す。このエレクトロクロミック表示装置は、駆動素子であるTFT(Thin Film Transistor)13によって制御される第一の透明電極である透明画素電極12と、電気活性を有し且つ電気化学的な酸化もしくは還元により変色するグラフト導電性高分子組成物層14と、このグラフト導電性高分子組成物層14と接触し着色剤を含有した高分子固体電解質層15と、第一の透明電極に対向する第二の電極としての各画素に共通な共通電極16とを有するエレクトロクロミック表示素子を複数個、面状に配列してなることを特徴とする。
【0037】
透明画素電極12とTFT13は、各1つの組み合わせて1画素を構成するように形成されており、透明支持体11上に各画素がマトリクス状に配列されている。透明支持体11としては、石英ガラス板、白板ガラス板などの透明ガラス基板を用いることが可能であるが、これに限定されず、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロースなどのセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンーコヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素ポリマー、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマーなどのポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミドなどのポリイミドを例として挙げることができる。これら合成樹脂を支持体として用いる場合には、容易に曲がらないような剛性基板状にすることも可能であるが、可とう性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
【0038】
透明画素電極12は、略矩形若しくは正方形パターンに形成された透明導電性膜からなり、図4に示すように、各画素間が分離されており、その一部には各画素ごとのTFT13が配設されている。InとSnOの混合物、いわゆるITO膜やSnOまたはInをコーティングした膜を用いることが好ましい。これらITO膜やSnOまたはInをコーティングした膜にSnやSbをドーピングしたものでも良く、MgOやZnOなどを用いることも可能である。
【0039】
各画素ごとに形成されたTFT13は図示しない配線によって選択され、対応する透明画素電極12を制御する。TFT13は画素間のクロストークを防止するのに極めて有効である。TFT13は例えば透明画素電極12の一角を占めるように形成されるが、透明画素電極12がTFT13と積層方向で重なる構造であっても良い。TFT13には、具体的には、ゲート線とデータ線が接続され、各ゲート線に各TFT13のゲート電極が接続され、データ線には各TFT13のソース・ドレインの一方が接続され、そのソース・ドレインの他方は透明画素電極12に電気的に接続される。なお、TFT13以外の駆動素子は平面型ディスプレイに用いられているマトリクス駆動回路で、透明基板上に形成できるものであれば他の材料でもよい。
【0040】
このような透明画素電極12とTFT13は高分子材料層であるグラフト導電性高分子組成物層14に接している。グラフト導電性高分子組成物層14は電気活性を有する高分子材料であってエレクトロクロミック材料によって構成される。グラフト導電性高分子組成物層14は電気化学的な酸化もしくは還元により変色する性質を有し、容量の対向電極の一方となる透明画素電極12に電位差が与えられた時に黒色に変色する。好適なグラフト導電性高分子組成物層14としては、特に電解合成によって得られるいわゆる導電性高分子が好ましい。これは導電性があるため、電子の授受反応が速やかであり、着色及び消色の反応が速やかに行われるからである。好ましい共役系導電性高分子の例としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアズレン、ポリチオフェン、ポリインドール、ポリカルバゾール等である。またこれらの高分子材料のほか、ピロール、チオフェン、アズレン、アニリンの誘導体を電解酸化重合して得られる高分子材料を用いてもよい。また、前記高分子やその誘導体の組み合わせにかかる材料を使用することもできる。
【0041】
このような共役系導電性高分子材料の中、特に好ましいものの1つはポリピロールである。これは、1)酸化電位が低い、2) クーロン効率が高い、3) 酸化時の発色が黒い、4) 繰り返し寿命が長い、といった理由が挙げられる。酸化電位が低いものが好まれる理由は酸化電位が低い方が発色状態において安定だからである。またクーロン効率が高いものが望ましいとされる理由は、副反応がそれだけ抑えられていることを示しており、高いクーロン効率が100%に近いということは副反応が殆どおこってないということであり、素子としての寿命が長くなることを意味する。酸化時の発色が黒いという点は、ドキュメントのディスプレイとしては重要な性質である。他のポリマーが緑色もしくは赤みがかった黒色であるのに対し、ポリピロールは完全な酸化時においては黒色である。このためポリピロールを採用することで、黒色濃度を高くすることができ、コントラストを良くできることになる。更に繰り返し寿命が長いのもポリピロールの有益な特徴の1つである。
【0042】
この発色を行うグラフト導電性高分子組成物層14に接するように高分子固体電解質層15が形成されている。高分子固体電解質層15を構成する高分子固体電解質とエレクトロクロミック材料である高分子材料を複合して形成すると、発色及び消色に伴った高分子材料の体積変化による電極からの脱落や微粉化が生じにくくなり、耐久性が増すので好ましい。
【0043】
高分子固体電解質層15を構成する高分子固体電解質に用いるマトリクス(母材)用高分子としては、骨格ユニットがそれぞれ−(C−C−O)n−、−(C−C−N)n−、−(C−C−S)n−であらわされるポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。これらを主鎖構造として、枝分があってもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンクロライド、ポリカーボネートなども好ましい。
【0044】
高分子固体電解質層15を形成する際には、前記マトリクス用高分子に所要の可塑剤を加えるのが好ましい。好ましい可塑剤としては、マトリクスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコールおよびこれらの混合物等が好ましく、疎水性の場合にはプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドンおよびこれらの混合物が好ましい。
【0045】
高分子固体電解質は前記マトリクス用高分子に電解質を溶解せしめて形成されるが、その電解質としては、リチウム塩、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF、LiClO、LiPF、LiCFSOなどや、カリウム塩、例えばKCl、KI、KBrなどや、ナトリウム塩、例えばNaCl、NaI、NaBr、或いはテトラアルキルアンモニウム塩、例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライドなどを挙げることができる。上述の4級アンモニウム塩のアルキル鎖長は不揃いでも良い。
【0046】
高分子固体電解質とエレクトロクロミック材料である高分子材料を複合して形成すると、発色及び消色に伴う高分子材料の体積変化による電極からの脱落や微粉化が生じにくくなり、耐久性が増すので好ましい。この高分子固体電解質は、第一の電極上にあらかじめ高分子固体電解質層を適当な方法で形成した後、これをピロールモノマーを含む電析槽に入れて電解酸化重合することにより得られる。
【0047】
高分子固体電解質層15にはコントラストを向上させるために着色剤が含有される。前述のようにグラフト導電性高分子組成物層14の発色が黒色の場合には、背景色としては白色の隠蔽性の高い材料が導入される。このような材料として、例えば、着色用の白色粒子が用いられ、着色用の白色粒子としては二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムを使用することができる。
【0048】
この着色剤を混ぜる割合としては、無機粒子による場合、約1〜20wt%が好ましく、より好ましくは約1〜10wt%であり、さらに好ましくは約5〜10wt%である。これは酸化チタンなどの無機の白色粒子は、高分子への溶解性はなく分散するだけであって、混合する割合が増えると、無機粒子が凝集する結果、光学濃度が不均一になってしまう。また、無機粒子にはイオン導電性がないため、混合割合の増加は高分子固体電解質の導電性の低下を招く。両者を考慮すると、混合割合の上限はおよそ20wt%である。
【0049】
無機粒子を着色剤として混ぜる場合、高分子固体電解質層15の膜厚は、20μm〜200μmであることが好ましく、高分子固体電解質層15の膜厚は、より好ましくは50μm〜150μmであり、さらに好ましくは70μm〜150μmである。薄い方が電極間の抵抗が小さくなるので発色・消色時間の低減や消費電力の低下につながり好ましい。しかし、20μm以下になると、機械的強度が低下して、ピンホールや亀裂が生じて好ましくない。また、あまり薄い場合には白色粒子の混合量が少なくなるため、白色性(光学濃度)が十分でなくなることになる。
【0050】
着色剤を混ぜる割合としては、色素による場合では、10wt%でも良い。これは色素の発色効率は無機粒子に比べてはるかに高いためである。従って、電気化学的に安定した色素であれば、少ない量でもコントラストを出すことができる。通常は、色素として油溶性染料が好ましい。
【0051】
第一の透明電極と対向する側には、第二の電極として共通電極16が形成される。この共通電極16は、電気化学的に安定な金属であれば何でもよいが、好ましいのは白金、クロム、アルミニウム、コバルト、パラジウムなどであり、支持体17上に金属膜などの良導体からなる膜を成膜することで作成できる。更に主反応に用いる金属を予め或いは随時十分に補うことができれば、カーボンを共通電極として使用可能である。そのためのカーボンを電極上に担持させる方法として、樹脂を用いてインク化し、基板面に印刷する方法がある。カーボンを使用することで、電極の低価格化を図ることができる。
【0052】
支持体17としては、透明である必要はなく、共通電極16や高分子固体電解質層15を確実に保持できる基板やフィルムなどを用いることができる。例示すると、石英ガラス板、白板ガラス板などのガラス基板、セラミック基板、紙基板、木材基板を用いることが可能であるが、これに限定されず、合成樹脂基板として、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロースなどのセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンーコヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素ポリマー、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマーなどのポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミドなどのポリイミドを例として挙げることができる。これら合成樹脂を支持体として用いる場合には、容易に曲がらないような剛性基板状にすることも可能であるが、可とう性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。共通電極16に十分な剛性がある場合には、支持体17を設けなくとも良い。
【0053】
図5に示すように、第一の透明電極側と第二の電極を対向させるために、両支持体11、17を保持する封着樹脂部18が周囲に形成される。この封着樹脂部18によって両支持体11、17とこれらの間に配設された透明画素電極12とTFT13、グラフト導電性高分子組成物層14、高分子固体電解質層15、共通電極16が確実に保持されることになる。
【0054】
上述の構造によれば、当該エレクトロクロミック表示装置においては、TFT13を用いてマトリクス駆動が可能であり、導電性高分子組成物層14の材料を選択することでコントラスト及び黒色濃度を高くすることができる。
【0055】
次に、図6を参照しながら、多色構造とされた一面型のエレクトロクロミック表示装置について説明する。前述のように、表示部として機能する部分の導電性高分子組成物は、共役系導電性高分子材料と、該共役系導電性高分子材料の光吸収領域を変化させ導電性に寄与しないイオンとを含有することから、その光吸収領域の変化を制御することで、例えば白色光に対して赤、緑、青の反射光をセル単位で返すような表示装置を構成することができる。
【0056】
図6の一面型のエレクトロクロミック表示装置では、透明基板21の裏面に透明電極22が形成され、それと対向するように反射板25が配設されている。透明基板21は石英ガラス板、白板ガラス板などの透明ガラス基板を用いることが可能であるが、これに限定されず、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロースなどのセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンーコヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素ポリマー、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマーなどのポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミドなどのポリイミドを例として挙げることができる。透明基板21は容易に曲がらないような剛性基板状にすることも可能であり、可とう性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
【0057】
透明電極22はInとSnOの混合物、いわゆるITO膜やSnOまたはInをコーティングした膜を用いることが好ましい。これらITO膜やSnOまたはInをコーティングした膜にSnやSbをドーピングしたものでも良く、MgOやZnOなどを用いることも可能である。反射板25は入射した光を反射できる金属板や、ガラス板若しくは合成樹脂板の表面に金属膜などを蒸着した膜、或いは白その他の色に着色した板など種々のものを用いることができる。
【0058】
このように対向して配置された透明電極22と反射板25の間には、各セル毎に電極24が設けられており、その電極24と透明電極22の間にグラフト導電性高分子組成物層23R、23G、23Bが形成されている。各セル毎の電極24と透明電極22の間に通電することで、グラフト導電性高分子組成物層23Rは赤色の反射波長を呈するドープ状態と透明となるアンドープ状態に切り替えて制御することが可能であり、グラフト導電性高分子組成物層23Gは緑色の反射波長を呈するドープ状態と透明となるアンドープ状態に切り替えて制御することが可能であり、グラフト導電性高分子組成物層23Bは青色の反射波長を呈するドープ状態と透明となるアンドープ状態に切り替えて制御することが可能である。なお、図示の例のようにアンドープ状態で透明とするのではなく、逆にアンドープ状態で赤、緑、青色の反射光若しくは透過光を呈するように構成することも可能である。また、導電性高分子組成物層の一部に高分子電解質膜27を含む構造とすることもでき、高分子電解質膜を分けて電極間に介在させる構造としても良い。
【0059】
当該一面型のエレクトロクロミック表示装置では、グラフト導電性高分子組成物層23R、23G、23Bを画像信号に応じて制御することで、所要の画像をカラーで表示することができ、特にコントラストが良好な表示装置として機能する。
【0060】
図7に示すエレクトロクロミック表示装置は三層積層型の構造を有する。図7のエレクトロクロミック表示装置においては、透明基板31と反射板43との間に表示部として機能する層が3層含まれており、表面側からシアン層33、マゼンタ層37、及びイエロー層41が形成されている。これらシアン層33、マゼンタ層37、及びイエロー層41は、それぞれ共通の透明電極32、36、40と各セル毎の電極34、38、42に挟まれており、アニオンのアンドープ状態とドープ状態を切り替えることで、表示色を切り替える構造となっている。これらシアン層33、マゼンタ層37、及びイエロー層41は透明支持体35、39によって保持されると共に層毎に分離されている。
【0061】
すなわち、シアン層33、マゼンタ層37、及びイエロー層41の各層は複数のセルがマトリクス状に配列された構造を有し、基板主面に垂直な方向で各セルはそのマトリクス内の位置が一致するように形成されている。各セル毎の電極34、38、42に流す電流を制御することで、所要のカラーに表示される。シアン層33はシアン色の反射波長を呈するドープ状態と透明となるアンドープ状態に切り替えて制御することが可能であり、マゼンタ層37はマゼンタ色の反射波長を呈するドープ状態と透明となるアンドープ状態に切り替えて制御することが可能であり、イエロー層41は黄色の反射波長を呈するドープ状態と透明となるアンドープ状態に切り替えて制御することが可能である。なお、図示の例のようにアンドープ状態で透明とするのではなく、逆にアンドープ状態でシアン色、の反射光若しくは透過光を呈するように構成することも可能である。また、グラフト導電性高分子組成物層であるシアン層33、マゼンタ層37、イエロー層41の一部に高分子電解質膜44を含む構造とすることもでき、高分子電解質膜を分けて電極間に介在させる構造としても良い。
【0062】
このエレクトロクロミック表示装置では、3原色の減色法による呈色がなされ、マゼンタ色と黄色の混合では、緑と青が吸収されて赤く見え、シアン色と黄色の混合は赤と青が吸収されて緑に見え、シアン色とマゼンタ色の混合は赤と緑が吸収されて青く見えることになる。また、シアン色とマゼンタ色と黄色の3つが混合された時は、可視光の全域での光吸収があるために黒色となり、シアン層33とマゼンタ層37と黄層41の3つがそれぞれアンドープ状態で透明であるときは白色の呈色をなすことになる。
【0063】
図7のエレクトロクロミック表示装置では、導電性高分子組成物層を含むシアン層33、マゼンタ層37、及びイエロー層41を画像信号に応じて制御することで、所要の画像をカラーで表示することができ、特にコントラストが良好な表示装置として機能する。
【0064】
以下、具体的な実施例により、本発明のエレクトロクロミック表示素子やその製造方法を詳しく説明する。これら実施例をもって本発明の効果を説明するが、本発明はそれによって限定されるものではない。
【0065】
[実施例1]
(表示極の製作)
厚さ11mmで10cm×10cmのガラス基板上に一様なITO膜をつけた。この端にリード部を形成し、次いで図8に示すように、ガラス基板42を電解重合用ガラス槽41内に設置した。ガラス槽41内の電解液は、プロピレンカーボネート中に、テトラフルオロボレート銀を0.04モル/リットル、ピロールを0.1モル/リットル溶解せしめて得た。
【0066】
対向電極としてプラチナ基板43を、また銀ワイヤからなる参照電極44としてを図8のように配した。駆動回路より全体に、2mAの電流を通電電気量が3C(30mC/cm)となるまで定電流で通電した。ITO上には酸化重合された導電性高分子である主鎖と、共役系分子ペンダントを金属(イオン)を介して結合したグラフト導電性高分子膜(無色)が成膜した。
【0067】
次いで、該基板を、プロピレンカーボネート中に、テトラルルオロボレート銀を1M溶解せしめて得た電解液を含むガラス槽内に設置し、−1mAの電流を通電電気量が0.8C(8mC/cmとなるまで定電流で通電し、還元した。導電性高分子である主鎖と、共役系分子ペンダントを金属(イオン)を介して結合したグラフト導電性高分子膜は透明に変化した。
【0068】
(高分子固体電解質の調製と塗布)
ポリエチレンオキサイド8重量部とテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート1モル/リットルをプロピレンカーボネートに溶解させ、次いでこれに白色顔料として平均粒径01μmの二酸化チタン25重量部を添加し、超音波ホモジナイザーで、これを均一に分散せしめた。上記導電性高分子である主鎖と、共役系分子ペンダントを金属(イオン)を介して結合したグラフト導電性高分子が重合された基板に上記の高分子溶液を1000rpm4秒3000rpm30秒でスピンコートし、これを減圧乾燥し、ゲル化したのち第二の電極基板と直ちに張り合わせ、高分子電解質を二つの電極間に形成した。次いで張り合わせの端面を紫外線硬化樹脂によって封止した。その結果、白−黒スイッチするエレクトロクロミック素子が作製された。このエレクトロクロミック素子を作動させたところ、応答速度120ミリ秒で白色と黒色に切り替えることが可能であった。
【0069】
[比較例1]
ポリピロール重合時に使用する電解質をテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートに変えるほかは、実施例1と同様にエレクトロクロミック素子を作製した。この素子は、黄色−黒スイッチを行った。黄色の呈色状態は回避できず、白黒コントラストを得ることはできなかった。
【0070】
[実施例2]
(表示極の製作)
厚さ1.1mmで10cm×10cmのガラス基板上に一様なITO膜を作成した。この端にリード部を形成し、実施例1と同様に電解重合を行った。ガラス槽内の電解液は、アセトニトリル中に、テトラフルオロボレートカリウムを1モル/リットル、チオフェンを1モル/リットル溶解せしめて得た。対向電極としてプラチナ基板を、また参照電極として銀ワイヤを図8のように配した。駆動回路より全体に、2mAの電流を通電電気呈が3C(30mC/cm)となるまで定電流で通電した。
【0071】
次いで、該基板を、アセトニトリル中に、テトラルルオロボレートカリウムを1M溶解せしめて得た電解液を含むガラス槽内に設置し、−1mAの電流を通電電気量が08C(8mC/cm)となるまで定電流で通電し、電解重合時にポリチオフェン膜を還元した。ポリチオフェンは橙色に変化した。
【0072】
[比較例2]
ポリチオフェン重合時に使用する電解質をテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートに変えるほかは、実施例2と同様にポリチオフェンフィルムを作製した。このフィルムは赤色を呈した。
【0073】
[実施例3]
(表示極の製作)
厚さ1.1mmで10cm×10cmのガラス基板上に一様なITO膜をつけた。この端にリード部を形成し、実施例1と同様に電解重合を行った。ガラス槽内の電解液は、炭酸プロピレン中に、テトラフルオロボレートカリウムを0.1モル/リットル、ピロールを0.1モル/リットル溶解せしめて得た。また、対向電極としてプラチナ基板を、また参照電極として銀ワイヤを配した。駆動回路より全体に、2mAの電流を通電電気量が3C(30mC/cm)となるまで定電流で通電した。
【0074】
次いで、該基板を、炭酸プロピレン中に、テトラフルオボレートカリウムを1M溶解せしめて得た電解液を含むガラス槽内に設置し、−1mAの電流を通電電気量が0.8C(8mC/cm)となるまで定電流で通電し、還元した。得られたポリピロールフィルムの反射率波長分散は図9のようになり、吸収領域を変化させることができた。
【0075】
[実施例4]
(表示極の製作)
厚さ1.1mmで10cm×10cmのガラス基板上に一様なITO膜をつけた。この端にリード部を形成し、実施例1と同様に電解重合を行った。ガラス槽内の電解液は、炭酸プロピレン中に、テトラフルオロボレートナリウムを0.1モル/リットル、ピロールを0.1モル/リットル溶解せしめて得た。対向電極としてプラチナ基板を、また参照電極として銀ワイヤを配した。駆動回路より全体に、2mAの電流を通電電気量が3C(30mC/cm)となるまで定電流で通電した。
【0076】
次いで、該基板を、炭酸プロピレン中に、テトラフルオロボレートカリウムを1モル/リットル溶解せしめて得た電解液を含むガラス槽内に設置し、−1mAの電流を通電電気量が0.8C(8mC/cm)となるまで定電流で通電し、還元した。得られたポリピロールフィルムの反射率波長分散は図10のようになり、吸収領域を変化させることができた。
【0077】
[実施例5]
(表示極の製作)
厚さ1.1mmで10cm×10cmのガラス基板上に一様なITO膜をつけた。この端にリード部を形成し、実施例1と同様に電解重合を行った。ガラス槽内の電解液は、炭酸プロピレン中に、ヘキサフルオロリン酸銀を0.04モル/リットル、ピロールを0.1モル/リットル溶解せしめて得た。対向電極としてプラチナ基板を、また参照電極として銀ワイヤを配した。駆動回路より全体に、2mAの電流を通電電気量が3C(30mC/cm)となるまで定電流で通電した。
【0078】
次いで、該基板を、炭酸プロピレン中に、ヘキサフルオロリン酸銀を1M溶解せしめて得た電解液を含むガラス槽内に設置し、−1mAの電流を通電電気量が0.8C(8mC/cm)となるまで定電流で通電し、還元した。得られたポリピロールフィルムの反射率波長分散は図11のようになり、吸収領域を変化させることができた。
【0079】
【発明の効果】
上述のように、本発明のエレクトロクロミック表示素子において用いられるグラフト導電性高分子組成物は、共役系導電性高分子材料の光吸収領域を変化させ金属(イオン)を介した共役系分子ペンダントを有し、共役系導電性高分子材料に固有なπ電子の結合状態を変化させ、あるいはπ−π*遷移エネルギーを変化させるように作用する。従って、共役系導電性高分子材料による光吸収領域が短波長側若しくは長波長側に移動し、可視光領域での光吸収が目立たなくなる程度に抑制され、当該共役系導電性高分子材料の透明化が容易に達成されることになる。したがって、コントラストの高い表示材料を構成することが可能であり、エレクトロクロミック表示素子あるいはエレクトロクロミック表示装置において、理想的な呈色を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性高分子組成物の一例としてポリピロールを共役系導電性高分子材料とした場合のスペクトル吸収特性を示す図であり、(A)は通常のポリピロールの光吸収特性であり、(B)は金属(イオン)を介した共役系分子ペンダントを含有するポリピロールの光吸収特性である。
【図2】本発明の導電性高分子組成物についての実験例を示す図であって、各種のカチオン種を変えて表色値を測定したデータを示すグラフである。
【図3】本発明のエレクトロクロミック表示素子の構造の一例を示す分解斜視図であり、(A)は還元状態であり、(B)は酸化状態である。
【図4】本発明のエレクトロクロミック表示装置の一構成例を示す概略斜視図である。
【図5】図4に示すエレクトロクロミック表示装置の要部概略断面図である。
【図6】本発明にかかる一面型のエレクトロクロミック表示装置の一構成例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の三層積層型のエレクトロクロミック表示装置の一構成例を示す概略断面図である。
【図8】実施例において電解重合に用いた電解槽の構成を示す概略斜視図である。
【図9】実施例3におけるカリウムイオン共在下で合成されたポリピロールフィルムの反射率波長分散を示すスペクトル図である。
【図10】実施例4におけるナトリウムイオン共在下で合成されたポリピロールフィルムの反射率波長分散を示すスペクトル図である。
【図11】実施例5における銀イオン共在下で合成されたポリピロールフィルムの反射率波長分散を示すスペクトル図である。
【符号の説明】
1 透明電極、2 グラフト導電性高分子組成物層、3 高分子固体電解質層、4 対向電極、11 透明支持体、12 透明画素電極、13 TFT、14 グラフト導電性高分子組成物層、15 高分子固体電解質層、16 共通電極、17 支持体、21 透明基板、22 透明電極、23R、23G、23B グラフト導電性高分子組成物層、24 電極、25 反射板、31 透明基板、33 シアン層、37 マゼンタ層、41 イエロー層

Claims (12)

  1. 第1の透明電極と、前記第1の透明電極に接して設けられ導電性高分子である主鎖と共役系分子ペンダントを金属又は金属イオンを介して結合したグラフト導電性高分子からなるグラフト導電性高分子層と、前記グラフト導電性高分子層に接触する電解質層と、前記第1の透明電極との間に前記グラフト導電性高分子層と前記電解質層を挟んでなる第2の電極を有することを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。
  2. 前記金属又は金属イオンは、銀、ナトリウム、カリウム、亜鉛、イットリウム、カドミウム、カルシウム、クロム、コバルト、サマリウム、ストロンチウム、錫、セシウム、鉄、銅、ニッケル、マンガン、マグネシウム、バリウム及びルビジウムから選ばれる1つ又は複数の金属又は金属イオンであることを特徴とする請求項1記載のエレクトロクロミック表示素子。
  3. 前記主鎖を構成する導電性高分子は、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアズレン、ポリインドール、またはポリカルバゾールから選ばれた1または複数の材料を主たる材料とすることを特徴とする請求項1記載のエレクトロクロミック表示素子。
  4. 前記グラフト導電性高分子層の前記主鎖はピロール誘導体を重合することによって形成され、前記共役系分子ペンダントはピロール系オリゴマであり、前記金属又は金属イオンは銀イオンであることを特徴とする請求項1記載のエレクトロクロミック表示素子。
  5. 前記電解質層は高分子固体電解質層からなることを特徴とする請求項1記載のエレクトロクロミック表示素子。
  6. 前記高分子固体電解質層を構成する高分子固体電解質が、骨格ユニットがそれぞれ−(C−C−O)n−、−(C−C−N)n−、若しくは−(C−C−S)n−であらわされるポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィド、若しくはこれらを主鎖構造として枝分かれを有する高分子材料、またはポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンクロライド、ポリカーボネート、またはこれらの混合物若しくは積層物であって金属塩若しくはアルキルアンモニウム塩を混合せしめたものであることを特徴とする請求項5記載のエレクトロクロミック表示素子。
  7. 前記高分子固体電解質層に水、エチルアルコール、イソプロピルアルコールプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルフォキシド、またはこれらの混合物からなる可塑剤を添加したことを特徴とする請求項6記載のエレクトロクロミック表示素子。
  8. 前記高分子固体電解質層は着色剤を含有することを特徴とする請求項6記載のエレクトロクロミック表示素子。
  9. 前記着色剤が無機顔料若しくは有機顔料または色素であることを特徴とする請求項6記載のエレクトロクロミック表示素子。
  10. 前記無機顔料は二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムのそれぞれの粉末からなることを特徴とする請求項6記載のエレクトロクロミック表示素子。
  11. 透明支持体上に第1の透明電極を形成する工程と、前記透明電極が形成された前記透明支持体上に、前記第1の透明電極に接して設けられ導電性高分子である主鎖と共役系分子ペンダントを金属又は金属イオンを介して結合したグラフト導電性高分子からなるグラフト導電性高分子層と、前記グラフト導電性高分子層に接触する電解質層とを形成する工程と、前記透明電極と対向する第2の電極を形成する工程とを有することを特徴とするエレクトロクロミック表示素子の製造方法。
  12. 第1の透明電極と、前記第1の透明電極に接して設けられ導電性高分子である主鎖と共役系分子ペンダントを金属又は金属イオンを介して結合したグラフト導電性高分子からなるグラフト導電性高分子層と、前記グラフト導電性高分子層に接触する電解質層と、前記第1の透明電極との間に前記グラフト導電性高分子層と前記電解質層を挟んでなる第2の電極を有するエレクトロクロミック表示素子が複数個、それぞれ前記グラフト導電性高分子層の光吸収領域が互いに異なるように形成することを特徴とするエレクトロクロミック表示装置。
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