JP2007010975A - エレクトロクロミック装置 - Google Patents

エレクトロクロミック装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007010975A
JP2007010975A JP2005191571A JP2005191571A JP2007010975A JP 2007010975 A JP2007010975 A JP 2007010975A JP 2005191571 A JP2005191571 A JP 2005191571A JP 2005191571 A JP2005191571 A JP 2005191571A JP 2007010975 A JP2007010975 A JP 2007010975A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
dye
electrochromic device
electrode
porous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005191571A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Sawada
真一 澤田
Hisanori Tsuboi
寿憲 坪井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2005191571A priority Critical patent/JP2007010975A/ja
Publication of JP2007010975A publication Critical patent/JP2007010975A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】極めて色純度が高く、精密な色制御が可能で、鮮鋭かつ明瞭なフルカラー画像表示が可能なエレクトロクロミック装置を提供する。
【解決手段】支持基板1,6上に、透明電極2,7と多孔質電極4,8とが形成されている一対の電極構造体11,12が、それぞれ多孔質電極形成側を対向させ、電解質層5を介して配置されたエレクトロクロミック層構造を有し、前記一対の電極構造体11,12を構成する多孔質電極4,8のうちの、少なくとも一方に、定常状態において可視域に吸収を有し、電気化学的に酸化又は還元反応を起こすことによって可視域における吸収を失い消色状態となる有機EC色素が少なくとも一種類以上担持されており、可逆的に発色又は消色を行うエレクトロクロミック装置10を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロクロミック装置に関するものであり、特にフルカラー化が容易であり、応答速度、発色効率、表示色純度に優れ、明瞭で鮮鋭な画像形成が可能であり、繰り返し耐久性も良好なエレクトロクロミック装置に関する。
近年、明るく色純度に優れ、かつ省消費電力でフルカラー表示が容易な材料への要望が高まってきている。
例えば、従来においては、CRT、LCD、PDP、ELD等の発光型素子は明るくて見やすいという特徴を有しており、多くの技術の提案がなされてきた。
しかしながら、上記各種発光型素子は、発光を直視しなければならないため、長時間閲覧すると視覚的な疲労を引き起こすという問題があった。
また携帯電話等のモバイル機器は、屋外で使用される場合が多く、太陽光下では、発光が相殺されて視認性が悪化するという問題もあった。
またLCDは、発光型素子の中でも特に需要が拡大している技術であり、大型、小型の、様々なディスプレイ用途に用いられている。
しかしながら、LCDは視野角が狭いという問題を有しており、見やすさの観点からは他の発光型素子に比較すると改善すべき課題を有している。
一方、従来、反射型表示素子に関しては、電子ペーパーの需要向上により様々な技術の提案がなされている。
例えば、反射型LCDや電気泳動方式が挙げられる。
反射型LCDには、二色性色素を用いたG−H型液晶方式や、コレステリック液晶等がある。これらの方式は、従来の発光型LCDと比較して、バックライトを使用しないために省消費電力であるという利点を有しているが、視野角依存性があり、また光反射効率も低いため、必然的に画面が暗くなってしまうという問題を有している。
一方、電気泳動方式は、溶媒中に分散された電荷を帯びた粒子が、電界によって移動する現象を利用した方式であり、省消費電力で、視野角依存性がないという利点を有しているが、フルカラー化を行う場合には、カラーフィルターを利用する並置混合法を適用するため、反射率が低下し、必然的に画面が暗くなるという問題を有している。
また、従来においては、自動車の調光ミラーや、時計等にエレクトロクロミック(以下、ECと略称する。)素子が用いられている。
このEC素子による発光は、偏光板等が不要であり、視野角依存性が無く、受光型で視認性に優れ、構造が簡易でかつ大型化も容易で、更には、材料の選択によって多様な色調の発光が可能であるという利点を有している。
EC素子でフルカラー表示を行うためには、減法混色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の発色が可能な色素を適用し、C、M、Y発色層を積層した構成とすることにより、フルカラー発色が可能な表示装置が得られる。
また黒色は、C、M、Yを混色することにより表示でき、白色は、各色素を消色状態として透明にし、背景色を白色にすることにより表示できる。
一方、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色において、カラー表示及び黒色表示は容易であるが、白色表示を行う際に、R、G、Bを混色させるとグレーに発色してしまい、鮮鋭な白色を表示することは困難である。
ところで近年、EC素子においては、対の透明電極の少なくとも一方に半導体ナノ多孔質層を設け、この半導体ナノ多孔質層にEC色素を担持させた構成の表示装置に関する技術の提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照。)。
この表示装置は、開回路を構成して電極間の電子の移動を遮断し酸化還元状態を保持するだけで表示状態を静止できるので、表示画像を維持する電力が不要であり、消費電力の低減化が図られるという利点を有している。
特開2003−248242号公報 特開2003−270670号公報
ところで、上記文献で提案されている技術で適用されているEC色素は、酸化又は還元反応を起こしてラジカル状態となって発色する性質を有している。
しかしながら、ラジカル発色をするEC色素は、ラジカル状態において複数の電子遷移に伴う発色吸収が出現することから、発色吸収幅が広くなるものであり、必然的に全体として精密な色相制御を行うことは困難となる。
すなわち、従来技術においては、ラジカル発色するEC色素を用いてフルカラー画像を形成していたため、色純度が低く、精密かつ鮮明な色表示を行うことが極めて困難であったという課題を有していた。
そこで本発明においては、上述したような従来提案されているEC素子の問題点に鑑みて、色純度が高く、精密で明瞭な発消色性を可能とし、鮮明なフルカラー画像形成を容易に行うことができるエレクトロクロミック装置及びエレクトロクロミックディスプレイを提供する。
本発明のエレクトロクロミック装置は、支持基板上に透明電極と多孔質電極とが形成されている一対の電極構造体が、前記多孔質電極同士が対向するように、電解質層を挟持して配置されており、前記一対の電極構造体を構成する多孔質電極のうちの少なくとも一方に、定常状態において可視域に吸収を有し、電気化学的に酸化又は還元反応を起こすことによって、可視域における吸収を失い消色状態となり、可逆的に発色又は消色を行う有機エレクトロクロミック色素が少なくとも一種類担持されているものとする。
また、本発明のエレクトロクロミック装置は、支持基板上に透明電極と多孔質電極とが形成されている一対の電極構造体が、前記多孔質電極同士が対向するように電解質層を介在して配置されており、前記一対の電極構造体を構成する多孔質電極のうちの少なくとも一方に、定常状態において可視域に吸収を有し、電気化学的に酸化又は還元反応を起こすことによって、可視域における吸収を失い消色状態となり、可逆的に発色又は消色を行う有機エレクトリック色素が少なくとも一種類担持されているエレクトロクロミック層構造が、二層以上積層されているものとする。
本発明によれば、定常状態において可視域に吸収を有し、電気化学的に酸化又は還元反応を起こすことによって、ラジカル状態となり、可視域に吸収を失い消色する有機EC色素を多孔質電極に担持させたことにより、フルカラー化が容易で、応答速度、発色効率に優れ、色純度が高く精密な色制御が可能で、鮮鋭かつ明瞭な表示を繰り返し行うことができるエレクトロクロミック装置が得られた。
以下、本発明のエレクトロクロミック装置について、図を参照して具体的に説明するが、本発明のエレクトロクロミック装置は、以下の例に限定されるものではない。
図1に本発明のエレクトロクロミック装置の一例の概略断面図を示す。
エレクトロクロミック装置10は、支持基板1上に、透明電極2と、有機EC色素3が担持された多孔質電極4とを具備する構成の作用電極構造体11と、支持基板6上に、透明電極7と多孔質電極8とを具備する構成の対向電極構造体12とが、電解質層5を介して対向配置された構成を有している。
支持基板1、6は、耐熱性に優れ、かつ平面方向の寸法安定性の高い材料が好適であり、具体的には、ガラス材料、透明性樹脂が適用できるが、これに限定されるものではない。
前記透明性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
透明電極2、7は、所定の透明基板上に透明電極層が積層されたものとする。
透明電極層の形成用材料としては、例えば、In23とSnO2との混合物、いわゆるITO膜や、SnO2またはIn23をコーティングした膜等が挙げられる。
また、上記ITO膜や、SnO2 またはIn23をコーティングした膜にSn、Sb、F等をドーピングしても良く、その他MgOやZnO等も適用できる。
多孔質電極4、8は、表面積が大きい材料により構成することが好適であり、例えば表面及び内部に微細孔を有した多孔質形状、ロット形状、ワイヤ形状等となっているものとする。
多孔質電極4、8は、例えば、金属、真性半導体、酸化物半導体、複合体酸化物半導体、有機半導体、カーボン等により構成することができる。金属としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu等が挙げられ、真性半導体としては、例えば、Si、Ge、Te等が挙げられる。
酸化物半導体としては、例えば、TiO2、SnO2、Fe23、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta25、Nb25、V25、In23、CdO、MnO、CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が挙げられる。
また、複合体酸化物半導体としては、例えば、SnO2−ZnO、Nb25−SrTiO3、Nb25−Ta25、Nb25−ZrO2、Nb25−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、Sb−SnO2、Bi−SnO2、In−SnO2等が挙げられ、特にTiO2、SnO2、Sb−SnO2、In−SnO2が好適である。
また、有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
有機EC色素3は、多孔質電極4の表面及び内部の微細孔に担持されているものとし、構成材料としては、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により、消色作用を示すものを適用する。
例えば有機化合物系の色素を適用でき、発色吸収が鮮鋭で、モル吸光係数の大きい有機色素が好適である。天然色素、合成色素のいずれであってもよく、合成色素としては、例えば、ベンゾキノン化合物、ナフトキノン化合物、アントラキノン化合物、シアニン化合物、スチリル化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、インジゴ系化合物、スピロピラン化合物、フルギド化合物、キサンテン化合物、ジアリールエテン化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、分子間CT化合物、ドナー/アクセプター型化合物が挙げられる。
前記有機EC色素のモル吸光係数は、1000[1/M・cm](M=mol/l)以上、更には、10000[1/M・cm]以上であることが好ましい。
前記有機EC色素を、前記多孔質電極4に担持する方法としては、例えば、多孔質電極の表面に所定の有機材料を吸着させる方法や、多孔質電極表面と有機EC色素とを化学的に結合させる方法等、従来公知の技術を適用できる。
例えば、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート等の塗布法、電界析出法、電界重合法、担持させる化合物の溶液に浸す自然吸着法等を適宜選定でき、特に自然吸着法、及び多孔質電極表面への有機EC色素を化学結合させる方法が好適である。
自然吸着法としては、所定の有機EC色素を溶解した溶液中に、予め乾燥処理を施した多孔質電極4を形成しておいた透明基板を浸漬する方法や、所定の有機EC色素を溶解した溶液を多孔質電極4に塗布する方法が挙げられる。
有機EC色素を多孔質電極4に自然吸着させるためには、有機EC色素の化学構造中に吸着性官能基を導入することが必要である。この吸着性官能基は、吸着させる多孔質電極の材料に応じて適宜選定するものとし、例えば、多孔質電極4が酸化物半導体により構成されている場合には、有機EC色素の化学構造中に、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基等の吸着性官能基を導入しておくことが好ましい。
前記吸着性官能基は、有機EC色素の骨格に直接、あるいはその他の所定の官能基を介して導入してもよい。前記のうち、所定の官能基を介して吸着基を導入する場合は、アルキル基、フェニル基、エステル、アミド基等の官能基を介して吸着基を導入する方法が好適である。
なお、有機EC色素の溶解用溶媒としては、例えば、水、アルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素等が挙げられ、これらは適宜混合して用いてもよい。
また、多孔質電極4の表面に前記有機EC色素を化学結合させる際には、多孔質電極4の表面と有機EC色素骨格との間に、所定の官能基を介してもよい。例えば、アルキル基、フェニル基、エステル、アミド等の官能基が好適である。
また、多孔質電極4の表面をシランカップリング剤等によって改質した後に、有機EC色素を化学結合を形成させるようにしてもよい。
また、有機EC色素は、多孔質電極の材料に応じて材料選定することが好ましい。
例えば、多孔質電極を半導体材料により構成するとき、有機EC色素が還元反応によって消色する性質を有する場合には、多孔質電極材料であるn型半導体多孔質へ前記有機EC色素を担持することが好ましく、他方、酸化反応によって消色する性質を有する場合には、多孔質電極材料であるp型半導体多孔質へ前記有機EC色素を担持することが好ましい。
なお、図1においては、有機EC色素3を作用電極構造体11側の多孔質電極4のみに担持させた例について示したが、本発明のエレクトロクロミック装置はこの構成に限定されるものではない。
すなわち、対向電極構造体12側の多孔質電極8にも所定の有機EC色素を担持させた構成としてもよい。この場合には、発色反応と消色反応とが、酸化反応、還元反応のうち、それぞれ逆反応に応じて生じるように材料選定することが必要である。例えば、多孔質電極4に担持させた有機EC色素が還元反応によってラジカル状態となり消色する場合には、多孔質電極8には酸化反応によってラジカル状態となり消色する有機EC色素を選定する。
このように、両電極構造体11、12において有機EC色素を担持させた構成とすることにより、最終的に得られるエレクトロクロミック装置において、発色が明瞭化し、画像の鮮明さを向上させることができる。
電解質層5は、溶媒に支持電解質が溶解された構成を有している。
支持電解質としては、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等のリチウム塩や、例えばKCl、KI、KBr等のカリウム塩や、例えばNaCl、NaI、NaBr等のナトリウム塩や、例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
溶媒としては、支持電解質を溶解し、上述した有機EC色素を溶解しないものを選択する。
例えば、水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等から適宜選定する。
また、電解質層5には、いわゆるマトリックス材を適用してもよい。
マトリックス材は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、骨格ユニットがそれぞれ、−(C−C−O)n−、−(CC(CH3)−O)n−、−(C−C−N)n−、若しくは−(C−C−S)n−で表されるポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。なお、これらを主鎖構造として、適宜枝分かれ構造を有していてもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等も好適である。
電解質層5は、高分子固体電解質層としてもよい。
なお、この場合、マトリックス材のポリマーに所定の可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては、マトリックスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの混合物が好適であり、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、及びこれらの混合物が好適である。
次に、上述したエレクトロクロミック装置10を用いた表示方法について説明する。
図1のエレクトロクロミック装置10において、多孔質電極4の表面には、定常状態において可視域に吸収を有する有機EC色素が担持されているものとする。
エレクトロクロミック装置10を構成する対の電極構造体11,12に、所定のリード線を結線し表示装置として構成する。電極端子13を通じて所定の電圧を印加する。多孔質電極4とこれに担持された有機EC色素材料との間に電子の授受がなされ、有機EC色素において電気化学的な酸化または還元反応が起き、可視域における吸収を失い消色する。
なお、本発明のエレクトロクロミック装置は、図1に示した構成に限定されるものではなく、図1に示したエレクトロクロミック構成を複数層積層させることにより、複数色の組み合わせやこれらの発消色表示を可逆的に行うことができるフルカラー表示のエレクトロクロミック装置を得られる。
シアン(C)層、マゼンタ(M)層、イエロー(Y)層が積層したフルカラー表示のエレクトロクロミック装置とした場合において、それぞれの層で所定の電圧を印加して有機EC色素の消色反応を起こさせ、全体としては減色の制御を行うことにより、所望のフルカラー画像を表示することができる。
次に、本発明のエレクトロクロミック装置についての具体的な実施例と、比較例とを上げて説明する。
(作用電極構造体の作製)
厚さ1mmで、1cm×1cmのガラス製の支持基板上に、平面的にFTO膜(透明電極)を配列形成した。
次に、酸化チタン(石原産業社製、粒径200nm)を、ポリエチレングリコールを8重量%の割合で溶解させた水:エタノール=1:1の混合溶液(アセチルアセトン5重量%、トリトン5重量%含有)中に、濃度15重量%となるように添加し、超音波ホモジナイザーを用いて60秒間攪拌し均一に分散させた。この白色顔料入り高分子溶液を、上記FTO膜上にスピンコートした。なお、スピンコートは、500rpmで4秒、次いで2500rpmで20秒行った。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行った。
次に、電気炉で500℃、3時間焼結を行い、酸化チタン膜(多孔質電極)が形成されたFTO基板が得られた。
(有機EC色素の多孔質電極への吸着)
有機EC色素を、濃度2重量%となるように水に溶解して色素溶液を作製し、この溶液中に、上記酸化チタン膜が形成されたFTO基板を浸漬させ、一晩暗所にて放置し、酸化チタン電極に色素(有機EC色素膜)を吸着させた。
その後、エタノール溶液で洗浄処理を行い、乾燥させた。
(対向電極構造体の作製)
厚さ1mmで、1cm×1cmのガラス製の支持基板上に、平面的にFTO膜(透明電極)を配列形成した。
次に酸化スズ(石原産業社製、粒径200nm)を、ポリエチレングリコールを8重量%の割合で溶解させた水:エタノール=1:1の混合溶液(アセチルアセトン5重量%、トリトン5重量%含有)中に濃度が15重量%となるように添加し、超音波ホモジナイザーを用いて60秒間攪拌し均一に分散させた。
この白色顔料入り高分子溶液を、上記FTO膜上にスピンコートした。なお、スピンコートは、500rpmで4秒、次いで2500rpmで20秒行った。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行った。
次に、電気炉で500℃、3時間焼結を行い、酸化スズ膜(多孔質電極)が形成されたFTO基板が得られた。
(電解質層用の溶液の調製)
電解質溶液は下記(a)〜(c)の3種類作製した。
(a)テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート1モルを、プロピレンカーボネートに溶解させた。
(b)過塩素酸リチウム1モルをγ−ブチロラクトンに溶解させた。
(c)ポリエチレンオキサイド8重量部とテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート1mol/lを、プロピレンカーボネートに溶解させ、次にこれに白色顔料として平均粒径0.5μmのアルミナ25重量部を添加し、超音波ホモジナイザーで均一分散させた。
(電極構造体の貼合わせ)
上述のようにして作製した作用電極構造体(色素吸着型酸化チタン膜付き基板)と、対向電極構造体(酸化スズ膜付き基板)とを、径0.5μmの球状ポリスチレンとエポキシ系の熱硬化樹脂を混合した接着剤を用いて貼り合わせた。
この際、後述の工程により、電解液を注入できるように、一部分は接着剤を塗布せずに注入口を形成した。その後、セルを100℃で1時間硬化させた。
(電解質溶液の注入)
前記電解液を、注入口から注入した。
その後、注入口をエポキシ系の熱硬化樹脂で封止し、再度100℃で、一時間熱硬化処理を行うことにより、電解質層を挟持した状態で対向した電極構造体を具備するエレクトロクロミック装置が完成した。
上述したエレクトロクロミック装置の製造工程に従い、多孔質電極に担持させる有機EC色素について異なるものを適用し、下記実施例、及び比較例のサンプルセルを作製した。
〔実施例1〕
下記の式(1)により表される有機EC色素を、作用電極構造体を構成する酸化チタン膜に吸着させた。
また、電解質溶液としては、上記(a)を適用した。
Figure 2007010975
上記式(1)に示す有機EC色素のモル吸光係数を算出したところ、116200[1/M・cm]であり、発色吸収が良好な材料であることを確認した。
上記式(1)の有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図2に示した。
図2に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なシアンの発色が得られた。
また、このエレクトロクロミック装置に2.0Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に反応し、シアン色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は200msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からシアン色へ色調変化した。
〔実施例2〕
下記の式(2)により表される有機EC色素を、作用電極構造体を構成する酸化チタン膜に吸着させた。
また、電解質溶液としては、上記(a)を適用した。
Figure 2007010975
上記式(2)に示す有機EC色素のモル吸光係数を算出したところ、85500[1/M・cm]であり、発色吸収が良好な材料であることを確認した。
上記式(2)の有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図3に示した。
図3に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なマゼンタの発色が得られた。
また、このエレクトロクロミック装置に2.5Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に反応し、マゼンタ色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は150msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からマゼンタ色へ色調変化した。
〔実施例3〕
下記の式(3)により表される有機EC色素を、作用電極構造体を構成する酸化チタン膜に吸着させた。
また、電解質溶液としては、上記(a)を適用した。
Figure 2007010975
上記式(3)に示す有機EC色素のモル吸光係数を算出したところ、15500[1/M・cm]であり、発色吸収が良好な材料であることを確認した。
上記式(3)の有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図4に示した。
図4に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なイエローの発色が得られた。
また、このエレクトロクロミック装置に2.0Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に反応し、イエロー色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は100msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からイエロー色へ色調変化した。
〔実施例4〕
電解質溶液として上記(c)を適用し、その他の条件は、上記実施例1と同様としてエレクトロクロミック装置を構成する第一のセルを作製した。
上記実施例2と同様の工程により、エレクトロクロミック装置を構成する第二のセルを作製した。
上記実施例3と同様の工程により、エレクトロクロミック装置を構成する第三のセルを作製した。
上記第一のセルの、有機EC色素を吸着させた酸化チタン膜(多孔質電極)形成側を上側とし、この上層として、上記第二のセル及び第三のセルを順次積層し、三層構造のエレクトロクロミック装置を作製した。
この三層構造のエレクトロクロミック装置は、定常状態においては、シアン、マゼンタ、イエローが混色し、黒色状態となった。
更に、上記第1〜第三のセルのそれぞれの電極に対し、上記実施例1〜3と同様に所定の電圧を印加すると、有機EC色素に電気化学的に反応して消色状態となり、全体として白色表示状態となった。
また、第一〜第三のセルに対し、個別に所定の電圧を印加して有機EC色素の電気化学的な反応を制御することにより、全体として所望のフルカラー画像を形成することができた。
〔比較例1〕
下記の式(4)により表される有機EC色素を、作用電極構造体を構成する酸化チタン膜に吸着させた。また、電解質溶液としては、上記(b)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
Figure 2007010975
上記式(4)に示す有機EC色素は、従来公知の色素材料であり、定常状態において無色であり化学反応によりラジカル状態となった際に発色するものである。
上記式(4)の有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置に1.8Vの電圧を印加すると、透明から青色へ色調変化した。
この際の応答速度は250msecであり、上記実施例1〜3に比較すると、反応が遅れた。
この装置を開回路とすることにより発色状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると、再び青色から透明状態に色調変化した。
上記式(4)の有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図5に示した。
図5に示すように吸収波長幅が極めてブロードな形状となっており、鮮鋭な色調を得ることができず、このような、定常状態において無色で電気化学反応によりラジカル状態となった際に発色する性質を有する有機EC色素を複数種組み合わせて、多色記録、あるいはフルカラー表示を行うエレクトロクロミック装置を仮定すると、混色が生じたり、明瞭な消色状態(白色状態)を形成できなかったりすると推察できる。
上述したことから明らかなように、本発明によれば、電極構造体を構成する多孔質電極に担持する有機EC色素として、特に、定常状態において可視域に吸収を有し電気化学的な酸化又は還元反応により、ラジカル状態となって、可視域における吸収を失い消色状態となる性質のものを適用したので、極めて応答反応に優れ、鮮鋭な色調で、可逆的な発消色を行うことができるエレクトロクロミック装置を提供できた。
本発明のエレクトロクロミック装置の一例の概略断面図を示す。 実施例1のセルのUV−Visスペクトルを測定した結果を示す。 実施例2のセルのUV−Visスペクトルを測定した結果を示す。 実施例3のセルのUV−Visスペクトルを測定した結果を示す。 比較例のセルのUV−Visスペクトルを測定した結果を示す。
符号の説明
1,6……支持基板、2……透明作用電極、3……有機EC色素、4,8……多孔質電極、5……電解質層、10……エレクトロクロミック装置、11……作用電極構造体、12……対向電極構造体、13……電極端子

Claims (5)

  1. 支持基板上に透明電極と多孔質電極とが形成されている一対の電極構造体が、前記多孔質電極同士が対向するように、電解質層を挟持して配置されており、
    前記一対の電極構造体を構成する多孔質電極のうちの少なくとも一方に、
    定常状態において可視域に吸収を有し、電気化学的に酸化又は還元反応を起こすことによって、可視域における吸収を失い消色状態となり、可逆的に発色又は消色を行う有機エレクトロクロミック色素が少なくとも一種類担持されていることを特徴とするエレクトロクロミック装置。
  2. 支持基板上に透明電極と多孔質電極とが形成されている一対の電極構造体が、前記多孔質電極同士が対向するように電解質層を介在して配置されており、
    前記一対の電極構造体を構成する多孔質電極のうちの少なくとも一方に、
    定常状態において可視域に吸収を有し、電気化学的に酸化又は還元反応を起こすことによって、可視域における吸収を失い消色状態となり、可逆的に発色又は消色を行う有機エレクトリック色素が少なくとも一種類担持されているエレクトロクロミック層構造が、二層以上積層されていることを特徴とするエレクトロクロミック装置。
  3. 前記多孔質電極が、メソポーラス形状、粒子状、ロット形状、ワイヤ形状の、金属、半導体材料、あるいは導電性高分子により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック装置。
  4. 消色状態においては、前記有機エレクトロクロミック色素がラジカル状態であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック装置。
  5. 消色状態においては、前記有機エレクトロクロミック色素が発色状態とは異なる分子構造へ変化していることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック装置。
JP2005191571A 2005-06-30 2005-06-30 エレクトロクロミック装置 Pending JP2007010975A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005191571A JP2007010975A (ja) 2005-06-30 2005-06-30 エレクトロクロミック装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005191571A JP2007010975A (ja) 2005-06-30 2005-06-30 エレクトロクロミック装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007010975A true JP2007010975A (ja) 2007-01-18

Family

ID=37749577

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005191571A Pending JP2007010975A (ja) 2005-06-30 2005-06-30 エレクトロクロミック装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007010975A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008180998A (ja) * 2007-01-25 2008-08-07 Sony Corp エレクトロクロミック装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61258888A (ja) * 1985-05-10 1986-11-17 Matsushita Electric Ind Co Ltd エレクトロクロミツク表示素子
JP2003315840A (ja) * 2002-04-19 2003-11-06 Fuji Photo Film Co Ltd エレクトロクロミックディスプレイ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61258888A (ja) * 1985-05-10 1986-11-17 Matsushita Electric Ind Co Ltd エレクトロクロミツク表示素子
JP2003315840A (ja) * 2002-04-19 2003-11-06 Fuji Photo Film Co Ltd エレクトロクロミックディスプレイ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008180998A (ja) * 2007-01-25 2008-08-07 Sony Corp エレクトロクロミック装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4873146B2 (ja) エレクトロクロミック装置
JP4816069B2 (ja) エレクトロクロミック装置
JP4929995B2 (ja) エレクトロクロミック装置
JP2008116665A (ja) エレクトロクロミック装置
JP2008180999A (ja) エレクトロクロミック素子、及びこれを具備するエレクトロクロミック装置
JP2009048142A (ja) エレクトロクロミック化合物、中間体化合物、及び、それらの製造方法、並びに、エレクトロクロミック化合物を用いた光学装置
JP2008179725A (ja) 色素化合物、色素化合物の製造方法、およびこれを用いたエレクトロクロミック装置
JP5023450B2 (ja) エレクトロクロミック装置及びこれを用いた表示方法
JP2008111941A (ja) エレクトロクロミック装置
JP4244569B2 (ja) エレクトロクロミック表示素子及びその製造方法、エレクトロクロミック表示装置
Kobayashi Electrochromic Display
JP2007047656A (ja) エレクトロクロミック装置及びこれを用いた表示方法
JP5024592B2 (ja) エレクトロクロミック装置
JP4894289B2 (ja) エレクトロクロミック装置
JP2008089706A (ja) エレクトロクロミック装置
JP4765547B2 (ja) エレクトロクロミック装置
JP4857804B2 (ja) エレクトロクロミック装置
JP5007520B2 (ja) エレクトロクロミック素子、及びこれを用いたエレクトロクロミック装置
JP2008145598A (ja) エレクトロクロミック装置
JP2007279570A (ja) エレクトロクロミック装置
JP2007010975A (ja) エレクトロクロミック装置
JP2008089705A (ja) エレクトロクロミック装置
JP2007279572A (ja) エレクトロクロミック装置
JP2007047582A (ja) エレクトロクロミック装置及びこれを用いた表示方法
JP5045998B2 (ja) エレクトロクロミック装置、及びその製造方法、ならびに多孔質電極の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080529

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20091002

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20091119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110607

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120126