JP5024592B2 - エレクトロクロミック装置 - Google Patents
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Description
従来、CRT、LCD、PDP、ELD等の発光型素子に関しての多くの技術の提案がなされてきた。
しかしながら、上記各種発光型素子は、ユーザーが発光を直視する形式で使用するものであるため、長時間閲覧すると視覚的な疲労を引き起こすという問題がある。
また携帯電話等のモバイル機器は、屋外で使用される場合が多く、太陽光下では、発光が相殺されて視認性が悪化するという問題もあった。
更に、LCDは、発光型素子の中でも特に需要が拡大している技術であり、大型、小型の、様々なディスプレイ用途に用いられているが、LCDは視野角が狭く、見やすさの観点からは他の発光型素子に比較すると改善すべき課題を有している。
例えば、反射型LCDや電気泳動方式が挙げられる。
反射型LCDとしては、従来、二色性色素を用いたG−H型液晶方式や、コレステリック液晶等が知られている。これらの方式は、従来の発光型LCDと比較して、バックライトを使用しないため、省消費電力であるという利点を有しているが、視野角依存性があり、また光反射効率も低いため、必然的に画面が暗くなってしまうという問題がある。
他方、電気泳動方式は、溶媒中に分散された電荷を帯びた粒子が、電界によって移動する現象を利用した方式であり、省消費電力で、視野角依存性がないという利点を有しているが、フルカラー化を行う場合には、カラーフィルターを利用する並置混合法を適用する必要があるため、反射率が低下し、必然的に画面が暗くなってしまうという問題がある。
このEC素子による表示は、偏光板等が不要であり、視野角依存性が無く、発色型で視認性に優れ、構造が簡易でかつ大型化も容易で、更には材料の選択によって多様な色調の表示が可能であるという利点を有している。
この表示装置は、開回路を構成して電極間の電子の移動を遮断し酸化還元状態を保持するだけで表示状態を静止できるので、表示画像を維持する電力が不要であり、消費電力が極めて低いという点で特に優れている。
しかしながら、吸着能を高めるために、EC色素を構成する化合物のピリジン骨格へ、直接、電子供与性、あるいは電子吸引性を有する置換基を導入すると、色相のずれが生じたり、あるいは別の吸収が可視域に出現したりし、色相の制御が困難となるという問題を生じた。
また、他方においては、分子スタックの阻害、分子内ひずみが生じてしまうこともあり、発色性が不十分となり、効率が低下してしまうという問題もあった。
但し、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、従来公知の構成を適宜付加することができ、本発明の要旨を何ら逸脱しないものとする。
エレクトロクロミック装置10は、支持基板1上に透明電極2と後述するピリジン化合物よりなる有機EC色素3が担持された多孔質電極4とを具備する構成の表示電極構造体11と、支持基板6上に透明電極7と多孔質電極8とを具備する構成の対向電極構造体12とが、電解質層5を介して対向配置された構成を有している。
なお、図1においては、対向する透明電極2、7のいずれにも多孔質電極4、8が形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて一方の電極にのみ多孔質電極を形成させ、この多孔質電極に有機EC色素3を担持させた構成としてもよい。以下、構成要素について順次説明する。
前記透明性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
透明電極層の形成用材料としては、例えば、In2O3とSnO2との混合物、いわゆるITO膜や、SnO2またはIn2O3をコーティングした膜等が挙げられる。
また、上記ITO膜や、SnO2 またはIn2O3をコーティングした膜にSn、Sb、F等をドーピングしても良く、その他MgOやZnO等も適用できる。
具体的には、表面及び内部に微細孔を有した多孔質形状、粒子集合体状、ロット形状、ワイヤ形状等となっているものが好ましい。
多孔質電極4、8の材料は、例えば、金属、真性半導体、酸化物半導体、複合酸化物半導体、有機半導体、カーボン等が適用できる。
金属としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu等が挙げられ、真性半導体としては、例えば、Si、Ge、Te等が挙げられる。酸化物半導体としては、例えば、TiO2、SnO2、Fe2O3、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、V2O5、In2O3、CdO、MnO、CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が挙げられる。また、複合体酸化物半導体としては、例えば、SnO2−ZnO、Nb2O5−SrTiO3、Nb2O5−Ta2O5、Nb2O5−ZrO2、Nb2O5−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、Sb−SnO2、Bi−SnO2、In−SnO2等が挙げられ、特にTiO2、SnO2、Sb−SnO2、In−SnO2が好適である。また、有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
有機EC色素3は、多孔質電極4の表面及び内部の微細孔に担持されているものとし、本発明においては、特に、下記一般式(1)、又は下記一般式(2)で表わされる構成部位によって、少なくとも一の窒素原子が四級アミン化されている構造のピリジン化合物を適用する。
Y1、Y2は、水素原子、あるいは脂肪族炭化水素基を表す。
特にピリジン環が二個で、少なくともいずれかピリジン環の窒素原子が、上記一般式(1)、又は上記一般式(2)で表わされる構成部位によって、四級アミン化されているものが好適である。
有機EC色素の具体的な例を下記式(3)〜(12)に示す。
一般式(1)に示す化合物をハロゲン化した化合物を作製する具体例を説明する。
下記式(13)で表されるベンジルホスホン酸化合物を、下記式(14)に示す化合物を触媒として、下記式(15)に示す化合物と、所定の溶媒中で反応させることによってメチル基をブロモメチル化した下記式(16)に示す化合物が得られる。
下記一般式(17)で表されるベンゼンホスホン酸化合物を、上記式(14)に示す化合物を触媒として、上記式(15)に示す化合物と所定の溶媒中で反応させることによって、メチル基をブロモメチル化した化合物(18)が得られる。
一般的には、ピリジン化合物と、上記一般式(1)、(2)とを、所定の溶媒中で反応させることにより四級アミン化された化合物が得られる。
例えば、ピリジン化合物として、下記式(19)に示すビピリジン化合物を用い、これと上記(16)に示すハロゲン化合物とを、適当な溶媒中で反応させることにより、下記式(20)に示す、ピリジン環の窒素原子が四級アミン化された化合物が得られる。更にこれを塩酸中で反応処理することにより下記式(21)に示す化合物が得られる。
例えば、多孔質電極4の表面に吸着させる方法、多孔質電極表面と有機EC色素とを化学的に結合させる方法等、従来公知の技術を適用できる。
具体的には、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート等の塗布法、電界析出法、電界重合法、担持させる化合物の溶液に浸す自然吸着法等が適用でき、特に、自然吸着法、及び多孔質電極表面への有機EC色素を化学結合させる方法が好適である。
この自然吸着法において、有機EC色素を多孔質電極4に確実に吸着させるためには、有機EC色素の化学構造中に、吸着性を有する官能基を導入しておくことが必要である。
上記一般式(1)、(2)においては、末端のホスホン酸基が優れた吸着性を有している。
すなわち、対向電極構造体12側の多孔質電極8にも所定の有機EC色素を担持させた構成としてもよい。この場合には、発色反応と消色反応とが、酸化反応、還元反応のうち、それぞれ逆反応に応じて生じるように材料選定することが必要である。
例えば、多孔質電極4に担持させたピリジン色素が還元反応によってラジカル状態となり発色する場合には、多孔質電極8には定常状態で多孔質電極4に担持させたピリジン色素と同色調であり、酸化反応によって発色する有機EC色素を選定する。
このように、両電極構造体11、12において有機EC色素を担持させた構成とすることにより、最終的に得られるエレクトロクロミック装置において、発色が明瞭化し、画像の鮮明さを向上させることができる。
支持電解質としては、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等のリチウム塩や、例えばKCl、KI、KBr等のカリウム塩や、例えばNaCl、NaI、NaBr等のナトリウム塩や、例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
電解質層5には、必要に応じて公知の酸化還元化合物を添加してもよい。酸化還元物質としては、例えばフェロセン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、ベンゾキノン誘導体、フェニレンジアミン誘導体等が適用できる。
溶媒としては、支持電解質を溶解し、上述した有機EC色素を溶解しないものを選択する。
例えば、水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等から適宜選定する。
マトリックス材は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、骨格ユニットがそれぞれ、−(C−C−O)n−、−(CC(CH3)−O)n−、−(C−C−N)n−、若しくは−(C−C−S)n−で表されるポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。
なお、これらを主鎖構造として、適宜枝分かれ構造を有していてもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等も好適である。
なお、この場合、マトリックス材のポリマーに所定の可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては、マトリックスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの混合物が好適であり、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、及びこれらの混合物が好適である。
図1のエレクトロクロミック装置10において、多孔質電極4の表面には、定常状態において可視域に吸収をもたない有機EC色素である、一般式(1)に示すピリジン化合物が担持されている。
エレクトロクロミック装置10を構成する対の電極構造体11、12に、所定のリード線を結線し表示装置として構成する。
所定のリード線を通じて所定の電圧を印加すると、多孔質電極4とこれに担持された有機EC色素材料との間に電子の授受がなされ、有機EC色素において電気化学的な還元反応が起き、ラジカル状態となってイエローに発色する。
すなわち、図1に示すエレクトロクロミック構成と同様の構造であって、電気化学的な反応によりラジカル状態となって、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)に発色する性質の有機EC色素を適用し、これを多孔質電極に担持させてそれぞれ電極構造体を作製し、これら三層を用いて、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の積層構造とすることにより、発消色表示を可逆的に行うことができるフルカラー表示のエレクトロクロミック装置が得られる。
(有機EC色素化合物(上記式(3)に示すピリジン化合物)の合成)
ジエチル4−メチルベンジルホスホナート7.26g(0.03mol)、N−ブロモこはく酸イミド6.40g(0.036mol)、過酸化ベンゾイル0.2g(0.000825mol)、クロロホルム40mlを加え、窒素ガス雰囲気下、120℃で5時間加熱攪拌した。
析出物を除去し、反応液へ炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて攪拌し、クロロホルム層を採取した。
採取したクロロホルム溶液に硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒を留去して、上記式(16)に示す化合物の黄色液体を得た。
この黄色液体1.3g(0.00456mol)と、4,4’−ビピリジル0.3g(0.00192mol)を、エタノール:水=1:1の混合溶媒30ml中で、120℃の条件下で72時間反応させ、その後室温まで冷却した。
エタノールを除去した後、アセトンを加えて結晶を析出させ、結晶を採取した。
この結晶を濃塩酸20mlに溶解し、更に24時間加熱還流した。
冷却しながらIPA(イソプロピルアルコール)を加えると、結晶が析出し、ろ過により結晶を採取することで、上記式(3)に示したピリジン化合物が得られた。
ジエチル4−メチルフェニルホスホナート6.42g(0.03mol)、N−ブロモこはく酸イミド6.40g(0.036mol)、過酸化ベンゾイル0.2g(0.000825mol)、クロロホルム40mlを加え、窒素ガス雰囲気下、120℃で5時間加熱攪拌した。
析出物を除去し、反応液へ炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて攪拌し、クロロホルム層を採取した。
採取したクロロホルム溶液に硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒を留去して、上記式(16)に示す化合物の黄色液体を得た。
この黄色液体1.29g(0.00456mol)と、4,4’−ビピリジル0.3g(0.00192mol)を、エタノール:水=1:1の混合溶媒30ml中で、120℃、72時間反応させ、その後室温まで冷却した。
エタノールを除去した後、アセトンを加えて結晶を析出させ、結晶を採取した。
この結晶を濃塩酸20mlに溶解し、更に24時間加熱還流した。
冷却しながらIPA(イソプロピルアルコール)を加えると、結晶が析出し、ろ過により結晶を採取することで、上記式(4)に示したピリジン化合物が得られた。
上記式(16)に示す化合物4.25g(0.00172mol)と、1,4−ジ(4-ピリジル)ベンゼン1.0g(0.0043mol)を、エタノール30ml中で120℃、72時間反応させ、その後室温まで冷却した。
エタノールを除去した後、酢酸エチルで洗浄し、ろ過して結晶を採取した。
この結晶を濃塩酸20mlに溶解し、更に24時間加熱還流した。
溶媒を除去し、アセトンを加えると結晶が析出し、ろ過により結晶を採取することで、上記式(11)に示したピリジン化合物が得られた。
厚さ1.1mmのガラス製の支持基板1上に、平面的に15Ω/□のFTO膜(透明電極2)を形成した。
次に、pH=約1.0の塩酸水溶液に1次粒径20nmの酸化チタンを15重量%分散させたスラリーに、ポリエチレングリコールを5重量%の割合で溶解させて塗料を作製した。この塗料を、上記FTO膜上にスキージ法によって塗布した。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行い、さらに、電気炉で500℃、1時間焼結を行い、膜厚3μmの酸化チタン多孔質電極4が形成されたFTO基板が得られた。
上記酸化チタン膜よりなる多孔質電極4が形成されたFTO基板を、上述のようにして作製した、上記式(3)、(4)、(11)に示すピリジン化合物の、それぞれの5mM水溶液に24時間浸漬させ、酸化チタン電極に色素(有機EC色素膜)を吸着させた。
その後、エタノール溶液で洗浄処理、乾燥処理を行った。
厚さ1.1mmのガラス製の支持基板6上に、平面的に15Ω/□のFTO膜(透明電極7)を形成した。
次に、酸性水溶液に1次粒径20nmのアンチモンドープされた酸化スズを20重量%分散させたスラリーに、ポリエチレングリコールを5重量%の割合で溶解させて塗料を作製した。この塗料を、上記FTO膜上にスキージ法によって塗布した。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行い、さらに、電気炉で500℃、1時間焼結を行い、膜厚12μmのアンチモンドープ酸化スズ多孔質電極8が形成されたFTO基板が得られた。
電解質層5形成用溶液は、ガンマブチロラクロンに、過塩素酸リチウムを0.1mol/L溶解させ、脱水、脱気したものを適用した。
上述のようにして作製した表示電極構造体(色素吸着酸化チタン多孔質電極付き基板)と、対向電極構造体(アンチモンドープ酸化スズ多孔質電極付き基板)とを、厚さ50μmの熱可塑性フィルム接着剤を用いて、90℃で貼り合わせた。
この際、後述の工程により、電解液を注入できるように、一部分に注入口を形成した。
前記電解液を、注入口から注入した。
その後、注入口をエポキシ系の熱硬化樹脂で封止することにより、電解質層を挟持した状態で対向した電極構造体を具備するエレクトロクロミック装置が完成した。
上述したエレクトロクロミック装置の製造工程に従い、多孔質電極に担持させる有機EC色素について異なるものを適用し、下記実施例、及び比較例のサンプルセルを作製した。
有機EC色素として、上記式(3)、(4)、(11)に示すピリジン化合物を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に吸着させて、それぞれ実施例1〜3のエレクトロクロミック装置を作製した。
実施例1(式(3)のピリジン化合物使用)、実施例2(式(4)のピリジン化合物使用)のエレクトロクロミック装置の表示電極と対向電極の間に−1.0Vの電圧を印加したところ、直ちに青色の発色が確認できた。それぞれの発色スペクトルを図2、図3に示す。なお、表示変更の応答速度は100〜130msであった。更に、電極間に0.5Vを印加すると再び直ちに透明となった。表示変更の応答速度は60〜80msであった。これらはいずれも実用上充分に良好な速度である。
更に、これらの例におけるエレクトロクロミック装置の表示電極と対向電極の間に、−1.0Vと0.5Vを交互に1Hzで100万回繰返し印加したところ、100万回電圧印加を繰り返した後においても初期の状態とスペクトル形状の変化が殆ど見られず、実用上充分に優れた耐久性を有していることが確認された。
なお、表示変更の応答速度は130msであった。更に電極間に0.5Vを印加すると再び透明となった。表示変更の応答速度は90msであった。これらはいずれも実用上充分に良好な速度である。
更に、これらの例におけるエレクトロクロミック装置の表示電極と対向電極の間に、−1.2Vと0.5Vを交互に1Hzで100万回繰返し印加したところ、100万回電圧印加を繰り返した後においても初期の状態とスペクトル形状の変化が殆ど見られず、実用上充分に優れた耐久性を有していることが確認された。
適用する有機EC色素を、下記式(22)、(23)、(24)に示す。
これらを用いて表示電極構造体を作製し、その他の条件は、上記実施例と同様として、それぞれエレクトロクロミック装置を作製し、同様の発消色評価を行った。
両電極間の電圧を−1.2Vに変更したところ、実施例1、2の場合と同程度の青色発色が得られた。
このときの発色スペクトルを図5に示す。
上記式(22)の化合物は、ピリジン環の窒素を四級化している構成部位においてベンゼン環を有していない点で本発明実施例において用いた化合物とは構成が異なっている。
本発明に係る実施例1、2のエレクトロクロミック装置は、−1.0Vで充分な濃度に発色できたことから、ピリジン環の窒素を四級化している構成部位にベンゼン環を有しているものは、より低電圧での発色が実現できることが解った。
上述したことと図5と図2の発色スペクトルの比較から明らかなように、本発明に係るエレクトロクロミック装置は低電圧表示に有利であり、装置としての駆動効率が高いことが明らかになった。
両電極間の電圧を−1.5Vに変更したところ、実施例3(式(11)の化合物使用)と同程度の濃度の茶色発色が得られた。
このときの発色スペクトルを図6に示す。
上記式(23)の化合物は、ピリジン環の窒素を四級化している構成部位においてベンゼン環を有していない点で本発明実施例で用いた化合物とは構成が異なっている。
本発明の係る実施例3のエレクトロクロミック装置は、−1.2Vで対応する発色が充分な濃度で得られていることから、ピリジン環の窒素を四級化している構成部位がベンゼン環を有しているものは、より低電圧での発色が実現できることが確かめられた。
上述したことと図6と図4の発色スペクトルの比較から明らかなように、本発明実施例のエレクトロクロミック装置は低電圧表示に有利であり、装置としての駆動効率が高いことが明らかになった。
両電極間の電圧を−2.5Vに変更しても、発色濃度は上昇せず、実施例と同程度の濃度の青色発色は得られなかった。
発色スペクトルを図7に示す。
式(24)の化合物は、ピリジン環の窒素を四級化している構成部位の末端の官能基がカルボキシル基となっている点で本発明実施例で用いた化合物とは構成が異なっている。
本発明に係る実施例1のエレクトロクロミック装置は、−1.0Vで充分な濃度の発色が得られていることから、ピリジン環の窒素を四級化している構成部位の末端の官能基が、リン酸基とすると、電極に対する高い吸着能が得られ、同程度の電圧をかけた場合でも高濃度の発色が実現できることが確かめられた。
一方、比較例3のエレクトロクロミック装置で用いた化合物は、実施例1で用いた色素化合物よりも電極に対する吸着能が劣り、上記のように同程度の電圧をかけても充分な発色濃度が得られないことがわかった。
上述したことと図7と図2の発色スペクトルの比較から明らかなように、本発明実施例のエレクトロクロミック装置は、低電圧で高濃度発色が実現でき、装置としての駆動効率が高いことが明らかになった。
Claims (2)
- 前記多孔質電極が、メソポーラス形状、粒子集合体状の金属あるいは半導体材料により形成されている、請求項1に記載のエレクトロクロミック装置。
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