JP4946222B2 - エレクトロクロミック装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記従来公知の各種発光型素子は、ユーザーが発光を直視する形式で使用するものであるため、長時間閲覧すると視覚的な疲労を引き起こすという問題があった。
また携帯電話等のモバイル機器は、屋外で使用される場合が多く、太陽光下では、発光が相殺されて視認性が悪化するという問題もあった。
更に、LCDは、発光型素子の中でも特に需要が拡大している技術であり、大型、小型の、様々なディスプレイ用途に用いられているが、LCDは視野角が狭く、見やすさの観点からは改善すべき課題を有している。
反射型LCDとしては、二色性色素を用いたG−H型液晶方式や、コレステリック液晶等が知られている。これらは、従来の発光型LCDと比較して、バックライトを使用しないため、省消費電力という利点を有しているが、視野角依存性があり、また光反射効率も低いため、必然的に画面が暗くなってしまうという問題がある。
他方、電気泳動方式は、溶媒中に分散された電荷を帯びた粒子が、電界によって移動する現象を利用した方式であり、省消費電力で、視野角依存性がないという利点を有しているが、フルカラー化を行う場合には、カラーフィルターを利用する並置混合法を適用する必要があるため、反射率が低下し、必然的に画面が暗くなってしまうという問題がある。
EC素子を用いた表示は、偏光板等が不要であり、視野角依存性が無く、発色型で視認性に優れ、構造が簡易でかつ大型化も容易で、更には材料の選択によって多様な色調の表示が可能であるという利点を有している。
必要な色調であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に発色し、かつ所定の波長に鮮鋭な吸収幅を有する、いわゆるフルカラー化に最適なEC色素については、未だ、技術開示がなされていない。
また、従来提案されている表示装置は色純度が低く、精密で鮮明な画像表示を行うという点において、未だ多くの課題を残している。
また更には、有機EC色素の化学構造についても検討を行うことにより、色純度が高く、鮮明な画像形成が可能であり、繰り返し耐久性にも優れたエレクトロクロミック装置を提供することとした。
Y1、Y2、Y3、Y4の内、少なくとも2つが、トリフルオロメチル基、もしくはシアノ基であり、前記以外のY1、Y2、Y3、Y4は、水素、脂肪族炭化水素基である。
A1、A2は、置換されていても良い脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基であり、A1、A2のうち少なくともいずれか一方は、多孔質電極へ吸着するための吸着基を有している。
但し、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、従来公知の構成を適宜付加することができ、本発明の要旨を何ら逸脱しないものとする。
エレクトロクロミック装置10は、支持基板1上に透明電極2と後述するピリジン化合物よりなる有機EC色素3が担持された多孔質電極4とを具備する構成の表示電極構造体11と、支持基板6上に透明電極7と多孔質電極8とを具備する構成の対向電極構造体12とが、電解質層5を介して対向配置された構成を有している。
なお、図1においては、対向する透明電極2、7のいずれにも多孔質電極4、8が形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて一方の電極にのみ多孔質電極を形成させ、この多孔質電極に有機EC色素3を担持させた構成としてもよい。以下、構成要素について順次説明する。
前記透明性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
透明電極層の形成用材料としては、例えば、In2O3とSnO2との混合物、いわゆるITO膜や、SnO2またはIn2O3をコーティングした膜等が挙げられる。
また、上記ITO膜や、SnO2 またはIn2O3をコーティングした膜にSn、Sb、F等をドーピングしても良く、その他MgOやZnO等も適用できる。
具体的には、表面及び内部に微細孔を有したメソポーラス形状、集合粒子状、ロット形状、ワイヤ形状等となっているものが好ましい。
多孔質電極4、8の材料は、例えば、金属、真性半導体、酸化物半導体、複合酸化物半導体、有機半導体、カーボン等が適用できる。
金属としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu等が挙げられ、真性半導体としては、例えば、Si、Ge、Te等が挙げられる。酸化物半導体としては、例えば、TiO2、SnO2、Fe2O3、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、V2O5、In2O3、CdO、MnO、CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が挙げられる。また、複合体酸化物半導体としては、例えば、SnO2−ZnO、Nb2O5−SrTiO3、Nb2O5−Ta2O5、Nb2O5−ZrO2、Nb2O5−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、Sb−SnO2、Bi−SnO2、In−SnO2等が挙げられ、特にTiO2、SnO2、Sb−SnO2、In−SnO2が好適である。また、有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
有機EC色素3は、多孔質電極4の表面及び内部の微細孔に担持されているものとし、本発明においては、特に、下記一般式(1)で示されるピリジン化合物を適用する。
A1、A2は、置換されていても良い脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基で、A1、A2のうち少なくともいずれか一方は、多孔質電極へ吸着するための吸着基を有している。吸着基の具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基、アミノ基、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物等が挙げられ、特にホスホン酸基が好適である。
但し、Xは、臭素あるいはヨウ素であるものとする。
但し、Xは臭素あるいは、ヨウ素を示す。
具体的には、Y1、Y2、Y3、Y4に関して、トリフルオロメチル基もしくはシアノ基の数を多くすることにより、吸収波長が長波長側に移行するようになり、発色性の向上が図られること、さらには、トリフルオロメチル基の方がより急峻な吸収波長ピークが得られる傾向があることが解った。
また、A1、A2に関しては、例えばアルキル鎖か芳香環かを選定することにより、表示電位に違いがあることがわかった。芳香環の方がより表示電位が低くなるが、これに関しては、色素の化学構造や吸着させる多孔質電極の最適な酸化還元電位との兼ね合いにより適宜選定することが必要である。
このときb価のアニオンが適宜その価数に応じて電解液中に放出されたり、他の有機EC色素化合物のプロトンとイオン結合を形成したりすることにより、電気的なつり合いが取られるようになされる。
この化合物はこの1価の状態に安定化させることが可能であり、シアン発色用の有機EC色素として極めて優れていることが確かめられた。
上記一般式(1)で表されるビピリジン化合物の具体例を下記に示す。
例えば、多孔質電極4の表面に吸着させる方法、多孔質電極表面と有機EC色素とを化学的に結合させる方法等、従来公知の技術を適用できる。
具体的には、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート等の塗布法、電界析出法、電界重合法、担持させる化合物の溶液に浸す自然吸着法等が適用でき、特に、自然吸着法、及び多孔質電極表面への有機EC色素の吸着基によって化学結合させる方法が好適である。
この自然吸着法において、有機EC色素を多孔質電極4に確実に吸着させるためには、有機EC色素の化学構造中に、吸着性を有する官能基を導入しておくことが必要である。
吸着性を有する官能基としては、多孔質電極4の材料に応じて適宜選定する。例えば、多孔質電極4が酸化物半導体により構成されている場合には、有機EC色素の化学構造中の吸着性官能基として、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基等を導入しておくことが好ましい。
また、多孔質電極4の表面をシランカップリング剤等によって改質した後に、有機EC色素を化学結合して形成させるようにしてもよい。
このような多孔質電極の表面改質処理により、有機EC色素が多孔質電極4の材料と化学結合を形成するようになると、有機EC色素の結合力が強まり、例えば、電界質層5の材料として色素溶解性の高いものを使用するような場合に有利になり、有機色素の材料選択性が高まり、エレクトロクロミック装置の耐久性の向上も図られる。
すなわち、対向電極構造体12側の多孔質電極8にも所定の有機EC色素を担持させた構成としてもよい。この場合には、発色反応と消色反応とが、酸化反応、還元反応のうち、それぞれ逆反応に応じて生じるように材料選定することが必要である。
例えば、多孔質電極4に担持させたピリジン色素が還元反応によってラジカル状態となり発色する場合には、多孔質電極8には定常状態で多孔質電極4に担持させたピリジン色素と同色調であり、酸化反応によって発色する有機EC色素を選定する。
このように、両電極構造体11、12において有機EC色素を担持させた構成とすることにより、最終的に得られるエレクトロクロミック装置において、発色が明瞭化し、画像の鮮明さを向上させることができる。
支持電解質としては、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等のリチウム塩や、例えばKCl、KI、KBr等のカリウム塩や、例えばNaCl、NaI、NaBr等のナトリウム塩や、例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
電解質層5には、必要に応じて公知の酸化還元化合物を添加してもよい。酸化還元物質としては、例えばフェロセン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、ベンゾキノン誘導体、フェニレンジアミン誘導体等が適用できる。
溶媒としては、支持電解質を溶解し、上述した有機EC色素を溶解しないものを選択する。
例えば、水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等から適宜選定する。
マトリックス材は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、骨格ユニットがそれぞれ、−(C−C−O)n−、−(CC(CH3)−O)n−、−(C−C−N)n−、若しくは−(C−C−S)n−で表されるポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。
なお、これらを主鎖構造として、適宜枝分かれ構造を有していてもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等も好適である。
なお、この場合、マトリックス材のポリマーに所定の可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては、マトリックスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの混合物が好適であり、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、及びこれらの混合物が好適である。
図1のエレクトロクロミック装置10において、多孔質電極4の表面には、定常状態において可視域に吸収をもたない有機EC色素である、一般式(1)に示すピリジン化合物が担持されている。
エレクトロクロミック装置10を構成する対の電極構造体11、12に、所定のリード線を結線し表示装置として構成する。
所定のリード線を通じて所定の電圧を印加すると、多孔質電極4とこれに担持された有機EC色素材料との間に電子の授受がなされ、有機EC色素において電気化学的な還元反応が起き、一価のラジカル状態となってシアンに発色する。さらに所定の電圧を印加すると、有機EC色素が定常状態に戻り、この可逆的反応により、シアンの発消色表示を行うことができる。
すなわち、図1に示すエレクトロクロミック構成と同様の構造であって、電気化学的な反応によりラジカル状態となって、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)に発色する性質の有機EC色素を適用し、これを多孔質電極に担持させてそれぞれ電極構造体を作製し、これら三層を用いて、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の積層構造とすることにより、発消色表示を可逆的に行うことができるフルカラー表示のエレクトロクロミック装置が得られる。
次に、本発明のエレクトロクロミック装置についての具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて説明する。
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)ピリジン2.21g(10.8mmol)、1,4-ビス(トリフルオロメチル)-2,5-ジブロモベンゼン1.67g(4.50mmol)、炭酸ナトリウム水溶液12ml(1M)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.158g(0.255mmo)、ジオキサン30mlを加え、アルゴン存在下で、100℃で13 時間加熱攪拌した。
水を加え、生成した沈殿物をろ過し、DMFで再結晶し、白色結晶を得た。
得られた白色結晶0.20gをDMF20mlに溶解し、ブロモエチルホスホン酸ジエチル5mlを加え、120℃で2時間加熱攪拌した。
アセトンを加え、生成した沈殿をろ過し、白色粉末を得た。
生成物をNMR分析したところ、前記式(8)に示す化合物であることが確かめられた。
分析結果を下記に示す。
1H-NMR (DMSO) δ: 9.29 (4H, d, J = 6.3 Hz), 8.30 (6H, t, J = 13.0 Hz), 4.68-4.80 (4H, m, J = 7.2 Hz) ,2.31-2.43 (4H, m, J = 7.3Hz) 。
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)ピリジン2.21g(10.8mmol)、1,4-ビス(トリフルオロメチル)-2,5-ジブロモベンゼン1.67g(4.50mmol)、炭酸ナトリウム水溶液12ml(1M)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.158g(0.255mmol)、ジオキサン30mlを加え、アルゴン存在下、100℃で13時間加熱攪拌した。
水を加え、生成した沈殿物をろ過し、DMFで再結晶し、白色結晶を得た。
得られた白色結晶0.2gをDMF10mlに溶解し、ブロモエチル5mlを加え、140℃で24時間加熱攪拌した。
溶媒を留去し、アセトンを加えろ過し、薄黄色粉末を得た。
生成物をNMR分析したところ、前記式(12)に示す化合物であることが確かめられた。
分析結果を下記に示す。
1H-NMR (DMSO) δ: 9.40 (4H, d, J = 6.8 Hz), 8.74 (2H, s), 8.60 (4H, d, J = 6.6 Hz),4.76(4H, q, J = 7.3 Hz), 1.64 (6H, t, J = 7.3 Hz)。
N2雰囲気下、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)ピリジン1.72g(8.4mmol)、1,4-ジブロモ-2,5-ジシアノベンゼン1.0g(3.5mmol)、炭酸ナトリウム水溶液9ml(1M)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.139g(0.198mmol)、ジオキサン23mlを加え、130℃で15時間加熱攪拌した。
室温に冷ました後、溶液をろ過し、得られた粉末を塩酸に溶かし酢酸エチルで洗浄し、水層を水酸化ナトリウムでアルカリ性にし、沈殿物をろ過した。
水洗した後乾燥させ、黄色粉末を得た。
得られた黄色粉末0.2g(0.71mmol)を、DMF10mlに溶解し、ブロモエチルホスホン酸ジエチル5mlを加え、140℃で24時間加熱攪拌した。
溶媒を留去し、アセトンを加えろ過し、薄黄色粉末を得た。
生成物をNMR分析したところ、前記式(18)に示す化合物であることが確かめられた。
分析結果を下記に示す。
1H-NMR (DMSO) δ: 9.40 (4H, d, J = 6.8 Hz), 8.74 (2H, s), 8.60 (4H, d, J = 6.6 Hz), 4.68-4.80 (4H, m, J = 7.2 Hz) ,2.31-2.43 (4H, m, J = 7.3Hz)。
厚さ1.1mmのガラス製の支持基板1上に、平面的に15Ω/□のFTO膜(透明電極2)を形成した。
次に、pH=約1.0の塩酸水溶液に1次粒径20nmの酸化チタンを15重量%分散させたスラリーに、ポリエチレングリコールを5重量%の割合で溶解させて塗料を作製した。この塗料を、上記FTO膜上にスキージ法によって塗布した。
次に、ホットプレート上で、80℃15分間の乾燥処理を行い、更に電気炉で500℃1時間焼結を行い、膜厚3μmの酸化チタン多孔質電極4が形成されたFTO基板を得た。
酸化チタン膜よりなる多孔質電極が形成されたFTO基板を、上述のようにして作製した有機EC色素化合物それぞれの5mM水溶液に24時間浸漬させ、酸化チタン電極に有機EC色素を吸着させた。その後、エタノール溶液で洗浄処理、乾燥処理を行った。
厚さ1.1mmのガラス製の支持基板6上に、平面的に15Ω/□のFTO膜(透明電極7)を形成した。
次に、酸性水溶液に1次粒径20nmのアンチモンドープされた酸化スズを20重量%分散させて得たスラリーに、ポリエチレングリコールを5重量%の割合で溶解させて塗料を作製した。この塗料を、上記FTO膜上にスキージ法によって塗布した。
次に、ホットプレート上で80℃15分間の乾燥処理を行い、さらに、電気炉で500℃1時間焼結を行い、膜厚12μmのアンチモンドープ酸化スズ多孔質電極8が形成されたFTO基板を得た。
電解質層5形成用溶液は、ガンマブチロラクロンに、過塩素酸リチウムを0.1mol/L溶解させ、脱水、脱気したものを適用した。
上述のようにして作製した表示電極構造体(色素吸着酸化チタン多孔質電極付き基板)と、対向電極構造体(アンチモンドープ酸化スズ多孔質電極付き基板)とを、厚さ50μmの熱可塑性フィルム接着剤を用いて、90℃で貼り合わせた。
この際、後述の工程により、電解液を注入できるように、一部分に注入口を形成した。
前記電解液を、注入口から注入した。
その後、注入口をエポキシ系の熱硬化樹脂で封止することにより、電解質層を挟持した状態で対向した電極構造体を具備するエレクトロクロミック装置が完成した。
上述したエレクトロクロミック装置の製造工程に従い、多孔質電極に担持させる有機EC色素について異なるものを適用し、下記実施例、及び比較例のサンプルセルを作製した。
有機EC色素として、上記式(8)、(12)、(18)の化合物が表示電極構造体を構成する多孔質電極に吸着されたエレクトロクロミック装置をサンプルとした。
図2に発色時のスペクトルを示した。
なお表示変更の応答速度は約150msであり、実用上充分に良好な速度であった。
更に、電極間に0.5Vの電圧を印加すると再び直ちに透明となった。表示変更の応答速度は約90msであった。
更に、表示電極と対向電極の間に、−1.5Vと0.5Vを交互に1Hzで100万回繰返し印加したところ、100万回電圧印加を繰り返した後においても初期の状態とスペクトル形状の変化が殆ど見られず、実用上充分に優れた耐久性を有していることが確認された。
図3に発色時のスペクトルを示した。
なお表示変更の応答速度は約120msであり、実用上充分に良好な速度であった。
更に、電極間に0.5Vの電圧を印加すると再び直ちに透明となった。表示変更の応答速度は約80msであった。
更に、表示電極と対向電極の間に、−1.2Vと0.5Vを交互に1Hzで100万回繰返し印加したところ、100万回電圧印加を繰り返した後においても初期の状態とスペクトル形状の変化が殆ど見られず、実用上充分に優れた耐久性を有していることが確認された。
図4に発色時のスペクトルを示した。
なお表示変更の応答速度は約150msであり、実用上充分に良好な速度であった。
更に、電極間に0.5Vを印加すると再び直ちに透明となった。表示変更の応答速度は約90msであった。
更に、表示電極と対向電極の間に、−1.5Vと0.5Vを交互に1Hzで100万回繰返し印加したところ、100万回電圧印加を繰り返した後においても初期の状態とスペクトル形状の変化が殆ど見られず、実用上充分に優れた耐久性を有していることが確認された。
式(18)の化合物のように、2つのシアノ基を有しているものは、図4のように、450〜500nmの領域に若干の吸収が見られたが、650nm近傍に最も大きな吸収ピークを有しているため、実用上、良好なシアン発色が得られた。
有機EC色素として、下記式(24)に示す、従来公知の有機EC色素を適用して、上述した実施例と同様にエレクトロクロミック装置のサンプルを作製し、発消色評価を行った。
図5から明らかなように、青色発色領域に吸収幅の広いピークが形成されており、フルカラー表示素子において要求される発色は得られていないことが確かめられた。また、400nm近傍に大きな吸収ピークが見られ、同様の構成を有し発色の異なるエレクトロクロミック装置を積層させて多色表示用の装置を作製した場合を想定しても、この比較例の色素においては確実な単色のコントロールが困難であり、フルカラー表示用の色素としては不適当なものであることが解った。
Claims (2)
- 支持基板上に、少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極同士が対面するように電解質層を挟持して配置されており、
前記一対の電極構造体を構成する透明電極のうちの少なくとも一方の上に、
下記一般式(1)で示されるピリジン化合物が吸着されている多孔質電極が形成されており、
前記一対の電極構造体間に電圧を印加することにより、シアンの可逆的な発消色を行うことを特徴とするエレクトロクロミック装置。
但し、一般式(1)において、a、bはa×b=2を満たす整数であり、Xb-はb価アニオンを表している。
Y1、Y2、Y3、Y4の内の、少なくとも2つが、トリフルオロメチル基、もしくはシアノ基であり、前記以外のY1、Y2、Y3、Y4は、水素、脂肪族炭化水素基からなる。
A1、A2は、置換されていても良い脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基であり、A1、A2のうち少なくともいずれか一方は、多孔質電極へ吸着するための吸着基を有している。 - 前記多孔質電極が、メソポーラス形状、集合粒子状、ロット形状、ワイヤ形状の、金属、半導体材料、あるいは導電性高分子により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック装置。
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