JP4894289B2 - エレクトロクロミック装置 - Google Patents

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本発明は、応答速度、発色効率、表示色純度に優れ、明瞭で鮮鋭な画像形成が可能であり、繰り返し耐久性にも優れたエレクトロクロミック装置に関する。
近年、明るく色純度に優れ、かつ省消費電力で、フルカラー表示への応用が容易な表示色素材料やこれを用いた表示素子への要望が高まってきている。
従来、CRT、LCD、PDP、ELD等の発光型素子に関しての多くの技術の提案がなされてきた。
しかしながら、上記各種発光型素子は、ユーザーが発光を直視する形式で使用するものであるため、長時間閲覧すると視覚的な疲労を引き起こすという問題がある。
また携帯電話等のモバイル機器は、屋外で使用される場合が多く、太陽光下では、発光が相殺されて視認性が悪化するという問題もあった。
更に、LCDは、発光型素子の中でも特に需要が拡大している技術であり、大型、小型の、様々なディスプレイ用途に用いられているが、LCDは視野角が狭く、見やすさの観点からは他の発光型素子に比較すると改善すべき課題を有している。
ところで、反射型表示素子に関しては、電子ペーパーの需要向上により、様々な技術の提案がなされている。
例えば、反射型LCDや電気泳動方式が挙げられる。
反射型LCDとしては、従来、二色性色素を用いたG−H型液晶方式や、コレステリック液晶等が知られている。これらの方式は、従来の発光型LCDと比較して、バックライトを使用しないため、省消費電力であるという利点を有しているが、視野角依存性があり、また光反射効率も低いため、必然的に画面が暗くなってしまうという問題がある。
他方、電気泳動方式は、溶媒中に分散された電荷を帯びた粒子が、電界によって移動する現象を利用した方式であり、省消費電力で、視野角依存性がないという利点を有しているが、フルカラー化を行う場合には、カラーフィルターを利用する並置混合法を適用する必要があるため、反射率が低下し、必然的に画面が暗くなってしまうという問題がある。
また、従来においては、自動車の調光ミラーや、時計等にエレクトロクロミック(以下、ECと略称する。)素子が用いられている。
このEC素子による表示は、偏光板等が不要であり、視野角依存性が無く、受光型で視認性に優れ、構造が簡易でかつ大型化も容易で、更には材料の選択によって多様な色調の表示が可能であるという利点を有している。
近年、EC素子を用いた表示装置として、対の透明電極の少なくとも一方に半導体ナノ多孔質層を設け、この半導体ナノ多孔質層にEC色素を担持させた構成の表示装置に関する提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照。)。
この表示装置は、開回路を構成して電極間の電子の移動を遮断し酸化還元状態を保持するだけで表示状態を静止できるので、表示画像を維持する電力が不要であり、消費電力が極めて低いという点で特に優れている。
特開2003−248242号公報 特開2003−270670号公報
しかしながら上記従来の公知文献に記載されている技術においては、ビオロゲンと称されるビピリジン化合物を反応色素として用いており、これは、青色の発消色を可逆的に行うものであるため、元々フルカラー表示を行うことを前提していないものである。
フルカラー化に必要なシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に発色するEC色素については、従来、技術開示がなされていない。
また、従来提案されている表示装置は、色純度が低いという点や、精密かつ鮮明なカラー画像の表示を行うことが困難であるという問題を有していた。
そこで本発明においては、上述したような従来のEC素子の技術上の問題点に鑑みて、フルカラー画像形成に寄与し得る色素として、マゼンタの発色が可能な有機エレクトロミック色素に関して提案を行うこととした。
また更には、有機EC色素の化学構造についても検討を行うことにより、色純度が高く、鮮明な画像形成が可能であり、繰り返し耐久性にも優れたエレクトロクロミック装置を提供することとした。
本発明においては、支持基板上に、少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極同士が対面するように、電解質層を挟持して配置されており、前記一対の透明電極のうちの、少なくとも一方の上に、少なくとも下記式(6)〜(13)で示されるピリジン化合物のうち、いずれか1種が吸着されている多孔質電極が形成されており、前記一対の電極構造体に、電圧を印加することにより、マゼンタの可逆的な発消色を行うことエレクトロクロミック装置を提供する。
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本発明によれば、明瞭な色を多数回繰り返し安定して表示可能な、フルカラー画像形成に寄与し得るマゼンタ発色の有機EC色素を使用したことにより、応答速度、発色効率に優れ、色純度が高く、精密な画像制御が可能なエレクトロクロミック装置が得られた。
以下、本発明のエレクトロクロミック装置と、これを用いた表示方法について、図を参照して具体的に説明する。
但し、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、従来公知の構成を適宜付加することができ、本発明の要旨を何ら逸脱しないものとする。
図1に本発明のエレクトロクロミック装置の一例の概略断面図を示す。
エレクトロクロミック装置10は、支持基板1上に、透明電極2と、後述するピリジン化合物よりなる有機EC色素3が担持された多孔質電極4とを具備する構成の表示電極構造体11と、支持基板6上に、透明電極7と多孔質電極8とを具備する構成の対向電極構造体12とが、電解質層5を介して対向配置された構成を有している。
なお、図1においては、対向する透明電極2、7のいずれにも多孔質電極4、8が形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて一方の電極にのみ多孔質電極を形成させた構成としてもよい。以下、構成要素について順次説明する。
支持基板1、6は、耐熱性に優れ、かつ平面方向の寸法安定性の高い材料が好適であり、具体的には、ガラス材料、透明性樹脂が適用できるが、これに限定されるものではない。
前記透明性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
透明電極2、7は、所定の透明基板上に透明電極層が積層されたものとする。
透明電極層の形成用材料としては、例えば、In23とSnO2との混合物、いわゆるITO膜や、SnO2またはIn23をコーティングした膜等が挙げられる。
また、上記ITO膜や、SnO2 またはIn23をコーティングした膜にSn、Sb、F等をドーピングしても良く、その他MgOやZnO等も適用できる。
多孔質電極4、8は、後述する色素の担持機能を高くするべく、表面積が大きい材料により構成する。例えば、表面及び内部に微細孔を有した多孔質形状、ロット形状、ワイヤ形状等となっているものが好ましい。
多孔質電極4、8の材料は、例えば、金属、真性半導体、酸化物半導体、複合酸化物半導体、有機半導体、カーボン等が適用できる。
金属としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu等が挙げられ、真性半導体としては、例えば、Si、Ge、Te等が挙げられる。酸化物半導体としては、例えば、TiO2、SnO2、Fe23、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta25、Nb25、V25、In23、CdO、MnO、CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が挙げられる。また、複合体酸化物半導体としては、例えば、SnO2−ZnO、Nb25−SrTiO3、Nb25−Ta25、Nb25−ZrO2、Nb25−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、Sb−SnO2、Bi−SnO2、In−SnO2等が挙げられ、特にTiO2、SnO2、Sb−SnO2、In−SnO2が好適である。また、有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
次に、有機EC色素3について説明する。
有機EC色素3は、多孔質電極4の表面及び内部の微細孔に担持されているものとし、本発明においては、特に、下記一般式(1)で示されるピリジン化合物を適用する。
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但し、前記一般式(1)において、a、bはa×b=2を満たす整数であり、Xb-は適宜のb価アニオンを表している。これは、弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、過塩素酸イオン、過沃素酸イオン、六弗化燐酸イオン、六弗化アンチモン酸イオン、六弗化錫酸イオン、燐酸イオン、硼弗化水素酸イオン、四弗硼素酸イオン等の無機酸イオン、チオシアン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、ベンゼンカルボン酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、トリハロアルキルカルボン酸イオン、アルキル硫酸イオン、トリハロアルキル硫酸イオン、ニコチン酸イオン、テトラシアノキノジメタンイオン等の有機酸イオンから選択されるものとする。
1〜Y8は、水素原子か、あるいは、脂肪族炭化水素基、エーテル基、アシル基、ハロゲン基又は芳香族炭化水素基を表す。
1、A2は、置換されていても良い脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基であり、A1、A2のうち少なくともいずれか一方は、多孔質電極へ吸着するための吸着基を有している。吸着基の具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基、アミノ基、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物等が挙げられる。
上記一般式(1)に示した有機EC色素のピリジン化合物は、下記一般式(2)で表わされるピリジン化合物と、下記一般式(3)で表わされるハロゲン化物(特に臭化物、よう化物が好適)を適当な溶媒中、あるいは直接反応させることによって得ることができる。
Figure 0004894289
但し、Y1〜Y8は、水素原子か、あるいは、脂肪族炭化水素基、エーテル基、アシル基、ハロゲン基又は芳香族炭化水素基を表す。
A−X・・・(3)
但し、Xは臭素、あるいはヨウ素であるものとする。
Aは、上記A1、A2の構造に従うものとする。
また、一般式(2)で表わされる化合物は、例えば下記一般式(4)で表わされる化合物を、アルキルリチウム化合物と反応後、一般式(5)で表わされるピリジン化合物と反応させることによって、得ることができる。
Figure 0004894289
Xは臭素あるいはヨウ素を表わす。
Figure 0004894289
Rは水素原子、あるいは脂肪族炭化水素基を表わす。
上記一般式(1)に表す化合物については、前記但し書きに示す官能基を付した構造を全て合成することができ、いずれにおいても、本発明の目的であるマゼンタ発色が可能であることが確認された。
上記一般式(1)においては、2価として表記されているが、マゼンタ発色が行われる際には、還元反応により1価のラジカル状態となる。
この化合物はこの1価の状態に安定化させることが可能であり、マゼンタ発色用の有機EC色素として極めて優れていることが確かめられた。
上記一般式(1)で表されるピリジン化合物の具体例を下記式(6)〜(13)に示す。
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上記ピリジン化合物よりなる有機EC色素を、多孔質電極4に担持する方法について説明する。
例えば、多孔質電極4の表面に吸着させる方法、多孔質電極表面と有機EC色素とを化学的に結合させる方法等、従来公知の技術を適用できる。
具体的方法としては、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート等の塗布法、電界析出法、電界重合法、担持させる化合物の溶液に浸す自然吸着法等が適用でき、特に、自然吸着法、及び多孔質電極表面への有機EC色素を化学結合させる方法が好適である。
自然吸着法としては、所定の有機EC色素を所定の溶媒に溶解して溶液を作製し、予め乾燥処理を施した多孔質電極4を形成しておいた透明基板を浸漬する方法や、所定の有機EC色素を溶解した溶液を多孔質電極4に塗布する方法が挙げられる。
この自然吸着法において、有機EC色素を多孔質電極4に確実に吸着させるためには、有機EC色素の化学構造中に、吸着性を有する官能基を導しておくことが必要である。
この吸着性を有する官能基は、多孔質電極4の材料に応じて適宜選定する。例えば、多孔質電極4が酸化物半導体により構成されている場合には、有機EC色素の化学構造中の吸着性官能基として、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基等を導入しておく。
前記官能基は、有機EC色素の化学構造の骨格に直接導入してもよく、あるいはその他の所定の官能基を介して結合を形成することにより導入してもよい。前記のうち、所定の官能基を介する場合は、例えばアルキル基、フェニル基、エステル、アミド基等を介して吸着性の官能基を導入することができる。
なお、有機EC色素を溶解する溶媒としては、例えば、水、アルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素等が適用できる。これらは、単独で用いてもよく、適宜混合して用いてもよい。
また、多孔質電極4の表面に前記有機EC色素を化学結合させる際には、多孔質電極4の表面と有機EC色素骨格との間に、所定の官能基を介してもよい。例えば、アルキル基、フェニル基、エステル、アミド等の官能基が挙げられる。
また、多孔質電極4の表面をシランカップリング剤等によって改質した後に、有機EC色素を化学結合して形成させるようにしてもよい。
このような表面改質により、有機EC色素が多孔質電極4の材料と化学結合を形成するようになると、有機EC色素の結合力が強まり、例えば、電界質層5の材料として色素溶解性の高いものを使用するような場合に有利になり、有機色素の材料選択性が高まり、エレクトロクロミック装置の耐久性の向上も図られる。
なお、図1には、有機EC色素3を表示電極構造体11側の多孔質電極4のみに担持させた例について示したが、本発明のエレクトロクロミック装置はこの構成に限定されるものではない。
すなわち、対向電極構造体12側の多孔質電極8にも所定の有機EC色素を担持させた構成としてもよい。この場合には、発色反応と消色反応とが、酸化反応、還元反応のうち、それぞれ逆反応に応じて生じるように材料選定することが必要である。
例えば、多孔質電極4に担持させたピリジン色素が還元反応によってラジカル状態となり発色する場合には、多孔質電極8には定常状態で多孔質電極4に担持させたピリジン色素と同色調であり、酸化反応によって発色する有機EC色素を選定する。
このように、両電極構造体11、12において有機EC色素を担持させた構成とすることにより、最終的に得られるエレクトロクロミック装置において、発色が明瞭化し、画像の鮮明さを向上させることができる。
電解質層5は、溶媒に支持電解質が溶解された構成を有している。
支持電解質としては、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等のリチウム塩や、例えばKCl、KI、KBr等のカリウム塩や、例えばNaCl、NaI、NaBr等のナトリウム塩や、例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
電解質層5には、必要に応じて公知の酸化還元化合物を添加してもよい。酸化還元物質としては、例えばフェロセン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、ベンゾキノン誘導体、フェニレンジアミン誘導体等が適用できる。
溶媒としては、支持電解質を溶解し、上述した有機EC色素を溶解しないものを選択する。
例えば、水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等から適宜選定する。
また、電解質層5には、いわゆるマトリックス材を適用してもよい。
マトリックス材は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、骨格ユニットがそれぞれ、−(C−C−O)n−、−(CC(CH3)−O)n−、−(C−C−N)n−、若しくは−(C−C−S)n−で表されるポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。
なお、これらを主鎖構造として、適宜枝分かれ構造を有していてもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等も好適である。
電解質層5は、高分子固体電解質層としてもよい。
なお、この場合、マトリックス材のポリマーに所定の可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては、マトリックスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの混合物が好適であり、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、及びこれらの混合物が好適である。
次に、本発明のエレクトロクロミック装置10を用いた表示方法について説明する。
図1のエレクトロクロミック装置10において、多孔質電極4の表面には、定常状態において可視域に吸収をもたない有機EC色素である、一般式(1)に示すピリジン化合物が担持されている。
エレクトロクロミック装置10を構成する対の電極構造体11、12に、所定のリード線を結線し表示装置として構成する。
所定のリード線を通じて所定の電圧を印加すると、多孔質電極4とこれに担持された有機EC色素材料との間に電子の授受がなされ、有機EC色素において電気化学的な還元反応が起き、ラジカル状態となってマゼンタに発色する。
なお、本発明のエレクトロクロミック装置は、図1に示した構成に限定されるものではなく、多色表示が可能な装置構成に応用することができる。
すなわち、図1に示すエレクトロクロミック構成と同様の構造であって、電気化学的な反応によりラジカル状態となって、イエロー(Y)、シアン(C)に発色する有機EC色素を所定の多孔質電極に担持させて電極構造体を作製し、全体としてマゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の積層構造とすることにより、発消色表示を可逆的に行うことができるフルカラー表示のエレクトロクロミック装置が得られる。
次に、本発明のエレクトロクロミック装置についての具体的な実施例と、比較例を挙げて説明する。
(有機EC色素化合物の合成:上記式(6))
アルゴン雰囲気下、4−ブロモピリジン6.32g(0.04mol)を、ジエチルエーテル50mlに溶解し、−78℃の温度条件下、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)28mlを徐々に加えて1時間攪拌した。その後、イソニコチン酸エチル5g(0.033mol)をジエチルエーテル30mlに溶解して溶液を作製しこれを滴下し5時間攪拌した。
これを室温に戻し、その後、水を加え酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。
これを酢酸エチルで再結晶し、淡黄色結晶を得た。
この粉末0.37g(2mmol)と、2−ブロモエチルホスホン酸ジエチル1.96g(8mmol)を120℃で24時間反応させ、室温まで冷却した。
その後、水20mlを加えた。
酢酸エチルで3回洗浄し、濃塩酸20mlを加えて更に24時間加熱還流した。
溶媒を留去し、メタノールで再結晶すると、上記式(6)で表した化合物が得られた。
この化合物をNMR測定したところ、下記に示す測定データが得られ、上記式(6)に示す化合物であることが確認された。
1H−NMR(D2O)δ:8.78(4H,d,J=6.3Hz)、8.17(4H,d,J=6.3Hz)、4.68−4.55(8H,m)、2.19−2.11(4H,m)。
(表示電極構造体の作製)
厚さ1.1mmのガラス製の支持基板1上に、平面的に15Ω/□のFTO膜(透明電極2)を形成した。
次に、pH=約1.0の塩酸水溶液に1次粒径20nmの酸化チタンを15重量%分散させたスラリーに、ポリエチレングリコールを5重量%の割合で溶解させて塗料を作製した。この塗料を、上記FTO膜上にスキージ法によって塗布した。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行い、さらに、電気炉で500℃、1時間焼結を行い、膜厚3μmの酸化チタン多孔質電極4が形成されたFTO基板が得られた。
(有機EC色素の多孔質電極への吸着)
上記酸化チタン膜よりなる多孔質電極4が形成されたFTO基板を、上記のようにして作製した所定のピリジン化合物の5mM水溶液に24時間浸漬させ、酸化チタン電極に色素(有機EC色素)を吸着させた。
その後、エタノール溶液で洗浄処理、乾燥処理を行った。
(対向電極構造体の作製)
厚さ1.1mmのガラス製の支持基板6上に、平面的に15Ω/□のFTO膜(透明電極7)を形成した。
次に、酸性水溶液に1次粒径20nmのアンチモンドープされた酸化スズを20重量%分散させたスラリーに、ポリエチレングリコールを5重量%の割合で溶解させて塗料を作製した。この塗料を、上記FTO膜上にスキージ法によって塗布した。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行い、さらに、電気炉で500℃、1時間焼結を行い、膜厚12μmのアンチモンドープ酸化スズ多孔質電極8が形成されたFTO基板が得られた。
(電解質層用の溶液の調製)
電解質層5形成用溶液は、ガンマブチロラクロンに、過塩素酸リチウムを0.1mol/L溶解させ、脱水、脱気したものを適用した。
(電極構造体の貼り合わせ)
上述のようにして作製した表示電極構造体(有機EC色素が吸着した酸化チタン多孔質電極付きの基板)と、対向電極構造体(アンチモンドープ酸化スズ多孔質電極付きの基板)とを、厚さ50μmの熱可塑性フィルム接着剤を用いて、90℃で貼り合わせた。
この際、後述の工程により、電解液を注入できるように、一部分に注入口を形成した。
(電解質溶液の注入)
前記電解液を、注入口から注入した。
その後、注入口をエポキシ系の熱硬化樹脂で封止することにより、電解質層を挟持した状態で対向した電極構造体を具備するエレクトロクロミック装置が完成した。
上述したエレクトロクロミック装置の製造工程に従い、多孔質電極に担持させる有機EC色素について異なるものを適用し、下記実施例、及び比較例のサンプルセルを作製した。
(実施例サンプルの作製)
有機EC色素として、上記式(6)のピリジン化合物を適用して、エレクトロクロミック装置を作製した。
このエレクトロクロミック装置の、表示電極と対向電極の間に、−1.8Vの電圧を印加すると、直ちにマゼンタに発色した。図2に発色時のスペクトルを示す。なお表示変更の応答速度は約150msであり、実用上充分に良好な速度であった。
更にこれらの電極間に0.5Vを印加すると再び直ちに透明となった。表示変更の応答速度は約70msであった。
この実施例におけるエレクトロクロミック装置の表示電極と対向電極の間に、−1.8Vと0.5Vを交互に1Hzで100万回印加したところ、100万回電圧印加後においても、初期の状態とスペクトル形状の変化が殆ど確認されなかった。このことから、本発明のエレクトロクロミック装置は、実用上極めて優れた耐久性を有していることが確認された。
上記実施例において適用した式(6)の有機EC色素に代えて、上記式(7)、式(10)に示す化合物よりなる有機EC色素を適用し。それぞれエレクトロクロミック装置を作製した。
表示電極と対向電極の間に−1.8Vの電圧を印加すると、直ちにマゼンタの発色が得られた。
上記式(7)、式(10)の化合物よりなる有機EC色素を用いた場合の発色スペクトルをそれぞれ図3、図4に示した。
また、これらの発色応答速度は、150ms〜170ms(−1.8V)、60ms〜70ms(0.5V)であった。
これらの結果から明らかなように、本発明のエレクトロクロミック装置によれば、吸収波長幅が狭く、鮮やかなマゼンタの発消色を可逆的に行うことができた。
これらのうち、特に上記式(10)のピリジン化合物よりなる有機EC色素を適用した場合(図4)が、550nm近傍に急峻なピークが形成され、明瞭なマゼンタ発色が充分な濃度で得られた。
〔比較例〕
有機EC色素として、下記式(14)に示す、従来公知の有機EC色素を適用して、上述した実施例と同様にエレクトロクロミック装置を作製し、上記実施例と同様の発消色評価を行った。
Figure 0004894289
この比較例におけるエレクトロクロミック装置の、表示電極と対向電極の間に、−1.8Vの電圧を印加したところ青色の発色を示した。発色スペクトルを図5に示す。
図5から明らかなように、比較例のエレクトロクロミック装置においてはフルカラー表示に要求される発色は得られないことが確かめられた。
上述したことから明らかなように、本発明によれば、電極構造体を構成する多孔質電極に担持する有機EC色素として、一般式(1)に示すピリジン化合物を適用したことにより、極めて応答反応に優れ、鮮鋭な色調で、安定に可逆的な発消色を行うことができるマゼンタ発色のエレクトロクロミック装置を提供できた。
本発明のエレクトロクロミック装置の一例の概略断面図を示す。 式(6)を適用した実施例の装置の発色時の可視吸収スペクトルを測定した結果を示す。 式(7)を適用した実施例の装置の発色時の可視吸収スペクトルを測定した結果を示す。 式(10)を適用した実施例の装置の発色時の可視吸収スペクトルを測定した結果を示す。 式(14)を適用した比較例の装置の発色時の可視吸収スペクトルを測定した結果を示す。
符号の説明
1,6……支持基板、2……透明電極、3……有機EC色素、4,8……多孔質電極、5……電解質層、10……エレクトロクロミック装置、11……表示電極構造体、12……対向電極構造体

Claims (2)

  1. 支持基板上に、少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極同士が対面するように、電解質層を挟持して配置されており、
    前記一対の透明電極のうちの、少なくとも一方の上に、少なくとも下記式(6)〜(13)で示されるピリジン化合物のうち、いずれか1種が吸着されている多孔質電極が形成されており、
    前記一対の電極構造体に電圧を印加することにより、マゼンタの可逆的な発消色を行
    レクトロクロミック装置。
    Figure 0004894289
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  2. 前記多孔質電極が、メソポーラス形状、粒子状、ロット形状、ワイヤ形状の、金属、半導体材料、あるいは導電性高分子により形成されてい
    求項1に記載のエレクトロクロミック装置。
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