JP2007121636A - エレクトロクロミック装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】色純度が高く、精密な色制御が可能で、鮮鋭かつ明瞭なフルカラー画像表示が可能で、極めて繰り返し耐久性に優れたエレクトロクロミック装置を提供する。
【解決手段】支持基板1、6上に透明電極2、7が形成されている一対の電極構造体11、12が、電解質層5を挟持して配置されており、透明電極上には、有機EC色素3が担持されている多孔質電極4が形成されており、有機EC色素3が、電気化学的に、酸化反応あるいは還元反応を起こすことによって、可逆的に、可視域において発色あるいは消色するものとし、多孔質電極4の表面は改質処理がなされており、多孔質電極上に形成された官能基と、有機EC色素の化合物とが、化学結合しているものとする。
【選択図】図1
【解決手段】支持基板1、6上に透明電極2、7が形成されている一対の電極構造体11、12が、電解質層5を挟持して配置されており、透明電極上には、有機EC色素3が担持されている多孔質電極4が形成されており、有機EC色素3が、電気化学的に、酸化反応あるいは還元反応を起こすことによって、可逆的に、可視域において発色あるいは消色するものとし、多孔質電極4の表面は改質処理がなされており、多孔質電極上に形成された官能基と、有機EC色素の化合物とが、化学結合しているものとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、応答速度、発色効率、表示色純度に優れ、明瞭で鮮鋭な画像形成が可能であり、繰り返し耐久性にも優れたエレクトロクロミック装置に関する。
近年、明るく色純度に優れ、かつ省消費電力で、フルカラー表示への応用が容易な表示色素材料への要望が高まってきている。
従来においては、CRT、LCD、PDP、ELD等の発光型素子は明るくて見やすいという特徴を有しており、多くの技術の提案がなされてきた。
しかしながら、上記各種発光型素子は、ユーザーが発光を直視する形式で使用するものであるため、長時間閲覧すると視覚的な疲労を引き起こすという問題がある。
また携帯電話等のモバイル機器は、屋外で使用される場合が多く、太陽光下では、発光が相殺されて視認性が悪化するという問題もあった。
またLCDは、発光型素子の中でも特に需要が拡大している技術であり、大型、小型の、様々なディスプレイ用途に用いられているが、LCDは視野角が狭く、見やすさの観点からは他の発光型素子に比較すると改善すべき課題を有している。
従来においては、CRT、LCD、PDP、ELD等の発光型素子は明るくて見やすいという特徴を有しており、多くの技術の提案がなされてきた。
しかしながら、上記各種発光型素子は、ユーザーが発光を直視する形式で使用するものであるため、長時間閲覧すると視覚的な疲労を引き起こすという問題がある。
また携帯電話等のモバイル機器は、屋外で使用される場合が多く、太陽光下では、発光が相殺されて視認性が悪化するという問題もあった。
またLCDは、発光型素子の中でも特に需要が拡大している技術であり、大型、小型の、様々なディスプレイ用途に用いられているが、LCDは視野角が狭く、見やすさの観点からは他の発光型素子に比較すると改善すべき課題を有している。
一方、従来、反射型表示素子に関しては、電子ペーパーの需要向上により様々な技術の提案がなされている。
例えば、反射型LCDや電気泳動方式が挙げられる。
反射型LCDには、二色性色素を用いたG−H型液晶方式や、コレステリック液晶等がある。これらの方式は、従来の発光型LCDと比較して、バックライトを使用しないために省消費電力であるという利点を有しているが、視野角依存性があり、また光反射効率も低いため、必然的に画面が暗くなってしまうという問題を有している。
他方、電気泳動方式は、溶媒中に分散された電荷を帯びた粒子が、電界によって移動する現象を利用した方式であり、省消費電力で、視野角依存性がないという利点を有しているが、フルカラー化を行う場合には、カラーフィルターを利用する並置混合法を適用するため、反射率が低下し、必然的に画面が暗くなるという問題を有している。
例えば、反射型LCDや電気泳動方式が挙げられる。
反射型LCDには、二色性色素を用いたG−H型液晶方式や、コレステリック液晶等がある。これらの方式は、従来の発光型LCDと比較して、バックライトを使用しないために省消費電力であるという利点を有しているが、視野角依存性があり、また光反射効率も低いため、必然的に画面が暗くなってしまうという問題を有している。
他方、電気泳動方式は、溶媒中に分散された電荷を帯びた粒子が、電界によって移動する現象を利用した方式であり、省消費電力で、視野角依存性がないという利点を有しているが、フルカラー化を行う場合には、カラーフィルターを利用する並置混合法を適用するため、反射率が低下し、必然的に画面が暗くなるという問題を有している。
また、従来においては、自動車の調光ミラーや、時計等にエレクトロクロミック(以下、ECと略称する。)素子が用いられている。
このEC素子による発光は、偏光板等が不要であり、視野角依存性が無く、受光型で視認性に優れ、構造が簡易でかつ大型化も容易で、更には材料の選択によって多様な色調の発光が可能であるという利点を有している。
このようなEC素子を用いると、減法混色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の発色が可能な色素を適用してC、M、Y発色層を積層した構成とすることによって、フルカラー表示を実現できる。
また黒色は、C、M、Yを混色することにより表示でき、白色は、各色素を消色状態として透明にし、背景色を白色にすることにより表示できる。
このEC素子による発光は、偏光板等が不要であり、視野角依存性が無く、受光型で視認性に優れ、構造が簡易でかつ大型化も容易で、更には材料の選択によって多様な色調の発光が可能であるという利点を有している。
このようなEC素子を用いると、減法混色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の発色が可能な色素を適用してC、M、Y発色層を積層した構成とすることによって、フルカラー表示を実現できる。
また黒色は、C、M、Yを混色することにより表示でき、白色は、各色素を消色状態として透明にし、背景色を白色にすることにより表示できる。
一方、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色において、カラー表示及び黒色表示は容易であるが、白色表示を行う際に、R、G、Bを混色させるとグレーに発色してしまい、鮮鋭な白色を表示することは困難である。
ところで近年、EC素子においては、対の透明電極の少なくとも一方に半導体ナノ多孔質層を設け、この半導体ナノ多孔質層にEC色素を担持させた構成の表示装置に関する技術の提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照。)。
この表示装置は、開回路を構成して電極間の電子の移動を遮断し酸化還元状態を保持するだけで表示状態を静止できるので、表示画像を維持する電力が不要であり、消費電力の低減化が図られるという利点を有している。
この表示装置は、開回路を構成して電極間の電子の移動を遮断し酸化還元状態を保持するだけで表示状態を静止できるので、表示画像を維持する電力が不要であり、消費電力の低減化が図られるという利点を有している。
ところで、上記従来の公知文献中の技術で適用されているEC色素は、酸化又は還元反応を起こしてラジカル状態となって発色する性質を有するものである。
しかしながら、ラジカル発色をするEC色素は、ラジカル状態において複数の電子遷移に伴う発色吸収が出現することから、必然的に発色吸収幅が広くなるものであり、全体として精密な色相制御を行い、精細な画像表示を行うことは困難である。
すなわち、上記従来の技術においては、ラジカル発色するEC色素を用いてフルカラー画像を形成していたため、色純度が低くなり、精密かつ鮮明な色表示を行うために改善すべき課題を有していた。
しかしながら、ラジカル発色をするEC色素は、ラジカル状態において複数の電子遷移に伴う発色吸収が出現することから、必然的に発色吸収幅が広くなるものであり、全体として精密な色相制御を行い、精細な画像表示を行うことは困難である。
すなわち、上記従来の技術においては、ラジカル発色するEC色素を用いてフルカラー画像を形成していたため、色純度が低くなり、精密かつ鮮明な色表示を行うために改善すべき課題を有していた。
ラジカル発色するEC色素としては、ビピリジン誘導体が広く知られているが、これは、繰り返し発消色性に優れている材料である。この理由としてビピリジン誘導体は、2価カチオンを1価カチオンに還元することにより、発消色を得ることができるということにある。ビピリジン誘導体の2価カチオン、1価カチオンは、共に電解液には不溶であり、繰り返し発消色を行っても電解液には溶出せず、多孔質電極上に吸着させた状態を維持できるので、多数回の繰り返して発消色を行った場合に高い耐久性を発揮できるのである。
しかしながら、ラジカル状態を介して色相変化を行う多くのEC色素材料、特に、定常状態で発色し、ラジカル状態で消色するタイプのEC色素は、電荷を持たないニュートラル状態を形成する際に、容易に電解液に溶解してしまい、特に多数回発消色を行う耐久性について、改善すべき課題を有していた。
そこで本発明においては、上述したような従来提案されているEC素子の問題点に鑑みて、色純度が高く、スペクトルの発色吸収幅が狭く精密で明瞭な発消色性を可能であり、更には多数回にわたって発消動作を繰り返して行った場合においても、高いレベルで機能を持続可能なエレクトロクロミック装置を提供することとした。
本発明においては、支持基板上に少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極形成側が対向するように、電解質層を挟持して配置されており、前記一対の透明電極のうちの、少なくとも一方の上に、有機EC色素が、少なくとも一種類担持されている多孔質電極が形成されており、前記有機EC色素が、電気化学的に酸化還元反応を起こすことによって、可逆的に、可視域において発消色するものとし、前記多孔質電極の表面は、改質されており、当該改質された多孔質電極上の官能基と、前記有機EC色素とが、化学結合している構成のエレクトロクロミック装置を提供する。
また、本発明においては、支持基板上に少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極形成側が対向するように、電解質層を挟持して配置されており、 前記一対の透明電極のうちの、少なくとも一方の上に、有機EC色素が、少なくとも一種類担持されている多孔質電極が形成されて構成されるエレクトロクロミック層構造体が、二層以上積層されており、前記有機EC色素が、電気化学的に酸化還元反応を起こすことによって、可逆的に、可視域において発消色するものとし、前記多孔質電極の表面は、改質されており、当該改質された多孔質電極上の官能基と、前記有機EC色素とが、化学結合している構成のエレクトロクロミック装置を提供する。
本発明によれば、応答速度、発色効率に優れ、色純度が高く、精密な画像制御が可能で、明瞭な色表示を多数回繰り返しても安定して形成可能なエレクトロクロミック装置が得られた。
以下、本発明のエレクトロクロミック装置と、これを用いた表示方法について、図を参照して具体的に説明する。
但し、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、従来公知の構成を適宜付加することができ、本発明の要旨を何ら逸脱しないものとする。
但し、本発明は、以下の例に限定されるものではなく、従来公知の構成を適宜付加することができ、本発明の要旨を何ら逸脱しないものとする。
図1に本発明のエレクトロクロミック装置の一例の概略断面図を示す。
エレクトロクロミック装置10は、支持基板1上に、透明電極2と、有機EC色素3が担持された多孔質電極4とを具備する構成の表示電極構造体11と、支持基板6上に、透明電極7と多孔質電極8とを具備する構成の対向電極構造体12とが、電解質層5を介して対向配置された構成を有している。
なお、図1においては、対向する透明電極2、7のいずれにも多孔質電極4、8が形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて一方の電極にのみ多孔質電極を形成させた構成としてもよい。以下、構成要素について順次説明する。
エレクトロクロミック装置10は、支持基板1上に、透明電極2と、有機EC色素3が担持された多孔質電極4とを具備する構成の表示電極構造体11と、支持基板6上に、透明電極7と多孔質電極8とを具備する構成の対向電極構造体12とが、電解質層5を介して対向配置された構成を有している。
なお、図1においては、対向する透明電極2、7のいずれにも多孔質電極4、8が形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて一方の電極にのみ多孔質電極を形成させた構成としてもよい。以下、構成要素について順次説明する。
支持基板1、6は、耐熱性に優れ、かつ平面方向の寸法安定性の高い材料が好適であり、具体的には、ガラス材料、透明性樹脂が適用できるが、これに限定されるものではない。
前記透明性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
前記透明性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
透明電極2、7は、所定の透明基板上に透明電極層が積層されたものとする。
透明電極層の形成用材料としては、例えば、In2O3とSnO2との混合物、いわゆるITO膜や、SnO2またはIn2O3をコーティングした膜等が挙げられる。
また、上記ITO膜や、SnO2 またはIn2O3をコーティングした膜にSn、Sb、F等をドーピングしても良く、その他MgOやZnO等も適用できる。
透明電極層の形成用材料としては、例えば、In2O3とSnO2との混合物、いわゆるITO膜や、SnO2またはIn2O3をコーティングした膜等が挙げられる。
また、上記ITO膜や、SnO2 またはIn2O3をコーティングした膜にSn、Sb、F等をドーピングしても良く、その他MgOやZnO等も適用できる。
多孔質電極4、8は、後述する色素の担持機能を高くするべく、表面積が大きい材料により構成する。例えば、表面及び内部に微細孔を有した多孔質形状、ロット形状、ワイヤ形状等となっているものが好ましい。
多孔質電極4、8の材料は、例えば、金属、真性半導体、酸化物半導体、複合酸化物半導体、有機半導体、カーボン等が適用できる。
金属としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu等が挙げられ、真性半導体としては、例えば、Si、Ge、Te等が挙げられる。酸化物半導体としては、例えば、TiO2、SnO2、Fe2O3、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、V2O5、In2O3、CdO、MnO、CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が挙げられる。また、複合体酸化物半導体としては、例えば、SnO2−ZnO、Nb2O5−SrTiO3、Nb2O5−Ta2O5、Nb2O5−ZrO2、Nb2O5−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、Sb−SnO2、Bi−SnO2、In−SnO2等が挙げられ、特にTiO2、SnO2、Sb−SnO2、In−SnO2が好適である。また、有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
多孔質電極4、8の材料は、例えば、金属、真性半導体、酸化物半導体、複合酸化物半導体、有機半導体、カーボン等が適用できる。
金属としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu等が挙げられ、真性半導体としては、例えば、Si、Ge、Te等が挙げられる。酸化物半導体としては、例えば、TiO2、SnO2、Fe2O3、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、V2O5、In2O3、CdO、MnO、CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が挙げられる。また、複合体酸化物半導体としては、例えば、SnO2−ZnO、Nb2O5−SrTiO3、Nb2O5−Ta2O5、Nb2O5−ZrO2、Nb2O5−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、Sb−SnO2、Bi−SnO2、In−SnO2等が挙げられ、特にTiO2、SnO2、Sb−SnO2、In−SnO2が好適である。また、有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
多孔質電極4の表面は、有機EC色素3と化学結合を形成させるべく、表面改質されている。
表面の改質方法としては、特に限定されるものではく、コロナ放電処理、プラズマ処理、UV−オゾン処理、エッチング、プライマー処理等が挙げられるが、特に、有機金属化合物を用いた表面改質処理が好適である。この場合、有機金属化合物としては、チタン、アルミニウム、ケイ素、及びジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の金属原子を含む化合物が好ましく、多孔質電極の材料である金属酸化物粒子との反応性が高く、取扱いも容易である。
また、表面の改質処理用の材料としては、イソシアネート基を有する化合物も好適である。
表面の改質方法としては、特に限定されるものではく、コロナ放電処理、プラズマ処理、UV−オゾン処理、エッチング、プライマー処理等が挙げられるが、特に、有機金属化合物を用いた表面改質処理が好適である。この場合、有機金属化合物としては、チタン、アルミニウム、ケイ素、及びジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の金属原子を含む化合物が好ましく、多孔質電極の材料である金属酸化物粒子との反応性が高く、取扱いも容易である。
また、表面の改質処理用の材料としては、イソシアネート基を有する化合物も好適である。
また、表面改質処理により、多孔質電極の表面には官能基が形成されるが、末端官能基は、有機EC色素3と化学結合させるために、有機EC色素の官能基と化学結合可能な官能基であるものとする。
このような官能基を形成するためには、改質剤としてシランカップリング剤が好適であり、具体的には、クロロベンジルトリクロロシラン、クロロベンジルトリメトキシシラン、ブロモプロピルトリクロロシラン、アミノプロピルトリクロロシラン、ヒドロキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。
上記各種シランカップリング剤を用いると、多孔質電極4の表面官能基がアミノ基、ハロゲンに改質され、アミノ基、ハロゲンと反応する官能基を有する有機EC色素3と化学結合を形成させることができる。
このような官能基を形成するためには、改質剤としてシランカップリング剤が好適であり、具体的には、クロロベンジルトリクロロシラン、クロロベンジルトリメトキシシラン、ブロモプロピルトリクロロシラン、アミノプロピルトリクロロシラン、ヒドロキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。
上記各種シランカップリング剤を用いると、多孔質電極4の表面官能基がアミノ基、ハロゲンに改質され、アミノ基、ハロゲンと反応する官能基を有する有機EC色素3と化学結合を形成させることができる。
多孔質電極に官能基を介して担持されている有機EC色素3としては、公知の材料を用いることができ、具体的には、ベンゾキノン化合物、ナフトキノン化合物、アントラキノン化合物、シアニン化合物、スチリル化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、インジゴ系化合物、スピロピラン化合物、フルギド化合物、キサンテン化合物、ジアリールエテン化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、分子間CT化合物、ドナー/アクセプター型化合物が挙げられる。
但し、色純度を高くし、スペクトルの発色吸収幅が狭く精密で明瞭な発消色性を発揮するためには、定常状態で発色しラジカル状態で消色する有機EC色素化合物がより好適である。かかる有機EC色素を適用し、多孔質電極表面の官能基と化学結合させて強固な結合状態を形成させることにより、多数回繰り返して優れた発消色機能を持続可能な高耐久性のエレクトロクロミック装置が得られる。
但し、色純度を高くし、スペクトルの発色吸収幅が狭く精密で明瞭な発消色性を発揮するためには、定常状態で発色しラジカル状態で消色する有機EC色素化合物がより好適である。かかる有機EC色素を適用し、多孔質電極表面の官能基と化学結合させて強固な結合状態を形成させることにより、多数回繰り返して優れた発消色機能を持続可能な高耐久性のエレクトロクロミック装置が得られる。
上記有機EC色素3の末端官能基と多孔質電極4との間の化学結合は、特に限定されるものでない。例えば、アルキル基、アミド基、エステル基、フェニル基等が挙げられる。
有機EC色素のモル吸光係数は、1000[1/M・cm](M=mol/l)以上、更には、10000[1/M・cm]以上であることが好ましい。
なお、図1には、有機EC色素3を表示電極構造体11側の多孔質電極4のみに担持させた例を示したが、本発明のエレクトロクロミック装置はこの構成に限定されるものではない。
すなわち、対向電極構造体12側の多孔質電極8にも所定の有機EC色素を担持させた構成としてもよい。この場合には、発色反応と消色反応とが、酸化反応、還元反応のうち、それぞれ逆反応に応じて生じるように材料選定することが必要である。
例えば、多孔質電極4に担持させた有機EC色素が還元反応によってラジカル状態となり発色する場合には、多孔質電極8には定常状態で多孔質電極4に担持させた有機EC色素と同色調であり、酸化反応によって消色する有機EC色素を選定する。
この際、対向電極構造体12側の多孔質電極8に担持させた有機EC色素についても、表示電極構造体11側と同様に、多孔質電極と有機EC色素とが官能基を介して化学結合しているようにする。
このように、両電極構造体11、12において有機EC色素を担持させた構成とすることにより、最終的に得られるエレクトロクロミック装置において、発色が明瞭化し、画像の鮮明さを向上させることができる。
すなわち、対向電極構造体12側の多孔質電極8にも所定の有機EC色素を担持させた構成としてもよい。この場合には、発色反応と消色反応とが、酸化反応、還元反応のうち、それぞれ逆反応に応じて生じるように材料選定することが必要である。
例えば、多孔質電極4に担持させた有機EC色素が還元反応によってラジカル状態となり発色する場合には、多孔質電極8には定常状態で多孔質電極4に担持させた有機EC色素と同色調であり、酸化反応によって消色する有機EC色素を選定する。
この際、対向電極構造体12側の多孔質電極8に担持させた有機EC色素についても、表示電極構造体11側と同様に、多孔質電極と有機EC色素とが官能基を介して化学結合しているようにする。
このように、両電極構造体11、12において有機EC色素を担持させた構成とすることにより、最終的に得られるエレクトロクロミック装置において、発色が明瞭化し、画像の鮮明さを向上させることができる。
電解質層5は、溶媒に支持電解質が溶解された構成を有している。
支持電解質としては、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等のリチウム塩や、例えばKCl、KI、KBr等のカリウム塩や、例えばNaCl、NaI、NaBr等のナトリウム塩や、例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
溶媒としては、支持電解質を溶解し、上述した有機EC色素を溶解しないものを選択する。
例えば、水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン等から適宜選定する。
支持電解質としては、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等のリチウム塩や、例えばKCl、KI、KBr等のカリウム塩や、例えばNaCl、NaI、NaBr等のナトリウム塩や、例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
溶媒としては、支持電解質を溶解し、上述した有機EC色素を溶解しないものを選択する。
例えば、水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン等から適宜選定する。
また、電解質層5には、いわゆるマトリックス材を適用してもよい。
マトリックス材は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、骨格ユニットがそれぞれ、−(C−C−O)n−、−(CC(CH3)−O)n−、−(C−C−N)n−、若しくは−(C−C−S)n−で表されるポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。
なお、これらを主鎖構造として、適宜枝分かれ構造を有していてもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等も好適である。
マトリックス材は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、骨格ユニットがそれぞれ、−(C−C−O)n−、−(CC(CH3)−O)n−、−(C−C−N)n−、若しくは−(C−C−S)n−で表されるポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。
なお、これらを主鎖構造として、適宜枝分かれ構造を有していてもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等も好適である。
電解質層5は、高分子固体電解質層としてもよい。
なお、この場合、マトリックス材のポリマーに所定の可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては、マトリックスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの混合物が好適であり、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、及びこれらの混合物が好適である。
なお、この場合、マトリックス材のポリマーに所定の可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては、マトリックスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの混合物が好適であり、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、及びこれらの混合物が好適である。
次に、上述したエレクトロクロミック装置10を用いた表示方法について説明する。
図1のエレクトロクロミック装置10において、多孔質電極4の表面には、有機EC色素が担持されているものとする。
エレクトロクロミック装置10を構成する対の電極構造体11、12に、所定のリード線を結線し電極端子13を設けて表示装置として構成する。
電極端子13からリード線を通じて所定の電圧を印加すると、多孔質電極4とこれに担持された有機EC色素材料との間に電子の授受がなされ、有機EC色素において電気化学的な酸化反応、あるいは還元反応が起き、材料に応じて発色、あるいは消色反応が起こる。
図1のエレクトロクロミック装置10において、多孔質電極4の表面には、有機EC色素が担持されているものとする。
エレクトロクロミック装置10を構成する対の電極構造体11、12に、所定のリード線を結線し電極端子13を設けて表示装置として構成する。
電極端子13からリード線を通じて所定の電圧を印加すると、多孔質電極4とこれに担持された有機EC色素材料との間に電子の授受がなされ、有機EC色素において電気化学的な酸化反応、あるいは還元反応が起き、材料に応じて発色、あるいは消色反応が起こる。
なお、本発明のエレクトロクロミック装置は、図1に示した構成に限定されるものではなく、多色表示が可能な装置構成とすることもできる。
すなわち、図1に示すエレクトロクロミック構成と同様の構造であって、有機EC色素として、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)に発色する材料を多孔質電極に担持させた電極構造体を複数積層させることにより、複数色の組み合わせやこれらの発消色表示を可逆的に行うことができるフルカラー表示のエレクトロクロミック装置が得られる。
すなわち、図1に示すエレクトロクロミック構成と同様の構造であって、有機EC色素として、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)に発色する材料を多孔質電極に担持させた電極構造体を複数積層させることにより、複数色の組み合わせやこれらの発消色表示を可逆的に行うことができるフルカラー表示のエレクトロクロミック装置が得られる。
次に、本発明のエレクトロクロミック装置についての具体的な実施例と、比較例を挙げて説明する。
(表示電極構造体の作製)
厚さ1mmで、1cm×1cmのガラス製の支持基板上に、平面的にFTO膜(透明電極)を配列形成した。
次に、酸化チタン(石原産業社製、粒径200nm)を、ポリエチレングリコールを8重量%の割合で溶解させた水:エタノール=1:1の混合溶液(アセチルアセトン5重量%、トリトン5重量%含有)中に、濃度15重量%となるように添加し、超音波ホモジナイザーを用いて60秒間攪拌し均一に分散させた。この白色顔料入り高分子溶液を、上記FTO膜上にスピンコートした。なお、スピンコートは、500rpmで4秒、次いで2500rpmで20秒行った。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行った。
次に、電気炉で500℃、3時間焼結を行い、酸化チタン膜(多孔質電極)が形成されたFTO基板が得られた。
厚さ1mmで、1cm×1cmのガラス製の支持基板上に、平面的にFTO膜(透明電極)を配列形成した。
次に、酸化チタン(石原産業社製、粒径200nm)を、ポリエチレングリコールを8重量%の割合で溶解させた水:エタノール=1:1の混合溶液(アセチルアセトン5重量%、トリトン5重量%含有)中に、濃度15重量%となるように添加し、超音波ホモジナイザーを用いて60秒間攪拌し均一に分散させた。この白色顔料入り高分子溶液を、上記FTO膜上にスピンコートした。なお、スピンコートは、500rpmで4秒、次いで2500rpmで20秒行った。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行った。
次に、電気炉で500℃、3時間焼結を行い、酸化チタン膜(多孔質電極)が形成されたFTO基板が得られた。
(有機EC色素の多孔質電極への結合)
3−アミノプロピルトリメトキシシランを10%となるように、エタノールと水の混合溶媒(重量比1:1)と混合した液に、酸化チタン膜を形成したFTO基板を浸漬し、50℃で3時間放置した。
その後、FTO基板を取り出して、エタノール、水で洗浄して、酸化チタン表面処理をしたFTO基板を得た。
次に、所定の有機EC色素を、濃度3重量%となるように炭酸プロピレンに溶解して色素溶液を作製し、更にN,N’-ジイソプロピルカルボジイミドを数滴加えた。
この溶液中に、上記表面処理した酸化チタン膜が形成されたFTO基板を浸漬させ、110℃で5時間攪拌して、酸化チタン電極に色素(有機EC色素膜)を化学結合させた。
その後、エタノール溶液で洗浄処理を行い、乾燥させた。
3−アミノプロピルトリメトキシシランを10%となるように、エタノールと水の混合溶媒(重量比1:1)と混合した液に、酸化チタン膜を形成したFTO基板を浸漬し、50℃で3時間放置した。
その後、FTO基板を取り出して、エタノール、水で洗浄して、酸化チタン表面処理をしたFTO基板を得た。
次に、所定の有機EC色素を、濃度3重量%となるように炭酸プロピレンに溶解して色素溶液を作製し、更にN,N’-ジイソプロピルカルボジイミドを数滴加えた。
この溶液中に、上記表面処理した酸化チタン膜が形成されたFTO基板を浸漬させ、110℃で5時間攪拌して、酸化チタン電極に色素(有機EC色素膜)を化学結合させた。
その後、エタノール溶液で洗浄処理を行い、乾燥させた。
(対向電極構造体の作製)
厚さ1mmで、1cm×1cmのガラス製の支持基板上に、平面的にFTO膜(透明電極)を配列形成した。
次に酸化スズ(石原産業社製、粒径200nm)を、ポリエチレングリコールを8重量%の割合で溶解させた水:エタノール=1:1の混合溶液(アセチルアセトン5重量%、トリトン5重量%含有)中に濃度が15重量%となるように添加し、超音波ホモジナイザーを用いて60秒間攪拌し均一に分散させた。
この白色顔料入り高分子溶液を、上記FTO膜上にスピンコートした。
なお、スピンコートは、500rpmで4秒、次いで2500rpmで20秒行った。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行った。
次に、電気炉で500℃、3時間焼結を行い、酸化スズ膜(多孔質電極)が形成されたFTO基板が得られた。
厚さ1mmで、1cm×1cmのガラス製の支持基板上に、平面的にFTO膜(透明電極)を配列形成した。
次に酸化スズ(石原産業社製、粒径200nm)を、ポリエチレングリコールを8重量%の割合で溶解させた水:エタノール=1:1の混合溶液(アセチルアセトン5重量%、トリトン5重量%含有)中に濃度が15重量%となるように添加し、超音波ホモジナイザーを用いて60秒間攪拌し均一に分散させた。
この白色顔料入り高分子溶液を、上記FTO膜上にスピンコートした。
なお、スピンコートは、500rpmで4秒、次いで2500rpmで20秒行った。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行った。
次に、電気炉で500℃、3時間焼結を行い、酸化スズ膜(多孔質電極)が形成されたFTO基板が得られた。
(電解質層用の溶液の調製)
電解質溶液は下記(a)〜(c)の3種類作製した。
(a)テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート1モルを、プロピレンカーボネートに溶解させた。
(b)過塩素酸リチウム1モルをγ−ブチロラクトンに溶解させた。
(c)ポリエチレンオキサイド8重量部とテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート1mol/lを、プロピレンカーボネートに溶解させ、次にこれに白色顔料として平均粒径0.5μmのアルミナ25重量部を添加し、超音波ホモジナイザーで均一分散させた。
電解質溶液は下記(a)〜(c)の3種類作製した。
(a)テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート1モルを、プロピレンカーボネートに溶解させた。
(b)過塩素酸リチウム1モルをγ−ブチロラクトンに溶解させた。
(c)ポリエチレンオキサイド8重量部とテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート1mol/lを、プロピレンカーボネートに溶解させ、次にこれに白色顔料として平均粒径0.5μmのアルミナ25重量部を添加し、超音波ホモジナイザーで均一分散させた。
(電極構造体の貼り合わせ)
上述のようにして作製した表示電極構造体(色素が結合した酸化チタン膜付き基板)と、対向電極構造体(酸化スズ膜付き基板)とを、径0.5μmの球状ポリスチレンとエポキシ系の熱硬化樹脂を混合した接着剤を用いて貼り合わせた。
この際、後述の工程により、電解液を注入できるように、一部分は接着剤を塗布せずに注入口を形成した。その後、セルを100℃で1時間硬化させた。
上述のようにして作製した表示電極構造体(色素が結合した酸化チタン膜付き基板)と、対向電極構造体(酸化スズ膜付き基板)とを、径0.5μmの球状ポリスチレンとエポキシ系の熱硬化樹脂を混合した接着剤を用いて貼り合わせた。
この際、後述の工程により、電解液を注入できるように、一部分は接着剤を塗布せずに注入口を形成した。その後、セルを100℃で1時間硬化させた。
(電解質溶液の注入)
前記電解液を、注入口から注入した。
その後、注入口をエポキシ系の熱硬化樹脂で封止し、再度100℃で、一時間熱硬化処理を行うことにより、電解質層を挟持した状態で対向した電極構造体を具備するエレクトロクロミック装置が完成した。
上述したエレクトロクロミック装置の製造工程に従い、多孔質電極に担持させる有機EC色素について異なるものを適用し、下記実施例、及び比較例のサンプルセルを作製した。
前記電解液を、注入口から注入した。
その後、注入口をエポキシ系の熱硬化樹脂で封止し、再度100℃で、一時間熱硬化処理を行うことにより、電解質層を挟持した状態で対向した電極構造体を具備するエレクトロクロミック装置が完成した。
上述したエレクトロクロミック装置の製造工程に従い、多孔質電極に担持させる有機EC色素について異なるものを適用し、下記実施例、及び比較例のサンプルセルを作製した。
〔実施例1〕
下記〔化1〕に示す有機EC色素を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に結合させ、また電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
下記〔化1〕に示す有機EC色素を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に結合させ、また電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
上記式に示す有機EC色素のモル吸光係数を算出したところ、105800〔1/M・cm〕であり、発色吸収が良好な材料であることを確認した。
かかる有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図2に示した。
図2に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なシアンの発色が得られた。
また、このエレクトロクロミック装置に2.0Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に還元反応を起こし、シアン色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は150msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からシアン色へ色調変化した。更に繰り返し発消色を行い、10000回以上の繰り返して発消色を行うことができることを確認した。
かかる有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図2に示した。
図2に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なシアンの発色が得られた。
また、このエレクトロクロミック装置に2.0Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に還元反応を起こし、シアン色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は150msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からシアン色へ色調変化した。更に繰り返し発消色を行い、10000回以上の繰り返して発消色を行うことができることを確認した。
〔実施例2〕
下記〔化2〕に示す有機EC色素を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に結合させた。また、電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
下記〔化2〕に示す有機EC色素を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に結合させた。また、電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
上記式に示す有機EC色素のモル吸光係数を算出したところ、79100[1/M・cm]であり、発色吸収が良好な材料であることを確認した。
かかる有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図3に示した。
図3に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なマゼンタの発色が得られた。
また、このエレクトロクロミック装置に2.0Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に還元反応を起こし、マゼンタ色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は150msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からマゼンタ色へ色調変化した。
更に繰り返し発消色を行い、10000回以上の繰り返して発消色を行うことができることを確認した。
かかる有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図3に示した。
図3に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なマゼンタの発色が得られた。
また、このエレクトロクロミック装置に2.0Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に還元反応を起こし、マゼンタ色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は150msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からマゼンタ色へ色調変化した。
更に繰り返し発消色を行い、10000回以上の繰り返して発消色を行うことができることを確認した。
〔実施例3〕
下記〔化3〕に示す有機EC色素を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に結合させた。また電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
下記〔化3〕に示す有機EC色素を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に結合させた。また電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
上記式に示す有機EC色素のモル吸光係数を算出したところ、11500[1/M・cm]であり、発色吸収が良好な材料であることを確認した。
かかる有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図4に示した。
図4に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なイエローの発色が得られた。
このエレクトロクロミック装置に2.0Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に還元反応を起こし、イエロー色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は150msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からイエロー色へ色調変化した。
更に繰り返し発消色を行ったところ、10000回以上の繰り返し発消色を確認した。
かかる有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図4に示した。
図4に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なイエローの発色が得られた。
このエレクトロクロミック装置に2.0Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に還元反応を起こし、イエロー色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は150msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からイエロー色へ色調変化した。
更に繰り返し発消色を行ったところ、10000回以上の繰り返し発消色を確認した。
〔実施例4〕
電解質溶液として上記(c)を適用し、その他の条件は、上記実施例1と同様としてエレクトロクロミック装置を構成する第一のセルを作製した。
上記実施例2と同様の工程により、エレクトロクロミック装置を構成する第二のセルを作製した。
上記実施例3と同様の工程により、エレクトロクロミック装置を構成する第三のセルを作製した。
上記第一のセルの、有機EC色素を吸着させた酸化チタン膜(多孔質電極)形成側を上側とし、この上層として、上記第二のセル及び第三のセルを順次積層し、三層構造のエレクトロクロミック装置を作製した。
この三層構造のエレクトロクロミック装置は、定常状態で、シアン、マゼンダ、イエローが混色し、全体として黒色表示状態となった。
上記第1〜第三のセルの、それぞれの表示電極と対向電極との間に、上記実施例1〜3と同様に所定の電圧を印加すると、有機EC色素が、電気化学的に還元反応を起こし、消色状態となり、全体として白色表示状態となった。
また、第一〜第三のセルに対し、個別に所定の電圧を印加して有機EC色素の電気化学的な反応を制御することにより、全体として所望のフルカラー画像を形成することができた。
電解質溶液として上記(c)を適用し、その他の条件は、上記実施例1と同様としてエレクトロクロミック装置を構成する第一のセルを作製した。
上記実施例2と同様の工程により、エレクトロクロミック装置を構成する第二のセルを作製した。
上記実施例3と同様の工程により、エレクトロクロミック装置を構成する第三のセルを作製した。
上記第一のセルの、有機EC色素を吸着させた酸化チタン膜(多孔質電極)形成側を上側とし、この上層として、上記第二のセル及び第三のセルを順次積層し、三層構造のエレクトロクロミック装置を作製した。
この三層構造のエレクトロクロミック装置は、定常状態で、シアン、マゼンダ、イエローが混色し、全体として黒色表示状態となった。
上記第1〜第三のセルの、それぞれの表示電極と対向電極との間に、上記実施例1〜3と同様に所定の電圧を印加すると、有機EC色素が、電気化学的に還元反応を起こし、消色状態となり、全体として白色表示状態となった。
また、第一〜第三のセルに対し、個別に所定の電圧を印加して有機EC色素の電気化学的な反応を制御することにより、全体として所望のフルカラー画像を形成することができた。
〔比較例1〕
有機EC色素として、下記式〔化4〕に示す化合物を適用し、濃度3重量%となるように炭酸プロピレンに溶解した色素溶液に、酸化チタン膜が形成されたFTO基板を浸漬させ、一晩暗所にて放置し、酸化チタン電極に色素(有機EC色素膜)を吸着させた。
この酸化チタン膜付電極構造体を用いて、電解質溶液には、上記(b)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
有機EC色素として、下記式〔化4〕に示す化合物を適用し、濃度3重量%となるように炭酸プロピレンに溶解した色素溶液に、酸化チタン膜が形成されたFTO基板を浸漬させ、一晩暗所にて放置し、酸化チタン電極に色素(有機EC色素膜)を吸着させた。
この酸化チタン膜付電極構造体を用いて、電解質溶液には、上記(b)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
上記式に示す有機EC色素は、従来公知の色素材料であり、定常状態において無色であり化学反応によりラジカル状態となった際に発色するものである。
この例におけるエレクトロクロミック装置に、1.8Vの電圧を印加すると、透明から青色へ色調変化した。
この際の応答速度は250msecであり、上記実施例1〜3に比較すると、反応が遅れた。
このエレクトロクロミック装置を開回路とすることにより、発色状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると、再び青色から透明状態に色調変化した。
また、10000回以上の繰り返し発消色が可能であることを確認した。
この例における有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図5に示した。
図5に示すように、この例における有機EC色素は、吸収波長幅が極めてブロードな形状となっており、鮮鋭な色調に発色することができなかった。すなわち定常状態において無色で電気化学反応によりラジカル状態となった際に発色する性質を有する有機EC色素を複数種組み合わせて、多色記録、あるいはフルカラー表示を行うエレクトロクロミック装置を作製すると、上述した本発明の実施例1〜4において作製したエレクトロクロミック装置に比較して、発色の明瞭性、画像表示の鮮鋭性において劣ったものとなった。
この例におけるエレクトロクロミック装置に、1.8Vの電圧を印加すると、透明から青色へ色調変化した。
この際の応答速度は250msecであり、上記実施例1〜3に比較すると、反応が遅れた。
このエレクトロクロミック装置を開回路とすることにより、発色状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると、再び青色から透明状態に色調変化した。
また、10000回以上の繰り返し発消色が可能であることを確認した。
この例における有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図5に示した。
図5に示すように、この例における有機EC色素は、吸収波長幅が極めてブロードな形状となっており、鮮鋭な色調に発色することができなかった。すなわち定常状態において無色で電気化学反応によりラジカル状態となった際に発色する性質を有する有機EC色素を複数種組み合わせて、多色記録、あるいはフルカラー表示を行うエレクトロクロミック装置を作製すると、上述した本発明の実施例1〜4において作製したエレクトロクロミック装置に比較して、発色の明瞭性、画像表示の鮮鋭性において劣ったものとなった。
〔比較例2〕
実施例2で用いた有機EC色素を適用し、濃度3重量%となるように炭酸プロピレンに溶解した色素溶液に、酸化チタン膜が形成されたFTO基板を浸漬させ、一晩暗所にて放置し、酸化チタン電極に色素(有機EC色素膜)を吸着させた。
その後、エタノール溶液で洗浄処理を行い、乾燥させた。
上記のようにして作製した酸化チタン膜付き電極を用いて、電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
実施例2で用いた有機EC色素を適用し、濃度3重量%となるように炭酸プロピレンに溶解した色素溶液に、酸化チタン膜が形成されたFTO基板を浸漬させ、一晩暗所にて放置し、酸化チタン電極に色素(有機EC色素膜)を吸着させた。
その後、エタノール溶液で洗浄処理を行い、乾燥させた。
上記のようにして作製した酸化チタン膜付き電極を用いて、電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
このエレクトロクロミック装置に2.5Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に還元反応を起こし、マゼンタ色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は150msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。
この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からマゼンタ色へ色調変化した。
しかしながら、更に繰り返し発消色を行うと、徐々に発色濃度が低下し、繰り返し回数が1000回程度で発色しなくなった。
この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からマゼンタ色へ色調変化した。
しかしながら、更に繰り返し発消色を行うと、徐々に発色濃度が低下し、繰り返し回数が1000回程度で発色しなくなった。
上記実施例1〜3、及び比較例1、2のエレクトロクロミック装置について、初期の発色吸光度と1000回繰り返して発消色動作を行ったときの発色吸光度、及び10000回繰り返して発消色動作を行ったときの発色吸光度を測定した。その結果を下記表1に示す。
表1に示すように、本発明に係る実施例1〜3のエレクトロクロミック装置は、電極構造体を構成する多孔質電極と、有機EC色素とを、官能基によって化学結合させたことにより、多数回繰り返して発消色動作を行った場合においても、極めて応答反応に優れ、鮮鋭な色調による表示が持続可能であった。
1,6……支持基板、2……透明電極、3……有機EC色素、4,8……多孔質電極、5……電解質層、10……エレクトロクロミック装置、11……表示電極構造体、12……対向電極構造体、13……電極端子
Claims (5)
- 支持基板上に少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極形成側が対向するように、電解質層を挟持して配置されており、
前記一対の透明電極のうちの、少なくとも一方の上に、
有機EC色素が、少なくとも一種類担持されている多孔質電極が形成されており、
前記有機EC色素が、電気化学的に、酸化反応あるいは還元反応を起こすことによって、可逆的に、可視域において発色あるいは消色するものとし、
前記多孔質電極の表面は、改質されており、当該改質された多孔質電極上の官能基と、前記有機EC色素とが、化学結合していることを特徴とするエレクトロクロミック装置。 - 支持基板上に少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極形成側が対向するように、電解質層を挟持して配置されており、前記一対の透明電極のうちの、少なくとも一方の上に、有機EC色素が、少なくとも一種類担持されている多孔質電極が形成されて構成されるエレクトロクロミック層構造体が、二層以上積層された構成を有しており、
前記有機EC色素が、電気化学的に、酸化反応あるいは還元反応を起こすことによって、可逆的に、可視域において発色あるいは消色するものとし、
前記多孔質電極の表面は、改質されており、当該改質された多孔質電極上の官能基と、前記有機EC色素とが、化学結合していることを特徴とするエレクトロクロミック装置。 - 前記有機EC色素が、定常状態において可視光に対し吸収を示すことにより、色表示を行い、
前記一対の電極構造体に所定の電圧を印加することにより、前記有機EC色素が、電気化学的な還元反応を起こし、無色の表示を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック装置。 - 前記多孔質電極を改質する材料として、シランカップリング剤を適用したことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック装置。
- 前記多孔質電極が、メソポーラス形状、粒子状、ロット形状、ワイヤ形状の、金属、半導体材料、あるいは導電性高分子により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10293153B2 (en) | 2014-05-30 | 2019-05-21 | University Of Utah Research Foundation | Pseudoporous surface of implantable materials and methods of making the same |
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2005
- 2005-10-27 JP JP2005313066A patent/JP2007121636A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10293153B2 (en) | 2014-05-30 | 2019-05-21 | University Of Utah Research Foundation | Pseudoporous surface of implantable materials and methods of making the same |
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