JP2007129539A - スピーカシステムおよびスピーカエンクロージャー - Google Patents
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Abstract
【課題】スピーカエンクロージャーが小型であっても低域を増大させて出力する。
【解決手段】スピーカ10が駆動されると、スピーカ10のコーン紙の振動がスピーカエンクロージャー20内の空気に伝搬され、この空気の振動によって振動板30の振動部位30aが振動する。このとき、エッジ40で気密性を保持された状態で振動する振動板30は、振動したときにスピーカエンクロージャー20内の空気容積を圧縮または伸張させる。したがって、振動板30の弾性に加えてスピーカエンクロージャー20の空気バネも加わったコンプライアンスと振動板30の等価質量との間で新たな共振周波数を持つようになる。この結果、振動板30の共振周波数を中心に再生される音が生じる。
【選択図】図2
Description
バスレフは、ヘルムホルツ共鳴を利用して低音を増強するものであり、ドローンコーンは駆動回路のないスピーカユニットを取り付け、エンクロージャーの容積内の空気との共振を利用して低音を増強するものである。
本発明の好ましい態様においては、前記複数のリブは、前記表面から突出する高さが、前記一端から前記振動先端部の間において変化していることを特徴とする。
本発明の更に好ましい態様においては、前記振動板は、前記複数のリブを覆うスキン材を備えていることを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記開口部は、前記一面において、線で囲まれる平面図形の輪郭の一部を残して切り欠くように形成され、前記平面図形に対応する部分が前記振動板として機能することを特徴とする。
また、本発明によるスピーカエンクロージャーは、スピーカが取り付けられるスピーカ取り付け穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能な板状の部材で構成され、前記板状の部材の表面の前記一端から振動先端部に向かって延びるリブを複数備える振動板と、前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材とを具備することを特徴とする。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態であるスピーカシステムの外観を示す斜視図であり、図2(a)および(b)は、各々同実施形態の構成を示す側断面図および側面図である。
図1において、10は、ボイスコイル、マグネット等を備えたスピーカであり、スピーカエンクロージャー20の前面に取り付けられている。スピーカエンクロージャー20は、直方体状の密閉型のエンクロージャーであり、6面とも板状の部材(例えば、木材、合成樹脂、金属もしくはそれらを張り合わせた合成材等)により形成されている。
上述したバッフル板20aの下端、傾斜部20gおよび前端部20eの上縁によって囲まれた空間は、開口部20bとなっている。上記構成においては、振動板30の上部は、バッフル板20aに固定されているが、振動板30の下部は開口部20bに対向しているため片持ち梁のように自由端になっており、振動板30の弾性によって自由に振動できるようになっている。なお、以下においては、振動板30の下部を振動部位30aという。
また、「弾性」の度合いは、この振動板30の一辺を固定して水平に置いたときに自重を支えてほぼ水平に保つことができる程度である。
また、振動板30の共振周波数は、振動板30の質量を大きくすることで下げることができる。すなわち、振動板30の大きさや材質などによっても調整が可能であり、振動板30に何らかの部材を貼り付けることによっても容易に調整が可能である。
ここで、
Re=ボイスコイル直流抵抗
Le,L2,R2=高域インピーダンス上昇要素
Cmes=スピーカ振動系の等価質量容量
Lces=スピーカ振動系の等価コンプライアンスインダクタンス
Res=スピーカ振動系のメカニカル制動抵抗
である。
図9は、従来のドローンコーンやヒンジ固定フラップなどのパッシブラジエターの等価回路である。図示のように、スピーカからボイスコイルのファクターを無くした回路構成を持つ。質量Cmepは、エッジの持つコンプライアンスLcepと制動抵抗Repで支えられている。
ここで、
Cmep=パッシブラジエターの等価質量容量
Lcep=パッシブラジエターの等価コンプライアンスインダクタンス
Rep=パッシブラジエターのメカニカル制動抵抗
である。図10は従来のパッシブラジエターシステムの等価回路である。信号電圧がスピーカを駆動し、スピーカの音響出力がスピーカエンクロージャー容積を介してパッシブラジエターを駆動する。
図11において、
Cmeb=振動板の等価質量容量
Lceb=振動板の等価コンプライアンスインダクタンス
Lcex=振動板エッジの等価コンプライアンスインダクタンス
Rex=振動板エッジのメカニカル制動抵抗
である。図12は本件発明におけるスピーカシステムの等価回路である。図10と比較した場合、スピーカとスピーカエンクロージャー容積を同じとすると、
Cmep=Cmeb
とすれば、低域の共振周波数も同じになる。この重量を支えるコンプライアンスも同等のものが必要になるが、図10ではLcepであり、図12ではLcex>>Lcebであるから、ほとんどLcebとなり、適切な設計をすればほぼ
Lcep=Lceb
となる。ここまでのファクターに大きな差異はない。しかし、ここまでの説明で明らかなように、
Rex>>Rep
となることが、本願発明の重要な特徴であり、これにより従来方式に較べてロスが大幅に少なくなり、低音再生が有利になることが分かる。
振動板にリブを設けて振動板の強度を上げる場合、高次共振を減少させることはできるものの、振動板が硬くなりすぎて曲げ振動が出来難くなることがあるが、図13に示すように、振動板30の振動先端部に近づくにつれて高さが低くなるようにリブ302を構成することによって、振動板30の曲げ振動のし易さを維持しつつ高次共振を抑えることが可能となる。
この場合、図13に示すように、先端部に近づくにつれてリブ302の高さを低くしたが、中央部を一番高くして上下に近づくにつれて低くしたり、あるいは、振動の節にあたるところの高さが高くなるように構成してもよい。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図15は、本実施形態の外観を示す斜視図である。このスピーカシステムの構成が上述した第1実施形態に示したそれと異なる点は、振動板の構成が異なる点であり、その他の構成要素は第1実施形態に示したそれと同様である。そのため、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付与して適宜その説明を省略する。
図15において、振動板31の振動部位は、ハニカム構造の補強材31aが表面に設けられている2層構造となっている。ここで、補強材31aのハニカム構造については、図15に示す振動板31の一部を切り欠いて示す。このように、振動板31をハニカム構造で補強することによって、上述した第1実施形態と同様に、振動板31の質量をあまり増加させることなく、振動板30の強度を更に上げることが可能となる。なお、本実施形態においては、ハニカム構造の補強材31aが表面に設けられている2層構造の振動板を用いたが、これに限らず、例えば振動板31の一部もしくは全部をハニカム構造として構成するようにしてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図16は本実施形態の外観を示す斜視図であり、図17は同実施形態の構成を示す側断面図である。このスピーカシステムの構成が上述した第1実施形態に示したそれと異なる点は、振動板の構成が異なる点である。そのため、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付してその説明を省略する。
図16および図17に示すように、このスピーカシステムの振動板32は、高次共振の腹に当たる部位の厚みが大きくなるように形成されている。具体的には、振動板32において、2次、3次の振動モードで振動しやすい、支点から2分の1および3分の1の位置の厚みを厚くしてその部分の振動板の強度を上げて高次共振を抑制し、それ以外の部分は厚みを薄くして振動板32の全体の質量が小さくなるように構成されている。
振動板をこのように構成することによって、上述した第1および第2実施形態と同様に、振動板31の質量をあまり増加させることなく、振動板32の高次共振を抑制することができる。
次に、この発明の第4の実施形態を説明する。図18は本実施形態の構成を示す側断面図であり、上述した第1実施形態における図2(a)に対応するものである。このスピーカシステムの構成が上述した第1実施形態のそれと異なる点は、振動板の構成が異なる点であり、その他の第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与してその説明を省略する。
このスピーカシステムの振動板33は、高次共振の腹に当たる部位に重り331a,331bが設けられている。具体的には、振動板33が2次,3次の振動モードで振動しやすい、支点から2分の1および3分の1の位置に重り331a,331bが設けられている。
このようにすることによって、上述した第1乃至第3実施形態と同様に、振動板31の質量をあまり増加させることなく、振動板30の高次共振を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(1)振動板の構成は上述した実施形態で示したものに限定されるものではなく、例えば、図19に示すような形状であってもよい。図19は、この発明の第2実施形態の外観を示す斜視図である。図19に示す50は、直方体状のスピーカエンクロージャーであり、前面のバッフル板50aの上部にスピーカ10が取り付けられている。バッフル板50aの中央部から下部にかけてU字状に細長く切り欠かれた開口部60が設けられている。
また、上述した各実施形態で示したように、開口部の位置は、振動板の振動部位に対応する位置に設けられる。すなわち、振動板の背後や周囲などに設けられ、振動を可能にするように形成すればよい。
Claims (11)
- 内部が密閉されるスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能であり、その一部または全部が発泡素材で構成された振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - 内部が密閉されるスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能な板状の部材で構成され、前記板状の部材の表面の前記一端から振動先端部に向かって延びるリブを複数備える振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - 前記複数のリブは、前記表面から突出する高さが、前記一端から前記振動先端部の間において変化していることを特徴とする請求項2に記載のスピーカシステム。
- 前記振動板は、前記複数のリブを覆うスキン材を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載のスピーカシステム。
- 内部が密閉されるスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能であり、その一部または全部がハニカム構造で形成された振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - 内部が密閉されるスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能であり、その高次共振の腹にあたる部位の厚みが他の部位よりも厚く構成された振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - 内部が密閉されたスピーカエンクロージャーと、
前記スピーカエンクロージャーに取り付けられたスピーカと、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能である振動板と、
前記振動板の高次共振の腹にあたる部位に設けられた重りと、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカシステム。 - 前記振動板および前記開口部が設けられる一面は、前記スピーカが取り付けられた面と同一の面であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のスピーカシステム。
- 前記開口部は、前記一面において、線で囲まれる平面図形の輪郭の一部を残して切り欠くように形成され、前記平面図形に対応する部分が前記振動板として機能することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のスピーカシステム。
- スピーカが取り付けられるスピーカ取り付け穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、
前記スピーカエンクロージャーの一面に一端が固定された状態で弾性により振動可能であり、その一部または全部が発泡素材で構成された振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカエンクロージャー。 - スピーカが取り付けられるスピーカ取り付け穴を有した密閉型のスピーカエンクロージャーにおいて、
前記スピーカエンクロージャーの一面において一端が固定された状態で弾性により振動可能な板状の部材で構成され、前記板状の部材の表面の前記一端から振動先端部に向かって延びるリブを複数備える振動板と、
前記振動板が設けられた一面において、前記振動板の振動部位に対応する位置に設けられた開口部と、
前記振動板と前記開口部の縁部との間に形成される空隙を、前記振動板の振動を可能にした状態で塞ぎ、前記スピーカエンクロージャーの気密性を保持する密閉部材と
を具備することを特徴とするスピーカエンクロージャー。
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