以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
(基板処理システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる基板処理システム1の概略構成を示す図である。図2は、図1に示すスペーサ9を示す平面図である。図3は、図2のH−H方向からスペーサ9の側面を拡大して示す拡大側面図である。図4は、図1に示す基板巻取装置7における基板2のたるみ量に基づく基板2の巻取制御を説明する図である。図5は、図1に示す基板供給装置6の概略構成を示す図である。図6は、図1に示すスペーサ巻取リール38の駆動部の概略構成を示す側面図である。
実施の形態1にかかる基板処理システム1は、テープ状の基板2に実装された半導体チップ等の電子部品3を樹脂で封止、固定するためのシステムである。この基板処理システム1は、図1に示すように、テープ状の基板2に実装された電子部品3(図1の破線で示す円形枠E部、F1部およびF2部の拡大図参照)を確実に固定するための樹脂を塗布する樹脂塗布装置4と、塗布された樹脂を硬化させる樹脂硬化装置5と、樹脂塗布装置4に対して基板2を供給する基板供給装置6と、樹脂硬化装置5から搬出される基板2を巻き取る基板巻取装置7とを備えている。また、基板処理システム1では、基板供給装置6と、樹脂塗布装置4と、樹脂硬化装置5と、基板巻取装置7とがこの順番で上流側から下流側に向かって(図1では左側から右側に向かって)配置されている。本形態では、樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5は、基板2に所定の処理を行う基板処理装置である。なお、図1の破線で示す円形枠E部の拡大図は、E部をそのまま拡大した図であり、円形枠F1部、F2部およびG部の拡大図は、図1の右方向からF1部、F2部およびG部のそれぞれを見た要部断面図である。
基板供給装置6は、樹脂塗布装置4に供給されるテープ状の基板2とテープ状のスペーサ9とが重なった状態で巻回された基板供給リール10を備えている。また、基板巻取装置7は、樹脂硬化装置5から搬出されるテープ状の基板2とテープ状のスペーサ9とが重なった状態で巻き取られる基板巻取リール11を備えている。そして、図1に示すように、基板供給リール10に巻回された基板2と基板巻取リール11に巻回される基板2とはつながっている。すなわち、本形態の基板処理システム1は、いわゆるリール・ツウ・リールの基板処理システムとなっている。
本形態では、基板供給リール10に巻回された基板2には予め電子部品3が実装されている。すなわち、基板供給リール10に巻回された基板2に形成された電極部(図示省略)には、予め、電子部品3の端子部(図示省略)が電気的に接続されている。
なお、以下では、図1の上下方向を高さ方向、図1の左右方向を横方向、図1の紙面垂直方向を前後方向と表記する。また、基板処理システム1では、図1の左側から右側に向かって基板2が搬送されるため、以下では、図1の右側を下流側、左側を上流側と表記する。
基板2は、フレキシブルな樹脂基板であるCOF(Chip On Film or Chip On Flexible Circuit Board)テープやTAB(Tape Automated Bonding)テープ等のテープ状の基板である。本形態では、基板2としてCOFテープが用いられており、図1には、COFテープを用いたときの状態が図示されている。この基板2は、特に薄型のものであり、その厚さは50μm以下である。たとえば、基板2の厚さは、25μm、30μm、あるいは、50μm等である。また、基板2の幅(基板2の短手方向の幅)はたとえば、35mm、48mm、あるいは70mmである。さらに、基板2はたとえば、ポリイミドで形成されている。なお、基板2の厚さは50μm以下には限定されず、基板2の厚さはたとえば、75μmや125μmであっても良い。
本形態のスペーサ9は、基板供給リール10や基板巻取リール11に巻回される基板2を保護するためのものであり、薄い樹脂でテープ状に形成されている。たとえば、スペーサ9は、カーボンが含有されたポリエチレンテレフタレート(PET)で形成されている。このスペーサ9は、基板2とともに巻回された状態で、たとえば、160℃〜200℃の加熱処理が施されることがあるため、200℃の加熱処理に耐えることが可能な耐熱性を有している。また、スペーサ9の厚さは50μm〜200μmである。たとえば、本形態のスペーサ9は100μmである。さらに、スペーサ9の幅(スペーサ9の短手方向の幅)はたとえば、35mm、48mm、あるいは70mmであり、使用される基板2に合った幅のスペーサ9が使用される。また、このスペーサ9には、帯電防止のための処理が施されている。
スペーサ9の短手方向両端には、図2および図3に示すように、スペーサ9の一方の面に突出する複数の第1凸部9aおよびスペーサ9の他方の面へ突出する複数の第2凸部9bが形成されている。より具体的には、スペーサ9の短手方向両端には、球面の一部が図2の紙面手前側(図3の上側)に押し出されるように形成された第1凸部9aと、球面の一部が図2の紙面奥側(図3の下側)に押し出されるように形成された第2凸部9bとがスペーサ9の長手方向の全域で交互に隣接するように形成されている。第1凸部9aおよび第2凸部9bの突出量は、基板2に実装される電子部品3の厚さによって様々であるが、たとえば、1.5mmとなっている。なお、基板2とスペーサ9とが重なって巻回されたとき、ある周に巻回された基板2とその次の周に巻回された基板2との間には、第1凸部9aと第2凸部9bとによって径方向で所定の隙間が確保され、基板2や基板2に実装された半導体チップ等の電子部品3が適切に保護されている。
樹脂塗布装置4は、図1に示すように、基板供給装置6から供給された基板2を矢印X方向(下流側へ向かう方向)へ搬送する2組の搬送ローラ12、13と基板2に実装された電子部品3に熱硬化性の樹脂を塗布する樹脂塗布部14とを備えている。本形態では、搬送ローラ12が上流側に配置され、搬送ローラ13が下流側に配置されている。この搬送ローラ12、13は、搬送ローラ12、13間で基板2にたるみが生じないように、同一の周速度で回転する。また、搬送ローラ12、13は、基板2に実装された各電子部品3の間隔分、基板2を間欠的に搬送するように、回転し、また、停止する。そして、基板2が停止した状態で、樹脂塗布部14によって、電子部品3が実装された部分に樹脂が塗布される。このように、樹脂塗布装置4では、基板供給装置6から供給され、熱硬化性の樹脂が塗布された後の基板2が樹脂硬化装置5へ向かって搬出される。
ここで、本形態では、搬送ローラ12は、搬送ローラ13の停止後、わずかに逆回転(基板2を上流側に送る方向の回転)して基板2に張力を与えた状態で停止する。すなわち、本形態の搬送ローラ12は、基板2に張力を与えるためのテンションローラとしての機能も果たしている。なお、搬送ローラ12を搬送ローラ13よりも早く停止させることで、基板2に張力を生じさせても良い。
また、樹脂塗布装置4は、前後方向(基板2の短手方向)の両側に形成され、基板2の短手方向の両端を搬送方向へ案内する2つのガイド23、24を備えている。ガイド23、24は、基板2の短手方向両端を支持するガイド部23a、24aと、基板2の短手方向のたるみを防止するための支持部23b、24bとを備えている(図1の円形枠F1部の拡大図参照)。図1の円形枠F1部の拡大図に示すように、ガイド部23a、24aおよび支持部23b、24bはともに略溝型状に形成されている。
支持部23b、24bは、ガイド部23a、24aの上側を覆うカバー部23c、24cと、基板2の下面に当接して基板2の短手方向のたるみを防止する当接部23d、24dとを備えている。当接部23d、24dは、ガイド部23a、24aの内側に配置されている。
また、樹脂塗布装置4においては、ガイド部23a、24aおよび当接部23d、24dは、横方向(基板2の搬送方向)で連続した構造となっている。すなわち、樹脂塗布装置4におけるガイド部23a、24aおよび当接部23d、24dは、たとえば、搬送ローラ12、13間の全域に連続して形成されている。
樹脂硬化装置5は、樹脂塗布装置4から搬出された基板2を加熱することで、基板2に塗布された樹脂を硬化する加熱炉である。この樹脂硬化装置5は、図1に示すように、第1から第3の搬送路L1、L2、L3と、第1の搬送路L1の下流側に配置される延長搬送路L11と、基板2の表裏を反転させる第1および第2の反転ローラ16、17と、第1の反転ローラ16が取り付けられる取付部材18と、下流側に形成された第1および第2の出口19、20と、第1および第2の出口19、20をそれぞれ塞ぐ出口カバー21、22とを備えている。
第1から第3の搬送路L1、L2、L3は、樹脂硬化装置5の内部において、下側からこの順番で配置されている。また、樹脂硬化装置5では、第1の出口19が第1の搬送路L1の下流側(具体的には、延長搬送路L11の下流側)に形成され、第2の出口20が第3の搬送路L3の下流側に配置されている。そして、樹脂硬化装置5では、基板2の搬送経路として2つの搬送経路が選択できる構成となっている。
一方の搬送経路では、樹脂塗布装置4から搬出された基板2は、矢印X方向へ第1の搬送路L1および延長搬送路L11を通過して搬送され、第1の出口19から搬出される。また、他方の搬送経路では、樹脂塗布装置4から搬出された基板2は、まず、矢印X方向へ第1の搬送路L1を通過して搬送され、その後、第1の反転ローラ16で反転される。反転された基板2は、矢印Y方向(上流側へ向かう方向)へ第2の搬送路L2を通過して搬送され、その後、第2の反転ローラ17で再び反転される。反転された基板2は、矢印X方向へ第3の搬送路L3を通過して搬送され、第2の出口20から搬出される。図1には、この他方の搬送経路で基板2が搬送される状態が図示されている。なお、一方の搬送経路で基板2が搬送される場合には、第2の出口20は出口カバー22で塞がれている。また、他方の搬送経路で基板2が搬送される場合には、第1の出口19は出口カバー21で塞がれている。
第1から第3の搬送路L1〜L3は、樹脂塗布装置4が備える2つのガイド23、24とほぼ同様の2つのガイド23、24と、基板2の上方に配置され、基板2を加熱する発熱体(図示省略)と、この発熱体の下方かつ基板2の上方に配置され、発熱体からの熱を拡散する熱拡散板(図示省略)とを備えている。延長搬送路L11も同様に、2つのガイド23、24と、発熱体(図示省略)と、熱拡散板(図示省略)とを備えている。なお、樹脂硬化装置5においては、ガイド部23a、24aおよび当接部23d、24dは、横方向(基板2の搬送方向)で所定間隔を空けて離散して形成されている。すなわち、第1から第3の搬送路L1〜L3には、横方向に所定の長さを有するガイド部23a、24aや当接部23d、24dが、所定間隔を空けた状態で複数形成されている。
第2の反転ローラ17は、図示を省略するバネ等の付勢部材によって、上流側に付勢されている。この付勢部材によって上流側に付勢された第2の反転ローラ17によって、樹脂硬化装置5内部の基板2に張力が付与されている。
取付部材18には、高さ方向に長い長穴18aが形成され、この長穴18aの任意の位置で第1の反転ローラ16の中心軸16aが固定可能な構成となっている。図1に示すように、基板2の搬送に第1から第3の搬送路L1〜L3が使用される場合(他方の搬送経路が選択される場合)には、第1の反転ローラ16が基板2を反転させるように、中心軸16aは長穴18aの下端側に固定される。また、基板2の搬送に第1の搬送路L1および延長搬送路L11が使用される場合(一方の搬送経路が選択される場合)には、第1の反転ローラ16が基板2の搬送の妨げとならないように、中心軸16aは長穴18aの上端側に固定される。
樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5では、樹脂塗布装置4での基板2の搬送と、樹脂硬化装置5での基板2の搬送とが同期するように、基板2が搬送される構成となっている。たとえば、樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5では、基板2は、15〜200mm/secの速度で間欠的に搬送される。
基板巻取装置7は、上述した基板巻取リール11の他に、基板2と重なるスペーサ9を供給するスペーサ供給リール27と、樹脂硬化装置5の第1の出口19および第2の出口の対向するように形成され基板2が搬入される搬入口28と、第1の出口19から搬出される基板2を装置内部へ引き込む第1の引込ローラ30と、第2の出口20から搬出される基板2を装置内部へ引き込む第2の引込ローラ31と、第1の引込ローラ30によって引き込まれた基板2を下方向へ案内する第1のガイド部材32と、第2の引込ローラ31によって引き込まれた基板2を下方向へ案内する第2のガイド部材33と、基板2の搬送を案内する基板ガイドローラ34と、スペーサ9の搬送を案内する2個のスペーサガイドローラ35、35とを備えている。なお、第1および第2の引込ローラ30、31は図示を省略するモータ等の駆動手段によって回転駆動される駆動ローラである。一方、基板ガイドローラ34、スペーサガイドローラ35、35は駆動手段を有しない従動ローラである。また、図1では、基板2が、第2の引込ローラ31によって引き込まれ、第2のガイド部材33によって下方向へ案内された状態が図示されている。さらに、基板巻取装置7の樹脂硬化装置6と対向する面には、第1および第2の引込ローラ30、31等の構成部品を組み付ける場合を除き、仕切板を形成しなくても良い。
本形態の基板巻取装置7は、図1に示すように、樹脂硬化装置5から搬出された後に第1の引込ローラ30または第2の引込ローラ31で引き込まれ、かつ、基板巻取リール11に巻き取られる前の基板2がたるむように構成されている。具体的には、第1のガイド部材32または第2のガイド部材33と基板ガイドローラ34との間で基板2が下側にたるむように構成されている。そして、基板巻取装置7は、この基板2のたるみ状態を検出する基板たるみセンサ36を備えている。
図1に示すように、基板巻取装置7では、装置の上面側でかつ第2の引込ローラ31とほぼ同じ高さに基板巻取リール11が配置され、装置の底面側にスペーサ供給リール27が配置されている。基板巻取リール11とスペーサ供給リール27とは、横方向でほぼ同じ位置にかつ装置の下流側に配置されている。また、基板たるみセンサ36は、高さ方向では、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間に配置され、横方向では、基板たるみセンサ36の中心位置が基板巻取リール11およびスペーサ供給リール27よりも上流側にくるように配置されている。
スペーサ9は、基板巻取装置7における下流側でスペーサガイドローラ35、35に案内されてスペーサ供給リール27から基板巻取リール11に供給される。また、第1のガイド部材32または第2のガイド部材33と基板ガイドローラ34との間で下側にたるんだ基板2は、基板巻取リール11が図1で反時計方向に回転することで、スペーサ9とともに基板巻取リール11に巻き取られる。なお、スペーサ供給リール27は、スペーサ9を供給する際に、図1で反時計方向に回転する。
基板巻取リール11には、図示を省略する駆動モータ(具体的にはAC(交流)モータ)が連結されており、基板巻取リール11は、回転中心11aを中心に回転駆動する。基板2とスペーサ9とが重なって巻き取られた状態の基板巻取リール11の最大外径は、たとえば、620mmである。
スペーサ供給リール27には、駆動手段が連結されておらず、基板巻取リール11の回転駆動に伴ってスペーサ供給リール27も回転する。このスペーサ供給リール27の最大外径は、たとえば、520mm〜530mmである。なお、スペーサ供給リール27が勝手に回転してスペーサ9がたるみのを防止するため、スペーサ供給リール27にトルクモータ等の駆動手段を連結して基板巻取リール11に供給されるスペーサ9に小さな張力をかけるようにしても良い。
基板たるみセンサ36は、発光素子(図示省略)および受光素子(図示省略)を有する第1から第3の受発光部PR1、PR2、PR3と、これらの受発光部PR1、PR2、PR3にそれぞれ対向するとともに発光素子から発光された光を受光素子へ向かって反射する第1から第3の反射鏡M1、M2、M3とを備えている。図1に示すように、基板たるみセンサ36では、第1の受発光部PR1と第1の反射鏡M1とが対になって上段に配置され、第2の受発光部PR2と第2の反射鏡M2とが対になって中段に配置され、第3の受発光部PR3と第3の反射鏡M3とが対になって下段に配置されている。すなわち、基板たるみセンサ36は、上段、中段、下段に3組の検出部を備えている。そのため、この基板たるみセンサ36では、基板2のたるみ状態を3段階で検出可能である。
本形態では、図4(C)に示すように、たるんだ基板2の底部2aが、高さ方向で、第2の受発光部PR2と第3の受発光部PR3との間に位置するとき、基板2のたるみ状態が適切であるとしている。したがって、図4(A)に示すように、基板2の底部2aが、第3の受発光部PR3よりも低くなったとき、基板2のたるみ量が多いと判断され、基板巻取リール11で、図4(C)に示す状態まで基板2が巻き取られる。なお、図4(B)に示すように、基板2の底部2aが、高さ方向で、第1の受発光部PR1と第2の受発光部PR2との間に位置するときには、基板2のたるみ量が少ないと判断される。この場合には、基板処理システム1は、樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5での基板2の搬送を停止する。さらに、たとえば、所定の表示装置(図示省略)に基板2のたるみ量が少ないとの警告表示を行っても良い。また、図4(D)に示すように、基板2の底部2aが、第1の受発光部PR1よりも高くなったとき、基板2のたるみ状態が異常であると判断される。この場合には、基板処理システム1は、樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5での基板2の搬送を緊急停止して、作業者に異常を知らせる警告音を発する。
基板供給装置6は、上述した基板供給リール10の他に、基板2と分離されるスペーサ9が巻き取られるスペーサ巻取リール38と、基板2を案内する2個の基板ガイドローラ39、39およびガイド部材40と、スペーサ9を案内する2個のスペーサガイドローラ41、41とを備えている。なお、基板ガイドローラ39、39およびスペーサガイドローラ41、41は駆動手段を有しない従動ローラである。
基板供給装置6は、図5等に示すように、基板供給リール10から供給された基板2が、2個の基板ガイドローラ39、39の間で下側にたるむように構成されている。そして、基板供給装置6は、基板巻取装置7と同様に、この基板2のたるみ状態を検出する基板たるみセンサ76を備えている。また、一旦たるんだ基板2は、ガイド部材40によって横方向に案内され、樹脂塗布装置4へ供給される。
本形態の基板供給装置6では、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間のスペーサ9の張力が緩和されている。すなわち、図5等に示すように、本形態の基板供給装置6は、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間でスペーサ9が下側にたるむように構成されている。そして、基板供給装置6は、このスペーサ9のたるみを検出するスペーサたるみセンサ42を備えている。このスペースたるみセンサ42は、発光素子(図示省略)を有する1つの発光部43と、受光素子(図示省略)を有する1つの受光部44とを備えている。すなわち、スペーサたるみセンサ42は1組の検出部を備えている。
図5等に示すように、基板供給装置6では、装置の上面側に基板供給リール10が配置され、装置の底面側にスペーサ巻取リール38が配置されている。また、樹脂塗布装置4への基板2の供給方向(すなわち、横方向)では、スペーサ巻取リール38の回転中心38aは、基板供給リール10の回転中心10aよりも樹脂塗布装置4側(すなわち、下流側)に配置されている。さらに、基板たるみセンサ76は、高さ方向では、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間に配置され、横方向では、基板たるみセンサ76の中心位置が基板供給リール10の中心位置とほぼ同じになるように配置されている。
また、スペーサたるみセンサ42は、高さ方向では、スペーサ巻取リール38の下方に配置されている。具体的には、図5に示すように、スペーサ9のたるみ部分を発光部43と受光部44とが挟み込むように、スペーサたるみセンサ42が配置されている。なお、図5に示すように、スペーサたるみセンサ42を構成する発光部43の光軸からの基板2のたるみ量S1は、誤検出を防止するため、できるだけ多い方が好ましい。たとえば、たるみ量S1は50mm〜60mmであることが好ましいが20mm〜30mmであっても良い。また、スペーサ9が基板供給装置9の底面に接触しないようなたるみ量S1とすることが好ましい。
基板2と分離されたスペーサ9は、基板供給装置6における上流側でスペーサガイドローラ41、41に案内されてスペーサ巻取リール38に巻き取られる。スペーサ9が巻き取られる際には、スペーサ巻取リール38が図1で反時計方向へ回転する。また、スペーサ9と分離される基板2は、2個の基板ガイドローラ39、39の間でたるむように、基板供給リール10から供給される。基板2が供給される際には、基板供給リール10が図1で反時計方向へ回転する。
基板供給リール10には、図示を省略する駆動モータ(具体的にはAC(交流)モータ)が連結されており、基板供給リール10は、回転中心10aを中心に回転駆動する。また、スペーサ巻取リール38には、図6に示すように、駆動モータ(具体的にはAC(交流)モータ、以下、実施の形態1では「第1スペーサリール用モータ」と表記する)77が連結されており、回転中心38aを中心に回転駆動する。本形態では、第1スペーサリール用モータ77と、スペーサたるみセンサ42とによって、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間のスペーサ9の張力を緩和する張力緩和機構が構成されている。なお、スペーサたるみセンサ42は、たとえば、ソリッドステートリレーを介して第1スペーサリール用モータ77に電気的に接続されている。そして、スペーサたるみセンサ42からの信号がソリッドステートリレーを介して第1スペーサリール用モータ77に入力され、第1スペーサリール用モータ77が回転駆動するように構成されている。
図6に示すように、本形態では、スペーサ巻取リール38は、トルクリミッタ78を介して第1スペーサリール用モータ77の出力軸に連結されている。また、図6に示すように、スペーサ巻取リール38は、基板供給装置6の本体プレート79に固定された軸受80に回転可能に支持されている。なお、トルクリミッタ78は必ずしも設ける必要はなく、スペーサ巻取リール38は、直接、第1スペーサリール用モータ77の出力軸に連結されても良い。
基板たるみセンサ76は、基板たるみセンサ36と同一の構成を備えている。すなわち、基板たるみセンサ76は、基板たるみセンサ36の第1から第3の受発光部PR1、PR2、PR3にそれぞれ対応する第1から第3の受発光部PR4、PR5、PR6と、基板たるみセンサ36の第1から第3の反射鏡M1、M2、M3にそれぞれ対応する第1から第3の反射鏡M4、M5、M6とを備えている。
また、基板たるみセンサ76は、上述した基板たるみセンサ36とほぼ同様に作用する。すなわち、基板たるみセンサ76では、たるんだ基板2の底部2aが、高さ方向で、第2の受発光部PR5と第3の受発光部PR6との間に位置するとき、基板2のたるみ状態が適切であるとしている。したがって、基板2の底部2aが、第2の受発光部PR5よりも高くなったとき、基板2のたるみ量が少ないと判断され、基板供給リール10が回転して、基板2の底部2aが第2の受発光部PR5と第3の受発光部PR6との間に位置するまで、基板2が供給される。なお、基板2の底部2aが、高さ方向で、第3の受発光部PR6より低くなったとき、基板2のたるみ量が多すぎると判断される。また、基板2の底部2aが、第1の受発光部PR4よりも高くなったとき、基板2のたるみ状態が異常であると判断される。
本形態では、基板供給リール10は、基板たるみセンサ76からの出力信号にしたがって回転し、また、停止する。また、スペーサ巻取リール38は、スペーサたるみセンサ42からの出力信号にしたがって回転し、また、停止する。より具体的には、スペーサたるみセンサ42によってスペーサ9が検出されているときは、基板供給リール10が回転しているか否かに関係なく、スペーサ巻取リール38が回転してスペーサ9を巻き取る。一方、スペーサたるみセンサ42によってスペーサ9が検出されていないときは、基板供給リール10が回転してもスペーサ巻取リール38は回転しない。すなわち、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38とは、それぞれ独立に回転し、また、停止する。そして、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間でスペーサ9の張力が緩和され、また、基板2にたるみが生じる。
(基板処理システムの概略動作)
以上のように構成された基板処理システム1の概略動作を以下に説明する。
まず、基板供給装置6の2個の基板ガイドローラ39、39の間で基板2が下側にたるむように(具体的には、基板2の底部2aが、高さ方向で、第2の受発光部PR5と第3の受発光部PR6との間に位置するように)、かつ、基板巻取装置7の第1のガイド部材32または第2のガイド部材33と基板ガイドローラ34との間で基板2が下側にたるむように(具体的には、基板2の底部2aが、高さ方向で、第2の受発光部PR2と第3の受発光部PR3との間に位置するように)、基板処理システム1の初期設定を行う。このとき、基板供給装置6では、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間でスペーサ9に張力がかからないように、スペーサ9をたるませる。たとえば、スペーサたるみセンサ42でスペーサ9が検出されるように、かつ、基板供給装置6の底面にスペーサ9が接触しないように、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間でスペーサ9をたるませる。
初期設定が終了すると、樹脂塗布装置4での基板2の搬送と樹脂硬化装置5での基板2の搬送とが同期するように、樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5で、基板2を間欠的に搬送する。この基板2の搬送に伴って、樹脂塗布装置4では、順次、基板2上に樹脂を塗布し、樹脂硬化装置5では、基板2上に塗布した樹脂を硬化する。
このとき、基板供給装置6では、樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5での基板2の搬送に応じて、基板供給リール10が回転して基板2を供給する。このとき、樹脂塗布装置4に供給される前の基板2は基板ガイドローラ39、39の間で下側にたるんでいる。そして、基板2の底部2aが、第2の受発光部PR5よりも高くなったとき、基板供給リール10が回転して、基板2の底部2aが第2の受発光部PR5と第3の受発光部PR6との間に位置するまで、基板2を供給する。また、基板供給装置6では、スペーサたるみセンサ42がスペーサ9を検出しているときは、スペーサ巻取リール38がスペーサ9を巻き取る。一方、スペーサたるみセンサ42がスペーサ9を検出していないときは、基板供給リール10が回転して基板2を供給してもスペーサ巻取リール38は回転しない。
また、基板巻取装置7では、樹脂硬化装置5から搬出された基板2が第1のガイド部材32または第2のガイド部材33と基板ガイドローラ34との間で下側にたるんでいる。そして、図4(A)に示すように、基板2の底部2aが、第3の受発光部PR3よりも低くなったとき、基板巻取リール11が、図4(C)に示す状態まで基板2を巻き取る。すなわち、たるんだ基板2の底部2aが、高さ方向で、第2の受発光部PR2と第3の受発光部PR3との間に位置するまで、基板巻取リール11が基板2を巻き取る。
(実施の形態1の主な効果)
以上説明したように、実施の形態1では、スペーサ巻取リール38を駆動する第1スペーサリール用モータ77とスペーサたるみセンサ42とによって、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間のスペーサ9の張力を緩和している。そのため、スペーサ9と重なった状態で基板供給リール10に巻回された基板2へのスペーサ9の張力に起因する外力を排除することができる。すなわち、基板供給リール10に巻回された基板2がスペーサ9の張力によって締めつけられるのを防止することができる。したがって、実施の形態1の基板供給装置6では、薄型の基板2を取り扱っても、基板2に予め実装された電子部品3の実装不良の発生や、基板2の損傷を抑制することができる。
特に、基板2の厚さが50μm以下の場合、基板2が伸びやすくなるため、基板2の損傷や、基板2に予め実装された電子部品3の実装不良が生じやすくなるが、実施の形態1の構成を採用することで、これらの問題の発生を抑制することができる。
また、実施の形態1では、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間のスペーサ9の張力を緩和しているため、電子部品3の小型化、高性能化、高機能化等に伴って、電子部品3の端子部が細くなり、基板2に実装された電子部品3の端子部が切れやすくなる場合であっても、電子部品3の端子部の損傷を防止することができる。
実施の形態1では、スペーサたるみセンサ42での検出結果に基づいて、第1スペーサリール用モータ77でスペーサ巻取リール38を回転駆動してスペーサ9を巻き取っている。そのため、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間で、スペーサ9を確実にたるませることができる。その結果、スペーサ9と重なった状態で基板供給リール10に巻回された基板2へのスペーサ9の張力に起因する外力を確実に排除することができる。
実施の形態1では、樹脂塗布装置4への基板2の供給方向(横方向)では、スペーサ巻取リール38の回転中心38aは、基板供給リール10の回転中心10aよりも樹脂塗布装置4側に配置されている。そのため、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間に、スペーサ9を大きくたるませる空間を設けることができ、スペーサ9を容易にたるませることができる。すなわち、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間でスペーサ9の張力を容易に緩和させることができる。また、基板たるみセンサ76を配置する空間を設けやすくなる。
[実施の形態2]
(基板処理システムの構成)
図7は、本発明の実施の形態2にかかる基板処理システム51の概略構成を示す図である。図8は、図7に示す接合装置54の概略構成を示す平面図である。図9は、図8に示す接合ヘッド61の概略構成を示す側面図である。
実施の形態2にかかる基板処理システム51と、実施の形態1にかかる基板処理システム1との主な相違点は以下の2点になる。1点目は、基板処理システム51が、樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5に代えて、電子部品の接合装置54(以下、「接合装置54」と表記する)を備えている点である。2点目は、実施の形態1の基板供給装置6で、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間のスペーサ9の張力が緩和され、実施の形態1の基板巻取装置7では、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間のスペーサ9の張力が緩和されていないが、実施の形態2の基板供給装置56では、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間のスペーサ9の張力が緩和されておらず、実施の形態2の基板巻取装置57で、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間のスペーサ9の張力が緩和されている点である。以下、この相違点を中心に実施の形態2の基板処理システム51の構成を説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1の基板処理システム1と共通する構成については、同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。
実施の形態2にかかる基板処理システム2は、電子部品3に超音波振動を与えながら基板2に電子部品3を圧接して接合するためのシステムである。この基板処理システム51は、図7から図9に示すように、基板2に電子部品3を接合するための接合装置54と、接合装置54に対して基板2を供給する基板供給装置56と、接合装置54から搬出される基板2を巻き取る基板巻取装置57とを備えている。この基板処理システム51では、基板供給装置56と、接合装置54と、基板巻取装置57とがこの順番で上流側から下流側に向かって配置されている。本形態では、接合装置54は、基板2に所定の処理を行う基板処理装置である。
実施の形態1と同様に実施の形態2でも、基板供給装置56は、基板2とテープ状のスペーサ9とが重なった状態で巻回された基板供給リール10を備え、基板巻取装置57は、基板2とテープ状のスペーサ9とが重なった状態で巻き取られる基板巻取リール11を備えている。また、基板供給リール10に巻回された基板2と基板巻取リール11に巻回される基板2とはつながっている。すなわち、実施の形態2の基板処理システム51も、いわゆるリール・ツウ・リールの基板処理システムとなっている。
接合装置54は、図8に示すように、基板2上に形成された電極部2bと、電子部品3に形成された端子部(図示省略)とを接触させた状態で、電子部品3に超音波振動を与えながら基板2に電子部品3を圧接して接合するように構成されている。この接合装置54は、図8および図9に示すように、基板2と電子部品3との接合を行う接合ヘッド61と、基板2を下流側(図7の右方向)へ搬送する搬送機構部62と、接合前の電子部品3が網目状に分割された状態で複数形成された半導体ウェハ63を載置する載置部64と、半導体ウェハ63から電子部品3を取り出して接合ヘッド61へ電子部品3を供給する部品供給機構部65と、基板2と電子部品3との接合時に基板2が載置される載置台66とを備えている。
接合ヘッド61は、図9に示すように、超音波振動の発生源となる圧電素子等の振動子からなる振動発生部68と、振動発生部68で発生させた超音波振動を増幅する振動ホーンからなる振動増幅部69と、振動増幅部69で増幅させた振動を電子部品3に与えながら基板2に電子部品3を圧接する圧接部70と、振動発生部68と振動増幅部69とを連結し、振動発生部68で発生させた振動を振動増幅部69へ伝達する振動コーンからなる振動伝達部71と、振動増幅部69を保持する保持部72とを備えている。
接合装置54では、基板供給装置56から供給され、電子部品3が接合された後の基板2が基板巻取装置57へ向かって搬出される。また、接合装置54では、基板2は、所定の送りピッチで間欠的に搬送される。
基板供給装置56は、実施の形態1の基板供給装置6と同様に、基板供給リール10と、スペーサ巻取リール38と、2個の基板ガイドローラ39、39およびガイド部材40と、2個のスペーサガイドローラ41、41とを備えている。また、基板供給装置56は、基板供給装置6と同様に、基板供給リール10から供給された基板2が2個の基板ガイドローラ39、39の間で下側にたるむように構成され、この基板2のたるみ状態を検出する基板たるみセンサ76を備えている。また、基板供給装置56では、一旦たるんだ基板2がガイド部材40によって横方向に案内されて、接合装置54へ供給される構成となっている。
基板供給装置56では、装置の上面側に基板供給リール10が配置され、装置の底面側にスペーサ巻取リール38が配置されている。また、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38とは横方向でほぼ同じ位置に配置されている。さらに、基板たるみセンサ76は、高さ方向では、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間に配置され、横方向では、基板たるみセンサ76の中心位置が、基板供給リール10の中心位置やスペーサ巻取リール38の中心位置とほぼ同じになるように配置されている。
基板2と分離されたスペーサ9は、スペーサガイドローラ41、41に案内されてスペーサ巻取リール38に巻き取られる。スペーサ9が巻き取られる際には、スペーサ巻取リール38が第1スペーサリール用モータ77によって回転駆動されて図7で反時計方向へ回転する。また、スペーサ9と分離された基板2は、2個の基板ガイドローラ39、39の間でたるむように、基板供給リール10から供給される。より具体的には、基板2の底部2aが、第2の受発光部PR5と第3の受発光部PR6の間に位置するように、基板2が基板供給リール10から供給される。基板2が供給される際には、基板供給リール10が駆動モータ(図示省略)によって回転駆動されて図7で反時計方向へ回転する。なお、スペーサ巻取リール38がスペーサ9を巻き取る際には、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間でスペーサ9に張力がかかっていても良いし、張力がかかっていなくても良い。
基板巻取装置57は、実施の形態1の基板巻取装置7と同様に、基板巻取リール11と、スペーサ供給リール27と、搬入口28と、第1および第2の引込ローラ30、31と、第1および第2のガイド部材32、33と、基板ガイドローラ34と、2個のスペーサガイドローラ35、35とを備えている。なお、図6では、第1の引込ローラ30によって基板2が引き込まれた状態が図示されている。
また、基板巻取装置57は、基板巻取装置7と同様に、接合装置54から搬出され、基板巻取リール11に巻き取られる前の基板2がたるむように構成され、この基板2のたるみ状態を検出する基板たるみセンサ36を備えている。この基板たるみセンサ36は、実施の形態1と同様に、第1から第3の受発光部PR1、PR2、PR3と、第3の反射鏡M1、M2、M3とを備え、実施の形態1と同様に作用する。さらに、基板巻取装置57は装置の底面側に、網目状の板部材75を備えている。
実施の形態2では、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間のスペーサ9の張力が緩和されている。すなわち、図7に示すように、基板巻取装置57は、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間でスペーサ9が下側にたるむように構成されている。そして、基板巻取装置57は、このスペーサ9のたるみを検出するスペーサたるみセンサ92を備えている。このスペーサたるみセンサ92は、発光素子(図示省略)を有する1つの発光部93と、受光素子(図示省略)を有する1つの受光部94とを備えている。すなわち、スペーサたるみセンサ92は1組の検出部を備えている。
図7に示すように、基板巻取装置57では、基板巻取リール11が、基板巻取装置7での配置位置と同様の位置に配置されている。スペーサ供給リール27は、装置の底面側でかつスペースたるみセンサ92および板部材75よりも上方に配置されている。また、接合装置54からの基板2の搬出方向(すなわち、横方向)では、スペーサ供給リール27の回転中心27aは、基板巻取リール11の回転中心11aよりも接合装置54側(すなわち、上流側)に配置されている。また、基板たるみセンサ36は、高さ方向では、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間に配置されている。さらに、スペーサたるみセンサ92は、スペーサ供給リール27の下方に配置されている。具体的には、図7に示すように、スペーサ9のたるみ部分を発光部93と受光部94とが挟み込むように、スペーサたるみセンサ92が配置されている。なお、図7に示すように、スペーサたるみセンサ92を構成する発光部93の光軸からの基板2のたるみ量S2は、誤検出を防止するため、できるだけ多い方が好ましい。たとえば、たるみ量S2は50mm〜60mmであることが好ましいが20mm〜30mmであっても良い。
実施の形態1と同様に、スペーサ9は、基板巻取装置57における下流側でスペーサガイドローラ35、35に案内されてスペーサ供給リール27から基板巻取リール11に供給される。また、基板2は、基板巻取リール11の駆動モータ(図示省略)が回転駆動することで基板巻取リール11が図7で反時計方向に回転して、スペーサ9とともに基板巻取リール11に巻き取られる。
実施の形態2のスペーサ供給リール27には、図6に示すように、実施の形態1のスペーサ巻取リール38と同様に、駆動モータ(具体的にはAC(交流)モータ、以下、実施の形態2では「第2スペーサリール用モータ」と表記する)87が連結されており、回転中心27aを中心に回転駆動する。実施の形態2では、この第2スペーサリール用モータ87と、スペーサたるみセンサ92とによって、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間のスペーサ9の張力を緩和する張力緩和機構が構成されている。なお、スペーサたるみセンサ92は、たとえば、ソリッドステートリレーを介して第2スペーサリール用モータ87に電気的に接続されている。そして、スペーサたるみセンサ92からの信号がソリッドステートリレーを介して第2スペーサリール用モータ87に入力され、第2スペーサリール用モータ87が回転駆動するように構成されている。
また、実施の形態2でも、図6に示すように、スペーサ供給リール27は、トルクリミッタ78を介して第2スペーサリール用モータ87の出力軸に連結されている。また、図6に示すように、スペーサ供給リール27は、基板巻取装置57の本体プレート89に固定された軸受80に回転可能に支持されている。なお、トルクリミッタ78は必ずしも設ける必要はなく、スペーサ供給リール27は、直接、第2スペーサリール用モータ87の出力軸に連結されても良い。
実施の形態2では、スペーサたるみセンサ92でスペーサ9が検出されているときは、基板巻取リール11が基板2とともにスペーサ9を巻き取っていてもスペーサ供給リール27は回転しない。一方、基板巻取リール11で基板2とともにスペーサ9が巻き取られ、スペーサたるみセンサ92でスペーサ9が検出されなくなると、スペーサ供給リール27が図7で反時計方向へ回転して、スペーサたるみセンサ92でスペーサ9が検出されるまでスペーサ9を供給する。このようにして、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間でスペーサ9の張力が緩和されている。
板部材75は、たとえば、ステンレス鋼からなる線材が網目状に編み込まれて形成されている。すなわち、板部材75には、基板巻取装置57の内部で発生した塵埃が通過できる程度の大きさの網目が形成されている。この板部材75は、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間で、スペーサ9が下側へたるみ過ぎた場合であっても、基板2が基板巻取装置57の内側の底面に接触しないように設けられている。したがって、板部材75は、少なくともスペーサ供給リール27の下方から下流側に向かって設けられていれば良い。なお、板部材75は、基板巻取装置57の底面側の全域に設けられても良い。
(基板処理システムの概略動作)
以上のように構成された基板処理システム51の概略動作を以下に説明する。
まず、実施の形態1と同様に、基板処理システム51の初期設定を行う。このとき、基板巻取装置57では、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間でスペーサ9に張力がかからないように、スペーサ9をたるませる。たとえば、スペーサたるみセンサ92によってスペーサ9が検出されるように、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間でスペーサ9をたるませる。
初期設定が終了すると、接合装置54の搬送機構部62が基板2を間欠的に搬送する。この基板2の搬送に伴って、接合装置54では、順次、基板2上に電子部品3を接合する。このとき、基板供給装置56では、接合装置54での基板2の搬送に応じて、基板供給リール10が回転して基板2を供給する。具体的には、基板ガイドローラ39、39の間で下側にたるんだ接合装置54に供給される前の基板2の底部2aが、第2の受発光部PR5と第3の受発光部PR6の間に位置するように、基板供給リール10が回転して基板2を供給する。
基板巻取装置57では、接合装置54から搬出された基板2が第1のガイド部材32または第2のガイド部材33と基板ガイドローラ34との間で下側にたるんでいる。そして、図4(A)に示すように、基板2の底部2aが、第3の受発光部PR3よりも低くなったとき、基板巻取リール11が、図4(C)に示す状態まで基板2を巻き取る。すなわち、たるんだ基板2の底部2aが、高さ方向で、第2の受発光部PR2と第3の受発光部PR3との間に位置するまで、基板巻取リール11が基板2を巻き取る。
また、基板巻取装置57では、スペーサたるみセンサ92によってスペーサ9が検出されているときは、スペーサ供給リール27は回転しない。これに対して、基板巻取リール11で基板2とともにスペーサ9が巻き取られ、スペーサたるみセンサ92によってスペーサ9が検出されなくなると、スペーサ供給リール27が図7で反時計方向へ回転して、スペーサたるみセンサ92によってスペーサ9が検出されるまでスペーサ9を供給する。
(実施の形態2の主な効果)
以上説明したように、実施の形態2では、スペーサ供給リール27を駆動する第2スペーサリール用モータ87とスペーサたるみセンサ92とによって、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間のスペーサ9の張力を緩和している。そのため、スペーサ9と重なった状態で基板巻取リール11に巻回される基板2へのスペーサ9の張力に起因する外力を排除することができる。すなわち、基板巻取リール11に巻回される基板2がスペーサ9の張力によって締めつけられるのを防止することができる。したがって、実施の形態2の基板巻取装置57では、薄型の基板2を取り扱っても、基板2の損傷や、接合装置54で接合された電子部品3の接合不良の発生を抑制することができる。
特に、基板2の厚さが50μm以下の場合、基板2が伸びやすくなるため、基板2の損傷や、基板2に接合された電子部品3の接合不良が生じやすくなるが、実施の形態2の構成を採用することで、これらの問題の発生を抑制することができる。
また、実施の形態2では、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間のスペーサ9の張力を緩和しているため、電子部品3の小型化、高性能化、高機能化等に伴って、電子部品3の端子部が細くなり、基板2に接合された電子部品3の端子部が切れやすくなる場合であっても、電子部品3の端子部の損傷を防止することができる。
実施の形態2では、スペーサたるみセンサ92での検出結果に基づいて、第2スペーサリール用モータ87でスペーサ供給リール27を回転駆動してスペーサ9を巻き取っている。そのため、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間で、スペーサ9を確実にたるませることができる。その結果、スペーサ9と重なった状態で基板巻取リール11に巻回された基板2へのスペーサ9の張力に起因する外力を確実に排除することができる。
実施の形態2の基板巻取装置57では、基板たるみセンサ36が第1から第3の受発光部PR1〜PR3と第1から第3の反射鏡M1〜M3とからなる3組の検出部を備えるとともに、スペーサたるみセンサ92は発光部93と受光部94とからなる1組の検出部を備えている。接合装置54と基板巻取リール11との間で基板2に張力が発生すると、基板2に損傷が生じやすくなる。特に基板2が薄型化すると、基板2に生じた張力で基板2は損傷する。そのため、基板巻取リール11の巻き取られる前の基板2のたるみを検出する基板たるみセンサ36が3組の検出部を備えることで、基板2のたるみ状態を3数段階で検出することができ、基板2に張力が生じるのを確実に防止することができる。一方、スペーサ9に張力が発生しても直ちに基板2に損傷が生じることは少ない。そのため、スペーサたるみセンサ92が1組の検出部を備えるようにすると、スペーサ9の張力に起因する基板2の問題の発生を抑制しつつ、基板巻取装置57の機械的な構成を簡素化できる。また、スペーサたるみセンサ92の検出部が1つであるため、たとえば、ソリッドステートリレーを用いた第2スペーサリール用モータ87のハード制御が可能となり、基板巻取装置57の電気的な構成も簡素化できる。
実施の形態2では、接合装置54からの基板2の搬出方向で、スペーサ供給リール27の回転中心27aが、基板巻取リール11の回転中心11aよりも、接合装置54側に配置されている。そのため、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間に、スペーサ9を大きくたるませる空間を設けることができ、スペーサ9を容易にたるませることができる。すなわち、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間で張力を容易に緩和させることができる。また、基板たるみセンサ36を配置する空間を設けやすくなる。
実施の形態2では、スペーサ供給リール27の下方に網目状の板部材75が配置されている。そのため、基板巻取装置57の内部で発生する塵埃は板部材75の下方へ落下する。したがって、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間で、スペーサ9が下側へたるみ過ぎて板部材75の上面に接触しても、スペーサ9に塵埃が付着するのを抑制することができる。その結果、スペーサ9と重なった状態で巻回される基板2への塵埃の付着を抑制することができる。特に、基板巻取装置57の内部において、スペーサ供給リール27の下方に十分なスペースを確保できない場合であっても、板部材75を設けることで、基板2への塵埃の付着を抑制することができる。
[他の実施の形態]
上述した各形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形可能である。
上述した実施の形態1では、基板2としてCOFテープが用いられており、図1には、COFテープを用いたときの状態が図示されている。この他にもたとえば、基板2は上述したように、TABテープであっても良い。以下、基板2がTABテープである場合の構成を簡単に説明する。
図10は、基板2がTABテープの場合における図1の円形枠F1部、F2部の拡大図に相当する拡大図である。図11は、図10のI−I方向から電子部品3の周辺を示す図である。なお、図10には、樹脂塗布装置4で基板2に樹脂91が塗布された後の状態が図示され、図11には、樹脂塗布装置4で基板2に樹脂91が塗布される前の状態が図示されている。また、図11のJ−J断面が、図10の電子部品3およびその周辺部に対応する。
図10および図11に示すように、基板2がTABテープである場合、基板2には、たとえば、IC等の矩形状の電子部品3が実装されている。この電子部品3は、基板2に形成されたデバイスホール2cに端部が延在するインナーリード90の電極90aに接続されて、基板2に実装されている。そして、この状態の基板2が基板供給リール10に巻回されている。また、図10に示すように、電子部品3が下側になった状態で、基板2は、基板供給装置6から樹脂塗布装置4へ供給される。
樹脂塗布装置4では、樹脂塗布部14によって基板2の上方からデバイスホール2cへ樹脂91が塗布される。塗布された樹脂91はデバイスホール2cに充満し、さらにインナーリード90を越えて電子部品3の能動面(図10の上面)を覆う。そして、樹脂91によって、電子部品3の能動面が封止(シールド)される。
また、上述した実施の形態1では、基板供給リール10に巻回された基板2は、電子部品3が実装されたCOFテープやTABテープ等である。この他にもたとえば、基板供給リール10に巻回される基板2は、転写されたフラックスに半田ボール等の導電性を有するボールを搭載されたテープ状の基板2であっても良い。この場合には、基板2の損傷の発生を抑制できるという上述した実施の形態1の効果に加え、基板2に搭載されたボールのずれを防止することができる。
さらに、上述した実施の形態2の基板処理システム51では、接合装置54が基板処理装置として、基板供給装置56と基板巻取装置57との間に配置されている。この他にもたとえば、テープ状の基板2に転写されたフラックスに半田ボール等の導電性を有するボールを搭載するボール搭載装置を基板処理装置として、基板供給装置56と基板巻取装置57との間に配置しても良い。この場合には、基板2の損傷の発生を抑制できるという上述した実施の形態2の効果に加え、基板2に搭載されたボールのずれを防止することができる。
また、基板処理装置として、UVインクやレーザで基板2上に印字を行う印字装置を基板供給装置56と基板巻取装置57との間に配置しても良い。この場合であっても、基板2の損傷の発生を抑制できる。また、基板2とともに巻き取られるスペーサ9の第1凸部9aと第2凸部9bとの位置ずれを防止し、ある周に巻回された基板2とその次の周に巻回された基板2との間に、第1凸部9aと第2凸部9bとによって径方向で所定の隙間を確保することができる。
さらにまた、上述した実施の形態1では、樹脂硬化装置5で硬化された樹脂によって、電子部品3が基板2上にしっかりと固定されるため、基板巻取装置7では、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間のスペーサ9の張力を緩和していない。しかし、実施の形態1の基板処理システム1に、実施の形態2の基板巻取装置57を用いて、基板巻取リール11とスペーサ供給リール27との間のスペーサ9の張力を緩和しても良い。また、実施の形態2では、基板供給リール10に巻回された基板2には電子部品3が実装されていないため、基板供給装置56では、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間のスペーサ9の張力を緩和していない。しかし、実施の形態2の基板処理システム51に、実施の形態1の基板供給装置6を用いて、基板供給リール10とスペーサ巻取リール38との間のスペーサ9の張力を緩和しても良い。
また、上述した各形態では、スペーサたるみセンサ42、92の検出結果に基づいて、スペーサ巻取リール38やスペーサ供給リール27を回転駆動して、スペーサ9をたるませている。この他にもたとえば、樹脂塗布装置4および樹脂硬化装置5、あるいは、接合装置54での基板2の搬送量を検出して、その検出結果に基づいて、スペーサ巻取リール38やスペーサ供給リール27を回転駆動して、スペーサ9をたるませても良い。
さらに、上述した各形態では、スペーサたるみセンサ42、92は、発光部43、93と受光部44、94とからなる1組の検出部を備えている。この他にもたとえば、スペーサたるみセンサ42、92は、複数の発光部43、93と複数の受光部44、94とからなる複数組の検出部を備えても良い。たとえば、スペーサたるみセンサ42、92は、3組の検出部を備えていても良い。この場合には、基板たるみセンサ36と同様に、複数組の検出部を高さ方向に多段に配置すれば良い。このように構成すると、第1スペーサリール用モータ77や第2スペーサリール用モータ87の回転、停止の間隔(すなわち、オンオフの間隔)を長くすることができる。また、スペーサたるみセンサ42、92が複数の検出部を備える場合には、ソリッドステートリレーを用いたハード制御でなく、所定のソフトによって、第1スペーサリール用モータ77や第2スペーサリール用モータ87を制御すれば良い。また、スペーサたるみセンサ42、92を、基板たるみセンサ36と同様に、受発光部とミラーとから構成しても良い。
なお、スペーサ9のたるみ量によっては、スペーサたるみセンサ42、92でチャタリングが生じやすくなる。このチャタリングを防止するために、受光部44、94で光を検出してから信号を出すまでの時間を調整できるディレイ機能やチャタリング防止機能等をスペーサたるみセンサ42、92に持たせても良い。
さらにまた、基板たるみセンサ36、76が1組の検出部を備えるように構成しても良いし、2組あるいは4組以上の検出部を備えるように構成しても良い。
また、上述した各形態では、基板処理システム1、51は、いわゆるリール・ツウ・リールの基板処理システムであるが、本発明の構成は、基板供給装置6、56または基板巻取装置7、57のいずれか一方のみを備える基板処理システム(すなわち、リール・ツウ・リールでない基板処理システム)にも適用できる。