JP2007126796A - 交絡糸およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製織に用いる経糸、および緯糸の両糸条に対し有効な交絡糸であり、糸条に加わる機械的負荷に耐え得る適度な集束性を有すると共に飛走性に優れる800〜1000rpm程の高速製織が可能な交絡糸を提供する。
【解決手段】ポリアミドマルチフィラメントからなる交絡糸であって、水浸法により得られる交絡数が10〜25個/mであり、該糸の交絡部の長さが2〜20mm、非交絡部の長さが30〜80mmの範囲にあり、かつ下記式を満足し、さらに該糸の交絡部、非交絡部それぞれの長さのバラツキがCV値(変動係数)で30%以下であることを特徴とする交絡糸。
1.5≦b/a≦40 ・・・(1)
0.2≦c/b≦0.8 ・・・(2)
(ただし、aは糸条の交絡部長、bは非交絡部長、cは水浸漬時の非交絡部の拡がり幅である。)
【選択図】選択図なし

Description

本発明はポリアミド繊維からなる交絡糸およびその製造方法に関し、詳しくは製織工程における経糸性能として求められる適度な集束性と緯糸性能として求められる飛走安定性を兼ね備えるポリアミド繊維交絡糸、およびその製造方法に関するものである。
一般に糸条への交絡は、糸条の整経または製織時において単糸がばらけ、擦れあうことによって発生する毛羽や単糸がたるんでループ状態で織物に取り込まれ、織物品位を下げるといった問題を解決するために糸条に集束性を付与する目的で施される(例えば特許文献1および2)。そして近年の製織工程においては、生産性を考慮した製織速度の高速化、かかる工程の効率化、省力化が進められており、従来の低速度製織に比べ、糸条へ加わる機械的な負荷はより一層強まり、これまで付与してきた交絡では十分な集束効果が得られなくなってきた。つまり、製糸工程において付与された交絡が高速製織工程で解消されてしまい、交絡を付与した効果が実質的に得られていないのである。これらの問題を解決するために、緊張処理をしても交絡が実質的に維持されるような強固な交絡を施した交絡糸が特許文献3に開示されている。これにより800rpm程度の高速製織においても製糸工程にて付与した交絡が解消することなく、それが故に製織効率が良いとされている。しかしながら、ここに記される交絡糸は製織時の交絡の保持率についてのみ言及しており十分だとは言えない。
高速製織における糸条の集束性を強固な単糸交絡、均一な交絡によって得る従来の技術は、製織時の経糸使いの糸条に適するものであり、必ずしも緯糸使いの糸条において適応できるとは限らない。何故なら、高速製織工程における緯糸においては、より速く飛走し緯入れを完了することに製織速度の高速化が実現できるからである。製織速度が600rpm程度の低速であれば従来の技術の交絡糸により許容できるが、800rpm以上、まして1000rpmの高速製織においては、従来の交絡糸では製織時の緯糸の飛走が十分対応できず、織機停台の増加による製織効率の低下、緯糸の飛走不足により織物品位を損ねるといった問題がある。また、緯糸の飛走性に関しては、糸条のみの特性によるものではなく、パッケージからの糸条の解舒性も重要な要素となる。糸条の解舒性に関しては、例えば、特許文献4に開示されているが、糸条の解舒性の改善による製織工程における効果は明確になっていない。このように、高速製織においては、単に糸条の集束性を向上させたのみでは十分な効果は見込めず、また、パッケージからの糸条の解舒性改善においても同様である。
近年では、ポリエステルに代表される衣料用繊維にかかわらず、耐熱性、耐磨耗性、寸法安定性などの面に優れ、従来から産業資材用繊維として用いられてきたポリアミド繊維においても製織速度の高速化が進んでおり上記問題は深刻である。衣料用繊維に比べ、産業資材用繊維は繊度が100dtexを超えることが一般的である。特にポリアミド繊維からなる交絡糸においては、製織工程の高速化において経糸使い、緯糸使いの両方に適する交絡糸は、未だ知られておらず、このような交絡糸が切望されているのが現状である。
特開昭55−132728号公報 特開昭61−17443号公報 特開平4−185726号公報 特開平10−120302号公報
本発明の課題は、例えば産業用資材に用いる織物を高速製織する際、糸条への機械的な負荷により生ずる単糸のばらけや毛羽、これに起因する製織効率の低下を防ぐとともに、ウォータージェットルームを用いた製織における緯糸飛走性が良好で、織物品位に優れた交絡糸およびその製造方法を提供することである。
本発明者等は、前記課題を解決するため、ウォータージェットルームを用いた前記織物の製織において、経糸使い糸条においては適度な集束性、緯糸使い糸条においては水と接した際の糸条の交絡形状が非常に重要であることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
(1)ポリアミドマルチフィラメントからなる交絡糸であって、水浸法により得られる交絡数が10〜25個/mであり、該糸の交絡部の長さが2〜20mm、非交絡部の長さが30〜80mmの範囲にあり、かつ下記式を満足し、さらに該糸の交絡部、非交絡部それぞれの長さのバラツキがCV値(変動係数)で30%以下であることを特徴とする交絡糸。
1.5≦b/a≦40 ・・・(1)
0.2≦c/b≦0.8 ・・・(2)
(ただし、aは糸条の交絡部長、bは非交絡部長、cは水浸漬時の非交絡部の拡がり幅である。)
(2)1.0cN/dtexの張力をかけて緊張処理した後の交絡保持率が10〜50%の範囲であることを特徴とする前記(1)に記載の交絡糸。
(3)総繊度が150〜800dtex、単糸繊度が2〜7dtex、強度7.5〜9.0cN/dtex、伸度が15〜25%、沸水収縮率が4〜8%の物性を有するポリアミドマルチフィラメントであり、かつ該糸の油付着率が0.6〜1.2%であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の交絡糸。
(4)溶融紡糸により紡糸されたポリアミドマルチフィラメントを、多段延伸ローラ、交絡付与装置、およびその前後に設けられた1つ以上の糸道規制ガイドを経由して巻取る交絡糸の製造方法であって、前記多段ローラにより延伸を施す際、下記式(3)〜(5)を満足し、かつ前記交絡付与装置の直前において水を付与することを特徴とする交絡糸の製造方法。
0.5≦Ra1≦3.0 ・・・(3)
3.4≦Ra2≦5.0 ・・・(4)
Ra2ーRa1≧1.0 ・・・(5)
(ただし、Ra1は最終延伸に用いる巻取り側に位置するローラ群の表面粗度であり、Ra2は該ローラ群の直前にあるローラ群の表面粗度である。)
本発明の交絡糸によれば、高速製織に必要な適度な集束性を有し、かつ水の包含性に優れるため、ウォータージェットルーム製織における緯糸飛走性が飛躍的に改善され、高速製織を可能にするとともに、かかる工程における欠点が少ない、高品位のポリアミド繊維の織物を得ることができる。従来技術と比較すれば、従来技術は、織機の高速運転において糸条が受ける機械的な負荷に対し、いわば経糸使いの糸条に着目し、糸条の集束性を向上させることにより、製織時のトラブルを解決しようとするのに対し、本発明では、製織工程を総合的に捉え、経糸使いの糸条は、交絡状態を適正にすることにより、適度な集束性を得、その結果、製織速度の高速化に追従できる一方、緯糸使いの糸条は、パッケージからの解舒性に優れ、かつ緯糸入れの際スムーズに飛走することができるという効果を有する。
本発明における交絡糸の交絡数は、水浸法における測定において10〜25個/m必要である。交絡数が10個/m未満の糸条では、製織の際の経糸に要求される集束性を十分に満足することができず、製織効率の低下を招いたり、織物品位を損なうことがある。一方、交絡数が25個/mを超えるものは、糸条の長さ方向において単糸長のバラツキを生じ、かえって製織中の糸切れや毛羽の発生を促したり、さらには糸条の水の包含が不十分となり、緯糸の飛走性が著しく劣り、織機の停台を招くことがある。また、本発明の交絡糸は、1.0cN/dtexの張力をかけて緊張処理した後の交絡保持率が処理前の10〜50%の範囲にあることが好ましい。交絡保持率が10%未満では、経糸として要求される集束性を満足することができないことがあり、また、交絡保持率が50%を超える場合は、糸条の集束性は十分なものの、ウォータージェットルームにて緯糸入れを行う際、水の包含性に劣り、飛走不足による製織トラブルを誘発することがある。
また本発明の交絡糸は、下記式(1)および(2)を満足し、さらに該糸の交絡部、非交絡部それぞれの長さのバラツキがCV値(変動係数)で30%以下である。
1.5≦b/a≦40 ・・・(1)
0.2≦c/b≦0.8 ・・・(2)
(ただし、aは糸条の交絡部長、bは非交絡部長、cは水浸漬時の非交絡部の拡がり幅である。)
CV値が30%を超えると、製織時の糸条のバラケやタルミが多くなる。また上記式を満足しないと、高速製織における緯糸の飛走性が不十分であり、織物欠点としてその品位の低下を招くことがある。
本発明の交絡糸は、総繊度が150〜800dtex、単糸繊度が2〜7dtex、強度7.5〜9.0cN/dtex、伸度が15〜25%、沸水収縮率が4〜8%の物性を有し、かつ該糸の油付着率が0.6〜1.2%であることが望ましい。繊度が150dtexを下回るようなものは、特に産業資材用途として求められる力学特性を付与するには糸条を高度に延伸することが必要であり、これは伸度の著しい低下と製糸工程における毛羽の増大につながり、製織工程におけるトラブルの一因となり、この部分の織物品位を損ねてしまう。一方、800dtexを上回るものは、経糸に求められる集束性を付与することが難しくなり易い。つまり、繊度が大きくなることによって適度な交絡を付与するには、糸旋回に必要なエアー圧、またはエアー流量を著しく増加する必要があり、用役増分のコストアップだけでなく、交絡ノズル部において糸条がダメージを受け易く、毛羽が生じ、糸条品位の低下を招き易い。単糸繊度においても2〜7dtexであることが物性面、交絡付与の観点から特に有用である。単糸繊度が2dtex未満では、単糸タフネスなどの引張り特性が低く、製糸工程の毛羽発生の抑制が困難となることがある。一方、単糸繊度が7dtexを超えるものは、交絡処理の際の糸条旋回において、より多くのエネルギーを必要とすると共に意図する交絡状態を得ることができないことがある。さらには、強度7.5〜9.0cN/dtex、伸度が15〜25%であることは、特に産業資材の所望性能を満足させるために重要である。また沸水収縮率が4〜8%の範囲であることは熱寸法安定性が良いことを示す。これは後加工における織物の収縮を抑制することを意味しており、織機によって決まる織物幅をより有効に利用できると共に加工条件の自由度の面からも優れる。また、製糸工程において糸条に付与される油剤付着率は0.6%〜1.2%の範囲であることが好ましい。1.2%を超える油剤付着率を有する糸条は、水と接した際、水乗りがわるいと称されるように、水を弾きやすく、製織に際し織機の運転条件の調整を必要としたり、緯糸の飛走に起因する織物欠点が生じやすいといった欠点がある。0.6%未満の油剤付着率では、糸条の飛走性の点においては優れるものの、製糸工程における延伸中に単糸毛羽を生じさせることがある。
本発明による交絡糸を構成するポリアミド成分は、例えば、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタムおよびそれらの共重合体、ブレンド物などが好ましく用いられ、特にポリヘキサメチレンアジパミドが耐熱性の点でより好ましい。
次に本発明による交絡糸を製造する方法について説明する。図1は、本発明の交絡糸を製造する設備の一例を示す説明図である。まず、溶融状態のポリマーはスピンヘッド1と呼ばれる紡糸機の一部によって均温化され、紡糸口金2より紡出される。紡出されたポリマーは、冷却チャンバー3からの冷風により固化され糸条を形成する。各エンドにまとめられた糸条は、その後、給油ローラ4を有する給油装置で仕上剤を付与された後、第1ローラ5、第2ローラ6および第3ローラ7からなるローラ群による延伸工程へと進む。すなわち、糸条はローラ5により所定の速度で引き取られた後、多段の加熱延伸ローラ6および7により延伸された後、水付与装置8および糸道規制ガイド9を通って交絡付与装置10に供給され、さらに水付与装置8を通って巻取り機11で巻取られる。給油装置にて付与される仕上剤は、特に限定されるものではないが、製糸工程における糸条の延伸がスムーズに行われるように平滑性に優れ、かつ耐熱性を有するものが糸条品位、産業資材用途の観点から好ましい。かかる特性を満たす油剤組成としては、例えば、二価脂肪酸エステル化合物、アルキレンオキサイドを含有するニ価脂肪酸エステル化合物、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物、およびアルキレンオキサイドを含有する多価アルコールアルキレンオキサイド付加物などを主成分とする仕上剤が好ましく用いられる。油剤は鉱物油などで希釈されたもの、水系のエマルジョンなど限定されるものではないが、後工程における水との相溶性を考慮した際にはエマルジョンであることが好ましい。
交絡付与装置は、延伸ローラと巻取り機の間に設けられるが、交絡付与に際し、その直前に水付与装置8で水を付与することは、交絡処理時に供給する圧縮流体のエネルギーをより効率的に用いると共に、均一な交絡を形成する上で非常に重要である。付与する水量は、単位時間あたりに水付与装置を通過する糸条重量の50〜100%の範囲であることが好ましい。これは紡速、糸条の総繊度により適宜変更することができる。付与する水量が50%未満では本発明の意図する交絡糸が得られないことがある。また、100%を超える場合は、巻き取られたパッケージが湿潤状態にあり、パッケージの形状を悪化させたり、その後の取扱いが煩雑になる。すなわち、上記範囲に水量を調整すれば、交絡付与前には、糸条は湿潤状態にあって、前記効果をもたらし、交絡付与後においては熱延伸工程から持ち込まれた熱により糸条が乾燥するため、パッケージの形状も安定する。水付与は、ロール、ノズル等の公知の装置により行われる。付与は水のみならず糸条用途における後工程に考慮し、油剤を混合してもよい。
さらに交絡付与装置10の上流部と下流部には糸走を安定させるための糸道規制ガイド9が設けられる。これらと交絡付与装置の交絡ノズル部とで規定される糸走角度を1〜10°の範囲に保つことはバラツキの少ない交絡糸を得る上で好ましい方法である。交絡付与装置は、交絡ノズルにより圧縮流体を糸条に噴射する公知の装置を用いることができるが、糸条への圧縮流体は、0.5〜3.5kWのエネルギーにて供給をすることが好ましい。圧縮流体の供給エネルギーは、供給圧(Mpa)と使用流量(Nm/hr)の積により算出することができ、供給圧、交絡ノズルの流体導入口径を任意に選択することにより、上記供給エネルギーの範囲を満足することができる。さらに最終延伸ローラ7と巻取り機11間の巻取り張力を0.1〜0.3cN/dtexの範囲になるように調整することにより、本発明の交絡糸はその交絡部が安定したバラツキの少ないものになると同時にパッケージを解除する際の張力変動を最小限にすることができパッケージの解舒性にも優れる。
本発明の交絡糸の製造方法においては、交絡付与装置10を延伸ローラ5〜7と巻取り機11間に設置するため、延伸直後における糸条の単糸バラケ、またはタルミを如何に抑制するかが重要となる。すなわち、交絡付与装置により高圧流体を糸条に噴射する際、糸条にバラケ、またはタルミが生じていると交絡が規則的に入らず、またその状態も一様ではない。従って、交絡付与前において糸条は以下の方法により、長さ方向においてバラケなく纏まっており、タルミがないことが必要である。すなわち、糸条の溶融紡糸において多段ローラにより延伸を施す際には、前記式(3)、(4)および(5)に示したように、最終延伸に用いる巻取り機側に位置するローラ群7の表面粗度が算術平均Raで0.5〜3.0であり、該ローラ群7の直前にあるローラ群6の表面粗度が算術平均でRa3.4〜5.0の範囲にあり、かつこれらローラの粗度差(Ra2−Ra1)が1以上であることが好ましい。つまり、巻取り側に位置する延伸ローラ群7で糸条をしっかり把持し、該ローラ群7の直前にあるローラ群6上で糸条をスリップさせ、延伸することで均一な延伸と共に糸条の長さ方向へのタルミを解消することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、明細書本文および実施例にて用いる物性の定義、測定方法は次の通りである。
(1)交絡数
本発明で取り扱う交絡数は、水浸法で求められた値をいう。交絡数測定用の水浴バスは、図2に示すような長さ1.0m、幅20cm、高さ(水深)15cmの大きさであり、供給口から供給された水はバスから溢流により排水される。すなわち、常に新しい水を約500cc/分の流量で供給することによって測定バス内の水を更新させる。これは、糸条を浸漬すると糸条に付着している仕上剤が水面に拡がり、次ぎに新しい糸条を浸漬したときにその糸条が開繊しにくくなることを防止する上で有用である。したがって、常に新しい水を供することにより測定バス内に拡がった仕上剤膜の除去を行うことができる。さらに水浸した糸条の交絡数を計測するに当り、バスは黒色であることが好ましい。バス自体を黒色にしなくても、底面に黒色のシールを貼布することで代替してもよい。次に測定方法は、測定バス内に糸条の両端を持って弛緩状態で浸漬させ、長さ1m当りの交絡数を目視により読み取る。これらの測定を50回繰り返し、その平均値、さらには交絡数のバラツキを評価する。
(2)交絡部長、非交絡部長、非交絡部の拡がり幅
水浸法により糸条の交絡数を測定する際、図3に示すように水面に拡がった糸条の交絡部a、非交絡部の長さb、および非交絡部の拡がり幅cをスケールにて測定する。
(3)交絡部長、非交絡部長のバラツキCV値(coefficient of variation/変動係数)
CV値(変動係数)=s/X×100(%)
ここで、s:バラツキの標準偏差、:平均値をそれぞれ示し、CV値が高いほど、バラツキが大きいことを示す。
(4)1.0cN/dtexの張力をかけた後の交絡数
1.0cN/dtexの張力をかけて糸条を検尺機にて一旦巻取り、この糸条について上述した交絡測定法によって交絡数を測定する。緊張処理前後の交絡数の割合にて交絡保持率を求めた。
(5)繊度、強度、伸度
JIS L 1017 7.3、及び7.5により測定した。なお、強度および伸度は、試料長250mm、引張速度300mm/分で測定した値である。
(6)沸水収縮率
JIS L 1017 8.14により測定した。
(7)油剤付着率
JIS L 1017 7.16により測定した。
(8)ロールの表面粗さ
表面粗さ測定器(小坂(株)製、サーフコーダSE−40D−106)を用い、JIS−B0601規定の触針式表面粗さを測定した。50回測定を繰り返し、算術平均値を求めた。
(9)製織時停台
製織時に経糸の集束性に係る欠点が原因で停台した頻度、および緯糸の飛走性に係る欠点が原因で停台した頻度を求めた。
[実施例1〜5、比較例1〜5]
図1に示す装置により、常法の重合方法にて90%蟻酸相対粘度が80のナイロン66を300℃にて溶融後、スピンヘッド1により均温化させ、孔数72の紡糸口金2により吐出して、直接紡糸延伸プロセスによって巻取り、470dtex、72フィラメントを製糸した。すなわち、吐出されたナイロン66ポリマーは、冷風チャンバー3にて冷却固化され糸条を形成した後、給油ローラー4、第1ローラ5、第2ローラ6、第3ローラ7、水付与装置8を順次通過させ、糸道規制ガイド9にて糸走を安定させた後、交絡付与装置10にて糸条に交絡を付与し巻き取った。
各ローラの温度は、第1ローラを65℃、第2ローラを200℃、第3ローラを220℃とした。また、各ローラには次のような表面処理を施した。第1ローラを鏡面、第2ローラおよび第3ローラを梨地にし、第2ローラおよび第3ローラの表面粗度は、それぞれ表1と表2の通りに変化させた。交絡付与装置は、第3ローラと巻取り機間11に設置し、糸条への圧縮空気の供給エネルギーは表1と表2のように変化させた。製織工程にて、経糸の集束性、緯糸の飛走性に係る欠点が原因で織機が停台した頻度をそれぞれ求めた。交絡数、交絡糸の物性などの評価結果をそれぞれ表1と表2に併記した。
Figure 2007126796
Figure 2007126796
表1の実施例に示すように、本発明の交絡糸は、適度な集束性と水に接した際の一様な交絡形態を有し、製織工程における経糸および緯糸の原因による織機停台回数が非常に少なく、製織効率の向上はもちろん、安定した高速製織が可能となる。
本発明の交絡糸は、高速製織に代表される糸条の後加工分野で好適に利用できる。
本発明の交絡糸を製造する装置の一例を示す説明図。 水浸法による交絡数の測定方法の説明図。 糸条を水に浸漬したときの交絡部と非交絡部の模式図。
符号の説明
1:スピンヘッド、2:紡糸口金、3:冷風チャンバー、4:給油ローラ、5:第1ローラ、6:第2ローラ、7:第3ローラ、8:水付与装置、9:糸道規制ガイド、10:交絡付与装置、11:巻取り機(a.糸条の交絡部長、b.糸条の非交絡部長、c.水浸漬時の非交絡部の拡がり幅)。

Claims (4)

  1. ポリアミドマルチフィラメントからなる交絡糸であって、水浸法により得られる交絡数が10〜25個/mであり、該糸の交絡部の長さが2〜20mm、非交絡部の長さが30〜80mmの範囲にあり、かつ下記式を満足し、さらに該糸の交絡部、非交絡部それぞれの長さのバラツキがCV値(変動係数)で30%以下であることを特徴とする交絡糸。
    1.5≦b/a≦40 ・・・(1)
    0.2≦c/b≦0.8 ・・・(2)
    (ただし、aは糸条の交絡部長、bは非交絡部長、cは水浸漬時の非交絡部の拡がり幅である。)
  2. 1.0cN/dtexの張力をかけて緊張処理した後の交絡保持率が10〜50%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の交絡糸。
  3. 総繊度が150〜800dtex、単糸繊度が2〜7dtex、強度7.5〜9.0cN/dtex、伸度が15〜25%、沸水収縮率が4〜8%の物性を有するポリアミドマルチフィラメントであり、かつ該糸の油付着率が0.6〜1.2%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の交絡糸。
  4. 溶融紡糸により紡糸されたポリアミドマルチフィラメントを、多段延伸ローラ、交絡付与装置、およびその前後に設けられた1つ以上の糸道規制ガイドを経由して巻取る交絡糸の製造方法であって、前記多段ローラにより延伸を施す際、下記式(3)〜(5)を満足し、かつ前記交絡付与装置の直前において水を付与することを特徴とする交絡糸の製造方法。
    0.5≦Ra1≦3.0 ・・・(3)
    3.4≦Ra2≦5.0 ・・・(4)
    Ra2ーRa1≧1.0 ・・・(5)
    (ただし、Ra1は最終延伸に用いる巻取り側に位置するローラ群の表面粗度であり、Ra2は該ローラ群の直前にあるローラ群の表面粗度である。)
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