JP2007126370A - 脂環式ジエポキシド混合物およびその製造方法 - Google Patents

脂環式ジエポキシド混合物およびその製造方法 Download PDF

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和哉 清水
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太津彦 林原
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Abstract

【課題】電子材料、光学材料等に好適に用いられる、透明性に優れた硬化物を与え得る、カチオン重合用のモノマーである脂環式ジエポキシド混合物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1a)で示される化合物および下記一般式(1b)で示される化合物からなる脂環式ジエポキシド混合物。
Figure 2007126370

(式(1a)および(1b)中、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは0または
1を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明はカチオン重合用モノマーに関し、より詳細には、電子材料、光学材料等に好適に用いられる、透明性に優れた硬化物を与え得る脂環式ジエポキシド混合物およびその製造方法に関する。
カチオン重合用モノマーは活性エネルギー線硬化用開始剤などと併用して、印刷インキ、レジストインキ、接着剤、封止剤など多くの分野への展開が期待されている。
例えば封止剤としては、発光ダイオードに代表される発光素子などの半導体を封止する用途がある。特に近年、発光ダイオードの分野では、青色光、紫外光など短波長の光を発する発光ダイオード、これら発光ダイオードに蛍光体を組み合わせた白色発光ダイオードが実用化されてきており、青色光〜紫外光(波長500nm〜380nm)に対する透過率が高いこと、発光ダイオードによる発熱、あるいは発光ダイオードの発する短波長光により透過率が低下しないことなどが封止剤として必要とされている。
これまでに、このような発光素子の封止剤として、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどの脂環式エポキシ化合物を含む樹脂組成物や、芳香族エポキシ樹脂を水素化して得られるエポキシ樹脂を含む樹脂組成物を用いることが検討されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
特開2000−196151号公報 特開2003−277473号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載の脂環式エポキシ化合物を含む樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、高温(例えば150℃)で保管すると着色しやすく、また高温−低温のヒートサイクルを繰り返すと亀裂破壊を生じやすく、さらに耐湿性も悪かった。したがって、長時間物性を保持する必要がある用途、例えば発光素子の封止剤用途に適用するには未だ問題があった。
しかして、本発明の目的は、電子材料、光学材料として好適に利用し得る、光透過性に優れる硬化物が得られる、新規な脂環式エポキシ化合物を提供することにある。
すなわち本発明は、[1]下記一般式(1a)で示される化合物および下記一般式(1b)で示される化合物からなる脂環式ジエポキシド混合物[以下、脂環式ジエポキシド混合物(1)と称する。]、
Figure 2007126370
(式(1a)および(1b)中、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは0または
1を表す。)
[2] 下記一般式(2a)で示される化合物および下記一般式(2b)で示される化合物からなる脂環式ジオール混合物[以下、脂環式ジオール混合物(2)と称する。]
Figure 2007126370
(式(2a)および(2b)中、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは0または
1を表す。)
を、グリシジルエーテル化することによる、脂環式ジエポキシド混合物(1)の製造方法である。
本発明により、電子材料および光学材料として好適に利用でき、光透過性に優れる硬化物が得られる、新規な脂環式エポキシ化合物を得ることができる。
本発明の脂環式ジエポキシド混合物(1)は、例えば、脂環式ジオール混合物(2)をグリシジルエーテル化することで得られる。
〔脂環式ジオール混合物(2)について〕
まず、原料となる脂環式ジオール混合物(2)について説明する。
脂環式ジオール混合物(2)は、前記一般式(2a)で示される化合物と一般式(2b)で示される化合物の混合物であり、これらの存在比に特に制限はない。
以下、脂環式ジオール混合物(2)の具体的な製造方法を記す。
脂環式ジオール混合物(2)において、R1が水素原子であり、nが0である化合物の
混合物は、例えば、1,5−シクロオクタジエンを、ボラン−THF錯体の存在下に室温でヒドロホウ素化反応させ、次いで反応生成物を過酸化水素で処理することにより得ることができる[例えば、ジャーナル オブ アメリカン ケミストリー ソサイエティー(Jour.Am.Chem.Soc.)、1972年、94巻、p.3561〜3567参照]。
また、脂環式ジオール混合物(2)において、R1がメチル基であり、nが0である化
合物の混合物は、例えば、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエンおよび1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエンの混合物を原料とし、上述の反応と同様の反応を行うことにより得ることができる。
脂環式ジオール混合物(2)において、R1が水素原子であり、nが1である化合物の
混合物は、例えば、1,5−シクロオクタジエンを、ロジウム触媒の存在下、一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガス雰囲気下に、4.9MPa、90℃でヒドロホルミル化反応させた後、反応生成物をニッケル触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に、0.98MPa、100℃で還元することにより得ることができる(例えば、特開2004−359588号公報、p.9参照)。
脂環式ジオール混合物(2)において、R1がメチル基であり、nが1である化合物の
混合物は、例えば、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエンおよび1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエンの混合物を、ロジウム触媒の存在下、一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガス雰囲気下に、9.0MPa、60℃でヒドロホルミル化反応させた後、反応生成物をニッケル触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に、0.98MPa、100℃で還元することにより得ることができる(例えば、特開09−301904号公報、p.3参照)。
上記の様にして得られる脂環式ジオール混合物(2)は、シス−トランス異性体の混合物でもある。それぞれの異性体存在比は反応条件などによって異なるが、本発明においては、どのような異性体存在比であってもよい。
〔脂環式ジエポキシド混合物(1)の製造方法〕
本発明の脂環式ジエポキシド混合物(1)は、例えば、前記脂環式ジオール混合物(2)をグリシジルエーテル化することにより製造できる。
脂環式ジオール混合物(2)をグリシジルエーテル化する方法は特に制限がなく、[i]エピハロヒドリンとジオール混合物とを反応させる方法(以下、グリシジルエーテル化反応1と称する。)や[ii]アリルハライドと脂環式ジオール混合物(2)とを反応させて脂環式ジアリルエーテル混合物を得た後、炭素−炭素二重結合をエポキシ化する方法(以下、グリシジルエーテル化反応2と称する。)などがある。
<グリシジルエーテル化反応1>
まず、エピハロヒドリンと脂環式ジオール混合物(2)を反応させる、グリシジルエーテル化反応1について説明する。
この反応で用いるエピハロヒドリンとしては、例えばエピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどが挙げられる。これらの中でも、入手容易性、反応性、保存安定性および安全性の観点からは、エピクロロヒドリンが好ましい。これらのエピハロヒドリンは、1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を併用してもよい。エピハロヒドリンの使用量は特に制限がないが、脂環式ジオール混合物(2)の合計1モルに対して2〜50モルの範囲が好ましい。
エピハロヒドリンと脂環式ジオール混合物(2)との反応は、溶媒の不存在下で行うこともできるが、溶媒の存在下で行ってもよい。用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフランなどのエーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどのアミドなどが挙げられる。これらは1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を併用してもよい。溶媒を用いる場合、溶媒の使用量は特に制限がないが、反応効率、操作簡便性、製造費用などの観点からは、通常、脂環式ジオール混合物(2)の合計1質量部に対して0.5〜20質量部の範囲である。
前記反応は、触媒の存在下に行うことが好ましい。かかる触媒としては、例えば硫酸、塩酸などの鉱酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸;三塩化アルミニウム、四塩化スズ、三塩化鉄、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体などのルイス酸;水素化リチウム、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。これらの中でも、副反応の制御および反応速度の観点からはルイス酸またはアルカリ金属水酸化物が好ましい。触媒を用いる場合、触媒の使用量は特に制限がないが、脂環式ジオール混合物(2)の合計1モルに対して0.001〜10モルの範囲が好ましい。またこれらは、必要に応じて水溶液としてから用いてもよい。
触媒を水に溶解して水溶液とし、溶媒として水と相溶しない溶媒を用いる場合などには、適宜、相間移動触媒を用いてもよい。かかる相間移動触媒としては、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウムなどの第四級アンモニウム塩やジシクロヘキシル−18−クラウン−6などが挙げられる。相間移動触媒を用いる場合、相間移動触媒の使用量は特に制限がないが、脂環式ジオール混合物(2)の合計1モルに対して0.0001〜1モルの範囲が好ましい。
グリシジルエーテル化反応1における反応温度は、通常、0〜200℃の範囲であり、エポキシ環の開環重合により高沸点の化合物(以下、高沸物と略称する。)が副生することを抑制し、高収率で脂環式ジエポキシド混合物(1)を得る観点からは、0〜100℃の範囲が好ましい。
グリシジルエーテル化反応1における反応時間は、0.1〜50時間の範囲が好ましく、1〜30時間の範囲がより好ましい。反応時間が0.1時間未満である場合には、反応が十分に進行しなくなる傾向にあり、反応時間が50時間を超える場合には、高沸物が副生する傾向にある。
グリシジルエーテル化反応1における反応圧力は特に制限がなく、常圧下、減圧下または加圧下のいずれで反応を実施してもよい。
グリシジルエーテル化反応1により得られた生成物を精製、単離する方法としては、例えば、反応終了後、用いた触媒に応じ、適宜、反応混合液を水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液などの塩基性物質、硫酸、塩酸などの酸性物質、水などでの洗浄、ろ過、デカンテーション等の操作を行って反応混合液から触媒成分を分離した後に、必要に応じて濃縮し、さらに適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィーによる精製などの操作を行う方法が挙げられる。
<グリシジルエーテル化反応2>
次に、グリシジルエーテル化反応2について説明する。
グリシジルエーテル化反応2は、前述した通り、アリルハライドと脂環式ジオール混合物(2)とを反応させて脂環式ジアリルエーテル混合物を得る工程(以下、第1工程と称する。)、得られた該脂環式ジアリルエーテル混合物の炭素−炭素二重結合をエポキシ化する工程(以下、第2工程と称する。)からなる。以下、第1工程から順に説明する。
[第一工程]
第1工程で用いるアリルハライドとしては、例えばヨウ化アリル、臭化アリル、塩化アリル、フッ化アリルなどが挙げられる。これらの中でも、入手容易性、反応性、保存安定性および安全性の観点からは、臭化アリルまたは塩化アリルが好ましい。これらのアリルハライドは、1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を併用してもよい。アリルハライドの使用量は特に制限がないが、脂環式ジオール混合物(2)の合計1モルに対して、2〜50モルの範囲が好ましい。
第1工程の反応は、溶媒の不存在下で行うこともできるが、溶媒の存在下で行ってもよい。用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフランなどのエーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどのアミドなどが挙げられる。これらは1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を併用してもよい。溶媒を用いる場合、溶媒の使用量は特に制限がないが、反応効率、操作簡便性、製造費用などの観点からは、通常、脂環式ジオール混合物(2)の合計1質量部に対して0.5〜20質量部の範囲である。
第1工程の反応は触媒の存在下で行うことが好ましい。かかる触媒としては、例えば硫酸、塩酸などの鉱酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸;三塩化アルミニウム、四塩化スズ、三塩化鉄、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体などのルイス酸;水素化リチウム、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウムなどの
アルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。これらの中でも、副反応の制御および反応速度の観点からはアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属水素化物を用いるのが好ましい。触媒を用いる場合、触媒の使用量は特に制限がないが、脂環式ジオール混合物(2)の合計1モルに対して0.001〜10モルの範囲が好ましい。また、これらは必要に応じて水溶液としてから用いてもよい。
第1工程の反応において、触媒を水に溶解して水溶液として用い、且つ水と相溶しない溶媒を用いる場合などには、相間移動触媒を用いてもよい。相間移動触媒としては、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウムなどの第四級アンモニウム塩やジシクロヘキシル−18−クラウン−6などが挙げられる。相間移動触媒を用いる場合、相間移動触媒の使用量は特に制限がないが、脂環式ジオール混合物(2)の合計1モルに対して0.0001〜1モルの範囲が好ましい。
第1工程の反応温度は、通常、0〜200℃であり、高沸物の生成を抑制し、高収率で脂環式ジエポキシド混合物(1)を得る観点からは、0〜100℃の範囲が好ましい。
第1工程の反応時間は、0.1〜50時間の範囲が好ましく、1〜30時間の範囲がより好ましい。反応時間が0.1時間未満である場合には、反応が十分に進行しなくなる傾向にあり、反応時間が50時間を超える場合には、高沸物が副生する傾向にある。
第1工程の反応圧力は特に制限がなく、常圧下、減圧下または加圧下のいずれで反応を実施してもよい。
第一工程で得られた生成物から触媒成分を分離する方法としては、ろ過、デカンテーションなどの方法や、反応終了後、用いた触媒に応じ、適宜、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液などの塩基性物質;硫酸、塩酸などの酸性物質;水などで得られた反応混合液を洗浄する方法等が挙げられる。
このようにして得られた脂環式ジアリルエーテル混合物を含む反応混合液は、該脂環式ジアリルエーテル混合物を単離することなく、そのまま次の第2工程に用いてもよい。また、得られた脂環式ジアリルエーテル混合物を、通常の有機化合物の単離・精製に用いられる方法により単離・精製してから第2工程に用いることもできる。かかる単離・精製方法としては、例えば、反応混合液を水や食塩水などで洗浄した後、水層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムなどで乾燥させた後、濃縮して粗生成物を得る方法、さらに得られた粗生成物を、蒸留、カラムクロマトグラフィーなどで精製する方法が挙げられる。
[第2工程]
次に、第2工程について説明する。
第2工程では、第1工程で得られた脂環式ジアリルエーテル混合物中に含まれる炭素−炭素二重結合をエポキシ化する。炭素−炭素二重結合をエポキシ化する方法は、特に制限はなく公知の方法で行うこともできるが、有機酸類と過酸化水素とを組み合わせて脂環式ジアリルエーテル混合物と反応させる方法(以下、エポキシ化反応Aと称する。)、有機過酸を単独で脂環式ジアリルエーテル混合物と反応させる方法(以下、エポキシ化反応Bと称する。)が簡便であり、好ましい。
〈エポキシ化反応A〉
エポキシ化反応Aで用いる有機酸類としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、安息香酸、m−クロロ安息香酸、フタル酸などの有機酸およびそれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素と反応して有機過酸を生成する効率、反応温度、操作簡便性、有機酸類の経済性などの観点からは、ギ酸、酢酸、m−クロロ安息香酸が好ましい。
エポキシ化反応Aで用いる過酸化水素は、一般に市販されている3〜60質量%の範囲の濃度の過酸化水素水をそのまま使用できる。過酸化水素の使用量は、反応の収率および生産性の観点から、脂環式ジアリルエーテル混合物の合計1モルに対して2〜20モルの範囲が好ましく、2〜5モルの範囲がより好ましい。過酸化水素の使用量が脂環式ジアリルエーテル混合物の合計1モルに対して2モル未満である場合には、反応が十分に進行しなくなる傾向にあり、過酸化水素の使用量が脂環式ジアリルエーテル混合物の合計1モルに対して20モルを超える場合には、エポキシ環の酸化分解などの副反応が進行しやすく、反応収率が低くなる傾向にある。
有機酸類と過酸化水素とを組み合わせて用いるエポキシ化反応Aの場合、過酸化水素に対する有機酸類の使用量は、0.1〜200モル%の範囲が好ましく、反応の効率を考慮すれば、1〜100モル%の範囲がより好ましい。
エポキシ化反応Aの場合、有機酸類と過酸化水素水とを別々に反応系に送り込んでもよく、有機酸類と過酸化水素水とを予め混合してから反応系に送り込んでもよい。
〈エポキシ化反応B〉
エポキシ化反応Bで用いる有機過酸としては、例えば過ギ酸、過酢酸、過プロピオン酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、過マレイン酸などが挙げられる。有機過酸の使用量は、脂環式ジアリルエーテル混合物の合計1モルに対して2〜20モルの範囲が好ましく、経済性および安全性などの観点からは、2〜5モルの範囲がより好ましい。
第2工程のエポキシ化反応A、エポキシ化反応Bいずれの場合であっても、必ずしも溶媒を必要としないが、反応に悪影響を与えない範囲で溶媒を用いてもよい。かかる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリルなどが挙げられる。これらは1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は特に制限がないが、反応の効率、操作性、経済性などの観点からは、脂環式ジアリルエーテル混合物の合計1質量部に対して、0.5〜40質量部の範囲が好ましい。
第2工程の反応温度は、0〜100℃の範囲が好ましく、20〜80℃の範囲がより好ましい。反応温度が0℃未満である場合には反応速度が小さくなる傾向にあり、反応温度が100℃を超える場合には、原料となる脂環式ジアリルエーテル化合物のエーテル結合の開裂が起こりやすくなる傾向にある。
第2工程のエポキシ化反応A、エポキシ化反応Bいずれの場合であっても、反応時間は0.1〜50時間の範囲が好ましく、1〜20時間の範囲がより好ましい。反応時間が0.1時間未満である場合には、反応が十分に進行しなくなる傾向にあり、反応時間が50時間を超える場合には、高沸物が副生する傾向にある。
第2工程の反応圧力は特に制限がないが、常圧下に実施するのが好ましい。
第2工程の反応終了後、反応混合液中に残存する過酸化物は、必要に応じて亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどの還元剤で分解できる。また反応混合液のpHは、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムなどの塩基性物質で調整することができる。
このようにして得られた反応混合液から、トルエン、酢酸エチルなどの溶媒で脂環式ジエポキシ混合物(1)を抽出する。得られた抽出液を濃縮した後、例えば、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶など、通常の有機化合物の単離・精製を行うことにより、純度の高い脂環式ジエポキシ混合物(1)が得られる。
このようにして得られる脂環式ジエポキシ混合物(1)は、前記一般式(1a)で示される化合物と前記一般式(1b)で示される化合物との混合物である。また、前記一般式(1a)および一般式(1b)で示される化合物には、それぞれシス−トランス立体異性体が存在し得る。本発明において、前記一般式(1a)および一般式(1b)で表される化合物は、シス体またはトランス体単独でもよく、シス体、トランス体の両方を含んでいてもよい。
このようにして得られた脂環式ジエポキシ混合物(1)は、カチオン重合用モノマーをして用いることができ、例えば、カチオン重合開始剤で硬化すると透明性に優れた硬化物が得られ、電子材料、光学材料等に好適である。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例により何ら制限されるものではない。
<実施例1>
攪拌装置、滴下ロートおよび温度計を備えた内容積300mLの三ツ口フラスコに、水素化ナトリウム6.7g(277mmol)およびジメチルホルムアミド40gを仕込んだ。撹拌しながら0℃に冷却し、該三ツ口フラスコに、さらに1,5−シクロオクタンジオールおよび1,4−シクロオクタンジオールの混合物10.0g(69.3mmol、シス−トランス立体異性体を含む)並びにジメチルホルムアミド60gを仕込んだ。この混合物に、臭化アリル33.6g(277mmol)を、内温を0〜5℃に維持しながら10分間かけて滴下した。滴下終了後、内温を20〜30℃に維持しながら8時間撹拌を続けた。得られた反応混合液を30℃以下に維持しながら、反応混合液に水50gを加え、5分間撹拌した後、トルエン100gを加え、更に10分間撹拌した。静置した後、有機層と水層とに分離した混合物から水層を除去した後、有機層を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、以下の物性を有する1,4−シクロオクタンジオールジアリルエーテルおよび1,5−シクロオクタンジオールジアリルエーテルの混合物(シス−トランス立体異性体を含む:「以下、シクロオクタンジオールジアリルエーテル混合物と略称する。」)14.5g(収率93%)を得た。
1H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl3、TMS)δ:1.35−1.90(m,14H)、3.34−3.41(m,2H)、3.94−3.96(m,4H)、5.11−5.29(m,4H)、5.83−5.97(m,2H)
IRスペクトル(KBr、cm-1):2929、2856、1467、1447、1425、1352
GC−MS(M/e)CI法[M+H]+:225
攪拌装置、滴下ロート、冷却管および温度計を備えた内容積1000mLの三ツ口フラスコに、上記で得られたシクロオクタンジオールジアリルエーテル混合物21.7g(96.8mmol)および塩化メチレン100gを仕込んだ。この混合物を攪拌しながら0℃に冷却し、m−クロロ過安息香酸66.8g(387mmol)を塩化メチレン(600g)に溶解させた溶液を、内温を0〜10℃に維持しながら30分間かけて滴下した。滴下終了後、内温を20〜30℃に維持しながら12時間撹拌を続けた。得られた反応混合液を0℃に冷却してから、反応混合液に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液110gを加えて残存する過酸化物を還元し、続いて15%炭酸カリウム水溶液350gを加え、反応混合
液のpHを7に調整した。内温を25℃まで上昇させ、この混合物を10分間撹拌した後、静置した。有機層と水層とに分離した混合物から水層を除去し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、以下の物性を有する1,4−シクロオクタンジオールジグリシジルエーテルおよび1,5−シクロオクタンジオールジグリシジルエーテルの混合物(シス−トランス立体異性体を含む)18.5g(収率75%)を得た。
1H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl3、TMS)δ:1.23−1.87(m,14H)、2.59−2.61(m,2H)、2.77−2.80(m,2H)、3.09−3.15(m,2H)、3.36−3.44(m,4H)、3.64−3.70(m,2H)
IRスペクトル(KBr、cm-1):2928、2858、1472、1447、1344、1253
GC−MS(M/e)CI法[M+H]+:257
<実施例2>
攪拌装置、滴下ロートおよび温度計を備えた内容積300mLの三ツ口フラスコに、水素化ナトリウム7.0g(174mmol)およびジメチルホルムアミド40gを仕込んだ。撹拌しながら0℃に冷却し、該三ツ口フラスコに、さらに1,5−シクロオクタンジメタノールおよび1,4−シクロオクタンジメタノールの混合物10.0g(58.1mmol、シス−トランス立体異性体を含む)並びにジメチルホルムアミド60gを仕込んだ。この混合物に、臭化アリル21.1g(174mmol)を、内温を0〜5℃に維持しながら10分間かけて滴下した。滴下終了後、内温を20〜30℃に維持しながら5時間撹拌を続けた。得られた反応混合液を30℃以下に維持しながら、反応混合液に水50gを加え、5分間撹拌した後、トルエン100gを加え、更に10分間撹拌した。静置した後、有機層と水層とに分離した混合物から水層を除去した後、有機層を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、以下の物性を有する1,4−シクロオクタンジメタノールジアリルエーテルおよび1,5−シクロオクタンジメタノールジアリルエーテルの混合物(シス−トランス立体異性体を含む:「以下、シクロオクタンジメタノールジアリルエーテル混合物と略称する。」)13.8g(収率94%)を得た。
1H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl3、TMS)δ:1.16−1.82(m,14H)、3.17−3.22(m,4H)、3.93−3.95(m,4H)、5.14−5.29(m,4H)、5.83−5.98(m,2H)
IRスペクトル(KBr、cm-1):2918、2851、1475、1447、1346
GC−MS(M/e)CI法[M+H]+:253
攪拌装置、滴下ロート、冷却管および温度計を備えた内容積1000mLの三ツ口フラスコに、上記で得られたシクロオクタンジメタノールジアリルエーテル混合物20.7g(83.1mmol)および塩化メチレン100gを仕込んだ。この混合物を攪拌しながら0℃に冷却し、m−クロロ過安息香酸56.6g(328mmol)を塩化メチレン(600g)に溶解させた溶液を、内温を0〜10℃に維持しながら30分間かけて滴下した。滴下終了後、内温を20〜30℃に維持しながら12時間撹拌を続けた。得られた反応混合液を0℃に冷却してから、反応混合液に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液110gを加えて残存する過酸化物を還元し、続いて15%炭酸カリウム水溶液350gを加え、反応混合液のpHを7に調整した。内温を25℃まで上昇させ、この混合物を10分間撹拌した後、静置した。有機層と水層とに分離した混合物から水層を除去し、有機層を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、以下の物性を有する1,4−シクロオクタンジメタノールジグリシジルエーテルおよび1,5−シクロオクタンジメタノールジグリシジルエーテルの混合物(シス−トランス
立体異性体を含む)19.2g(収率83%)を得た。
1H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl3、TMS)δ:1.19−1.82(m,14H)、2.59−2.62(m,2H)、2.78−2.81(m,2H)、3.11−3.40(m,8H)、3.67−3.72(m,2H)
IRスペクトル(KBr、cm-1):2918、2856、1475、1447、1337、1252
GC−MS(M/e)CI法[M+H]+:285

Claims (2)

  1. 下記一般式(1a)で示される化合物および下記一般式(1b)で示される化合物からなる脂環式ジエポキシド混合物。
    Figure 2007126370
    (式(1a)および(1b)中、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは0または
    1を表す。)
  2. 下記一般式(2a)で示される化合物および下記一般式(2b)で示される化合物からなる脂環式ジオール混合物を、グリシジルエーテル化することによる、下記一般式(1a)で示される化合物および下記一般式(1b)で示される化合物からなる脂環式ジエポキシド混合物の製造方法。
    Figure 2007126370
    (式(2a)および(2b)中、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは0または
    1を表す。)
    Figure 2007126370
    (式(1a)および(1b)中、R1は水素原子またはメチル基を表わし、nは0または
    1を表す。)
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