JP6306419B2 - モノグリシジルエーテル化合物、及びモノアリルエーテル化合物 - Google Patents

モノグリシジルエーテル化合物、及びモノアリルエーテル化合物 Download PDF

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Description

本発明は、新規なモノグリシジルエーテル化合物、及びモノアリルエーテル化合物に関する。
エポキシ樹脂は各種材料への密着性に優れ、耐熱性、耐薬品性、耐電性、電気絶縁性が高く、硬化収縮率が低いという性質を有する為、塗料、接着剤、半導体封止材等の様々な用途に使用されている。多くのエポキシ樹脂は高粘度で作業性が悪いことから、これを改善する為に、エポキシ樹脂に希釈剤を使用することが知られている。
希釈剤としてはグリシジルエーテル化合物が知られており、具体的には、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、炭素数12〜13の高級アルコールのグリシジルエーテルなどのモノグリシジルエーテル類;1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコールのグリシジルエーテルなどのジグリシジルエーテル類などが知られている(非特許文献1参照)。
「総説 エポキシ樹脂 基礎編II」,エポキシ樹脂技術協会,2003年11月19日,p.45〜54
上述のように、既知のグリシジルエーテル化合物を希釈剤として使用することで、エポキシ樹脂の作業性は改善されるものの、得られる硬化物の強度の低下や吸水率の上昇といった物性低下の問題が生じる。そのため、エポキシ樹脂の希釈剤として用いたときに、力学的特性に優れ、かつ吸水率が低い硬化物を得られる化合物の開発が望まれている。
本発明者は詳細に検討した結果、一般式(1)で表される化合物を希釈剤として用いると、力学的特性に優れ、かつ吸水率が低い硬化物を得られることを見出し、発明を完成するに至った。
本発明は、上記課題を解決するために有用な化合物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、下記[1]を提供する。
[1]下記一般式(1)で表される化合物。
Figure 0006306419
(一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜3の炭化水素基を表し、X及びXはそれぞれ独立して、炭素数1〜3の分岐を有しても良い炭化水素基を表し、Yはアリル基又はグリシジル基を表す。n及びmはそれぞれ独立して0〜10を表す。)
本明細書において、一般式(1)におけるYがグリシジル基を表す化合物をモノグリシジルエーテル化合物と称し、一般式(1)におけるYがアリル基を表す化合物をモノアリルエーテル化合物と称する。
本発明によれば、希釈剤として有用な、新規なモノグリシジルエーテル化合物およびモノアリルエーテル化合物が提供される。本発明のモノグリシジルエーテル化合物は、エポキシ樹脂の希釈剤として有用である。モノアリルエーテル化合物はモノグリシジルエーテル化合物の合成中間体として有用である。さらに、モノアリルエーテル化合物は活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型のインキ、塗料・コーティング剤などの原料としても有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の目的は以下の手段により達成される。
<1>
下記一般式(1)で表される化合物。
Figure 0006306419

(一般式(1)において、R 〜R はそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜3の炭化水素基を表し、X 及びX はそれぞれ独立して、炭素数1〜3の分岐を有しても良い炭化水素基を表し、Yはアリル基、又はグリシジル基を表す。n及びmはそれぞれ独立して0〜10を表す。
ただし、R 〜R が水素原子を表し、Yがアリル基を表し、かつn及びmがそれぞれ0を表すものを除く。)
<2>
前記一般式(1)におけるYがグリシジル基を表す、<1>に記載の化合物。
本発明は、上記<1>及び<2>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項についても記載している。
本発明によれば、一般式(1)で表される化合物が提供される。
Figure 0006306419
(一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜3の炭化水素基を表し、X及びXはそれぞれ独立して、炭素数1〜3の分岐を有しても良い炭化水素基を表し、Yはアリル基、又はグリシジル基を表す。n及びmはそれぞれ独立して0〜10を表す。)
〜Rが表す、炭素数1から3の炭化水素基としては、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ビニル基、アリル基、シクロプロピル基が挙げられる。R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基であるのが好ましく、水素原子であるのがより好ましい。
、Xが表す、炭素数1から3の分岐を有しても良い炭化水素基としては、鎖状であっても環状であってもよく、それぞれ独立に、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基が挙げられ、好ましくはメチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基であり、より好ましくはエチレン基、、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基である。
n及びmはそれぞれ独立して0〜10を表し、0〜5であるのが好ましく、0〜3であるのがより好ましい。
以下に一般式(1)で表される化合物の具体的な化合物例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006306419
一般式(1)で表される化合物の製造方法に特に制限はない。例えば塩基性物質の存在下、下記一般式(2)で表されるジオール化合物(以下、ジオール化合物(2)と略称する)
Figure 0006306419
(一般式(2)において、R〜R、X、X、n、及びmは前記定義のとおりである。)
とハロゲン化アリルを反応させることによりモノアリルエーテル化合物を製造できる。さらに、モノアリルエーテル化合物をエポキシ化して、モノグリシジルエーテル化合物を製造できる。
ジオール化合物(2)は、n=m=0である場合は下記一般式(3)で表されるジオール化合物(以下、ジオール化合物(3)と略称する)そのものであり、それ以外の場合はジオール化合物(3)にアルキレンオキシドやハロアルコールを反応させることにより製造できる。
Figure 0006306419
(一般式(3)において、R〜Rは前記定義のとおりである。)
使用するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドが挙げられる。アルキレンオキシドは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。2種以上を用いる場合のアルキレンオキシドの混合量比に特に制限はない。アルキレンオキシドの使用量に特に制限はないが、ジオール化合物(3)に対して通常1〜10モル倍の範囲が好ましく、1〜6モル倍の範囲がより好ましい。
使用するハロアルコールとしては、3−クロロプロパン−1−オール、3−ブロモプロパン−1−オール、3−ヨードプロパン−1−オール、2−クロロプロパン−1−オール、2−ブロモプロパン−1−オール、2−ヨードプロパン−1−オールが挙げられる。ハロアルコールは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。二種以上を用いる場合のハロアルコールの混合量比に特に制限はない。ハロアルコールの使用量に特に制限はないが、ジオール化合物(3)に対して通常1〜10モル倍の範囲が好ましく、1〜6モル倍の範囲がより好ましい。
ジオール化合物(3)とアルキレンオキシドとの反応は、触媒の存在下に行うことができる。
使用する触媒としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;ピリジン、ピコリン、2 − メチルイミダゾールなどの芳香族アミンなどの塩基性物質;又は三フッ化ホウ素、四塩化スズなどのルイス酸などの酸性物質が挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシドが好ましい。触媒の量はジオール化合物(3)に対して0.001〜2モル%の範囲が好ましく、0.05〜1モル%の範囲がより好ましい。
ジオール化合物(3)とハロアルコールとの反応は、塩基性物質の存在下に行なうことができる。
使用する塩基性物質としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物;金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウムなどのアルカリ金属などが挙げられる。塩基性化合物の使用量に制限はないが、ジオール化合物(3)の水酸基に対して1〜10モル倍の範囲が好ましく、1〜6モル倍の範囲がより好ましい。
ジオール化合物(3)とアルキレンオキシド又はハロアルコールとの反応は、溶媒の存在下又は不存在下に実施できる。溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、ジオール化合物(3)およびアルキレンオキシド又はハロアルコールの合計量に対して、通常、0.1〜5質量倍の範囲が好ましく、0.1〜2質量倍の範囲がより好ましい。
ジオール化合物(3)とアルキレンオキシド又はハロアルコールとの反応における反応温度は、通常、20〜200℃の範囲が好ましく、50〜150℃の範囲がより好ましい。反応圧力に特に制限はなく、大気圧下でも加圧下でも実施できる。反応時間に特に制限は無いが、通常、1〜30時間の範囲が好ましい。また、ジオール化合物(3)とアルキレンオキシド又はハロアルコールとの反応は、空気雰囲気下でも、窒素およびアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下でも実施できる。
例えば、空気雰囲気下に塩基性物質又は酸性物質とジオール化合物(3)を攪拌型反応装置に仕込んで、所定温度および所定圧力とし、そこにアルキレンオキシド又はハロアルコールを添加して所定時間攪拌することにより実施できる。
反応終了後、必要に応じて、得られた反応混合液を、塩酸などの酸性物質の水溶液、水酸化ナトリウムなどの塩基性物質の水溶液、又は水で洗浄した後、適宜、濃縮・蒸留などの通常の精製操作を行なうことによって、ジオール化合物(2)を分離取得できる。
以下、塩基性物質の存在下、ジオール化合物(2)とハロゲン化アリルを反応させることによりモノアリルエーテル化合物を製造する方法について説明する。
ハロゲン化アリルとしては、例えばアリルクロリド、アリルブロミド、アリルヨージドなどが挙げられる。ハロゲン化アリルの使用量に特に制限は無いが、ジオール化合物(2)に対して、通常、0.5〜20モル倍の範囲が好ましく、反応速度および容積効率の観点からは、1.2〜10モル倍の範囲がより好ましい。
塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属の水素化物などが挙げられる。塩基性物質の使用量は、ジオール化合物(2)に対して通常0.5〜30モル倍の範囲が好ましく、2〜15モル倍の範囲がより好ましい。
反応は、溶媒の存在下又は不存在下に実施できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素; ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、スルホランなどが挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。溶媒を使用の使用量に特に制限はなく、ジオール化合物(2)に対して、通常、0.01〜20質量倍の範囲が好ましく、0.1〜10質量倍の範囲がより好ましい。本反応の場合、溶媒を特に使用しなくても一般式(1)で表される化合物を効率よく製造できる。
特に、塩基性物質を水溶液として反応に用いる場合、反応を促進させるために相間移動触媒を使用するのが極めて好ましい。相間移動触媒に特に制限はなく、例えばトリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩;テトラブチルホスホニウムクロリドなどのホスホニウム塩;15−クラウン−5、18−クラウン−6などのクラウンエーテルなどが挙げられる。相間移動触媒を使用する場合、その使用量は、ジオール化合物(2)に対して、通常、0.001〜0.5モル倍の範囲が好ましく、0.01〜0.2モル倍の範囲がより好ましい。
反応温度は、通常、−30〜150℃の範囲が好ましく、−10〜120℃の範囲がより好ましい。−30℃未満では反応速度が極めて小さくなる傾向となる。一方、150℃を超えると、例えば重合などの副反応が起こり易くなり、収率が低下する傾向にある。また、反応時間は10分〜15時間の範囲が好ましく、副反応抑制の観点からは10分〜10時間の範囲が好ましい。
反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施するのが好ましい。また、反応は大気圧下でも加圧下でも実施できるが、製造設備面の観点からは、大気圧下で実施するのが好ましい。
反応は、例えば攪拌型反応装置に塩基性物質の水溶液、ジオール化合物(2)、ハロゲン化アリルならびに必要に応じて溶媒および相間移動触媒を一度に、又は分割して仕込み、所定温度で所定時間反応させることにより行なうことができる。
反応終了後、得られた反応混合液中に含まれる塩基性物質を中和した後、必要に応じて水、飽和食塩水などで洗浄してから濃縮し、さらに蒸留、カラムクロマトグラフィーなどの、有機化合物の精製において通常用いられる精製操作を行なうことによって、純度の高いモノアリルエーテル化合物を取得できる。
かかるモノアリルエーテル化合物は、例えば紫外線・電子線などの活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型のインキ・塗料・コーティング剤などの原料として利用できる。
以下、モノアリルエーテル化合物をエポキシ化して、モノグリシジルエーテル化合物を製造する方法について説明する。
一般式(1)のモノグリシジルエーテル化合物は、例えば過ギ酸、過酢酸、メタクロロ過安息香酸、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物、過酸化水素、分子状酸素などの酸化剤を用い、公知のエポキシ化方法により上記モノアリルエーテル化合物から製造できる。また、ジオール化合物(2)とエピハロヒドリンとの反応によっても製造できる。以下、過酢酸を用いる方法について詳述する。
本発明でエポキシ化剤として使用する過酢酸は、実質的に水を含まないものが好ましい。具体的には、水分含有量0.8質量%以下、好ましくは0.6質量%以下の過酢酸を使用することが、高い選択率および転化率で目的とするモノグリシジルエーテル化合物が得られる観点より好ましい。なお、「実質的に水分を含まない過酢酸」は、アルデヒド類、例えばアセトアルデヒドの空気又は酸素酸化により製造されるものであり、ドイツ公開特許公報1418465号や特開昭54−3006号公報に記載された方法などにより製造される。これらの方法によれば、過酸化水素と酢酸から過酢酸を合成し、溶媒により過酢酸を抽出する方法に比べて連続して大量に高濃度の過酢酸を合成できる。
過酢酸の使用量は、モノグリシジルエーテル化合物を高い選択率および転化率で合成する観点から、モノアリルエーテル化合物に対して1〜3モル倍が好ましく、1.05〜1.5モル倍がより好ましい。3モル倍を超えると、経済性及び副反応の問題から通常不利である。
エポキシ化反応においては、装置や反応条件に応じて溶媒を共存させてもよい。
溶媒は過酢酸の希釈による安定化などの目的で使用でき、溶媒比率を上げることでエポキシ化反応の際に過酢酸から発生する酢酸の濃度を下げられるので、酢酸によるエポキシ環の開環反応を防止しやすくなる。溶媒を共存させる場合、その量は過酢酸100質量部に対して通常、20〜500質量部が好ましい。溶媒の量が500質量部より多いとエポキシ化反応速度が低下する傾向となり、逆に20質量部より少ない場合は共存させる意義が低下する傾向となる。
溶媒としては、エステル類、脂肪族又は芳香族炭化水素類、エーテル類などを使用できる。中でも酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン等が好ましく、酢酸エチルがより好ましい。
エポキシ化反応温度は、モノアリルエーテル化合物に対する過酢酸の反応性によって定まる。反応温度は20〜100℃の範囲が好ましく、30〜70℃の範囲がより好ましく、45〜55℃の範囲がさらに好ましい。20℃未満では反応速度が低下し、100℃を超える温度では過酢酸の発熱を伴った分解が起こりやすくなる。
エポキシ化反応は、モノアリルエーテル化合物および必要に応じて溶媒を反応器に仕込み、所定温度範囲に保ちながら過酢酸を滴下するなどの方法で逐次添加して行なうことが好ましい。また、上記のエポキシ化反応は連続式に行ってもよい。
本発明では、例えば過酢酸を滴下終了後、反応液を1〜10時間攪拌して反応させればよい。
得られた反応液からのモノグリシジルエーテル化合物は、例えば反応液中に含まれる未反応の過酢酸および過酢酸から生成した酢酸等を水で抽出し、水層から分離された有機層を蒸留して溶媒を留去することにより単離できる。さらに、未反応のモノアリルエーテル化合物は、目的のモノグリシジルエーテル化合物よりも低沸点であることから、溶媒と同様に留去して回収できる。
反応終了後、最初に高濃度の水酸化ナトリウム水溶液などの塩基で反応液を中和洗浄するのが好ましい。すなわち、水酸化ナトリウム水溶液を用いると過酢酸から生じた酢酸との中和反応により酢酸ナトリウムが生成し、酢酸ナトリウムが緩衝剤的に作用する他、酢酸ナトリウム水溶液層側の比重が上がるので、モノグリシジルエーテル化合物の有機層との比重差が大きくなり、分液性がよくなるという副次的効果がある。この中和洗浄および分液を行った後、モノグリシジルエーテル化合物を含有する有機層中に残存している酢酸ナトリウムを水で洗浄して除去し、次いで溶媒を蒸留除去するのが好ましい。さらに、生成したモノグリシジルエーテル化合物のエポキシ基に過酢酸から生じた酢酸が付加する副反応でアセトキシヒドロキシアルコール類を生じる場合があるが、これはモノグリシジルエーテル化合物より高沸点であるため蒸留によって除去できる。
かかるモノグリシジルエーテル化合物は、例えばエポキシ樹脂の希釈剤として有用である。さらに、各種合成中間体用途にも利用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
シクロヘキサン−1,1−ジメタノールモノアリルエーテルの製造
内容積500mlのナスフラスコに、シクロヘキサン−1,1−ジメタノール73.7g、アリルクロリド234.6gを仕込み、攪拌しながら内温を45℃まで昇温した。ここに、粉末状の水酸化ナトリウム26.6gを3回に分けて添加し、攪拌を続けながら4.5時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、ろ過して得られたろ液を100gの蒸留水で2回洗浄した。有機層を濃縮することによりシクロヘキサン−1,1−ジメタノールモノアリルエーテル75.7g(無色透明液体;収率80.4%、純度95.5%)を得た。物性値を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:1.32−1.43(m,10H),2.93(t,1H),3.39(s,2H),3.56(d,2H),3.97(dt,2H),5.18(ddt,1H),5.26(ddt,1H),5.88(ddt,1H)
<実施例2>
シクロヘキサン−1,1−ジメタノールモノグリシジルエーテルの製造
反応器に、実施例1の方法で得られたシクロヘキサン−1,1−ジメタノールモノアリルエーテル50g、酢酸エチル50gを仕込み、攪拌しながら内温を50℃まで昇温した。内温を50℃に保ち、かつ、気相部に窒素を吹き込みながら、30質量%の過酢酸を含む酢酸エチル溶液94.9gを、約2時間かけて滴下した。過酢酸溶液滴下終了後、50℃で7時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、100gの10%水酸化ナトリウム水溶液で2回、次いで100gの蒸留水で2回洗浄し、有機層を濃縮することでシクロヘキサン−1,1−ジメタノールモノグリシジルエーテル48.3g(無色透明液体;収率69.6%、純度94.3%)を得た。物性値を以下に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:1.32−1.43(m,10H),2.62(dd,1H),2.66(t,1H),2.78−2.81(m,1H),3.11−3.15(m,1H),3.36−3.56(m,5H),3.76(dd,1H)

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 0006306419

    (一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜3の炭化水素基を表し、X及びXはそれぞれ独立して、炭素数1〜3の分岐を有しても良い炭化水素基を表し、Yはアリル基、又はグリシジル基を表す。n及びmはそれぞれ独立して0〜10を表す。
    ただし、R 〜R が水素原子を表し、Yがアリル基を表し、かつn及びmがそれぞれ0を表すものを除く。
  2. 前記一般式(1)におけるYがグリシジル基を表す、請求項1に記載の化合物。
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