JP2007125881A - インクジェット記録装置及びその制御方法 - Google Patents

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健一 佐武
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Abstract

【課題】ノイズやインク吐出速さのばらつきを発生させにくくし、画像再現性を良好にする。
【解決手段】インクジェットプリンタの制御部は、容積がV1である第1の状態から容積がV1より大きいV2である第2の状態に圧力室が変化し始める時点から第2の状態になる時点までの時間の長さTvが、圧力室の出口から吐出口に至る第1のインク流路内に充填されたインクにおける固有振動周期Tdの33%以上の大きさとなるように、且つ、TvがTdの83%以下の大きさとなるように、アクチュエータユニットを制御する。
【選択図】図11

Description

本発明は、インクジェット記録装置及びその制御方法に関する。
インクジェット方式によって印字を行うインクジェット記録装置には、圧力室内のインクに圧力を付与してノズルからインクを吐出するものがある。このうち、圧力を付与する方法として、特許文献1のように、いったん圧力室内の容積を増加させ、所定時間の経過後に圧力室内の容積を元に戻すことによりインクに圧力を付与する、いわゆる引き打ち方式を採用するインクジェット記録装置がある。
特開2003−305852号公報
引き打ち方式を採用する場合、圧力室内の容積を増加させてから元の容積に戻すまでの時間(後述のパルス幅Toに対応)は、ノズルからインクが吐出される速さがちょうど最大になる長さ(AL;Acoustic Length)に調節される。しかし上記時間をAL以外の長さに設定した場合に、インク吐出速さが上記最大値以外の極大値及び極小値をとることがある(図9の曲線C2参照)。例えば上記時間をある極小値に設定した場合、吐出されるインク液滴がちぎれて高速な小滴が発生することがある。このような場合、印刷画像にノイズ等が発生することになる。上記時間をある極大値に設定した場合、インクに加えられる圧力の変化に対するインク吐出速さの感度が高くなり、吐出されたインク液滴が高速化することがある。このような場合、インクに加えられる圧力のばらつきに対するインク吐出速さのばらつきが大きくなる。
上記のようにノイズやインク吐出速さのばらつきが発生すると、吐出されたインクによって形成される画像の再現性が悪化するという問題が生じる。
本発明の目的は、ノイズやインク吐出速さのばらつきが発生しにくく、良好な画像再現性を有するインクジェット記録装置及びその制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係るインクジェット記録装置は、加圧アクチュエータと、前記加圧アクチュエータによって容積が変化させられる圧力室及びインクを吐出する吐出口が形成され、且つ、前記圧力室の出口から前記吐出口に至る第1のインク流路を有する流路ユニットと、容積がV1である第1の状態から容積がV1より大きいV2である第2の状態に前記圧力室が変化し、続いて前記第2の状態から前記第1の状態に前記圧力室が戻ることによって、前記吐出口からインクが吐出されるように、前記圧力室が前記第1の状態から前記第2の状態に変化し始める時点から前記第2の状態になる時点までの時間の長さTvが前記第1のインク流路内に充填されたインクにおける固有振動周期Tdの33%以上の大きさとなるように、且つ、前記時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの83%以下の大きさとなるように、前記加圧アクチュエータを制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明に係るインクジェット記録装置の制御方法は、加圧アクチュエータと、前記加圧アクチュエータによってそれぞれ容積が変化させられる圧力室及びインクを吐出する吐出口が形成され且つ前記圧力室の出口から前記吐出口に至る第1のインク流路を有する流路ユニットと、を備えているインクジェット記録装置の制御方法であって、容積がV1である第1の状態から容積がV1より大きいV2である第2の状態に前記圧力室が変化し、続いて前記第2の状態から前記第1の状態に前記圧力室が戻ることによって、前記吐出口からインクが吐出されるように、前記圧力室が前記第1の状態から前記第2の状態に変化し始める時点から前記第2の状態になる時点までの時間の長さTvが前記第1のインク流路内に充填されたインクにおける固有振動周期Tdの33%以上の大きさとなるように、且つ、前記時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの83%以下の大きさとなるように、前記加圧アクチュエータを制御することを特徴とする。
上記構成によると、後述の解析結果から理解されるように、インクの吐出速さが図11の範囲91内に示されるような極値、即ち上述した図9の曲線C2に示されているような極値をとることがないため、ノイズやインク吐出速さのばらつきが発生して画像の再現性が悪化するという問題が生じにくくなる。このような効果が奏されるのは以下の理由によると解される。つまり、Tvがある程度大きくなることにより、圧力室内のインクに加圧アクチュエータによって加えられる圧力の変動が緩やかになる。そして、第1のインク流路内に充填されたインクに固有振動を発生させるような圧力波が生じにくくなり、固有振動の励起が抑制されるためである。
前記流路ユニットが、前記圧力室にインクを供給する共通インク室と、前記共通インク室の出口から前記圧力室の入口に至る第2のインク流路と、をさらに有し、前記制御手段は、前記時間の長さTvが、前記第1及び第2のインク流路並びに前記圧力室から構成された個別インク流路内に充填されたインクにおける固有振動周期Tcの12%以下の大きさとなるように、前記加圧アクチュエータを制御することが好ましい。この場合、後述の解析結果から理解されるように、インクの吐出速さが十分確保される。
前記制御手段は、前記時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの67%以下の大きさとなるように、前記加圧アクチュエータを制御することが好ましい。この場合にも、インクの吐出速さが十分確保される。
前記制御手段は、前記圧力室が前記第2の状態から前記第1の状態に戻り始める時点から前記第1の状態に戻る時点までの時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの33%以上の大きさとなるように前記加圧アクチュエータを制御することが好ましい。この場合、後述の解析結果においてTdに対するTvの割合が33%以上の場合には図13に示されるように極値がほとんど現れないため、ノイズやインク吐出速さのばらつきが発生して画像の再現性が悪化するという問題が生じにくくなる。
前記制御手段は、前記時間の長さTvが前記時間の長さTvより小さくなるように前記加圧アクチュエータを制御することが好ましい。この場合、後述の解析結果から理解されるように、Tvがどのような大きさであっても、Tv≦Tvの場合と比べてインク吐出速さが大きくなり、Tv/Tdについて広い範囲で印字に適したインクの吐出速さが確保される。
前記制御手段は、前記時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの50%以上且つ60%以下、前記時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの33%以上且つ44%以下となるように、前記加圧アクチュエータを制御することが好ましい。これによると、吐出速さの極端な低下を防ぎながら、最も安定したインクの飛翔状態が維持される。
前記圧力室の容積を変化させるために前記加圧アクチュエータに供給される信号の波形が単純な矩形波であることが好ましい。この場合、非矩形波である場合に比べて制御面で有利となる。
以下、本発明の好適な実施の形態、及び、本願発明者等による解析結果について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるカラーインクジェットプリンタの概略構成図である。カラーインクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1と称す)は4つのインクジェットヘッド2を有している。インクジェットヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って並べられ、プリンタ1に固定されている。各インクジェットヘッド2は、図1の紙面鉛直方向に沿って細長い形状を有している。
プリンタ1には、印刷用紙Pの搬送経路に沿って、給紙ユニット114、搬送ユニット120、及び紙受け部116が順に設けられている。また、プリンタ1には、インクジェットヘッド2や給紙ユニット114などのプリンタ1の各部における動作を制御するための制御部100が設けられている。
給紙ユニット114は、複数枚の印刷用紙Pを収容することができる用紙収容ケース115と、給紙ローラ145とを有している。給紙ローラ145は、用紙収容ケース115に積層して収容された印刷用紙Pのうち、最も上にある印刷用紙Pを1枚ずつ送り出すことができる。
給紙ユニット114と搬送ユニット120との間には、印刷用紙Pの搬送経路に沿って、二対の送りローラ118a及び118b並びに119a及び119bが配置されている。給紙ユニット114から送り出された印刷用紙Pは、送りローラ118a及び118b並びに119a及び119bによってガイドされ、搬送ユニット120へと送り出される。
搬送ユニット120は、エンドレスの搬送ベルト111と2つのベルトローラ106及び107を有している。搬送ベルト111は、ベルトローラ106及び107に巻き掛けられている。搬送ベルト111は、2つのベルトローラ106及び107に巻き掛けられたとき所定の張力で張られるような長さに調整されている。これによって、搬送ベルト111は、2つのベルトローラ106及び107の共通接線をそれぞれ含む互いに平行な2つの平面に沿って、弛むことなく張られている。2つの平面のうち、インクジェットヘッド2に近い方の平面が、印刷用紙Pを搬送する搬送面127である。
ベルトローラ106には、図1に示されるように、搬送モータ174が接続されている。搬送モータ174はベルトローラ106を矢印Aの方向に回転させ、ベルトローラ107は搬送ベルト111に連動して回転する。従って、搬送モータ174を駆動してベルトローラ106を回転させることにより、搬送ベルト111は、矢印Aの方向に沿って移動する。
ベルトローラ107の近傍には、一対のニップローラ138,139が搬送ベルト111を挟むように配置されている。上側のニップローラ138は、図示しないバネによって下方に付勢されている。下側のローラ139は、下方に付勢されたニップローラ138を、搬送ベルト111を介して受け止めている。一対のニップローラ138,139は回転可能に設置されており、搬送ベルト111に連動して回転する。
給紙ユニット114から搬送ユニット120へと送り出された印刷用紙Pは、ニップローラ138と搬送ベルト111との間に挟み込まれる。これによって、印刷用紙Pは、搬送ベルト111の搬送面127に押し付けられ、搬送面127上に固着する。そして、印刷用紙Pは、搬送ベルト111の回転に従って、インクジェットヘッド2が設置されている場所へと搬送される。搬送ベルト111の外周面113に粘着性のシリコンゴムによる処理を施してもよく、この場合は印刷用紙Pを搬送面127に確実に固着させることができる。
4つのインクジェットヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って互いに近接して配置されている。各インクジェットヘッド2は、下端にヘッド本体13を有している。ヘッド本体13の下面には、インクを吐出する多数のノズル8が設けられている(図3及び図4参照)。1つのインクジェットヘッド2に設けられたノズル8からは、同じ色のインクが吐出されるようになっている。各インクジェットヘッド2から吐出されるインクの色は、それぞれ、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)及びブラック(K)である。各インクジェットヘッド2は、ヘッド本体13の下面と搬送ベルト111の搬送面127との間にわずかな隙間をおいて配置されている。
搬送ベルト111によって搬送された印刷用紙Pは、インクジェットヘッド2と搬送ベルト111との間の隙間を通過する。その際に、ヘッド本体13から印刷用紙Pの上面に向けてインクが吐出される。これによって、印刷用紙Pの上面には、制御部100によって記憶された画像データに基づくカラー画像が形成される。
搬送ユニット120と紙受け部116との間には、剥離プレート140と二対の送りローラ121a及び121b並びに122a及び122bとが配置されている。カラー画像が印刷された用紙Pは、搬送ベルト111によって剥離プレート140へと搬送される。このとき用紙Pは、剥離プレート140の右端によって、搬送面127から剥離される。そして用紙Pは、送りローラ121a及び121b並びに122a及び122bによって、紙受け部116に送り出される。このように、印刷済みの用紙Pが順次紙受け部116に送られ、紙受け部116上に重ねられる。
印刷用紙Pの搬送方向について最も上流側にあるインクジェットヘッド2とニップローラ138との間には、紙面センサ133が設置されている。紙面センサ133は、発光素子及び受光素子を含み、搬送経路上の印刷用紙Pの先端位置を検出する。紙面センサ133による検出結果は制御部100に送られる。制御部100は、紙面センサ133から送られた検出結果により、印刷用紙Pの搬送と画像の印刷とが同期するように、インクジェットヘッド2や搬送モータ174等を制御する。
次に、ヘッド本体13について説明する。図2は、図1に示されたヘッド本体13の上面図である。
ヘッド本体13は、流路ユニット4と、流路ユニット4上に接着されたアクチュエータユニット21とを有している。アクチュエータユニット21は台形形状を有しており、その台形の1対の平行対向辺が流路ユニット4の長手方向に平行になるように流路ユニット4の上面に配置されている。また、流路ユニット4の長手方向に平行な2本の直線のそれぞれに沿って2つずつ、つまり合計4つのアクチュエータユニット21が、全体として千鳥状に流路ユニット4上に配列されている。流路ユニット4上で隣接し合うアクチュエータユニット21の斜辺同士は、流路ユニット4の幅方向について部分的にオーバーラップしている。
流路ユニット4の内部にはマニホールド流路5が形成されている。流路ユニット4の上面にはマニホールド流路5の開口5bが形成されている。開口5bは、流路ユニット4の長手方向に平行な2本の直線のそれぞれに沿って5個ずつ、合計10個形成されている。開口5bは、4つのアクチュエータユニット21が配置された領域を避ける位置に形成されている。マニホールド流路5には開口5bを通じて図示されていないインクタンクからインクが供給されるようになっている。
図3は、図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大上面図である。説明の都合上、図3にはアクチュエータユニット21が二点鎖線で示されている。流路ユニット4の内部に形成されているアパーチャ12や流路ユニット4の下面に形成されているノズル8などは、本来破線で示されるべきであるが、実線で示されている。
流路ユニット4内に形成されたマニホールド流路5からは、4本の副マニホールド流路5aが分岐している。副マニホールド流路5aは、流路ユニット4の内部であって各アクチュエータユニット21に対向する領域に、互いに隣接するように延在している。
流路ユニット4の上面における各アクチュエータユニット21に対向する領域のほぼ全面に亘って、多数の圧力室10がマトリクス状に開口するように形成されている。圧力室10は、角部にアールが施されたほぼ菱形の平面形状を有する中空の領域である。各アクチュエータユニット21に対応する圧力室10が、圧力室群9を形成している。圧力室群9はアクチュエータユニット21とほぼ同一の大きさ及び形状の領域を占有している。圧力室10の開口は、流路ユニット4の上面にアクチュエータユニット21が接着されることで閉塞されている。
アクチュエータユニット21の上面における各圧力室10に対向する位置には、後述のような個別電極35が形成されている。個別電極35は、圧力室10より一回り小さく圧力室10とほぼ相似な形状を有しており、アクチュエータユニット21の上面における圧力室10と対向する領域内に収まるように配置されている。
流路ユニット4の下面における副マニホールド流路5aと対向する領域を避ける位置に、多数のノズル8が形成されている。ノズル8は、流路ユニット4の下面におけるアクチュエータユニット21と対向する領域内に配置されている。各領域内のノズル8は、流路ユニット4の長手方向に平行な複数の直線に沿って、等間隔に配列されている。
ノズル8は、流路ユニット4の長手方向に平行な仮想直線上に当該仮想直線と垂直な方向から各ノズル8の形成位置を射影した射影点が、印字の解像度に対応した間隔で等間隔に途切れずに並ぶような位置に、形成されている。これによって、インクジェットヘッド2は、流路ユニット4におけるノズル8が形成された領域の長手方向についてのほぼ全領域に亘って、印字の解像度に対応した間隔で途切れずに印字できるようになっている。
流路ユニット4の内部には、多数のアパーチャ12が水平面に平行方向に沿って延在するよう(図4参照)、形成されている。アパーチャ12は、圧力室群9と対向する領域内に配置されている。
流路ユニット4の内部には、副マニホールド流路5aのインク流出口からアパーチャ12及び圧力室10を経てノズル8先端の吐出口8aに至る個別インク流路32が多数形成されている(図4参照)。マニホールド流路5に供給されたインクは、副マニホールド流路5aから各個別インク流路32へと供給され、吐出口8aから吐出される。
ヘッド本体13の断面構造について説明する。図4は、図3のIV―IV線に沿った縦断面図である。
ヘッド本体13に含まれる流路ユニット4は、上面から順に、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャプレート24、サプライプレート25、マニホールドプレート26、27、28、カバープレート29、及びノズルプレート30の、計9枚のプレートが積層された積層構造を有している。各プレートには多数の孔が形成されている。プレート22〜30は、個別インク流路32及び副マニホールド流路5aが形成されるように、孔を位置合わせして積層されている。図4に示されているように、圧力室10は流路ユニット4の上面に、副マニホールド流路5aは流路ユニット4の内部に、ノズル8は流路ユニット4の下面に、アパーチャ12は圧力室10と副マニホールド流路5aとの間にと、それぞれプレートの厚み方向に関して互いに異なる位置に配設されている。
マニホールドプレート26〜28には、副マニホールド流路5aに対応する孔が形成されている。プレート23〜25には、副マニホールド流路5aのインク流出口から圧力室10のインク流入口に至る第2のインク流路であってアパーチャ12を含む第2のインク流路を形成する孔が形成されている。キャビティプレート22には、圧力室10に対応する孔が形成されている。プレート23〜29には、圧力室10のインク流出口からノズル8の入口に至る流路を形成する孔が形成されている。ノズルプレート30にはノズル8に対応する孔が形成されている。圧力室10のインク流出口からノズル8先端の吐出口8aに至る流路を、第1のインク流路33又はディセンダと称す。
副マニホールド流路5aに供給されたインクは、以下の経路でノズル8へと進む。先ず、副マニホールド流路5aから上方向に向かって、アパーチャ12の一端に至る。次に、アパーチャ12の延在方向に沿って水平に進み、アパーチャ12の他端に至る。そこから上方に向かって、圧力室10のインク流入口である一端に至る。さらに、圧力室10内をその延在方向に沿って水平に進み、圧力室10のインク流出口である他端に至る。そこから3枚のプレート23〜25に形成され孔を経由して斜め下方に向かい、直下のノズル8へと進む。
アクチュエータユニット21は、図5に示されるように、4枚の圧電層41、42、43、44が積層された積層構造を有している。各圧電層41〜44は15μm程度の厚みを有し、アクチュエータユニット21全体の厚みは60μm程度である。アクチュエータユニット21を形成する圧電層41〜44はいずれも、圧力室群9に含まれる多数の圧力室10を跨ぐように延在している(図3参照)。圧電層41〜44は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる。
アクチュエータユニット21は、Ag−Pd系などの金属材料からなる個別電極35及び共通電極34を有している。個別電極35は上述のようにアクチュエータユニット21の上面における圧力室10と対向する位置に配置されている。個別電極35の一端は圧力室10と対向する領域外に引き出され、当該一端上にランド36が形成されている。ランド36は例えばガラスフリットを含む金からなり、厚みが15μm程度で凸状である。ランド36は、図示されていないFPC(Flexible Printed Circuit)に設けられたコンタクトと電気的に接合されている。制御部100は、後述のように、FPCを通じて個別電極35に電圧パルス信号を供給する。
共通電極34は圧電層41と圧電層42との間の領域に面方向のほぼ全面に亘って介在している。すなわち、共通電極34は、アクチュエータユニット21に対向する領域内の全ての圧力室10に跨るように延在している。共通電極34の厚さは2μm程度である。共通電極34は図示しない領域において接地され、常にグランド電位に保持されている。
図5に示されるように、共通電極34と個別電極35とによって、最上層の圧電層41のみが挟まれている。圧電層41における各個別電極35と共通電極34とに挟まれた部分は、活性部と称される。アクチュエータユニット21では、最上層の圧電層41のみが活性部を含み、その他の圧電層42〜44は活性部を含んでいない。すなわち、アクチュエータユニット21はいわゆるユニモルフタイプである。
後述のように、個別電極35に選択的に所定の電圧パルス信号が供給されることにより、個別電極35に対応する圧力室10内のインクに圧力が加えられる。これによって、個別インク流路32を通じて、対応するノズル8の吐出口8aからインクが吐出される。すなわち、アクチュエータユニット21における各圧力室10に対向する部分は、各圧力室10に対応する個別の圧電アクチュエータ50に相当する。本実施形態において1回の吐出動作によって吐出口8aから吐出されるインクの量は3〜4pl(ピコリットル)程度である。
次に、アクチュエータユニット21の制御について説明する。プリンタ1は、アクチュエータユニット21の制御のために、制御部100及びドライバIC80を有している。プリンタ1は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するプログラム及びプログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read Only Memory)、及び、プログラム実行時にデータを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)を有し、これらによって以下に説明する機能を有する制御部100が構築されている。
制御部100は、図6に示されているように、印刷制御部101及び動作制御部105を有している。印刷制御部101は、画像データ記憶部102、波形データ記憶部103、及び印刷信号生成部104を有している。画像データ記憶部102は、PC135などから送信された印刷に係る画像データを記憶する。
波形データ記憶部103は、画像の階調等に応じた電圧パルス信号の基本波形に関する波形データを記憶している。ある階調に対応する電圧パルス信号がドライバIC80を介して個別電極35に供給されることにより、当該階調に対応した量のインクがインクジェットヘッド2から吐出される。
印刷信号生成部104は、画像データ記憶部102に記憶された画像データに基づき、シリアルの印刷データを生成する。印刷データは、波形データ記憶部103に記憶された波形データが示す基本波形のいずれかに対応する電圧パルス信号が、各個別電極35に所定のタイミングで供給されるよう指示するデータである。印刷信号生成部104は、生成した印刷データをドライバIC80に出力する。
ドライバIC80はアクチュエータユニット21ごとに設けられており、シフトレジスタ、マルチプレクサ及びドライブバッファ(共に図示されず)を有している。
シフトレジスタは、印刷信号生成部104から出力されたシリアルの印刷データをパラレルデータに変換する。つまり、シフトレジスタは、シリアルの印刷データに基づき、各圧力室10に対応する圧電アクチュエータ50毎に個別のデータを出力する。
マルチプレクサは、シフトレジスタから出力されたパラレルデータに基づいて、各個別電極35に対し、波形データ記憶部103に記憶されている波形データが示す基本波形信号の中から適切なものを選択する。そしてマルチプレクサは、個別電極35ごとに選択した基本波形信号を、ドライブバッファに出力する。
ドライブバッファは、マルチプレクサから出力された基本波形信号に基づいて、各個別電極35に対し、所定のレベルを有する電圧パルス信号を生成する。そして、ドライブバッファは、各圧電アクチュエータ50に対応する個別電極35に上記の電圧パルス信号を、FPCを介して供給する。
次に、電圧パルス信号の供給を受けた個別電極35における電位の変化について説明する。
図7は、1滴のインクを吐出口8aから吐出させるための電圧パルス信号が供給された個別電極35における電位の変化の一例を示している。ここで個別電極35に供給される電圧パルス信号の波形は、立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジが共に直角な単純な矩形波であって、図7に示すパルス幅Toを有すると共に、図7に示すハイレベル電位U0及びローレベル電位0を指示するものである。
時刻t1は、個別電極35に電圧パルス信号が供給され始める時刻である。時刻t1は、吐出口8aからインクを吐出させるタイミングに合わせて調節される。時刻t1までの期間及び時刻t4以降の期間、個別電極35の電位はU(≠0)に保持される。時刻t2から時刻t3までの期間、個別電極35はグランド電位に保持される。時刻t1から時刻t2までの期間、個別電極35の電位がUからグランド電位になるまでの過渡期間である。時刻t3から時刻t4までの期間は、個別電極35の電位がグランド電位からUになるまでの過渡期間である。図5に示されているとおり、圧電アクチュエータ50はコンデンサーと同様の構成を有しているため、個別電極35の電位が変化する際には上記のような過渡期間が生じる。
時刻t1から時刻t2までの過渡期間の長さTv及び時刻t3から時刻t4までの過渡期間の長さTvは、個別電極35の大きさ及び形状、個別電極35と共通電極34との離隔距離、圧電層41の誘電率、並びに、個別電極35に供給される電圧パルス信号の波形に依存する。本実施形態では、個別電極35の大きさ及び形状、個別電極35と共通電極34との離隔距離、並びに圧電層41の誘電率を所定の値とし、個別電極35に供給される電圧パルス信号の波形を、第1のインク流路33内に充填されたインクにおける固有振動周期をTdとしたときに0.5Td≦Tv≦0.6Td、且つ、0.33Td≦Tv≦0.44Tdとなるように、予め調節している。さらに電圧パルス信号の波形は、時刻t1から時刻t3の期間の長さ、即ちパルス幅Toが、必要とされるインクが個別電極35に対応するノズル8の吐出口8aから吐出されるような範囲内となるように、調節されている。このような電圧パルス信号が個別電極35に供給されることで、吐出速さの極端な低下を防ぎつつ、インク吐出を最も安定した状態に維持することができる。
次に、電圧パルス信号が個別電極35に供給されることにより、圧電アクチュエータ50がどのように駆動するかを説明する。
図5に示す本実施形態におけるアクチュエータユニット21では、最上層の圧電層41だけが個別電極35から共通電極34に向かう方向に分極されている。従って、個別電極35を共通電極34と異なる電位にし、圧電層41に対してその分極方向と同じ方向に電界を印加すると、電界が印加された部分、即ち活性部が、厚み方向、即ち積層方向に伸長しようとする。また、このとき、活性部は積層方向と垂直な方向、即ち面方向に収縮しようとする。これに対し、残りの3枚の圧電層42〜44は分極されておらず、電界を印加したとしても自発的には変形しない。
このように、圧電層41と圧電層42〜44との間で歪み方に差が生じるので、全体として各圧電アクチュエータ50は圧力室10に向けて凸となるように変形(ユニモルフ変形)する。
図8(a)〜(c)は、電圧パルス信号が供給されることにより個別電極の電位が図7に示すように変化した際の、圧電アクチュエータ50の経時変化を示す図である。
図8(a)は、図7に示される時刻t1までの期間での圧電アクチュエータ50の様子を示している。このとき、個別電極35の電位はUである。従って、圧電アクチュエータ50は上記のようなユニモルフ変形により圧力室10に向けて突出している。このときの圧力室10の容積はV1となっている。この状態を圧力室10における第1の状態とする。
図8(b)は、図7に示される時刻t2から時刻t3の期間での圧電アクチュエータ50の様子を示している。このとき、個別電極35の電位はグランド電位である。従って、圧電層41における活性部に印加されていた電界が解除され、圧電アクチュエータ50のユニモルフ変形も解除されている。このときの圧力室10の容積V2は、図8(a)に示される圧力室10の容積V1より大きい。この状態を圧力室10における第2の状態とする。このように圧力室10の容積が増大した結果、インクが副マニホールド流路5aから圧力室10に吸い込まれる。
図8(c)は、図7に示される時刻t4以降の期間での圧電アクチュエータ50の様子を示している。このとき、個別電極35の電位はUである。従って、圧電アクチュエータ50は、再び第1の状態に戻っている。このように圧電アクチュエータ50が圧力室10を第2の状態から第1の状態に変化させることで、圧力室10内のインクに圧力が加えられる。これによって、ノズル8先端の吐出口8aからインク滴が吐出される。インク滴は印刷用紙Pの印刷面、即ち上面に着弾し、ドットを形成する。
このように、本実施形態による圧電アクチュエータ50の駆動では、まず、一旦圧力室10の容積を増大させて、圧力室10内のインクに負の圧力波を発生させる(図8(a)から(b)へ)。すると、圧力波が流路ユニット4内のインク流路端部で反射して、ノズル8に進行する正の圧力波として帰ってくる。正の圧力波が圧力室10に到達したタイミングを見計らって、再び圧力室10の容積を減少させる(図8(b)から(c)へ)。これはいわゆる「引き打ち」と呼ばれる手法である。
上記のような引き打ちによるインク吐出が行われるように、電圧パルス信号のパルス幅To(図7参照)は、ALに調節されている。ALとは、圧力室10内で発生した圧力波が、アパーチャ12における圧力室10側の端部からノズル8先端の吐出口8aの手前まで伝播する時間の長さである。これによると、上記のようにして反射してきた正の圧力波と、圧電アクチュエータ50の変形により生じた正の圧力波とを重畳させ、より強い圧力をインクに付与することができる。そのため、単に圧力室10の容積を1回減少させるだけでインクを押し出す場合より、同じ量のインクを吐出する際の圧電アクチュエータ50の駆動電圧が低く抑えられる。したがって引き打ち方式は、圧力室10の高集積化、インクジェットヘッド2のコンパクト化、及び、インクジェットヘッド2を駆動する際のランニングコストの点で有利である。
なお、個別電極35の電位が変化するタイミングと圧電アクチュエータ50が変形するタイミングとはほぼ一致している。このため、本願明細書においては個別電極35の電位が変化するタイミングと圧力室10の容積が変化するタイミングとが一致していると想定されている。例えば、図7において時刻t1で個別電極35の電位が低下し始めると同時に、圧力室10の容積も同時に小さくなり始める。そして、時刻t2で個別電極35の電位がグランドになると同時に圧力室10の容積が最小となる。仮に個別電極35の電位が変化するタイミングと圧電アクチュエータ50が変形するタイミングとがずれていても、そのずれをあらかじめ考慮した上で本発明を適用すればよい。
次に、本願発明者等によって行われた解析について説明する。
本解析では、インクに圧力を付与する加圧アクチュエータとして、図5に示す圧電アクチュエータ50を用いた。上述のように、圧電アクチュエータ50は個別電極35及び共通電極34を有し、共通電極34は常にグランド電位に保持されている。個別電極35がグランド電位以外の電位になると、圧電歪みによって圧電アクチュエータ50が変形し、圧力室10の容積が変化する。このような圧力室10の容積変化で生じた圧力波がノズル8に達すると、ノズル8に形成されたインクのメニスカスが変形し、メニスカスを形成しているインクの一部がインク滴として吐出される。その後、次の吐出のため、圧力室10の上流(例えば図4に示す副マニホールド流路5a)からインクが吐出された分だけ補充される。本解析では、個別電極35に所定の電圧パルス信号を供給し圧電アクチュエータ50を変形させて引き打ちを行うことによって、吐出口8aからインクを吐出させる。
図9は、様々な値のパルス幅To(図7参照)を有する電圧パルス信号によって吐出されたインクの速さを示すグラフである。従来から存在する近似的な計算によると、パルス幅Toに対するインク吐出速さの関数は、To=ALで極大となる曲線C1のようになる。しかし実際には、パルス幅ToがAL以外で複数の極大値や極小値を有する曲線C2のようになることが発明者等によって確かめられている。
To<ALの範囲で吐出速さが極小となるTo=T1においては、吐出されるインク液滴がちぎれて高速な小滴が発生することが確かめられている。To<ALの場合に吐出速さが極大となるTo=T2においては、圧電アクチュエータ50から加えられる圧力の変化に対するインク吐出速さの感度が高くなり、吐出されたインク液滴が高速化することが確かめられている。このようにノイズやインク吐出速さのばらつきが発生すると、画像の再現性が悪化するという問題が生じる。
発明者等は、パルス幅Toに対する吐出速さの関数が曲線C2のようにTo=AL以外で極値をとるのは以下のような原因によるものと考えた。すなわち、インク吐出速さが曲線C1のような特性を示すのは、ヘッド2の個別インク流路32内に充填されたインクの圧力波によるものと考えられる。曲線C2のような特性が現れるのは、曲線C1のような特性を与える圧力波が伝播する範囲とは別の局所的な範囲において発生する振動によるものであり、具体的には上述の第1のインク流路33(図4参照)に充填されたインクの固有振動が原因である、と考えた。
上記固有振動は以下のように発生すると考えられる。つまり、圧電アクチュエータ50の変形によって圧力室10内のインクに圧力波が発生すると、圧力波は圧力室10の上流方向、即ち副マニホールド流路5aに向かう方向と、下流方向、即ちノズル8(図4参照)に向かう方向とに伝播する。引き打ちにおいては、上述ように、圧力室10の容積を一旦増加させ、その後パルス幅Toに相当する時間を置いて再びもとの容積に戻すことで、吐出口8aからインクが吐出される。圧力室10の容積を増加させる際には圧力室10内のインクに負の圧力波(以下、第1の圧力波とする)が発生し、これに続けて容積を減少させる際には圧力室10内のインクに正の圧力波(以下、第2の圧力波とする)が発生する。圧力波の一部は、上記のように下流方向の第1のインク流路33へと伝播する。したがって、例えば第1のインク流路33へと伝播した第1の圧力波は、第1のインク流路33の一端、つまり圧力室10と第1のインク流路33との境界及びノズル8付近で反射する。このような反射波によって第1のインク流路33内に充填されたインクに固有振動が発生する。
一方で、第1の圧力波の一部は、副マニホールド流路5aに向かって伝播する。そして、アパーチャ12の圧力室10側端部において反射し、圧力の正負が反転した圧力波となって圧力室10及び第1のインク流路33を伝播し吐出口8aへと向かう。つまり、第1の圧力波の一部は、アパーチャ12の圧力室10側端部で反射する際に圧力が反転して正圧の圧力波(以下、第3の圧力波とする)となって、圧力室10に戻ってくる。
第2及び第3の圧力波が重なり合った合成波が進行波としてノズル8に到達した際に、吐出口8aからインクが吐出される。一方、第2及び第3の圧力波の一部は、第1の圧力波の一部によって第1のインク流路33内に発生した固有振動波に重畳する。したがって、第2及び第3の圧力波が進行波としてノズル8に到達した時、ノズル8付近では、上記進行波による振動に加えて、第2及び第3の圧力波の一部によって発生した振動と第1の圧力波によって発生した振動とが重畳した合成振動が観測される。
圧電アクチュエータ50によるこのようなインク吐出動作において、To=ALである場合とは、第3の圧力波によって圧力室10内のインクに加わる圧力の大きさが最大となるタイミングで、圧力室10の状態を第2の状態(図8(b)参照)から第1の状態(図8(c)参照)に変化させ始める場合に相当する。To=ALで引き打ちを行った場合、インク吐出速さが図9の曲線C1に示す極大値をとるタイミングで互いに重なり合った第2及び第3の圧力波が、ノズル8に到達する。
第3の圧力波によって圧力室10内の圧力の大きさが最大となるまでのいずれかのタイミングで圧力室10の状態を第2の状態から第1の状態に変化させ始める場合が、To<ALである場合に相当する。To=T2で引き打ちを行う場合とは、上記合成振動の影響によってノズル8付近のインク圧力が正圧で且つ最大値をとるタイミングで、第2及び第3の圧力波の合成波が進行波としてノズル8付近に到達するように、圧力室10の状態を第2の状態から第1の状態に変化させ始める場合に相当する。従って、To=T2で引き打ちを行った場合、第2及び第3の圧力波の合成波は、第1〜第3の圧力波による合成振動によってノズル8付近におけるインクの圧力が最大値をとる時に、ノズル8付近に到達する。これによって、ノズル8付近において、圧力室10から伝播した正圧の合成波と合成振動による最大の正圧とが重畳するため、図9に示されているように吐出速さが極大値をとることになる。
To=T1で引き打ちを行う場合とは、上記合成振動の影響によってノズル8付近のインク圧力が負圧で且つ最大値をとるタイミングで、第2及び第3の圧力波の合成波が進行波としてノズル8付近に到達するように、圧力室10の状態を第2の状態から第1の状態に変化させ始める場合に相当する。従って、To=T1で引き打ちを行った場合、ノズル8付近において正圧の合成波と合成振動による最大の負圧とが重畳するため、図9に示されているように吐出速さが極小値をとることになる。
パルス幅Toに対するインク吐出速さの関数が図9の曲線C2のように複数の極値をとる原因が、上記のように第1のインク流路33に充填されたインクの固有振動であるとすれば、当該固有振動が発生しなくなれば曲線C2のような極値が現れなくなる。そして、圧電アクチュエータ50によって引き打ちが行われる際に個別電極35に供給される電圧パルス信号の波形を、後述の解析結果おいて好ましいとされる条件に適合させることにより、上記のような固有振動が生じなくなると考えられる。このことを確かめるため、発明者等は下記のようなシミュレーションを実施した。図10(a)〜(c)は本シミュレーションの内容を示す図である。
本シミュレーションに当たっては、図4に示されるような個別インク流路32、つまり、副マニホールド流路5aのインク流出口からアパーチャ12及び圧力室10を経てノズル8先端の吐出口8aに至る流路を、音響的に等価変換した回路(図10(a)参照)に見立てた上で、等価回路について音響解析を行った。図10(a)の回路において、アパーチャ12はコイル212a及び抵抗212b、圧電アクチュエータ50はコンデンサー250、圧力室10はコンデンサー210に相当する。第1のインク流路33はこの回路において流体解析部233に相当する。流体解析部233は、回路中の単なるコンデンサーや抵抗等とはみなされず、別途後述の流体解析によって数値解析される。
本シミュレーションの音響解析では、圧電アクチュエータ50の厚み、圧力室10の面積及び上記圧電アクチュエータ50の厚み方向に関する深さ、アパーチャ12の幅、長さ、上記厚み方向に関する深さ等が用いられている。圧電アクチュエータ50のコンプライアンス(音響容量)、即ち等価回路中のコンデンサー250の容量や、発生圧力定数は、上記の圧電アクチュエータ50等の諸元から、有限要素法によって予め求められている。さらに、圧電定数は圧電素子のインピーダンスを測定する共振法を用いて求められている。
図10(b)は、流体解析部233における第1のインク流路33の構成を示している。図10(c)は、図10(b)に示す第1のインク流路33におけるノズル8の構成を示している。図10(b)において、長さL1〜L4の範囲が、ノズル8を除く第1のインク流路33に相当する。図10(b)の左端が圧力室10に接続する部分である。本流体解析で用いられる第1のインク流路33の内径D1、D2、D3及びD4並びに長さL1、L2、L3及びL4は表1のとおりである。また、ノズル8の先端、即ち吐出口8aの直径D5、その他構成要素L5,L6,θは表2のとおりである。
Figure 2007125881
Figure 2007125881
流体解析部233における流体解析は、上記のような第1のインク流路33の構成を用い、擬似圧縮性により定式化された流体解析である擬似圧縮法、即ち、擬似的に密度の時間変化を表す甲を加えた連続の式にNavier-Stokes方程式を連立させて速度と圧力とを求める方法によって、行われた。
圧力室10のコンプライアンス(音響容量)、即ち等価回路中のコンデンサー250の容量は、関係式C=W*Evによって求められた。ここで、Cはコンプライアンス、Wは圧力室10の容積、Evはインクの体積弾性率である。
アパーチャ12におけるイナータンス、即ち等価回路中のコイル212aのインダクタンスは、関係式m=ρ*l/Aによって求められた。ここで、mはイナータンス、ρはインクの密度、Aはアパーチャ12における上記厚み方向に垂直な方向に関する断面の面積、lは図4の左右方向に関するアパーチャ12の長さである。
アパーチャ12の流路抵抗、即ち抵抗212bの抵抗値Rは、以下のように求められた。上述の実施形態において、アパーチャ12は、上記厚み方向に垂直な方向に関して各辺の長さが2a及び2bである長方形の形状を有している。この場合、アパーチャ12を流れるインクの量は下記の式1を用いて表される。アパーチャ12に加えられる圧力Δp、即ち圧力波の強度と、アパーチャ12を流れるインクの量Qとの関係は、Q=Δp/Rで表される。これと式1とにより抵抗値Rが算出される。なお、lは上記の通りアパーチャ12の長さであり、μはインクの粘度である。
[式1]
Figure 2007125881
流体解析部233における流体解析では、流体解析部233を通過するインクの体積速度が求められる。圧電アクチュエータ50において個別電極35と共通電極34との間に加えられる電圧の大きさに対応する圧力Pが、回路中の圧力源299によって加えられるものとする。この条件下で、圧力P、音響容量、イナータンス及び抵抗値、並びに、別途数値解析された流体解析部233における解析結果に基づいて、回路を流れるインクの体積速度が数値解析によって求められた。表3は、このように求められた数値解析の結果を示している。
Figure 2007125881
表3において、Tdは第1のインク流路33内に充填されたインクの固有振動周期を表し、Tc(=2AL)は個別インク流路32に充填されたインクの固有振動周期を表す。Td及びTcは個別インク流路32の形状に依存する。いずれのシミュレーションにおいても同じ形状の個別インク流路32を用いたため、Td及びTcは一定である。Tvは、個別電極35の電位がU0からグランドに過渡的に変化する時間を示している(図7参照)。ここではTvを様々に変化させるため、電圧パルス信号の波形を変化させた。表3には、Tdに対するTvの割合が17%〜83%(Tv/Td=0.17〜0.83)の範囲の様々な値をとる場合において、To/Tcが0.32〜0.64の範囲で変化するときの、吐出口8aから吐出されるインクの吐出速さの割合が示されている。吐出速さの割合は、Tv/Td=Tv/Td=0.33でTo/Tc=0.50のときの吐出速さを1として、百分率で表されている。表3に係る数値解析はTv=Tvという条件下で行われたが、Tv>Tv,Tv<Tvのときでも同様の結果が得られた。
図11は表3に示されている数値解析の結果をグラフに表したものである。横軸はTo/Tc、縦軸は吐出速さの割合を表す。各曲線はパラメータTv/Tdごとの結果を示している。Tv/Tdが0.33未満、即ちTdに対するTvの割合が33%未満の曲線に関して、図11の範囲91内に確かにTo=AL以外で吐出速さの極値が現れている。当該極値が図9の曲線C2に示されている極値に相当する。吐出速さにこのような極値が現れると、上記のようにノイズやインク吐出速さのばらつきが発生し、画像の再現性が悪化するという問題が生じる。したがって、このような問題を回避するため、Tv/Tdを、吐出速さに極値が現れないような範囲にする必要がある。
図11の範囲91内に示されている極値は、Tdに対するTvの割合が33%未満である場合に明確に現れている。一方、Tdに対するTvの割合が33%以上の曲線は、図9における曲線C1の形状に近似しており、極値がほとんど現れていない。したがって、Tdに対するTvの割合が33%以上であれば、ノイズやインク吐出速さのばらつきが発生して画像の再現が良好になされないという問題が生じにくくなると理解される。
ところで、図11に示されているように、Tv/Tdが0.33以上の場合、曲線のピークはTo/Tc=0.50の付近に現れている。したがって、インク吐出の際にはTo/Tcが0.50付近になるようにToが調節される。一方、Tvが大きくなるにつれ、曲線のピークが小さくなっている。これは、Tvが大きくなるにつれ、電圧の変化が緩やかになり(図7参照)、圧電アクチュエータ50の変形に時間がかかるためである。つまりこの場合、圧電アクチュエータ50が結果的に同じ変位量を示しても、個別インク流路32に生じる圧力波や第1のインク流路33に生じる圧力波におけるインク吐出に寄与する割合が減り、インクへの加圧効率が悪くなる。加圧効率が悪くなって吐出速さが小さくなりすぎると、吐出口8aからインクがうまく吐出されなくなる等の問題が生じ得る。
図12A及び図12Bは、表3に基づいて作成された、To/Tc=0.50のときの吐出速さの割合のグラフである。図12Aは横軸がTcに対するTvの割合を示し、図12Bは横軸がTdに対するTvの割合を示している。図12Aに示されているように、特にTcに対するTvの割合が12%を超えると、吐出速さの低下が著しくなる。図12Bに示されているように、Tdに対するTvの割合が67%を超えると、吐出速さはTv/Td=0.33のときの90%未満となる。
したがって、流路ユニット4が、圧力室10にインクを供給する副マニホールド流路5aと、副マニホールド流路5aのインク流出口から各圧力室10のインク流入口に至る第2のインク流路とを有し、制御部100はTvがTcの12%以下の大きさとなるように圧電アクチュエータ50を制御することが好ましい。さらに、TvがTdの67%以下の大きさとなるように、圧電アクチュエータ50を制御することがより好ましい。これによると、上記の解析結果から、吐出口8aから吐出されるインクの速さが十分確保される。これは、Tvがある程度小さくなることにより、圧電アクチュエータ50によって圧力室10内のインクにある程度急激に圧力が付与され、加圧の効率が向上するからである。
さらには、図12A、図12B、及び表3から、Tcに対するTvの割合が6.4%を超えると、又は、Tdに対するTvの割合が42%を超えると、吐出速さの割合が100%から低下することが理解される。したがって、吐出速さの割合が100%程度となるよう、Tcに対するTvの割合が6.4%以下、又は、Tdに対するTvの割合が42%以下であることが好ましい。これによると、吐出速さを最も大きく保つことができる。
表4は、本シミュレーションにおける数値解析の表3とは別の結果を示している。
Figure 2007125881
表4には、Tdに対するTvの割合が17%〜83%の範囲(Tv/Td=0.17〜0.83)の様々な値をとる場合において、To/Tcが0.32〜0.64の範囲で変化するときの、吐出口8aから吐出されるインクの吐出速さの割合が示されている。吐出速さの割合は、Tv/Td=Tv/Td=0.33でTo/Tc=0.50のときの吐出速さを1として、百分率で表されている。表4に係る数値解析はTv/Td=0.33の条件下で行われた。
図13は、表4に示されている数値解析の結果をグラフに表したものである。横軸はTo/Tc、縦軸は吐出速さの割合を示す。各曲線はパラメータTv/Tdごとの結果を示している。Tv/Tdが0.33未満、即ちTdに対するTvの割合が33%未満の曲線に関して、図13の範囲92内に、図11の範囲91内と同様、To=AL以外で吐出速さの極値が現れている。このような結果から、Tdに対するTvの割合は33%以上であればよいことが理解される。
したがって、TvがTdの33%以上の大きさとなるように圧電アクチュエータ50を制御することが好ましい。これによると、上記の解析結果においてTdに対するTvの割合が33%以上の場合には図13に示されるように極値がほとんど現れていないため、ノイズやインク吐出速さのばらつきが発生して画像の再現性が悪化するという問題が生じにくくなる。このような効果が奏されるのは、Tvがある程度大きくなることにより、圧力室10内のインクに圧電アクチュエータ50によって加えられる圧力の変動が緩やかになるためである。これにより、第1のインク流路33内に充填されたインクに固有振動を発生させるような圧力波が生じにくくなり、固有振動の励起が抑制される。
表5は、Tv=0.9Tv、Tv=Tv、及びTv=1.1Tvのそれぞれの場合における本シミュレーションで行われた数値解析の結果を示している。表5には、Tdに対するTvの割合が17%〜83%(Tv/Td=0.17〜0.83)の様々な値をとるときの吐出速さの割合が示されている。吐出速さの割合は、Tv/Td=Tv/Td=0.33でTo/Tc=0.50のときの吐出速さを1として、百分率で表されている。表5に係る数値解析はTo/Tc=0.50の条件下で行われた。
Figure 2007125881
図14は、表5に示されている数値解析の結果をグラフに表したものである。横軸はTdに対するTvの比であり、縦軸は吐出速さの割合である。曲線93、94、及び95はそれぞれTv=0.9Tv、Tv=Tv、及びTv=1.1Tvのときの結果を表している。図14に示されているように、Tv/Tdのほぼ全範囲に亘って、曲線93の吐出速さ>曲線94の吐出速さ>曲線95の吐出速さの関係が成立している。
したがって、Tv>Tvという関係が成り立っていることが好ましい。これにより、Tvがどのような大きさであっても、Tv≦Tvの場合と比べて、インク吐出速さが大きくなり、Tv/Tdについて広い範囲で印字に適したインクの吐出速さが確保される。
表6は、Tv及びTvが様々な値をとる場合の、吐出口8aから吐出されるインクの吐出速さの割合が示されている。吐出速さの割合は、Tv/Td=Tv/Td=0.33でTo/Tc=0.50のときの吐出速さを1として、百分率で表されている。表6に係る数値解析はTo/Tc=0.50の条件下で行われた。
Figure 2007125881
表6に示されているように、Tv/Td≦0.44において、吐出速さが基準値のほぼ98%以上に保たれている。0.50≦Tv/Td≦0.60においては、吐出速さの極端な低下を防ぎながら、最も安定したインクの飛翔状態を維持できることが確認される。
したがって、TvがTdの50%以上且つ60%以下、TvがTdの33%以上且つ44%以下の大きさとなるよう、圧電アクチュエータ50を制御することが好ましい。これによると、吐出速さの極端な低下を防ぎながら、最も安定したインクの飛翔状態が維持される。
上述の説明では電圧パルス信号のパルス幅ToがALに調節される場合について記載したが、パルス幅ToはAL以外でもよい。図11及び図13に示されているように、To/Tc>0.5の範囲では、第1のインク流路33におけるインクの固有振動の影響は目立たないが、TvやTvの値によらず、パルス幅Toに対する吐出速さの変化率がTo/Tc≦0.5の場合に比べて大きい。To/Tcが0.4〜0.5の範囲では、それ以外の範囲に比べて上記変化率が緩やかである。つまり、To/Tcが0.4以上且つ0.5以下となるようにパルス幅Toが調節されていれば、パルス幅Toに対する吐出速さの変化率が小さい、即ちパルス幅Toに対する吐出速さの感度が低いものとなる。さらに、0.33Td≦Tv≦0.12Tc又は0.33Td≦Tv≦0.6Tdで、且つ、0.33Td≦Tv≦0.44Td及びTv>Tvである場合、To/Tcを0.4〜0.5の範囲にすると、吐出速さを基準値の80%以上に安定に保つことができ、且つ、パルス幅Toに対する自由度も高くなる。つまり、パルス幅Toの広い範囲に亘って、第1のインク流路33でのインクの振動がインク吐出に効果的に作用し、吐出速さの極端な変化や低下を回避しつつ、安定したインクの飛翔状態を維持することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
電圧パルス信号の波形は、当該波形に対応する電圧パルス信号を個別電極35に供給したときに上記条件を満たす限りは、矩形波に限定されず、例えば図7に示す個別電極35の電位変化曲線と同様に立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジが直角よりも大きな角度となる形状を有する、非矩形波であってよい。
個別電極35に供給される電圧パルス信号の波形を調整することで、Tv及び/又はTvを上記数値範囲に設定することに限定されない。例えば、個別電極35の大きさ及び形状、個別電極35と共通電極34との離隔距離、並びに、圧電層41の誘電率の少なくともいずれか1つを調整することで、Tv及び/又はTvを上記数値範囲に設定してよい。
電圧パルス信号を個別電極35に供給したときにTv、Tv等が上述した各条件(Tv≧0.33Td、Tv≦0.12Tcなど)を満たすような複数種類の基本波形を示す波形データを、予め波形データ記憶部103に記憶しておき、印刷制御部101が、波形データ記憶部103に記憶されている波形データが示す複数種類の基本波形から1つの基本波形を選択し、当該基本波形に対応する電圧パルス信号を個別電極35に供給してよい。
本発明に係る課題は、第1のインク流路33内に充填されたインクに発生する圧力の固有振動と上記のようなインク流路内で反射した圧力波とが重なり合うことによって発生すると解される。したがって、図4に示されているような第1のインク流路33、圧力室10、及びアパーチャ12を含む個別インク流路32と副マニホールド流路5aとを有する流路ユニット4以外のものにおいても、本発明に係る課題が生じ得る。また、本発明に係る課題は上記のようにインク流路内に発生する圧力波の重なり合いによって生じるものであるため、本発明に係る課題が生じるかどうかはインクへの加圧の方式に依存しないと解される。したがって、圧電アクチュエータ以外の加圧アクチュエータによってインクが加圧される場合においても本発明に係る課題が生じ得る。
本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 図1に示されるヘッド本体の上面図である。 図2の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。 図3のIV−IV線に沿った縦断面図である。 図4に示される圧電アクチュエータ周辺の部分拡大図である。 図1に示されるプリンタが有する制御部についての説明図である。 電圧パルス信号が供給された個別電極における電位の変化の一例を示すグラフである。 電圧パルス信号が供給されることにより個別電極の電位が図7に示すように変化した際の、圧電アクチュエータの駆動を示す図である。 図7に示される幅Toに対する吐出されたインクの吐出速さを示すグラフである。 (a)は、本願発明者等による解析で用いられた、図4に示される個別インク流路をモデル化した等価回路を示す図である。(b)は、(a)に示す流体解析部における第1のインク流路の構成を示す図である。(c)は、(b)に示す第1のインク流路におけるノズルの構成を示す図である。 図10に示されるモデルを用いて行われた数値解析の結果を示すグラフである。 図10に示されるモデルを用いて行われた数値解析の結果を示す別のグラフである。 図10に示されるモデルを用いて行われた別の数値解析の結果を示すグラフである。 図10に示されるモデルを用いて行われたさらに別の数値解析の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)
4 流路ユニット
5a 副マニホールド流路(共通インク室)
8a 吐出口
10 圧力室
21 アクチュエータユニット(加圧アクチュエータ)
32 個別インク流路
33 第1のインク流路
100 制御部(制御手段)

Claims (8)

  1. 加圧アクチュエータと、
    前記加圧アクチュエータによって容積が変化させられる圧力室及びインクを吐出する吐出口が形成され、且つ、前記圧力室の出口から前記吐出口に至る第1のインク流路を有する流路ユニットと、
    容積がV1である第1の状態から容積がV1より大きいV2である第2の状態に前記圧力室が変化し、続いて前記第2の状態から前記第1の状態に前記圧力室が戻ることによって、前記吐出口からインクが吐出されるように、前記圧力室が前記第1の状態から前記第2の状態に変化し始める時点から前記第2の状態になる時点までの時間の長さTvが前記第1のインク流路内に充填されたインクにおける固有振動周期Tdの33%以上の大きさとなるように、且つ、前記時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの83%以下の大きさとなるように、前記加圧アクチュエータを制御する制御手段と、
    を備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記流路ユニットが、前記圧力室にインクを供給する共通インク室と、前記共通インク室の出口から前記圧力室の入口に至る第2のインク流路と、をさらに有し、
    前記制御手段は、前記時間の長さTvが、前記第1及び第2のインク流路並びに前記圧力室から構成された個別インク流路内に充填されたインクにおける固有振動周期Tcの12%以下の大きさとなるように、前記加圧アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記制御手段は、前記時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの67%以下の大きさとなるように、前記加圧アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記制御手段は、前記圧力室が前記第2の状態から前記第1の状態に戻り始める時点から前記第1の状態に戻る時点までの時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの33%以上の大きさとなるように前記加圧アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記制御手段は、前記時間の長さTvが前記時間の長さTvより小さくなるように前記加圧アクチュエータを制御することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記制御手段は、前記時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの50%以上且つ60%以下、前記時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの33%以上且つ44%以下となるように、前記加圧アクチュエータを制御することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記圧力室の容積を変化させるために前記加圧アクチュエータに供給される信号の波形が単純な矩形波であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 加圧アクチュエータと、前記加圧アクチュエータによってそれぞれ容積が変化させられる圧力室及びインクを吐出する吐出口が形成され且つ前記圧力室の出口から前記吐出口に至る第1のインク流路を有する流路ユニットと、を備えているインクジェット記録装置の制御方法であって、
    容積がV1である第1の状態から容積がV1より大きいV2である第2の状態に前記圧力室が変化し、続いて前記第2の状態から前記第1の状態に前記圧力室が戻ることによって、前記吐出口からインクが吐出されるように、前記圧力室が前記第1の状態から前記第2の状態に変化し始める時点から前記第2の状態になる時点までの時間の長さTvが前記第1のインク流路内に充填されたインクにおける固有振動周期Tdの33%以上の大きさとなるように、且つ、前記時間の長さTvが前記固有振動周期Tdの83%以下の大きさとなるように、前記加圧アクチュエータを制御することを特徴とするインクジェット記録装置制御方法。
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