JP2004284274A - 液滴吐出ヘッドの駆動方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッドの駆動方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電気機械変換器の固有振動を抑制し、微小的を安定的に吐出可能な液滴吐出ヘッドの駆動方法と、この駆動方法により駆動される液滴吐出ヘッド及びこのような液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】液滴吐出ヘッドの圧電アクチュエータ144に印加する駆動電圧の電圧波形として、最小立ち上げ時間及び最小立ち下げ時間を2[μs]以下とすることで、微小滴吐出を可能にし、さらにこの時間の下限を、圧電アクチュエータ144のイナータンスをm、圧力発生室の音響容量をc,電気機械変換器の音響容量をcとして、2π√(m・c’)以下(但し、c’=c/(c+c))とすることで、メニスカスの微小振動を抑制する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出ヘッドの駆動方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置に関し、さらに詳しくは、液滴を吐出して記録媒体上に文字や画像などを記録したり、基板上に微細パターンや薄膜の形成等を行うための液滴吐出ヘッドと、この液滴吐出ヘッドを駆動するための液滴吐出ヘッドの駆動方法、および、この液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧力発生室内に充填された液体に対し、圧電アクチュエータ等の電気機械変換器を用いて圧力波(音響波)を発生させ、その圧力波によって圧力発生室と連通するノズルから液滴を吐出する液滴吐出方法は一般によく知られている。特に、インクの滴を吐出して記録用紙上に文字や画像などの記録を行うインクジェット記録装置は広く普及しており、最近では、インク滴体積の減少や低濃度インクの使用等によって、極めて高い品質の画像記録が可能になっている。
【0003】
また、近年では、上記の液滴吐出方法を用いた液滴吐出装置を工業的に活用することが試みられている。主な活用例としては、
(a)導電性ポリマー溶液を基板上に吐出させて配線パターンやトランジスタを形成、
(b)有機EL溶液を基板上に吐出させてELディスプレイパネルを形成、
(c)溶融状態のハンダを基板上に吐出して電気実装用のバンプを形成、
(d)UV硬化樹脂等の液滴を基板上で積層および硬化させることにより3次元物体を造形、
(e)有機材料の溶液(レジスト溶液など)を基板上に吐出させて有機薄膜を形成、
などが挙げられる。このように、液滴吐出装置は画像記録の用途に限らず、広い領域で活用されつつあり、今後更にその活用範囲が広がっていくと予想される。
【0004】
なお、以下では、液滴吐出ヘッドによって液滴を吐出する対象物を、「記録媒体」といい、液滴が記録媒体上に付着されることで得られる記録媒体上のドットのパターンを「画像」あるいは「記録画像」ということにする。したがって、以下に説明における「記録媒体」には、記録用紙やOHPシートなどが含まれるのはもちろんであるが、これら以外にも、たとえば上記したような基板などが含まれる。また、以下の「画像」には、一般的な画像(文字、絵、写真など)のみならず、上記したような配線パターンや3次元物体、有機薄膜などが含まれる。
【0005】
このような液滴吐出ヘッドでは、近年、吐出する液滴の体積をより小さくすることが求められている。すなわち、液滴吐出装置を写真画像等の印刷に用いる場合、粒状感の少ない高い画像品質を得るためには、記録媒体上に形成する記録ドット(画素)をできるだけ小さくすることが重要であり、そのためには非常に微小な液滴を吐出させる必要がある。また、液滴吐出装置を工業的用途に用いる場合にも、高密度な配線パターンや高解像度ELディスプレイパネルを実現するためには、極めて微小な液滴を基板上に吐出させる必要がある。必要となる微小滴体積は、液滴吐出装置の利用方法によって大きく異なる。例えば、画像記録(印刷)でいわゆる写真画質を得るためには,1〜2pl(ピコリットル)の微小滴を吐出することが必要となり,また,基板上に配線パターン等を形成する場合には,さらに小さな液滴を吐出することが必要となる。
【0006】
これに対し、例えば、特許文献1では、電気機械変換器に印加する電圧の変化プロセスを、圧力発生室の体積を増加させる方向の第1の電圧変化プロセスと、次いで圧力発生室の体積を減少させる方向の第2の電圧変化プロセスと、圧力発生室の体積を再度増加させる第3の電圧変化プロセスと、を有する構成において、第2、第3の電圧変化プロセスにおける電圧変化プロセスにおける電圧変化時間t、tを、圧力発生室内に発生する圧力波の固有周期Tに対して、
0<t<T/2
0<t<T/2
の長さに設定することで、ノズル径よりも小さな径の微小インク滴を、高い駆動周波数でも安定的に吐出できるようにされた、インクジェット記録ヘッドの駆動方法が開示されている。
【0007】
このように、微小滴の吐出と、吐出効率の増加を実現するためには、一般に、電圧波形の立ち上げ/立ち下げ時間を小さく設定することが有利である。
【0008】
しかしながら,従来の液滴吐出ヘッドでは、電圧波形の立ち上げ/立ち下げ時間を小さく設定すると,液滴吐出時のメニスカスに異常な振動が発生し、液滴インク滴の吐出現象が不安定化するという問題があった。
【0009】
図14には、レーザードップラー計測によって観察したメニスカス振動が示されている。本来は図14(A)に示すようなメニスカス振動が得られるはずであるのに対し、実際に観察されたメニスカス振動には、図14(B)に示すように細かい振動が重畳していた。メニスカスにこうした細かい振動が重畳すると、液滴の吐出は非常に不安定となる。特に、後述するメニスカス制御方式では、メニスカスの液面干渉を利用して微小滴の吐出を行うため、メニスカス振動にこうした細かい振動が重畳してしまうと、微小滴の吐出が不能になったり、逆に不要なインク滴が吐出されてしまうなど、正常な微小滴吐出が実行できなくなってしまう。
【0010】
上記のような異常なメニスカス振動が発生するメカニズムについては、従来、詳しい検討は一切なされていないが,縦振動型ピエゾアクチュエータを用いたインクジェット記録ヘッドでは,立ち上げ/立ち下げ時間を、電気機械変換器の固有周期Taよりも小さく設定すると、上記高周波振動が励起されることが知られている(特許文献2など)。
【0011】
この知見に基づけば,上記の高周波振動を防止するためには電圧波形の立ち上げ/立ち下げ時間を電気機械変換器の固有周期Taよりも大きく設定する必要があるが、この場合には、微小滴吐出や吐出効率増加を実行しずらくなる。特に、例えば電気機械変換器として撓み振動型ピエゾアクチュエータを用いた液滴吐出ヘッドは 固有周期自体が大きくなりやすいため,立ち上げ/立ち下げ時間を固有周期以上に設定すると、微小滴吐出や吐出効率増加を実現することができなくなる。
【0012】
【特許文献1】
特許3159188号公報
【特許文献2】
特開2000−218778号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような問題点を解決すべくなされたものであり、その目的は、電気機械変換器の固有振動を抑制し、微小滴を安定的に吐出できる液滴吐出ヘッドの駆動方法と、この駆動方法により駆動される液滴吐出ヘッド及びこのような液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明では、電気機械変換器に駆動信号を印加して当該電気機械変換器を変形させることで圧力発生室に圧力変化を生じさせ、圧力発生室内に充填された液体を圧力発生室と連通するノズルから液滴として吐出する液滴吐出ヘッドの駆動方法であって、前記駆動信号の電圧波形の最小立ち上げ時間及び最小立ち下げ時間tminが、前記電気機械変換器のイナータンスをm、前記圧力発生室の音響容量をc,前記電気機械変換器の音響容量をcとして、
【0015】
【数4】
Figure 2004284274
を満たすように設定されていることを特徴とする。
【0016】
電気機械変換器に印加する駆動信号の電圧波形の最小立ち上げ時間及び最小立ち下げ時間tminの下限をこのように設定することで、電気機械変換器の固有振動の励起を抑制でき、液滴を安定的に吐出することができる。また、時間tminの上限を、2[μs]とすることで、微小な液滴を吐出することが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記駆動信号が、前記圧力発生室の容積を増大させる方向へと前記電気機械変換器を変形させる第1の容積増大プロセスと、圧力発生室の容積を減少させる方向へと前記電気機械変換器を変形させる第1の容積減少プロセスを有し、この容積減少プロセスでの電圧波形の変化時間tが、
【0018】
【数5】
Figure 2004284274
を満たすように設定されていることを特徴とする。
【0019】
この液滴吐出ヘッドの駆動方法では、第1の容積増大プロセスにおいて、圧力発生室の容積を一旦増大させてメニスカスをノズルの内部に引き込み、ついで、第1の容積減少プロセスにおいて、圧力発生室の容積を減少させて、液滴を吐出する(いわゆる「メニスカス制御方式」あるいは「引き打ち方式」)。しかも、容積減少プロセスでの電圧波形の変化時間tの上限が2[μs]とされている。これにより、さらに小さな径(ノズル径よりも小さな径)の液滴を吐出することが可能となる。tの下限を上記のように設定することで、電気機械変換器の固有振動の励起を抑制でき、液滴を安定的に吐出することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記駆動信号が、前記第1の容積減少プロセスの後、前記圧力発生室の容積を増大させる方向へと前記電気機械変換器を変形させる第2の容積増大プロセスを有し、この第2の容積増大プロセスでの電圧波形の変化時間tが、
【0021】
【数6】
Figure 2004284274
を満たすように設定されていることを特徴とする。
【0022】
この液滴吐出ヘッドの駆動方法では、第1の容積減少プロセスの後、第2の容積増大プロセスにおおいて、圧力発生室の容積を再度増大させる。しかも、第2の容積増大プロセスでの電圧波形の変化時間tの上限が2[μs]とされている。これにより、さらに小さな径の液滴を吐出することが可能となる。tの下限を上記のように設定することで、電気機械変換器の固有振動の励起を抑制でき、液滴を安定的に吐出することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記第2の容積増大プロセスが,前記第1の容積減少プロセスの直後に設定されていることを特徴とする。
【0024】
これにより、滴体積のさらに小さな液滴を吐出することが可能となる。
【0025】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記駆動信号が、前記第2の容積増大プロセスの直後に、前記圧力発生室の容積を減少させる方向へと前記電気機械変換器を変形させる第2の容積減少プロセスを有することを特徴とする。
【0026】
これにより、液滴吐出後の残響波を抑制でき、液滴を高周波で連続吐出した際の安定性を改善することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明では、液体が充填される圧力発生室と、前記圧力発生室と連通するノズルと、駆動信号が印加されると変形して、前記圧力発生室に圧力変化を生じさせ、充填された液体を前記ノズルから液滴として吐出させる電気機械変換器と、前記電気機械変換器を請求項1〜請求項5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法で駆動信号を印加する駆動回路と、を有することを特徴とする。
【0028】
この液滴吐出ヘッドでは、電気機械変換器に駆動信号を印加して変形させることで、圧力発生室に圧力変化を生じさせ、圧力発生室に充填された液体を液滴としてノズルから吐出する。
【0029】
電気機械変換器は、駆動回路により、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法で駆動信号を印加されるので、電気機械変換器の固有振動の励起を抑制でき、液滴を安定的に吐出することができると共に、微小な液滴を吐出することが可能となる。
【0030】
請求項6に記載の発明において、各要素の構成は特に限定されないが、たとえば、電気機械変換器は、請求項7に記載のように、撓み振動型圧電アクチュエータを含んで構成することが可能である。これにより、微小滴の吐出に必要な圧力変化(圧力波)を圧力発生室内に有効に発生させることができる。また、圧力発生室のアスペクト比は、請求項8に記載のように、略1とすると、単位面積当たりの吐出効率を最大化できると共に、ノズル密度を高めることが可能となる。また、圧力発生室、ノズル及び電気機械変換器の配置としては、請求項9に記載のように、2次元的なマトリクス配置としても、より多くのノズルを高密度で配置することが可能になる。
【0031】
そして、請求項6〜請求項9に記載の構成では、いずれも、電気機械変換器の固有周期が大きくなりやすいが、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法で電気機械変換器に駆動信号を印加するので、より効果的に、電気機械変換器の固有振動の励起を抑制すると共に、微小な液滴を安定的に吐出することが可能となる。
【0032】
請求項8に記載の発明では、請求項4〜請求項7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有することを特徴とする。
【0033】
すなわち、請求項4〜請求項7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有しているので、電気機械変換器の固有振動の励起を抑制でき、液滴を安定的に吐出することができると共に、微小な液滴を吐出することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0035】
図1及び図2には、本発明の第1実施形態の液滴吐出ヘッド112が部分的に示されている、また、図3には、この液滴吐出ヘッド112を備えた液滴吐出装置102が示されている。本実施形態の液滴吐出ヘッド112はいわゆるインクジェット記録ヘッドとされており、この液滴吐出ヘッド112を備えた液滴吐出装置102は、インクジェット記録装置とされている。液滴吐出装置102は、記録媒体である記録用紙P上に着色インクの液滴(インク滴)を吐出し、この液滴によるドットで画像を記録するために使用される。
【0036】
図3に示すように、液滴吐出装置102は、液滴吐出ヘッド112が搭載されるキャリッジ104と、キャリッジ104を記録用紙Pの記録面に沿った所定の主走査方向に移動(主走査)させる主走査機構106、および、記録用紙Pを主走査方向と交差(好ましくは直交)する所定の副走査方向に搬送(副走査)させるための副走査機構108を含んで構成されている。なお、図面において主走査方向を矢印Mで、副走査方向を矢印Sでそれぞれ示す。
【0037】
液滴吐出ヘッド112は、後述するノズル140が形成されたノズル面が記録用紙Pと対向するようにキャリッジ104上に搭載されており、主走査機構106によって主走査方向に移動されながら記録用紙Pに対して液滴を吐出することにより、一定のバンド領域BEに対して画像の記録を行う。主走査方向への1回の移動が終了すると、副走査機構108によって記録用紙Pが副走査方向に搬送され、再びキャリッジ104を主走査方向に移動させながら次のバンド領域を記録する。こうした動作を複数回繰り返すことにより、記録用紙Pの全面にわたって画像記録を行うことができる。
【0038】
図1に示すように、液滴吐出ヘッド112は、積層流路板114を有している。積層流路板114は、ノズルプレート116、共通流路プレート118、供給路プレート120、圧力発生室プレート122、および振動板124の合計5枚のプレートを位置合わせして積層し、接着剤等の接合手段によって接合することにより形成されている。圧力発生室プレート122、供給路プレート120および共通流路プレート118には、副走査方向に沿って長孔126、128、130が形成されており、共通流路プレート118、供給路プレート120および圧力発生室プレート122が積層された状態で、長孔126、128、130によって、第2共通流路が構成される。
【0039】
振動板124には、第2共通流路132の端部に対応する位置に、インク供給孔134が形成されている。インク供給孔134には、図示しないインク供給装置が接続される。
【0040】
共通流路プレート118には、長孔130から連続して、且つ主走査方向に沿って複数(本実施形態では、1つの長孔130あたり10本、そのうち、図1では5本のみ示す)の共通流路136が形成されており、供給路プレート120、共通流路プレート118およびノズルプレート116が積層された状態で、共通流路136内を液体が流れるようになる。
【0041】
圧力発生室プレート122には、共通流路136に沿って複数(本実施形態では1つの共通流路136あたり5個、液滴吐出ヘッド112全体では50個)の圧力発生室142が形成されており、それぞれの圧力発生室142に対応して、振動板124には、圧力発生手段としての撓み振動型(単板型)の圧電アクチュエータ144が取り付けられている(図2参照)。また、供給路プレート120には、図1から分かるように、圧力発生室142を平面視したときに概ね対角線上に位置するように、圧力発生室142のそれぞれに1つずつ、インク供給路146およびインク排出路148が形成されている。さらに、共通流路プレート118およびノズルプレート116には、それぞれインク排出路148に対応する位置に、連通路150およびインク吐出口152が形成されている。インク排出路148、連通路150およびインク吐出口152によって、ノズル140が構成されている。さらに、圧力発生室142、ノズル140および圧電アクチュエータ144によって、イジェクタ138が構成されている。
【0042】
したがって、図2の断面図からも分かるように、共通流路136から圧力発生室142、インク排出路148、連通路150およびインク吐出口152へと連続するインクの通路(インク供給路)が構成されていることになる。図示しないインク供給装置から送られてきたインクは、インク供給孔134を介して液滴吐出ヘッド112に供給され、第2共通流路内からそれぞれの共通流路136を経て、圧力発生室142内に充填される。ここで、圧電アクチュエータ144に、画像情報に応じた駆動電圧を印加すると、圧電アクチュエータ144が撓み変形し、圧力発生室142を膨張または圧縮させる。これによって圧力発生室142に体積変化が生じると、圧力発生室142内に圧力波が発生する。この圧力波の作用によってノズル140内のインクが運動し、インク吐出口152から外部へ排出されることにより液滴が形成される。
【0043】
図4には、圧電アクチュエータ144に印加する駆動電圧の電圧波形の一例が示されている。また、図5には、この駆動電圧が印加された場合の、ノズル140内での液体の挙動(特に、メニスカスの変化)が(A)から(D)へと順に示されている。図4から分かるようにこの電圧波形160では、バイアス電圧Vから、圧力発生室142の容積を増大させる方向へと電圧を降下させる、第1電圧降下プロセス162A(電圧降下値V、時間t)と、次いで、電圧を一定に維持する第1電圧維持プロセス162B(時間t)、さらに、圧力発生室の容積を減少させる方向へと電圧を上昇させてバイアス電圧Vに戻す第1電圧上昇プロセス162C(電圧上昇値V、時間t)と、を有している。このような電圧波形とすることで、ノズル140内では、図5(A)に示すように、当初はノズル140の開口部に位置していた略平坦状のメニスカスが、第1電圧降下プロセス162Aによる圧力発生室142の容積増大によって圧力発生室142側へと引きこまれ、メニスカスの中央部がメニスカスの周辺部よりも大きく後退して、凹型のメニスカスが形成される(図5(B))。この状態で、第1電圧上昇プロセス162Cによって圧力発生室142の容積が減少されると、図5(C)に示すように、メニスカスの中央部に、ノズル140(インク吐出口152の内径よりも細い液柱164が形成され、次いで、液柱164の先端部が分離して液滴166が形成される(図5(D))。このときの液滴の滴径は、形成された液柱の太さとほぼ等しく、ノズル径よりも小さい。すなわち、こうした駆動方法(「メニスカス制御方式」あるいは「引き打ち方式」)を用いることにより、ノズル径よりも小さな液滴を吐出することが可能となる。
【0044】
ところで、液滴の滴径(滴体積)をより小さくしたり、吐出効率を増加させたりするためには、一般に、電気機械変換器(圧電アクチュエータ144)に印加する駆動電圧の電圧波形において、立ち下げ時間(上記の例ではt)及び立ち下げ時間(上記の例ではt)をより短くすることが有利であることが分かっている。しかし、これらの時間をあまりに短くすると、電気機械変換器の固有振動が励起され、メニスカスに微小な高周波振動が重畳して、吐出安定性が悪化するおそれがある。
【0045】
そこで、まず、表1に示すように、特性の異なる2種の液滴吐出ヘッドにおいて、立ち上げ時間及び立ち下げ時間と、吐出される最小滴の体積、および吐出安定性(微小振動抑制)について調べた。
【0046】
【表1】
Figure 2004284274
【0047】
なお、この液滴吐出ヘッドは、図6に示す等価電気回路172によって置換えることが可能である。ここで、mはイナータンス[kg/m]、rは音響抵抗[Ns/m]、cは音響容量[m/N]、uは体積速度[m/s]、ψは圧力[Pa]を表わし、添字の0は振動要素(振動板124+圧電アクチュエータ144)、1は圧力発生室142、2はインク供給路146、3はノズル140をそれぞれ意味している。この等価電気回路172を回路シミュレータ等を用いて解析し、ノズル部の体積速度uの変化を調べることによって、インク滴体積、滴速、圧力波の固有周期などのヘッド特性を求めることができる。そこで、表1に示す2種類の特性の液滴吐出ヘッドについて、この等価電気回路172を用いて、メニスカスの微小振動を抑制するための立ち上げ/立ち下げ時間の好ましい条件を理論的に解析した。
【0048】
なお、表1に示すTcは、駆動系(振動板124+圧電アクチュエータ144)、圧力発生室,ノズル及びインク供給路の4つの要素を全体で考えた振動系の固有周期であり、次式のように表わされる。
【0049】
【数7】
Figure 2004284274
すなわち、この振動系は、cとcが並列接続となっている点が特徴であり、そのためメニスカス振動の固有周期Tcはc(=c+c)によって支配されている。
【0050】
また、Taは、駆動系自体の固有周期を示し、
【0051】
【数8】
Figure 2004284274
と表される。
【0052】
表1の「吐出安定性(微小振動抑制)」の評価において、「○」は、微小振動が確実に抑制されており、吐出安定性が高いことを、「△」は、微小振動が僅かに発生することがあり、「○」と比較して吐出安定性が低くなっていることを、「×」は、微小振動が「△」よりも大きく発生し、吐出安定性も大きく低下していることをそれぞれ示す。なお、それぞれの液滴吐出ヘッドでの、立ち上げ/立ち下げ時間と最小滴体積との関係を図7に示す。
【0053】
表1及び図7から、微小な液滴を吐出するためには、立ち上げ/立ち下げ時間をより短くすればよく、しかも、この関係は、液滴吐出ヘッドの特性に対する依存性が小さいことが分かる。一般的に、いわゆる写真画質と呼ばれるような高品質の画像記録を行うためには、滴体積は2pl以下とされることが好ましい。このためには、液滴吐出ヘッドの特性に関係なく、立ち上げ/立ち下げ時間を2.0μsよりも短くすればよい、と言える。なお,厳密には,2pl以下の微小滴を得るための立ち上げ/立ち下げ時間の上限値はヘッド特性(特に固有周期Tc)に依存するが,固有周期Tcが5〜20μsの範囲内である一般的な液滴吐出ヘッドにおいては,立ち上げ/立ち下げ時間を2.0μsよりも短くすることが,2pl以下の微小滴を得るための必要条件となる。
【0054】
これに対し、メニスカスの微小振動を抑制して吐出安定性を確保する観点からは、(特性1)の場合には、立ち上げ/立ち下げ時間を1.0μs以上とすればよく、(特性2)の場合には、これを1.4μs以上とすればよいことが分かる。
【0055】
このように、立ち上げ/立ち下げ時間と液滴の吐出安定性は、液滴吐出ヘッドの特性に影響を受けていることが分かる。
【0056】
そこで次に、図6の等価電気回路172の周波数応答を調べた。その結果(周波数と、ノズル部での体積速度との関係)が図8に示されている。このグラフから、130kHzおよび1.3MHzにピークが存在し、等価電気回路172は二つの共振周波数を有していることがわかる。ここで、図6の等価電気回路172を図9に示すように書き直すと、本回路にはA、Bという二つの振動系が含まれていることがわかる。そして、図8に見られた二つの共振周波数は、これらの振動系AおよびBのそれぞれの共振周波数に対応していると考えられる。液滴吐出に用いられる本来のメニスカス振動は振動系Aによって発生されており、これに振動系Bによる周期の短い振動が重畳していると考えれば、メニスカスの微小振動が生じることが理解できる。ここで、振動系Aは、上記した駆動系,ノズル,圧力発生室及び液体供給路の4要素による振動系と同一であり、固有周期はTcとなる。これに対し、振動系Bは、駆動系と圧力発生室が連成された振動系であり,その固有周期Ta’は次式のように表わされる。
【0057】
【数9】
Figure 2004284274
上式においてc’は、振動要素の音響容量cと圧力発生室の音響容量cを直列接続した際の合成音響容量であり、次式で表わされる。
【0058】
【数10】
Figure 2004284274
すなわち、cとcが直列接続された合成音響容量c’によって支配されるという点が、振動系Bの特徴である。表1に示したそれぞれの特性の液滴吐出ヘッドに関して、上記のTa’を求めると、特性1の液滴吐出ヘッドの場合にはTa’=1.0μs、特性2の場合の液滴吐出ヘッドの場合には、1.4μsとなる。これらの数値は、表1から、吐出安定性を得るための立ち上げ/立ち下げ時間の下限値と一致していることが分かる。なお,上記の振動系Bは、縦振動型圧電アクチュエータを用いたインクジェット記録ヘッドで見られる振動要素自体の固有振動(特開平6−171080など参照)とは異なるものである。振動系Bは振動要素自体の固有振動系ではなく、あくまでも振動要素とインク流路系(圧力発生室)とを連結することによって形成される振動系の一つである。
【0059】
このように、液滴吐出時における振動系Bの固有周期は、式(6)で表されることが明らかになった。すなわち、最小立ち上げ時間/立ち下げ時間tminを、Ta’よりも大きく設定すれば、液滴吐出時のメニスカス微小振動を抑制し、吐出安定性を高めることができる。
【0060】
なお、図6の等価電気回路172から分かるように、振動要素の音響容量cと圧力室の音響容量cとは直列接続になっているため、Ta’の値はTaよりも小さくなる。最小立ち上げ/立ち下げ時間の下限値をTaによって規定した場合であっても、十分な吐出安定性を得ることは可能であるが、Ta’によって規定した場合と比較して、微小な液滴を吐出することはできない。本発明は、最小立ち上げ/立ち下げ時間の下限値をTaによって規定される場合よりもさらに短い側へシフトさせると共に、その上限値を2μsとすることで、より微小な液滴を高い吐出効率で、且つ吐出安定性を確保しつつ吐出することが可能になっている。
【0061】
なお、上記説明では、圧電アクチュエータ144に印加する駆動電圧の電圧波形として、図7に示すものを例に挙げたが、駆動電圧の電圧波形はこれに限定されず、以下に示す各種の電圧波形を有する駆動電圧を適用可能である。なお、以下において、電圧波形の同一プロセスには同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0062】
例えば、図10に示す駆動電圧の電圧波形166では、第1電圧上昇プロセス162Cにおいて、電圧をバイアス値Vよりも増大させて圧力発生室142の容積を減少させた後、第2電圧維持プロセス162Dによって高電圧に維持し、その後、第2電圧降下プロセス162Eによって電圧がバイアス値Vに戻される。この電圧波形では、第1電圧上昇プロセス162Cの電圧変化量を第1電圧降下プロセス162Aよりも大きく設定できるため、吐出液滴の飛翔速度(滴速)を増加できるなどの効果が得られる。
【0063】
図11に示す駆動電圧の電圧波形168では、第1電圧上昇プロセス162Cの後、第2電圧維持プロセス162D(時間t)で電圧を僅かな時間だけ維持し、その後に第2電圧降下プロセス162E(時間t)、第3電圧維持プロセス162F(時間t)、第2電圧上昇プロセス162G(時間t)により、バイアス値Vに戻される。この電圧波形では、第1電圧上昇プロセス162Cの直後に第2電圧降下プロセス162Eが行われるため、液柱164(図5(C)参照)からの液滴分離を早期に実行することができ、滴体積のさらに小さな液滴(微小滴)を吐出することが可能となる。
【0064】
なお,体積の小さな液滴を吐出するためには、第2電圧維持プロセス162Dの時間tはできるだけ小さいことが望ましく、具体的には2μs以下であることが好ましい。
【0065】
また、この第2電圧上昇プロセス162Gにより、液滴吐出後に残存する圧力波を抑制することができるので、液滴を高周波で連続吐出した際の安定性を大幅に改善することができる。
【0066】
図12に示す駆動電圧の電圧波形では、第2電圧上昇プロセス162Gでの電圧をバイアス値Vよりも低くなるようにし、その後、第2電圧上昇プロセス162Gよりも電圧上昇率の低い第3電圧上昇プロセス162H(時間t)を経て、電圧をバイアス値Vに戻すようにしている。この第3電圧上昇プロセス162Hも液滴吐出後に残存する圧力波を抑制することができ、液滴を高周波で連続吐出した際の安定性を大幅に改善することができる。また、第3電圧上昇プロセス162Hの電圧上昇率を低くしているので、不用意な圧力波の発生も抑制することができる。なお、かかる効果を奏するためには、例えば第3電圧上昇プロセス162Hに代えて、図12に二点鎖線で示すような電圧変化が好ましい場合もある。すなわち、第2電圧上昇プロセス162Gにおいて電圧をバイアス値よりも高くし、その後、第3電圧降下プロセス162Iによって緩やかに電圧を降下させてバイアス値Vに戻してもよい。
【0067】
なお,図4および図10〜12の電圧波形において、節A、B、Cで発生する圧力波の位相をほぼ一致させると、第1電圧上昇プロセス162Cにおけるメニスカス速度を急激に増加させることができ、その結果,ノズル140中央部においてメニスカスに激しい干渉を発生させることができ、体積の非常に小さな液滴を吐出することが可能となる。
【0068】
このように、駆動電圧の電圧波形は、液滴吐出ヘッド112に求められる特性等を考慮し、より好ましいものを適宜設定可能である。ただし、「メニスカス制御方式」あるいは「引き打ち方式」によって、一旦圧力発生室142の容積を増大させた後、減少させて液滴の吐出を行なうようにすると、ノズル開口径よりも小さな液滴を吐出することが可能になるので、好ましい。この場合において、特に、圧力発生室142の容積を増大させるときの第1電圧上昇プロセス162C(各図面に示した電圧波形において、時間tで示したプロセス)につき、上記式(6)の条件を満たすようにすることが好ましい。
【0069】
また、図11及び図12に示した駆動電圧の電圧波形168、170では、メニスカス制御方式によって圧力発生室142の容積を減少させた後、第2電圧降下プロセス162Eにおいてその容積を増大させている。この場合には、第2電圧降下プロセス162E(各図面において、時間tで示したプロセス)についても、上記式(6)の条件を満たすようにすることが好ましい。
【0070】
もちろん、メニスカス制御方式に限らず、これ以外の駆動電圧によって液滴を吐出する構成であっても、本発明を適用可能である。一般に、電気機械変換器の固有振動を抑制することでメニスカスの微小振動を抑制し、吐出安定性を高めるためには、駆動電圧の電圧波形の最小立ち上げ時間/立ち下げ時間をあまりに短くしないようにすることが好ましい。したがって、電圧波形の最小立立ち上げ時間/最小立ち下げ時間を、上記Ta’以上とすることが好ましい。もちろん、この構成においても、微小液滴を吐出する観点からは、電圧波形の立ち上げ時間/立ち下げ時間を2[μs]以下とすることが好ましい。
【0071】
本発明の電気機械変換器としても、撓み振動型の圧電アクチュエータ144を含むものに限定されず、縦振動タイプの積層型圧電アクチュエータなど、別の形態のアクチュエータを用いたものでもよい。
【0072】
また、上記各実施形態では、圧力発生室142の形状を四角形としたが、円形、六角形、長方形など、他の形状の圧力発生室を用いることも可能である。また、圧力発生室の形状はヘッド内ですべて同一としたが、形状の異なる圧力発生室を混在させて用いてもかまわない。
【0073】
撓み振動型の圧電アクチュエータを用いた場合、圧力発生室142のアスペクト比(平面視したときの縦横比)を略1に設定すると、単位面積当たりの吐出効率が最大化でき、小さな圧力発生室142で大きな液滴を吐出することが可能となる。つまり、圧力発生室142の占有面積を最小化でき、高い配列密度を有するマトリクス配列ヘッドを実現することができる。かかる観点からは、上記のアスペクト比は、0.50以上2.00以下とすることが好ましく、0.80以上1.25以下とすることがより好ましい。なお、図13には、圧力発生室142の各種形状と、アスペクト比との関係が示されている。アスペクト比は、圧力発生室142の平面形状における最も長い幅(A)と、最も短い幅(B)との比を示す値である。
【0074】
ノズル140の配置としても特に限定されず、一直線状に配置してもよいが、マトリックス状にすると、ノズル140を高密素に配置でき、より高い解像度を得ることができる。
【0075】
そして、このように、撓み振動型の圧電アクチュエータを用いた構成や、圧力発生室142のアスペクト比(平面視したときの縦横比)を略1に設定した構成では、さらに、ノズルをマトリクス配置した構成では、一般に上記した固有周期Taが大きくなりやすい。したがって、これらの構成の液滴吐出ヘッドにおいて本発明を適用することが好ましい。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明に好適な実施形態を示したものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。すなわち、本発明の主旨を逸脱することなく、種々の変形、改良、修正、簡略化などを、上記実施形態に加えてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、複数のプレートの積層によって流路を形成しているが、プレートの構成、材質などは上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態ではノズルプレート116を共通流路136、236、336のエアダンパとして用いたが、エアダンパとして機能する専用のプレートを挿入するなど、別のプレート構成のヘッドに対しても、本発明を適用することが可能である。また、セラミックス、ガラス、樹脂、シリコンなどの材料を用いて、流路を一体成型したようなヘッドに対しても、本発明は同様に適用可能である。
【0078】
また、上記実施形態では、記録用紙P上に着色インクの液滴(インク滴)を吐出して文字や画像などの記録を行うインクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置を例に挙げたが、本発明の液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置としては、このようなインクジェット記録、すなわち、記録用紙上への文字や画像の記録に用いられるものに限定されない。また、記録媒体は紙に限定されるわけではなく、吐出する液体も着色インクに限定されるわけではない。例えば、高分子フィルムやガラス上に着色インクを吐出して行うディスプレイ用のカラーフィルターの作製、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う部品実装用のバンプの形成、有機EL溶液を基板上に吐出させて行うELディスプレイパネルの形成、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う電気実装用のバンプの形成など、様々な工業的用途を対象とした液滴噴射装置一般に対して、本発明の液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置を適用することも可能である。
【0079】
また、液滴吐出装置として、上記では液滴吐出ヘッドをキャリッジによって移動させながら液滴吐出を行う形態としたが、インク吐出口152を記録媒体の全幅にわたって配置したライン型の液滴吐出ヘッドを用い、このライン型ヘッドを固定して、記録媒体のみを搬送しながら記録を行う(この場合は主走査のみとなる)など、別の装置形態に本発明を適用することも可能である。
【0080】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、電気機械変換器の固有振動を抑制し、微小的を安定的に吐出可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施形態に係る液滴吐出ヘッドのプレート構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドのイジェクタを示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドの圧電アクチュエータに印加される駆動信号の電圧波形の一例を示すグラフである。
【図5】液滴吐出ヘッドにおいてノズルから液滴が吐出されるときのメニスカスの変化を(A)から(D)へと順に示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドに対応する等価電気回路を示す回路図である。
【図7】液滴吐出ヘッドの駆動電圧の立ち上げ/立ち下げ時間と最小滴体積との関係を示すグラフである。
【図8】図6の等価電気回路での周波数応答を示すグラフである。
【図9】図6の等価電気回路を書き換えて示す回路図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドの圧電アクチュエータに印加される駆動信号の電圧波形の一例を示すグラフである。
【図11】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドの圧電アクチュエータに印加される駆動信号の電圧波形の一例を示すグラフである。
【図12】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドの圧電アクチュエータに印加される駆動信号の電圧波形の一例を示すグラフである。
【図13】圧力発生室の各種形状と、これらのアスペクト比との関係を示す説明図である。
【図14】メニスカス振動の観測結果を示すグラフであり、(A)は正常時、(B)は異常振動発生時である。
【符号の説明】
102 液滴吐出装置
112 液滴吐出ヘッド
124 振動板
138 イジェクタ
140 ノズル
142 圧力発生室
144 圧電アクチュエータ(電気機械変換器)
160 電圧波形
162A 第1電圧降下プロセス(第1の容積増大プロセス)
162C 第1電圧上昇プロセス(第1の容積減少プロセス)
162E 第2電圧降下プロセス(第2の容積増大プロセス)
162G 第2電圧上昇プロセス(第2の容積減少プロセス)
166 電圧波形
168 電圧波形
170 電圧波形
172 等価電気回路
P 記録用紙

Claims (10)

  1. 電気機械変換器に駆動信号を印加して当該電気機械変換器を変形させることで圧力発生室に圧力変化を生じさせ、圧力発生室内に充填された液体を圧力発生室と連通するノズルから液滴として吐出する液滴吐出ヘッドの駆動方法であって、
    前記駆動信号の電圧波形の最小立ち上げ時間及び最小立ち下げ時間tminが、前記電気機械変換器のイナータンスをm、前記圧力発生室の音響容量をc,前記電気機械変換器の音響容量をcとして、
    Figure 2004284274
    を満たすように設定されていることを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  2. 前記駆動信号が、前記圧力発生室の容積を増大させる方向へと前記電気機械変換器を変形させる第1の容積増大プロセスと、圧力発生室の容積を減少させる方向へと前記電気機械変換器を変形させる第1の容積減少プロセスを有し、この容積減少プロセスでの電圧波形の変化時間tが、
    Figure 2004284274
    を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  3. 前記駆動信号が、前記第1の容積減少プロセスの後、前記圧力発生室の容積を増大させる方向へと前記電気機械変換器を変形させる第2の容積増大プロセスを有し、この第2の容積増大プロセスでの電圧波形の変化時間tが、
    Figure 2004284274
    を満たすように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  4. 前記第2の容積増大プロセスが,前記第1の容積減少プロセスの直後に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  5. 前記駆動信号が、前記第2の容積増大プロセスの直後に、前記圧力発生室の容積を減少させる方向へと前記電気機械変換器を変形させる第2の容積減少プロセスを有することを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  6. 液体が充填される圧力発生室と、
    前記圧力発生室と連通するノズルと、
    駆動信号が印加されると変形して、前記圧力発生室に圧力変化を生じさせ、充填された液体を前記ノズルから液滴として吐出させる電気機械変換器と、
    前記電気機械変換器を請求項1〜請求項5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法で駆動信号を印加する駆動回路と、
    を有することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 前記電気機械変換器が、撓み振動型圧電アクチュエータを含んで構成されていることを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出ヘッド。
  8. 前記圧力発生室のアスペクト比が略1とされていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の液滴吐出ヘッド。
  9. 前記圧力発生室、前記ノズル及び前記電気機械変換器が2次元的に配置されていることを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  10. 請求項6〜請求項9のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを有することを特徴とする液滴吐出装置。
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JP2007125881A (ja) * 2005-10-06 2007-05-24 Brother Ind Ltd インクジェット記録装置及びその制御方法

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