JP2007125842A - 印刷装置、画像処理装置、印刷方法、および画像処理方法 - Google Patents

印刷装置、画像処理装置、印刷方法、および画像処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インク濃度の製造ばらつきを抑制せずとも、安定した画質で画像を印刷する。
【解決手段】画像データを受け取るとインク量データに変換し、このインク量データに基づいて、インク滴を吐出してドットを形成するか否かを判断する。画像データをインク量データに変換するに際しては、吐出するインクがインクの製造ばらつきに起因した濃度分布の中で、どのような位置付けのインクであるかを示す濃度位置情報を取得して、この情報を反映させながらインク量データを生成する。こうすれば、インク濃度が規格中央のインクではなかった場合でも、この影響を適切に補正して、安定した画質の画像を印刷することが可能となる。加えて、インクの製造工程をいたずらに厳しく管理する必要もなくなるので、製造工程の自由度が増大し、その結果、製造工程の合理化や製造コストの低減などを追求することも可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、印刷媒体上にドットを形成して画像を印刷する技術に関し、詳しくは、インク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する技術に関する。
印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷するいわゆるインクジェットプリンタは、コンピュータで作成した画像や、デジタルカメラで撮影した画像の出力装置として広く使用されている。これらインクジェットプリンタは、インク滴を吐出して画像を印刷する関係上、インク滴を吐出する印字ヘッドが印刷中に暖められたり、あるいは大気の温度が上昇してインク温度が上昇すると、吐出するインク滴の大きさが変化してしまうので、画像データに従って正確に階調が再現された印刷画像を得ることが困難となってしまう。また、印刷中に大気の湿度が変化した場合にも、印刷媒体上に吐出されたインク滴の乾く速度が変化するので、このことが、印刷画像に影響を与えてしまう。
そこで、こうした点に鑑みて、インクジェットプリンタに温度センサや、湿度センサなどを搭載しておき、これらセンサで印刷時の環境変化が検出されると、これをトリガーとしてプリンタのキャリブレーションを行う技術が提案されている(特許文献1)。かかる提案の技術によれば、印刷時の環境が変化するたびにキャリブレーションが行われるので、常に、画像データの階調変化が正しく再現された印刷画像を得ることが可能となる。
特開2005−119204号公報
しかし、インクには、製造上の要因からインク濃度にばらつきが存在している。このため、提案の技術を適用することで、画像データの階調変化が正しく再現された画像を得るためには、インクの製造工程を厳しく管理したり、あるいは製造したインクを選別するなどの方法により、インク濃度の製造ばらつきを抑制しておかなければならないという問題がある。
この発明は、従来の技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、インク濃度の製造ばらつきを抑制せずとも、画像データの階調変化が正しく再現された画像を安定して印刷することが可能な技術の提供を目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の印刷装置は次の構成を採用した。すなわち、
印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る画像データ受取手段と、
前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成するインク量データ生成手段と、
前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断するドット形成有無判断手段と、
前記判断の結果に従って前記インク滴を吐出することにより、前記印刷媒体上に前記インクドットを形成するドット形成手段と
を備え、
前記インク量データ生成手段は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する手段であることを要旨とする。
また、上記の印刷装置に対応する本発明の印刷方法は、
印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷方法であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る第1の工程と、
前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成する第2の工程と、
前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断する第3の工程と、
前記判断の結果に従って前記インク滴を吐出することにより、前記印刷媒体上に前記インクドットを形成する第4の工程と
を備え、
前記第2の工程は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する工程であることを要旨とする。
かかる本発明の印刷装置および印刷方法においては、印刷しようとする画像の画像データを受け取ると、これをインク量データに一旦変換する。次いで、インク滴を吐出してドットを形成するか否かを、インク量データに基づいて判断し、得られた判断結果に従ってインク滴を吐出することによって画像を印刷する。また、画像データからインク量データを生成するに際しては、インクの濃度位置情報を取得して、濃度位置情報を反映させながらインク量データを生成する。ここで、濃度位置情報とは、インク滴を吐出しようとしているインクが、インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、どのような位置付けのインクであるかを示す情報である。インク量データを生成する際に、このような濃度位置情報を反映させながらインク量データを生成しているため、たとえ、吐出しようとするインクの濃度が規格中央のインクではなかった場合でも、この影響を適切に補正して、安定した画質の画像を印刷することが可能となる。加えて、インクの製造工程をいたずらに厳しく管理する必要もなくなるので、製造工程の自由度が増大し、その結果、製造工程の合理化や製造コストの低減などを追求することも可能となる。
また、インク滴の吐出を制御することで、互いに大きさの異なる複数種類のインクドットを形成しながら画像を印刷する印刷装置においては、次のようにしてもよい。すなわち、大きさの異なる全てのインクドットを形成するために吐出する前記インク量データたるトータルインク量データを、画像データを変換することによって生成する。このとき、濃度位置情報を取得して、この情報が反映されたトータルインク量データを生成する。次いで、インクドットの大きさ毎にインク量データを、トータルインク量データから生成した後、得られたインク量データに基づいて、インクドットを形成するか否かを、インクドットの大きさ毎に判断することとしてもよい。
こうすれば、製造ばらつきの影響でインク濃度が規格範囲内でばらついたインクを使用しても、インク濃度のばらつきの影響を適切に補正して、安定した画質の画像を印刷することが可能となる。
あるいは、大きさの異なるインクドットを形成可能な印刷装置では、インクドットの大きさ毎のインク量データを、濃度位置情報を反映させながら生成することとしてもよい。こうして得られたインク量データに基づいて、インクドットの大きさ毎にインクドットを形成するか否かを判断して、画像を印刷することとしても良い。
こうすれば、インクドットの大きさ毎に濃度位置情報を反映させてインク量データを生成することも可能となるため、インク濃度のばらつきの影響を、より一層適切に補正して、安定した画質の画像を印刷することが可能となる。
また、こうした印刷装置においては、次のようにして濃度位置情報を取得することとしても良い。すなわち、インク滴として吐出されるインクをインク収納器の収納しておくこととして、このインク収納器に記憶素子を埋め込んでおき、インク収納器に収納されているインクの濃度位置情報を記憶素子に書き込んでおく。そして、画像データをインク量データに変換するに際しては、記憶素子から読み出すことによって、濃度位置情報を取得することとしても良い。
こうすれば、インク収納器の収納されているインクについての濃度位置情報を、予め記憶素子に書き込んでおくだけで、インク濃度に製造ばらつきが含まれている場合でも、これを意識することなく適切に補正して、安定した画質の画像を印刷することが可能となる。
また、上述した本発明の印刷装置および印刷方法が、印刷媒体上にインクドットを形成して画像を印刷するために、画像データに所定の画像処理を施すことにより、画素毎にドット形成の有無を表したデータを生成している点に着目すれば、本願発明は、次のように画像処理装置および画像処理方法として把握することも可能である。すなわち、本発明の画像処理装置は、
印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置が該インクドットの形成を制御するために用いる制御データを、該画像の画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する画像処理装置であって、
前記画像データを受け取る画像データ受取手段と、
前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成するインク量データ生成手段と、
前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断することにより、前記制御データを生成する制御データ生成手段と
を備え、
前記インク量データ生成手段は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する手段であることを要旨とする。
また、上記の画像処理装置に対応する本発明の画像処理方法は、
印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置が該インクドットの形成を制御するために用いる制御データを、該画像の画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する画像処理方法であって、
前記画像データを受け取る工程(A)と、
前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成する工程(B)と、
前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断することにより、前記制御データを生成する工程(C)と
を備え、
前記工程(B)は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する工程であることを要旨とする。
かかる本発明の画像処理装置および画像処理方法においても、画像データからインク量データを生成するに際して、濃度位置情報を取得して、この情報を反映させながらインク量データを生成する。次いで、得られたインク量データに基づいて、インクドットを形成するか否かの判断を行うことにより、制御データを生成している。このため、印刷装置でインク滴を吐出するために用いられるインクの濃度が、製造ばらつきに起因してばらついている場合でも、この影響を適切に補正して、安定した画質の画像を印刷することが可能となる。また、その結果、インクの製造工程をいたずらに厳しく管理することを回避することも可能となる。
更に本発明は、上述した印刷方法あるいは画像処理方法を実現するためのプログラムをコンピュータに読み込ませ、所定の機能を実行させることにより、コンピュータを用いて実現することも可能である。従って、本発明は次のようなプログラム、あるいは該プログラムを記録した記録媒体としての態様も含んでいる。すなわち、上述した印刷方法に対応する本発明のプログラムは、
印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る第1の機能と、
前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成する第2の機能と、
前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断する第3の機能と、
前記判断の結果に従って前記インク滴を吐出することにより、前記印刷媒体上に前記インクドットを形成する第4の機能と
をコンピュータを用いて実現するとともに、
前記第2の機能は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する機能であることを要旨とする。
また、上記のプログラムに対応する本発明の記録媒体は、
印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷するプログラムを、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る第1の機能と、
前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成する第2の機能と、
前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断する第3の機能と、
前記判断の結果に従って前記インク滴を吐出することにより、前記印刷媒体上に前記インクドットを形成する第4の機能と
をコンピュータを用いて実現させるプログラムを記憶しているとともに、
前記第2の機能は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する機能であることを要旨とする。
更に、上述した画像処理方法に対応する本発明のプログラムは、
印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置が該インクドットの形成を制御するために用いる制御データを、該画像の画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記画像データを受け取る機能(A)と、
前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成する機能(B)と、
前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断することにより、前記制御データを生成する機能(C)と
をコンピュータを用いて実現するとともに、
前記機能(B)は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する機能であることを要旨とする。
また、上記のプログラムに対応する本発明の記録媒体は、
印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置が該インクドットの形成を制御するために用いる制御データを、該画像の画像データに所定の画像処理を施すことによって生成するプログラムを、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体であって、
前記画像データを受け取る機能(A)と、
前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成する機能(B)と、
前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断することにより、前記制御データを生成する機能(C)と
をコンピュータを用いて実現させるプログラムを記憶しているとともに、
前記機能(B)は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する機能であることを要旨とする。
これらのプログラムをコンピュータに読み込んで、上記の各種機能を実現させれば、インクの製造ばらつきの影響で、吐出するインクの濃度がばらついていた場合でも、この影響を適切に補正して、常に安定した画質の画像を印刷することが可能となる。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.実施例の概要:
B.装置構成:
B−1.全体構成:
B−2.内部構成:
B−2−1.スキャナ部の内部構成:
B−2−2.プリンタ部の内部構成:
C.画像印刷処理:
D.第1実施例:
D−1.第1実施例のインク量データ生成処理:
D−2.ハーフトーン処理:
D−3.第1実施例の補正係数の設定方法:
E.第2実施例:
E−1.第2実施例のインク量データ生成処理:
E−2.第2実施例の補正係数の設定方法:
A.実施例の概要 :
実施例の詳細な説明に入る前に、図1を参照しながら、実施例の概要について説明しておく。図1は、本実施例の印刷装置10の概要を示した説明図である。図示した印刷装置10は、印字ヘッド12を印刷媒体P上で往復動させながら、印字ヘッド12からインク滴を吐出することで印刷媒体P上にインクドットを形成することによって画像を印刷するいわゆるインクジェットプリンタである。
インクジェットプリンタは、微視的に見れば、ドットを形成するかしないかの何れかの状態しか取り得ないが、ドットの形成密度を適切に制御することで、階調が連続的に変化する画像も印刷することが可能である。このようなことを実現するために、インクジェットプリンタでは、次のようにして画像を印刷している。
先ず、印刷しようとする画像の画像データを、印刷装置10に内蔵された「画像データ受取モジュール」に供給する。ここで、「モジュール」とは、印刷装置10が画像を印刷するために内部で行っている一連の処理を、機能に着目して分類したものである。従って、「モジュール」は、プログラムの一部として実現することもできるし、あるいは、特定の機能を有する論理回路を用いて実現したり、更には、これらを組合せることによって実現することが可能である。
「画像データ受取モジュール」は、受け取った画像データを「インク量データ生成モジュール」に供給して、インク量データに変換する。ここで、インク量データとは、画像を印刷するために、画素あたりに吐出するインク量に関連したデータである。例えば、暗い(明度の低い)画像であれば、画素あたりに吐出するインク量は多くなるし、逆に、明るい(明度の高い)画像であれば、画素あたりに吐出するインク量は少なくなる。このことから明らかなように、画像データとインク量データとは密接に関係しており、画像データが与えられれば、それに対応するインク量データを決定することが可能である。「インク量データ生成モジュール」は、画像データと、対応するインク量データとを予め関連付けておき、「画像データ受取モジュール」から供給された画像データをインク量データに変換して、得られたインク量データを「ドット形成有無判断モジュール」に供給する処理を行う。
「ドット判断モジュール」では、インクドットを形成するか否かを、インク量データに基づいて画素毎に判断する。上述したようにインク量データは、画素あたりに吐出されるインク量を表すデータであるから、インク量データが大きい画素にはドットが形成され易いように、逆にインク量データが小さい画素にはドットが形成され難いように、ドットの形成有無を判断してやる。もちろん、ドットが形成されなかった画素には全くインクが吐出されず、逆にドットが形成された画素にはインクが吐出されるから、個々の画素に吐出されるインク量は段階的に変化することとなり、インク量データのように連続的に変化させることはできない。しかし、インク量データが大きい画素にはドットが形成され易いように、逆にインク量データが小さい画素にはドットが形成され難いように、ドットの形成有無を判断しておくことで、ある程度の広さを持った画像領域としてみれば、インク量データに応じてインク滴が吐出されるように、ドットの形成有無を判断することができる。「ドット形成有無判断モジュール」は、このようにして、インク量データに基づいて画素毎にドット形成の有無を判断した後、判断結果を「ドット形成モジュール」に供給する。
「ドット形成モジュール」では、「ドット形成有無判断モジュール」から供給されたドット形成有無の判断結果に従って、印字ヘッド12を駆動してインク滴を吐出することにより、印刷媒体上にインクドットを形成する。その結果、画像データに対応する画像を印刷することが可能となる。
もっとも、インク滴として吐出されるインクに大きな製造バラツキがあった場合には、インク量データに従ってインク滴を吐出しても、画像データに対応する画像を印刷することはできない。そこで、こうしたことのない様に、インクの製造工程は厳しく管理されており、それだけ検査の工数が必要になっているとともに、このことが、製造コストを押し上げる要因となっている。
こうした点に鑑みて、本実施例の印刷装置10では、「インク量データ生成モジュール」で画像データからインク量データを生成する際に、使用するインクの濃度位置情報を取得して、濃度位置情報を反映させながらインク量データを生成する。ここで濃度位置情報とは、インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、使用するインクがどの辺にあるかを示す位置付けに関連した情報である。例えば、使用するインクが、製造ばらつきに起因した濃度分布の中で薄目のインクであれば、画像データをインク量データに変換する際に、インク量データが若干大きめとなるように変換する。逆に、使用するインクが製造ばらつきの範囲内で濃いめのインクであれば、インク量データが若干小さめとなるように変換する。また、インクの濃度位置情報を取得する方法としては、インクを収納するケース(例えばインクカートリッジ)に記憶されているデータを、印刷装置10が自動的に読み込むこととしても良いし、あるいは画像の印刷に先立って、印刷装置10に対して予め設定しておくこととしても良い。
こうして得られたインク量データを「ドット形成有無判断モジュール」に供給して、画素毎にドット形成の有無を判断し、得られた判断結果に従ってインク滴を吐出してドットを形成することによって画像を印刷する。こうすれば、製造ばらつきに応じて適切にインク量データを生成して画像を印刷することができるので、たとえ製造ばらつきを含んだインクを使用した場合でも安定した画質で画像を印刷することが可能となる。加えて、インクの製造工程をいたずらに厳しく管理する必要もなくなるので、製造工程の自由度が増大し、その結果、製造工程の合理化や製造コストの低減などを追求することも可能となる。以下では、このような印刷装置10について、実施例に基づいて詳しく説明する。
B.装置構成 :
B−1.全体構成 :
図2は、本実施例の印刷装置10の外観形状を示す斜視図である。図示されるように、本実施例の印刷装置10は、スキャナ部100と、プリンタ部200と、スキャナ部100およびプリンタ部200の動作を設定するための操作パネル300などから構成されている。スキャナ部100は、印刷された画像を読み込んで画像データを生成するスキャナ機能を有しており、プリンタ部200は、画像データを受け取って印刷媒体上に画像を印刷するプリンタ機能を有している。また、スキャナ部100で読み取った画像(原稿画像)をプリンタ部200から出力すれば、コピー機能を実現することも可能である。すなわち、本実施例の印刷装置10は、単独でスキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能を実現可能な、いわゆるスキャナ・プリンタ・コピー複合装置(以下、SPC複合装置という)となっている。
図3は、原稿画像を読み込むために、印刷装置10の上部に設けられた原稿台カバー102を開いた様子を示す説明図である。図示されているように、原稿台カバー102を上に開くと、透明な原稿台ガラス104が設けられており、その内部には、スキャナ機能を実現するための後述する各種機構が搭載されている。原稿画像を読み込む際には、図示されているように原稿台カバー102を開いて原稿台ガラス104の上に原稿画像を置き、原稿台カバー102を閉じてから操作パネル300上のボタンを操作する。こうすれば、原稿画像を直ちに画像データに変換することが可能である。
また、スキャナ部100は全体が一体のケース内に収納された構成となっており、スキャナ部100とプリンタ部200とは、印刷装置10の背面側でヒンジ機構204(図4参照)によって結合されている。このため、スキャナ部100の手前側を持ち上げることにより、ヒンジの部分でスキャナ部100のみを回転させることが可能となっている。
図4は、スキャナ部100の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。図示するように、本実施例の印刷装置10では、スキャナ部100の手前側を持ち上げることで、プリンタ部200の上面を露出させることが可能である。プリンタ部200の内部には、プリンタ機能を実現するための後述する各種機構や、スキャナ部100を含めて印刷装置10全体の動作を制御するための後述する制御回路260、更には、スキャナ部100やプリンタ部200などに電力を供給するための電源回路(図示は省略)なども設けられている。また、図4に示されているように、プリンタ部200の上面には、開口部202が設けられており、インクカートリッジなどの消耗品の交換や、紙詰まりの処理、その他の軽微な修理などを簡便に行うことが可能となっている。
B−2.内部構成 :
図5は、本実施例の印刷装置10の内部構成を概念的に示した説明図である。前述したように、印刷装置10にはスキャナ部100とプリンタ部200とが設けられており、スキャナ部100の内部にはスキャナ機能を実現するための各種構成が搭載され、プリンタ部200の内部にはプリンタ機能を実現するための各種構成が搭載されている。以下では、初めにスキャナ部100の内部構成について説明し、次いでプリンタ部200の内部構成について説明する。
B−2−1.スキャナ部の内部構成 :
スキャナ部100は、原稿画像をセットする透明な原稿台ガラス104と、セットされた原稿画像を押さえておくための原稿台カバー102と、セットされた原稿画像を読み込む読取キャリッジ110と、読取キャリッジ110を読取方向(主走査方向)に移動させる駆動ベルト120と、駆動ベルト120に動力を供給する駆動モータ122と、読取キャリッジ110の動きをガイドするガイド軸106などから構成されている。また、駆動モータ122や読取キャリッジ110の動作は、後述する制御回路260によって制御されている。
制御回路260の制御の下で駆動モータ122を回転させると、駆動ベルト120を介してその動きが読取キャリッジ110に伝達され、その結果、読取キャリッジ110は、ガイド軸106に導かれながら駆動モータ122の回転角度に応じて読取方向(主走査方向)に移動するようになっている。また、駆動ベルト120は、アイドラプーリ124によって絶えず適度に張った状態に調整されており、このため、駆動モータ122を逆回転させれば回転角度に応じた距離だけ読取キャリッジ110を逆方向に移動させることも可能となっている。
読取キャリッジ110の内部には、光源112や、レンズ114、ミラー116、CCDセンサ118などが搭載されている。光源112からの光は原稿台ガラス104に照射され、原稿台ガラス104の上にセットされた原稿画像で反射する。この反射光は、ミラー116によってレンズ114に導かれ、レンズ114によって集光されてCCDセンサ118で検出される。CCDセンサ118は、光の強度を電気信号に変換するフォトダイオードが、読取キャリッジ110の移動方向(主走査方向)と直交する方向に列状に配置されたリニアセンサによって構成されている。このため、読取キャリッジ110を主走査方向に移動させながら、光源112の光を原稿画像に照射し、CCD118によって反射光強度を検出することで、原稿画像に対応する電気信号を得ることができる。
また、光源112は、RGBの3色の発光ダイオードによって構成されており、所定の周期でR色、G色、B色の光を順次、照射することが可能となっており、これに応じてCCD118では、R色、G色、B色の反射光が順次、検出されるようになっている。一般に、画像の赤色の部分はR色の光を反射するが、G色やB色の光はほとんど反射しないから、R色の反射光は画像のR成分を表している。同様に、G色の反射光は画像のG成分を表しており、B色の反射光は画像のB成分を表している。従って、RGB3色の光を所定の周期で切り替えながら原稿画像に照射し、これに同期してCCD118で反射光強度を検出すれば、原稿画像のR成分、G成分、B成分を検出することができ、カラー画像を読み込むことが可能となっている。尚、光源112が照射する光の色を切り替えている間も読取キャリッジ110は移動しているから、RGBの各成分を検出する画像の位置は、厳密には、読取キャリッジ110の移動量に相当する分だけ異なっているが、このずれは、各成分を読み込んだ後に、画像処理によって補正することが可能である。
B−2−2.プリンタ部の内部構成 :
次に、プリンタ部200の内部構成について説明する。プリンタ部200には、印刷装置10の全体の動作を制御する制御回路260と、印刷媒体上に画像を印刷するための印刷キャリッジ240と、印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構と、印刷媒体の紙送りを行うための機構などが搭載されている。
印刷キャリッジ240は、Kインクを収納するインクカートリッジ242と、Cインク,Mインク,Yインクの各種インクを収納するインクカートリッジ243と、底面側に設けられた印字ヘッド241などから構成されており、印字ヘッド241には、インク滴を吐出するインク吐出ヘッドがインク毎に設けられている。印刷キャリッジ240にインクカートリッジ242,243を装着すると、カートリッジ内の各インクは図示しない導入管を通じて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給される。
また、本実施例の印刷装置10では、インクカートリッジ242,243にICチップが埋め込まれており、印刷キャリッジ240に組み込まれた読取器238によって、ICチップに書き込まれた情報を読み取ることが可能となっている。インクカートリッジ242,243の構成については後述する。
印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構は、印刷キャリッジ240を駆動するためのキャリッジベルト231と、キャリッジベルト231に動力を供給するキャリッジモータ230と、キャリッジベルト231に絶えず適度な張力を付与しておくための張力プーリ232と、印刷キャリッジ240の動きをガイドするキャリッジガイド233と、印刷キャリッジ240の原点位置を検出する原点位置センサ234などから構成されている。後述する制御回路260の制御の下でキャリッジモータ230を回転させると、回転角度に応じた距離だけ印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させることが可能である。また、キャリッジモータ230を逆回転させれば、印刷キャリッジ240を逆方向に移動させることも可能となっている。
印刷媒体の紙送りを行うための機構は、印刷媒体を裏面側から支えるプラテン236と、プラテン236を回転させて紙送りを行う紙送りモータ235などから構成されている。後述する制御回路260の制御の下で紙送りモータ235を回転させることで、回転角度に応じた距離だけ印刷媒体を副走査方向に紙送りすることが可能となっている。
制御回路260は、CPUを中心として、ROMや、RAM、デジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器、更には、周辺機器との間でデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェースPIFなどから構成されている。制御回路260は、印刷装置10全体の動作を制御しており、スキャナ部100に搭載された光源112や、駆動モータ122、CCD118とデータをやり取りしながら、これらの動作を制御している。
また、制御回路260は、キャリッジモータ230および紙送りモータ235を駆動して印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながら、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に駆動信号を供給してインク滴を吐出させる制御も行っている。インク吐出ヘッド244ないし247に供給する駆動信号は、コンピュータ20やデジタルカメラ30などから画像データを読み込んで、後述する画像処理を行うことによって生成する。もちろん、スキャナ部100で読み込んだ画像データに画像処理を施すことにより、駆動信号を生成することも可能である。こうして制御回路260の制御の下で、印刷キャリッジ240を主走査および副走査させながら、インク吐出ヘッド244ないし247からインク滴を吐出して印刷媒体上に各色のインクドットを形成することによって、カラー画像を印刷することが可能となっている。もちろん、制御回路260内で画像処理を行うのではなく、画像処理が施されたデータをコンピュータ20から受け取って、このデータに従って印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながらインク吐出ヘッド244ないし247を駆動することも可能である。
また、制御回路260は、操作パネル300ともデータをやり取り可能に接続されており、操作パネル300上に設けられた各種のボタンを操作することにより、スキャナ機能や、プリンタ機能の詳細な動作モードを設定することが可能となっている。更には、コンピュータ20から、周辺機器インターフェースPIFを介して詳細な動作モードを設定することも可能である。
図6は、本実施例の印刷装置10に搭載されたインクカートリッジの構成を示した説明図である。前述したように、本実施例の印刷装置10には、2つのインクカートリッジ242,243が搭載されており、インクカートリッジ242にはKインクが収納され、インクカートリッジ243にはC,M,Yのインクが収納されている。また、それぞれのインクカートリッジ242,243の側面には、ICチップ242c,243cが埋め込まれており、このICチップ242c,233cには、カートリッジの製造日、製造ロット、インクの種類などの各種情報に加えて、インクの濃度位置情報が書き込まれている。ここでインクの濃度位置情報とは、インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、カートリッジに収納されているインクの濃度が、どの辺の位置付けにあるかを示す情報である。この濃度位置情報は、インクの製造工程でロット毎にインク濃度が計測されて、計測値に基づいてICチップ242c,243cに書き込まれる。ICチップ242c,243cに書き込まれる際の形態は、計測されたインク濃度そのものとすることもできるし、規格の中央値に対する偏差あるいは割合とすることもできる。更には、規格の範囲を複数のクラスに分割して、カートリッジ内のインクが分類されるクラスを、濃度位置情報としてICチップ242c,243cに書き込むことも可能である。
尚、図5および図6では、Cインク,Mインク,Yインクについては一つのインクカートリッジ243に一体に収納されているものとして説明したが、これらインクをそれぞれ別体に形成された専用のインクカートリッジに収納することも可能である。また、これらインクに加えて、濃度の低いCインク(LCインク)や、濃度の低いMインク(LMインク)、更には濃度の低いKインク(LKインク)などを搭載することも可能である。
図7は、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に、インク滴を吐出する複数のノズルNzが形成されている様子を示した説明図である。図示するように、各色のインク吐出ヘッドの底面には、各色毎のインク滴を吐出する4組のノズル列が形成されており、1組のノズル列には、48個のノズルNzがノズルピッチkの間隔を空けて千鳥状に配列されている。制御回路260からは、これらノズルNzのそれぞれに駆動信号が供給され、各ノズルNzは駆動信号に従って、それぞれのインクによるインク滴を吐出するようになっている。
また、本実施例の印刷装置10は、吐出するインク滴の大きさを制御することにより、印刷媒体上に大きさの異なるドットを形成することも可能となっている。以下、大きさの異なるドットを形成する原理について説明する。
図8は、吐出するインク滴の大きさを制御することにより、大きさの異なるインクドットを形成する原理について示した説明図である。また、図8(a)は、インク滴を吐出するノズルの内部構造およびインク滴を吐出する方法を示した説明図である。各色のインク吐出用ヘッド244ないし247には、このようなノズルが複数設けられている。図示するように、各ノズルにはインク通路255とインク室256とが設けられており、また、インク室の上面にはピエゾ素子PEが設けられている。キャリッジ240にインクカートリッジ242,243を装着すると、カートリッジ内のインクがインクギャラリ257を経由してインク室256に供給される。
ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧を印加すると結晶構造が歪んで極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。本実施例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定波形の電圧を印加することで、インク室256の側壁を変形させる。その結果、インク室256の容積が減少し、容積の減少分に相当するインクがインク滴IpとなってノズルNzから吐出される。このインク滴Ipがプラテン236に装着された印刷用紙Pに染み込むことで、印刷用紙上にインクドットが形成される。
図8(b)は、ピエゾ素子PEに印加する電圧波形を制御することで、吐出するインク滴の大きさを変更する原理を示した説明図である。ノズルからインク滴Ipを吐出するためには、ピエゾ素子PEに府の電圧を印加してインクギャラリ257からインク室256内に一旦インクを吸入し、その後、ピエゾ素子PEに正電圧を印加してインク室容積を減少させて、インク滴Ipを吐出させる。ここで、インクの吸引速度が適切であればインク室容積の変化量に相当するインクが吸入されるが、吸引速度が速すぎると、インクギャラリ257とインク室256との間には通路抵抗があるためにインクギャラリ257からのインクの流入が間に合わなくなる。その結果、インク通路255のインクがインク室内に逆流して、ノズル付近のインク界面が大きく後退した状態となる。図8(b)に実線で示した電圧波形aは、適正な速度でインクを吸引する波形を示し、破線で示した電圧波形bは適切速度より大きな速度で吸引する波形の一例を示している。
十分なインクがインク室256内に供給された状態で、ピエゾ素子PEに正電圧を印加すると、インク室256の容積減少に相当する体積のインク滴IpがノズルNzから吐出される。これに対して、インクの供給量が不足してインク界面が大きく後退した状態で正電圧を印加すると、吐出されるインク滴は小さなインク滴となる。このように、本実施例の印刷装置10に搭載されたプリンタ部200では、インク滴の吐出前に印加する負の電圧波形を制御してインクの吸引速度を変更することで、吐出するインク滴の大きさを制御する。これにより、大ドット、中ドット、小ドットの3種類のインクドットを形成することが可能となっている。
もちろん、3種類に限らず、より多種類のドットを形成することも可能である。更には、微細なインク滴を一度に複数吐出して、吐出するインク滴の数を制御するといった方法を用いて、印刷用紙上に形成されるインクドットの大きさを制御してもよい。
尚、インク吐出ヘッドからインク滴を吐出する方法には、種々の方法を適用することができる。すなわち、ピエゾ素子を用いてインクを吐出する方式や、インク通路に配置したヒータでインク通路内に泡(バブル)を発生させてインク滴を吐出する方法などを用いることができる。また、インクを吐出する代わりに、熱転写などの現象を利用して印刷用紙上にインクドットを形成する方式や、静電気を利用して各色のトナー粉を印刷媒体上に付着させる方式を採用することも可能である。
上述したように、プリンタ部200で所望の画像を印刷するためには、画像データに適切な画像処理を施して画素毎にドットを形成するか否かを判断することにより、インク滴を吐出するノズルの駆動を制御する制御データを生成する必要がある。このため、画像の印刷に際しては、画像データに対して所定の画像処理を施して制御データを生成し、得られた制御データに基づいてインクドットを形成することにより画像を印刷する処理(画像印刷処理)が必要となる。また、詳細には後述するが、本実施例の印刷装置10では、インクの製造ばらつきの影響で、インクカートリッジ242,243に収納されているインクの濃度にばらつきが生じた場合でも、このばらつきを画像印刷処理に反映させることにより、常に安定した画質で画像を印刷することが可能となっている。以下では、本実施例の印刷装置10で行われている画像印刷処理について説明する。
C.画像印刷処理 :
図9は、本実施例の印刷装置10で画像を印刷するために行われている画像印刷処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、印刷装置10に搭載された制御回路260が、内蔵したCPUやRAM、ROMなどの機能を用いて実行する処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
制御回路260は、画像印刷処理を開始すると先ず初めに、印刷しようとする画像データの読み込みを行う(ステップS100)。ここでは、画像データはR,G,B各色の階調値によって表現されたRGB画像データであるものとする。
次いで、読み込んだ画像データの解像度を、プリンタ部200が印刷するための解像度(印刷解像度)に変換する処理を行う(ステップS102)。読み込んだ画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、隣接する画素の間に補間演算を行って新たな画像データを設定することで、より高い解像度に変換する。逆に、読み込んだ画像データの解像度が印刷解像度よりも高い場合は、隣接する画素の間から一定の割合で画像データを間引くことによって、より低い解像度に変換する。解像度変換処理では、読み込んだ画像データに対して適切な割合で画像データを生成あるいは間引くことによって、読み込んだ解像度を印刷解像度に変換する処理を行う。
こうして画像データの解像度を印刷解像度に変換したら、制御回路260は、画像データからインク量データを生成する処理を行う(ステップS104)。ここでインク量データとは、画像を印刷するために吐出される画素あたりのインク量に対応するデータである。図8を用いて前述したように、本実施例の印刷装置10は、大ドット、中ドット、小ドットを形成可能であり、何れのドットを形成するかによって、インク滴当りのインク吐出量は異なっている。従って、吐出すべきインク量が少ない領域では、大ドットを1つ形成するだけでインク量を超えてしまうし、逆に吐出すべきインク量が多い領域では、その領域の全画素に小ドットを形成しても、吐出すべきインク量に達することはできない。そこで先ず初めに、ドットの大きさを区別せずに、画像データを吐出すべきインク量を示すデータ(インク量データ)に変換し、次いで、得られたインク量データに基づいて、大ドット、中ドット、小ドットのドットサイズ毎のインク量データを決定する処理を行う。インク量データ生成処理とは、このように画像データからインク量データを生成した後、得られたインク量データに基づいて、大ドット、中ドット、小ドットのドットサイズ毎に、インク量データを決定する処理である。
尚、前述したように印刷装置10には、C,M,Y,Kの4色のインクが搭載されているから、インク量データも、これら各色について生成される。また、本実施例の印刷装置10では、インク量データ生成処理の中で、インクの製造ばらつきに起因した濃度のばらつきを反映させることにより、製造ばらつきの影響を受けることなく安定した画質で画像を印刷することが可能となっている。このようなインク量データ生成処理の詳細な処理については、別図を用いて後述する。
印刷装置10に搭載された制御回路260は、こうしてインク量データ生成処理を終了すると、今度は、ハーフトーン処理を開始する(ステップS106)。ハーフトーン処理とは、次のような処理である。上述したインク量データ生成処理では、大ドット、中ドット、小ドットのそれぞれについて、ドットサイズ毎のインク量データが得られるが、このデータは階調値0から階調値255までの値を取り得るデータである。これに対してプリンタ部200では、それぞれのドットについて、ドットを形成するかしないかの何れかの状態しか取り得ない。また、同じ画素に異なる大きさのドットを重ねて形成することはできないから、それぞれの画素については「大ドットを形成する」、「中ドットを形成する」、「小ドットを形成する」、「何れのドットも形成しない」の4つの状態しか取り得ない。そこで、ドットの大きさ毎に256階調を有するインク量データを、「大ドットを形成する」、「中ドットを形成する」、「小ドットを形成する」、「何れのドットも形成しない」の何れかの状態を表したデータに変換しておく必要がある。ハーフトーン処理とは、このように、ドットの大きさ毎に256階調を有するインク量データを、ドットの形成状態がこれら4つの状態の何れであるかを示すデータ(以下では、このようなデータを「ドットデータ」と呼ぶことがあるものとする)に変換する処理である。
ハーフトーン処理を行う手法としては、誤差拡散法やディザ法などの種々の手法を適用することができる。誤差拡散法は、ある画素についてドットの形成有無を判断したことでその画素に発生する階調表現の誤差を、周辺の画素に拡散するとともに、周囲から拡散されてきた誤差を解消するように、各画素についてのドット形成の有無を判断していく手法である。また、ディザ法は、ディザマトリックスにランダムに設定されている閾値とインク量データとを画素毎に比較して、インク量データの方が大きい画素にはドットを形成すると判断し、逆に閾値の方が大きい画素についてはドットを形成しないと判断することで、各画素についてドットの形成有無を決定する手法である。本実施例の印刷装置10では、ディザ法を用いてハーフトーン処理を行うことにより、大ドット、中ドット、小ドットの3つのドットについて、ドットを形成するか否かの判断を行っている。かかるハーフトーン処理の詳細については後述する。
印刷装置10に搭載された制御回路260は、ハーフトーン処理を行うことにより、大ドット、中ドット、小ドットについてのドットサイズ毎のインク量データを、これら各ドットを形成するか否かを表すデータ(ドットデータ)に変換したら、今度はインターレース処理を開始する(ステップS108)。インターレース処理とは、印字ヘッド241がドットを形成する順序でドットデータを並び替えて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給する処理である。すなわち、図7に示したように、インク吐出ヘッド244ないし247に設けられたノズルNzは副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けて設けられているから、印刷キャリッジ240を主走査させながらインク滴を吐出すると、副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けてドットが形成されてしまう。そこで全画素にドットを形成するためには、印刷キャリッジ240と印刷媒体との相対位置を副走査方向に移動させて、ノズルピッチkだけ隔たったドット間の画素に新たなドットを形成することが必要となる。このように、実際に画像を印刷する場合には、画像上で上方にある画素から順番にドットを形成しているわけではない。更に、主走査方向に同じ列にある画素についても、一回の主走査でドットを形成するのではなく、画質上の要請から、複数回の主走査に分けてドットを形成することとして、各回の主走査では飛び飛びの位置の画素にドットを形成することも広く行われている。
このため、実際にドットの形成を開始するに先立って、C,M,Y,Kの各色について得られたドットデータを、インク吐出ヘッド244ないし247がドットを形成する順番に並び替えておく処理が必要となる。このような処理が、インターレースと呼ばれる処理である。
図9に示した画像印刷処理では、インターレース処理を終了すると、インターレース処理によって得られたデータに基づいて、印刷媒体上に実際にドットを形成する処理(ドット形成処理)を開始する(ステップS110)。すなわち、キャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させながら、順番を並び替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給する。前述したようにドットデータは、各画素にドットを形成するか否かを表したデータであるから、インク吐出ヘッド244ないし247は、ドットデータに従ってインク滴を吐出すれば、各画素に適切にインクドットを形成することができる。
そして、一回の主走査が終了したら、今度は、紙送りモータ235を駆動して印刷媒体を副走査方向に紙送りした後、再びキャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させつつ、順番を並べ替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給してドットを形成する。このような操作を繰り返し行うことにより、印刷媒体上には、C,M,Y,Kの各色について、大ドット、中ドット、小ドットの各ドットが画像データの階調値に応じて適切な分布で形成され、その結果として画像が印刷される。
また、上述した画像印刷処理では、インク量データ生成処理の中で、インクの製造ばらつきに起因したインク濃度のばらつきを考慮した処理を行っており、このインク量データ生成処理の結果を受けて、ハーフトーン処理を行っている。このため、製造ばらつきを含んだインクを使用した場合でも、安定した画質で画像を印刷することが可能となっている。更に、こうしたインク量データ生成処理には幾つかの態様が存在している。以下では、これら各態様について、詳しく説明する。
D.第1実施例 :
D−1.第1実施例のインク量データ生成処理 :
図10は、第1実施例のインク量データ生成処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、図9に示した画像印刷処理の中で、印刷装置10に搭載された制御回路260によって実行される処理である。
第1実施例のインク量データ生成処理を開始すると、先ず初めに制御回路260は、色変換処理を開始する(ステップS200)。色変換処理とは、R,G,Bの階調値の組合せによって表現されているRGBカラー画像データを、プリンタに搭載された各色インクについての使用量に対応するインク量データに変換する処理である。前述したように、本実施例の印刷装置10は、大ドット、中ドット、小ドットの各ドットを形成可能であるが、ここで言うインクの使用量とは、ドットの大きさを区別することなく、各ドットを形成するために使用する合計のインク使用量である。
また、前述したようにプリンタ部200では、C,M,Y,Kの4色のインクを用いて画像を印刷しているから、本実施例の色変換処理では、RGB画像データを、C,M,Y,Kの各色インクについてのインク量データに変換する。もちろん、C,M,Y,Kの4色に加えて、濃度の薄いCインク(LCインク)や、濃度の薄いMインク(LMインク)、あるいは濃度の薄いKインク(LKインク)などが搭載されている場合には、RGB画像データを、これら淡インクを加えた各色についてのインク量データに変換することとしても良い。
色変換処理は、色変換テーブル(LUT)と呼ばれる3次元の数表を参照することによって行われる。図11は、色変換処理のために参照される色変換テーブル(LUT)を概念的に示した説明図である。今、RGB各色の階調値が0〜255の値を取り得るものとして、図11に示すように直交する3軸にR,G,B各色の階調値を取った色空間を考える。すると、全てのRGB画像データは、原点を頂点として一辺の長さが255の立方体(色立体)の内部の点に対応付けることができる。このことから、見方を変えて、色立体をRGB各軸に直角に格子状に細分して色空間内に複数の格子点を生成すると、各格子点は、それぞれがRGB画像データに対応していると考えることができる。そこで、各格子点に、C,M,Y,Kなどの各色インクについての使用量に対応する階調値の組合せを予め記憶しておく。こうすれば、格子点に記憶されている階調値を読み出すことによって、RGB画像データを、各色インクについてのインク量データに迅速に変換することが可能となる。
例えば、画像データのR成分がRA、G成分がGA、B成分がBAであったとすると、この画像データは、色空間内のA点に対応づけられる(図11参照)。そこで、色立体を細分する微細な立方体の中から、A点を内包する立方体dVを検出し、この立方体dVの各格子点に記憶されている各色インクの使用量を読み出してやる。そして、これら各格子点の階調値から補間演算すればA点でのインク量データを求めることができる。もちろん、このような方法に限らず、A点を最も近い格子点に振り替えてしまい、その格子点に記憶されているインク量データをA点に対応するインク量データとして使用することも可能である。
以上に説明したように、色変換テーブルLUTとは、RGB各色の階調値の組合せで示される各格子点に、C,M,Y,Kなどの各色インクについてのインク量データを対応付けて記憶した3次元の数表と考えることができ、色変換テーブルを参照すれば、RGB画像データを各色インクのインク量データに、迅速に色変換することが可能となる。
図10に示した第1実施例のインク量データ生成処理では、以上のようにして色変換処理を行って、各色インクについてのインク量データが得られたら、今度は、このインク量データを、ドットサイズ毎のインク量データに変換する処理を行う(ステップS202)。インク量データから、ドットサイズ毎のインク量データへの変換は、予め設定しておいた変換テーブルを参照することによって実施することができる。
図12は、色変換によって得られたインク量データをドットサイズ毎のインク量データに変換するために参照される変換テーブルを概念的に示した説明図である。尚、前述したように、色変換処理ではC,M,Y,Kの各色についてのインク量データを得ることができるが、本実施例では、何れの色のインク量データであるかに拘わらず、同じ変換テーブルを参照することとしている。もちろん、インクの色に応じて異なる変換テーブルを参照することとしても良い。
図12に示されているように、変換テーブルには、色変換によって得られた各色のインク量データに対して、小ドット、中ドット、大ドットのドットサイズ毎のインク量データが予め対応付けて記憶されている。図中に示した太い破線が小ドットのインク量データを表しており、太い一点鎖線が中ドットのインク量データを、そして、太い実線が大ドットのインク量データを表している。
また、ドットサイズ毎のインク量データは、ある広さを持った画像領域にどの程度の密度でドットが形成されるかを表したデータとなっている。例えば、ドットサイズ毎のインク量データの階調値が「255」であれば、その画像領域では全ての画素にドットが形成されることを表しており、ドットサイズ毎のインク量データの階調値が「0」であれば、その画像領域にはドットが全く形成されないことを表している。変換テーブルには、このようなドットサイズ毎のインク量データが、色毎のインク量データに対して予め設定されている。従って、CMYKの色毎のインク量データが得られれば、変換テーブルを参照することで、色毎のインク量データを、ドットサイズ毎のインク量データに直ちに変換することが可能である。図10のステップS202では、このようにして変換テーブルを参照することにより、色変換処理によって得られた各色のインク量データを、ドットサイズ毎のインク量データに変換する処理を行う。
尚、本実施例の印刷装置10では、吐出するインク滴の大きさを変えることにより、小ドット、中ドット、大ドットを形成可能であるが、それぞれのドットサイズについて見れば、ドットを形成するために吐出するインク滴の大きさは一定である。従って、ドットサイズ毎のインク量データは、同じドットサイズに限って見れば、インク量に比例するデータとなっている。もちろん、ドットサイズが異なれば吐出するインク滴の大きさが異なるため、こうした単純な比較はできないが、インク滴の大きさに対応した重み係数を乗算しておけば、異なるドットサイズのインク量データであっても、直ちにインク量に換算することが可能である。従って、ドットサイズ毎のインク量データは、色毎のインク量データとは異なり、直接的にインク量を表すものではないが、間接的にはインク量を表すデータとなっている。
こうして色毎のインク量データを、ドットサイズ毎のインク量データに変換したら、続いて、濃度位置情報を取得する(ステップS204)。前述したように、濃度位置情報とは、インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、使用するインクがどの辺にあるかを示す位置付けに関連した情報である。本実施例の印刷装置10では、インクカートリッジ242,243にICチップ242c,243cが埋め込まれており、このICチップ242c,243cに書き込まれている濃度位置情報を読み込んでいる。すなわち、インクカートリッジ242,243の製造工程で、カートリッジに充填するインクの濃度が予め計測されており、インクを充填する際に、計測しておいたインクの濃度に基づいて濃度位置情報がICチップ242c,243cに書き込まれている。
また、前述したようにインクカートリッジ242には、Kインクが収納されているから、このインクカートリッジ242に埋め込まれたIC242cにはKインクについての濃度位置情報が書き込まれており、同様に、インクカートリッジ243にはC,M,Yインクが収納されているから、このインクカートリッジ243のICチップ243cには、C,M,Yの各インクについての濃度位置情報が書き込まれている。そして、インクカートリッジ242,243を印刷キャリッジ240に装着すると、ICチップ242c,243cに書き込まれた濃度位置情報を、印刷キャリッジ240に設けられた読取器238によって読み取ることが可能となっている。
尚、本実施例では、インクカートリッジ242,243にICチップ242c,243cが埋め込まれており、このICチップ242c,243cに書き込まれた濃度位置情報を読み込むものとして説明したが、簡便には、インクカートリッジ242,243に濃度位置情報を印刷しておき、印刷装置10の操作者が印刷内容を読み取って、印刷装置10に対して濃度位置情報を設定することとしても良い。あるいは、印刷装置10にインクカートリッジ242,243を装着する際に濃度位置情報を印刷装置10に対して設定しておき、画像の印刷にあたっては、この設定値を読み込むこととしてもよい。
こうして濃度位置情報を取得したら、今度は、濃度位置情報に基づいて補正係数を取得する(ステップS206)。本実施例の印刷装置10では、規格の中央値の濃度(基準濃度)に対する比率が、濃度位置情報として書き込まれており、この濃度位置情報に対して、予め補正係数が設定されている。
図13は、濃度位置情報に対して補正係数Kが設定されている様子を概念的に示した説明図である。図示されているように、濃度位置情報に示されたインク濃度が基準濃度(すなわち規格の中央値)であれば、補正係数Kは「1.0」に設定されている。また、インク濃度が低くなるほど補正係数Kは大きくなり、逆にインク濃度が高くなるほど補正係数Kは小さくなるように設定されている。
あるいは、インク濃度の規格の範囲を複数のクラスに分割しておき、インクカートリッジ242,243内に収納されているインクが分類されるクラスを、濃度位置情報として、ICチップ242c,243cに書き込んでおいても良い。このように、インクの濃度が規格範囲内の何れのクラスに分類されるかに関する情報が濃度位置情報として書き込まれている場合は、図14に示すような対応関係を参照することにより、補正係数Kを取得することができる。
図14は、インク濃度のクラスに対して補正係数Kが設定されている様子を概念的に示した説明図である。図示されている例では、規格範囲のインク濃度が5つのクラスに分割されており、インク濃度が高い側から低い側に向かって「+2」、「+1」、「0」、「−1」、「−2」の5つのクラスが設けられている。このうち、基準濃度を含んだ中央のクラス「0」に対しては「1.0」が補正係数Kとして設定されている。また、クラス「0」から高濃度側のクラスになるに従って、補正係数Kの値が小さくなり、逆に、低濃度側のクラスになるに従って、補正係数Kの値が大きくなるように設定されている。このような対応関係を記憶しておけば、濃度位置情報として、インク濃度のクラスが設定されている場合でも、対応する補正係数Kを取得することが可能である。
尚、図13あるいは図14に示す補正係数Kの値を設定する方法については、別図を用いて後ほど詳しく説明する。
以上のようにして濃度位置情報に対応する補正係数Kを取得したら(図10のステップS206)、ドットサイズ毎のインク量データに補正係数Kを乗算することにより、インク量データを補正する処理を行う(ステップS208)。図13あるいは図14を用いて前述したように、濃度位置情報に記述されたインク濃度が高くなるほど、補正係数Kの値は小さくなり、逆にインク濃度が低くなるほど補正係数Kの値は大きくなるように設定されている。従って、ドットサイズ毎のインク量データに補正係数を乗算してやれば、インク濃度が高い場合はインク量データが低めに補正され、逆に、インク濃度が低い場合はインク量データが高めに補正されることになる。
このようにしてドットサイズ毎のインク量データを補正したら、図10に示す第1実施例のインク量データ生成処理を終了して、図9の画像印刷処理に復帰する。前述したように画像印刷処理では、インク量データ生成処理から復帰すると、ドットサイズ毎に得られたインク量データに対してハーフトーン処理が実施され、ドットサイズ毎にドットを形成するか否かを示すデータ(ドットデータ)に変換される。以下では、本実施例の画像印刷処理中で行われるハーフトーン処理について説明する。
D−2.ハーフトーン処理 :
前述したように、本実施例の印刷装置10は、大ドット、中ドット、小ドットの各ドットを形成可能であり、このことに対応して、本実施例のハーフトーン処理では、ドットサイズ毎のインク量データを受け取ると、ディザ法を適用することにより、「大ドットを形成する」、「中ドットを形成する」、「小ドットを形成する」、「何れのドットも形成しない」の何れの状態とするかを画素毎に決定することにより、ドットデータを生成している。かかる処理は、形成可能なドットの種類が1種類である場合にドットデータを生成するディザ法を発展させたものである。そこで、本実施例のハーフトーン処理について説明する準備として、ドットの種類が1種類の場合に行われる一般的なディザ法について簡単に説明しておく。
図15は、ディザ法で用いられるディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。図示したマトリックスには、縦横それぞれ64画素、合計4096個の画素に、階調値0〜255の範囲から万遍なく選択された閾値がランダムに記憶されている。ここで、閾値の階調値が0〜255の範囲から選択されているのは、本実施例ではCMYK各色のインク量データが1バイトデータであり、階調値が0〜255の値を取り得ることに対応するものである。尚、ディザマトリックスの大きさは、図15に例示したように縦横64画素分に限られるものではなく、縦と横の画素数が異なるものも含めて、種々の大きさに設定することが可能である。
図16は、ディザマトリックスを参照しながら、画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。尚、かかる判断は、CMYKの各色について行われるが、以下では説明が煩雑となることを避けるために、CMYKの各色を区別することなく、単に階調データと称するものとする。
ドット形成有無の判断に際しては、先ず、判断の対象として着目している画素(着目画素)についての階調データと、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値とを比較する。図中に示した細い破線の矢印は、着目画素の階調データを、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値と比較していることを模式的に表したものである。そして、ディザマトリックスの閾値よりも着目画素の階調データの方が大きい場合には、その画素にはドットを形成するものと判断する。逆に、ディザマトリックスの閾値の方が大きい場合には、その画素にはドットを形成しないものと判断する。図16に示した例では、画像の左上隅にある画素の階調データは「97」であり、ディザマトリックス上でこの画素に対応する位置に記憶されている閾値は「1」である。従って、左上隅の画素については、階調データの方がディザマトリックスの閾値よりも大きいから、この画素にはドットを形成すると判断する。図16中に実線で示した矢印は、この画素にはドットを形成すると判断して、判断結果をメモリに書き込んでいる様子を模式的に表したものである。
一方、この画素の右隣の画素については、階調データは「97」、ディザマトリックスの閾値は「177」であり、閾値の方が大きいので、この画素についてはドットを形成しないものと判断する。このように、階調データとディザマトリックスに設定された閾値とを比較することにより、ドットの形成有無を画素毎に決定することができる。
以上の説明を踏まえて、ディザ法を適用して大中小の各ドットについての形成有無を判断することにより、ドットデータを生成する本実施例のハーフトーン処理について説明する。尚、かかる処理は、図9を用いて前述したように、インク量データ生成処理(ステップS104)でドットサイズ毎のインク量データを生成した後、得られたインク量データに対して施される処理である。
図17は、大中小のドットサイズ毎に得られたインク量データに対してディザ法を適用することにより、大中小の各種ドットについてのドット形成有無を判断する処理の流れを示したフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
図示されているように、ハーフトーン処理を開始すると、先ず初めに大ドットについての形成有無を判断する(ステップS300)。かかる判断は、大ドットについてのインク量データと、ディザマトリックスに設定されている閾値とを比較して、大ドットのインク量データの方が大きい場合は大ドットを形成すると判断し、逆に閾値の方が大きければ大ドットは形成しないと判断する。
そして、大ドットを形成すると判断された画素には(ステップS302:yes)、ドットデータ「11」を書き込む処理を行う(ステップS304)。ここでドットデータ「11」は、その画素に大ドットを形成することを表しているデータである。大ドットを形成しないと判断された画素については(ステップS302:no)、中ドットを形成するか否かを判断する処理を開始する。
中ドットについての形成有無の判断は、次のようにして行う。先ず初めに、大ドットのインク量データに中ドットのインク量データを加算して、中ドットの形成有無を判断するための中間データを算出する(ステップS306)。こうして算出した中間データと、ディザマトリックスの閾値とを比較することにより、中ドットの形成有無を判断する(ステップS308)。そして、中間データの方が閾値より大きい場合には、その画素には中ドットを形成すると判断し、逆に閾値の方が大きい場合には、その画素には中ドットは形成しないと判断することができる。
その結果、中ドットを形成すると判断された画素については(ステップS310:yes)、中ドットを形成することを表すドットデータ「10」を書き込む処理を行う(ステップS312)。中ドットを形成しないと判断された画素については(ステップS310:no)、小ドットを形成するか否かを判断する処理を開始する。
小ドットの形成有無の判断は、小ドット用の中間データを用いて行う。小ドット用の中間データは、中ドット用の中間データに小ドットのインク量データを加算することによって算出する(ステップS314)。次いで、算出した小ドット用の中間データと、ディザマトリックスの閾値とを比較することにより、小ドットの形成有無を判断する(ステップS316)。そして、小ドット用の中間データの方が閾値より大きい画素には小ドットを形成すると判断し、小ドットを形成する画素については(ステップS318:yes)、小ドットを形成することを表すドットデータ「01」を記憶する(ステップS320)。逆に、小ドット用の中間データよりも閾値の方が大きい画素には、小ドットも形成しないと判断し(ステップS318:no)、この画素には、いずれのドットも形成しないことを表すドットデータ「00」を記憶する(ステップS322)。
図9に示した画像印刷処理のステップS106では、インク量データ生成処理(ステップS104)によってドットサイズ毎に得られたインク量データに対して、上述した処理を施すことにより、画素毎に大中小の各ドットについての形成有無を表したドットデータを生成する処理を行う。また、図10ないし図14を用いて前述したように、インク量データ生成処理では、インクカートリッジ242,243に収納されたインクについての濃度位置情報を取得して、補正係数Kを求めることにより、インクの製造ばらつきに起因したインク濃度のばらつきを補正している。その結果、たとえインクカートリッジ242,243に収納されたインクの濃度に製造ばらつきが含まれていても、常に安定した画質の画像を印刷することが可能となっている。こうしたことが可能となるのは、濃度位置情報に応じて適切な補正係数Kが設定されているためである。そこで以下では、適切な補正係数Kを設定する方法について説明する。
D−3.第1実施例の補正係数の設定方法 :
補正係数Kの設定に際しては、先ず初めに、規格濃度の中央値(基準濃度)のインクと、規格の範囲内でインク濃度の異なる複数のインクとを用意する。次いで、これらのインクを用いて、種々のドット形成密度のパッチ画像を印刷し、パッチ画像の測色値を取得する。
図18は、それぞれの濃度のインクを用いて各ドット形成密度でパッチ画像を印刷し、得られたパッチ画像の測色値をまとめて示した説明図である。図中に実線で示した曲線は、基準濃度のインクを用いて得られた測色値を表している。尚、ここでは測色値として明度L*を使用しているが、他の測色値を用いることも可能である。図示されているように、ドットの形成密度が増加するほど、パッチ画像の明度L*は単調に減少していく。また、図中に破線で示した曲線は、基準濃度よりも低濃度のインクを用いて印刷したパッチ画像の測色値を表している。低濃度のインクを用いた場合は、基準濃度のインクよりもインク濃度が低くなっている分だけ、パッチ画像の測色値も全体として大きめ(明るめ)となっている。更に、図中に一点鎖線で示した曲線は、基準濃度よりも高濃度のインクを用いた場合に得られる測色値を表している。高濃度のインクを用いた場合は、基準濃度のインクを用いた場合よりも、測色値は全体として小さめ(暗め)となっている。
このように、濃度の異なるインクを用いて種々のドット形成密度のパッチ画像を印刷し、それぞれのパッチ画像について測色値を求めておけば、次のようなことが分かる。今、基準濃度のインクを用いてドット形成密度「a」の画像を印刷し、このときに得られた印刷画像の明度がLaであったとする。図18に示した低濃度のインクを用いて同じ明度Laの画像を印刷するためには、形成密度「b」でドットを形成しておけばよい。同様に、図18に示した高濃度のインクを用いて同じ明度Laの画像を印刷するためには、形成密度「c」でドットを形成しておけばよいことが分かる。すなわち、基準濃度インクのドット形成密度「a」は、図18中の低濃度インクではドット形成密度「b」に相当し、図18中の高濃度インクではドット形成密度「c」に相当していることになる。更に、基準濃度インクのドット形成密度を変えながら同様なことを行えば、基準濃度インクのドット形成密度が、図18に示した低濃度インクあるいは高濃度インクではどのようなドット形成密度に相当するかを調べておくことができる。
図19は、基準濃度インクのドット形成密度と、異なる濃度のインクのドット形成密度との対応関係をまとめて示した説明図である。図では、基準濃度インクのドット形成密度を横軸に取り、縦軸には、異なる濃度のインクを用いたときのドット形成密度を取ることによって対応関係が示されている。また、図18と同様に、図19中の破線は低濃度インクを用いた場合の対応関係を表しており、一点鎖線は高濃度インクを用いた場合の対応関係を表している。更に、参考として基準濃度インクの場合についても実線で示されている。
このようにして整理すると、各インク濃度でのドット形成密度は、基準濃度インクのドット形成密度に対してほぼ比例関係が成り立っている。すなわち、図18に示した低濃度インクを用いる場合は、基準濃度インクのドット形成密度に比例係数αを乗算した形成密度でドットを形成すれば、同じ測色値L*の画像を印刷することができ、同様に図18の高濃度インクを用いた場合は、基準濃度インクのドット形成密度に比例係数βを乗算した形成密度でドットを形成すれば、同等な画像を印刷することができる。尚、実際には種々の誤差が混入するために、図19に示したような完全な比例関係が得られるとは限らないが、最小二乗法などを用いて近似することにより、誤差の影響を除いて図19に示すような比例関係を求めることができる。
また、以上の説明では、基準濃度インクと、図18に示した低濃度インクおよび高濃度インクの3種類のインクについて説明したが、インク濃度の規格範囲内から選択した複数のインクについて同様な操作を行えば、各濃度のインクについての比例係数を求めることができる。そして、こうしてインク濃度毎に求めた比例係数を、濃度位置情報に対応付けて記憶しておけば、図10のインク量データ生成処理中で用いる補正係数を得ることができる。図13あるいは図14に示した補正係数は、このようにして設定されたものである。
以上に説明したように、第1実施例のインク量データ生成処理では、インクカートリッジ242,243に収納されたインクの濃度位置情報、すなわち、そのインクの濃度が、インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、どのような位置づけにあるかを示す情報を取得して、インク濃度の影響を補正しながらインク量データを生成している。このため、その結果、たとえインクカートリッジ242,243に収納されたインクの濃度に製造ばらつきが含まれていても、常に安定した画質の画像を印刷することが可能となるのである。
E.第2実施例 : 以上に説明した第1実施例のインク量データ生成処理では、色変換処理によって得られた色毎のインク量データを、一旦、ドットサイズ毎にインク量データに変換した後、ドットサイズ毎のインク量データに対して、インクの濃度位置情報に応じた補正を行っていた。しかし、こうした方法に限らず、ドットサイズ毎のインク量データに変換する前、すなわち、色変換処理によって得られた色毎のインク量データに対して補正を行うこととしても良い。以下では、こうした第2実施例のインク量データ生成処理について説明する。
E−1.第2実施例のインク量データ生成処理 : 図20は、第2実施例のインク量データ生成処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、図10を用いて前述した第1実施例のインク量データ生成処理と同様に、図9に示した画像印刷処理の中のステップS102において画像データの解像度を印刷解像度に変換した後に、印刷解像度の画像データに対して実行される処理である。以下、第1実施例のインク量データ生成処理との相違点に焦点をあてながら、第2実施例のインク量データ生成処理の内容をフローチャートに従って説明する。
第2実施例のインク量データ生成処理を開始すると、先ず初めに制御回路260は、色変換処理を開始する(ステップS400)。かかる処理では、前述した第1実施例と同様に、図11に例示した色変換テーブルを参照することにより、RGBカラー画像データを、印刷装置10に搭載されているC,M,Y,K各色についてのインク量データに変換する。
次いで、第2実施例のインク量データ生成処理では、濃度位置情報を取得する(ステップS402)。前述した第1実施例と同様に、濃度位置情報は、インクカートリッジ242,243にICチップ242c,243cが埋め込まれたICチップ242c,243cから、読取器238を用いて読み込むことができる。もちろん、ICチップ242c,243cから濃度位置情報を読み込むのではなく、インクカートリッジ242,243に濃度位置情報を印刷しておき、この濃度位置情報を、インクカートリッジ242,243の装着時に印刷装置10に設定することとしても良い。
そして、取得した濃度位置情報から、今度は、補正係数を取得する(ステップS404)。第2実施例においても、前述した第1実施例と同様に、濃度位置情報に対する補正係数は、図13あるいは図14に示すような対応関係を参照することによって取得することができる。もっとも、第1実施例のインク量データ生成処理と第2実施例のインク量データ生成処理とでは、補正する対象が若干異なっているため、用いられる補正係数の数値も若干異なっている。第2実施例のインク量データ生成処理で用いられる補正係数を設定する方法については後述する。
こうして濃度位置情報に対応する補正係数Kを取得したら、色変換処理によって得られた色毎のインク量データに補正係数を乗算することにより、色毎のインク量データを補正する処理を行う(ステップS406)。図13あるいは図14を用いて前述したように、濃度位置情報に記述されたインク濃度が高くなるほど、補正係数Kの値は小さくなり、逆にインク濃度が低くなるほど補正係数Kの値は大きくなるように設定されている。従って、色毎のインク量データに補正係数を乗算してやれば、インク濃度が高い場合にはインク量データを低めに補正し、逆に、インク濃度が低い場合にはインク量データを高めに補正することができる。
第2実施例のインク量データ生成処理では、以上のようにして補正した色毎のインク量データを、ドットサイズ毎のインク量データに変換する(ステップS408)。かかる変換も、前述した第1実施例のインク量データ生成処理と同様に予め設定しておいた変換テーブルを参照することによって実施することができる。但し、前述した第1実施例のインク量データ生成処理では、ドットサイズ毎のインク量データを補正していたため、補正係数Kの値によっては、ドットサイズ毎のインク量データがより大きな値に補正される可能性がある。そこで、このような補正が行われてもドットサイズ毎のインク量データが上限値を超えないようにするため、第1実施例のインク量データ生成処理で参照する変換テーブルは、上限値に対して若干の余裕を持った値に設定されていた。しかし、第2実施例のインク量データ生成処理では、色変換処理によって得られた色毎のインク量データを補正するため、ドットサイズ毎のインク量データについては、変換テーブルに設定されている値から更に増減することはない。このため、第2実施例のインク量データ生成処理で参照する変換テーブルは、ドットサイズ毎のインク量データを上限値に対して余裕を持った値に設定しておく必要がなく、画質上、最も好ましい値に設定しておくことが可能となる。
以上に説明したように、第2実施例のインク量データ生成処理では、色変換処理によって得られた色毎のインク量データに対して補正を行い、補正後のインク量データを更にドットサイズ毎のインク量データに変換する。そして、ドットサイズ毎のインク量データが得られたら、図20に示した第2実施例のインク量データ生成処理を終了して、図9の画像印刷処理に復帰する。
前述したように画像印刷処理では、インク量データ生成処理から復帰すると、前述したハーフトーン処理を行い(図9のステップS108)、得られたドットデータに対してインターレース処理を行った後(図9のステップS110)、インク滴を吐出してドットを形成する。その結果、画像データに対応する画像を印刷媒体上に印刷することができる。
上述した第2実施例のインク量データ生成処理においても、前述した第1実施例のインク量データ生成処理と同様に、インクカートリッジ242,243に収納されたインクの濃度位置情報を取得して、濃度位置情報が反映されたインク量データを生成している。このため、インクカートリッジ242,243に収納されているインクが製造ばらつきの影響で濃度がばらついている場合でも、濃度ばらつきの影響を適切に補正して安定した画質で画像を印刷することが可能となる。以下では、こうした第2実施例のインク量データ生成処理で参照される補正係数の設定方法について説明する。
E−2.第2実施例の補正係数の設定方法 :
第2実施例のインク量データ生成処理で参照される補正係数Kを設定するに際しても、先ず初めに、規格濃度の中央値(基準濃度)のインクと、規格の範囲内でインク濃度の異なる複数のインクとを用意する。そして、これらのインクを用いて、階調値0から階調値255までのインク量データのパッチ画像を印刷する。次いで、基準濃度のインクで印刷したパッチ画像を基準として、異なる濃度のインクを用いて最も近い測色値が得られるパッチ画像のインク量データを求めてやる。
図21は、高濃度のインクを用いて印刷しながらも、基準濃度のインクを用いて印刷したパッチ画像と、できるだけ測色値の近いパッチ画像を求める場合について示した説明図である。前述したように、基準濃度のインクおよび高濃度のインクのそれぞれについて、階調値0から階調値255までの各インク量データのパッチ画像が予め印刷されているものとする。そして、基準濃度のインクで印刷されたパッチ画像の中から、インク量データの階調値aのパッチ画像を選択する。次いで、選択したパッチ画像と、高濃度インクで印刷された各パッチ画像との色差ΔEを算出する。すなわち、高濃度インクで印刷されたインク量データの階調値0から階調値255までの全パッチ画像について、選択したパッチ画像との色差ΔEを算出するのである。図21は、このようにして、基準濃度のインクから選択したパッチ画像と、高濃度のインクで印刷されたパッチ画像との色差ΔEを算出している様子を概念的に示している。
図22は、基準濃度のインクで印刷された階調値aのパッチ画像と、高濃度のインクで印刷された各階調値のパッチ画像との間で得られた色差ΔEを示した説明図である。図示されているように、色差ΔEは、インク量データの階調値bで最小値ΔEminとなっている。これは、基準濃度のインクを用いて印刷したインク量データの階調値aのパッチ画像と最も測色値の近い画像を、高濃度のインクを用いて印刷するためには、インク量データの階調値bのパッチ画像を印刷すればよいことを示している。換言すれば、インク量データの階調値aの画像を、基準濃度のインクではなく高濃度のインクを用いて印刷する場合には、インク量データの階調値aを階調値bに読み替えて印刷することで、基準濃度のインクを用いて印刷した場合と同等の画像を印刷可能であることを示している。
以上では、基準濃度のインクよりも高濃度のインクを用いた場合について説明したが、低濃度のインクを用いた場合についても全く同様にして、基準濃度のインクの代わりに低濃度のインクを用いる場合に、インク量データの階調値aを読み替える階調値cを求めることが可能である。
図23は、基準濃度のインクの代わりに高濃度あるいは低濃度のインクを用いた場合に、インク量データの階調値aを読み替えるべき階調値bあるいは階調値cを求めた様子を示す説明図である。図示されるように、インクの濃度が与えられれば、基準濃度のインクの代わりに、その濃度のインクを用いた場合に、インク量データの階調値aをどのような階調値に読み替えればよいかを求めることができる。以上では、基準濃度のインクを用いて印刷されたインク量データの階調値aのパッチ画像について説明したが、同様な操作を、全ての階調値のパッチ画像に対して行う。そうすれば、基準濃度のインク量データと、異なる濃度のインクを用いた場合のインク量データとの対応関係を求めることができる。
図24は、基準濃度のインク量データと、異なる濃度のインクを用いた場合のインク量データとの対応関係を求めた結果を示した説明図である。図示されているように、基準濃度のインク量データと、異なる濃度のインクを用いた場合のインク量データとは、比例関係が成立しており、インクの濃度が基準濃度よりも濃くなるほど比例係数は小さく、逆に、インクの濃度が基準濃度よりも薄くなるほど比例係数は大きくなる。換言すれば、このような比例関係に従って、インク量データの階調値を読み替えてやれば、基準濃度以外の濃度を有するインクを用いた場合でも、基準濃度のインクを用いた場合と同等の画像を印刷することが可能となる。第2実施例のインク量データ生成処理で参照される補正係数は、このようにして、基準濃度のインクと、異なる濃度のインクとについて、図24に示すようなインク量データの比例係数を求めておき、この比例係数に基づいて設定されたものである。
前述した第2実施例のインク量データ生成処理では、このようにして求めておいた補正係数を用いて、色毎に得られたインク量データを補正しているので、たとえインクカートリッジ242,243に収納されたインクの濃度に製造ばらつきが含まれていても、常に安定した画質の画像を印刷することが可能となるのである。
以上、本実施例の印刷装置について説明したが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
本実施例の印刷装置の概要を示した説明図である。 本実施例の印刷装置の外観形状を示す斜視図である。 原稿画像を読み込むために印刷装置の上部に設けられた原稿台カバーを開いた様子を示す説明図である。 スキャナ部の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。 本実施例の印刷装置の内部構成を概念的に示した説明図である。 本実施例の印刷装置に搭載されたインクカートリッジの構成を示した説明図である。 各色のインク吐出ヘッドにインク滴を吐出する複数のノズルが形成されている様子を示した説明図である。 吐出するインク滴の大きさを制御することにより大きさの異なるインクドットを形成する原理について示した説明図である。 本実施例の印刷装置で画像を印刷するために行われている画像印刷処理の流れを示すフローチャートである。 第1実施例のインク量データ生成処理の流れを示すフローチャートである。 色変換処理のために参照される色変換テーブルを概念的に示した説明図である。 色変換によって得られたインク量データをドットサイズ毎のインク量データに変換するために参照される変換テーブルを概念的に示した説明図である。 濃度位置情報に対して補正係数Kが設定されている様子を概念的に示した説明図である。 インク濃度のクラスに対して補正係数Kが設定されている様子を概念的に示した説明図である。 ディザ法で用いられるディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。 ディザマトリックスを参照しながら画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。 ディザ法を適用することにより大中小の各種ドットについてのドット形成有無を判断する処理の流れを示したフローチャートである。 濃度の異なるインクを用いて各ドット形成密度でパッチ画像を印刷し得られたパッチ画像の測色値をまとめて示した説明図である。 基準濃度インクのドット形成密度と異なる濃度のインクのドット形成密度との対応関係をまとめて示した説明図である。 第2実施例のインク量データ生成処理の流れを示すフローチャートである。 高濃度のインクによるパッチ画像の中から、基準濃度のインクのパッチ画像とできるだけ測色値の近いパッチ画像を選択する場合について示した説明図である。 基準濃度のインクで印刷された階調値aのパッチ画像と高濃度のインクで印刷された各階調値のパッチ画像との間で得られた色差を示した説明図である。 基準濃度のインクの代わりに異なる濃度のインクを用いた場合にインク量データの階調値を読み替えるべき階調値を求めた様子を示す説明図である。 基準濃度のインク量データと異なる濃度のインクを用いた場合のインク量データとの対応関係を求めた結果を示した説明図である。
符号の説明
10…印刷装置、 12…インク吐出ヘッド、 100…スキャナ部、
200…プリンタ部、 240…印刷キャリッジ、 241…印字ヘッド、
242…インクカートリッジ、 243…インクカートリッジ、
260…制御回路、 300…操作パネル

Claims (9)

  1. 印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置であって、
    印刷しようとする画像の画像データを受け取る画像データ受取手段と、
    前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成するインク量データ生成手段と、
    前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断するドット形成有無判断手段と、
    前記判断の結果に従って前記インク滴を吐出することにより、前記印刷媒体上に前記インクドットを形成するドット形成手段と
    を備え、
    前記インク量データ生成手段は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する手段である印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記ドット形成手段は、前記インク滴の吐出を制御することで、互いに大きさの異なる複数種類のインクドットを形成可能な手段であり、
    前記インク量データ生成手段は、前記大きさの異なる全てのインクドットを形成するために吐出する前記インク量データたるトータルインク量データを、前記濃度位置情報を反映させながら生成した後、該トータルインク量データから該インクドットの大きさ毎の該インク量データを生成する手段であり、
    前記ドット形成有無判断手段は、前記インクドットを形成するか否かを、前記インクドットの大きさ毎に得られたインク量データに基づいて、該インクドットの大きさ毎に判断する手段である印刷装置。
  3. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記ドット形成手段は、前記インク滴の吐出を制御することで、互いに大きさの異なる複数種類のインクドットを形成可能な手段であり、
    前記インク量データ生成手段は、前記濃度位置情報を反映させながら、前記インクドットの大きさ毎に前記インク量データを生成する手段であり、
    前記ドット形成有無判断手段は、前記インクドットを形成するか否かを、前記インクドットの大きさ毎に得られたインク量データに基づいて、該インクドットの大きさ毎に判断する手段である印刷装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の印刷装置であって、
    前記インク滴として吐出するためのインクが収納されているとともに、該収納されたインクについての前記濃度位置情報を記憶した記憶素子が埋め込まれたインク収納器と、
    前記記憶素子に記憶されている前記濃度位置情報を読み出す濃度位置情報読出手段と
    を備え、
    前記インク量データ生成手段は、前記読み出された濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する手段である印刷装置。
  5. 印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置が該インクドットの形成を制御するために用いる制御データを、該画像の画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する画像処理装置であって、
    前記画像データを受け取る画像データ受取手段と、
    前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成するインク量データ生成手段と、
    前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断することにより、前記制御データを生成する制御データ生成手段と
    を備え、
    前記インク量データ生成手段は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する手段である画像処理装置。
  6. 印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷方法であって、
    印刷しようとする画像の画像データを受け取る第1の工程と、
    前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成する第2の工程と、
    前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断する第3の工程と、
    前記判断の結果に従って前記インク滴を吐出することにより、前記印刷媒体上に前記インクドットを形成する第4の工程と
    を備え、
    前記第2の工程は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する工程である印刷方法。
  7. 印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置が該インクドットの形成を制御するために用いる制御データを、該画像の画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する画像処理方法であって、
    前記画像データを受け取る工程(A)と、
    前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成する工程(B)と、
    前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断することにより、前記制御データを生成する工程(C)と
    を備え、
    前記工程(B)は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する工程である画像処理方法。
  8. 印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
    印刷しようとする画像の画像データを受け取る第1の機能と、
    前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成する第2の機能と、
    前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断する第3の機能と、
    前記判断の結果に従って前記インク滴を吐出することにより、前記印刷媒体上に前記インクドットを形成する第4の機能と
    をコンピュータを用いて実現するとともに、
    前記第2の機能は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する機能であるプログラム。
  9. 印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置が該インクドットの形成を制御するために用いる制御データを、該画像の画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
    前記画像データを受け取る機能(A)と、
    前記画像を印刷するために吐出するインク量に関連するインク量データを、前記受け取った画像データを変換することによって生成する機能(B)と、
    前記インク滴を吐出してインクドットを形成するか否かを、前記インク量データに基づいて判断することにより、前記制御データを生成する機能(C)と
    をコンピュータを用いて実現するとともに、
    前記機能(B)は、前記インクの製造ばらつきに起因した濃度分布の範囲内で、前記インク滴を吐出しようとするインクの位置づけに関する情報たる濃度位置情報を取得し、該濃度位置情報を反映させながら前記インク量データを生成する機能であるプログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014124824A (ja) * 2012-12-26 2014-07-07 Canon Inc インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置
JP2016054527A (ja) * 2015-11-19 2016-04-14 セイコーエプソン株式会社 画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム

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