JP2007125005A - 黄麹菌を用いた液体麹の製造方法 - Google Patents

黄麹菌を用いた液体麹の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 特殊な培養装置や、原料の前処理、厳密な制御などの煩雑な操作を必要としない簡便な方法により、黄麹菌を液体培養することによって、清酒等の発酵飲食品製造の鍵酵素となるグルコアミラーゼ及びα−アミラーゼの活性が高い液体麹を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 液体麹の製造方法であって、表面の全部又は一部が少なくとも穀皮で覆われた穀類;表面が外皮で覆われた豆類及び/又は芋類;細砕や粉砕などの前処理をしないアマランサス及び/又はキヌアから選ばれた少なくとも1種の培養原料、硝酸塩、リン酸塩、並びに、硫酸塩を含有する液体培地で黄麹菌を培養することを特徴とする液体麹の製造方法、当該方法で得られた液体麹、並びに、当該液体麹を用いて発酵飲食品の製造を行なう発酵飲食品の製造方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、黄麹菌を用いた液体麹、特に清酒等の発酵飲食品の製造に必要な酵素活性を有する液体麹の製造方法に関する。
従来の清酒等の発酵飲食品の製造では、穀類等の原料表面上に麹菌を生育させた固体麹が用いられてきた。固体麹は、伝統的な製造法で得られるものであるが、固体培養という特殊な培養形態であるため、大規模製造に不向きである。
一方、麹菌を液体培養することにより得られる麹菌培養物である液体麹は、培養制御が容易であることから、効率的な生産に適した培養形態であると言える。
しかし、この液体麹は、清酒等の製造に必要な酵素活性が十分に得られないことがよく知られており、これまで実製造で使用された例は少なかった。
特に、清酒や各種醸造調味料などの製造に用いられるアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)に代表される黄麹菌に関しては、その液体培養物におけるグルコアミラーゼの活性が著しく低いことが知られている(非特許文献1参照)。グルコアミラーゼは原料由来のでん粉質をグルコースに分解する、発酵飲食品の製造における鍵酵素の一つである。したがって、黄麹菌による液体麹の製造方法はほとんど報告例がない。
特許文献1には、菌糸の生育にストレスを与えながら黄麹菌を培養することによるグルコアミラーゼの高生産方法が開示されている。しかしながら、この方法は、多孔性膜上又は空隙を有する包括固定化剤中で麹菌を培養してグルコアミラーゼをコードする新規遺伝子glaBを発現させて同酵素活性を高めるもので、厳密な制御又は特殊な培養装置が必要であり、簡便な方法とは言い難い。
本発明者らは、表面が穀皮で覆われた穀類等を培養原料として含む液体培地で白麹菌もしくは黒麹菌を培養することにより、焼酎等の製造に必要な酵素活性を十分に有する液体麹が製造できることを見出し、既に特許出願した(特願2004−350661号明細書、特願2004−352320号明細書参照)。
しかしながら、本製法により黄麹菌を培養した際の酵素生産挙動は不明であり、清酒等の製造における鍵酵素であるグルコアミラーゼやα−アミラーゼの高生産方法も見つかっていない。
Ishida H. et al: J. Ferment. Bioeng.,86,301-307(1998) 特開平11−225746号公報
本発明の目的は、特殊な培養装置や、原料の前処理、厳密な制御などの煩雑な操作を必要としない簡便な方法により、黄麹菌を液体培養することによって、清酒等の発酵飲食品製造の鍵酵素となるグルコアミラーゼ及びα−アミラーゼの活性が高い液体麹を製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、表面の全部又は一部が少なくとも穀皮で覆われた穀類;表面が外皮で覆われた豆類及び/又は芋類;細砕や粉砕などの前処理をしないアマランサス及び/又はキヌアから選ばれた少なくとも1種の培養原料、硝酸塩、リン酸塩、並びに、硫酸塩を含有する液体培地で黄麹菌を培養した場合にのみ、グルコアミラーゼとα−アミラーゼが同時に高発現することを明らかにした。
また、無機塩類の添加量や培養温度を最適化することで、発酵飲食品を製造するために十分な酵素活性を有する液体麹の製造が可能であることも見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に係る本発明は、液体麹の製造方法であって、表面の全部又は一部が少なくとも穀皮で覆われた穀類;表面が外皮で覆われた豆類及び/又は芋類;細砕や粉砕などの前処理をしないアマランサス及び/又はキヌアから選ばれた少なくとも1種の培養原料、硝酸塩、リン酸塩、並びに、硫酸塩を含有する液体培地で黄麹菌を培養することを特徴とする液体麹の製造方法である。
請求項2に係る本発明は、液体培地が、硝酸塩を0.1〜2.0%(w/v)の濃度で含有する請求項1に記載の液体麹の製造方法である。
請求項3に係る本発明は、液体培地が、リン酸塩を0.05〜1.0%(w/v)の濃度で含有する請求項1に記載の液体麹の製造方法である。
請求項4に係る本発明は、液体培地が、硫酸塩を0.01〜0.5%(w/v)の濃度で含有する請求項1に記載の液体麹の製造方法である。
請求項5に係る本発明は、液体培地で黄麹菌を培養するときの培養温度が、培養開始から12〜36時間目までは25〜35℃、その後は35〜45℃であることを特徴とする請求項1に記載の液体麹の製造方法である。
請求項6に係る本発明は、液体麹中に、少なくともグルコアミラーゼとα−アミラーゼとを同時に生成、蓄積させる請求項1に記載の液体麹の製造方法である。
請求項7に係る本発明は、培養原料中のでん粉に由来する糖の培養系への放出速度を抑制することにより、液体麹の酵素活性を調整することを特徴とする請求項1に記載の液体麹の製造方法である。
請求項8に係る本発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で得られた液体麹を用いる発酵飲食品の製造方法である。
請求項9に係る本発明は、発酵飲食品が清酒、焼酎、しょうゆ、味噌、みりん、醸造酢および甘酒から選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載の発酵飲食品の製造方法である。
請求項10に係る本発明は、すべての工程が液相で行なわれる請求項8又は9に記載の発酵飲食品の製造方法である。
請求項11に係る本発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で得られた液体麹である。
請求項12に係る本発明は、請求項11に記載の液体麹を乾燥させてなる液体麹の乾燥品である。
請求項13に係る本発明は、請求項11に記載の液体麹を濃縮させてなる液体麹の濃縮品である。
請求項14に係る本発明は、請求項11に記載の液体麹を用いる酵素製剤の製造方法である。
請求項15に係る本発明は、請求項12に記載の液体麹の乾燥品を用いる酵素製剤の製造方法である。
請求項16に係る本発明は、請求項11に記載の液体麹を用いるエタノールの製造方法である。
請求項17に係る本発明は、表面の全部又は一部が少なくとも穀皮で覆われた穀類;表面が外皮で覆われた豆類及び/又は芋類;細砕や粉砕などの前処理をしないアマランサス及び/又はキヌアから選ばれた少なくとも1種の培養原料、硝酸塩、リン酸塩、並びに、硫酸塩を含有する液体培地で黄麹菌を培養することを特徴とする酵素の生産方法である。
本発明によれば、所定の培養原料および無機塩類を含む液体培地を用いて黄麹菌を培養することにより、特殊な培養装置を用いず、原料の前処理、厳密な制御などの煩雑な操作を行わなくとも、グルコアミラーゼやα−アミラーゼが同時に高生産された液体麹が製造できる。液体培養は固体培養に比べ厳密な培養コントロールが可能であるため、品質が安定した液体麹を安価に、かつ効率よく製造することができる。
本発明により製造した液体麹は、清酒等の発酵飲食品を製造するために十分な酵素活性を有しているので、当該液体麹を用いた発酵飲食品の製造が可能となる。
また、高い酵素活性を有する当該液体麹は、酵素製剤並びに消化剤などの医薬品としても利用することができる。
さらに、黄麹菌は形質転換の宿主として遺伝子工学の分野で利用されることも多く、本発明によれば、医薬品などに用いられる高付加価値の異種タンパク質の大量製造も容易になる。
しかも、本発明において使用される培養原料は、未精白、未加工、あるいは少なくとも外皮が表面に残されている程度までに精白されたものであるので、原料利用率や歩留まりの向上が期待できる。
また、本発明により製造した液体麹を用いて発酵飲食品を製造する場合に、固体麹を使用する従来の製造法とは異なり、全工程を液相のままで行なうことが可能なので、従来に比べ効率的、かつ安定的な発酵飲食品の製造システムを提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明における液体麹の製造方法は、上記の穀類、豆類、芋類、特定の雑穀類等の原料を添加して調製された液体培地で黄麹菌の培養を行ない、グルコアミラーゼ及びα−アミラーゼの酵素活性を増強した液体麹を製造する工程を包含するものである。すなわち、前記した各種原料を使用して麹菌を培養するため、当該原料中のでん粉の糖化に時間がかかり、培養系への糖分をはじめとする栄養分の放出速度が抑制され、液体麹の酵素活性が増強される。しかも、グルコアミラーゼとα−アミラーゼが同時にバランスよく生成、蓄積される。
本発明において、液体麹の培養原料として用いる穀類としては、大麦、米、小麦、そば、ヒエ、アワ、キビ、コウリャン、トウモロコシ等を挙げることができる。これらの培養原料の形状としては、表面の全部又は一部が少なくとも穀皮で覆われていることが必要であって、未精白物、または少なくとも穀皮が穀粒の表面に残されている程度までに精白された精白歩合以上のもの等を用いることができ、玄米、玄麦なども使用できる。また、米の場合には、玄米はもちろんのこと、籾殻が全部付いているものでもよいし、籾殻が一部付いているものでもよい。
例えば、培養原料が大麦の場合、未精白の精白歩合100%のもの、或いは未精白の精白歩合を100%とし、この未精白の精白歩合(100%)から大麦の穀皮歩合(一般的には7〜8%)を差し引いた割合、すなわち92〜93%程度の精白歩合以上のものである。
ここで、精白歩合とは穀類を精白して残った穀類の割合を言い、例えば精白歩合90%とは、穀類の表層部の穀皮等を10%削り取ることを意味する。また、本発明において、玄麦とは、未精白の麦から穀皮が穀粒の表面に残されている程度までに精白されたものであり、精白歩合90%以上のものを含む。また、穀皮とは、穀類の粒の表面を覆っている外側部位のことを言う。
本発明において、液体麹の培養原料として用いる豆類や芋類としては、大豆、小豆、サツマイモ等を挙げることができる。これらの培養原料は、外皮の汚れを洗い落とすのみで、裁断、粉砕処理などの加工は全く行なわず、外皮に完全に覆われたままの状態で液体培地の調製に用いる。
なお、本発明においては、培養原料である豆類や芋類の外皮を保持させたまま、加熱あるいは凍結処理を行うこともできる。
本発明において、液体麹の培養原料として用いるアマランサスは、ヒユ科ヒユ属植物の総称で、穀類のなかでは蛋白質含量が高く、アミノ酸の一つであるリジンの含量は大豆に匹敵する。また、精白米に比べてもカルシウム、鉄分、繊維質を多く含む高栄養価穀物であり、原産国は、中南米諸国、インド、ヒマラヤ、ネパールの特定地域である。一方、キヌアは、アガサ科の一年草であり、主にペルー南部やボリビア西部のアンデス山脈などの高地で栽培されており、ミネラル、ビタミン、蛋白質、食物繊維を豊富に含んでいる。
培養原料のアマランサスとキヌアは、単独で用いてもよく、あるいは組み合わせて用いてもよい。これらは、細砕や粉砕などの前処理をすることなく、液体培地の調製に用いる。
上記の培養原料は、単独あるいは2種以上を組み合わせて、以下の液体培地の調製に用いる。すなわち、上記の培養原料は、水と混合して液体培地を調製する。原料の配合割合は、黄麹菌の培養中にグルコアミラーゼ及びα−アミラーゼが選択的に生成、蓄積される程度のものに調整される。
例えば、大麦を培養原料とした場合には、水に対して大麦を1〜20%(w/vol)添加した液体培地に調製される。また、無精白の大麦を用いた場合には、さらに好ましくは8〜10%(w/vol)添加した液体培地に調製され、95%精白した大麦を原料とした場合には、さらに好ましくは1〜4%(w/vol)添加した液体培地に調製される。
次に、籾殻を除いた玄米を培養原料とした場合には、水に対して玄米を1%(w/vol)から20%(w/vol)、好ましくは5%(w/vol)から13%(w/vol)、より好ましくは8%(w/vol)から10%(w/vol)を添加した液体培地に調製される。
豆類を培養原料とした場合には、水に対して豆類を1〜10%(w/vol)、好ましくは大豆であれば8〜10%(w/vol)、小豆であれば1〜2%(w/vol)添加した液体培地に調製される。また、芋類を培養原料とした場合には、水に対して芋類を1〜10%(w/vol)添加した液体培地に調製される。
また、例えば、アマランサスを培養原料とした場合は、水に対して1.5%(w/vol)から15%(w/vol)、好ましくは2%(w/vol)から10%(w/vol)、より好ましくは2%(w/vol)から8%(w/vol)を添加した液体培地に調製される。一方、キヌアの場合は、水に対して1.5%(w/vol)から7%(w/vol)、好ましくは2%(w/vol)から6%(w/vol)、より好ましくは2%(w/vol)から4%(w/vol)を添加した液体培地に調製される。
このように、使用する培養原料の精白度、使用する黄麹菌株、培養原料の種類等によって、最適な配合使用量は異なるので、適宜に選択すればよい。
培養原料の使用量が上限値を超えると、培養液の粘性が高くなり、黄麹菌を好気培養するために必要な酸素や空気の供給が不十分となり、培養物中の酸素濃度が低下して、培養が進み難くなるので好ましくない。一方、該原料の使用量が下限値に満たないと、目的とする酵素が高生産されない。
培養原料に含まれるでん粉は、培養前にあらかじめ糊化しておいてもよい。でん粉の糊化方法については特に限定はなく、蒸きょう法、焙炒法等常法に従って行なえばよい。後述する液体培地の殺菌工程において、高温高圧滅菌等によりでん粉の糊化温度以上に加熱する場合は、この処理によりでん粉の糊化も同時に行なわれる。
本発明に用いる液体培地には、前述の培養原料の他に栄養源として硝酸塩、リン酸塩及び硫酸塩を添加することが必要である。これら無機塩類は、通常糸状菌の培養に使用されているものであれば特に限定されない。
たとえば、硝酸塩としては硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどを用いることができ、特に硝酸ナトリウムが好ましい。リン酸塩としてはリン酸2水素カリウム、リン酸アンモニウムなどを用いることができ、特にリン酸2水素カリウムが好ましい。硫酸塩としては硫酸マグネシウム7水和物、硫酸鉄7水和物、硫酸アンモニウムなどを用いることができ、特に硫酸マグネシウム7水和物、硫酸鉄7水和物が好ましい。これらの無機塩類は、単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、液体培地における上記の無機塩類の濃度は、黄麹菌の培養中にグルコアミラーゼ及びα−アミラーゼが選択的に生成、蓄積される程度のものに調整される。具体的には、硝酸塩の場合は0.1〜2.0%、好ましくは0.2〜1.5%、リン酸塩の場合は0.05〜1.0%、好ましくは0.1〜0.5%、硫酸塩の場合は0.01〜0.5%、好ましくは0.02〜0.1%(いずれもw/v)とする。
なお、上記の無機塩類の好ましい濃度条件は、互いに組み合わせて採用することができるし、本発明の方法のいずれの態様とも組み合わせることができる。
液体培地には、前述の無機塩類以外の有機物や無機塩類等も、栄養源として適宜添加することができる。これらの添加物は糸状菌の培養に一般に使用されているものであれば特に限定はないが、有機物としては米糠、小麦麩、コーンスティープリカー、大豆粕、脱脂大豆等を、無機塩としてはアンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の水溶性の化合物を挙げることができ、2種類以上の有機物及び/又は無機塩を同時に使用してもよい。これらの添加量は黄麹菌の増殖を促進する程度であれば特に限定はないが、有機物としては0.1〜5%(w/vol)程度、無機塩としては0.1〜1%(w/vol)程度添加するのが好ましい。
このようにして得られる液体培地は必要に応じて滅菌処理を行なってもよく、処理方法には特に限定はない。例としては、高温高圧滅菌法を挙げることができ、121℃で15分間行なえばよい。
滅菌した液体培地を培養温度まで冷却後、黄麹菌を液体培地に接種する。本発明で用いる黄麹菌は、糖質分解酵素生産能、好ましくはグルコアミラーゼ生産能およびα−アミラーゼ生産能を有する黄麹菌であり、例えば、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)やアスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)等が挙げられる。また、培地に接種する黄麹菌の形態は任意であり、胞子又は菌糸を用いることができる。
これらの黄麹菌は一種類の菌株による培養、又は同種若しくは異種の二種類以上の菌株による混合培養のどちらでも用いることができる。これらは胞子又は前培養により得られる菌糸のどちらの形態のものを用いても問題はないが、菌糸を用いる方が対数増殖期に要する時間が短くなるので好ましい。黄麹菌の液体培地への接種量には特に制限はないが、液体培地1ml当り、胞子であれば1×10〜1×10個程度、菌糸であれば前培養液を0.1〜10%程度接種することが好ましい。
黄麹菌の培養温度は、生育に影響を及ぼさない限りであれば特に限定はないが、好ましくは25〜45℃、より好ましくは30〜40℃で行なうのがよい。培養温度が低いと麹菌の増殖が遅くなるため雑菌による汚染が起きやすくなる。
また、黄麹菌の生育フェーズに合わせた培養温度制御を行うことにより、酵素活性を増強できる。具体的には、培養開始から12〜36時間後までの菌体増殖期は25〜35℃、好ましくは28〜33℃とし、その後の酵素生産期は35〜45℃、好ましくは37〜42℃に維持すればよい。また、全体の培養時間は24〜72時間とするのが好ましい。
なお、上記の好ましい培養温度条件は、本発明の方法のいずれの態様とも組み合わせることができる。
培養装置は液体培養を行なうことができるものであればよいが、黄麹菌は好気培養を行なう必要があるので、酸素や空気を培地中に供給できる好気的条件下で行なう必要がある。また、培養中は培地中の原料、酸素、及び黄麹菌が装置内に均一に分布するように撹拌をするのが好ましい。撹拌条件や通気量については、培養環境を好気的に保つことができる条件であればいかなる条件でもよく、培養装置、培地の粘度等により適宜選択すればよい。
上記の培養法で培養することにより、グルコアミラーゼ及びα−アミラーゼが同時にバランスよく生成され、清酒等の発酵飲食品の製造に使用できる酵素活性を有する液体麹となる。尚、本発明において液体麹とは、培養したそのものの他に、培養物を遠心分離等することにより得られる培養液、それらの濃縮物又はそれらの乾燥物等も包含するものとする。
このように、上記の培養法により黄麹菌による酵素生産を増大することができる。
したがって、請求項17に記載の酵素の生産方法は、上記した液体麹の製造方法と同様である。
本発明の製造方法で得られた液体麹は、清酒等の発酵飲食品の製造に用いることができる。例えば、清酒を製造する場合には、酒母や各もろみ仕込み段階において、焼酎を製造する場合には、もろみ仕込み段階において、しょうゆを製造する場合には、盛り込みの段階において、味噌を製造する場合には、仕込み段階において、醸造酢を製造する場合には、仕込み段階において、みりんを製造する場合は、仕込み段階において、甘酒を製造する場合には、仕込みの段階において、液体麹を固体麹の代わりに用いることができる。
また、得られた液体麹の一部を次の液体麹製造におけるスターターとして用いることもできる。このように液体麹を連続的に製造することにより、安定的な生産が可能になると同時に、生産効率の向上も図ることができる。
また、上記した液体麹を用いて清酒等の発酵飲食品を製造する場合には、全工程を液相で行なうことができる。全工程を液相で行なう発酵飲食品の製造方法としては、例えば、清酒を製造する場合、精白米やその破砕物等を掛け原料に用い、該原料を約80℃の高温で耐熱性酵素剤を使用して溶かして液化した後、これに上記した液体麹、及び酵母を添加することでアルコール発酵させたもろみを、ろ過等により残渣を除いて製造する方法が挙げられる。
本発明の方法で得られた液体麹は、その高い酵素活性から、酵素製剤、並びに消化剤などの医薬品などとしての利用も可能である。この場合、得られた黄麹菌培養物を所望の程度に濃縮・精製し、適当な賦形剤、増粘剤、甘味料などを添加して常法により製剤化すればよい。
また、本発明の方法で得られた液体麹は、発酵法によるエタノールの製造に用いることができる。
本発明の方法で得られた液体麹を用いて発酵法によりエタノールを製造する方法としては、固体麹の代わりに当該液体麹を用いること以外は、既知の工業用アルコール(エタノール)の製造方法に従って製造することができる。
すなわち、まず前記液体麹に、焼酎用酵母などのエタノール生産能を有する酵母、原料、さらに水を加えて仕込みを行う。必要に応じて乳酸を用いることもできる。
上記原料としては、デンプン質原料であればよく、大麦、裸麦、米、小麦、そば、ヒエ、アワ、キビ、コウリャン、トウモロコシ等の穀類;サツマイモ(甘藷)、キャッサバ等の芋類;などを挙げることができる。
仕込み後は、低温で蒸煮した後、20〜30℃程度の温度で発酵させ、一次仕込み後、二次仕込みを行うこともできる。
発酵終了したもろみを蒸留して不純物を除き、濃縮することにより、工業用アルコール(エタノール)を製造することができる。
また、遺伝子工学的手法により目的の異種タンパク質をコードする外来遺伝子を導入された黄麹菌に本発明の方法を適用することにより、黄麹菌培養物中に当該タンパク質を高生産させることが可能である。
以下、本発明を実施例等によってより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
実施例1(黄麹菌の液体麹製造における酵素生産性に対する炭素源の影響)
1.液体麹製造方法; 以下のような方法で液体麹を製造し、それらの酵素活性を測定した。
すなわち、各種炭素源2.0%(w/vol)、硝酸ナトリウム0.3%(w/vol)、塩化カリウム0.2%(w/vol)、リン酸2水素カリウム0.1%(w/vol)、硫酸マグネシウム7水和物0.05%(w/vol)、硫酸鉄7水和物0.02%(w/vol)および水を配合した液体培地100mlを500mlバッフル付三角フラスコに張り込み、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。
なお炭素源としては、デンプン(溶性、和光純薬製)、デキストリン(和光純薬製)、65%精白大麦(オーストラリア産スクーナー)、98%精白大麦(オーストラリア産スクーナー)を用いた。また、98%精白大麦をミルで粉砕処理したもの(粉砕品)を用いた試験も同様に行なった。
このように調製した培地に、黄麹菌(Aspergillus oryzae RIB40)を1×10個/mlになるように植菌し、30℃、72時間、100rpmで振盪培養した。
2.測定方法; 培養終了後、それぞれの培養上清中のグルコアミラーゼ活性(GA)とα−アミラーゼ活性(AA)について測定した。グルコアミラーゼ活性(GA)の測定は、糖化力分別定量キット(キッコーマン製)を用いて行ない、α−アミラーゼ活性はα−アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて行なった。
3.結果; 酵素活性測定結果を図1に示した。グルコアミラーゼは98%精白麦試験区のみで顕著に生産され、一方、これを粉砕した原料を用いた98%精白麦(粉砕品)試験区では生産が著しく抑制された(図1(a))。
98%精白麦は、本願出願人が特願2004-350661号明細書にて開示した、表面が穀皮で覆われた穀類に相当するものであり、これを粉砕すると酵素生産が抑制されたことから、大麦デンプン質を穀皮によって物理的に覆っている構造であることが重要であると推察された。
α−アミラーゼは生産挙動がグルコアミラーゼとは若干異なるものの、やはり98%精白麦試験区で多量の酵素を生産した(図1(b))。
このように、98%精白麦のような表面が穀皮で覆われた穀類を用いることで、グルコアミラーゼやα−アミラーゼといった発酵飲食品の製造に必要な酵素群を同時に高生産させることが可能なことが示された。
実施例2(黄麹菌の液体麹製造における各種塩類添加の影響)
1.液体麹製造方法; 以下のような方法で液体麹を製造し、それらの酵素活性を測定した。
すなわち、98%精白大麦(オーストラリア産スクーナー)2.0%(w/vol)、硝酸ナトリウム0.3%(w/vol)、塩化カリウム0.2%(w/vol)、リン酸2水素カリウム0.1%(w/vol)、硫酸マグネシウム7水和物0.05%(w/vol)、硫酸鉄7水和物0.02%(w/vol)および水を配合した液体培地100mlを500mlバッフル付三角フラスコに張り込み、121℃で15分間オートクレーブ滅菌し対照区とした。さらに、表1に示すように各塩類を抜いたこと以外は上記と同様にして培地を調製し、試験区1〜6とした。このように作製した7種類の培地に黄麹菌(Aspergillus oryzae RIB40)を1×10個/mlになるように植菌し、30℃、72時間、100rpmで振盪培養した。
Figure 2007125005
2.測定方法; 培養終了後、それぞれの培養上清中のグルコアミラーゼ活性(GA)とα−アミラーゼ活性(AA)について測定した。グルコアミラーゼ活性(GA)の測定は、糖化力分別定量キット(キッコーマン製)を用いて行ない、α−アミラーゼ活性はα―アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて行なった。
3.結果; 培養上清中の酵素活性値を測定した結果を図2に示した。
グルコアミラーゼは、硝酸ナトリウムを含まない試験区1、リン酸二水素カリウムを含まない試験区3、硫酸マグネシウムならびに硫酸鉄両方を含まない試験区6ではほとんど生産されなかった(図2(a))。一方、α−アミラーゼは試験区1でほとんど生産されず、試験区3、5、6で生成が抑制される傾向が確認された(図2(b))。
このように、黄麹菌の液体麹における酵素生産性は、培地に含まれる塩類によって大きく影響されることが明らかとなった。すなわち、両酵素を同時に高生産させるには、98%精白麦のような表面が穀皮で覆われた穀類、硝酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウムもしくは硫酸鉄が必須であることが示された。
実施例3(黄麹菌の液体麹製造における酵素生産に対する硫酸塩の影響)
実施例2では、試験区4の硫酸マグネシウム欠乏培地や試験区5の硫酸鉄欠乏培地では酵素生産性の減少傾向が認めらなかったにもかかわらず、試験区6の硫酸マグネシウムと硫酸鉄の両方を欠乏した培地では顕著に減少することが確認された。そこで、黄麹菌の液体麹における酵素生産性の必須因子を探索する目的で、硫酸塩の影響を確認する試験を行なった。
1.液体麹製造方法; 以下のような方法で液体麹を製造し、それらの酵素活性を測定した。
すなわち、水、98%精白大麦(オーストラリア産スクーナー)2.0%(w/vol)、硝酸カリウム0.2%(w/vol)、リン酸2水素カリウム0.3%(w/vol)、硫酸マグネシウム7水和物0.05%(w/vol)もしくは塩化マグネシウム6水和物0.041%(w/vol)を含む表2に示すような3試験区の液体培地100mlを調製した後、500mlバッフル付三角フラスコに張り込み、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。なお、塩化マグネシウム6水和物の添加量は、硫酸マグネシウム7水和物0.05%に相当するモル濃度である4.06mMから算出し、各々の培地中のマグネシウム濃度が等しくなるように配合した。
この培地に黄麹菌(Aspergillus oryzae RIB40)を1×10個/mlになるように植菌し、30℃、72時間、100rpmで振盪培養した。
Figure 2007125005
2.測定方法; 培養終了後、それぞれの培養上清中のグルコアミラーゼ活性(GA)とα−アミラーゼ活性(AA)について測定した。グルコアミラーゼ活性(GA)の測定は、糖化力分別定量キット(キッコーマン製)を用いて行ない、α−アミラーゼ活性はα−アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて行なった。
3.結果; 酵素活性測定結果を図3に示した。グルコミラーゼ活性は、培地に硫酸マグネシウムが含まれる試験区1でのみ顕著に上昇した。一方、塩化マグネシウム添加区である試験区2では活性上昇は見られなかった(図3(a))。α−アミラーゼでは酵素生産挙動が若干異なるものの、硫酸マグネシウムを含む試験区1で最も高生産された(図3(b))。
以上の結果から、硫酸マグネシウムの添加効果の本体が、硫酸根にあることが示唆された。
実施例4(塩類の添加量の影響)
実施例2および3にて、黄麹菌の液体麹製造における酵素生産性に、培地に添加される無機塩類が大きな影響を及ぼすことが確認された。そこで、無機塩類の添加量を増加させることで酵素生産性を増強できないか検討を行なった。
1.液体麹製造方法; 以下のような方法で液体麹を製造し、それらの酵素活性を測定した。
すなわち、98%精白大麦(オーストラリア産スクーナー)、硝酸ナトリウム、塩化カリウム、リン酸2水素カリウム、硫酸マグネシウム7水和物、硫酸鉄7水和物および水を表3に示すような組成で配合した液体培地培地100mlを、500mlバッフル付三角フラスコに張り込み、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。この培地に黄麹菌(Aspergillus oryzae RIB40)を1×10個/mlになるように植菌し、30℃、72時間、100rpmで振盪培養した。
Figure 2007125005
2.測定方法; 培養終了後、それぞれの培養上清中のグルコアミラーゼ活性(GA)とα―アミラーゼ活性(AA)について測定した。グルコアミラーゼ活性(GA)の測定は、糖化力分別定量キット(キッコーマン製)を用いて行ない、α―アミラーゼ活性はα―アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて行なった。
3.結果; 図4に各試験区での酵素活性の測定結果を示した。
試験区1は対照区に比べて無機塩類添加量が2倍に、試験区2は4倍に増強されている。そのときのグルコアミラーゼ活性は、無機塩類濃度が4倍に増強された試験区2で最も高く、無機塩類添加量が酵素生産性向上に寄与することが示された(図4(a))。α−アミラーゼも、無機塩類が対照区に比べ2倍に増強された試験区1で最も高い活性を示し、無機塩類添加量が酵素生産性に影響することが確認された(図4(b))。
実施例5(培養温度の影響)
黄麹菌の液体麹製造における酵素生産に対する培養温度の影響を確認する試験を行ない、さらなる酵素高生産の可能性を検討した。
1.液体麹製造方法; 実施例4の試験区2と同様の培地条件で、異なる培養温度にて黄麹菌の液体麹製造を行ない、酵素活性を測定した。
すなわち、98%精白大麦(オーストラリア産スクーナー)2.0%(w/vol)、硝酸ナトリウム1.2%(w/vol)、塩化カリウム0.8%(w/vol)、リン酸2水素カリウム0.4%(w/vol)、硫酸マグネシウム7水和物0.2%(w/vol)、硫酸鉄7水和物0.08%(w/vol)および水を含む液体培地100mlを500mlバッフル付三角フラスコに張り込み、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。次いで、この培地に黄麹菌(Aspergillus oryzae RIB40)を1×10個/mlになるように植菌した。
培養条件は、対照区が30℃一定にて72時間、試験区1が37℃一定にて72時間、試験区2が培養開始から24時間目までは30℃、培養24時間目から72時間目までは37℃にて培養した。また、攪拌条件は全試験区とも100rpmの振盪培養とした。
2.測定方法; 培養終了後、それぞれの培養上清中のグルコアミラーゼ活性(GA)とα―アミラーゼ活性(AA)について測定した。グルコアミラーゼ活性(GA)の測定は、糖化力分別定量キット(キッコーマン製)を用いて行ない、α―アミラーゼ活性はα―アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて行なった。
3.結果; 図5に各試験区での酵素活性測定結果を示した。
培養温度を37℃一定とした試験区1では酵素生産性が若干下がる傾向が確認されたが、培養温度を30℃から37℃にシフトさせた試験区2では、グルコアミラーゼ(図5(a))とα−アミラーゼ(図5(b))の両酵素活性が増強された。
試験区2では、培養温度30℃のときに菌体増殖が行なわれ、培養温度37℃のときに酵素生産が行なわれていると推察され、このような黄麹菌の生育フェーズにあわせた培養温度制御が、酵素活性の強化に有効であることが示唆された。
また、試験区2の酵素活性はグルコアミラーゼ106.5U/ml、α−アミラーゼ563.5U/mlであり、米焼酎や清酒などの発酵飲食品を製造するに充分な酵素量であると考えられる。
実施例6(液体麹乾燥品の製造)
(I)液体麹乾燥品の製造
実施例5記載の試験区2の方法にて製造した液体麹200mlを−30℃で2時間予備凍結後、25℃、真空度0.5Torrにて24時間乾燥することにより、液体麹乾燥品(液体麹真空凍結乾燥品)2.5gを得た。
(II)酵素活性の測定
実施例5記載の試験区2の方法にて製造した凍結乾燥処理を行わない液体麹と前記(I)で得られた液体麹乾燥品とについて、グルコアミラーゼ(GA)とα−アミラーゼ(AA)の活性を測定した。

なお、グルコアミラーゼ活性の測定は、糖化力分別定量キット(キッコーマン製)を用いて行ない、α−アミラーゼ活性はα−アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて行なった。
また、液体麹乾燥品の酵素活性測定は、液体麹乾燥品250mgを10mM酢酸緩衝液(pH5)20mlに溶解したものを用いて測定した。
実施例5記載の試験区2の方法にて製造した凍結乾燥処理を行わない液体麹と前記(I)で得られた液体麹乾燥品の酵素活性測定結果を以下の表4に示す。
その結果、凍結乾燥しても酵素失活はほとんど起こらず、液体麹乾燥品が発酵飲食品の製造に十分使用可能なことが示された。
Figure 2007125005
実施例7(焼酎の製造方法)
仕込み配合は表5に示した通りである。米は、90%精白米(茨城県産コシヒカリ)を洗米後、15分間浸漬、10分間水切り、30分間蒸煮したものを使用し、実施例5記載の試験区2の方法にて製造した液体麹、乳酸ならびに水を加えた。これにYPD培地で30℃、48時間静置培養した焼酎酵母(鹿児島酵母)50μlを植菌した。発酵条件は、25℃一定とし、18日間発酵を行なった。
Figure 2007125005
発酵は順調に進行し、得られた最終もろみ(焼酎もろみ)のアルコール度数は17.6%であった。
この焼酎もろみを減圧蒸留法により蒸留して製造した焼酎原酒の官能評価を専門パネル6名により行なった結果、「すっきり・軽快」とのコメントがあり、すっきりした香味の米焼酎が得られることがわかった。
以上の結果より、液体麹を用いて焼酎の製造が可能であることが示された。
実施例8(清酒の製造)
仕込み配合は以下の通りとした。すなわち、90%精白米(茨城県産コシヒカリ)580gを洗米後、15分間浸漬、10分間水切り、30分間蒸煮したものに、水1630ml、実施例5記載の試験区2の方法にて製造した液体麹500ml、90%乳酸1.6mlを混合した。これにYPD培地で30℃、24時間振盪培養した清酒酵母(協会7号)を100μl添加し、25℃で発酵を行なった。3日後に、もろみへ蒸煮した90%精白米(茨城県産コシヒカリ)750gを添加し、引き続き25℃で15日間発酵させ、最終もろみとした。
最終もろみの分析値は以下の表6のとおりである。
Figure 2007125005
上記で得られた最終もろみをろ過して清酒を得た。この清酒について、10名のパネルによる官能評価を行なった結果、味わいにコクがあり、フルーティーな香りという評価が得られた。
以上により、本発明の方法により、液体麹を用いて清酒を製造することが可能であることが明らかとなった。
実施例9(しょうゆの製造)
仕込み; 仕込み配合は下記の表7の通りとした。丸大豆(キタムスメ)は洗浄後、水に一晩浸漬し、60分間水切りした後、4時間蒸煮したものを、フードプロセッサーにより破砕した。小麦(農林61号)は煎った後、挽割した。実施例5記載の試験区2の方法にて製造した液体麹に食塩を添加し、これにZygosaccharomyces rouxii(NBRC0510)の培養液10ml、並びに上記のごとく処理した丸大豆および小麦を添加した。なお、前記Z. rouxiiの培養液としては、YPD培地にて30℃、24時間振盪培養したものを用いた。
Figure 2007125005
発酵条件; 15℃で30日間発酵を行なった後、2℃/日で昇温させ30℃にした。達温後、30℃にてさらに3ヶ月間発酵を行なった。ここまでは適度に攪拌した。その後、攪拌を行なわずに25℃にて2ヶ月間熟成させ、最終もろみを得た。
得られた最終もろみの分析値は以下の表8の通りである。
Figure 2007125005

*食塩以外の可溶性固形分
ろ過;得られた最終もろみを、ナイロンのろ布で絞った。
後処理;80℃で30分火入れし、おり引きして最終製品を得た。
上記のようにして得られたしょうゆの官能評価を酒類専門パネル6名で行なったところ、醤油として充分使用できる品質と判断された。
以上から、本発明の方法によれば、液体麹を用いてしょうゆを製造することが可能であることが分かった。
実施例10(味噌の製造)
仕込み・熟成;
仕込み配合は表9の通りとした。丸大豆は、洗浄後、水に一晩浸漬し、60分間水切り後、4時間蒸煮し、フードプロセッサーにより破砕(つぶし)処理したものを使用した。酵母は、Zygosaccharomyces rouxii(NBRC0510)を10mlのYPD培地にて30℃、24時間振盪培養した後、遠心分離により集菌し、得られた菌体を滅菌水で2回洗浄した。
実施例5記載の試験区2の方法にて製造した液体麹に、食塩、上記酵母、ならびに上記のごとく処理した丸大豆を添加した。発酵条件は、25℃一定とし、6ヶ月間発酵・熟成を行い、味噌を得た。
Figure 2007125005
上記のようにして得られた液体麹仕込みの味噌について、成分分析を行なった結果は以下の表10のとおりである。
Figure 2007125005
また、得られた麦味噌の官能評価を専門パネル6名で行なったところ、味噌として十分使用できる品質と判断された。
以上から、本発明によれば、液体麹を用いて味噌を製造することが可能であることが明らかとなった。
実施例11(みりんの製造)
仕込み; 仕込み配合は表11のとおりとした。もち米(ヒヨクモチ、90%精白)は洗浄後、水に60分間浸漬し、30分間水切り後、1時間蒸煮し、放冷したものを用いた。蒸もち米、45%原料アルコール、実施例5記載の試験区2の方法にて製造した液体麹を混合した。
Figure 2007125005
糖化・熟成条件; 25℃で2ヶ月間放置した。
ろ過; ナイロンのろ布で絞った。
後処理; おり引きし、最終製品とした。
熟成工程終了後のもろみの成分分析を行なった結果を表12に示す。
Figure 2007125005
上記のようにして製造した液体麹仕込みみりんの官能評価を酒類専門パネル6名で行なったところ、甘味、旨味とも良好であり、みりんとして十分使用できる品質と判断された。
以上より、本発明の方法により、液体麹を用いたみりんを製造することが可能であることが明らかとなった。
実施例12(穀物酢の製造)
(I)液体麹を用いたアルコール発酵
仕込み配合は表13の通りとした。丸麦(国産2条大麦、搗精歩合70%)は、洗麦後、60分間浸漬、30分間水切り、60分間蒸煮したものを使用した。酵母は、焼酎酵母(鹿児島酵母)を用い、YPD培地で30℃、48時間静置培養したものを50μl植菌した。
実施例5記載の試験区2の方法にて製造した液体麹に、上記酵母、並びに上記のごとく処理した丸麦、90%乳酸および水を添加した。発酵条件は、25℃一定とし、10日間アルコール発酵させ、液体麹アルコール発酵液を得た。
Figure 2007125005
(II)液体麹アルコール発酵液を用いた穀物酢の製造
(1)使用酢酸菌; Acetobacter aceti subsp. aceti (NBRC3284)を用いた。酢酸菌は普通ブイヨン+1%グルコース培地で培養した。
(2)仕込み; 上記(I)で得られた液体麹発酵液を遠心分離し、上清に上記(1)で得られた酢酸菌培養液を1ml添加し、30℃で3ヶ月間培養した。
(3)おり下げ; 培養後、表面の菌膜を取り除き、遠心分離して、最終製品を得た。
上記のようにして得られた穀物酢の酸度は6.1%であり、pHは3.1であった。
この穀物酢の官能評価を専門パネル6名で行なったところ、穀物酢として十分使用できる品質と判断された。
実施例13(甘酒の製造)
実施例5記載の試験区2の方法にて製造した液体麹を用い、以下のようにして甘酒の製造を行なった。
仕込み配合表は表14の通りとした。米は90%精米(茨城県産コシヒカリ)を用い、洗浄後、水に60分間浸漬し、30分間水切りした後、1時間蒸煮し、放冷した。下記配合の仕込み原料を用い、糖化を55℃で16時間行い、甘酒を製造した。
Figure 2007125005
得られた液体麹仕込みの甘酒のBrixは18.5であった。
また、得られた液体麹仕込みの甘酒の官能評価を酒類専門パネル6名で行なったところ、甘酒として十分使用できる品質と判断された。
実施例14(エタノールの製造方法)
仕込み配合は表15に示した通りである。米は、90%精白米(茨城県産コシヒカリ)を洗米後、水に15分間浸漬、10分間水切り、30分間蒸煮したものを使用し、実施例5記載の試験区2の方法にて製造した液体麹、乳酸ならびに水を加えた。これにYPD培地で30℃、48時間静置培養した焼酎酵母(鹿児島酵母)50μlを植菌した。発酵条件は、25℃一定とし、16日間発酵を行なった。
Figure 2007125005
発酵は順調に進行し、得られた最終もろみのアルコール度数は17.8%であった。
上記で得られた発酵終了後のもろみを、精密蒸留機(柴田科学株式会社製、HP−1000T特型)にて連続蒸留し、工業用エタノール(エタノール)を回収した。
得られた工業用アルコール(エタノール)のアルコール度数は95.5%であった。
以上から、本発明によれば、黄麹菌の液体麹を用いて工業用アルコール(エタノール)を製造することが可能であることが明らかとなった。
実施例1において、各種炭素源を含む液体培地で黄麹菌を培養した場合の酵素活性を示すグラフである。(a)はグルコアミラーゼ、(b)はα−アミラーゼの測定結果である。 実施例2において、各種塩類を除いた液体培地で黄麹菌を培養した場合の酵素活性を示すグラフである。(a)はグルコアミラーゼ、(b)はα−アミラーゼの測定結果である。 実施例3において、各種塩類を除いた液体培地で黄麹菌を培養した場合の酵素活性を示すグラフである。(a)はグルコアミラーゼ、(b)はα−アミラーゼの測定結果である。 実施例4において、無機塩類の添加量を変えた液体培地で黄麹菌を培養した場合の酵素活性を示すグラフである。(a)はグルコアミラーゼ、(b)はα−アミラーゼの測定結果である。 実施例5において、培養温度を変えて黄麹菌を液体培養した場合の酵素活性を示すグラフである。(a)はグルコアミラーゼ、(b)はα−アミラーゼの測定結果である。

Claims (17)

  1. 液体麹の製造方法であって、表面の全部又は一部が少なくとも穀皮で覆われた穀類;表面が外皮で覆われた豆類及び/又は芋類;細砕や粉砕などの前処理をしないアマランサス及び/又はキヌアから選ばれた少なくとも1種の培養原料、硝酸塩、リン酸塩、並びに、硫酸塩を含有する液体培地で黄麹菌を培養することを特徴とする液体麹の製造方法。
  2. 液体培地が、硝酸塩を0.1〜2.0%(w/v)の濃度で含有する請求項1に記載の液体麹の製造方法。
  3. 液体培地が、リン酸塩を0.05〜1.0%(w/v)の濃度で含有する請求項1に記載の液体麹の製造方法。
  4. 液体培地が、硫酸塩を0.01〜0.5%(w/v)の濃度で含有する請求項1に記載の液体麹の製造方法。
  5. 液体培地で黄麹菌を培養するときの培養温度が、培養開始から12〜36時間目までは25〜35℃、その後は35〜45℃であることを特徴とする請求項1に記載の液体麹の製造方法。
  6. 液体麹中に、少なくともグルコアミラーゼとα−アミラーゼとを同時に生成、蓄積させる請求項1に記載の液体麹の製造方法。
  7. 培養原料中のでん粉に由来する糖の培養系への放出速度を抑制することにより、液体麹の酵素活性を調整することを特徴とする請求項1に記載の液体麹の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で得られた液体麹を用いる発酵飲食品の製造方法。
  9. 発酵飲食品が清酒、焼酎、しょうゆ、味噌、みりん、醸造酢および甘酒から選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載の発酵飲食品の製造方法。
  10. すべての工程が液相で行なわれる請求項8又は9に記載の発酵飲食品の製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で得られた液体麹。
  12. 請求項11に記載の液体麹を乾燥させてなる液体麹の乾燥品。
  13. 請求項11に記載の液体麹を濃縮させてなる液体麹の濃縮品。
  14. 請求項11に記載の液体麹を用いる酵素製剤の製造方法。
  15. 請求項12に記載の液体麹の乾燥品を用いる酵素製剤の製造方法。
  16. 請求項11に記載の液体麹を用いるエタノールの製造方法。
  17. 表面の全部又は一部が少なくとも穀皮で覆われた穀類;表面が外皮で覆われた豆類及び/又は芋類;細砕や粉砕などの前処理をしないアマランサス及び/又はキヌアから選ばれた少なくとも1種の培養原料、硝酸塩、リン酸塩、並びに、硫酸塩を含有する液体培地で黄麹菌を培養することを特徴とする酵素の生産方法。
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