以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<<合成画像と被合成画像の関係>>
図1は、イメージオーバーレイ(画像合成)処理を行なうに当たっての合成画像と被合成画像の関係を説明する図である。
先ず、複写ジョブにおける読取り原稿画像やプリントジョブにおけるプリントデータやその他の手段で外部から取り込んだ画像を処理対象とするものとする。何れも、処理対象となる画像は複数ページ(好ましくは3ページ以上)からなるものとする。もちろん、予めハードディスク装置などに蓄積されている複数ページの画像データを処理対象とすることは可能である。また、合成画像と被合成画像の何れか一方はこれから取り込むものとし、他方は予めハードディスク装置などに蓄積されている画像とすることもできる。
何れにしても、最終的に処理対象とするジョブは複数枚からなる一連の画像であればよく、その一連の画像に基づき、所定の出力条件に従って所定の出力媒体に画像を形成する過程で、合成画像を被合成画像の所定に位置に合成することができればよいのである。
イメージオーバーレイ処理に供される画像としては、たとえばフォーム原稿などの出力対象となるメイン原稿に対応する被合成画像と、その被合成画像の所定の嵌め込み領域に嵌め込まれる合成画像とがある。なお、嵌め込み領域は、原稿中の一部の領域に限らず原稿全体も含むものである。
複写ジョブやプリントジョブなどにおける複数枚の画像の中から、何れの画像を被合成画像や合成画像を含む画像とするかは任意である。また、被合成画像や合成画像を含む画像は1つに限らず複数であってもよい。
ここで本実施形態においては、従来の仕組みのように、合成画像と被合成画像とが同サイズであることを暗黙の前提として、2つの原稿同士をそのままのサイズおよび向きでOR合成できるだけでなく、たとえば図1(A)に示すように、一方の原稿の一部の領域を合成画像として切り出して、それをそのままのサイズで、もしくは必要に応じて拡大もしくは縮小して、さらには合成画像の向きを被合成画像の向きに合うようにあるいはユーザの意図に基づいて回転させて、他方の原稿画像を被合成画像として、その所定の嵌込み領域(全体でもよいし一部分でもよい)にOR合成もしくは置換合成して嵌め込むことで、両者の画像合成も可能にする。
また、図1(B)に示すように、一方の原稿の全体を合成画像として、それをそのままのサイズで、もしくは必要に応じて拡大もしくは縮小して、さらには合成画像の向きを被合成画像の向きに合うようにあるいはユーザの意図に基づいて回転させて、他方の原稿画像を被合成画像として、その所定の嵌込み領域(全体でもよいし一部分でもよい)にOR合成もしくは置換合成して嵌め込むことで、両者の画像合成も可能にする。
また、図1(C)に示すように、合成画像のサイズ(拡大後や縮小後のサイズを含む)が嵌込み領域のサイズよりも大きい場合には、嵌込み領域の方を優先させ、各領域の中心を合わせつつハッチングで示す嵌込み領域からはみ出る部分を無効化して合成するのがよい。あるいは、合成画像のサイズの方を優先させ、各領域の中心が合うように合成画像のサイズの状態で嵌め込むようにしてもよい。何れにしても、どちらを優先するかを予め取り決めておくか、このような状態が生じる都度、ユーザが何れかを選択できるようにしておくとよい。
このような多様なイメージオーバーレイ処理に対応することで、多彩なニーズに応じた合成画像が得られるようになるのである。
<画像形成システムの全体概要>
図2は、本発明に係る画像形成装置を備えた画像形成システムを示す概略図である。この画像形成システム1は、画像入力端末3および画像出力端末7を備える。
画像入力端末3は、デジタルドキュメント(以下単にドキュメントという)DOCを作成し、また編集などの処理をする、たとえばパソコン(パーソナルコンピュータ)3a、カラースキャナ3b、デジタルカメラ3c、またはハードディスク装置や光磁気ディスク装置あるいは光ディスク装置などのデータ格納装置3d、さらにはFAX装置3eなど、任意数の画像入力ソースを含み得る。
画像入力端末3のそれぞれには、ドキュメントDOC作成用のアプリケーションプログラムなどが組み込まれる。たとえば、画像入力端末3側にて用意されるドキュメントDOCを表す電子データは、画像出力端末7で処理可能な画像フォーマット(たとえば、JPEG、BMP、PNGなど)で記述される。
またたとえば、パソコン3aで作成された文書ファイルは、たとえばプリンタなどで印刷出力するために、図形、文字などの拡大、回転、変形などが自由に制御できるページ記述言語(PDL:Page Description Language )で記載されたデータとして画像出力端末7に送られる。このPDLデータを受け取った画像出力端末7は、印刷前に出力単位ごと(1ページごと)に画像データをレンダリング(描画展開)してから画像出力部(プリンタエンジン部)にラスタデータを出力する。
画像出力端末7は、本発明に係る画像形成装置の一例であって、たとえば複写機能、ページプリンタ機能、およびファクシミリ送受信機能を備えたいわゆる複合機(マルチファンクション機)で、デジタルプリント装置として構成されている。
この画像出力端末7は、大まかに、原稿を読み取る画像読取部10、入力された画像データに対して所望の画像処理を施す画像処理機能と端末全体の動作を制御する制御機能とを備えたコントローラ(Controller)部(System制御部)20、およびコントローラ部20からの画像データに基づいて所定の出力媒体に可視画像を形成して出力する画像出力部30、および内蔵の給送トレイ82あるいは手差しトレイ(給送トレイの一例である)83から出力媒体としての各種材質の印刷用紙を画像出力部30に搬送する給送部80を備える。
図示しないが、内蔵の各給紙トレイ82や手差しトレイ83は、出力媒体のサイズを検知するための出力媒体サイズ検知部を有する。出力媒体サイズ検知部は、印刷用紙のサイズに対応する位置で、印刷用紙の先端をたとえば光学的に検出してサイズ検知信号を得、このサイズ検知信号をコントローラ部20に送る。
また、図示しないが、各給紙トレイ82や手差しトレイ83には、そこに収容・載置された出力媒体の配置の向きを検知するための出力媒体配置向き検知部を有する。出力媒体配置向き検知部は、たとえば出力媒体の直交する2辺の先端をたとえば光学的に検出して配置向き検知信号を得、この配置向き検知信号をコントローラ部20に送る。
なお、出力媒体は、紙に限らず、情報を印刷出力できる媒体であればよく、たとえば紙質を主成分とする普通紙(PPC用紙;再生紙を含む)、葉書、光沢紙あるいはコート紙と呼ばれる上質紙、感熱紙、熱転写紙、カーボン紙、感圧紙(登録商標)、感光紙、OCR(Optical Character Reader)用紙も含むし、フィルム質を主成分とするOHP(Over Head Projector )フィルムなども含む。
コントローラ部20は、画像読取部10と画像出力部30との境界部分に配された処理基板39上に設けられている。
内蔵の給送トレイ82としては、たとえば、A4,B4,A3の各サイズや使用済媒体(たとえば再利用用紙;裏紙)や色紙など(図ではA4(通常紙)の82a,B4(通常紙)の82b,A4(使用済用紙)の82cの3段構成)、複数段が配される構造となっている。
また画像出力端末7は、接続ケーブルやネットワークを介して外部機器に接続可能になっている。たとえば、接続ケーブル90は、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)型LAN(Local Area Network;たとえばIEEE802.3)やギガビット(Giga Bit)ベースのLAN(以下纏めて有線LAN8という)によりパソコン3aなどの画像入力端末3に接続される。なお、有線LAN8は、無線LANにすることもできる。
あるいは一般加入電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network )9を介してFAX装置3eなどの画像入力端末3に接続される。なお、一般加入電話網(PSTN)9に代えて、ISDN(Integrated Switched Digital Network )またはインターネットを含む他の通信媒体を利用してファクシミリをやり取りするようにしてもよい。
また、画像出力端末7は、たとえばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. ;米国電気電子学会)1394規格のデバイス3fやUSB(Universal Serial Bus)2.0規格のデバイス3gなどとも接続可能となっており、これらのデバイス3f,3gからデジタル画像データを受け付けることもできる。あるいは、これらデバイス3f,3gを介してリモートで画像出力端末7を制御することもできるようになっている。
このような構成により、画像出力端末7は、前述のように、画像読取部10にて読み取った画像の印刷機能すなわち複写機能に限らず、接続ケーブル90を介してパソコン3aなどの画像入力端末3から取得した文書データや画像ファイルなどに基づいて画像を印刷するいわゆるプリント機能や、電話回線やその他の通信インタフェースを介して取得したFAXデータやその他の画像データに基づいて印刷出力する機能も備えるようになる。
画像読取装置10は、プラテンカバーの機能も備え、原稿を図示しない読取台(プラテンガラス)上の読取位置まで搬送し排紙する自動原稿搬送装置(ドキュメントフィーダ;ADF)112と、装置使用のためのガイダンス情報や所定の情報処理結果や管理情報などを表示する操作パネル部15aやオペレータからの装置に対する種々の指示入力を受け付けるための操作キー部15bを有するユーザインタフェース部15とを有している。
操作パネル部15aとは別にCRTや液晶などの表示デバイスを設けてもよい。また、操作パネル部15aや操作キー部15bに代えて、あるいはこれらとともに使用される大型ユーザインタフェースあるいはメンテナンス画面などを備えたユーザインタフェース装置16を設けてもよい。
操作パネル部15aには、イメージオーバーレイ(画像合成)機能を設定するための各種のメニュー画面MGが表示されるようになっている。このメニュー画面MGについては後で説明する。
画像読取部10は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表す赤、緑、青のアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換し、コントローラ部20の画像処理機能部へ送る。
このようにして、読取りが完了すると、コントローラ部20の画像処理機能部は、画像読取部10から入力画像データとして赤、緑、青の画像データR,G,Bを受け取り、たとえばブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のオンオフ2値化トナー信号を得、各トナー信号を画像出力部30に出力する。
画像出力部30は、画像形成ユニット32と、両面印刷ユニット34と、通常の搬送用紙(記録済用紙)が排出される複数の排出トレイ36aを具備した排出ユニット36と1枚もしくは複数枚(図は複数枚で例示)の処理基板39とを含む。
また、図示しないが、フィニッシング装置として、排出トレイ36aに排出されてきた印刷済みの出力媒体を所定の位置で綴じる処理を行なうステープル部や冊子出力処理などの製本処理を行なう製本部などを設けることもできる。
画像形成ユニット32は、画像読取装置10にて得られた画像信号により表される画像を、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する(印刷する)すなわち複写する。このため、画像形成ユニット32は、たとえば画像出力端末7をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS)ベースのプリントエンジンを備える。
処理基板39には、画像出力部30用の処理部(特に画像処理部や制御部)だけでなく、コントローラ部20の画像処理機能部や画像出力端末7全体の種々の処理をするための回路が搭載される。たとえば、画像出力端末7内に構築された資源である自動原稿搬送装置112、ユーザインタフェース部15、画像読取部10の図示しない画像読取ユニット(スキャナ部)、画像形成ユニット32、両面印刷ユニット34、排出ユニット36、あるいは給送トレイ82などを制御する回路が搭載される。この処理基板39には、半導体製の記憶媒体が搭載され、たとえば、複写アプリケーション、プリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムが格納される。
たとえば、画像読取装置10は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表すアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換し、コントローラ部20の画像処理機能部へ送る。
この画像読取装置10の読み取りに同期して、用紙が複数(A4,B4,A3)の給送トレイ82の内の何れかから画像出力部30へ給紙されると、画像出力部30の画像形成ユニット32は、その用紙の一方の面に、コントローラ部20の画像処理機能部から送られたK,Y,M,Cのトナー信号に基づいて可視画像を形成する。
両面印刷ユニット34は、一方の面に画像が形成された用紙を裏返し、再び画像形成ユニット32にその用紙を給紙する。これにより、画像読取装置10が読み取った画像やパソコン3aなどの画像入力端末3から受け取った画像が用紙の他方の面にも形成され、両面出力が完了される。
画像形成ユニット32から排出される片面記録済み用紙あるいは両面記録済み用紙は、排出ユニット36により、ページ順に連続的にあるいは1ページごとにソートされる。
<<電気的構成>>
図3は、イメージオーバーレイ処理機能に着目した画像形成装置としての画像出力端末7における電気的な構成を示すブロック図である。
図示するように、画像形成装置の一例である画像出力端末7は、イメージオーバーレイ処理を行なう機能部分として、画像読取部10と、ユーザインタフェース部15と、コントローラ部20と、画像出力部(IOT;Image Output Terminal )30と、処理対象画像を格納するハードディスク装置(HDD)などを有して構成された画像蓄積部40とを備えている。
画像出力端末7のユーザインタフェース部15は、イメージオーバーレイ処理機能を実行するための各種の設定を行なう機能部分として、合成処理設定部150を有する。この合成処理設定部150は、イメージオーバーレイ処理(画像合成処理)に関する設定を行なうための設定画面を操作パネル部15aや別途設けられるその他の表示デバイスあるいはユーザインタフェース装置16に設けられるCRTや液晶などの表示デバイスに表示させる表示制御部としての機能を有する。
合成処理設定部150は、合成方法を設定する合成方法設定部152と、合成画像を設定する合成画像設定部154と、合成画像の領域を設定する合成画像領域設定部156と、合成位置を設定する合成位置設定部158と、合成画像の倍率を設定する合成画像倍率設定部160と、イメージオーバーレイ処理に関する設定を行なうための各種の設定画面MGを表示デバイスに表示させる表示制御部170とを備えている。なお、ここでは、表示制御部170により設定画面MGを表示デバイスに表示させ、その設定画面MG上にてイメージオーバーレイ処理に関する各種の設定情報をユーザから受け付けるようにしているが、表示無しで受け付ける仕組みとすることも可能である。
合成方法設定部152は、合成方法設定ボタンBT112(OR合成)や合成方法設定ボタンBT114(置換合成)のクリック状態を判定することで、画像合成手法を、合成画像と被合成画像の双方をアクティブとする「OR合成処理」と被合成画像の合成エリアを合成画像で置き換える「置換合成処理」の何れにするかを決定する。
合成画像設定部154は、処理対象の複数ページでなるこれから取り込もうとするジョブ中の何れのページを合成画像や被合成画像にするかを設定する。本実施形態では、ジョブ中の何れか(1つまたは連続する複数)のページを合成画像に設定すると、残りの全ページを被合成画像にするものとする。なお、このような設定手法に限らず、合成画像および被合成画像の何れについても、ジョブ中の任意のページを合成画像や被合成画像に設定可能にしてもよい。また、これから取り込むジョブ中から設定することに限らず、予め画像蓄積部40に記憶されているページ画像から合成画像や被合成画像を設定してもよい。
また、各合成画像設定ボタンBT122,BT124,BT126を介したユーザ設定を合成画像設定部154にて受け付けることで、合成画像を含むページや被合成画像のページを具体的に設定することに限らず、たとえば特許文献1に記載のように、バーコードなどの識別可能画像情報あるいは光学的文字認識処理により認識可能な文字情報をページ画像に付加することで、被合成画像のページや合成画像を含むページであることを自動的に判定して合成画像を含むページや被合成画像のページを自動的に設定してもよい。
合成画像領域設定部156は、合成画像設定部154により設定された画像合成処理に供される合成画像を含むページ画像中の何れの領域を合成画像とするかを設定する。また、合成位置設定部158は、画像合成処理に供される被合成画像中の何れの位置に合成画像領域設定部156により設定された合成画像を合成する(嵌め込む)かを設定する。
画像出力端末7の画像読取部10は、自動原稿搬送装置112を利用した画像読取りに関わる機能部分である画像入力部(IIT;Image Input Terminal)110と、画像入力部110で取得された読取画像に対して前段の画像処理を行なう入力画像処理部120とを備えている。
画像入力部110は、自動原稿搬送装置112と、プラテンガラス114と、スキャナユニット116とを有する。
入力画像処理部120は、画像入力部110から渡される読込画像に対して画像編集処理を実施する機能部分として、合成画像領域指定で指定された領域を切り出す(トリミングする)画像トリミング部122と、設定されたもしくは計算された合成画像倍率に従って画像を拡大もしくは縮小する画像変倍部124と、画像の不要な部分をカットして合成画像にする画像カット部126と、合成位置に応じて合成画像を上下左右にシフト(移動)する画像シフト部128と、被合成画像中の合成画像が嵌め込め込まれる嵌込み領域の画像をマスキング処理する画像マスキング部130とを、この順に備えている。なお、これらの配設順、換言すれば画像データの処理順は、ここで説明した順に限らず、その他の順にしてもよい。
また、入力画像処理部120は、パソコン3aなどの画像入力端末3から処理対象の画像データを受け付ける通信インタフェース部132を備えている。通信インタフェース部132は、たとえばパソコン3aやデジタルカメラ3cなどの画像入力端末3から複数枚の画像を処理対象として受け付ける。
ここで、本実施形態の画像変倍部124は、主走査方向についてのみ画像を拡大もしくは縮小(両者を纏めて変倍もしくは拡縮ともいう)できるようになっており、副走査方向についての変倍は、読込み時の副走査方向の走査速度を変更して実現するようになっている。つまり、本実施形態の構成では、画像読取部10に備えられている副走査方向に対する変倍処理機能部と、主走査方向に対する変倍処理機能部として動作する画像変倍部124とによって、画像を主走査方向や副走査方向に変倍する画像合成処理部が構成されるのである。
もちろん、画像変倍部124は、主走査方向だけでなく副走査方向に対しても変倍機能を持つものであることが好ましい。こうすることで、たとえば通信インタフェース部132を介して画像入力端末3から取得した画像データに対しても、主走査方向および副走査方向に変倍することができる。また、画像読取部10で読み取った画像データを一旦画像蓄積部40に保存しておき、イメージオーバーレイ処理時に、画像蓄積部40から読み出した画像データに対して主走査方向および副走査方向に変倍することができる。
コントローラ部20は、画像処理機能部として、合成画像を被合成画像の所定位置に所定倍率で埋め込む画像合成部220と、所定のページ割付処理を行なう画像張付部230と、画像合成部220や画像張付部230で生成された合成済画像データ(たとえばR,B,Bの各原色データ)を画像出力部30で使用する出力画像データ(たとえばY,M,C,Kの各出力色データ)に変換する出力画像処理部240とを、この順に備えている。
画像合成部220と画像張付部230とにより画像合成処理部202が構成される。なお、画像合成部220と画像張付部230とは、処理順が任意であり、先にイメージオーバーレイ処理を行なってからページ割付処理を行なってもよいし、先にページ割付処理を行なってからイメージオーバーレイ処理を行なってもよい。
画像合成部220は、その内部に画像を90度単位で回転させる画像回転部222を有している。また画像張付部230は、その内部に画像を90度単位で回転させる画像回転部232を有している。また、図示しないが、出力画像処理部240は、たとえば原稿が縦置きであるのに対して出力用紙が横置きである場合など給送トレイ82や手差しトレイ83での出力用紙の載置状態と原稿の向きとを勘案して出力画像を90度単位で回転させる画像回転部を有している。何れも、90度単位としているのは、一般的に必要な回転処理としては90度、180度、270度の回転で十分だからである。
画像張付部230は、ページ割付処理として、たとえば用紙1枚の同一面に複数の画像を配置するに当たり、複数ページを所定順に割り付けるNアップ処理や、冊子状に出力するためのページ再配置を行なう小冊子出力処理や、1ページを1枚の用紙上に繰返して出力するイメージリピート処理や、同一ページを1枚の用紙上に繰返して出力して一度に複数部数の出力結果を得るマルチコピー処理などのページ割付けと関わりを持つ各種の特殊出力機能用の画像処理を実行する。
何れにしても、これらの特殊出力機能が選択されていたときには、画像張付部230は、合成画像をページ割付処理での設定条件に合致するように所定サイズにしてまた必要に応じて回転させて、ページ割付処理の指定レイアウトに応じて必要個数分張り合わせる。画像合成部220での合成処理を先に行なう場合には、画像合成部220で生成された合成済画像をページ割付処理での設定条件に合致するように所定サイズにしてまた必要に応じて回転させて、ページ割付処理の指定レイアウトに応じて必要個数分張り合わせる。
なお、出力媒体の両面に画像を配置する両面出力(両面印刷)も一種のページ割付処理と言える。Nアップ処理や、小冊子出力処理や、イメージリピート処理や、マルチコピー処理は、何れも出力媒体の同一面に複数の画像を配置するものであるのに対して、両面出力は、出力媒体の両面を使って複数の画像を配置するものと考えればよいからである。
ここで、両面出力は画像出力部30での印字処理にて対処できるので、本質的には、画像張付部230は両面印刷に適応したイメージオーバーレイ処理用に特段のページ割付処理を行なう必要はない。ただし、イメージオーバーレイ処理との関わりで、必要に応じて、予め所要の処理を行なっておいてもよい(後述する事例9を参照)。
また、コントローラ部20は、制御機能部として、各機能部を制御する中央制御部270と、ユーザインタフェース部15の合成処理設定部150で受け付けた読込みパラメータなどの入力パラメータを、画像合成部220や画像張付部230や入力画像処理部120内の各機能部に設定する入力パラメータ設定部280を備えている。
<<合成画像の生成処理;画像編集処理>>
図4は、イメージオーバーレイ処理における合成画像の生成処理、特に画像編集処理を説明する図である。入力画像処理部120は、合成画像を生成するに当たっては、ユーザインタフェース部15を介して設定された合成画像用パラメータに基づいて、原稿読込み過程での読込み画像などの処理対象画像に対して、画像トリミング部122により「合成画像領域指定で指定された領域をトリミング」、画像変倍部124により「合成画像倍率での縮拡」、画像カット部126により「画像のカット」、画像シフト部128により「合成位置に応じたシフト」などの画像編集処理を実施する。
合成画像に対する倍率に関しては、以下のようにする。先ず、「倍率指定なし」の場合は、ジョブで設定されている倍率または計算された倍率を使用する。また、「任意倍率」が設定されている場合には、設定された縦横同一倍率を使用する。また、「縦横独立倍率(指定)」が設定されている場合には、主走査および副走査について、各々指定された倍率値を使用する。
また、「縦横独立倍率(自動)」が設定されている場合には、指定された合成画像領域と合成位置の領域から縦横の倍率値を自動で計算し設定する。なお、“主走査倍率=合成位置領域主走査長÷合成画像領域主走査長”、“副走査倍率=合成位置領域副走査長÷合成画像領域副走査長”とする。
そして、最終的には、これらの設定結果に対して、出力サイズ対応倍率、すなわちジョブで設定されている出力倍率または計算された出力倍率を掛けた倍率を使用する。
<<被合成画像の生成処理>>
図5は、イメージオーバーレイ処理における被合成画像の生成処理を説明する図である。画像合成処理部202にて被合成画像を生成するに当たっては、基本的には、図5(A)に示すように、合成方法が「OR合成」場合には、処理対象画像(典型的には原稿画像)に対しては、合成実施のための特別な画像処理は不要である。
一方、図5(B)に示すように、合成方法が「置換合成」の場合において、画像合成部220で置換処理ができずOR合成のみが可能である場合には、前もって原稿読込み時などのジョブデータ取込み時に、被合成画像となる原稿における嵌込み領域の画像を画像マスキング部130によりマスキング処理して被合成画像としておく。こうすることで、マスキングされた被合成画像と合成画像とを画像合成部220にてOR合成することで、事実上の置換合成ができるようになる。
なお、OR合成と置換合成の中間的な合成方法として、合成画像の埋込強度を調整する機能、いわゆる透明度の設定機能を設けてもよい。透明度を50%に設定すればOR合成となり、透明度を50%に設定すれば置換合成となる。
<<ページ割付処理>>
図6〜図9は、イメージオーバーレイ処理とページ割付処理との関わりを説明する図である。画像張付部230は、用紙1枚に複数ページを所定順に割り付けるNアップ/冊子状に出力する小冊子出力/1ページを1枚の用紙上に繰返して出力するイメージリピート/同一ページを1枚の用紙上に繰返して出力して一度に複数部数の出力結果を得るマルチコピーなどの特殊出力機能が選択されていたときには、画像編集処理を実施した画像を特殊出力の指定レイアウトに応じて必要個数分張り合わせる。
<Nアップ処理>
たとえば、図6は、ページ割付処理の一例であるNアップ(Nイン1とも呼ばれる)処理との関わりを説明する図である。Nアップ処理では、1枚の出力用紙上に、ジョブのNページ分の画像を所定順に割り付ける。ここで、Nアップ処理を実行するに当たっては、割付数である“N”や“配置方法”などを指定する。なお、均等に割り付けるためにN=2^n(“^”はべき乗を示す)とし、用紙長手方向の2等分割を必要回数分繰り返すものとする。
イメージオーバーレイ処理との関わりでは、最終結果物として、被合成画像の所定の嵌込み領域に合成画像を嵌め込んだ状態の各ページ(大元は被合成画像)の合成済画像を、1枚の出力用紙上に、Nページ分を所定順に均等に割り付けられたものが得られればよいのである。こうすることで、Nアップのように複数画像を1つの出力用紙上に並べて配置する場合でも、各ページ画像に合成画像を合成することができる。
<小冊子出力処理>
図7は、ページ割付処理の一例である小冊子出力処理との関わりを説明する図である。小冊子出力に際しては、見開き可能なカタログなどに対応するような両面印刷(カタログ印刷)が可能なページレイアウト状態にする必要があり、使用する出力用紙のサイズや綴じ代位置などによって、図7に示すように、様々な態様が採られる。
そのため、小冊子出力する場合の各印刷用紙上のページ画像の配列順の決定方法にも、様々な方法が存在する。場合によっては、図7(A)の下部に示すように、複数画像を1つの出力用紙上に並べて配置する必要が生じる。
ただし、何れの順でページ画像を割り付けるかに拘わらず、イメージオーバーレイ処理との関わりでは、最終結果物として、被合成画像の所定の嵌込み領域に合成画像を嵌め込んだ状態の各ページ(大元は被合成画像)の合成済画像を、小冊子出力状態となるように割り付けられたものが得られればよいのである。こうすることで、小冊子出力のように複数画像を1つの出力用紙上に並べて配置する必要がある場合でも、各ページ画像に合成画像を合成することができる。
<イメージリピート処理>
図8は、ページ割付処理の一例であるイメージリピート処理との関わりを説明する図である。ここで、イメージリピート(Image Repeat)処理は、1ページを1枚の用紙上に繰返して出力するものである。たとえば、宛名シールを作成するなどに際してラベル用紙にイメージを繰り返し印字する、あるいはフォーマットなどを印字して、書込み可能な文書を作成する、あるいは出力コピーを切り取って名刺を作成したり、伝言メモ用紙などを作成したりする際に利用される。
ここで、イメージリピート処理を実行するに当たっては、“繰返し数”や“配置方法”などを指定する。“個数指定”は、縦および横の繰返し個数を設定限度の範囲内で具体的に指定するか、もしくは“個数自動”を指定する。“個数自動”が指定されると、原稿サイズと用紙サイズと倍率から、縦(主走査)および横(副走査)の繰返し数を自動で計算することになる。なお、ここでいう縦横は、原稿画像の天の向きを考慮するものではなく、主走査/副走査を意味する。
一方、“配置方法”は、用紙を繰返し数で均等に分割した領域に画像を出力する“均等配置”か、もしくは、繰り返した画像を隙間なく合成したものを用紙に出力する“連続配置”の何れかを選択する。
なお、“均等配置”および“連続配置”ともに用紙の貼付け位置は、通常通りデフォルトでは読込みレジ合わせとし、センター/コーナーシフト、および任意シフトが可能である。ただし、自動原稿搬送装置112を利用して読取対象となる原稿を一定速度で搬送させながら原稿画像を読み取るいわゆるCVT(Constant Velocity Transfer)方式での“連続配置”はシフトが選択されない場合、デフォルトでは読込みレジ合わせではなく、プラテンと同じ原稿の天が上なら右上コーナー合わせ、原稿の天が左なら左下コーナー合わせとし、その画像に対してセンター/コーナーシフト、および任意シフトを実施する。
ただし、“繰返し数”や“配置方法”に拘わらず、イメージオーバーレイ処理との関わりでは、最終結果物として、被合成画像の所定の嵌込み領域に合成画像を嵌め込んだ状態の合成済画像が指定された“繰返し数”と“配置方法”に従った状態となるように割り付けられたものが得られればよいのである。こうすることで、イメージリピート処理のように1枚の画像を1つの出力用紙上に繰り返し並べて出力する場合も、各被合成画像に合成画像を合成することができる。
<マルチコピー処理>
図9は、ページ割付処理の一例であるマルチコピー処理との関わりを説明する図である。ここで、マルチコピー処理は、用紙を均等分割した領域に原稿画像を貼り付けるという点ではNアップ処理と似通った機能ではあるが、マルチコピー処理では同一の原稿画像を繰り返し貼り付けるものあるのに対して、Nアップ処理ではジョブの各ページ画像を順に貼り付けるものである点で異なる。
また、マルチコピー処理は、イメージリピート処理とも似通った機能ではあるが、用紙を均等分割した領域に原稿画像を繰り返し貼り付けるというもので多少の違いがある。たとえば、同一原稿を繰り返しコピーして一度に複数部数のコピーを作成し、その出力結果を纏めて裁断した場合に複数セットが出来上るようにする。
ここで、マルチコピー処理を実行するに当たっては、“繰返し数”として、“2個”,“4個”,“8個”の何れかを選択する。もちろんこの数値は一例であって、Nアップ処理と同様に、2^n(“^”はべき乗を示す)とし、用紙長手方向の2等分割を必要回数分繰り返すものとする。
ただし、“繰返し数”に拘わらず、イメージオーバーレイ処理との関わりでは、最終結果物として、被合成画像の所定の嵌込み領域に合成画像を嵌め込んだ状態の合成済画像が指定された“繰返し数”に従った状態となるように割り付けられたものが得られればよいのである。こうすることで、マルチコピー処理のように1枚の画像を1つの出力用紙上に、後で裁断可能に繰り返し並べて出力する場合も、各被合成画像に合成画像を合成することができる。
<<操作画面>>
図10〜図19は、イメージオーバーレイ処理機能を設定するための操作メニュー画面の各例を示す図である。これらの操作メニュー画面は、ユーザインタフェース部15の操作パネル部15aなど画像出力端末7側の表示デバイスに表示されることに限らず、画像入力端末3側の表示デバイスに表示されることもある。たとえば、プリントジョブ時には、パソコン3aにおける印刷出力指示時に使用されるプリンタドライバの操作メニューに加えられる。以下、具体的に説明する。
<イメージオーバーレイ選択画面>
図10は、イメージオーバーレイ処理機能を設定するためのイメージオーバーレイ選択画面の一例を示す図である。
このイメージオーバーレイ選択画面MG100では、イメージオーバーレイ処理機能を使用するか否かを設定する機能設定ボタンBT102(する)および機能解除ボタンBT104(しない)が表示される。
また、機能設定ボタンBT102(する)がクリックされたときには、さらに、イメージオーバーレイ処理機能に関わる各種の設定を行なうべく、たとえば、合成画像と被合成画像の双方をアクティブとする「OR(論理和)合成処理」および被合成画像の合成位置の画像を合成画像で置き換える「置換合成処理」の何れかの合成方法を設定する合成方法設定ボタンBT112(OR合成),BT114(置換合成)と、ジョブ中の何れのページを合成画像にするのかを設定する合成画像設定ボタンBT122(先頭),BT124(先頭以外),BT126(最後尾)とが表示される。各合成方法設定ボタンBT112,BT114のクリック状態は、合成方法設定部152にて判定される。
合成画像設定ボタンBT122(先頭)は、複数ページでなるジョブ中の先頭ページを合成画像を含むページに設定し、先頭ページを除く残りの全ページを被合成画像に設定するためのボタンである。合成画像設定ボタンBT124(先頭以外)は、複数ページでなるジョブ中の先頭ページを除く残りの全ページを合成画像を含むページに設定し、先頭ページを被合成画像に設定するためのボタンである。合成画像設定ボタンBT126(最後尾)は、複数ページでなるジョブ中の最後尾のページを合成画像を含むページに設定し、最後尾のページを除く残りの全ページを被合成画像に設定するためのボタンである。
合成画像設定ボタンBT122(先頭)と合成画像設定ボタンBT124(先頭以外)や合成画像設定ボタンBT126(最後尾)の関係では、特許文献1に記載の仕組みのように被合成画像を先に取り込んでから合成画像を含むページを取り込むことに限らず、合成画像を含むページと被合成画像のページの取込み順を逆にすることができるのである。
ただし、印刷処理過程であれば全体のページ数や最終ページを事前に特定し得るが、単純な複写処理過程では、何れが最後尾のページであるかを事前に把握することはできない。すなわち、自動原稿送装置を使用した場合、原稿を読み込んだ(引き込んだ)結果、次の原稿が残っていないことが判明して、最終原稿を認識するので、原稿スキャン前に最終原稿を認識することはできない。プラテンガラスから読み込む場合でも、次原稿有無をユーザが指定することで最終原稿を判断するため、スキャン開始前には判断できないようになっている。よって、スキャン開始前に最終原稿を判断させるには、これからスキャンする原稿が最終原稿であることをユーザに指定させる必要がある。
この問題を解決するには、たとえば、原稿を最終ページまで全て読み込んで蓄積完了後で、合成原稿/非合成原稿を判断して、蓄積原稿を読み出して画像編集(縮拡・回転・トリミング・マスキング・ページ割付、など)を実施する構成とすればよい。あるいは、自動原稿送装置の仕組みとして、一旦読み込んだ原稿を元の取込み状態に戻す仕組みのものを使用し、一旦全ての原稿を読み込んで最終ページを事前に特定してから、その最終ページを最初のページとして取り扱って、再度、順に読み込んで合成処理を行なうようにしてもよい。
なお、ここでは、ジョブ中における何れか1つもしくは連続する複数のページを合成画像として指定すると、残りの全てのページを被合成画像としているが、このような指定方法に限らず、合成画像および被合成画像の何れについても、ページを任意に指定可能に構成することもできる。たとえば、特許第3315459号号公報や特開2002−44411号公報に記載の仕組みを利用することで、特定のページを被合成画像(メイン原稿)として指定して、この指定されたページにのみ特定ページの合成画像(オーバーレイ用画像)を合成したり、あるいは被合成画像のページとそれに合成される合成画像との組み合わせをユーザの希望に合わせて自由に選択できるようにしたりすることができる。
ただし、被合成画像のページや合成画像を含むページを任意に指定可能に構成すると、その指定作業が煩雑になり得る。この点では、一連の複数ページでなるジョブ中の先頭、先頭以外、もしくは最後尾の何れかを合成画像を含むページに設定し、残りをメイン画像に相当する被合成画像のページに設定するようにすれば、それらの設定作業が非常に簡単になる。
加えて、たとえば外部のパソコンなどの画像入力端末3から取り込んだプリンタジョブのページ順や、自動原稿搬送装置112を利用した読込み順などの取込み順で、1枚目のページ画像と2枚目以降のページ画像とに基づいて、被合成画像中の所定位置に合成画像を嵌め込んだ合成結果を簡単に作成することができる。
また、合成画像領域の設定手法を指定する合成画像領域設定手法ボタンBT132(画像全体),BT134(領域指定)と、合成画像を被合成画像に埋め込む合成位置の設定手法を指定する合成位置設定手法ボタンBT142(位置指定),BT144(領域指定)と、合成画像の倍率を設定する合成画像倍率設定ボタンBT152とが表示される。
各合成画像領域設定手法ボタンBT132,BT134のクリック状態は、合成画像領域設定部156にて判定される。各合成位置設定手法ボタンBT142,BT144のクリック状態は、合成位置設定部158にて判定される。合成画像倍率設定ボタンBT152のクリック状態は、合成画像倍率設定部160にて判定される。
このようなイメージオーバーレイ選択画面MG100から分かるように、本実施形態のイメージオーバーレイ処理では、合成方法、合成画像を含むページおよび被合成画像のページ、合成画像領域、および被合成画像中に合成画像を嵌め込むべき合成位置をユーザが設定できるようにしたので、メージオーバーレイ処理の使い勝手が飛躍的に向上するのである。特許文献1,2などに記載のような従来の仕組みでは、合成手法としてOR合成しか用意されていなかったし、また被合成画像側の合成位置を指定したり、合成側の原稿と置き換えたりすることはできなかったのと大きく異なるのである。
たとえば、各合成方法設定ボタンBT112,BT114を利用することで、画像合成手法として、OR合成に限らず、置換合成をも選択することができるようになる。特許文献1,2のようにOR合成だけでなく置換合成、つまり上書き合成も選択できるため、ユーザの用途や原稿画像などに応じた好ましい合成結果を得うることができるようになる。たとえば、被合成画像中の合成画像が嵌め込まれる合成位置の画像情報をも必要とする際にはOR合成を選択すればよいし、合成位置の画像情報が不要である場合や目障りとなる場合には置換合成を選択すればよい。
また、予め合成画像を含むページと対応付けた各合成画像設定ボタンBT122,BT124,BT126を利用することで、一連の複数ページでなるジョブ中において、合成画像を含むページと被合成画像のページとを、複雑な設定作業を伴うことなく簡単に指定することができる。特許文献1に記載の仕組みでは、一連の原稿のうちのフォーム原稿とすべきページを指定するとともに、そのフォーム原稿とすべきページに後続して入力される原稿画像の中から合成対象のページ画像を設定する必要があり、合成画像を含むページと被合成画像のページとを任意に設定できるものの、その指定操作が煩雑になり得るのと異なる。
また、本実施形態の仕組みでは、合成画像設定ボタンBT122(先頭)を利用すれば、合成画像を含むページを被合成画像のページよりも前に取り込んだページにすることができる。特許文献1に記載の仕組みでは、合成画像を含むページは、一連の原稿のうちのフォーム原稿とすべきページに後続して入力されるページに限定されており、本実施形態のように、合成画像を含むページと被合成画像のページの取込み順を逆にすることもできるのと異なる。
また、本実施形態の仕組みでは、ジョブ中の複数ページ中から合成画像を含むページを設定することができようになっており、合成画像設定ボタンBT122,BT124,BT126のクリック状態に応じて、一連の複数ページでなるジョブ処理の中で、合成画像を含むページと被合成画像のページとを自動的に判断するので、オーバーレイ用画像に相当する合成画像を予め記憶手段に記憶しておく特別な蓄積操作を行なう必要がない。
これにより、1枚目のページ画像と2枚目以降のページ画像とに基づいて、ページ順で、合成画像を被合成画像の所定位置に嵌め込んだ合成結果を簡単に作成することができる。特許文献2に記載の仕組みでは、オーバーレイ用画像に相当する合成画像については予め記憶手段に記憶しておくので、合成画像を予め記憶手段に記憶しておく特別な蓄積操作を行なう必要があるし、合成画像を含むページをジョブ中から設定できないのと異なる。
また、イメージオーバーレイ処理に供される“合成画像”は、合成画像領域設定手法ボタンBT132(画像全体)を利用してページ画像の全体とすることに限らず、合成画像領域設定手法ボタンBT134(領域指定)を利用することで、ページ画像中の任意の領域とすることもできる点に大きな特徴を有する。つまり、合成画像を、原稿全体とするか、原稿の任意の領域を抽出してその部分だけを合成画像とするかを選択できる点に特徴を有する。たとえば、所定ページの原稿の任意の領域を取り出して、他のページの原稿の指定位置に合成することが可能となる。
従来の仕組みのように、原稿同士を使った合成では不要な画像の合成が生じてしまうが、原稿の任意の領域を取り出せばその問題を容易に防ぐことができる。もちろん、原稿全体を合成画像領域に設定すれば、従来と同様に、原稿同士の単純な合成もできる。
また、合成位置設定手法ボタンBT142(位置指定)や合成位置設定手法ボタンBT144(領域指定)を利用することで、“合成画像”を被合成画像のどの位置に合成するかを指定することもできる点に大きな特徴を有する。合成画像と被合成画像とが同サイズであることを暗黙の前提とする、原稿同士の単純な合成では、“合成画像”を被合成画像のどの位置に合成するかを指定する必然性がないのと大きく異なるのである。
加えて、各合成画像領域設定手法ボタンBT132,BT134,BT136を利用した合成画像領域の設定と、各合成位置設定手法ボタンBT142,BT144を利用した合成位置の設定とを組み合わせることで、合成画像を含む原稿と被合成画像のサイズとが異なる場合であっても、合成位置設定手法ボタンBT142(位置指定)もしくは合成位置設定手法ボタンBT144(領域指定)で指定された所定の合成位置へ領域指定された合成画像を嵌め込むイメージオーバーレイ処理を適切にできる。従来の仕組みでは、合成画像と被合成画像とが同サイズであることを暗黙の前提としており、このような合成処理を行なうに当たっては問題が生じるのと大きく異なるのである。
<イメージオーバーレイ領域指定画面>
図11は、図10に示したイメージオーバーレイ選択画面MG100にて、合成画像領域設定手法ボタンBT134(領域指定)や合成位置設定手法ボタンBT144(領域指定)がクリックされたときに表示されるイメージオーバーレイ領域指定画面の一例を示す図である。
このイメージオーバーレイ領域指定画面MG200では、合成画像領域や合成位置を領域(エリア)で指定するために、たとえば読取りや画像の主走査方向に対応する水平方向(横方向)をX座標、読取りや画像の副走査方向に対応する垂直方向(縦方向)をY座標とし、右上を原点(0,0)とした場合における右上コーナーP202(X1,Y1),P206(X1,Y1)と左下コーナーP204(X2,Y2),P208(X2,Y2)を指定する入力欄IN202(X1指定用),IN204(Y1指定用),IN206(X2指定用),IN208(Y2指定用)と、指定を確定させる決定/次選択ボタンBT202と、指定した内容を消去(クリア)する領域クリアボタンBT204とが、画面の右側に表示される。このイメージオーバーレイ領域指定画面MG200の各ボタンのクリック状態や各入力欄IN202,IN204,IN206,IN208への数値入力状態は、合成画像領域設定部156や合成位置設定部158にて判定される。
また、P202(X1,Y1),P206(X1,Y1),P204(X2,Y2),P208(X2,Y2)の指定に連動して、その指定された領域の概略位置を示す設定領域表示画面DP200が画面の左側に表示される。つまり、本実施形態の構成では、合成画像領域や嵌込み領域の設定状態を表示画面にて確認できる機能を持つのである。なお、P202(X1,Y1),P204(X2,Y2)は、合成画像領域を矩形状に指定する際の対角の2つのコーナー位置であり、P206(X1,Y1),P208(X2,Y2)は、被成画像領域中の嵌込み領域を矩形状に指定する際の対角の2つのコーナー位置である。
ユーザは、このイメージオーバーレイ領域指定画面MG200の各入力欄IN202,IN204,IN206,IN208へ数値を具体的に入力することで、P202(X1,Y1)とP204(X2,Y2)の対角座標で画定される矩形状の合成画像領域や、P206(X1,Y1)とP208(X2,Y2)の対角座標で画定される矩形状の嵌込み領域を指定することができる。
あるいは、指示入力手段の一例であるマウスを利用して設定領域表示画面DP200にて対角領域をクリックすることでも合成画像領域や合成位置を矩形状に指定することができる。この場合、クリックされた対角領域に基づいて、P202,P206とP204,P208の座標が自動的に判定され、その座標情報(X1,Y1),(X2,Y2)が各入力欄IN202,IN204,IN206,IN208へ表示される。
何れにしても、合成画像領域や合成位置を画定するP202,P206,P204,P208の座標位置が入力欄IN202,IN204,IN206,IN208へ表示され、それと連動して合成画像領域や合成位置を示す矩形情報が設定領域表示画面DP200に表示されるのである。これにより、合成画像領域や合成位置の設定を容易に確認することができ、誤りなく合成画像領域や合成位置(嵌込み領域)を任意の位置に設定できる。
また、主走査方向に対応するX軸および副走査方向に対応するY軸に基づいて対角の2つの座標P202とP204もしくはP206とP208を設定することで、合成画像領域や合成位置(嵌込み領域)を矩形状に設定するようにしているので、簡便かつ確実に所望の嵌込み領域に合成画像を合成することができる。
合成画像領域や嵌込み領域の形状を任意の四角形にするものと定義する場合、通常は、その四角形の4つの頂点座標を指定しないと合成画像領域や嵌込み領域を画定できないが、矩形状にするものと定義すれば、対角の2つの頂点座標を指定することで、2辺がX軸方向に平行で他の2辺がY軸に平行な矩形状の合成画像領域や嵌込み領域を画定することができる。
4つの座標ではなく2つの座標の指定だけで矩形状の合成画像領域や嵌込み領域を設定できるから簡便な領域指定方法である。加えて、読取りや画像の主走査方向をX軸に対応付けかつ読取りや画像の副走査方向をY軸に対応付けるとともに、合成画像領域や嵌込み領域の形状を矩形状に設定することに定義しているので、対角の2点のX座標とY座標をそれぞれ設定すれば、矩形状の合成画像領域や嵌込み領域を確実に設定できるのである。
また、各領域の形状を矩形状に設定することは、矩形であることが多い原稿画像(複写ジョブにおける読取り原稿画像に限らずプリントジョブにおけるプリントデータの原稿画像も含む)における一般的な領域の指定手法にもマッチするので、使い勝手がよい。
加えて、その領域の設定状態を設定領域表示画面DP200にて確認できるから、ユーザ(操作者)の希望する領域がキチン(希望する通りに)と設定されているのかを確実に確認することもできるのである。
<イメージオーバーレイ位置指定画面;その1>
図12は、図10に示したイメージオーバーレイ選択画面MG100にて、合成位置設定手法ボタンBT142(位置指定)がクリックされたときに表示されるイメージオーバーレイ位置指定画面の第1例を示す図である。
この第1例のイメージオーバーレイ位置指定画面MG300では、合成画像を被合成画像に埋め込む合成領域を位置で指定するための設定画像が表示される。この際の位置指定の方法としては、たとえば合成画像領域の形状を矩形にする場合、その矩形の4つのコーナーあるいは中心の内の何れか1つを合成画像の基準位置として、その基準位置を被合成画像中のどの位置に配置するのかを規定する嵌込位置を指定することにする。
合成画像の基準位置を、4つのコーナーあるいは中心の内の何れにするかは、装置製造時や装置設定時あるいは使用前に予め決めておけばよい。ユーザに対しては、その基準位置が、4つのコーナーあるいは中心の内の何れであるのかが分かるようにしておくのがよい。さもないと、被合成画像中のユーザが意図した位置に合成画像を嵌め込むことができなくなる。
たとえば、合成画像の右上コーナーの、被合成画像中の嵌込位置を指定するものとする場合、図示するように、たとえば被合成画像の水平方向(横方向)をX座標、垂直方向(縦方向)をY座標とし、被合成画像の右上を原点(0,0)とした場合における、合成画像の右上コーナーの被合成画像中における嵌込位置P302(X1,Y1)を指定する入力欄IN302(X1指定用),IN304(Y1指定用)と、指定を確定させる決定/次選択ボタンBT302と、指定した内容を消去(クリア)する領域クリアボタンBT304とが、画面の右側に表示される。このイメージオーバーレイ位置指定画面MG300の各ボタンのクリック状態や各入力欄IN302,IN304への数値入力状態は、合成位置設定部158にて判定される。
また、P302(X1,Y1)の指定に連動して、その指定された嵌込位置を基準とする嵌込領域の概略を示す設定位置表示画面DP300が画面の左側に表示される。この際には、合成画像の基準位置が、4つのコーナーあるいは中心の内の何れであるのかが分かるように、基準位置P209を示すマーク(図では黒丸で示す)をハイライト表示する。こうすることで、被合成画像中のユーザが意図した位置に合成画像を適切に嵌め込むことができるようになる。
ユーザは、このイメージオーバーレイ位置指定画面MG300の各入力欄IN302,IN304へ数値を具体的に入力することで、合成位置P302を指定することができる。あるいは、指示入力手段の一例であるマウスを利用して設定位置表示画面DP300にて合成位置をクリックすることでも合成位置を指定することができる。この場合、クリックされた合成位置に基づいてP302の座標が自動的に判定され、その座標情報(X1,Y1)が各入力欄IN302,IN304へ表示される。
何れにしても、合成位置を確定するP302の座標位置が入力欄IN302,IN304へ表示され、それと連動して合成位置を示す矩形情報が設定位置表示画面DP300に表示されるのである。被合成画像に対して、1点のみ指定する位置指定が合成位置設定手法ボタンBT142(位置指定)により設定された場合、その位置に合成する合成画像のどの部分を合わせて合成するかを指定することができる。これにより、合成位置の設定を容易に確認することができ、誤りなく、合成位置を任意の位置に設定できる。
主走査方向に対応するX軸および副走査方向に対応するY軸に基づいて、合成画像の基準位置P209の被合成画像中の嵌込み位置P302を指定するので、1つの座標の指定だけで所定形状の(本実施形態では矩形状の)嵌込み領域を設定できるから簡便な領域指定方法である。加えて、読取りや画像の主走査方向をX軸に対応付けかつ読取りや画像の副走査方向をY軸に対応付けるとともに、合成画像の基準位置を被合成画像中の所定位置に設定することに定義しているので、1点のX座標とY座標とを設定すれば、合成画像領域を確実に被合成画像中に設定できる。加えて、その領域の設定状態を設定位置表示画面DP300にて確認できるから、ユーザ(操作者)の希望する領域がキチンと(希望する通りに)希望する位置に設定されているのかを確実に確認することもできるのである。
特に、本実施形態では、矩形であることが多い原稿画像における一般的な領域の指定手法にもマッチするようにとの観点から合成画像領域を矩形状であるものとしているので、基準位置の設定手法としては、矩形を確定するのに都合のよい、合成画像の右上コーナー、左下コーナー、右下コーナー、左下コーナー、あるいは中央の何れかを指定するのが適当である。
<イメージオーバーレイ位置指定画面;その2>
図13は、図10に示したイメージオーバーレイ選択画面MG100にて、合成位置設定手法ボタンBT142(位置指定)がクリックされたときに表示されるイメージオーバーレイ位置指定画面の第2例を示す図である。
この第2例のイメージオーバーレイ位置指定画面MG302では、第1例のイメージオーバーレイ位置指定画面MG300に対して、合成画像の基準位置を、4つのコーナーあるいは中心の内の何れにするのかを、ユーザが都度選択できるようにする操作画面が追加されたものである。
たとえば、矩形状の枠を基準位置選択画面DP304に表示し、その矩形枠の4つのコーナーもしくは中央部の何れかをユーザがクリックすることで基準位置P209を選択するようにするとよい。あるいは、図示しないが、右上、右下、左上、左下、中央の各選択ボタンを設けて、何れかをユーザがクリックすることで基準位置を選択するようにしてもよい。図では、左下が選択された状態を示している。
そして、その選択に連動して、設定位置表示画面DP300では、合成画像の基準位置が、4つのコーナーあるいは中心の内の何れであるのかが分かるように基準位置を示すマーク(図では黒丸で示す)がハイライト表示される。
<イメージオーバーレイ領域指定画面およびイメージオーバーレイ位置指定画面;変形例>
図14〜図16は、イメージオーバーレイ領域指定画面やイメージオーバーレイ位置指定画面の変形例を示す図である。
上記イメージオーバーレイ領域指定画面MG200やイメージオーバーレイ位置指定画面MG300,MG302では、合成画像領域や嵌込み領域を主走査方向に対応するX軸および副走査方向に対応するY軸に基づいて、合成画像領域や嵌込み領域を矩形状で指定するようにしていたが、各領域は矩形状のものに限らず、たとえば、任意の三角形や四角形などの多角形や、円形状(楕円形状を含む)や、十字形状や、★型形状や、完全フリー形状など、任意の形状にすることができる。矩形以外の形状も選択できるようにすることで、多彩なニーズに応じた合成画像を得ることができるようになる。
たとえば図14,図15に示すように、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200に準じた領域指定画面MG210を用意して、設定しようとする形状に合わせて、その形状を確定する座標を指定できるようにすればよい。
三角形や四角形や十字形状や★型形状などの多角形とする場合には、図14に示す変形例(その1)のように、先ず多角形ボタンBT210をクリックし、その多角形の頂点座標位置(X,Y)を入力する入力欄IN212,IN214を表示させ、次ボタンBT212や前ボタンBT214を操作しながら順次その入力欄IN212,IN214にて各頂点座標を指定すればよい。決定/次選択ボタンBT202をクリックすることで、指定された頂点座標を順に結んだ閉ループにて領域を画定させる。また、これらの指定に連動して、その指定された座標や領域の概略位置を設定領域表示画面DP210にて表示すればよい。
また、円形状(楕円形状を含む)とする場合には、図15に示す変形例(その2)のように、先ず円形ボタンBT220をクリックし、その円形の中心座標位置(X,Y)と半径とを座標情報として入力する入力欄IN222,IN224,IN226を表示させ、入力欄IN222,IN224にて中心座標を指定し入力欄IN226にて半径を指定すればよい。楕円とする場合には、次ボタンBT222や前ボタンBT224を操作しながら順次2つの中心座標と長径および短径を指定すればよい。また、これらの指定に連動して、その指定された座標や半径や領域の概略位置を設定領域表示画面DP220にて表示すればよい。
完全フリー形状にする場合には、図14,図15に示す設定領域表示画面DP200に準じた設定領域表示画面DP210,DP220にてカーソルを移動させて、そのカーソルの座標をトレースするようにすればよい。
ただし、このような設定手法では、対角の2つの座標位置を指定することで矩形領域を指定する場合に比べて、指定する座標位置やその他の情報(たとえば半径)が増え得るので、設定が煩雑となり得る。
この問題を解消するには、完全フリー形状にする場合を除いて、たとえば図16に示す変形例(その3)のような領域指定画面MG310にて、三角形や四角形や十字形状や★型形状などの多角形、あるいは円形状(楕円形状を含む)などの多種の形状を外形枠(ステンシル)を選択する外形枠指定部M310を用意しておき、その中から設定しようとする形状のものを選択可能にするとともに、その基準位置P209を規定するようにするとよい。
なお、各外形枠に対して、一般的な図形変形操作と同様に、回転や拡縮(好ましくは縦横独立変倍)などの変形操作ができるように、変形メニュー部M312を設けるとよい。
こうすることで、イメージオーバーレイ位置指定画面MG300に準じた領域指定画面MG310を用意して、設定しようとする形状の基準位置P209のページ画像中の位置を、入力欄IN312,IN314や設定位置表示画面DP310にて簡単に指定することができる。
このように、合成画像領域や嵌込み領域の形状は、矩形状に限らず任意であってよいのである。また、このように合成画像領域の形状が任意であっても、その基準位置を決めておけば、イメージオーバーレイ位置指定画面MG300に準じた領域指定画面MG310を利用することで、主走査方向に対応するX軸および副走査方向に対応するY軸に基づいて、合成画像の基準位置P209の被合成画像中の嵌込み位置P302を指定することができ、1つの座標の指定だけで所定形状の嵌込み領域を設定できるから簡便な領域指定方法である。
また、読取りや画像の主走査方向をX軸に対応付けかつ読取りや画像の副走査方向をY軸に対応付けるとともに、合成画像の基準位置を被合成画像中の所定位置に設定することに定義することで、一点のX座標とY座標とを設定すれば、合成画像領域を確実に被合成画像中に設定できる。加えて、その領域の設定状態を設定位置表示画面DP300にて確認できるから、ユーザ(操作者)の希望する所定形状の合成画像領域がキチン(希望する通りに)と希望する位置に設定されているのかを確実に確認することもできる。
<合成画像倍率選択画面>
図17〜図19は、図10に示したイメージオーバーレイ選択画面MG100にて、合成画像倍率設定ボタンBT152がクリックされたときに表示される合成画像倍率選択画面の各例を示す図である。倍率設定に関わる各種の入力情報は、先ず合成画像倍率設定部160に通知され、さらに入力パラメータ設定部280を介して画像読取部10での副走査方向の倍率設定や画像変倍部124での主走査方向の倍率設定や画像合成処理部202での変倍処理に使用される。
なお、図示を割愛するが、これらの合成画像倍率設定画面の他に、通常のジョブ設定での指定のように、ジョブに対して出力倍率または計算された出力倍率(これらを纏めて出力サイズ対応倍率という)が設定される。そして、最終的には、合成画像倍率設定画面にて設定された倍率と出力サイズ対応倍率とを掛けた倍率値が合成画像の変倍処理に使用される。被合成画像に関しては、出力サイズ対応倍率が被合成画像に対しての変倍処理に使用される。
ここで、“ジョブで設定されている出力倍率”とは、出力用紙サイズに拘わらずユーザが具体的に指定した倍率値を意味する。また、“計算された出力倍率”とは、“ジョブで設定されている出力倍率”が自動に設定されているときに、処理対象画像のサイズ(典型的には原稿サイズ)と出力用紙サイズとの関係で自動的に算出される倍率を意味する。たとえば、原稿サイズがA4で出力用紙サイズがB5であれば、“計算された出力倍率”は86%になる。何れもジョブ全体に掛かる倍率を示し、オリジナル文書(非合成画像)に対する出来上り文書の倍率を示すものである。ただし、ユーザが具体的に倍率値を指定したか、ユーザは“自動”と指定して実際の倍率値は機械が計算で求めるかの違いということである。
イメージオーバーレイ選択画面MG100にて合成画像倍率設定ボタンBT152がクリックされたときには、先ず、図17〜図19の左側に示すように、被合成画像の倍率と同じ倍率にするモードにするための倍率指定なしボタンBT402と、縦横を同倍率に維持して任意倍率を設定するモードにするための任意倍率ボタンBT404と、縦横を独立に任意倍率を設定するモードにするための縦横独立倍率ボタンBT406とが、画面の左側に表示される。
ここで、任意倍率ボタンBT404がクリックされると、図17に示すように、縦横を同倍率に維持して倍率を変更するための上ボタンBT412および下ボタンBT414や倍率を数値入力するためのテンキーボタン群BT416と、設定された倍率を表示する倍率表示画面DP410が表示された合成画像任意倍率設定画面MG410が表示される。
たとえば、任意倍率ボタンBT404がクリックされた直後には、倍率表示画面DP410には倍率として100%が表示されるが、上ボタンBT412や下ボタンBT414を操作することでその倍率値を1%ずつ変更できるし、テンキーボタン群BT416にて直接に倍率値を入力することもできる。なお、可変範囲は25%〜400%である。これにより、合成画像を縮拡しようとするときに、合成される画像とは独立に、ユーザが縦横同一の任意の倍率を指定する縦横同一倍率指定が可能となる。
なお、合成画像に対する倍率値を“100%”にすると、合成画像と被合成画像の双方に対して、同一の出力サイズ対応倍率にて変倍処理がなされる。つまり、画像読取部10での副走査方向の倍率設定や画像変倍部124での主走査方向の倍率設定においては、合成画像を被合成画像と同一倍率で縮拡するように倍率指定ができるのである。
また、図17〜図19の左側において、縦横独立倍率ボタンBT406がクリックされると、図18に示すように、合成画像縦横独立倍率設定画面MG420が表示される。この合成画像縦横独立倍率設定画面MG420では、先ず図18の右側に示すように、X方向の倍率である横倍率を変更するための上ボタンBT422および下ボタンBT424と、Y方向の倍率である縦倍率を変更するための上ボタンBT432および下ボタンBT434と、X方向およびY方向の倍率を同時に変更するための上ボタンBT442および下ボタンBT444と、横倍率および縦倍率を自動で設定するための自動ボタンBT450と、設定された横倍率を表示する横倍率表示画面DP420と、設定された縦倍率を表示する縦倍率表示画面DP430とが画面の左側に表示される。また、倍率の指定に連動して、その指定された倍率の領域状態を示す倍率領域表示画面DP440が画面の左側に表示される。
たとえば、縦横独立倍率ボタンBT406がクリックされた直後には、横倍率表示画面DP420と縦倍率表示画面DP430には倍率として100%が表示されるが、上ボタンBT422,BT432や下ボタンBT424,BT434を操作することでその倍率値を1%ずつ変更できる。なお、可変範囲は25%〜400%である。これにより、合成画像を縮拡しようとするときに、被合成画像とは独立に、ユーザが縦横独立で任意の倍率を指定する縦横独立倍率指定が可能となる。
また、上ボタンBT442や下ボタンBT444を操作することで、横倍率および縦倍率を同時に変更できる。たとえば、下ボタンBT424を操作して横倍率を90%に設定し、上ボタンBT432を操作して縦倍率を110%に設定した後において、上ボタンBT442を操作すると、横倍率90%かつ縦倍率110%を始点として、横倍率および縦倍率を同時に1%ずつアップするし、下ボタンBT444を操作すると、横倍率90%かつ縦倍率110%を始点として、横倍率および縦倍率を同時に1%ずつダウンする。なお、可変範囲は25%〜400%である。
なお、横倍率100%かつ縦倍率100%を始点とすれば、上ボタンBT442を操作すると横倍率および縦倍率を同倍率に維持して1%ずつアップするし、下ボタンBT444を操作すると、横倍率および縦倍率を同倍率に維持して1%ずつダウンする。なお、可変範囲は25%〜400%である。この操作は、事実上、合成画像任意倍率設定画面MG410にて縦横倍率を同一に維持する上ボタンBT412や下ボタンBT414を操作しているのと等価の指定操作である。
また、合成画像縦横独立倍率設定画面MG420にて、自動ボタンBT450がクリックされると、図19に示すように、合成画像縦横独立倍率自動設定画面MG450が表示される。この合成画像縦横独立倍率自動設定画面MG450では、自動ボタンBT450にチェックマークが付されるとともに、横倍率表示画面DP420および縦倍率表示画面DP430にはそれぞれ“自動”の文字が表示され、上ボタンBT422,BT432,BT442や下ボタンBT424,BT434,BT444は、それらの操作を受け付けないように半輝度表示になる。
自動ボタンBT450がクリックされたときには、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200にて設定される合成画像の嵌込み位置とその領域に応じて、合成画像に対して自動で縦横の倍率が設定される。つまり、合成位置指定がたとえば対角の2点の座標指定により領域指定された場合、その指定された嵌込み領域の大きさに応じて、合成画像の主走査方向および副走査方向をそれぞれ独立の倍率で縮拡することで、指定領域のサイズとピッタリの倍率で縮拡することができる。
なお、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200にて合成画像の嵌込み位置とその領域を設定したにも拘わらず、合成画像任意倍率設定画面MG410や合成画像縦横独立倍率設定画面MG420にて合成画像の倍率が設定されたときには、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200にて設定された合成画像の嵌込み領域内に、設定された倍率で合成画像を変倍して、それぞれの中心を合わせて嵌め込む。変倍後の合成画像の方が嵌込み領域よりも大きい場合には、図1(C)にハッチングで示したように、変倍後の合成画像に対して嵌込み領域外を画像カット部126でカットして嵌込み領域に収まるようにして埋め込む。
このように、合成画像倍率設定ボタンBT152のクリックを契機として、合成画像任意倍率設定画面MG410、合成画像縦横独立倍率設定画面MG420、あるいは合成画像縦横独立倍率自動設定画面MG450を表示して倍率を設定するようにすることで、合成画像を縮拡した上で被合成画像中の所定の嵌込み領域に合成することができる。すなわち、本実施形態の構成では、設定した“合成画像”に対して、拡大や縮小を施した上でフォーム原稿などの被合成画像に合成することもできる点に大きな特徴を有するのである。
従来の仕組みでは、合成画像と被合成画像とが同サイズであることを暗黙の前提として、各画像をそのままのサイズで合成するだけであるので、合成画像の方に余分な領域がある場合には不要な画像の合成が生じてしまうし、あるいは合成画像に隠れるため被合成画像の判読必要な部分の判読が困難になる問題が生じ得る。
これに対して、本実施形態によれば、合成画像を任意の倍率で変倍して被合成画像中の所定領域に嵌め込むことができるので、原稿の必要な部分(一部に限らず全体でもよい)を合成画像として切り出して、その合成画像の全体を被合成画像に埋め込みつつ、被合成画像の元画像の判読が困難とならない所定位置に合成画像を所定サイズにして嵌め込むことで、被合成画像の判読必要な部分が合成画像に隠れる問題を軽減することができる。
また、拡縮時の倍率設定に当たっては、被合成画像と同一倍率にしたり、被合成画像とは独立に縦横同一倍率を指定したり、縦横独立倍率の指定をしたり、さらには、合成位置を領域指定した場合に指定領域サイズとピッタリの倍率で縮拡したりできるので、多彩なニーズに応じた合成画像を得ることができる。
以下、イメージオーバーレイ処理の具体的な事例について、画像読取部10で読み取った複数枚の原稿でなる1つの複写ジョブを処理対象とする場合を例に説明する。
<<イメージオーバーレイ処理の具体例;第1実施形態>>
図20は、イメージオーバーレイ処理の第1実施形態を説明する図である。また、図21は、イメージオーバーレイ処理の第1実施形態に対する変形例を説明する図である。
第1実施形態のイメージオーバーレイ処理は、複数ページに亘るジョブの先頭ページの全体を合成画像とし、残りのページを被合成画像として、合成画像に対して倍率指定がなくそのままのサイズでイメージオーバーレイ処理を行なう点に特徴を有する。一方、第1実施形態の変形例のイメージオーバーレイ処理は、複数ページに亘るジョブの最後尾のページの全体を合成画像とし、残りのページを被合成画像として、合成画像に対して倍率指定がなくそのままのサイズでイメージオーバーレイ処理を行なう点に特徴を有する。
ここでは、2ページ以降の原稿サイズと出力サイズとが同一であることを前提とし、合成画像に対して倍率指定がないので、先頭ページを読み取る際には、原稿サイズに拘わらず変倍処理を行なうことなく100%で読み取る。
ここで、図20(A)に示す第1例(事例1−1)は、合成画像と被合成画像とが同一サイズであり、合成画像に対して変倍処理を行なうことなくOR合成するものである。OR合成に代えて置換合成にしてもよい。合成位置の指定方法としては、イメージオーバーレイ位置指定画面MG300,MG302を利用して合成位置P302(0,0)を指定している。
合成画像と被合成画像とが同一サイズであるので、両者を合成すると、事実上、従来と同様に、同サイズの2枚の画像同士を単純に合成するものとなる。たとえば、自動原稿搬送装置112にセットされた原稿束の1枚目の原稿画像全体を合成原稿として読み込んだ画像(合成画像)を蓄積装置に格納し、引き続き読み込んだ2枚目以降の原稿画像に順次合成していくことができる。
ただし、処理結果が同じと言うだけであって、そのための指定に当たり、読み取った1枚目の原稿のどの部分を合成画像とするかの指定処理があるし、残りの原稿画像のどの部分に埋め込むかの指定処理がある点で、従来の手法とは異なる。この第1実施形態の第1例によれば、従来と同様に、同サイズの2枚の画像同士を単純に合成することもできるのである。
一方、図20(B)に示す第2例(事例1−2)は、合成画像が被合成画像よりも小一サイズであり、合成画像に対して変倍処理を行なうことなく置換合成するものである。置換合成に代えてOR合成にしてもよい。合成位置の指定方法としては、イメージオーバーレイ位置指定画面MG300,MG302を利用して合成位置P302(AA,BB)を指定している。
この第2例のイメージオーバーレイ処理では、合成画像と被合成画像とが異サイズであっても、小サイズの合成画像を被合成画像の所定位置に嵌め込んで合成することができるのである。たとえば、自動原稿搬送装置112にセットされた原稿束の1枚目の原稿画像全体を合成原稿として読み込んだ小サイズの画像(合成画像)を蓄積装置に格納し、引き続き読み込んだ2枚目以降の大サイズの原稿画像の所定位置に順次合成していくことができる。従来の手法では、合成画像と被合成画像とが同サイズであることを暗黙の前提としており、この第2例のような合成処理を行なうに当たっては問題が生じるのと大きく異なるのである。
なお、この第1実施形態では、2ページ以降の原稿サイズと出力サイズとが同一であることを前提としているが、2ページ以降の原稿サイズと出力サイズとが異なる場合には、その倍率を加味して合成画像となる1ページ目の読取り時の倍率(出力サイズ対応倍率という)を決めるのが好ましいのである。
しかしながら、1ページ目を読み取る時点では出力サイズ対応倍率が不明であるので、1ページ目の2ページ以降の原稿サイズが異なる第2例の場合にはそれができない難点がある。出力サイズ対応倍率を考慮せず常に100%で1ページ目を読み取ると、出力サイズに応じて、相対的に、合成画像と被合成画像のサイズが異なってしまう。また、読込み時の倍率設定を自動に設定している場合には、原稿サイズと出力用紙サイズとの関係で読込み時の倍率が自動的に変更されてしまうので、同様に不都合が生じる。なお、第1例の場合、ジョブ全体が同一サイズであるので、1ページ目も出力サイズ対応倍率で読み取ればよく、問題は生じない。
このような問題を解消する手法としては、たとえば、縦、横の何れについても変倍処理を電子データ上で行なうようにし、1ページ目を読み取ったら一旦その読取画像を保存しておき、2ページ以降を読み取る際の出力サイズ対応倍率を勘案して1ページ目の画像を変倍すればよい。あるいは、2ページ以降の出力サイズ対応倍率をユーザから指定してもらうことで、全ページを同一倍率で読み取るようにする。
あるいは、後述する第2実施形態のように、合成画像を被合成画像よりも後に読み取るようにするとよい。本例で言えば、合成画像設定ボタンBT126(最後尾)を利用して、図21に示すように、複数ページの原稿の内、最後尾のページを合成画像を含む原稿とし、それ以前の残りの全てのページを被合成画像の原稿とする。
<<イメージオーバーレイ処理の具体例;第2実施形態>>
図22は、イメージオーバーレイ処理の第2実施形態を説明する図である。この第2実施形態のイメージオーバーレイ処理は、複数ページに亘るジョブの先頭ページを被合成画像とし、残りのページ(先頭ページ以外)の全体を合成画像として、イメージオーバーレイ処理を行なう点に特徴を有する。たとえば、設計書などの定型フォーム文書を先頭ページに置き、その定型フォーム文書の一部分(未記入部分)に、それぞれ個別の情報を合成していく際に利用すると都合のよい態様である。なお、残りのページの合成画像の横サイズは、被合成画像の横サイズと同サイズである。
ここで、図22(A)に示す第1例(事例2−1)は、合成画像に対して変倍処理を行なうことなく置換合成するものである。置換合成に代えてOR合成にしてもよい。合成位置の指定方法としては、イメージオーバーレイ位置指定画面MG300,MG302を利用して合成位置P302(AA,BB)を指定している。合成画像に対して倍率指定がないので、2ページ以降を読み取る際には、原稿サイズに拘わらず変倍処理を行なうことなく100%で読み取る。
この第1例のイメージオーバーレイ処理では、先頭ページに置かれた大サイズの被合成画像の所定位置に、残りの小サイズのページ画像を順次合成画像として、嵌め込んで合成することができるのである。たとえば、自動原稿搬送装置112にセットされた原稿束の1枚目の原稿画像全体を被合成原稿として読み込んだ画像(被合成画像)を蓄積装置に格納し、その被合成画像の所定位置に、引き続き読み込んだ2枚目以降の原稿画像の全体を合成画像として、そのままのサイズで順次合成していくことができる。
一方、図22(B)に示す第2例(事例2−2)は、合成画像に対して縦横独立倍率(自動)が設定された状態で、置換合成するものである。置換合成に代えてOR合成にしてもよい。合成位置の指定方法としては、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200を利用して右上コーナーP206(AA,BB),左下コーナーP208(CC,DD)を指定することで嵌込み領域を指定している。
合成画像に対して縦横独立倍率(自動)が指定されているので、2ページ以降を読み取る際には、1ページ目の原稿サイズにおける嵌込み領域に合わせて、副走査方向については走査速度を切り替えることで縮小し、主走査方向については画像変倍部124によるデータ処理にて縮小して読み取る。
この第2例のイメージオーバーレイ処理では、先頭ページに置かれた大サイズの被合成画像の指定された嵌込み領域に、残りの小サイズのページ画像を順次合成画像として、嵌込み領域に収まるように縦横を同倍率で自動的に縮小してから嵌め込んで合成することができるのである。
なお、第1例および第2例の何れについても、1ページ目の原稿サイズ(たとえばA4)と出力サイズ(たとえばB5)とが異なる場合には、その倍率をも加味して読取り時の倍率を決める。被合成画像を合成画像よりも先に読み取っているので出力サイズ対応倍率を予め知ることができ、合成画像を後で読み取る際に、その出力サイズ対応倍率をも加味して合成画像を読み取る際の倍率を決めることができる利点がある。
<<イメージオーバーレイ処理の具体例;第3実施形態>>
図23は、イメージオーバーレイ処理の第3実施形態を説明する図である。ここでは、2ページ以降の原稿サイズと出力サイズとが同一であることを前提とする。なお、1ページ目と2ページ以降とが異サイズで、かつ2ページ以降の原稿サイズと出力サイズとが異なる場合には、第1実施形態の第2例と同様の問題を生じる。
この第3実施形態のイメージオーバーレイ処理は、ジョブ全体が同一サイズである複数ページに亘るジョブの先頭ページの一部分を合成画像とし、残りのページ(先頭ページ以外)を被合成画像として、所定位置にイメージオーバーレイ処理を行なう点に特徴を有する。原稿の任意の領域を合成画像として取り出せば、原稿同士を使った単純合成の場合に不要な画像の合成が生じてしまう問題を容易に防ぐことができる。
合成画像領域の指定方法としては、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200を利用して右上コーナーP202(AA,BB),左下コーナーP204(CC,DD)を指定することで合成画像領域を指定している。また、被合成画像における合成位置の指定方法としては、イメージオーバーレイ位置指定画面MG300,MG302を利用して合成位置P302(EE,FF)を指定している。
ここで、図23(A)に示す第1例(事例3−1)は、1ページ目の原稿画像において領域指定された合成画像に対して縦横独立変倍処理(指定)が設定された状態でOR合成(置換合成でもよい)するものである。たとえば、自動原稿搬送装置112にセットされた原稿束の1枚目の原稿を読み取り、その1枚目原稿の指定領域の画像を合成画像とし、引き続き読み込んだ2枚目以降の原稿画像の合成位置P302(EE,FF)に合成画像の右上コーナーP202(AA,BB)が一致するようにし、かつ指定された縦倍率および横倍率(各倍率が異なっていてよい)で合成画像を変倍して順次合成していく。
一方、図23(B)に示す第2例(事例3−2)は、1ページ目の原稿画像において領域指定された合成画像に対して任意倍率が設定された状態で置換合成(OR合成でもよい)するものである。たとえば、自動原稿搬送装置112にセットされた原稿束の1枚目の原稿を読み取り、その1枚目原稿の指定領域の画像を合成画像とし、引き続き読み込んだ2枚目以降の原稿画像の合成位置P302(EE,FF)に合成画像の右上コーナーP202(AA,BB)が一致するようにし、かつ指定された倍率(縦倍率および横倍率が同一である)で合成画像を変倍して順次合成していく。置換合成の場合、変倍済の合成画像と置き換える。
<<イメージオーバーレイ処理の具体例;第4実施形態>>
図24は、イメージオーバーレイ処理の第4実施形態を説明する図である。この第4実施形態のイメージオーバーレイ処理は、ジョブ全体が同一サイズである複数ページに亘るジョブの先頭ページの一部分を合成画像とし、残りのページ(先頭ページ以外)を被合成画像として、所定位置にイメージオーバーレイ処理を行なう点で第3実施形態と共通する。ただし、被合成画像における合成位置の指定方法が領域指定である点で、被合成画像における合成位置の指定方法が位置指定である第3実施形態と異なる。
ここでは、2ページ以降の原稿サイズと出力サイズとが同一であることを前提とする。なお、1ページ目と2ページ以降とが異サイズで、かつ2ページ以降の原稿サイズと出力サイズとが異なる場合には、第1実施形態の第2例と同様の問題を生じる。
合成画像領域の指定方法としては、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200を利用して右上コーナーP202(AA,BB),左下コーナーP204(CC,DD)を指定することで合成画像領域を指定している。また、被合成画像における合成位置の指定方法としては、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200を利用して右上コーナーP206(EE,FF),左下コーナーP208(GG,HH)を指定することで嵌込み領域を指定している。
ここで、図24(A)に示す第1例(事例4−1)は、1ページ目の原稿画像において領域指定された合成画像に対して縦横独立変倍処理(自動)が設定された状態でOR合成するものである。たとえば、自動原稿搬送装置112にセットされた原稿束の1枚目の原稿を読み取り、その1枚目原稿の指定領域の画像を合成画像とし、引き続き読み込んだ2枚目以降の原稿画像の嵌込み領域P206(EE,FF),P208(GG,HH)に合成画像が収まるように、縦倍率および横倍率を自動的に調整(各倍率が異なっていてよい)して順次OR合成していく。
一方、図24(B)に示す第2例(事例4−2)は、1ページ目の原稿画像において領域指定された合成画像に対して縦横独立変倍処理(自動)が設定された状態で置換合成するものである。第1例(事例4−1)との相違は、合成方法がOR合成であるのか置換合成であるのかだけである。
<<イメージオーバーレイ処理の具体例;第5実施形態>>
図25は、イメージオーバーレイ処理の第5実施形態を説明する図である。この第5実施形態のイメージオーバーレイ処理は、複数ページに亘るジョブの先頭ページを被合成画像とし、残りのページ(先頭ページ以外)の一部分を合成画像として、イメージオーバーレイ処理を行なう点に特徴を有する。たとえば、設計書などの定型フォーム文書を先頭ページに置き、その定型フォーム文書の一部分(未記入部分)に、他の文書の一部分の情報を合成していく際に利用すると都合のよい態様である。
合成画像領域の指定方法としては、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200を利用して右上コーナーP202(AA,BB),左下コーナーP204(CC,DD)を指定することで合成画像領域を指定している。また、被合成画像における合成位置の指定方法としては、イメージオーバーレイ位置指定画面MG300,MG302を利用して合成位置P302(EE,FF)を指定している。
ここで、図25(A)に示す第1例(事例5−1)は、2ページ以降の原稿画像において領域指定された合成画像に対して任意倍率が設定された状態でOR合成するものである。たとえば、自動原稿搬送装置112にセットされた原稿束の1枚目の原稿画像全体を被合成原稿として読み込んだ画像(合成画像)を蓄積装置に格納し、その被合成画像の所定位置P302(EE,FF)に、引き続き読み込んだ2枚目以降の原稿画像の指定された領域を合成画像としてその合成画像の右上コーナーP202(AA,BB)が一致するようにし、 かつ指定された倍率(縦倍率および横倍率が同一である)で合成画像を変倍して順次OR合成していく。
一方、図25(B)に示す第2例(事例5−2)は、2ページ以降の原稿画像において領域指定された合成画像に対して任意倍率が設定された状態で置換合成するものである。第1例(事例5−1)との相違は、合成方法がOR合成であるのか置換合成であるのかだけである。
<<イメージオーバーレイ処理の具体例;第6実施形態>>
図26は、イメージオーバーレイ処理の第6実施形態を説明する図である。この第6実施形態のイメージオーバーレイ処理は、複数ページに亘るジョブの先頭ページを被合成画像とし、残りのページ(先頭ページ以外)の一部分を合成画像として、イメージオーバーレイ処理を行なう点で第5実施形態と共通する。
ただし、被合成画像における合成位置の指定方法が領域指定である点で、被合成画像における合成位置の指定方法が位置指定である第5実施形態と異なる。たとえば、設計書などの定型フォーム文書を先頭ページに置き、その定型フォーム文書の指定した領域(未記入部分)にピッタリと収まるように、他の文書の一部分の情報を合成していく際に利用すると都合のよい態様である。
合成画像領域の指定方法としては、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200を利用して右上コーナーP202(AA,BB),左下コーナーP204(CC,DD)を指定することで合成画像領域を指定している。また、被合成画像における合成位置の指定方法としては、イメージオーバーレイ領域指定画面MG200を利用して右上コーナーP206(EE,FF),左下コーナーP208(GG,HH)を指定することで嵌込み領域を指定している。
ここで、図26(A)に示す第1例(事例6−1)は、2ページ以降の原稿画像において領域指定された合成画像に対して縦横独立変倍処理(自動)が設定された状態でOR合成するものである。たとえば、自動原稿搬送装置112にセットされた原稿束の1枚目の原稿画像全体を被合成原稿として読み込んだ画像(被合成画像)を蓄積装置に格納し、引き続き読み込んだ2枚目以降の原稿画像の指定された領域を合成画像とし、被合成画像のP206(EE,FF),P208(GG,HH)で画定される嵌込み領域に合成画像がピッタリと収まるように、つまり、合成画像の右上コーナーP202(AA,BB)が被合成画像の右上コーナーP206(EE,FF)に一致し、かつ合成画像の左下コーナーP204(CC,DD)が被合成画像の左下コーナーP208(GG,HH)に一致するように、縦倍率および横倍率を自動的に調整(各倍率が異なっていてよい)して順次OR合成していく。
一方、図26(B)に示す第2例(事例6−2)は、2ページ以降の原稿画像において領域指定された合成画像に対して縦横独立変倍処理(自動)が設定された状態で置換合成するものである。第1例(事例6−1)との相違は、合成方法がOR合成であるのか置換合成であるのかだけである。
<<イメージオーバーレイ処理の具体例;第7実施形態>>
図27は、イメージオーバーレイ処理の第7実施形態を説明する図である。この第7実施形態のイメージオーバーレイ処理は、最終結果物として、前述の第1〜第6実施形態により合成された合成済画像を用いて、さらに指定されたレイアウトでページ割付処理がなされたものを取得する点に特徴を有する。特に、この第7実施形態のイメージオーバーレイ処理は、ページ割付処理としてNアップ処理を行なう点に特徴を有する。
このNアップ処理時には、画像張付部230は、Nアップモードで規定されているレイアウトおよび向きになるように画像を縮小したり、画像回転部232により画像を回転させたりする。
たとえば、図27(A)に示す第1例(事例7−1)は、1枚の出力用紙に第1実施形態により合成された合成済画像の2枚分を均等に配置する2アップ処理の態様である。このとき、たとえば図27(A1)に示すように、先にイメージオーバーレイ処理(合成処理)を行なうようにしてもよい。すなわちA4サイズで縦置き(LEFと呼ぶ)の原稿を読み取って、第1実施形態の第1例(事例1−1)によるイメージオーバーレイ処理を実行しつつ、画像張付部230にて、A4サイズで縦置き(LEF)の出力用紙上に、合成済画像を横並びに配置してから縮小することで2アップして、2枚分の合成済画像を1枚の出力用紙上に配置していく。
あるいは、図27(A2)に示すように、先にNアップ処理を行なうようにしてもよい。すなわち1枚目原稿を横並びに配置した後に縮小することで2アップしてから、本文向きに合わせて回転した2アップ画像を合成画像とし、さらに2枚目以降の各2枚の原稿画像も横並びに配置した後に縮小し2アップしてから、本文向きに合わせて回転した2アップ画像を最終的な被合成画像とし、それらを順次合成してもよい。
つまり、複数枚の原稿を並べて配置して出力するNアップモードが選択された場合に、Nアップモードで規定されているレイアウトおよび向きになるように合成画像を繰り返し並べた画像を最終的な合成画像とし、かつ被合成画像についても複数ページの画像をNアップして最終的な被合成画像とし、最終的な被合成画像の所定の嵌込み領域に最終的な合成画像を合成するのである。
何れにしても、ページ割付機能の一例であるNアップ処理機能とイメージオーバーレイ処理機能とを組み合わせる場合に、被合成画像の出力向きに合わせて合成画像を回転して合成された結果物を出力するようにすることで、合成画像と被合成画像の出力向きを揃えることができればよいのである。
一方、図27(B)に示す第2例(事例7−2)も、1枚の出力用紙に第1実施形態により合成された合成済画像の2枚分を均等に配置する2アップ処理の態様であるが、出力用紙サイズが第1例(事例7−1)と異なる。具体的には、先にイメージオーバーレイ処理を行なうようにしてもよく、A4サイズで縦置き(LEFと呼ぶ)の原稿を読み取って、合成画像および被合成画像ともに領域指定する第4実施形態によるイメージオーバーレイ処理を実行しつつ、A3サイズで横置き(SEFと呼ぶ)の出力用紙上に、合成済画像をそのままのサイズで横並びに配置することで2アップして、2枚分の合成済画像を1枚の出力用紙上に配置していく。
あるいは、先にNアップ処理を行なうようにしてもよく、1枚目原稿の指定された領域を合成画像として、A4サイズで縦置き(LEF)の被合成画像の指定された嵌込み領域と対応するA3サイズで横置き(SEF)の出力用紙上の2箇所の嵌込み領域に合成画像が収まるように縦倍率および横倍率を自動的に調整(各倍率が異なっていてよい)し横並びで配置することで2アップして最終的な合成画像とし、さらに2枚目以降の各2枚の原稿画像をそのままのサイズおよび向きで配置し2アップして最終的な被合成画像とし、それらを順次合成してもよい。
第1例(事例7−1)および第2例(事例7−2)の何れにおいても、イメージオーバーレイ処理を先に実行するのか、2アップ処理を先に実行するのかの違いがあるが、最終結果物は同じになる。ただし、イメージオーバーレイ処理を先に実行する態様では、処理が簡易であるという利点があり、一方、2アップ処理を先に実行する態様では、合成後の出力画像に対してさらに様々な編集処理を加えることができる点で利点がある。
たとえば、ソフとウエアでメモリ上の画像を操作するのであれば、どのタイミングでも合成処理を実施することが可能であるが、ソフトウエアで実施した場合は非常に処理時間が掛かるので、全ての原稿画像に対して実施する合成処理としては不向きで、ハードウエアで実施することの方が利点がある。これから、合成処理を先に実施するか、割付処理を実施するかは、ハードウエアを含めたシステム構成の違いで決まることになる。
たとえば、用紙1面に割り付けられる画像に対して、個々に同じ合成画像を合成するケースでは、どちらでも構わないと考えてよい。また、処理的には先に合成処理を実施した後で割付処理を実施する方が楽とも考えられる。
しかし、画像合成には色々な用途があり、1面に割り付けられた画像全体に対して、1枚の合成画像を合成するようなものもある。そういったケースでは、割付処理を先に実施する必要がある。
たとえば、「複製管理」といった機能を設ける場合、不正なコピーを心理的に抑制するため、コピー時にコピーしたユーザーID、コピー日時、コピーした機械番号、などの文字列をコピー全面に透かし印字する機能を設ける。この透かし印字の機能と本実施形態の画像合成機能とを組み合せることを考えた場合、合成処理前に割付処理が必要になる。ハード的な仕組みの合成装置が複数用意できれば、何れを先に行なうかは問題ないのであるが、コストの関係でそういった構成を採ることは得策ではなく、この場合、割付処理を先に実施すると、合成装置が1つで済むようになる。
<<イメージオーバーレイ処理の具体例;第7実施形態の変形例>>
図28は、イメージオーバーレイ処理の第7実施形態の変形例を説明する図である。この第7実施形態の変形例のイメージオーバーレイ処理は、回転処理を、ページ割付機能と独立に行なう点に特徴を有する。
すなわち、第7実施形態では、合成画像に対する回転処理機能をページ割付機能と組み合わせた事例で説明したが、ページ割付機能と組み合わせない場合でも、画像合成部220の画像回転部222は、被合成画像の出力向きに合わせて合成画像を回転して合成された結果物を出力するようにすることで、合成画像と被合成画像の出力向きを揃える構成にすることができる。
なお、合成画像の向きが被合成画像の向きに合うようにすればよく、回転対象は合成画像および被合成画像の何れでもよく、合成画像と被合成画像とを相対的に回転させればよいのである。
たとえば、図28に示すように、合成画像が横置きで、被合成画像が縦置きであり、両者の向きが異なる場合、被合成画像の向きに合わせて合成画像を回転して合成された結果物を出力するようにすることで、合成画像と被合成画像の出力向きを揃えることができればよいのである。
また、原稿中における合成画像の向きと被合成画像の向きに拘わらず、ユーザの好みによって、画像合成時に、他方の原稿画像を被合成画像として、その所定の嵌込み領域に合成画像を回転させて、OR合成もしくは置換合成して嵌め込むこともできる。
<<イメージオーバーレイ処理の具体例;第8実施形態>>
図29は、イメージオーバーレイ処理の第8実施形態を説明する図である。この第8実施形態のイメージオーバーレイ処理は、最終結果物として、前述の第1〜第6実施形態により合成された合成済画像を用いて、さらに指定されたレイアウトでページ割付処理がなされたものを取得する点に特徴を有する。特に、この第8実施形態のイメージオーバーレイ処理は、ページ割付処理としてマルチコピー処理を行なう点に特徴を有する。
たとえば、第2実施形態の第2例(事例2−2)により合成された合成済画像の1枚分を1枚の出力用紙に2つ均等に配置する態様である。
この際には、図29(A)に示す第1例(事例8−1)のように、先にイメージオーバーレイ処理を行なうようにしてもよい。すなわちA4サイズで縦置き(LEFと呼ぶ)の原稿を読み取って、第2実施形態の第2例(事例2−2)によるイメージオーバーレイ処理を実行しつつ、画像張付部230にて、A3サイズで横置き(SEF)の出力用紙上に、その合成済画像を横並びに2つ配置して、同一の合成済画像を2つ出力用紙上に配置していく。
あるいは、図29(B)に示す第2例(事例8−2)のように、先にマルチコピー処理を行なうようにしてもよい。すなわち、1枚目原稿を横並びに2つ配置してつまりマルチコピー処理をして被合成画像とし、さらに2枚目以降の各1枚の原稿画像も横並びに2つ配置してつまりマルチコピー処理をすることで合成画像を生成してから、それらのマルチコピー処理がされた画像同士を順次合成してもよい。つまり、複数枚の原稿を並べて配置して出力するNアップモードが選択された場合に、マルチコピーモードで規定されているレイアウトおよび向きになるように合成画像を繰り返し並べた画像を最終的な合成画像とし、かつ被合成画像についても同一ページの画像をマルチコピーして最終的な被合成画像とし、最終的な被合成画像の所定の嵌込み領域に最終的な合成画像を合成するのである。
第1例(事例8−1)および第2例(事例8−2)の何れにおいても、イメージオーバーレイ処理を先に実行するのか、マルチコピー処理を先に実行するのかの違いがあるが、最終結果物は同じになる。ただし、イメージオーバーレイ処理を先に実行する態様では、処理が簡易であるという利点があり、一方、2アップ処理を先に実行する態様では、合成後の出力画像に対してさらに様々な編集処理を加えることができる点で利点がある。この点は、上述のNアップ処理における第1例(事例7−1)と第2例(事例7−2)との関係と同様である。
なお、イメージオーバーレイ処理とページ割付処理の組合せの事例として、第7実施形態ではNアップ処理との組合せを説明し、第8実施形態ではマルチコピー処理との組合せを説明したが、これらの組合せに限らず、小冊子出力処理やイメージリピート処理などのその他のページ割付けと関わりを持つ各種の特殊出力機能用の画像処理と組み合わせることもできる。何れにしても、最終結果物として、イメージオーバーレイ処理された合成済画像を所定サイズにして特殊出力の指定レイアウトに応じて必要個数分を張り合わせたものが得られればよいのである。
それらの変形態様においても、イメージオーバーレイ処理を先に実行するのか、それらのページ割付処理を先に実行するのかは自由である。ただし、何れを先に実行するかで、第7あるいは第8実施形態で説明したことと略同様の優劣が生じる。
<<イメージオーバーレイ処理の具体例;第9実施形態>>
図30は、イメージオーバーレイ処理の第9実施形態を説明する図である。この第9実施形態のイメージオーバーレイ処理は、最終結果物として、前述の第1〜第6実施形態により合成された合成済画像を用いて、さらに両面印刷したものを取得する点に特徴を有する。特に、この第9実施形態は、合成画像および被合成画像ともに領域指定する第4実施形態によるイメージオーバーレイ処理を適用している。
たとえば、図30(A)に示す第1例(事例9−1)は、第4実施形態の第2例(事例4−2)を適用して、2ページ以降の原稿画像を読み取って得た被合成画像の指定された嵌込み領域に、1ページ目を読み取って得た原稿画像の指定された領域を合成画像として上記実施形態と同様に通常通り嵌め込むことで合成済画像を順次取得し、これらの合成済画像を、通常の両面印刷と同様にして、用紙の表面と裏面に順次出力していく。第2例とは異なり、裏面についてのイメージオーバーレイ処理時に、180度回転して合成する必要はない。
あるいは、図30(B)に示す第2例(事例9−2)のように、合成位置に関して所定の処理を加えておいてもよい。たとえば、1枚目原稿の指定エリアを2枚以降の指定位置の画像と置き換えて合成する。裏面は180度回転して合成する。
第1例(事例9−1)および第2例(事例9−2)の何れにおいても、裏面を180度回転して合成するか否かの違いがあるが、最終結果物は同じになる。第1例(事例9−1)の態様では、処理が簡易であるという利点があり、一方、第2例(事例9−2)の態様では、合成後の出力画像に対してさらに様々な編集処理を加えることができる点で利点がある。両面印刷との関わりでは、画像を上下に反転する編集を加えることができる点が利点となる。
すなわち、両面印刷は画像出力部の印字処理にて対処可能である。しかし、表裏の関係を正対して出力したり、180度反転した状態で出力したりするケースがあるので、先に画像合成した後に両面処理する分には、画像出力部の印字処理にて対処しても問題ないが、非合成画像と合成画像を出力時点で合成する構成において、合成画像と非合成画像の裏面に対する画像向き(回転)について調整が必要となる場合には、画像出力部の印字処理にて対処できないこともある。
たとえば、両面コピーの場合、出力結果を左右開きにするか上下開きにするかを指定できる。左右開きは出力結果を左右に開いたときに表裏の画像が同じ向きに見えるもので、上下開きは上下に開いたときに表裏の画像が同じ向きになる。つまり、出力画像として左右開きは表裏の天の向きを同じ方向に出力し、上下開きは表裏の天の向きを180度反転した向きで出力する。
なお、第2例(事例9−2)の態様では上下開きのケースを記述しているので、「裏面は180度回転して合成」となる。したがって、180度回転する対象は、合成画像、非合成画像の両方である。
上下開きで180度回転するとは言っても、これはあくまれ出力結果として表に対して180度反転しているということであり、必ずしも180度回転処理が実施される訳ではない。両面コピーは用紙の表に表面の画像を転写後、用紙自体を両面パスを通すことで反転させて、裏面画像を用紙の裏面に転写するので、用紙の反転向きが用紙に印字されている画像を上下に反転されるケースでは処理上の180度回転は不要である。逆に、左右開きが指定された場合でも、用紙の反転向きが用紙に印字されている画像を上下に反転されるケースでは180回転して画像を正対させる必要がある。
<<処理手順1>>
図31は、被合成画像と合成画像とを、画像読取部10で読み取ることで取得する手順(処理手順1という)を説明するフローチャートである。基本的には、合成処理設定部150を介してユーザから指定された合成画像設定に従って、自動原稿搬送装置112に搭載された原稿束の1枚目から順にCVT方式で読み込むことで原稿画像を取得し、この取得した原稿画像を順次画像蓄積部40に格納していく。
ただし、イメージオーバーレイ処理の具体例として第1〜第6実施形態で説明したように、原稿束の何れのページを被合成画像や合成画像にするかや嵌込み領域や合成画像領域などには様々な態様があり、その態様に応じて、倍率や合成画像の切出し領域などの読込みパラメータを変更する必要がある。
たとえば、イメージオーバーレイ処理(画像合成処理)における原稿読込み処理が開始すると、中央制御部270は、これから読み込もうとする処理対象原稿が1枚目の原稿であるのか否かを判断する(S110)。1枚目の原稿である場合には(S110−YES)、中央制御部270は、イメージオーバーレイ選択画面MG100におけるボタンBT122,BT124,BT126による合成画像の指定がどのようになっているかを判断する(S120)。そして、たとえば、合成画像設定ボタンBT122(先頭=1枚目)がクリックされていたときには(S120−YE)、1枚目の原稿に対して合成画像用の読込みパラメータを設定する(S122)。また、合成画像設定ボタンBT124(先頭以外)がクリックされていたときには(S120−N)、1枚目の原稿を被合成画像にするモードであると判断し、1枚目の原稿に対して被合成画像用の読込みパラメータを設定する(S124)。
一方、1枚目の原稿でない場合つまり2枚目以降の原稿である場合にも同様に(S110−NO)、中央制御部270は、イメージオーバーレイ選択画面MG100におけるボタンBT122,BT124,BT126による合成画像の指定がどのようになっているかを判断する(S130)。そして、たとえば、合成画像設定ボタンBT124(先頭以外)がクリックされていたときには(S130−NO)、1枚目の原稿を被合成画像にするモードであると判断し、2枚目以降の原稿に対して合成画像用の読込みパラメータを設定する(S132)。また、合成画像設定ボタンBT122(先頭=1枚目)がクリックされていたときには(S130−YES)、2枚目以降の原稿に対して被合成画像用の読込みパラメータを設定する(S134)。
このようにして被合成画像用および合成画像用の各読込みパラメータの設定が完了すると、中央制御部270は、画像読取部10に対して原稿画像の読取りを指示する。この指示を受けた画像読取部10の画像入力部110は、自動原稿搬送装置112に載置されている原稿束の処理対象ページをCVT方式でスキャンして読み込むことで原稿画像を取得し、この取得した原稿画像を入力画像処理部120に渡す(S150)。
この際、画像入力部110は、イメージオーバーレイ処理との関わりで副走査方向についての変倍処理が必要なときには、原稿の搬送速度を定常速度と異なるように調整することで、読込み時の副走査方向の走査速度を変更する。
入力画像処理部120は、画像入力部110から受け取った原稿画像に対して、読込みパラメータに従って、トリミングす処理、主走査方向についての変倍処理、画像カット処理、画像シフト処理、マスキング処理などを順次施し、処理済みの原稿画像をコントローラ部20に渡す。コントローラ部20は、入力画像処理部120から受け取った原稿画像を一旦画像蓄積部40に格納する(S160)。
中央制御部270は、自動原稿搬送装置112に搭載された原稿束の全てについて、このような処理が完了するまで繰り返すように制御する(S170)。
<<処理手順2>>
図32および図33は、画像蓄積部40に格納した各ページの原稿画像を被合成画像もしくは合成画像として取り扱いつつイメージオーバーレイ処理を行ない、処理後の画像を出力用紙上に形成する手順(処理手順2という)を説明するフローチャートである。
基本的には、前述の処理手順1にて画像蓄積部40に保存した原稿画像を読み出し、1枚目と2枚目以降の画像とを随時合成して出力する。その過程で、画像合成部220や画像張付部230は合成済画像を再度画像蓄積部40に保存し、画像出力部30は、画像蓄積部40から合成済画像を読み出して出力用紙上に画像を形成していく。また、画像出力部30は、設定部数が2部以上の場合も同様に、画像蓄積部40から合成済画像を読み出して出力用紙上に画像を形成していくことで、残り部数分を順次処理する。
なお、ここでは、画像合成後に、N−アップ/イメージリピート/マルチコピーといったページ割付処理を行なう事例で示す。これとは逆に、ページ割付処理のうち小冊子出力を除くN−アップ/イメージリピート/マルチコピーを原稿読取時に行なうことも可能である。この場合の処理手順は、図示しないが、各原稿のスキャン開始前に、これからスキャンする原稿が合成原稿なのか非合成原稿なのかを判断して、その結果で原稿のスキャンパラメータを決定し、そのパラメータに応じてスキャン&画像編集(縮拡・回転・マスキング・トリミング・ページ割付、など)を実施後に、蓄積装置に一旦格納し、その後合成画像を読み出し、以降順次非合成画像を読み出して合成画像と非合成画像を合成して出力装置側に出力する。小冊子におけるページ割付処理は画像合成処理の直前に実施する。
たとえば、イメージオーバーレイ処理(画像合成処理)における画像合成処理および出力処理が開始すると、画像合成部220は、画像蓄積部40から1ページ目の原稿画像を読み出し(S210)、さらに次ページの原稿画像を読み出す(S220)。
画像合成部220と画像張付部230とは、協働して、1ページ目の原稿画像と次ページ以降の原稿画像とを使ってOR合成もしくは置換合成を行なう(S230)。なお、ページ割付処理が設定されているときには(S234−YES)、画像張付部230は、設定されているページ割付処理内容に従って、Nアップ処理や、小冊子出力処理や、イメージリピート処理や、マルチコピー処理などのページ割付けと関わりを持つ各種の特殊出力機能用の画像処理を実行する(S236)。画像合成部220や画像張付部230は、合成済画像を画像蓄積部40に保存する(S238)。
なお、イメージオーバーレイ処理が第1,第3,第4の各実施形態の態様であるときには1ページ目の原稿画像を合成画像とし次ページ以降の原稿画像を被合成画像とし、またイメージオーバーレイ処理が第2,第5,第6の各実施形態の態様であるときには1ページ目の原稿画像を被合成画像とし次ページ以降の原稿画像を合成画像とする。
中央制御部270は、画像蓄積部40に保存されている処理対象ジョブの全てのページについて、このような処理が完了するまで繰り返すように制御する(S250)。
このようにして被合成画像と合成画像とを設定内容に従って合成して、全ページの合成済画像を画像蓄積部40に保存した後には、出力画像処理部240と画像出力部30とは協働して、画像蓄積部40から合成済画像を読み出して出力用紙上に画像を形成していくことで、各部の画像形成処理を完了させる。
たとえば、出力画像処理部240は、画像蓄積部40から出力用紙1枚分の合成済画像を読み出して画像出力部30で使用する出力画像データ(たとえばY,M,C,Kの各出力色データ)に変換し、その出力画像データY,M,C,Kを画像出力部30に渡す(S270)。画像出力部30は、出力画像処理部240から受け取った出力画像データY,M,C,Kに基づき出力用紙上に合成済画像を形成する(S272)。
中央制御部270は、画像蓄積部40に保存されている処理対象ジョブの全ての合成済画像について、このような処理(S270,S272)が完了するまで繰り返すように制御する(S280)。出力対象の合成済画像が無くなると(S280−NO)、中央制御部270は、全ての部数について、このような処理(S270,S272)が完了するまで繰り返すように制御する(S290)。
なお、図32では、残り部数が存在するか否かの判定処理(S290)をステップS280の後に行なうようにしているが、図33に示すように、ステップS250の直後に残り部数が存在するか否かの判定処理(S260)を行なうようにしてもよい。
1…画像形成システム、3…画像入力端末、7…画像出力端末(画像形成装置)、10…画像読取部、15…ユーザインタフェース部、15a…操作パネル部、15b…操作キー部、16…ユーザインタフェース装置、20…コントローラ部、30…画像出力部、32…画像形成ユニット、34…両面印刷ユニット、36…排出ユニット39…処理基板、40…画像蓄積部、80…給送部、82…給送トレイ、83…手差しトレイ、110…画像入力部、112…自動原稿搬送装置、114…プラテンガラス、116…スキャナユニット、120…入力画像処理部、122…画像トリミング部、124…画像変倍部、126…画像カット部、128…画像シフト部、130…画像マスキング部、132…通信インタフェース部、150…合成処理設定部、152…合成方法設定部、154…合成画像設定部、156…合成画像領域設定部、158…合成位置設定部、160…合成画像倍率設定部、170…表示制御部、202…画像合成処理部、220…画像合成部、222…画像回転部、230…画像張付部、232…画像回転部、240…出力画像処理部、270…中央制御部、280…入力パラメータ設定部