本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いながら説明する。但し、本発明は以下の形態に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態1〜7は自由に組み合わせて用いることができる。
(実施の形態1)
本実施の形態において、絶縁膜の一部をメモリとして利用する記憶装置について説明する。
まず、基板100上に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)110を形成する(図1(A))。薄膜トランジスタ110は、少なくとも基板100上に下地絶縁膜101を介して設けられた不純物領域102、103を有する半導体膜104と、当該半導体膜104上にゲート絶縁膜105を介して設けられたゲート電極106と、ゲート電極106を覆って設けられた膜厚50nm〜200nmの絶縁膜107とを有している。なお、薄膜トランジスタの形態は本実施の形態に示すものに限られない。
次に、絶縁膜107上に膜厚600nm〜1500nmの絶縁膜108を単層又は積層して形成する(図1(A))。絶縁膜107上に形成される絶縁膜108は、プラズマCVD法やSOG法、液滴吐出法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層又は積層で形成する。
なお、絶縁膜107、108を形成する前、絶縁膜107を形成した後、又は絶縁膜108を構成する少なくとも1つの薄膜を形成した後に、半導体膜104の結晶性の回復や半導体膜104に添加された不純物元素の活性化、半導体膜104の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザアニール法又はRTA法などを適用するとよい。
次に、絶縁膜108をエッチングして絶縁膜108に開口部を形成する。エッチングはフォトリソグラフィ法などを用いることができる。続いて、該開口部及び絶縁膜108上に導電膜を形成し(図示しない)、該導電膜をエッチングして膜厚500nm〜900nmの導電膜(配線)111〜113を形成する(図1(A))。ここで、導電膜(配線)112、113と不純物領域102、103とは電気的に接続されている。
導電膜(配線)111〜113は、プラズマCVD法やスパッタリング法により、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ネオジム(Nd)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電膜(配線)111〜113は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン(TiN)膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。
なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜(配線)111〜113を形成する材料として最適である。また、上下にバリア膜を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
次に、絶縁膜108及び、導電膜(配線)111〜113を覆うように、単層又は積層して膜厚800nm〜1500nmの絶縁膜114を形成する(図1(B))。絶縁膜114は、SOG法、液滴吐出法等を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁膜114は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
続いて、フォトリソグラフィ法等により絶縁膜114をエッチングして、孔の深さが異なる開口部115、116を形成する。このとき、開口部115は、図1(B)に示すように、底部において導電膜(配線)113を露出させないように、絶縁膜114の一部の膜厚が薄くなるように形成する。つまり、開口部115はくぼみ(凹部)であり、開口部115において、導電膜(配線)113と後工程で形成する導電膜117との間に、絶縁膜114が残存するように形成する。また、開口部116は、図1(B)に示すように導電膜(配線)111を露出させるコンタクトホールである。
孔の深さが異なる開口部115、116は、2回にわけてそれぞれの箇所を別々に開口することで形成することができる。例えば、フォトリソグラフィ法により開口部115のみエッチングした後、再びフォトリソグラフィ法により開口部116のみエッチングすることで孔の深さが異なる開口部115、116をそれぞれ形成することができる。なお、開口部116を形成してから開口部115を形成してもよい。
続いて、開口部115、116に導電膜を形成する。導電膜は、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、導電性材料により形成する。次に、導電膜をエッチングして、導電膜117を形成する(図1(C))。導電膜117は、好ましくは50nm〜400nmの膜厚で形成する。なお、導電膜117は、記憶素子部を形成する一対の導電膜のうちの一方の導電膜となる。好適には、導電膜117は、チタン、又はチタンを主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層又は積層で形成するとよい。また、導電膜117を形成するためのフォトリソグラフィ工程において、下層の薄膜トランジスタ110にダメージを与えないために、ウエットエッチング加工を行うとよい。
上記工程により、導電膜(配線)113、絶縁膜114及び導電膜117との積層体からなる記憶素子部118が完成する。つまり、記憶素子部118は、絶縁膜114と、絶縁膜114を介して重なる導電膜(配線)113及び導電膜117によって構成される。本実施の形態において、導電膜(配線)113と導電膜117とは、開口部115の底部において、絶縁破壊により短絡する程度に近接している。なお、薄膜トランジスタ110は、複数個ある記憶装置のうち一部を選択するためのもので、図示した構造に限定されるものではなく、スイッチング機能を有するものであればよい。
本実施の形態において、記憶装置の例えば陰極・陽極として用いられる導電膜間にはさまれる絶縁膜を別途形成しなくてすむため、作製工程数が低減し、コストを削減することができる。
(実施の形態2)
一部の膜厚が薄くなった絶縁膜を有する記憶装置の作製方法について、実施の形態1で示した方法とは異なる方法について説明する。
図2(A)において、実施の形態1と同様に導電膜(配線)111〜113を形成した後、絶縁膜114を形成する。本実施の形態において、絶縁膜114として感光性の材料を用いる。フォトマスク200を用いて、絶縁膜114を露光する。フォトマスク200には、第1の光透過部201、第2の光透過部202、遮光部203が設けられている。本実施の形態において、フォトマスク200に設けられた第1の光透過部201の径(又は面積)Xより第2の光透過部202の径(又は面積)Yを小さく形成する。絶縁膜114のエッチングは、フォトマスクに設けられた光透過部の径(又は面積)が大きいほど早く進むため、第2の光透過部202を介して露光された部分の絶縁膜114を、第1の光透過部201を介して露光された部分の絶縁膜114に比べて浅くエッチングすることができる。任意に径(又は面積)X、Yの大きさを変えることにより絶縁膜114がエッチングされる速度を制御して、一回のエッチングによって絶縁膜114に異なる深さの開口部を形成することができる。第1の光透過部201及び第2の光透過部202は、光を透過すればよく開口であっても良い。遮光部203はほとんど光を透過しない。
次に、絶縁膜114を現像する(図2(B))。遮光部203と重なる部分の絶縁膜114はほとんどエッチングされない。また、第1の光透過部201を介して露光された部分の絶縁膜114は大きくエッチングされるため、導電膜(配線)111の表面が露出した開口部116が形成される。また、第2の光透過部202を介して露光された部分の絶縁膜114は、第1の光透過部201を介して露光された部分に比べてエッチング速度が遅いため、絶縁膜114に開口部116より浅く開口された開口部115が形成される。こうして、絶縁膜114の一部が薄く残存する開口部115が形成される。こうして、一部の膜厚が薄くなった絶縁膜114が得られる。
続いて、図2(C)に示すように、開口部115、116に導電膜117を形成する。以上により、導電膜(配線)113、絶縁膜114及び導電膜117との積層体からなる記憶素子部118が完成する。
本実施の形態において、フォトマスクの光透過部の径(又は面積)を変えることにより絶縁膜114がエッチングされる速度が制御され、孔の深さが異なる複数の開口部を一回のエッチング工程により形成することができる。
(実施の形態3)
一部の膜厚が薄くなった絶縁膜を有する記憶装置の作製方法について、実施の形態1及び2で示した方法とは異なる方法について図3を用いて説明する。なお、図3において図1と同じ部分は同じ符号を用いて示し、説明は省略する。
図3(A)において、実施の形態1と同様に導電膜(配線)111〜113を形成した後、絶縁膜114を形成する。本実施の形態において、絶縁膜114として感光性の材料を用いる。フォトマスク300を用いて、絶縁膜114を露光する。フォトマスク300には、第1の光透過部301、第2の光透過部302、遮光部303が設けられている。第1の光透過部301は開口であっても良い。フォトマスク300を介して透過する光の強度は、第1の光透過部301よりも第2の光透過部302のほうが小さい。遮光部303はほとんど光を透過しない。本実施の形態において、フォトマスク300として、このようなハーフトーンマスクを用いる。
次に、絶縁膜114を現像する(図3(B))。遮光部303と重なる部分の絶縁膜114はほとんどエッチングされない。第1の光透過部301を介して露光された部分の絶縁膜114は大きくエッチングされる。こうして、導電膜(配線)111の表面が露出した開口部116が形成される。第2の光透過部302を介して露光された部分の絶縁膜114は、第1の透過部301を介して露光された部分より浅くエッチングされる。こうして、絶縁膜114の一部が薄く残存する開口部115が開口部116より浅く形成される。こうして、一部の膜厚が薄くなった絶縁膜114が得られる。
続いて、図3(C)に示すように、開口部115、116に導電膜117を形成する。以上により、導電膜(配線)113、絶縁膜114及び導電膜117との積層体からなる記憶素子部118が完成する。
本実施の形態の方法を用いることで、孔の深さが異なる複数の開口部を一回のエッチング工程により形成することができる。
(実施の形態4)
一部の膜厚が薄くなった絶縁膜を有する記憶装置の作製方法について、実施の形態1〜3で示した方法と異なる方法について図4を用いて説明する。図4において図1と同じ部分は同じ符号を用いて示し、説明は省略する。
図4(A)において、実施の形態1と同様に導電膜(配線)111〜113を形成した後、絶縁膜114aを形成する。絶縁膜114a上に絶縁膜114bを形成する。絶縁膜114aや絶縁膜114bとしては、無機絶縁膜や有機絶縁膜の単層または積層を用いることができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるシロキサンを用いることができる。シロキサンは、置換基に少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)を用いることができる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
次に、絶縁膜114bをエッチングして、第1の開口部401a及び第2の開口部402を形成する。
次に、第1の開口部401a内において絶縁膜114aをエッチングして、第3の開口部401bを形成する(図4(B))。こうして、導電膜(配線)111の表面が露呈した第3の開口部401bと、絶縁膜114aの表面が露呈した第2の開口部402が得られる。絶縁膜114a及び絶縁膜114bが、実施の形態1で示した絶縁膜114に相当する。こうして、一部の膜厚が薄くなった絶縁膜114が得られる。
続いて、図4(C)に示すように、導電膜117を形成する。以上により、導電膜(配線)113、絶縁膜114及び導電膜117との積層体からなる記憶素子部118が完成する。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1に示すものとは異なる構造の記憶装置について図5を用いて説明する。具体的には、ソース配線又はドレイン配線をメモリの電極の一部として利用する記憶装置について説明する。図5において図1と同じ部分は同じ符号を用いて示し、説明は省略する。
まず、基板100上に薄膜トランジスタ110を形成する(図5(A))。薄膜トランジスタ110は、少なくとも基板100上に下地絶縁膜101を介して設けられた不純物領域102、103を有する半導体膜104と、当該半導体膜104上にゲート絶縁膜105を介して設けられたゲート電極106と、ゲート電極106を覆って設けられた絶縁膜107とを有している。絶縁膜107は単層又は積層して形成する。なお、薄膜トランジスタの形態は本実施の形態に示すものに限られない。次に、絶縁膜107上に絶縁膜108を単層又は積層して形成する(図5(A))。
次に、絶縁膜107、108をエッチングして絶縁膜108に開口部501、502を形成する(図5(B))。 本実施の形態において、開口部502は、図5(B)に示すように、底部において不純物領域103を露出させないように、絶縁膜107の一部の膜厚が薄くなるように形成する。つまり、開口部502において、不純物領域103と後工程で形成する導電膜(配線)113との間に、絶縁膜107が残存するように形成する。また、開口部501は、図5(B)に示すように不純物領域102を露出させるように形成する。孔の深さが異なる開口部501、502の形成方法は実施の形態1〜4に示すいずれかの方法を用いればよい。
続いて、開口部501、502及び絶縁膜108上に導電膜を形成し(図示しない)、該導電膜をエッチングしてソース配線又はドレイン配線として機能する導電膜(配線)112、113を形成する(図5(C))。本実施の形態において、導電膜(配線)112と不純物領域102とは電気的に接続されている。
上記工程により、導電膜(配線)113、絶縁膜107及び不純物領域103との積層体からなる記憶素子部503が完成する。記憶素子部503において、導電膜(配線)113は、絶縁膜107を介して不純物領域103と重なっている。本実施の形態において、導電膜(配線)113と不純物領域103とは、開口部502の底部において、絶縁破壊により短絡する程度に近接している。なお、薄膜トランジスタ110は、複数個ある記憶装置のうち一部を選択するためのもので、図示した構造に限定されるものではなく、スイッチング機能を有するものであればよい。
(実施の形態6)
本実施の形態では、薄膜トランジスタ、記憶素子及びアンテナを含む本発明の半導体装置の作製方法について、図6〜図10を用いて説明する。
まず、基板701の一表面に、剥離層702を形成する(図6(A))。基板701は、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁膜を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いるとよい。このような基板701であれば、その面積や形状に大きな制限はないため、基板701として、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。このような利点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。なお、本工程では、剥離層702は、基板701の全面に設けているが、必要に応じて、基板701の全面に剥離層702を設けた後に、フォトリソグラフィ法により選択的に設けてもよい。また、基板701に接するように剥離層702を形成しているが、必要に応じて、基板701に接するように下地となる絶縁膜を形成し、当該絶縁膜に接するように剥離層702を形成してもよい。
剥離層702は、スパッタリング法やプラズマCVD法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を、単層又は積層して形成する。珪素を含む膜の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
剥離層702が単層構造の場合、例えば、タングステン膜、モリブデン膜またはタングステンとモリブデンの混合物を含む膜を形成する。あるいは、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む膜、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む膜またはタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む膜を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。また、タングステンの酸化物は、酸化タングステンと表記することがある。
剥離層702が積層構造の場合、1層目としてタングステン膜、モリブデン膜またはタングステンとモリブデンの混合物を含む膜を形成し、2層目として、タングステン、モリブデンまたはタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成する。
なお、剥離層702として、タングステンを含む膜とタングステンの酸化物を含む膜の積層を形成する場合、タングステンを含む膜を形成し、その上に酸化珪素を含む膜を形成することで、タングステン膜と酸化珪素膜との界面に、タングステンの酸化物が形成されることを活用してもよい。これは、タングステンの窒化物、酸化窒化物及び窒化酸化物を形成する場合も同様であり、タングステンを含む膜を形成後、その上層に窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜を形成するとよい。また、タングステンの酸化物は、WOXで表され、Xは2〜3であり、Xが2の場合(WO2)、Xが2.5の場合(W2O5)、Xが2.75の場合(W4O11)、Xが3の場合(WO3)などがある。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記に挙げたXの値に特に制約はなく、エッチングレート等を基に、どの酸化物を形成するかを決めるとよい。なお、エッチングレートとして最も良いものは、酸素雰囲気下で、スパッタリング法により形成するタングステンの酸化物を含む膜(WOX、0<X<3)である。従って、作製時間の短縮のため、剥離層として、酸素雰囲気下でスパッタリング法によりタングステンの酸化物を含む膜を形成するとよい。
次に、剥離層702を覆うように、下地となる絶縁膜703を形成する。絶縁膜703は、スパッタ法やプラズマCVD法等により、珪素の酸化物または珪素の窒化物を含む膜を、単層又は積層で形成する。珪素の酸化物材料とは、珪素(Si)と酸素(O)を含む物質であり、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。珪素の窒化物材料とは、珪素と窒素(N)を含む物質であり、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。下地となる絶縁膜が2層構造の場合、例えば、1層目として窒化酸化珪素膜を形成し、2層目として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁膜が3層構造の場合、1層目の絶縁膜として酸化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。または、1層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁膜は、基板701からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
次に、絶縁膜703上に、非晶質半導体膜704(例えば非晶質珪素を含む膜)を形成する。非晶質半導体膜704は、スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等により、25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成する。続いて、非晶質半導体膜704をレーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いた熱アニールを用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザ結晶化法を組み合わせた方法等により結晶化して、結晶質半導体膜を形成する。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状に加工して、結晶質半導体膜706〜710を形成する(図6(B))。
結晶質半導体膜706〜710の作成工程の一例を以下に簡単に説明すると、まず、プラズマCVD法を用いて、膜厚66nmの非晶質半導体膜を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、必要に応じてレーザ光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いて結晶質半導体膜706〜710を形成する。レーザ結晶化法で結晶質半導体膜を形成する場合、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いる。気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、Ti:サファイアレーザ等を用いる。固体レーザとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザを用いる。
また、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質半導体膜の結晶化を行うと、低温で短時間の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結晶質半導体膜に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、結晶質半導体膜上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体膜を形成するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体膜には、リンやアルゴンの不純物元素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタ法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体膜中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を含む非晶質半導体膜を除去する。そうすると、結晶質半導体膜中の金属元素の含有量を低減又は除去することができる。
次に、結晶質半導体膜706〜710を覆うゲート絶縁膜705を形成する。ゲート絶縁膜705は、プラズマCVD法やスパッタ法やラジカル酸化法や熱酸化法により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む膜を、単層又は積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む膜、酸化窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜を、単層又は積層して形成する。
次に、ゲート絶縁膜705上に、第1の導電膜と第2の導電膜を積層して形成する。第1の導電膜は、プラズマCVD法やスパッタリング法により、20〜100nmの厚さで形成する。第2の導電膜は、100〜400nmの厚さで形成する。第1の導電膜と第2の導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。
または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成する。第1の導電膜と第2の導電膜の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル(TaN)膜とタングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜とタングステン膜、窒化モリブデン(MoN)膜とモリブデン(Mo)膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電膜と第2の導電膜を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層構造ではなく、3層構造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電膜(ゲート電極膜とよぶことがある)716〜725を形成する。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体膜706、708〜710に、イオンドープ法又はイオン注入法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加して、N型不純物領域711、713〜715とチャネル形成領域780、782〜784を形成する。N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体膜707に、P型を付与する不純物元素を添加して、P型不純物領域712とチャネル形成領域781を形成する。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。
次に、ゲート絶縁膜705と導電膜716〜725を覆うように、絶縁膜を形成する。絶縁膜は、プラズマCVD法やスパッタ法やラジカル酸化法又はその組み合わせにより、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電膜716〜725の側面に接する絶縁物(サイドウォールともよばれる)739〜743を形成する(図6(C))。また、絶縁膜739〜743の作製と同時に、ゲート絶縁膜705がエッチングされた絶縁膜734〜738を形成する。絶縁物739〜743は、後にLDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、絶縁物739〜743をマスクとして用いて、結晶質半導体膜706、708〜710にN型を付与する不純物元素を添加して、第1のN型不純物領域(LDD領域ともよぶ)727、729、731、733と、第2のN型不純物領域726、728、730、732とを形成する。第1のN型不純物領域727、729、731、733が含む不純物元素の濃度は、第2のN型不純物領域726、728、730、732の不純物元素の濃度よりも低い。上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ744、746〜748と、P型の薄膜トランジスタ745が完成する。
なお、LDD領域を形成するためには、ゲート電極を2層以上の積層構造として、当該ゲート電極をテーパー状にエッチングしたり異方性エッチングを行って、当該ゲート電極を構成する下層の導電膜をマスクとして用いる手法と、サイドウォールの絶縁物をマスクとして用いる手法がある。前者の手法を採用して形成された薄膜トランジスタは、ゲート絶縁膜を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた構造となっているが、この構造は、ゲート電極をテーパー状にエッチングしたり異方性エッチングを利用するために、LDD領域の幅を制御することが難しく、エッチング工程が良好に行われなければ、LDD領域を形成することが出来ない場合がある。一方、後者のサイドウォールの絶縁物をマスクとして用いる手法は、前者の手法と比較すると、LDD領域の幅の制御が容易であり、また、LDD領域を確実に形成することができる。
なお、薄膜トランジスタの構造は、本実施の形態に示したものに限られない。LDD領域を設けないものであってもよいし、サイドウォールを設けない構造であってもよい。また、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でもよいし、二つ形成されるダブルゲート構造または三つ形成されるトリプルゲート構造であってもよい。つまり、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造のTFTにも適用することができる。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造またはトリプルゲート構造などのマルチゲート構造であってもよい。また、本実施の形態で示した薄膜トランジスタ(TFT)の構造に限らず、トップゲート型(プレーナー型)、ボトムゲート型(逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても本発明を適用することができる。
続いて、薄膜トランジスタ744〜748を覆うように、絶縁膜を単層又は積層して形成する(図7(A))。薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁膜は、プラズマCVD法やSOG法、液滴吐出法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層又は積層で形成する。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば感光性ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。感光性ポリベンゾオキサゾールは、誘電率が低く(常温1MHzで誘電率2.9)、耐熱性が高く(示差熱天秤(TGA)昇温5℃/minで熱分解温度550℃)、吸水率が低い(常温24時間で0.3%)材料である。オキサゾール樹脂は、ポリイミドより低誘電率であるので、より層間絶縁膜として適している。例えば、薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁膜として、酸化珪素を含む膜と窒化珪素を含む膜を有する絶縁膜749を形成し、酸化珪素を含む膜を有する絶縁膜750を形成するとよい。
なお、絶縁膜749〜750を形成する前、又は絶縁膜749〜750を構成する膜のうちの1つ又は複数の薄膜を形成した後に、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザアニール法又はRTA法などを適用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法により絶縁膜749〜750をエッチングして、N型不純物領域726、728、730、732、P型不純物領域712を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホール上に導電膜を形成し、当該導電膜をパターン加工して、ソース配線又はドレイン配線として機能する導電膜752〜761を形成する。
導電膜752〜761は、プラズマCVD法やスパッタリング法により、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ネオジウム(Nd)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電膜752〜761は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン(TiN)膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。
なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜752〜761を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア膜を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
次に、導電膜752〜761を覆うように、単層又は積層して絶縁膜762を形成する(図7(B))。絶縁膜762は、SOG法、液滴吐出法等を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁膜762は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
続いて、フォトリソグラフィ法により絶縁膜762をエッチングして、開口部795〜797を形成する。このとき、開口部795、796は、図7(B)に示すように、導電膜755、757を露出させないように、絶縁膜762の膜厚が一部薄くなるように形成する。つまり、開口部795〜796において、導電膜755、757と後工程で形成する導電膜763との間に、絶縁膜762が残存するように形成する。また、開口部797は、図7(B)に示すように導電膜761が露出されるように形成する。孔の深さが異なる開口部795〜797を形成する方法としては実施の形態1〜4に示す方法を用いることができる。
続いて、開口部795〜797に導電膜を形成する(図7(C))。導電膜は、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、導電性材料により形成する。次に、導電膜をパターン加工して、導電膜763、765を形成する。なお、導電膜763、765は、記憶素子が含む一対の導電膜のうちの一方の導電膜となる。従って、好適には、導電膜763、765は、チタン、又はチタンを主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層又は積層で形成するとよい。
導電膜763、765を形成するためのフォトリソグラフィ工程において、薄膜トランジスタ744〜748にダメージを与えないために、ウエットエッチング加工を行うとよい。
以上の工程を経て、導電膜763、絶縁膜762及び導電膜755の積層体からなる記憶素子部767と、導電膜763、絶縁膜762及び導電膜757の積層体からなる記憶素子部768が完成する。つまり、記憶素子部767は、絶縁膜762と、絶縁膜762を介して重なる導電膜763及び導電膜755によって構成される。また、記憶素子部768は、絶縁膜762と、絶縁膜762を介して重なる導電膜763及び導電膜757によって構成される。
次に、導電膜765に接し、アンテナとして機能する導電膜786を形成する(図8(A))。導電膜786は、プラズマCVD法、スパッタリング法、印刷法、液滴吐出法を用いて、導電性材料により形成する。好ましくは、導電膜786は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)チタン(Ti)、から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。具体的には、導電膜786は、スクリーン印刷法により、銀を含むペーストを用いて形成し、その後、50〜350度の加熱処理を行って形成する。又は、スパッタリング法によりアルミニウム膜を形成し、当該アルミニウム膜をパターン加工することにより形成する。アルミニウム膜のパターン加工は、ウエットエッチング加工を用いるとよく、ウエットエッチング加工後は200〜300度の加熱処理を行うとよい。
次に、記憶素子部767、768、アンテナとして機能する導電膜786を覆うように、SOG法、液滴吐出法等により、保護膜として機能する絶縁膜772を形成する(図8(B))。絶縁膜772は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む膜、窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜、又は有機材料により形成し、好ましくはエポキシ樹脂により形成する。
次に、剥離層702が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁膜703、749、750、762及び772をエッチングして、開口部773、774を形成する(図9(A))。開口部773、774は、レーザーなどにより剥離層702が露出するまで焼き切って形成してもよい。
次に、開口部773、774にエッチング剤を導入して、剥離層702を除去する(図9(B))。エッチング剤は、フッ化ハロゲン又はハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF3)を使用する。そうすると、薄膜集積回路791は、基板701から剥離された状態となる。なお、薄膜集積回路791とは、薄膜トランジスタ744〜748、記憶素子部767、768の素子群と、アンテナとして機能する導電膜786を合わせたものとする。なお、剥離層702は、全て除去せず一部分を残存させておいてもよい。こうすることによって、処理時間を短縮することが可能となる。
薄膜集積回路791が剥離された基板701は、コストの削減のために、再利用するとよい。また、絶縁膜772は、剥離層702を除去した後に、薄膜集積回路791が飛散しないように形成したものである。薄膜集積回路791は小さく薄く軽いために、剥離層702を除去した後は、基板701に密着していないために飛散しやすい。しかしながら、薄膜集積回路791上に絶縁膜772を形成することで、薄膜集積回路791に重みが付き、基板701からの飛散を防止することができる。また、薄膜集積回路791単体では薄くて軽いが、絶縁膜772を形成することで、巻かれた形状になることがなく、ある程度の強度を確保することができる。
次に、薄膜集積回路791の一方の面を、第1の基体776に接着させて、基板701から完全に剥離する(図10)。続いて、薄膜集積回路791の他方の面を、第2の基体775に接着させ、その後加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行って、薄膜集積回路791を、第1の基体776と第2の基体775により封止する。第1の基体776と第2の基体775は、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどに相当する。
フィルムは、熱圧着により、被処理体の加熱処理と加圧処理が行われるものであり、加熱処理と加圧処理を行う際には、フィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。また、第1の基体776と第2の基体775の表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。
以上の工程により、記憶素子部およびアンテナを有する半導体装置を作製することができる。本実施の形態の半導体装置は、非接触でデータのやりとりを行うことが可能である。また、上記工程により、可撓性を有する半導体装置を得ることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態において、実施の形態6で示した記憶素子部およびアンテナを有する半導体装置の適用例に関して図面を参照して説明する。なお、非接触でデータのやりとりが可能である半導体装置は利用の形態によっては、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RF(Radio Frequency)タグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップともよばれる。
RFIDタグ80は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路81、クロック発生回路82、データ復調回路83、データ変調回路84、他の回路を制御する制御回路85、記憶回路86およびアンテナ87を有している(図11(A))。なお、記憶回路は1つに限定されず、複数であってもよい。複数の回路を設ける場合、上記実施の形態で示した記憶装置を記憶素子部に用いたものに加え、SRAM、フラッシュメモリ、ROMまたはFeRAM等を用いることができる。
リーダ/ライタ88から電波として送られてきた信号は、アンテナ87において電磁誘導により交流の電気信号に変換される。電源回路81では、交流の電気信号を用いて電源電圧を生成し、電源配線を用いて各回路へ電源電圧を供給する。クロック発生回路82は、アンテナ87から入力された交流信号を基に、各種クロック信号を生成し、制御回路85に供給する。復調回路83では、当該交流の電気信号を復調し、制御回路85に供給する。制御回路85では、入力された信号に従って各種演算処理を行う。記憶回路86では、制御回路85において用いられるプログラムやデータ等が記憶されている他、演算処理時の作業エリアとしても用いることができる。そして、制御回路85から変調回路84にデータが送られ、変調回路84から当該データに従ってアンテナ87に負荷変調を加えることができる。リーダ/ライタ88は、アンテナ87に加えられた負荷変調を電波で受け取ることにより、結果的にデータを読み取ることが可能となる。
また、RFIDタグは、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリー)を搭載せず電波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリー)を搭載して電波と電源(バッテリー)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
上記実施の形態で示した構成を用いることによって、折り曲げることが可能なRFIDタグを作製することが可能となるため、曲面を有する物体に貼り付けて設けることが可能となる。
次に、可撓性を有するRFIDタグの使用形態の一例について説明する。表示部321を含む携帯端末の側面には、リーダ/ライタ320が設けられ、品物322の側面にはRFIDタグ323が設けられる(図11(B))。品物322が含むRFIDタグ323にリーダ/ライタ320をかざすと、表示部321に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。また、商品326をベルトコンベアにより搬送する際に、リーダ/ライタ324と、商品326に設けられたRFIDタグ325を用いて、該商品326の検品を行うことができる(図11(C))。このように、システムにRFIDタグを活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。また、上記実施の形態で示したように、曲面を有する物体に貼り付けた場合であっても、RFIDタグに含まれるトランジスタ等の損傷を防止し、信頼性の高いRFIDタグを提供することが可能となる。
また、上述した以外にも可撓性を有するRFIDタグの用途は広範にわたり、非接触で対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てる商品であればどのようなものにも適用することができる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図12を用いて説明する。
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指す(図12(A)参照)。証書類とは、運転免許証、住民票等を指す(図12(B)参照)。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す(図12(C)参照)。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指す(図12(D)参照)。書籍類とは、書物、本等を指す(図12(E)参照)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指す(図12(F)参照)。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指す(図12(G)参照)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指す(図12(H)参照)。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話機等を指す。
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等にRFIDタグ20を設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品類、生活用品類、電子機器等にRFIDタグ20を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等にRFIDタグ20を設けることにより、偽造や盗難の防止、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止することができる。RFIDタグ20の設け方としては、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりして設ける。例えば、本ならば紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりするとよい。可撓性を有するRFIDタグ20を用いることによって、紙等に設けた場合であっても、上記実施の形態で示した構造を有する半導体装置を用いてRFIDタグ20を設けることにより、当該RFIDタグ20に含まれる素子の破損等を防止することができる。
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等にRFIDタグを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類にRFIDタグを設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にセンサを備えたRFIDタグを埋め込むことによって、生まれた年や性別または種類等はもちろん現在の体温等の健康状態を容易に管理することが可能となる。