本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の一例について図面を参照して説明する。
はじめに、本発明の半導体装置の作製方法の一例に関して図面を参照して以下に説明する。
まず、基板101上にトランジスタ等を有する素子群102を設ける(図3(A))。
基板101は、バリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミック基板またはステンレスを含む金属基板等を用いることができる。また、Si等の半導体基板を用いてもよい。他にも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板を用いることも可能である。可撓性を有する基板を用いることによって、折り曲げが可能である半導体装置を作製することが可能となる。また、このような基板であれば、その面積や形状に大きな制限はないため、基板101として、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。このような利点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。
素子群102は、少なくともトランジスタを含んでおり、当該トランジスタによって、CPU、メモリまたはマイクロプロセッサ等のありとあらゆる集積回路を設けることができる。例えば、素子群102を構成するトランジスタとしては、ガラスやプラスチック等からなる基板101上に薄膜トランジスタ(TFT)を形成したり、基板101としてSi等の半導体基板を用いて当該半導体基板をトランジスタのチャネル領域として用いた電界効果型トランジスタ(FET)を形成したりすることによって設けることができる。また、基板101としてSOI基板を用いて当該基板にトランジスタを形成することによって設けることも可能である。なお、SOI基板を用いる場合には、Siウェハの貼り合わせによる方法や酸素イオンをSi基板内に打ち込むことにより内部に絶縁層を形成するSIMOXと呼ばれる方法を用いて素子群のトランジスタを形成することができる。
また、薄膜トランジスタを設ける場合には、半導体膜として非晶質半導体または結晶質半導体を用いることができるが、より高い特性を有する薄膜トランジスタを用いる場合には、結晶質半導体を用いた薄膜トランジスタを設けることが好ましい。この場合、スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等により非晶質半導体膜を形成し、続いて、非晶質半導体膜を結晶化法(レーザ結晶化、RTAまたはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザ結晶化法を組み合わせた方法等)により結晶化して、結晶質半導体膜を形成する。
また、薄膜トランジスタの構造として、チャネル形成領域が1つ形成されるシングルゲート構造でもよいし、2つ形成されるダブルゲート構造または3つ形成されるトリプルゲート構造等のマルチゲート構造を用いることができる。また、ボトムゲート構造としてもよいし、チャネル形成領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有するデュアルゲート型としてもよい。
次に、素子群102上に導電膜103および導電膜104を形成する。ここでは、スクリーン印刷法を用いて、初めに導電膜104を素子群102及び導電膜103と電気的に絶縁するように形成する(図3(B))。つまり、導電膜104は、フローティング状態となっており、ダミーパターンとして機能しうるし、素子群との容量を形成することも可能である。以下、ダミーパターンとして機能する場合を示す。
具体的には、印刷する方向(スキージ805の移動方向(ここではB→A))を考慮して、初めにペースト806が達する開口部(ここでは開口部802a)から押し出されて形成される導電膜104がダミーパターンとなるように形成する。ペースト806としては、導電性のペーストを用いればよい。導電性のペーストとしては、粒径が数nmから数十μmの導電性粒子を有機樹脂に溶解または分散させたものを用いることができる。導電性粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、珪素樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電膜の形成にあたり、ペースト806を押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、ペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下)を用いる場合、150〜300度の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電膜を得ることができる。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーはんだは、低コストであるといった利点を有している。
上述したように、スキージ805によって一定の距離を吐出されずに乳剤803および金網(メッシュ)804上を移動してきたペースト806の先端部分には隆起部分807が形成されるため、この状態でスクリーン印刷版の開口部から押し出されるペーストは隆起部分807の分だけ余分に押し出される。そのため、初めにペースト806が到達する開口部802aから押し出されたペーストにより形成される導電膜104の幅等は、当該開口部802aの形状より大きく形成される。
そして、ダミーパターンとなる導電膜103を形成した後に、続けてスキージ805を移動させて開口部802bからペースト806を押し出すことにより導電膜103を形成する(図3(C))。
このように、アンテナとして機能する導電膜104を形成する前にダミーパターンとなる導電膜104を形成することによって、導電膜103を開口部の形状通りに均一に形成することができる。これは、初めにペースト806が到達する開口部802aから過剰にペーストが押し出されてペースト806の隆起部分807が解消または緩和するため、その後に開口部802bから過剰にペーストが押し出されることを防ぎ開口部802bの形状通りのパターンを有する導電膜を形成することが可能となるためである。
本実施の形態において、開口部802aの幅a1を開口部802bの幅a2より大きくすることによって、ペースト806における隆起部分807の解消または緩和を向上させることができるため好ましい。この場合、ダミーパターンとなる導電膜104の幅b1はアンテナとして機能する導電膜103の幅b2より広く形成される。
また、開口部802aと開口部802bとの間隔をc1とし、開口部802b同士の間隔をc2とした場合、c1をc2より大きくすることによりダミーパターンとなる導電膜104とアンテナとして機能する導電膜103とのショート等を防止することができるため好ましい。この際に、開口部802aの幅a1を開口部802bの幅a2より大きくすることによって、より一層ペースト806における隆起部分807の解消または緩和を向上させ、導電膜103と導電膜104とのショート等を防止することが可能となる。
半導体装置の小型化及び通信距離の拡大を両立するためには、限られた範囲内でアンテナとして機能する導電膜103を形成する必要があり、アンテナをコイル状に設ける場合には、アンテナの巻数を増やすことが有効となる。一方、限られた範囲内でアンテナの巻数を増やすためには、隣接する導電膜103同士の間隔を小さくする必要がある。このような場合、上述したようにダミーパターンとなる導電膜104を形成した後に導電膜103を形成することによって、導電膜103を所望の形状に設けることができるため、隣接する導電膜103同士の間隔を小さくすることができる。
例えば、様々な商品に半導体装置を搭載する場合、当該半導体装置を0.3cm角〜2cm角で設けることが好ましい。半導体装置をこのようなサイズで設ける場合、図3において、好ましくは、隣接する導電膜103同士の間隔b3を導電膜103の幅b2の半分の値(b2×0.5)より小さく、より好ましくは、隣接する導電膜103同士の間隔b3を導電膜103の幅b2の1/4倍した値(b2×0.25)より小さく設けるとよい。具体的には、導電膜103の幅b2を50μm以上400μm以下、好ましくは100μm以上300μm以下で設ける。また、隣接する導電膜103同士の間隔b3は上記した条件を満たすように設ければよく、例えば導電膜の幅b2を200μmで設けた場合には、隣接する導電膜103同士の間隔b3を100μm以下、好ましくは50μm以下に設ける。
また、ペースト806を押し出して導電膜103を形成した後に、隣接する導電膜103同士の接触を防止するため、隣接する導電膜103同士の間隔b3は、導電膜103の膜厚b4より大きくすることが好ましい。例えば、導電膜103の膜厚を20μmで設けた場合には、隣接する導電膜103同士の間隔b3を20μm以上となるように設けることが好ましい。なお、導電膜103の膜厚b4は、当該導電膜103の断面における膜厚の平均値をいう。
上述したように設けることによって、限られた範囲内にアンテナとして機能する導電膜103を設けることが可能となり、半導体装置の小型化及び通信距離の拡大を達成することができる。
以上のように、初めにダミーパターンとなる導電膜104を形成してペースト806の隆起部分807を意図的に印刷させることによって、アンテナとして機能する導電膜103を均一に形成することができる。なお、図3では、導電膜104をダミーパターンとして設けた例を示したが、導電膜104と素子群102との間に容量を形成することも可能である。
次に、本発明の半導体装置の一例に関して図面を参照して以下に説明する。
本発明の半導体装置は、少なくとも基板101上に設けられた素子群102と当該素子群102上に設けられたアンテナとして機能する導電膜103とダミーパターンとして設けられた導電膜104とを有している(図1(A))。素子群102はトランジスタを有しており、アンテナとして機能する導電膜103は素子群102に含まれるいずれかのトランジスタと電気的に接続している。電気的な接続は、どのように行ってもよく、例えば、トランジスタと電気的に接続した配線を一部露出させ、当該配線上に導電膜103を形成することによって行うことができる。一方、ダミーパターンとして設けられた導電膜104は、アンテナとして機能する導電膜103の周辺に配置されており、素子群102に含まれるトランジスタとは電気的に接続しないように設けられている。また、導電膜103と導電膜104は同一の材料を用いて設けられている。なお、図1(A)に示す構造においては、上述した作製方法において、X軸上右→左方向に沿って印刷を行うとよい。
導電膜103は、アンテナとして機能するのであればどのような形状で設けても構わない。例えば、図1に示すように、導電膜103をコイル状に設けることによって、電磁誘導方式を用いて非接触でデータの送受信が可能な半導体装置を得ることができる。
導電膜104は、導電膜103に隣接するように配置すればどのような形状で設けても構わない。ただし、X軸方向またはY軸方向と平行となるようにダミーパターンとなる導電膜104を設ける場合には、X軸方向またはY軸方向に平行な辺における導電膜103の最大長より長くなるように設けることが好ましい。例えば、図1(A)に示すように、導電膜103の配置を矩形状に設け、導電膜104を4辺のうちの1辺(例えば、図1(A)においては右辺)に隣接するように設けた場合、当該導電膜103の1辺の長さより導電膜104を長く設けることが好ましい。
また、ダミーパターンとなる導電膜の形状としては、図1(A)に示したように線状に限らず、導電膜104aをコの字形状等の屈曲させた形状(図1(C))や曲線状等に設けることもできる。また、ダミーパターンとなる導電膜は、単数に限らず複数の導電膜104bを設けることも可能である(図1(D))。なお、図1(C)に示す構造においては、上述した作製方法において、印刷方向がX軸上の左→右方向、Y軸上の上→下方向またはY軸上の下→上方向のいずれかの方向で行うとよい。図1(D)に示す構造においては、X軸上の右→左方向に沿って印刷を行うとよい。
ただし、アンテナとして機能する導電膜103をコイル状に設けた場合に、導電膜104の形状として環状としない(非環状)ように設けることが好ましい。これはアンテナとして機能する導電膜103の周囲に当該導電膜103を囲むように導電膜104を設けた場合(図2(A))、電磁誘導方式を用いてデータの送受信を行う際に通信距離の低下等の問題が懸念されるためである。非環状に設ける場合、例えば、図1(C)において、屈曲させた形状の導電膜104aの両端部が接続しないように設ける。
例えば、図2(B)に示すように、導電膜103や導電膜104に囲まれた領域で磁界が発生すると(図2(B)においては紙面上→下方向)、導電膜103および導電膜104には発生した磁界を打ち消すように電流が生じる。具体的には、図2(B)に示すように、例えば、半導体装置にリーダ/ライタから電磁波が送られてきた場合(ここでは基板101の上方から下方に向かって磁界が発生した場合)、半導体装置はアンテナとして機能する導電膜103を介して素子群102に含まれるトランジスタ等に電源電圧や信号を供給する。一方、ダミーパターンとなる導電膜104にも電流が流れるが、この電流によってリーダ/ライタから送られてきた電磁波を打ち消すように磁界(基板101の下方から上方に向かって生じる磁界)が発生する。その結果、リーダ/ライタから送られてくる磁界がダミーパターンとなる導電膜104によって発生した磁界に打ち消されることによって、通信距離が低下するといった問題が生じる。そのため、ダミーパターンとなる導電膜104は環状としないように設けることが好ましい。
例えば、図1(C)に示すように、導電膜104aが2つの端部を有するように設け、当該2つの端部が電気的に接続しないように設ける。
なお、本実施の形態では、一つのアンテナとして機能する導電膜103を形成する場合を示したが、本実施の形態はこれに限られない。例えば、複数のアンテナのパターンが形成されたスクリーン印刷版の開口部からペーストを連続して押し出して、アンテナとして機能する導電膜103を複数連続して形成する場合、複数のアンテナ毎に上述したダミーパターンを設けることができる。また、複数のアンテナのうち、初めにペーストが押し出されるアンテナのパターンの前にダミーパターンを設けてもよいし、複数のアンテナのうち一定の間隔毎にダミーパターンを設けてもよい。また、素子群上にアンテナを複数形成した場合、ダイシング法やスクライビング法等により選択的に分断して、それぞれアンテナを一つ有する複数の半導体装置を得ることができる。他にもレーザ光を照射することによって分断してもよい。この場合、複数のアンテナ毎にダミーパターンを設けた場合には、分断されて形成された複数の半導体装置の各々にダミーパターンが残存する場合がある。
以上のように、アンテナとして機能する導電膜を形成する前にダミーパターンとなる導電膜を設けることによって、均一な導電膜を形成することが可能となる。その結果、半導体装置の作製方法において、歩留まりの向上を達成することができる。なお、本実施の形態では、アンテナとして機能する導電膜に関して説明を行ったが、スクリーン印刷法によりトランジスタの配線パターン等の導電膜を形成する場合には同様に適用することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態は、本発明の半導体装置について上記実施の形態とは異なる構造に関して図面を参照して説明する。
本実施の形態で示す半導体装置では、アンテナとして機能する導電膜103において、当該導電膜103をコイル状に設けた場合に最外周部分(導電膜103において最も外側に形成された部分)に位置する導電膜の平均の幅をその内側に形成された導電膜の平均の幅より広くなるように設けた導電膜105を形成する(図4(A)、(B))。なお、図4(B)は図4(A)のA−B間における断面の模式図を示している。
また、最外周部分に位置する導電膜103の全てをその内側に形成された導電膜の幅より大きく設けてもよいし、最外周部分に位置する導電膜103の一部をその内側に形成された導電膜の幅より大きく設けてもよい。つまり、導電膜103の最外周部分に位置する導電膜の幅の平均値をその内側に形成された導電膜の幅の平均値より大きくなるように設ければよい。ただし、X軸方向またはY軸方向に平行な辺における導電膜103の最大長より長くなるように、導電膜105を設けることが好ましい。例えば、図4(C)に示すように、導電膜103の配置を矩形状に設けた場合には、少なくとも4辺のうち1辺における導電膜103おいて、内側に形成される導電膜の幅より大きく導電膜103cを設けることが好ましい。
また、導電膜103は、上記実施の形態1で示したようにスクリーン印刷法を用いて形成することができる。スクリーン印刷法を用いて形成する場合には、導電膜103の最外周部に位置する導電膜104を形成した後に、その内側に位置する導電膜を形成する。これは、あらかじめ導電膜104を形成することによって、上記図3におけるペースト806の隆起部分807を解消または緩和させることが可能となり、その結果内側に設けられた導電膜を均一に形成することができる。
また、アンテナとして機能する導電膜103の最外周部分に位置する導電膜103bをその内側に位置する導電膜から離して設けることも可能である(図4(D))。具体的には、最外周部分に位置する導電膜の少なくとも一部を内側に設けられた導電膜から間隔をあけて設ける。間隔をどの程度あけるかは実施者が適宜選択して決定すればよいが、最外周部分に位置する導電膜の内側に形成された導電膜同士の間隔よりあけることが好ましい。
なお、図4に示した構造を上記実施の形態1に示した作製方法を用いて形成する場合、図4(C)に示す構造おいては、X軸上の左→右方向に沿って印刷を行うとよい。また、図4(D)に示す構造においては、X軸上の左→右方向、Y軸上の上→下方向またはX軸およびY軸上の左斜め上→右斜め下方向に沿って印刷を行うとよい。
このように、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電膜103を形成する際、導電膜103の最外周部分に位置する導電膜の少なくとも一部をその内側に位置する導電膜の幅より広く形成するか離して形成することにより、上記実施の形態1で示したダミーパターンと同様の役割をはたすため、導電膜同士の接触によるショート等を抑制し、歩留まりの低下を防止することができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態1と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、薄膜トランジスタおよびアンテナを含む本発明の半導体装置の作製方法の一例について、図面を参照して説明する。
まず、基板701の表面に剥離層702を形成し、その後当該剥離層702上に絶縁膜703を介して非晶質半導体膜704(例えば非晶質珪素を含む膜)を形成する(図5(A))。
基板701は、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁膜を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いるとよい。このような基板701であれば、その面積や形状に大きな制限はないため、基板701として、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いることによって、生産性を格段に向上させることができる。このような利点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。なお、本工程では、剥離層702は、基板701の全面に設けているが、必要に応じて、基板701の全面に剥離層を設けた後に、フォトリソグラフィ法によりエッチングして、選択的に設けてもよい。また、基板701に接するように剥離層702を形成しているが、必要に応じて、基板701に接するように下地となる絶縁膜を形成し、当該絶縁膜に接するように剥離層702を形成してもよい。
剥離層702は、金属膜や金属膜と金属酸化膜の積層構造等を用いることができる。金属膜としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を単層又は積層して形成する。また、これらの材料は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD等法を用いて形成することができる。金属膜と金属酸化膜の積層構造としては、上述した金属膜を形成した後に、酸素雰囲気化におけるプラズマ処理、酸素雰囲気化における加熱処理を行うことによって、金属膜表面に当該金属膜の酸化物を設けることができる。例えば、金属膜としてスパッタ法により形成したタングステン膜を設けた場合、タングステン膜にプラズマ処理を行うことによって、タングステン膜表面にタングステン酸化物からなる金属酸化膜を形成することができる。また、この場合、タングステンの酸化物は、WOxで表され、Xは2〜3であり、Xが2の場合(WO2)、Xが2.5の場合(W2O5)、Xが2.75の場合(W4O11)、Xが3の場合(WO3)などがある。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記に挙げたXの値に特に制約はなく、エッチングレート等を基に、どの酸化物を形成するかを決めるとよい。また、プラズマ処理の条件として、例えば、高周波(マイクロ波等)を用いて高密度(好ましくは、1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下)、且つ低電子温度(好ましくは0.5eV以上1.5eV以下)の条件下(以下、「高密度プラズマ」とも記す)で行うことにより、金属膜表面に酸化膜を形成することも可能である。また、金属酸化膜の他にも、金属窒化物や金属酸化窒化物を用いてもよい。この場合、金属膜に窒素雰囲気下または窒素と酸素雰囲気下でプラズマ処理や加熱処理を行えばよい。プラズマ処理の条件としては、上記と同様にして行うことが可能である。
絶縁膜703は、スパッタ法やプラズマCVD法等により、珪素の酸化物または珪素の窒化物を含む膜を、単層又は積層で形成する。下地となる絶縁膜が2層構造の場合、例えば、1層目として窒化酸化珪素膜を形成し、2層目として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁膜が3層構造の場合、1層目の絶縁膜として酸化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。または、1層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁膜は、基板701からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
非晶質半導体膜704は、スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等により、25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成する。
次に、非晶質半導体膜704を結晶化法(レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザ結晶化法を組み合わせた方法等)により結晶化して、結晶質半導体膜を形成する。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングして、結晶質半導体膜706〜710を形成する(図5(B))。
結晶質半導体膜706〜710の作製工程の一例を以下に簡単に説明すると、まず、プラズマCVD法を用いて、膜厚66nmの非晶質半導体膜を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、必要に応じてレーザ光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いることによって結晶質半導体膜706〜710を選択的に形成する。
連続発振型のレーザビーム(CWレーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
また、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質半導体膜の結晶化を行うと、低温で短時間の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結晶質半導体膜に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、結晶質半導体膜上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体膜を形成するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体膜には、リンやアルゴンの不純物元素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタ法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体膜中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を含む非晶質半導体膜を除去する。そうすると、結晶質半導体膜中の金属元素の含有量を低減又は除去することができる。
次に、結晶質半導体膜706〜710を覆うゲート絶縁膜705を形成する。ゲート絶縁膜705は、プラズマCVD法やスパッタ法等により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む膜を、単層又は積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む膜、酸化窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜を、単層又は積層して形成する。
また、ゲート絶縁膜705は、結晶質半導体膜706〜710に対し前述の高密度プラズマ処理を行い、表面を酸化又は窒化することで形成しても良い。例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと、酸素、酸化窒素(NO2)、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスを導入したプラズマ処理で形成する。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波の導入により行うと、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することができる。
このような高密度プラズマを用いた処理により、1〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に形成される。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁膜と半導体膜との界面準位密度はきわめて低くすることができる。このような、高密度プラズマ処理は、半導体膜(結晶性シリコン、或いは多結晶シリコン)を直接酸化(若しくは窒化)するため、形成される絶縁膜の厚さは理想的には、ばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの結晶粒界でも酸化が強くされることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
ゲート絶縁膜は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いても良いし、それにプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
また、半導体膜に対し、連続発振レーザ若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた結晶質半導体膜706〜710は、そのビームの走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、上記ゲート絶縁層を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高いトランジスタ(TFT)を得ることができる。
次に、ゲート絶縁膜705上に、第1の導電膜と第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜は、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、20〜100nmの厚さで形成する。第2の導電膜は、100〜400nmの厚さで形成する。第1の導電膜と第2の導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成する。第1の導電膜と第2の導電膜の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル(TaN)膜とタングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜とタングステン膜、窒化モリブデン(MoN)膜とモリブデン(Mo)膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電膜と第2の導電膜を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層構造ではなく、3層構造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電膜(ゲート電極とよぶことがある)716〜725を形成する。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体膜706、708〜710に、イオンドープ法又はイオン注入法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加して、N型不純物領域711、713〜715とチャネル形成領域780、782〜784を形成する。N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体膜707に、P型を付与する不純物元素を添加して、P型不純物領域712とチャネル形成領域781を形成する。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。
次に、ゲート絶縁膜705と導電膜716〜725を覆うように、絶縁膜を形成する。絶縁膜は、プラズマCVD法やスパッタ法等により、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電膜716〜725の側面に接する絶縁膜(サイドウォールともよばれる)739〜743を形成する(図5(C))。また、絶縁膜739〜743の作製と同時に、ゲート絶縁膜705がエッチングされた絶縁膜734〜738を形成する。絶縁膜739〜743は、後にLDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、絶縁膜739〜743をマスクとして用いて、結晶質半導体膜706、708〜710にN型を付与する不純物元素を添加して、第1のN型不純物領域(LDD領域ともよぶ)727、729、731、733と、第2のN型不純物領域726、728、730、732とを形成する。第1のN型不純物領域727、729、731、733が含む不純物元素の濃度は、第2のN型不純物領域726、728、730、732の不純物元素の濃度よりも低い。上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ744、746〜748と、P型の薄膜トランジスタ745が完成する。
なお、LDD領域を形成するためには、サイドウォールの絶縁膜をマスクとして用いる手法がある。サイドウォールの絶縁膜をマスクとして用いることによって、LDD領域の幅の制御が容易であり、また、LDD領域を確実に形成することができる。
続いて、薄膜トランジスタ744〜748を覆うように、絶縁膜を単層又は積層して形成する(図6(A))。薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁膜は、SOG法、液滴吐出法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層又は積層で形成する。シロキサン系の材料とは、例えば、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む物質、又は、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基にフッ素、アルキル基、芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む物質に相当する。例えば、薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁膜が3層構造の場合、1層目の絶縁膜749として酸化珪素を含む膜を形成し、2層目の絶縁膜750として樹脂を含む膜を形成し、3層目の絶縁膜751として窒化珪素を含む膜を形成するとよい。
なお、絶縁膜749〜751を形成する前、又は絶縁膜749〜751のうちの1つ又は複数の薄膜を形成した後に、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザアニール法又はRTA法などを適用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法により絶縁膜749〜751をエッチングして、N型不純物領域726、728〜732、P型不純物領域785を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電膜を形成し、当該導電膜をパターン加工して、ソース配線又はドレイン配線として機能する導電膜752〜761を形成する。
導電膜752〜761は、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ネオジウム(Nd)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電膜752〜761は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン(TiN)膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜752〜761を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
次に、導電膜752〜761を覆うように、絶縁膜762を形成する(図6(B))。絶縁膜762は、SOG法、液滴吐出法等を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁膜762は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
続いて、フォトリソグラフィ法により絶縁膜762をエッチングして、導電膜752を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電膜を形成する。導電膜は、プラズマCVD法やスパッタリング法等を用いて、導電性材料により形成する。次に、導電膜をパターン加工して、導電膜765を形成する。なお、導電膜765は、アンテナとして機能する導電膜との接続部分となる。従って、好適には、導電膜765は、チタン、又はチタンを主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層又は積層で形成するとよい。また、導電膜765を形成するためのフォトリソグラフィ工程においては、下層の薄膜トランジスタ744〜748にダメージを与えないために、ウエットエッチング加工を行うとよく、エッチング剤にはフッ化水素(HF)又はアンモニア過水を用いるとよい。
次に、導電膜765に接し、アンテナとして機能する導電膜766a〜766dおよびダミーパターンとして機能する導電膜767を形成する(図7(A))。導電膜766a〜766dおよび導電膜767は、上記実施の形態で示したようにスクリーン印刷法を用いて形成する。ここでは、銀(Ag)を含むペーストを用いて形成し、その後50〜350度の加熱処理を行って形成する。また、上記工程において導電膜765を形成せずに、直接導電膜752を露出させるコンタクトホールに導電膜766aを設けることもできる。
次に、アンテナとして機能する導電膜766a〜766dおよび導電膜767を覆うように、SOG法、液滴吐出法等により、保護膜として機能する絶縁膜772を形成する(図7(B))。絶縁膜772は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む膜、窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜、有機材料により形成し、好ましくはエポキシ樹脂により形成する。
次に、基板701から素子形成層791の剥離を行う。素子形成層791の剥離は、素子形成層791に選択的にレーザ光を照射して開口部773、774を形成後(図8(A))、物理的な力を用いて行う。また、他の方法として開口部773、774を形成して剥離層702を露出させた後エッチング剤を導入することによって、剥離層702を除去した後に剥離を行ってもよい(図8(B))。エッチング剤は、フッ化ハロゲンまたはハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF3)を使用する。そうすると、素子形成層791は、基板701から剥離された状態となる。なお、素子形成層791とは、ここでは、薄膜トランジスタ744〜748、記憶素子部789、790の素子群と、アンテナとして機能する導電膜786を合わせたものとする。なお、剥離層702は、全て除去せず一部分を残存させてもよい。こうすることによって、エッチング剤の消費量を抑え剥離層の除去に要する処理時間を短縮することが可能となる。また、剥離層702の除去を行った後にも、基板701上に素子形成層791を保持しておくことが可能となる。
素子形成層791が剥離された基板701は、コストの削減のために、再利用するとよい。また、絶縁膜772は、剥離層702を除去した後に、素子形成層791が飛散しないように形成したものである。素子形成層791は小さく薄く軽いために、剥離層702を除去した後は、基板701に密着していないために飛散しやすい。しかしながら、素子形成層791上に絶縁膜772を形成することで、素子形成層791に重みが付き、基板701からの飛散を防止することができる。また、素子形成層791単体では薄くて軽いが、絶縁膜772を形成することで、基板701から剥離した素子形成層791が応力等により巻かれた形状になることがなく、ある程度の強度を確保することができる。
次に、素子形成層791の一方の面を、第1のシート材775に接着させて基板701から完全に剥離する(図9(A))。剥離層702を全て除去せず一部を残した場合には、物理的手段を用いて基板701から素子形成層を剥離する。続いて、素子形成層791の他方の面に、第2のシート材776を設け、その後加熱処理と加圧処理の一方または両方を行って、第2のシート材776を貼り合わせる。また、第2のシート材776を設けると同時または設けた後に第1のシート材775を剥離し、代わりに第3のシート材777を設ける。そして、加熱処理と加圧処理の一方または両方を行って、第3のシート材777を貼り合わせる。そうすると、第2のシート材776と第3のシート材777により封止された半導体装置が完成する(図9(B))。
なお、第1のシート材775と第2のシート材776によって封止を行っても良いが、基板701から素子形成層791を剥離するためのシート材と素子形成層791を封止するためのシート材に異なるシート材を用いる場合には、上述したように、第2のシート材776と第3のシート材777で素子形成層791を封止する。これは、例えば、基板701から素子形成層791を剥離する際に、第1のシート材775が素子形成層791のみならず基板701への接着が懸念される場合等、粘着力が弱いシート材を利用したいときに有効となる。
封止に用いる第2のシート材776、第3のシート材777として、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルム等を利用することができる。また、フィルムは、被処理体と加熱処理と加圧処理が行われるものであり、加熱処理と加圧処理を行う際には、フィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。また、第2のシート材776と第3のシート材777の表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。また、封止後に内部への水分等の侵入を防ぐために封止するシート材にシリカコートを行うことが好ましく、例えば、接着層とポリエステル等のフィルムとシリカコートを積層させたシート材を利用することができる。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態1〜2と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも利用することができるし、本実施の形態で示した材料や形成方法は上記実施の形態でも利用することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる半導体装置に関して図面を用いて説明する。具体的には、素子群とアンテナ形成層を別途作製し、素子群とアンテナ形成層とを接続して設ける場合に関して説明する。
アンテナ形成層202は、上記実施の形態で示した方法を用いて、基板201上にスクリーン印刷法によりアンテナとして機能する導電膜203およびダミーパターンとなる導電膜204を形成する(図10(A))。なお、ここでは、ダミーパターンとなる導電膜204を設ける例を示したが、上記実施の形態2に示したように、アンテナとして機能する導電膜203の最外周の導電膜を選択的に太く形成して設けることも可能である。一方、素子群210は、上記実施の形態で示した方法を用いて、基板211上に絶縁膜212を介して薄膜トランジスタ213を設けることによって形成することができる。
次に、基板211上に設けられた薄膜トランジスタ213と基板201上に設けられたアンテナとして機能する導電膜203とを電気的に接続するように、基板201と基板211を貼り合わせる(図10(B))。ここでは、接着性を有する樹脂215に含まれた導電性粒子216を用いることによって、薄膜トランジスタ213とアンテナとして機能する導電膜203との接続を行う(図10(C))。ここでは、導電性微粒子を用いて素子群210とアンテナ形成層202とを電気的に接続した例を示しているが、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤、ACP(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着剤や半田接合等を用いて接続することも可能である。
基板201、211としては、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁膜を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板のような可撓性を有する基板を用いるとよい。このような基板であれば、その面積や形状に大きな制限はないため、基板として、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いることによって、生産性を格段に向上させることができる。
以上の工程により、別々に形成された素子群とアンテナ形成層とを貼り合わせることによって形成された半導体装置を得ることができる。なお、図10では、素子群に薄膜トランジスタを設けた例を示したが、これに限られず素子群にSi等の半導体基板を用いた電界効果型トランジスタ(FET)を用いることもできる。この場合に関して、図11(A)、(B)を用いて説明する。
まず、基板201上にスクリーン印刷法を用いて、アンテナとして機能する導電膜203およびダミーパターンとなる導電膜204を設けることによってアンテナ形成層202を形成する。アンテナとして機能する導電膜203の形状は、どのように設けてもよく、例えば電磁誘導方式を用いる場合には上記実施の形態で示したようにコイル状に設け、電波方式を用いる場合には適用する電磁波の波長を考慮して導電膜203の長さを適宜設定する。また、ダミーパターンとなる導電膜204を設けるかわりに、上記実施の形態2で示したように最外周部の導電膜の幅を選択的に広く形成して設けてもよい。
素子群210としては、ここでは基板211としてSiの単結晶からなる半導体基板を用い、当該半導体基板をチャネル領域として用いた電界効果型トランジスタ(FET)(以下、トランジスタ223と記す)を形成することによって設ける。
アンテナ形成層202、素子群210をそれぞれ別々に設けた後、基板211上に形成されたトランジスタ223と基板211上に形成されたアンテナとして機能する導電膜203とを電気的に接続するように、基板201に基板211を貼り合わせる(図11(A))。ここでは、接着性を有する樹脂215に含まれた導電性粒子216を用いることによって、トランジスタ223とアンテナとして機能する導電膜203との接続を行う(図11(B))。ここでは、導電性微粒子を用いて素子群210とアンテナ形成層202とを電気的に接続した例を示しているが、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤、ACP(Anisotropic Conductive Paste)等の導電性接着剤や半田接合等を用いて接続することも可能である。
また、可撓性を有する半導体装置を設ける場合には、トランジスタ223の基板211を研削または研磨することにより薄膜化するとよい。また、図10において、基板211としてガラス基板を用いた場合には、当該ガラス基板211を研削または研磨することによって薄膜化するとよい。
本実施の形態は、上記実施の形態1〜3と自由に組み合わせて行うことができる。例えば、アンテナとして機能する導電膜203やダミーパターンとなる導電膜204の形状として上記実施の形態1〜3で示したいずれかの構成を組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の半導体装置を非接触でデータの送受信が可能であるRFIDとして利用した場合に関して図12を用いて説明する。
RFID80は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路81、クロック発生回路82、データ復調回路83、データ変調回路84、他の回路を制御する制御回路85、記憶回路86およびアンテナ87を有している(図12(A))。なお、記憶回路は1つに限定されず、複数であっても良く、SRAM、フラッシュメモリ、ROMまたはFeRAM等や有機化合物層を記憶素子部に用いたものを用いることができる。
リーダ/ライタ88から電波として送られてきた信号は、アンテナ87において電磁誘導により交流の電気信号に変換される。電源回路81では、交流の電気信号を用いて電源電圧を生成し、電源配線を用いて各回路へ電源電圧を供給する。クロック発生回路82は、アンテナ87から入力された交流信号を基に、各種クロック信号を生成し、制御回路85に供給する。復調回路83では、当該交流の電気信号を復調し、制御回路85に供給する。制御回路85では、入力された信号に従って各種演算処理を行う。記憶回路86では、制御回路85において用いられるプログラムやデータ等が記憶されている他、演算処理時の作業エリアとしても用いることができる。そして、制御回路85から変調回路84にデータが送られ、変調回路84から当該データに従ってアンテナ87に負荷変調を加えることができる。リーダ/ライタ88は、アンテナ87に加えられた負荷変調を電波で受け取ることにより、結果的にデータを読み取ることが可能となる。
また、RFIDは、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリ)を搭載せず電波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリ)を搭載して電波と電源(バッテリ)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
本発明の半導体装置をRFID等に利用した場合、非接触で通信を行う点、複数読取りが可能である点、データの書き込みが可能である点、様々な形状に加工可能である点、選択する周波数によっては、指向性が広く、認識範囲が広い点等の利点を有する。RFIDは、非接触による無線通信で人や物の個々の情報を識別可能なICタグ、ラベル加工を施して目標物への貼り付けを可能としたラベル、イベントやアミューズメント向けのリストバンド等に適用することができる。また、RFIDを樹脂材料により成型加工してもよいし、無線通信を阻害する金属に直接固定してもよい。さらに、RFIDは、入退室管理システムや精算システムといった、システムの運用に活用することができる。
次に、半導体装置をRFIDとして実際に使用するときの一形態について説明する。表示部321を含む携帯端末の側面には、リーダ/ライタ320が設けられ、品物322の側面にはRFID323が設けられる(図12(B))。品物322が含むRFID323にリーダ/ライタ320をかざすと、表示部321に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。また、商品326をベルトコンベアにより搬送する際に、リーダ/ライタ320と、商品326に設けられたRFID325を用いて、該商品326の検品を行うことができる(図12(C))。このように、システムにRFIDを活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態1〜4と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態6)
本発明の半導体装置の用途は広範にわたり、非接触で対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てる商品であればどのようなものにも適用することができる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図13を用いて説明する。
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指す(図13(A)参照)。証書類とは、運転免許証、住民票等を指す(図13(B)参照)。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す(図13(C)参照)。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指す(図13(D)参照)。書籍類とは、書物、本等を指す(図13(E)参照)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指す(図13(F)参照)。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指す(図13(G)参照)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指す(図13(H)参照)。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等を指す。
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等にRFIDを設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品類、生活用品類、電子機器等にRFIDを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等にRFIDを設けることにより、偽造や盗難の防止、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止することができる。RFIDの設け方としては、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりして設ける。例えば、本ならば紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりするとよい。また、後に光学的作用を加えて書き込み(追記)をする場合には、チップに設けられた記憶素子の部分に光が照射できるように透明な材料で形成しておくことが好ましい。さらに、一度書き込んだデータの書き換えが不可能である記憶素子を用いることによって、効果的に偽造を防止することが可能となる。また、ユーザーが商品を購入した後のプライバシー等の問題についても、RFIDに設けられた記憶素子のデータを消去するシステムを設けておくことによって解決することができる。
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等にRFIDを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類にRFIDを設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にセンサを備えたRFIDを埋め込むことによって、生まれた年や性別または種類等はもちろん現在の体温等の健康状態を容易に管理することが可能となる。
以上のように、本発明の半導体装置はどのようなものにでも設けて使用することができる。なお、本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態1〜5と自由に組み合わせて行うことができる。