JP2007111918A - 焼成用成形体の製造方法および焼成体の製造方法 - Google Patents

焼成用成形体の製造方法および焼成体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】焼成用成形体および焼成体を均質にさせることを課題とする。
【解決手段】同じ流動状態の樹脂に同じ配合割合で混合されたときに当該混合された素材に対して互いに異なる流動性を付与する微粒状の第一および第二の充填材M1,M2の少なくとも一方に対して、第一の充填材M1により前記混練用の素材に付与される流動性と、第二の充填材M2により前記混練用の素材に付与される流動性と、を近づける処理を行い、前記流動性を近づける処理を行った後の第一・第二の充填材M1,M2と、第一・第二の充填材M1,M2の合計重量と等重量以下の流動状態の樹脂M3と、が含まれた前記混練用の素材を混練し、混練した素材を押出機構A1にて押し出して成形することにより焼成用成形体M5を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、焼成して焼成体を形成するための焼成用成形体の製造方法、および、当該焼成用成形体を用いた焼成体の製造方法に関する。
従来より、微粒状の無機素材からセラミックの焼成体を製造している。微粒状の無機素材に何も添加しないで焼成体を製造する場合、微粒状の無機素材をそのままプレス成形して焼成用成形体とし、この焼成用成形体を800〜2000℃で焼成している。また、所定の混練押出機に微粒状の無機素材と水とを投入して混合して素材を粘土状にし、粘土状とされた素材を所定のダイから押し出して焼成用成形体の形状に成形し、得られる焼成用成形体を800〜2000℃で焼成している。ここで、粘土状の素材を押出成形するため、素材中の水の重量比を微粒状の無機素材の重量比より多くしている。
特許文献1には、オルガノシラン処理用反応剤SiX1234を用いて約0.01ミクロン乃至約1000ミクロンの範囲の粒径を有する無機の充填材を表面処理した後に、この充填材と結合用の有機マトリックス樹脂とを混合して、セラミックの素地の形成に対して好適な射出成形可能な組成物を得ることが記載されている。
特許文献2には、押出機構にて軟化した所定の素材を混合して不定形の状態で押し出し、押し出した素材を不定形のまま成形機用容器に導入し、導入した不定形の素材をペレット成形装置にてペレット形状に成形することが記載されている。
特開平8−252813号公報 特開2004−17502号公報
微粒状の充填材と、当該充填材と等重量以下の流動状態の樹脂と、を含むフィラー高充填の素材を混練し、混練した素材を用いて押出成形により焼成用成形体を形成する際、充填材として互いに平均粒子径の異なる複数種類の充填材を用いると、焼成用成形体が不均質になることがあった。上記特許文献1,2には、互いに異なる平均粒子径の複数種類の充填材を用いた場合に押出成形品が不均質になることを解決する記載や示唆は無い。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、焼成用成形体および焼成体を均質にさせることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、微粒状の充填材と流動状態の樹脂とを含む混練用の素材を混練し、混練した素材を用いて、焼成により焼成体を形成するための焼成用成形体を製造する焼成用成形体の製造方法であって、同じ流動状態の樹脂に同じ配合割合で混合されたときに当該混合された素材に対して互いに異なる流動性を付与する微粒状の第一および第二の充填材の少なくとも一方に対して、前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性と、前記第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性と、を近づける処理を行う流動性調整工程と、前記流動性を近づける処理を行った後の前記第一および第二の充填材と、前記第一および第二の充填材の合計重量と等重量以下の流動状態の樹脂と、が含まれた前記混練用の素材を混練し、混練した素材を押出機構にて押し出して成形することにより前記焼成用成形体を得る成形工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、微粒状の充填材と流動状態の樹脂とを含む混練用の素材を混練し、混練した素材を用いて成形して焼成用成形体を形成し、当該焼成用成形体を用いて焼成体を製造する焼成体の製造方法であって、上記流動性調整工程と、上記成形工程と、得られた焼成用成形体を焼成して焼成体を形成する焼成工程とを備えることを特徴とする。
同じ流動状態の樹脂に同じ配合割合で混合されたときに当該混合された素材に対して互いに異なる流動性を付与する複数種類の微粒状充填材が樹脂成形用の素材に含まれ、当該素材が樹脂と等重量以上の充填材を有するフィラー高充填の素材である場合、各充填材が混練用の素材に付与する流動性の違いにより押出機構にて押し出されて成形された成形体は不均質になることがある。
本発明では、第一・第二(第一および第二)の充填材(フィラー)により混練用の素材に付与される流動性が近づけられているので、各充填材が混練用の素材に付与する流動性の違いにより焼成用成形体が不均質となる現象が解消される。従って、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の樹脂成形用素材であっても、均質な焼成用成形体が得られ、均質な焼成体が製造される。
ここで、上記充填材には、例えば、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材を用いることができる。上記微粒状は、粉末状ないしペレットよりも細かい粒状をいい、粉末状や微細な繊維状を含む。以下、同じである。
上記樹脂には、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂といった合成樹脂を用いることができる。上記流動状態の樹脂には、加熱軟化した熱可塑性樹脂、液状の熱硬化性樹脂、等が含まれる。前記液状は、低粘度の液状から高粘度の液状まで含む。
上記押出機構にて押し出して成形することには、例えば、押出成形すること、射出成形すること、が含まれる。混練された素材からペレット形状の成形用素材を生成し、当該成形用素材を成形機構にて押出成形または射出成形により成形して焼成用成形体を製造すると、焼成用成形体の量産に好適である。
充填材が素材に付与する流動性は、試験温度で流動状態である樹脂と前記充填材とが混合された素材の前記試験温度で求められるMFR(JIS K7210に準拠したメルトマスフローレイト。単にメルトフローレイトともいう。以下、同じ)で表され、また、上記押出機構内において出口の位置における温度で流動状態である樹脂と前記充填材とが混合された素材が前記出口の位置にて前記温度で押し出されるときの排出圧力で表される。
他方の充填材よりも低流動性の充填材(請求項2、請求項5〜請求項9における第二の充填材)により付与される流動性を高める処理には、充填材にシランカップリング剤を反応させる処理、充填材に滑剤を混合する処理、充填材に低融点の樹脂を混合する処理、充填材にMFRの大きい樹脂を混合する処理、混練用の素材に相溶化剤を配合する場合に当該配合割合よりも多い配合割合で相溶化剤を充填材に混合する処理、等がある。これらの場合、焼成用成形体を均質にさせる効果以外にも、単位時間当たりの素材の押出量を増大させ、焼成用成形体の生産性を向上させる効果が得られる。
他方の充填材よりも高流動性の充填材(請求項2、請求項5〜請求項9における第一の充填材)により付与される流動性を低める処理には、充填材に高融点の樹脂を混合する処理、充填材にMFRの小さい樹脂を混合する処理、混練用の素材に相溶化剤を配合する場合に当該配合割合よりも少ない配合割合で相溶化剤を充填材に混合するか又は相溶化剤を配合しない処理、等がある。
第一・第二の充填材のそれぞれが上記混練用の素材に付与する流動性は、上述した流動性を近づける処理を行った第一の充填材または第二の充填材を当該処理前の充填材が混練用の素材に含まれる全充填材の配合割合となるように混練用の素材に含まれる流動状態の樹脂と混合して混合後の素材について上記MFRや上記排出圧力を測定したとき、当該MFRや当該排出圧力で表される。例えば、シランカップリング剤を反応させたり滑剤を混合したり低融点の樹脂を混合したりした第二の充填材を、当該処理前の第二の充填材が混練用の素材中の全充填材の配合割合となるように前記流動状態の樹脂と混合し、混合後の素材について上記MFRや上記排出圧力を測定することにより、当該第二の充填材の流動性を求めることができる。
また、充填材の種類毎に充填材と流動状態の樹脂とを含む素材をペレット形状に成形してペレットを形成する場合、各充填材により混練用素材に付与される流動性は、混練した素材を押し出す押出機構内において出口の位置における温度を試験温度θとし、荷重Mnomを2.16kgとした各ペレットのMFRで表され、また、同押出機構内において出口の位置にて各ペレットが前記出口の位置の温度で押し出されるときの排出圧力で表される。
なお、請求項2〜請求項10に記載された構成を焼成体の製造方法に対応させることも可能である。
以上説明したように、請求項1、請求項11に係る発明によれば、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の樹脂成形用素材でも焼成用成形体を均質にさせて良質の焼成体を製造することが可能となる。
請求項2に係る発明では、同じ材質で異なる平均粒子径の充填材を配合したフィラー高充填の素材でも焼成用成形体を均質にさせることができる。
請求項3に係る発明では、異なる流動性を付与する充填材により混練用の素材に付与される流動性を容易に調整することができるとともに、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量をさらに向上させることが可能となる。
請求項4に係る発明では、焼成用成形体をより均質にさせて焼成体をより均質にさせ、ペレット形状とされた成形用素材を崩れやすくさせて容易に成形させ、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量をさらに向上させることが可能となる。
請求項5〜請求項9に係る発明では、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の素材でもより確実に焼成用成形体を均質にさせることができる。
請求項10に係る発明では、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量を向上させ、保形性に優れた焼成用成形体を形成して焼成体を製造可能とする好適な構成を提供することができる。
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)焼成用成形体および焼成体の製造方法の説明:
(2)本製造方法に用いられる製造装置の構成:
(3)焼成用成形体および焼成体の製造方法の作用、効果:
(4)各種変形例:
(1)焼成用成形体および焼成体の製造方法の説明:
図1と図2と図4は本発明の一実施形態にかかる焼成用成形体および焼成体の製造方法の概略を示す流れ図であり、図3は焼成用成形体の構造を示す模式図である。本焼成体の製造方法は、流動性調整工程S1と、成形工程S2と、焼成工程S3とを備え、微粒状の第一・第二の充填材M1,M2と、当該第一・第二の充填材の合計重量と等重量以下の流動状態の樹脂M3と、を少なくとも含む混練用素材(混練用の素材)を混練し、混練した素材を用いて成形して焼成用成形体M5を形成し、当該焼成用成形体を用いて焼成体M6を製造する。混練用素材は、第三の充填材、第四の充填材、…を含んでいてもよい。また、混練用素材は、充填材と樹脂M3のみ配合された素材でも、充填材と樹脂M3に充填材の合計重量未満の第三の素材M4が配合された素材でもよい。第三の素材、第四の素材、第五の素材、…、があれば、これらの合計重量が充填材の合計重量未満で一緒に配合された素材でもよい。流動性調整工程S1で第三の素材、第四の素材、…を混合する場合には、これらの合計重量と押出機構A1に供給する第三の素材、…の合計重量との合計が充填材の合計重量未満となるようにすればよい。ここで、第三の素材、第四の素材、…、が微粒状であると、充填材と樹脂を含む素材と混合されやすいので、焼成用成形体および焼成体をより確実に均質にさせる点で好適である。
ここで、充填材M1,M2は、同じ流動状態の樹脂に同じ配合割合で混合されたときに当該混合された素材に対して互いに異なる流動性を付与する微粒状の充填材である。本実施形態では、第二の充填材M2により混練用素材に付与される流動性が第一の充填材M1により混練用素材に付与される流動性よりも小さいものとする。図1では、両充填材M1,M2が同じ材質でありながら、第一の充填材M1は平均粒径が比較的大きい結果比較的大きい流動性を付与し、第二の充填材M2は平均粒径が比較的小さい結果比較的小さい流動性を付与する例を示している。
充填材が素材に付与する流動性は、試験温度で流動状態である樹脂と充填材とが混合された素材の前記試験温度で求められるMFR(単位:g/10min)で表され、MFRが大きくなるほど流動性が大きくなり、MFRが小さくなるほど流動性が小さくなる。また、押出機構A1内において出口の位置(図6のP1に相当)における温度で流動状態である樹脂と充填材とが混合された素材が前記出口の位置にて前記温度で押し出されるときの排出圧力Pe(単位:MPa)で表され、排出圧力が大きくなるほど流動性が小さくなり、排出圧力が小さくなるほど流動性が大きくなる。MFRが0.0g/10minと求められる場合には、MFRの大小が誤差によって消えている可能性があるので、素材の排出圧力Peを流動性の指標とすればよい。むろん、排出圧力Peが0.0MPaと求められる場合には、排出圧力の大小が誤差によって消えている可能性があるので、素材のMFRを流動性の指標とすればよい。
例えば、x1重量部(50≦x1<100、例えば80重量部)の第一の充填材M1と100−x1重量部(例えば20重量部)の所定MFR(例えば30g/10min)のポリプロピレンとを加熱混合した素材のMFRは、押出機構A1の出口の温度を試験温度θ℃(例えば180℃)とし、荷重Mnomを2.16kgとして、JIS K7210に準拠したMFRを測定すればよい。すると、測定されたMFRが第一の充填材M1の流動性を表す測定値となる。また、同素材の排出圧力Peは、焼成用成形体を成形するためのダイを取り付けた押出機構A1の出口の温度をθ℃(例えば180℃)として同素材を押し出すときに押出機構A1内において出口の位置に相当する位置に圧力計の検出部を挿入して測定すればよい。すると、測定された排出圧力Peが第一の充填材M1の流動性を表す測定値となる。第二の充填材M2が同じ流動状態の樹脂に同じ配合割合で混合されたときに当該混合された素材に付与する流動性は、前記x1重量部の第二の充填材M2と前記100−x1重量部の所定MFRのポリプロピレンとを加熱混合した素材のMFRや排出圧力Peで表される。
充填材M1,M2のそれぞれが混練用素材に付与する流動性は、以下のように表される。
第一の充填材M1については、混練用素材に含まれる全充填材の重量比をx2重量%、流動状態の樹脂M3の重量比をx3重量%、その他の素材をx4重量%(0<x3≦x2、0≦x4<x2)とすると、充填材M1に流動性を近づける処理を行う場合には当該処理を行った後に充填材M1を当該処理前の重量でx2重量%、流動状態の樹脂M3をx3重量%、その他の素材をx4重量%となるように配合して混合した素材についてMFRや排出圧力Peを測定したとき、測定したMFRや排出圧力Peを充填材M1の流動性を表す値とする。流動性を近づける処理を行うと充填材M1の重量がx2重量部からx2’重量部(0<X2<x2’)に増えることがあるが、焼成用成形体中の充填材の重量比を重視するため、x2’−x2重量部については樹脂の場合には樹脂のx3重量%に含め樹脂以外の場合にはその他の素材のx4重量%に含めることにし、流動性を近づける処理の前の重量x2を基準としてMFRや排出圧力を測定するための素材を形成する。第二の充填材M2についても、充填材M2に流動性を近づける処理を行う場合には当該処理を行った後に充填材M2を当該処理前の重量でx2重量%、流動状態の樹脂M3をx3重量%、その他の素材をx4重量%となるように配合して混合した素材についてMFRや排出圧力Peを測定したとき、測定したMFRや排出圧力Peを充填材M2の流動性を表す値とする。
所定の平均粒子径の充填材(第一の充填材M1)と樹脂M3とを含む混練用素材から押出成形により焼成用成形体を形成する際、図3に示すように、同じ材質でより平均粒子径の小さい充填材(第二の充填材M2)を混練用素材に配合して焼成用成形体M5を形成すると、大きい充填材M1どうしの隙間に小さい充填材M2が入り込む。これにより、充填材に大きい充填材M1のみを用いて形成した焼成用成形体M5contよりも、小さい充填材M2を用いた焼成用成形体M5の方が、焼成用成形体中で充填材がより最密充填に近い構造となり、緻密になる。ここで、混練用素材に含まれる充填材の重量比をr1(0<r1<1)、混練用素材に含まれる樹脂の重量比をr2(0<r2≦r1)とすると、小さい第二の充填材と樹脂とを重量比でr1(充填材):r2(樹脂)で混合した素材の流動性は、大きい第一の充填材と樹脂とを重量比でr1(充填材):r2(樹脂)で混合した素材の流動性よりも小さくなる。すなわち、測定誤差が無いとすれば、理論上、小さい第二の充填材を含む素材のMFRは大きい第一の充填材を含む素材のMFRよりも小さく、小さい第二の充填材を含む素材の排出圧力は大きい第一の充填材を含む素材の排出圧力よりも大きくなる。
流動性調整工程S1では、充填材M1,M2の少なくとも一方に対して、第一の充填材M1により混練用素材に付与される流動性と、第二の充填材M2により混練用素材に付与される流動性と、を近づける処理を行う。第二の充填材M2が第一の充填材M1により混練用素材に付与される流動性よりも低い流動性を混練用素材に付与する充填材である場合、第二の充填材M2により混練用素材に付与される流動性を高める処理と、第一の充填材M1により混練用素材に付与される流動性を低める処理と、の少なくとも一方を行う。
成形工程S2では、充填材M1,M2により混練用素材に付与される流動性を近づける処理を行った後の充填材M1,M2と、充填材M1,M2の合計重量と等重量以下の流動状態の樹脂M3と、が含まれた混練用素材を混練し、混練した素材を所定の押出機構A1にて押し出して所定の成形機構A2にて成形することにより焼成用成形体M5を得る。ここで、焼成用成形体は、焼成により焼成体を形成するための成形体である。
焼成工程S3では、得られた焼成用成形体M5を所定の焼成機構A3で焼成して焼成体M6を形成する。
上記流動性調整工程S1は、流動性を近づける処理を行った後の充填材M1,M2と当該充填材M1,M2の合計重量と等重量以下の流動状態の樹脂M3とが少なくとも含まれた不定形押出用素材M11を混練して所定の不定形押出機構A4にて不定形の状態で押し出す不定形押出工程S4と、不定形押出機構A4から押し出された不定形の素材M14を少なくとも用いて不定形のまま所定の導入部A5に導入して当該導入した不定形の素材M14を所定のペレット成形機構A13にてペレット形状に成形するペレット成形工程S6とを備え、上記成形工程S2は、得られたペレットM18が少なくとも含まれた混練用素材を混練して上記押出機構A1にて押し出して所定の成形機構A2にて焼成用成形体の形状に成形して焼成用成形体M5を得る焼成用成形体生成工程S7を備えていると、好適である。ここで、ペレットM18は、成形機構A2にて焼成用成形体の形状に成形可能とする素材である。
上記流動性調整工程S1は、上記不定形押出工程S4と、不定形押出機構A4から押し出された不定形の素材M14を少なくとも用いて所定の粉砕機構A12にて粉砕して粉砕後の素材(粉砕物M16)を少なくとも用いてペレット形状に成形するペレット成形工程S6とを備えていると、さらに好適である。
なお、押出機構A1や不定形押出機構A4には、一軸スクリュー混練押出機、二軸スクリュー混練押出機等の多軸スクリュー混練押出機、等を用いることができる。
不定形押出用素材M11は、充填材と樹脂M3(例えば熱可塑性樹脂M12)のみでも、充填材の合計重量未満でその他の素材(例えば第三の素材M13)を含んでいてもよい。導入部A5に導入する素材は、不定形の素材M14のみでも、充填材の合計重量未満でその他の素材(例えば第三の素材M15)を含んでいてもよい。混練用素材は、ペレットM18のみでも、充填材の合計重量未満でその他の素材(例えば第三の素材M19)を含んでいてもよい。
なお、ペレット成形機構A13に供給する素材は、上記粉砕物M16のみでも、充填材の合計重量未満でその他の素材(例えば第三の素材M17)を含んでいてもよい。
上述した第三の素材M13,M15,M17,M19および流動性調整工程S1で混合する第三の素材、…の合計の配合割合は、充填材の性質を十分に残す観点からは、重量比で充填材の合計重量未満となる配合割合が好ましい。ここで、第三の素材M13,M15,M17,M19が微粒状であると、焼成用成形体および焼成体をより確実に均質にさせる点で好適である。
また、図4に示すように、流動性調整工程S1では、第一の充填材M1と、当該第一の充填材と等重量以下の流動状態の樹脂M22と、必要に応じて第三の素材M23、第四の素材、…とが含まれた不定形押出用素材M21を所定の不定形押出機構A4にて不定形の状態で押し出して押し出した不定形の素材を不定形のまま所定の導入部A5に導入し(不定形押出工程S4)、同導入部に導入された不定形の素材を少なくとも用いて所定のペレット成形機構A13にてペレット形状に成形して第一のペレットM24を形成するとともに(ペレット成形工程S6)、第二の充填材M2と、当該第二の充填材と等重量以下の流動状態の樹脂M32と、必要に応じて第三の素材M33、第四の素材、…とが含まれた不定形押出用素材M31を所定の不定形押出機構A4にて不定形の状態で押し出して押し出した不定形の素材を不定形のまま所定の導入部A5に導入し(不定形押出工程S4)、同導入部に導入された不定形の素材を少なくとも用いて所定のペレット成形機構A13にてペレット形状に成形して第二のペレットM34を形成してもよい(ペレット成形工程S6)。
すなわち、不定形押出工程S4では素材を不定形の状態で押し出し、ペレット成形工程S6では不定形のまま素材を導入部A5に導入すればよいので、素材の押出流量は制限されない。すると、流動状態の樹脂が充填材と等重量以下のような流動性の小さい素材であっても、単位時間当たりにペレットを大量に生成することが可能となり、このペレットを用いて焼成用成形体を大量生産することが可能となる。ここで、焼成用成形体には樹脂が含まれているので、焼成中や焼成前に焼成用成形体は崩れず、保形性の良好な焼成用成形体が得られる。また、樹脂が充填材の重量以下の重量とされているので、焼成用成形体から焼成体への収縮度合が小さい。従って、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量を向上させ、保形性に優れた焼成用成形体を形成して焼成体を製造することが可能となる。さらに、ペレットを原料として成形機構により容易に成形して焼成用成形体を得ることができる。
さらに、流動性調整工程S1では、不定形押出用素材M21を不定形の状態で押し出し(不定形押出工程S4)、押し出された不定形の素材を少なくとも用いて所定の粉砕機構A12にて粉砕し(粉砕工程S5)、粉砕後の素材を少なくとも用いてペレット形状に成形して第一のペレットM24を形成するとともに(ペレット成形工程S6)、不定形押出用素材M31を不定形の状態で押し出し(不定形押出工程S4)、押し出された不定形の素材を少なくとも用いて所定の粉砕機構A12にて粉砕し(粉砕工程S5)、粉砕後の素材を少なくとも用いてペレット形状に成形して第二のペレットM34を形成してもよい(ペレット成形工程S6)。
すなわち、不定形の素材が一旦粉砕されてペレットとされるので、ペレットをより均質にさせ、焼成用成形体をより均質にさせて、より均質で良質の焼成体を得ることが可能となる。また、当該ペレットを原料として焼成用成形体の形状に成形する時に、原料段階ではペレット形状が維持される一方、混練段階でペレットがより崩れやすくなって分散性が向上するので、より容易に成形して焼成用成形体を得ることが可能となる。さらに、不定形の素材が粉砕されることによってペレットを成形する際に成形用の穴や隙間等に入りやすくなるので、単位時間当たりのペレットの生成量がさらに増え、焼成用成形体の生産量をさらに増やすことが可能となる。
なお、樹脂M22,M32が熱可塑性である場合には、加熱機構A11にて不定形押出用素材M21,M31を軟化させることができる。各ペレットM24,M34を生成する際、各機構A4,A11,A12,A13を共用してもよいし、別々に用意してもよい。
ここで、充填材M21,M31は、上述した流動性を近づける各種処理を行った後に不定形押出機構A4に供給されてもよいし、ペレット化(不定形押出工程S4〜ペレット成形工程S6)の際に上述した流動性を近づける処理が行われることを前提として流動性を近づける処理を行っていない状態で不定形押出機構A4に供給されてもよい。
後者の場合、流動性調整工程S1では、第一・第二のペレットM24,M34を形成する際に、第一のペレットM24により混練用素材に付与される流動性と、第二のペレットM34により混練用素材に付与される流動性と、を近づける処理を行ってペレットM24,M34を形成する。この処理の詳細は、後述する。そして、焼成用成形体生成工程S7では、所定の配合割合で第一・第二のペレットM24,M34と必要に応じて第三の素材M19、第四の素材、…とが含まれた混練用素材を混練し、混練した素材を押出機構A1にて押し出して成形機構A2にて焼成用成形体の形状に成形して焼成用成形体M5を得る。
以上により、異なる流動性を付与する充填材により混練用素材に付与される流動性を近づける処理を行う際に、各充填材から形成される各ペレットにより混練用素材に付与される流動性を近づけるようにすればよいので、異なる流動性を付与する充填材により混練用素材に付与される流動性を容易に調整することが可能になる。
充填材の種類毎にペレットを形成する場合、各充填材(第一の充填材、第二の充填材、…のいずれか)により混練用素材に付与される流動性は、押出機構A1内において出口の位置(図6のP1に相当)における温度を試験温度θとし、荷重Mnomを2.16kgとした各ペレット(第一のペレット、第二のペレット、…のいずれか)のMFRで表され、また、押出機構A1内において出口の位置(図6のP1に相当)にて各ペレット(第一のペレット、第二のペレット、…のいずれか)が前記出口の位置の温度で押し出されるときの排出圧力Peで表される。むろん、MFRが0.0g/10minと求められる場合には排出圧力Peを流動性の指標とすればよく、排出圧力Peが0.0MPaと求められる場合にはMFRを流動性の指標とすればよい。
なお、第一の充填材、第二の充填材、第三の充填材、…による流動性が互いに異なる場合、第一のペレット、第二のペレット、第三のペレット、…を形成する際にこれらのペレットによる流動性を互いに近づける処理を行った後、焼成用成形体を形成してもよい。この場合、流動性を近づける処理は、全てのペレットに対して行ってもよいし、これらのペレットのうち一部の充填材にのみ行ってもよく、いずれの場合も本発明に含まれる。
樹脂に熱可塑性樹脂を用いる場合、ペレット成形機構A13にて成形した素材を第一の冷却機構にて冷却する第一冷却工程を設けてもよい。すると、ペレット形状の素材を速やかに固化させることができ、ペレットが相互に接着してしまうことを防止することができる。さらに、ペレット形状の素材を冷却することにより容易にペレットを適宜保管することができ、保管したペレットを用いて焼成用成形体を製造することも可能となるので、焼成用成形体の生産の自由度を向上させることができる。
また、成形機構A2にて成形された素材を第二の冷却機構にて冷却する第二冷却工程を設けてもよい。すると、焼成用成形体の形状の素材を速やかに固化させることができ、焼成用成形体が相互に接着してしまうことを防止することができる。さらに、焼成用成形体の形状の素材を冷却することにより容易に焼成用成形体を適宜保管することができ、保管した焼成用成形体を用いて焼成体を製造することも可能となるので、焼成体の生産の自由度を向上させることができる。
充填材M1,M2には、微粒状の無機、金属、木質系材料を用いることができ、アルミナ、窒化アルミニウム、アルミナシリカやジルコニアシリカやフライアッシュ等のシリカ、ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、チタニア、ジルコニア、ガラス、スラグ、これらの混合物、等の微粒状(粉末状ないしペレットよりも細かい粒状)の無機素材、金、銀、鉄、ステンレス鋼、クロム合金、ニッケル合金、青銅、等の微粒状の金属素材、木粉、木毛、木片、木質繊維、木質パルプ、木質繊維束、等の微粒状の木質系材料、等を用いることができる。無機素材は、結晶質の素材でも、非晶質ガラスのように非晶質の素材でもよい。木質系材料を用いて焼成用成形体を形成する場合、窒素ガスや炭酸ガスやアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で焼成用成形体を焼成することにより、木質系材料を燃焼させることなく炭化させて焼成体を形成することができる。
大きい充填材M1の粒子径AR1は、0.01〜1000μmが好ましく、粒径をより揃えるために0.2〜500μm、1〜100μmとしてもよい。充填材M1の平均粒子径としては、0.1〜500μmが好ましい。充填材M1の粒度を調整すると、焼成用成形体や焼成体の強度を調整することができる。
小さい充填材M2の粒子径AR2は、0.001〜100μmが好ましく、粒径をより揃えるために0.02〜50μm、0.1〜10μmとしてもよい。充填材M2の平均粒子径としては、大きい充填材M1の平均粒子径よりも小さい範囲で0.02〜100μmが好ましい。大きい充填材M1の平均粒子径に対する小さい充填材M2の平均粒子径の比AR2/AR1は0<AR2/AR1<1であればよく、例えば0.001<AR2/AR1<0.5となる充填材M1,M2を用いることができる。
なお、平均粒子径は、充填材が球形であれば直径、非球形であれば長径と短径の平均としている。
充填材M1,M2の配合比は、例えば、大きい充填材M1を50〜90重量%とし、小さい充填材M2を10〜50重量%とすることができる。
樹脂M3には、ポリプロピレン(PP),ポリエチレン,ポリスチレン,ポリブデン,ポリメチルメタアクリレート,塩化ビニル,ポリアミド(ナイロン),ポリカーボネート,ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート、これらの混合物、等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂、これらの混合物、等の熱硬化性樹脂、等を用いることができる。PPやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂は、ペレットを生成して容易に焼成用成形体の形状に成形することができる点で好適な樹脂であるとともに、焼成時に焼却されて除去される点でも好適な樹脂である。
樹脂M3が溶融状態(流動状態)であれば、そのまま充填材M1と混合して軟化した素材とすることができる。樹脂M3が熱可塑性樹脂である場合、加熱機付き混練押出機に対して固形の原反として樹脂M3を投入可能である。ここで、熱可塑性樹脂を図2の混練用素材加熱機構A24,A31にて加熱された混練用素材の温度におけるMFRが10g/10min以上(好ましくは100g/10min以上)の樹脂とすると、混練用素材から焼成用成形体の形状に成形する時に良好な流動性が得られ、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量を向上させることができる。PPのような熱可塑性樹脂では、一般に分子量が小さくなるほど流動性が大きくなる(MFRが大きくなる)ため、比較的低分子量の熱可塑性樹脂を用いると良好な流動性が得られる。樹脂としてPPを用いる場合、200〜230℃程度でペレットから焼成用成形体への成形を行うため、この温度範囲内のMFRが10以上(100以上)のPPを使用すればよい。なお、JIS K7210に関連するISO規格に規定されているPPの試験条件はJIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃)であるため、この条件でのMFRが10以上(100以上)のPPを用いてもよい。なお、同じ条件下でMFRが大きい樹脂であるほどペレットから焼成用成形体への成形が容易となるため、素材中の樹脂の配合割合をより少なくさせることができる。
樹脂M3が無機成分や金属成分を含まない化合物とされていると、焼成用成形体を焼成したときに残留しないので、不要成分の無い良質の焼成体を製造することができる。焼成時に残留しない樹脂M3としては、C(炭素)原子とH(水素)原子とO(酸素)原子のみからなる高分子化合物が非常に好ましいが、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物でもよい。
本実施形態では、素材中の樹脂M3の重量比を充填材M1,M2の合計の重量比以下として、フィラー高充填としている。充填材M1,M2と樹脂M3の好ましい配合割合は、充填材の合計が51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)に対し、樹脂が0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。充填材の合計を51重量%(70重量%)以上とするのは焼成用成形体を焼成したときに収縮度合を小さくして焼成体を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂を0.1重量%(5重量%)以上とするのは焼成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。
第三の素材M4として、例えば、樹脂M3と相溶性があり、かつ、親水基を有する相溶化剤を用いると、充填材と樹脂とのなじみを向上させることができ、焼成用成形体をより均質にさせ、焼成体をより均質にさせる。親水基としては、水酸基(ヒドロキシル基)、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホ基、等の官能基がある。相溶化剤をC原子とH原子とO原子のみからなる高分子化合物とすると、あるいは、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物とすると、焼成用成形体を焼成したときに相溶化剤が残留しないので、不要成分の無い高品質の焼成体を得ることができる。
素材中の好ましい配合割合は、充填材の合計が51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)であるのに対し、樹脂と相溶化剤の合計が0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)であり、相溶化剤のみが0.05〜5重量%である。充填材の合計を51重量%(70重量%)以上とするのは焼成用成形体を焼成したときに収縮度合を小さくして焼成体を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂と相溶化剤の合計を0.1重量%(5重量%)以上とするのは焼成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。また、樹脂と相溶化剤との好ましい配合比は、樹脂50〜99重量%に対し、相溶化剤1〜50重量%である。
相溶化剤として、素材に含まれる樹脂M3と相溶性のある合成樹脂の原料に所定の有機酸を添加して合成して得られる酸変性合成樹脂を用いると、焼成用成形体を焼成したときに有機酸が残留しないので、高品質の焼成体を得ることができる。樹脂M3と相溶性のある合成樹脂としては、合成樹脂とされた樹脂M3そのもののでもよいし、樹脂M3とは異なる合成樹脂でもよい。上記有機酸としては、樹脂に親水基を付与するマレイン酸を用いることができるが、フマル酸等のカルボキシル基を有する有機酸でもよい。合成樹脂を有機酸により変性した酸変性合成樹脂も通常変性していない合成樹脂に似た性質を有するため、酸変性合成樹脂のみを樹脂M3として使用してもよい。
熱可塑性樹脂をマレイン酸で変性した酸変性合成樹脂を製造するには、付加重合前の熱可塑性樹脂の原料にマレイン酸を添加して付加重合を行えばよい。すると、付加重合後の高分子には、親水基の一つであるカルボキシル基が付加される。従って、酸変性合成樹脂は、充填材M1,M2とのなじみが良くなっている。
一般に、合成樹脂を有機酸で変性した酸変性合成樹脂を製造するには、重合前の合成樹脂の原料に有機酸を添加して重合を行えばよい。すると、重合後の高分子には、カルボキシル基が付加され、充填材M1,M2とのなじみが良くなる。
第三の素材M4として、樹脂成形用の滑剤を用いてもよい。すると、ペレットから焼成用成形体の形状に成形する時に充填材間のすべりが良好となるので、成形しやすくさせることができる。滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、ラウリル酸ラウリル、長ステアリン酸ステアリル、長脂肪酸高級アルコールエステル、ベヘニン酸ベヘニン、ミリスチン酸セチル、等の脂肪酸エステル、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、等を用いることができる。滑剤をC原子とH原子とO原子のみからなる高分子化合物とすると、あるいは、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物とすると、焼成用成形体を焼成したときに滑剤が残留しないので、不要成分の無い高品質の焼成体を得ることができる。
素材中の好ましい配合割合は、充填材の合計が51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)であるのに対し、樹脂と滑剤の合計が0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)であり、滑剤のみが0.05〜5重量%である。充填材の合計を51重量%(70重量%)以上とするのは焼成用成形体を焼成したときに収縮度合を小さくして焼成体を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂と滑剤の合計を0.1重量%(5重量%)以上とするのは焼成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。また、樹脂と滑剤との好ましい配合比は、樹脂20〜99重量%に対し、滑剤1〜20重量%である。
第三の素材M4として、繊維状素材を用いてもよい。すると、繊維状素材が焼成用成形体を崩れにくくさせるので、保形性に優れた焼成用成形体を形成して焼成体を製造することが可能となる。繊維状素材としては、樹脂M3として使用可能な合成樹脂の繊維の他、ガラス繊維、セピオライト(Si12Mg8O30(OH)4(H2O)4・8H2O)、ワラストナイト(CaSiO3)、アスベスト(石綿)、マグネシウムウイスカ、等の鉱物繊維、等を用いることができる。繊維状素材をC原子とH原子とO原子のみからなる高分子化合物とすると、あるいは、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物とすると、焼成用成形体を焼成したときに繊維状素材が残留しないので、不要成分の無い高品質の焼成体を得ることができる。
素材中の好ましい配合割合は、充填材の合計が51〜99.8重量%(より好ましくは70〜95重量%)であるのに対し、樹脂と繊維状素材の合計が0.2〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)であり、繊維状素材のみが0.1〜30重量%である。充填材の合計を51重量%(70重量%)以上とするのは焼成用成形体を焼成したときに収縮度合を小さくして焼成体を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂と繊維状素材の合計を0.2重量%(5重量%)以上とするのは焼成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。この条件で、素材中の樹脂の好ましい配合割合は0.1重量%以上(より好ましくは5重量%以上)である。
なお、微粒状の無機素材または金属素材にシランカップリング剤を反応させて充填材M1,M2(特に小さい充填材M2)を得るシランカップリング工程をさらに設けてもよい。すると、充填材と樹脂とのなじみが向上し、焼成用成形体をより均質にさせ、焼成体をより均質にさせることができる。ここで、微粒状の無機素材または金属素材としては、そのまま充填材M1,M2となりうる素材を用いることができる。シランカップリング剤は、分子の一端に加水分解でシラノール基(Si-OH)を与えるエトキシ基やメトキシ基を有し、他端に有機官能基を有する。シランカップリング剤としては、特開平8−252813号公報に記載されたオルガノシラン処理用反応剤SiX1234(X1、X2、X3、X4の少なくとも一つは約10乃至35個の炭素原子を有する非官能化されたアルキルまたはアルケニル基、X1、X2、X3、X4の少なくとも一つはアルコキシ基またはハロゲン化物)等を用いることができる。微粒状の無機素材または金属素材に対してシランカップリング剤を用いてシランカップリング処理を行うと、微粒状の無機素材または金属素材に疎水性の有機官能基が付加され、疎水性が付与される。従って、微粒状の無機素材または金属素材は、樹脂M3とのなじみが良くなる。
シランカップリング処理は、例えば特開平8−252813号公報に記載された方法で行うことができる。すなわち、イソプロピルアルコールまたは約5〜50体積%のイソプロピルアルコールを含む水の中に微粒状の無機素材または金属素材を高速ミキサで一様となるように十分に分散させ、生成したスラリーにオクタデシルトリエトキシシランを徐々に加え、60℃付近に維持して約15〜60分間撹拌し、その後遠心分離機でcake状の表面変性した無機素材または金属素材を分離し、約120℃で約5〜10時間乾燥すればよい。
微粒状の無機素材または金属素材にシランカップリング剤を反応させるときのシランカップリング剤の配合量は、微粒状の無機素材または金属素材を基準として0.1〜15重量%が好ましい。
素材中の好ましい配合割合は、シランカップリング処理を行った充填材の合計が51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)であるのに対し、樹脂が0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。シランカップリング工程で得られた充填材の合計を51重量%(70重量%)以上とするのは焼成用成形体を焼成したときに収縮度合を小さくして焼成体を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂を0.1重量%(5重量%)以上とするのは焼成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。
上述した相溶化剤や滑剤や繊維状素材は、炭素原子と水素原子と酸素原子のみからなる化合物とされていてもよい。さらに、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む化合物とされてもよい。このような相溶化剤等は焼成しても残留しないので、不要成分の無い高品質の焼成体を得ることができる。
流動性調整工程S1で第二の充填材M2により混練用素材に付与される流動性を高める処理として、例えば、充填材M2に上述したシランカップリング剤を反応させて第一の充填材M1により混練用素材に付与される流動性に近づける処理を採用することができる。この処理は、充填材M2が微粒状の無機素材または金属素材であると、好適である。充填材M2にシランカップリング剤を反応させるときのシランカップリング剤の配合量は、上述したように、充填材M2を基準として0.1〜15重量%が好ましい。
なお、シランカップリング処理を行った充填材M2の流動性は、混練用素材に含まれる全充填材の重量比をx2重量%、流動状態の樹脂M3の重量比をx3重量%、その他の素材をx4重量%として、シランカップリング処理前の充填材M2の重量を基準として充填材M2をx2重量%、流動状態の樹脂M3をx3重量%、その他の素材をx4重量%となるように配合して混合した素材について測定されるMFRや排出圧力Peで表される。
充填材M2に上述したシランカップリング処理を行うと、疎水性の有機官能基が付加され、樹脂M3とのなじみが良くなる。その結果、処理前には流動性の低い充填材M2により混練用素材に付与される流動性が高められ、流動性の高い充填材M1により混練用素材に付与される流動性に近づけられる。従って、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の素材でも確実に焼成用成形体を均質にさせることができる。また、単位時間当たりの混練用素材の押出量を増大させ、焼成用成形体の生産性を向上させる効果が得られる。
なお、混練用素材中の好ましい配合割合は、上述した理由により、充填材M1とシランカップリング処理を行った充填材M2との合計が51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)であるのに対し、樹脂が0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。
むろん、図4で示したように、シランカップリング処理を行っていない第一の充填材M1を含む素材M21から第一のペレットM24を形成し、シランカップリング処理を行った第二の充填材M2を含む素材M31から第二のペレットM34を形成して、焼成用成形体M5を製造してもよい。
また、充填材M2による流動性を高める処理として、充填材M2に上述した滑剤を混合して第一の充填材M1により混練用素材に付与される流動性に近づける処理を採用することができる。この処理は、例えば、80〜99.8重量%の充填材M1と0.2〜20重量%の滑剤とを混合することにより、行うことができる。すると、混練用素材中で充填材M2のすべりが良好となるので、処理前には流動性の低い充填材M2により混練用素材に付与される流動性が高められ、流動性の高い充填材M1により混練用素材に付与される流動性に近づけられる。従って、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の素材でも確実に焼成用成形体を均質にさせることができる。また、単位時間当たりの混練用素材の押出量を増大させ、焼成用成形体の生産性を向上させる効果が得られる。
むろん、図4で示したように、滑剤を含まず第一の充填材M1を含む素材M21から第一のペレットM24を形成し、滑剤と第二の充填材M2とを少なくとも含む素材M31から第二のペレットM34を形成して、焼成用成形体M5を製造してもよい。
さらに、充填材M2による流動性を高める処理として、混練用素材に含まれる樹脂に第一の樹脂と当該第一の樹脂よりも融点の低い第二の樹脂とを少なくとも用いることにして、充填材M2に融点の低い第二の樹脂を混合して第一の充填材M1により混練用素材に付与される流動性に近づける処理を採用することができる。むろん、混練用素材に含まれる樹脂に、互いに融点の異なる三種類以上の樹脂を用いてもよい。これらの樹脂としては、上述した各種の熱可塑性樹脂が好適である。この処理は、例えば、51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)の充填材M2と0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)の溶融状態の第二の樹脂とを混合することにより、行うことができる。すると、混練用素材中で充填材M2のすべりが良好となるので、処理前には流動性の低い充填材M2により混練用素材に付与される流動性が高められ、流動性の高い充填材M1により混練用素材に付与される流動性に近づけられる。従って、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の素材でも確実に焼成用成形体を均質にさせることができる。また、単位時間当たりの混練用素材の押出量を増大させ、焼成用成形体の生産性を向上させる効果が得られる。
一方、充填材M1による流動性を低める処理として、混練用素材に含まれる樹脂に上記第一・第二の樹脂を少なくとも用いることにして、充填材M1に融点の高い第一の樹脂を混合して第二の充填材M2により混練用素材に付与される流動性に近づける処理を採用することができる。この処理は、例えば、51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)の充填材M1と0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)の溶融状態の第一の樹脂とを混合することにより、行うことができる。すると、混練用素材中で充填材M1のすべりが低下するので、処理前には流動性の高い充填材M1により混練用素材に付与される流動性が低められ、流動性の低い充填材M2により混練用素材に付与される流動性に近づけられる。従って、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の素材でも確実に焼成用成形体を均質にさせることができる。
むろん、充填材M2に融点の低い第二の樹脂を混合する処理も行ってもよい。
なお、第一の樹脂としては例えば180〜200℃の融点を有する熱可塑性樹脂を用いることができ、第二の樹脂としては第一の樹脂よりも低融点であって例えば140〜160℃の融点を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。
本処理は、図4で示したペレットM24,M34を形成して焼成用成形体M5を製造するのが好適である。例えば、比較的高融点の第一の樹脂M22と第一の充填材M1とを少なくとも含む素材M21から第一のペレットM24を形成し、比較的低融点の第二の樹脂M32と第二の充填材M2とを少なくとも含む素材M31から第二のペレットM34を形成し、所定の配合割合の第一・第二のペレットM24,M34および必要に応じて第三の素材M19等からなる混練用素材を混練して、混練した素材を押し出して成形することにより、焼成用成形体M5を得ることができる。
さらに、充填材M2による流動性を高める処理として、混練用素材に含まれる樹脂に第一の樹脂と押出機構A1にて押し出される出口の位置P1における素材の温度を試験温度θ℃としたMFRが前記第一の樹脂よりも大きい第二の樹脂とを少なくとも用いることにして、充填材M2にMFRの大きい第二の樹脂を混合して第一の充填材M1により混練用素材に付与される流動性に近づける処理を採用することができる。むろん、混練用素材に含まれる樹脂に、互いにMFRの異なる三種類以上の樹脂を用いてもよい。これらの樹脂としては、上述した各種の熱可塑性樹脂が好適である。この処理は、例えば、51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)の充填材M2と0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)の溶融状態の第二の樹脂とを混合することにより、行うことができる。すると、混練用素材中で充填材M2のすべりが良好となるので、処理前には流動性の低い充填材M2により混練用素材に付与される流動性が高められ、流動性の高い充填材M1により混練用素材に付与される流動性に近づけられる。従って、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の素材でも確実に焼成用成形体を均質にさせることができる。また、単位時間当たりの混練用素材の押出量を増大させ、焼成用成形体の生産性を向上させる効果が得られる。
一方、充填材M1による流動性を低める処理として、充填材M1にMFRの小さい第一の樹脂を混合して第二の充填材M2により混練用素材に付与される流動性に近づける処理を採用することができる。この処理は、例えば、51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)の充填材M1と0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)の溶融状態の第一の樹脂とを混合することにより、行うことができる。すると、混練用素材中で充填材M1のすべりが低下するで、処理前には流動性の高い充填材M1により混練用素材に付与される流動性が低められ、流動性の低い充填材M2により混練用素材に付与される流動性に近づけられる。従って、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の素材でも確実に焼成用成形体を均質にさせることができる。
むろん、充填材M2にMFRの大きい第二の樹脂を混合する処理も行ってもよい。
なお、第一の樹脂としては例えば10〜100g/10minのMFRを有する熱可塑性樹脂を用いることができ、第二の樹脂としては第一の樹脂よりも大きいMFRであって例えば0.1〜1.0g/10minのMFRを有する熱可塑性樹脂を用いることができる。
本処理は、図4で示したペレットM24,M34を形成して焼成用成形体M5を製造するのが好適である。例えば、比較的小さいMFRの第一の樹脂M22と第一の充填材M1とを少なくとも含む素材M21から第一のペレットM24を形成し、比較的大きいMFRの第二の樹脂M32と第二の充填材M2とを少なくとも含む素材M31から第二のペレットM34を形成し、所定の配合割合の第一・第二のペレットM24,M34および必要に応じて第三の素材M19等からなる混練用素材を混練して、混練した素材を押し出して成形することにより、焼成用成形体M5を得ることができる。
また、充填材M2による流動性を高める処理として、混練用素材が流動状態の樹脂M3と等重量以下の上記相溶化剤を含むことを前提として、第二の充填材M2に混練用素材の相溶化剤の配合割合rc1よりも多い配合割合rc2(0<rc1<rc2)で上述した相溶化剤を混合して第一の充填材M1により混練用素材に付与される流動性に近づける処理を採用することができる。この処理は、例えば、50〜99.8重量%の充填材M1と0.2〜50重量%の相溶化剤とを混合することにより、行うことができる。すると、混練用素材中で充填材M2のすべりが良好となるので、処理前には流動性の低い充填材M2により混練用素材に付与される流動性が高められ、流動性の高い充填材M1により混練用素材に付与される流動性に近づけられる。従って、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の素材でも確実に焼成用成形体を均質にさせることができる。また、単位時間当たりの混練用素材の押出量を増大させ、焼成用成形体の生産性を向上させる効果が得られる。
一方、充填材M1による流動性を低める処理として、第一の充填材M1に混練用素材の相溶化剤の配合割合rc1よりも少ない配合割合rc3で上述した相溶化剤を混合するか又は相溶化剤を配合しないで(0≦rc3<rc1)第二の充填材M2により混練用素材に付与される流動性に近づける処理を採用することができる。この処理は、例えば、50〜99.8重量%の充填材M2と0.2〜50重量%の相溶化剤とを混合することにより、行うことができる。すると、混練用素材中で充填材M1のすべりが低下するので、処理前には流動性の高い充填材M1により混練用素材に付与される流動性が低められ、流動性の低い充填材M2により混練用素材に付与される流動性に近づけられる。従って、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の素材でも確実に焼成用成形体を均質にさせることができる。
むろん、充填材M2に混練用素材の相溶化剤の配合割合よりも多い配合割合で相溶化剤を混合する処理も行ってもよい。
本処理は、図4で示したペレットM24,M34を形成して焼成用成形体M5を製造するのが好適である。例えば、必要に応じて比較的少ない相溶化剤(相溶化剤を添加しない場合を含む)と、第一の充填材M1と、を少なくとも含む素材M21から第一のペレットM24を形成し、比較的多い相溶化剤と第二の充填材M2とを少なくとも含む素材M31から第二のペレットM34を形成し、所定の配合割合の第一・第二のペレットM24,M34および必要に応じて第三の素材M19等からなる混練用素材を混練して、混練した素材を押し出して成形することにより、焼成用成形体M5を得ることができる。
上述した充填材M2により混練用素材に付与される流動性を高める各種処理は、組み合わせて行うことができる。また、上述した充填材M1により混練用素材に付与される流動性を低める処理も、組み合わせて行うことができる。
上述した充填材M2により混練用素材に付与される流動性を高める処理と、上述した充填材M1により混練用素材に付与される流動性を低める処理とは、種々組み合わせて行うことができる。
不定形押出機構A4は、充填材M1,M2と流動状態の樹脂M3とを少なくとも含む素材を混合して不定形の状態で押し出す。押し出された不定形の素材M14は、導入部A5に導入される。
図2は、樹脂M3として熱可塑性樹脂M12を用いた焼成用成形体の製造方法の例を示している。熱可塑性樹脂を用いる場合、不定形押出用加熱機構A11にて充填材M1,M2と熱可塑性樹脂M12を含む素材を加熱すると、当該熱可塑性樹脂を溶融状態にさせることができるので好適である。この場合、不定形押出工程S4は、不定形押出用加熱機構にて充填材と熱可塑性樹脂を含む素材を加熱して当該熱可塑性樹脂を溶融状態にさせる不定形押出用加熱工程を有し、加熱した素材を不定形押出機構A4にて混合して成形することなく不定形の状態で押し出す。なお、第三の素材M13が加熱により溶融する素材であれば、第三の素材M13を固形の原反として不定形押出機構A4に供給することができる。
図2の括弧内の例では、導入部に導入された不定形の素材M14を粉砕機構A12にて粉砕し(粉砕工程S5)、粉砕後の素材(粉砕物M16)をペレット成形機構A13にてペレット形状に成形して(ペレット成形工程S6)、ペレットM18としている。粉砕工程S5を省略し、導入部に導入された不定形の素材M14を直接ペレット成形機構A13にてペレット形状に成形することもできる。粉砕工程S5を設けると、焼成用成形体および焼成体をより均質にさせ、ペレットM18から焼成用成形体M5に成形する時にペレットM18をより崩れやすくさせてより容易に成形させ、単位時間当たりの焼成用成形体の製造量をさらに向上させることが可能となる。
ペレット成形機構は、直径1〜8mm程度の押出口を多数有するダイの各押出口から素材を棒状に押し出してカッタにより長さ1〜30mmに切断してペレット形状に成形する成形機を用いることができる。
成形機構A2は、混練用素材を焼成用成形体M5の形状に成形する。図2の例では、素材中に熱可塑性樹脂が含まれており、ペレット形状とされたペレットM18を用いて加熱機(混練用素材加熱機構)A24付き押出成形装置A20(成形機構A2を有する)にて押出成形により素材を成形する。ペレットM18と必要に応じて第三の素材M19とを押出成形装置A20のホッパA21に投入すると、同装置A20は、加熱機A24にてペレットM18を含む混練用素材を加熱して軟化させ(混練用素材加熱工程)、軟化した混練用素材を押出機A22にて混合して所定のダイから押し出し、切断機A23にて所定の長さに切断して成形する。成形品を冷却機構にて冷却してもよい。このようにして、焼成用成形体M5が製造される。
押出成形装置A20の代わりに、加熱機(混練用素材加熱機構)A31付き射出成形装置A30(成形機構A2を有する)にて射出成形により素材を成形してもよい。ペレットM18と必要に応じて第三の素材M19とを射出成形装置A30に投入すると、同装置A30は、加熱機A31にてペレットM18を含む混練用素材を加熱して軟化させ、軟化した混練用素材を混合して所定のダイから所定形状の金型内に射出し(押し出し)、所定の形状に成形する。この場合も、成形品を冷却機構にて冷却してもよい。
樹脂M3として熱可塑性樹脂を用いる場合、第二の加熱機構A24,A31にて混練用素材を加熱すると、混練用素材を軟化させることができるので好適である。
焼成用成形体を製造する際に押出成形や射出成形を行う場合、素材が粉体状であると、混練段階で原料を均質に混練するのが容易ではない。そこで、押出成形や射出成形により成形する成形機構にて焼成用成形体の形状に成形可能とするため、ペレット化している。
樹脂M3として常温(例えば20℃)で液状(流動状態)の合成樹脂を用いる場合、樹脂を溶融させてペレットを軟化させる必要が無くなるので、不定形押出用加熱機構A11(不定形押出用加熱工程)や混練用素材加熱機構A24,A31(混練用素材加熱工程)が不要になる。液状の合成樹脂として熱硬化性樹脂を用いると、従来できなかった熱硬化性樹脂を原料とした焼成用成形体を製造することができる。
焼成機構A3は、焼成用成形体M5を焼成して焼成体M6を製造する。焼成機構は、バッチ式の焼成炉に焼成用成形体を入れて焼成する焼成装置、トンネル式の焼成炉に焼成用成形体を通過させて焼成する焼成装置など、種々の焼成装置を用いることができる。焼成炉を高温にさせる熱源としては、電気ヒータ、ガスバーナ、等、種々の熱源を用いることができる。焼成時の温度としては、充填材M1,M2に無機または金属の素材を用いる場合、550〜2000℃が好ましく、800〜1600℃がさらに好ましい。550℃(800℃)以上にすると樹脂M3を確実に焼却して除去できる点で好ましい。なお、焼成温度を800℃程度と比較的低温にするとアモルファス(非晶質)の焼成体が得られやすく、焼成温度を1400℃程度と比較的高温にすると結晶化された焼成体が得られやすい。
なお、焼成用成形体を脱脂炉あるいは焼結炉に入れて150〜600℃程度で樹脂を取り除く脱脂工程を行った後、脱脂後の焼成用成形体を焼結炉に入れて焼成してもよい。前記脱脂工程では、焼成用成形体から第三の素材など充填材を除く成分を取り除くようにしてもよい。ここで、融点の異なる樹脂が2種類以上ある混合系で分解温度が同じ場合には、低い融点の樹脂が先に流動化し、脱脂時の気体の逃げ道となる。
(2)本製造方法に用いられる製造装置の構成:
樹脂M3に熱可塑性樹脂を用いる場合、上記ペレットM18を形成する装置には、上記粉砕機構A12を除いて、概略、特開2004−17502号公報に記載されたペレット製造装置(10)を用いることができる。同装置は、材料供給装置(11)、素材搬送装置(12)、素材加熱装置(13)、ペレット成形装置(20)、選別搬送装置(14)、制御盤(15)を備えている。
材料供給装置では、微粒状の充填材と断片形状の熱可塑性樹脂原反とを少なくともホッパ装置に投入すると、当該ホッパ装置内に収容された素材が粒状のまま撹拌されつつ混合され、素材搬送装置に供給される。素材搬送装置では、略円筒形状の中空管(図6の12b)の内部にスクリュー軸(図6の12c)が配設され、スクリュー軸の回転速度に応じた押出速度で素材が混合されながら流動体流出口(図6の12f)に向かって押し出される。素材搬送装置に併設された素材加熱装置(不定形押出用加熱機構)は、中空管内の素材を加熱するヒータ部を備え、中空管内を搬送される素材を加熱して熱可塑性樹脂を溶融させ、素材を軟化させる。ここで、ヒータ部は、熱可塑性樹脂を溶融させる温度に上昇させることができればよく、例えば、熱可塑性樹脂としてPPを用いる場合には200〜230℃程度とし、ポリアミドを用いる場合には270〜290℃程度とする。ペレット成形装置は、素材搬送装置から押し出された素材からペレットM18を形成する。選別搬送装置は、固化されたペレットを選別搬送網で選別し、選別搬送網上に残存したペレットについてはペレット収容部に収容し、選別搬送網から落下したペレットについては再利用のために回収する。制御盤は、複数の操作ボタンや、本ペレット製造装置の運転条件の設定や運転状態をモニタリングする操作ディスプレイ等を備え、操作者から操作を受け付け、当該操作に応じてペレット製造装置全体の制御を行う。
図5〜図7は、ペレット成形装置の要部を示している。なお、図6においてスクリュー軸12cとスクリューのネジ山については側面視して示している。以下、図6と図7を基準とした上下左右の関係により各部材の配置を説明する。
ペレット成形装置20は、円筒形状の金属製外筒部21、同外筒部の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた金属製の出口部22、同出口部の下側において開口31aを上側に向けて設置された粉砕機(粉砕機構)30、同粉砕機にて粉砕された素材m2を導入する成形機用容器23、同容器23内に設けられた押し込みローラ25,25、成形機用容器23の下側にて回転可能に取り付けられた金属製ダイフェースカッタ部26、同ダイフェースカッタ部を回転駆動する電動モータ27、等を備えている。
外筒部21の左側に設けられた素材流入口21aには、素材搬送装置から軟化状態の素材が流入する。外筒部21内に搬送された軟化状態の素材は、外筒部21内に先端部(左端部)が挿入されたスクリュー12gの回転動作により混合されながら右方向に押され、出口部22から右側に押し出され、不定形の素材m1として金属製の粉砕機用ホッパ32内に落下する。なお、素材搬送装置と外筒部21と出口部22が不定形押出機構を構成する。
出口部22には、成形用のダイではなく、製造されるペレットよりもはるかに径の大きい単一の開口22aが形成されており、軟化して混合された素材は同開口22aを貫通して成形されることなく不定形の状態で押し出される。
本実施形態では、ペレットと略同じ径とされた貫通穴が多数形成されたダイを外筒部21に取り付けておらず、出口部22では大きな抵抗が生じないため、素材の押出流量は大きくなる。通常、微粒状の充填材と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30と充填材の多い素材は、当該素材を試料として、押出機構内で不定形の素材が押し出される出口の位置(図6のP1)における素材の温度を試験温度θ(℃)とし、荷重Mnomを2.16kgとして、JIS K7210に準拠したMFRを測定すると、求められるMFRが1.0g/10min以下となる。MFRが小さいほど試料の流動性が小さいため、充填材の多い素材は流動性が小さいことになる。例えば、MFRが50g/10minのポリプロピレン(熱可塑性樹脂)を80重量%、粒径1mm以下の微粒状の木粉を20重量%配合した素材では、押出機構の出口の素材温度180℃を試験温度θとし、荷重Mnomを2.16kgとしてMFRを測定すると、MFRは0.0g/10minとなるか、或いは測定することができなくなってしまう。
流動性の小さい素材については、ペレット成形用のダイ(押出口が直径1〜8mm)を外筒部の端部に取り付けた押出成形機における素材の排出圧力Pe(上記出口の位置P1に相当する位置における素材の圧力)が大きくなりすぎ、押し出すことが困難となって、ペレットを大量生産することができない。なお、排出圧力Peは、押出成形機内において上記出口の位置P1に相当する位置に圧力計の検出部を挿入して測定することができる。特に、排出圧力Peが25.0MPa以上となる流動性の低い素材では、ペレット成形用のダイを装着した押出成形機では機械の耐久性の観点からペレットの成形を行っていない。通常、微粒状の充填材と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30である素材は樹脂が加熱軟化した状態で排出圧力Peが25.0MPa以上となってしまうが、このような流動性の小さい素材であっても本発明のペレット製造装置は押出機構にて混練しながら素材を押し出すことができ、ペレットを大量生産することが可能である。
本実施形態では、出口部の開口22aの断面積S1を外筒部21の出口部22側の端部における開口部分の断面積S0(外筒部の内側面で囲まれた部分の断面積)以上として、素材の排出圧力Peを確実に5.0MPa以下と小さくし、出口部から素材が円滑に押し出されるようにしている。図6ではS1=S0の場合を示しているが、S1>S0としてもよい。外筒部の出口部側の端部における断面積を比較対象とする限り、斜軸のスクリューを有する押出機でも同様のことが言える。むろん、S1<S0の場合であっても、成形するペレットよりもはるかに大きい径の開口を出口部に形成しておけば、素材を円滑に押し出すことが可能である。素材の排出圧力の観点から、出口部の開口は、素材の排出圧力Peを5.0MPa以下、より好ましくは3.0MPa以下、さらに好ましくは1.0MPa以下にさせる形状とすればよい。すると、単位時間あたり不定形の素材を大量に押し出すことができるので、ペレットを大量生産することができる。ここで、出口部の開口の断面積S1を大きくすれば排出圧力が小さくなり、S1を小さくすれば排出圧力が大きくなるので、同断面積S1を調節することによって排出圧力Peを調整することができる。
粉砕機用ホッパ32は、出口部の開口22aから押し出された不定形の素材m1を一旦収容し、下部開口32bから略上下方向を中心軸とする円筒形状の金属製粉砕室33内へ供給することができる。ホッパの開口32aは出口部22から離されて同出口部22の下側に位置しているので、押し出した素材m1が後続の素材m1の押し出しを阻害することなく、ホッパ32は出口部の開口22aから押し出された不定形の素材m1を収容することができる。そして、押出機構から押し出された素材を不定形のまま導入する所定の導入部31が、ホッパ32と粉砕室33に形成されていることになる。むろん、導入部は、一部が押出機構と繋がっている構造とされてもよいし、押出機構の出口部22の下側からホッパ32の上側まで不定形の素材を載置して移送するコンベアとホッパ32と粉砕室33とから構成されてもよい。
粉砕機(粉砕機構)30は、上記ホッパ32、同ホッパの下側において同ホッパの下部開口32bに連通する上部開口が形成された粉砕室33、同粉砕室内の下部において上下方向に回転軸を向けて回転可能とされて不定形の素材を載置する金属製載置テーブル34、左右方向に向けられた円柱状の軸部材35a,35aを回転軸として載置テーブル34に外周下部が当接して当該テーブル34上を転動可能な複数の金属製粉砕ローラ35,35、上下方向に向けて配設された円柱状の回転駆動軸36aを介して載置テーブル34を回転駆動する電動モータ36、成形機用容器23の上部において下方に向けて開口した図示しない粉体吐出口まで粉砕後の素材を移送する粉体輸送機37、等を備えている。軸部材35a,35aは、粉砕室33の側壁に固定されている。粉砕室33の下側(載置テーブル34の下面から下側)には、当該粉砕室33と略同じ径の円筒形状の金属製粉体収容室33aが設けられており、当該収容室33aに粉砕後の素材が粉体輸送機37へ吸い込まれる粉体吸引口37bが形成されている。
粉砕機30では、常時モータ36に通電してあり、回転駆動軸36aを介して載置テーブル34が回転駆動される。すると、載置テーブル34の上面で当該テーブル34の上下方向を軸とする回転動に従動して粉砕ローラが左右方向を軸として回転動し、粉砕室33内に導入された不定形の素材は、載置テーブル34上と粉砕ローラ35,35周面との間で粉砕される。ここで、導入された素材は微粒状の充填材に熱可塑性樹脂がなじんだ素材とされており、樹脂となじんだ充填材を有する軟化状態の素材が粉砕され、均質にされる。また、粉体輸送機37の送風機にも常時通電してあり、粉砕されて粉砕室33の内周面と載置テーブル34の外周面との間33bから収容室33a内に落下した素材は、粉体吸引口37bから粉体輸送機37に吸い込まれ、粉体吐出口よりも上側まで斜め上方に移送されて、粉体吐出口37aから下方に向けて吐出され、落下して成形機用容器23内に収容される。
なお、粉砕機構としては、公知の種々の粉砕機を使用可能である。
成形機用容器23は、筒形状の容器用外筒部23aと、同容器用外筒部の下側開口を塞ぐ底部円板23bとから構成されている。本実施形態では、成形機用容器23の底部となる底部円板23bに、粉砕された素材の粒子よりも大きい範囲で直径1mm以上8mm以下、例えば直径3〜5mm程度の多数の貫通穴23dが略上下方向に向けて形成されている。容器用外筒部23aの上側の開口23cは粉砕機の粉体吐出口37aから離されて同吐出口37aの下側に位置しているので、成形機用容器23は吐出口37aから下方に向けて吐出された粉砕後の素材M2を収容することができる。そして、粉砕機構にて粉砕された素材を導入する粉砕素材導入部24が、成形機用容器23に形成されていることになる。むろん、粉砕素材導入部は、一部が粉砕機構と繋がっている構造とされてもよい。
図8に示すように、底部円板23bは、略円形の貫通穴23dが多数形成されている。なお、ダイフェースカッタ部26の取付位置を点線により示している。
押し込みローラ25,25は、略水平に設置された略円柱状の棒状部材25aの両端にて回転可能に取り付けられている。棒状部材25aは、両端からの中間部にて略上下方向に設けられた回転軸材25bに固定され、同回転軸材を中心軸として回転動可能に設けられている。回転軸材25bを取り付けたローラ駆動用電動モータ25cに対して通電を行って動作させ、回転軸材25bを回転させると、ローラ25,25が自ら回転しながら底部円板23b上を周回する(図5では左回り)。このとき、底部円板23bの上面とローラ25,25との間の摩擦力により、ローラ25,25は自ら回転しながら(図6に示されたローラ25では左回り)成形機用容器23内の粉砕後の素材を多数の貫通穴23dの一方の上側開口から押し込み、他方の下側開口から略棒状に押し出す。なお、押し込みローラは、一つでも、三つ以上でもよい。
図7、図8に示すように、ダイフェースカッタ部26は、カッタ駆動用電動モータ27への取付部となるカッタテーブル26aと、同カッタテーブルに取り付けられて固定される複数のカッタ26bとを備えている。本実施形態では、各カッタ26bが底部円板23bの下面を摺動し、回転動作することによって貫通穴23dの下側開口から下方へ押し出される略棒状の素材を粉砕後の素材の粒子よりも大きい範囲で長さ1mm以上30mm以下、例えば長さ3〜7mm程度に切断する。これにより、軟化した素材がペレット形状に成形される。なお、複数の貫通穴23dを有する成形機用容器23と、押し込みローラ25,25および同押し込みローラを駆動する機構25a〜cと、カッタ26bを有するダイフェースカッタ部26と、モータ27とが、ペレット成形機構を構成する。
ペレット形状に成形された素材は、冷却機にて冷却された冷水を入れた冷却槽内に落下し、冷却されて固化し、ペレットM18として冷却槽から回収される。冷却槽と冷却機とは、第一の冷却機構を構成し、ペレットどうしが接着することを防止させる。所定の大きさ以上のペレットは、選別搬送装置にてペレット収容部に収容される。
生成したペレットは、汎用的な樹脂成形用の押出成形機や射出成形機を用いて焼成用成形体の形状に成形することができる。例えば、図9に示すように、ホッパ61、軟化状態の素材の押出方向を軸とした円筒形状の金属製外筒部62、同外筒部62の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた金属製ダイ63、外筒部62内に挿入されたスクリュー64、同スクリューを回転駆動するスクリュー軸駆動モータ65、外筒部62に併設されて当該外筒部内を所定温度に加熱する加熱機(混練用素材加熱機構)66、ダイ63の外側(右側)に設けられたカッタ67、を備える加熱機付き一軸スクリュー混練押出成形機60を用いることができる。同押出成形機60は、ダイ63の押出口63aから軟化状態の素材を押し出して焼成用成形体の形状に成形する。焼成用成形体の形状に成形された素材は、図示しない冷却槽にて冷却されて固化し、焼成用成形体M5として冷却槽から回収される。冷却槽には冷却機にて冷却された冷水が供給されるようになっており、これら冷却槽と冷却機とは、第二の冷却機構を構成し、焼成用成形体どうしが接着することを防止させる。
また、射出成形機としては、例えば、上記押出成形機60の各部61〜66と同様の構成を備えるとともに、図10に示すように、基部71、この基部71上に上下動可能に支持された下金型72、この下金型72を上下動させる図示しないシリンダ、下金型72の上面に対向して開閉可能に配置された上金型73、基部71上であって下金型72の左側に設けられて上金型73を回動可能に支持する支持部74、上金型73を回動させる図示しないモータ、下金型72と上金型73とで挟まれる空間に押出口63aから押し出された軟化状態の素材を注入するため図10において上金型73の上面に設けられた注入口75、を備える射出成形機70を用いることができる。同射出成形機は、両金型72,73に挟まれた空間内に軟化状態の素材を射出して焼成用成形体の形状に成形する。そして、図示しない冷却機構にて金型72,73を冷却すると、射出された素材が固化し、焼成用成形体M5が形成される。
製造された焼成用成形体M5は、汎用的な焼成装置を用いて焼成体M6にすることができる。例えば、図11に示すように、炉内に複数の棚81aが設けられた焼成炉81、炉内に熱を供給して所定温度に上昇させる熱供給装置82、を備えるバッチ式の焼成装置80を用いることができる。熱供給装置82は、設定温度に対応する電流量の電流を電気ヒータに通電する構成とすることができるが、ガスバーナを併用したり、ガスバーナのみで構成したりすることもできる。同焼成装置は、棚81aの上に載置された焼成用成形体M5を所定温度で焼成して、焼成体を製造する。
なお、ペレット形状のペレットを生成する際に粉砕機構を省略する場合には、粉砕機30を省略し、不定形の素材が押し出される出口部22の下方に成形機用容器23を配置して、出口部22から不定形の状態で押し出される素材を不定形のまま成形機用容器23内に導入すればよい。
(3)焼成用成形体および焼成体の製造方法の作用、効果:
上述したように、流動性の低い第二の充填材M2に対して混練用素材に付与する流動性が高められる処理と、流動性の高い第一の充填材M1に対して混練用素材に付与する流動性が低められる処理と、の少なくとも一方が行われ、第一の充填材M1により混練用素材に付与される流動性と、第二の充填材M2により混練用素材に付与される流動性と、が近づけられる。
樹脂に熱可塑性樹脂を用いる場合、素材加熱装置の加熱により熱可塑性樹脂が溶融して素材が軟化する。素材は、フィラー高充填であるので、樹脂が溶融しても固形分が多いことによって流動性は大きくなりすぎず、粉砕可能な程度に軟化する。素材は、スクリュー12gにより混合されながら外筒部21内に押し込まれ、充填材に樹脂がなじんだ不定形の素材となって、成形されることなく不定形の状態で押し出される。ここで、出口部の開口の断面積S1が外筒部の出口部側端部における開口部分の断面積S0以上とされているので、MFRが1.0g/10min以下と低流動性の素材であっても、素材の排出圧力Peは5.0MPa以下、通常は1.0MPa以下となる。すると、軟化しているが流動性の低い素材は、図5に示す不定形の素材m1のように、成形されることなく不定形の状態で容易に押し出される。なお、素材中の充填材の配合割合が多いと素材m1は粉っぽい感じで押し出され、素材中の樹脂の配合割合が多いと素材m1は太いうどん状となって押し出される。押し出された不定形の素材m1は、落下して粉砕機用ホッパ32内に収容され、粉砕室33内に供給される。
導入部31に導入された不定形の素材m1は、充填材に樹脂がなじんだ素材とされており、当該素材が粉砕機30にて粉砕され、均質にされる。粉砕された素材m2は、粉体吐出口37aから落下して成形機用容器23内に収容される。粉砕素材導入部24に導入された粉砕後の素材は、押し込みローラ25,25により多数の貫通穴23dの上側開口から押し込まれる。なお、素材が粉砕されているので、貫通穴23d内に入り込みやすく、単位時間当たりのペレット成形量が多い。また、貫通穴23dに入った状態で、素材の粒子間に適度な空隙(ペレットから焼成用成形体への成形時の熱を加える混練工程で崩れる程度の空隙)が生じる。貫通穴23dに押し込まれた粉砕後の素材は、貫通穴23dの下側開口から略棒状に押し出される。そして、カッタ26bがさらに回転すると、略棒状の素材M4は、同カッタ26bにより断面方向に切断されて1〜30mmの長さとされ、粉砕後の素材の粒子よりも大きいペレット形状に成形される。ペレット形状の成形された素材は、冷却槽内に落下し、冷却されて固化する。生成したペレットは、冷却槽から回収される。
充填材の種類毎に不定形押出用素材をペレット形状に成形した場合には、充填材の種類毎に各ペレットが形成される。
ペレットを生成する際、充填材と樹脂とを含む素材を不定形の状態で押し出し、押し出された素材を不定形のまま素材を導入部に導入すればよいので、流動性の小さいフィラー高充填の素材であっても、単位時間当たりにペレットを大量に生成することが可能であり、このペレットを用いて焼成用成形体を大量生産することが可能となる。また、押し出された不定形の素材を一旦粉砕してペレット形状に成形すると、ペレットをより均質化させることができ、焼成用成形体や焼成体をより均質化させることが可能となる。さらに、充填材に樹脂が良くなじんだ後にペレット化されるので、当該ペレットを原料として押出成形や射出成形する時に原料段階ではペレット形状を維持させることができる一方、熱が加わる混練段階でペレットをより崩れやすくさせて良好に分散させ、成形が容易となる。加えて、不定形の素材が粉砕されることによってペレットを成形する際に成形用の穴や隙間等に入りやすくなるので、単位時間当たりのペレット生成量をさらに増やすことができ、焼成用成形体や焼成体の生産量をさらに増やすことが可能となる。
特に、高充填量の充填材と流動状態の樹脂とを含む素材を混練せずに粉砕してペレット形状に成形すると、充填材に樹脂がなじまず、充填材と樹脂とがばらばらに崩れて粉体状になりやすいペレットが形成される。本製造方法では、ペレットから焼成用成形体への成形時に原料段階ではペレットが粉体状に崩れることなく熱を加える混練段階で崩れて分散するため、混練段階で容易に原料を均質に混練することができる。
なお、素材中の樹脂の配合割合が多くて従来の押出成形機では成形後のペレットどうしがくっついてしまう素材であっても、成形後のペレットどうしがくっつかず分離した状態となる。ペレットどうしがくっついていると焼成用成形体を製造する時にペレットがスムーズに成形工程に送り込まれないが、ペレットどうしが分離しているため、スムーズに焼成用成形体を製造することができる。
生成したペレットm3を図9に示す押出成形機60のホッパ61に原料として投入すると、モータ65に回転駆動されたスクリュー64の回転動作により混合されながらダイ方向に押される。このとき、加熱機66がペレットを加熱するので、熱可塑性樹脂が溶融し、ペレットが軟化する。軟化した素材は、ダイ63から押し出され、カッタ67にて所定の長さに切断される。これにより、ペレットから焼成用成形体の形状に成形され、成形物が冷却されることにより焼成用成形体が製造される。焼成用成形体には樹脂が含まれているので、焼成中や焼成前に焼成用成形体は崩れず、保形性の良好な焼成用成形体が得られる。さらに、フィラー高充填の素材から焼成用成形体を形成しているので、焼成用成形体から焼成体への収縮度合が小さくて済む。
ここで、同じ材質で互いに異なる平均粒子径の微粒状充填材が樹脂成形用の素材に含まれ、当該素材が樹脂と等重量以上の充填材を有するフィラー高充填の素材である場合、各平均粒子径の充填材が混練用素材に付与する流動性の違いにより押出成形機にて押し出されて成形された成形体は不均質になることがある。
本実施形態では、充填材M1,M2により混練用素材に付与される流動性が近づけられているので、各充填材M1,M2が混練用素材に付与する流動性の違いにより焼成用成形体が不均質となる現象が解消される。従って、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の樹脂成形用素材であっても、均質な焼成用成形体を製造することができ、均質な焼成体を得ることが可能となる。
また、図10に示す射出成形機70を用いる場合、軟化した素材がダイ63から押し出されて金型72,73で挟まれた空間内に射出される。これにより、ペレットから焼成用成形体の形状に成形され、成形物が冷却されることにより焼成用成形体が製造される。この場合も、押出成形機を用いた場合と同様の効果が得られるとともに、同様の理由により、各充填材M1,M2が混練用素材に付与する流動性の違いにより焼成用成形体が不均質となる現象が解消され、フィラー高充填の樹脂成形用素材であっても、均質な焼成用成形体が得られ、均質な焼成体が製造可能となる。
形成した焼成用成形体M5を図11に示す焼成装置80の炉内に入れると、熱供給装置82が炉内の温度を焼成温度まで上昇させるので、焼成用成形体は焼成される。なお、焼成温度よりも低い脱脂温度で脱脂した後、焼成温度で焼成してもよい。焼成用成形体に含まれる樹脂は、焼成時に焼却されて除去される。ここで、樹脂の重量が充填材の重量以下とされているので、焼成用成形体から焼成体への収縮度合は小さい。そして、炉内が冷却されると、焼成体を炉内から取り出すことができる。これにより、均質な焼成用成形体から均質な焼成体を製造することができる。
素材に繊維状素材を添加していた場合、焼成用成形体が崩れにくくなるので、保形性に優れた焼成用成形体を形成して焼成体を製造することが可能となる。
製造された焼成体は、充填材が無機材料であれば種々のセラミック製品、充填材が金属材料であれば種々の金属製品、充填材が木質系材料であれば種々の炭製品として使用可能である。
なお、樹脂M3を液状の合成樹脂とすると、樹脂を加熱溶融させる加熱工程を省略することができるので、加熱工程にかかる時間を無くすことができる。これにより、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量を増やすことができ、保形性に優れた焼成用成形体を形成して焼成体を製造可能とする好適な構成を提供することができる。
また、充填材M1に微粒状の木質系材料を用いる場合、酸素ガスを含まない不活性ガスの中で焼成用成形体を焼成することにより、酸素との反応を防いで木質系材料を炭化させ、カーボン素材の焼成体を製造することができる。この場合、焼成時の温度としては、550〜2000℃が好ましく、800〜1600℃がさらに好ましい。550℃(800℃)以上にすると樹脂M3を確実に焼却して除去できる点で好ましく、2000℃(1600)℃以下にすると燃焼効率の点で好ましいからである。充填材に木質系材料を用い、不活性ガス雰囲気下で焼成用成形体を焼成することにより、樹脂を用いてカーボン素材の焼成体を得ることができ、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量を向上させ、保形性に優れた焼成用成形体を形成して良質のカーボン質焼成体を製造することが可能になる。
(4)各種変形例:
上述した実施形態では、第二の充填材により混練用素材に付与される流動性が第一の充填材により混練用素材に付与される流動性よりも低いものとして説明したが、第二の充填材による流動性が第一の充填材による流動性よりも高い場合にも本発明を適用可能である。
また、第一の充填材、第二の充填材、第三の充填材、…による流動性が互いに異なる場合、これらの充填材による流動性を互いに近づける処理を行った後、焼成用成形体を形成してもよい。この場合、流動性を近づける処理は、全ての充填材に対して行ってもよいし、これらの充填材のうち一部の充填材にのみ行ってもよく、いずれの場合も本発明に含まれる。
さらに、充填材は平均粒子径が同じでも材質が異なれば混練用素材に付与する流動性に違いを生じさせることもあるので、平均粒子径が同じで材質が互いに異なる複数の充填材による流動性を互いに近づける処理を行った後、焼成用成形体を形成してもよい。この場合も、本発明に含まれる。例えば、微粒状のフライアッシュは、混練用素材中でベアリング効果により比較的高い流動性を付与するので、同じ平均粒子径の微粒状の石英質系鉱物による流動性よりも高い流動性を付与する傾向がある。
ペレットを形成する際、特開2004−17502号公報に開示されるように、一対の圧延ロールで不定形の素材を略平板状に圧延し、シュレッダ(樹脂細断機)で細断することによりペレット形状に成形してもよい。
樹脂M3として常温で液状(流動状態)の熱硬化性樹脂を用いる場合、図2の不定形押出工程S4では素材を加熱することなく不定形押出機構A4にて不定形の状態で押し出すことができる。そして、ペレット成形工程S6で例えばペレットM18を形成し、成形工程S2では、成形機構A2にて焼成用成形体の形状に成形した後、成形後の素材を加熱機構にて加熱すると、素材中の熱硬化性樹脂が硬化して強固な焼成用成形体M5を形成することができる。すると、焼成用成形体が焼成中や焼成前に崩れることがなく、保形性の非常に良好な焼成用成形体が得られる。
また、ペレットM18から焼成用成形体の形状に成形する際に熱硬化性樹脂用の硬化剤や硬化促進剤を添加してもよい。すると、ペレットを加熱することなく素材中の熱硬化性樹脂を硬化させることができるので、強固な焼成用成形体M5を形成することができる。すると、焼成用成形体が焼成中や焼成前に崩れることがなく、保形性の非常に良好な焼成用成形体が得られる。
さらに、複数種類の樹脂のうち少なくとも一部の種類の樹脂に熱硬化性樹脂を用いることができる。樹脂として熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の双方を用いる場合、ペレットから焼成用成形体への成形を行うと、この段階で熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが互いになじんだ新規のポリマーブレンドを有する焼成用成形体を製造することができ、新規の焼成体を製造することができる。
(5)試験例:
大きい充填材M1として、平均粒子径200μmの炭酸カルシウム(CaCO3)を用いた。小さい充填材M2として、平均粒子径1μmの炭酸カルシウムを用いた。樹脂M3として、JIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃、荷重2.16kg)におけるMFRが30(g/10min)の粒状ポリプロピレン(PPと記載)を用いた。相溶化剤として、マレイン酸を用いてポリプロピレンを変性したマレイン酸変性樹脂(三洋化成社製ユーメックス)を用いた。シランカップリング剤として、東レダウシリコーン社製カップリング剤を用いた。
平均粒子径1μmの炭酸カルシウムに対して、以下のシランカップリング処理を行った。
すなわち、イソプロピルアルコールの中に微粒状の炭酸カルシウムを高速ミキサで一様となるように十分に分散させ、生成したスラリーにオクタデシルトリエトキシシランを徐々に加え、60℃付近に維持して約15〜60分間撹拌し、その後遠心分離機で変性した炭酸カルシウムを分離し、約120℃で約5〜10時間乾燥して、シランカップリング剤を反応させた炭酸カルシウムを得た。
加熱機付き混練押出機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、押出機構の出口部にダイを取り付けず、スクリューの回転速度を10rpmとして使用した。
粉砕機として、井上電設社製のウッドグラインダーとファインシュレッダーとを用いた。
まず、以下の配合量で充填材とPPとマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。なお、「炭カル」はシランカップリング処理を行っていない炭酸カルシウム、「カップリング処理」は炭酸カルシウムに対して上記シランカップリング処理を行ったことを意味し、シランカップリング処理を行った場合の炭酸カルシウムの重量はシランカップリング処理前の重量である。押出機構内の出口の位置における素材の温度を測定したところ、180℃であった。そして、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機にて粒径1mm以下に粉砕し、ペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。
(配合比の単位:重量部)
素材の配合量: 試験区1 試験区2 試験区3 試験区4 試験区5 試験区6
炭カル平均粒子径 200μm 200μm 1μm 1μm 1μm 1μm
カップリング処理 無 無 無 有 無 有
炭カル 80 85 75 75 80 80
PP 18 13 23 23 18 18
マレイン酸変性樹脂 2 2 2 2 2 2
計 100 100 100 100 100 100
以上の各試験区で作製されたペレットをそれぞれ断面110mm×9mm角の押出成形品を形成する加熱機付き混練押出成形機(径80mmのコニカル二軸押出成形機、シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)に投入し、混練押出成形機に供給したペレットを230℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形した。このとき、混練押出成形機内の素材の出口の位置における排出圧力を圧力計にて測定した。当該排出圧力は、各ペレットにより混練用素材に付与される流動性を表す指標であり、各充填材により混練用素材に付与される流動性を表す指標である。
以上の各試験区につき、排出圧力の測定結果を表1に示す。
Figure 2007111918
シランカップリング処理を行っていない炭酸カルシウムを80重量部用いた試験区1,5では、平均粒子径200μmとした試験区1では排出圧力が5.6MPaとなったのに対し、平均粒子径1μmとした試験区5では排出圧力が13.7MPaと大きくなった。このことは、同じ材質の充填材では平均粒子径が小さいと同じ流動状態の樹脂に同じ配合割合で混合されたときに当該混合された素材に対して付与する流動性が低いことを意味する。
次に、平均粒子径1μmの炭酸カルシウムを用いた試験区3〜6では、シランカップリング処理を行っていない試験区3,5では排出圧力が8.4MPa、13.7MPaとなったのに対し、シランカップリング処理を行った試験区4,6では排出圧力が5.3MPa、11.2MPaと小さくなった。このことは、シランカップリング材を充填材に反応させることによって、同じ流動状態の樹脂に同じ配合割合で混合されたときに当該混合された素材に対して付与する流動性を高めることができることを意味する。
以上の結果を基に、大きい粒子の炭酸カルシウムによる流動性と小さい粒子の炭酸カルシウムによる流動性とを近づけて、以下の条件で焼成用成形体サンプルを試作した。加熱機付き混練押出成形機には、上述した径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、断面110mm×9mm角の押出成形品を形成するダイを取り付けた。
[試作例1]
平均粒子径200μmとして排出圧力が5.6MPaであった試験区1で得られたペレットを90重量%、平均粒子径1μmとして排出圧力が5.3MPaであった試験区4で得られたペレットを10重量%用いて、加熱機付き混練押出成形機にペレットを投入し、供給したペレットを230℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形した。
[試作例2]
平均粒子径200μmとして排出圧力が10.9MPaであった試験区2で得られたペレットを90重量%、平均粒子径1μmとして排出圧力が11.2MPaであった試験区6で得られたペレットを10重量%用いて、加熱機付き混練押出成形機にペレットを投入し、供給したペレットを230℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形した。
[評価結果]
光学顕微鏡を用いて試作例1,2の成形体サンプルを観察したところ、いずれのサンプルも、均質であった。
以上より、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の樹脂成形用素材でも焼成用成形体を均質にさせることが確認された。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、異なる流動性を付与する充填材を配合したフィラー高充填の樹脂成形用素材でも焼成用成形体を均質にさせて良質の焼成体を製造することが可能となる。むろん、本製造方法により得られる焼成用成形体や焼成体にも発明が存在し、良質の焼成用成形体や焼成体を提供することが可能となる。
焼成用成形体を製造し、さらに焼成体を製造する過程を示す概略の流れ図。 熱可塑性樹脂を用いて焼成用成形体を製造する過程を示す概略の流れ図。 焼成用成形体の構造を示す模式図。 焼成用成形体を製造する過程を示す概略の流れ図。 ペレット成形装置の要部を示す斜視図。 ペレット成形装置の要部を示す垂直断面図。 ペレット成形装置の要部を示す垂直断面図。 成形機構の底部円板を上面から見て示す上面図。 加熱機付き押出成形機の構造を一部断面視して示す要部側面図。 加熱機付き射出成形機の構造を示す要部断面図。 焼成装置の構造を一部断面視して示す要部正面図。
符号の説明
20…ペレット成形装置(ペレット成形機構)
30…粉砕機(粉砕機構)
31…所定の導入部
60…押出成形機(成形機構を有する)
70…射出成形機(成形機構を有する)
80…焼成装置(焼成機構)
A1…押出機構
A2…成形機構
A3…焼成機構
A4…不定形押出機構
A5…所定の導入部
A11…不定形押出用加熱機構
A12…粉砕機構
A13…ペレット成形機構
A20…押出成形装置
A21…ホッパ
A22…押出機
A23…切断機
A24,A31…加熱機(混練用素材加熱機構)
A30…射出成形装置
M1…第一の充填材
M2…第二の充填材
M3、M22,M32…流動状態の樹脂
M4,M13,M15,M17,M19,M23,M33…第三の素材
M5…焼成用成形体
M6…焼成体
M11,M21,M31…不定形押出用素材
M12…熱可塑性樹脂
M14,m1…不定形の素材
M16…粉砕物
M18,M24,M34,m3…ペレット
m2…粉砕された素材
S1…流動性調整工程
S2…成形工程
S3…焼成工程
S4…不定形押出工程
S5…粉砕工程
S6…ペレット成形工程
S7…焼成用成形体生成工程

Claims (11)

  1. 微粒状の充填材と流動状態の樹脂とを含む混練用の素材を混練し、混練した素材を用いて、焼成により焼成体を形成するための焼成用成形体を製造する焼成用成形体の製造方法であって、
    同じ流動状態の樹脂に同じ配合割合で混合されたときに当該混合された素材に対して互いに異なる流動性を付与する微粒状の第一および第二の充填材の少なくとも一方に対して、前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性と、前記第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性と、を近づける処理を行う流動性調整工程と、
    前記流動性を近づける処理を行った後の前記第一および第二の充填材と、前記第一および第二の充填材の合計重量と等重量以下の流動状態の樹脂と、が含まれた前記混練用の素材を混練し、混練した素材を押出機構にて押し出して成形することにより前記焼成用成形体を得る成形工程とを備えることを特徴とする焼成用成形体の製造方法。
  2. 前記第二の充填材が前記第一の充填材と同じ材質で前記第一の充填材よりも小さい平均粒子径の充填材であり、
    前記流動性調整工程では、前記第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を高める処理と、前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を低める処理と、の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項1に記載の焼成用成形体の製造方法。
  3. 前記流動性調整工程では、
    前記第一の充填材と、当該第一の充填材と等重量以下の流動状態の樹脂と、が含まれた素材を所定の不定形押出機構にて不定形の状態で押し出し、押し出された不定形の素材を不定形のまま所定の導入部に導入し、同導入部に導入された不定形の素材を少なくとも用いてペレット形状に成形して第一のペレットを形成し、
    前記第二の充填材と、当該第二の充填材と等重量以下の流動状態の樹脂と、が含まれた素材を所定の不定形押出機構にて不定形の状態で押し出し、押し出された不定形の素材を不定形のまま所定の導入部に導入し、同導入部に導入された不定形の素材を少なくとも用いてペレット形状に成形して第二のペレットを形成するとともに、
    前記第一および第二のペレットを形成する際に、前記第一のペレットにより前記混練用の素材に付与される流動性と、前記第二のペレットにより前記混練用の素材に付与される流動性と、を近づける処理を行って第一および第二のペレットを形成し、
    前記成形工程では、
    前記第一および第二のペレットが含まれた前記混練用の素材を混練し、混練した素材を前記押出機構にて押し出して成形機構にて前記焼成用成形体の形状に成形して前記焼成用成形体を得ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼成用成形体の製造方法。
  4. 前記流動性調整工程では、
    前記第一の充填材と、当該第一の充填材と等重量以下の流動状態の樹脂と、が含まれた素材を所定の不定形押出機構にて不定形の状態で押し出し、押し出された不定形の素材を少なくとも用いて粉砕機構にて粉砕し、粉砕後の素材を少なくとも用いてペレット形状に成形して前記第一のペレットを形成し、
    前記第二の充填材と、当該第二の充填材と等重量以下の流動状態の樹脂と、が含まれた素材を所定の不定形押出機構にて不定形の状態で押し出し、押し出された不定形の素材を少なくとも用いて粉砕機構にて粉砕し、粉砕後の素材を少なくとも用いてペレット形状に成形して前記第二のペレットを形成することを特徴とする請求項3に記載の焼成用成形体の製造方法。
  5. 前記第二の充填材が前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性よりも低い流動性を前記混練用の素材に付与する充填材であり、
    前記流動性調整工程では、前記第二の充填材にシランカップリング剤を反応させて当該第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を高めて前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性に近づけることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の焼成用成形体の製造方法。
  6. 前記第二の充填材が前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性よりも低い流動性を前記混練用の素材に付与する充填材であり、
    前記流動性調整工程では、前記第二の充填材に滑剤を混合して当該第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を高めて前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性に近づけることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の焼成用成形体の製造方法。
  7. 前記第二の充填材が前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性よりも低い流動性を前記混練用の素材に付与する充填材であり、
    前記樹脂が第一の樹脂と当該第一の樹脂よりも融点の低い第二の樹脂とを含み、
    前記流動性調整工程では、前記第二の充填材に前記第二の樹脂を混合して当該第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を高める処理と、前記第一の充填材に前記第一の樹脂を混合して当該第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を低める処理と、の少なくとも一方を行って前記第一および第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を近づけることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の焼成用成形体の製造方法。
  8. 前記第二の充填材が前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性よりも低い流動性を前記混練用の素材に付与する充填材であり、
    前記樹脂が第一の樹脂と前記押出機構にて押し出される出口の位置における素材の温度を試験温度としたMFR(MFRはJIS K7210に準拠したメルトマスフローレイト)が前記第一の樹脂よりも大きい第二の樹脂とを含み、
    前記流動性調整工程では、前記第二の充填材に前記第二の樹脂を混合して当該第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を高める処理と、前記第一の充填材に前記第一の樹脂を混合して当該第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を低める処理と、の少なくとも一方を行って前記第一および第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を近づけることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の焼成用成形体の製造方法。
  9. 前記第二の充填材が前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性よりも低い流動性を前記混練用の素材に付与する充填材であり、
    前記混練用の素材が前記流動状態の樹脂と等重量以下の相溶化剤を含み、
    前記流動性調整工程では、前記第二の充填材に前記混練用の素材の前記相溶化剤の配合割合よりも多い配合割合で前記相溶化剤を混合して当該第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を高める処理と、前記第一の充填材に前記混練用の素材の前記相溶化剤の配合割合よりも少ない配合割合で前記相溶化剤を混合するか又は前記相溶化剤を配合しないで当該第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を低める処理と、の少なくとも一方を行って前記第一および第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性を近づけることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の焼成用成形体の製造方法。
  10. 前記成形工程では、前記混練した素材を押出成形または射出成形により成形して前記焼成用成形体を得ることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の焼成用成形体の製造方法。
  11. 微粒状の充填材と流動状態の樹脂とを含む混練用の素材を混練し、混練した素材を用いて成形して焼成用成形体を形成し、当該焼成用成形体を用いて焼成体を製造する焼成体の製造方法であって、
    同じ流動状態の樹脂に同じ配合割合で混合されたときに当該混合された素材に対して互いに異なる流動性を付与する微粒状の第一および第二の充填材の少なくとも一方に対して、前記第一の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性と、前記第二の充填材により前記混練用の素材に付与される流動性と、を近づける処理を行う流動性調整工程と、
    前記流動性を近づける処理を行った後の前記第一および第二の充填材と、前記第一および第二の充填材の合計重量と等重量以下の流動状態の樹脂と、が含まれた前記混練用の素材を混練し、混練した素材を押出機構にて押し出して成形することにより前記焼成用成形体を得る成形工程と、
    得られた焼成用成形体を焼成して焼成体を形成する焼成工程とを備えることを特徴とする焼成体の製造方法。
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