JP4563914B2 - 焼成用成形体の製造方法および焼結体の製造方法 - Google Patents

焼成用成形体の製造方法および焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、脱脂し焼成して焼結体を形成するための焼成用成形体の製造方法、および、当該焼成用成形体を用いた焼結体の製造方法に関する。
特許文献1には、オルガノシラン処理用反応剤SiX1234を用いて約0.01ミクロン乃至約1000ミクロンの範囲の粒径を有する無機の充填材を表面処理した後に、この充填材と結合用の有機マトリックス樹脂とを混合して、セラミックの素地の形成に対して好適な射出成形可能な組成物を得ることが記載されている。
特許文献2には、押出機構にて軟化した所定の素材を混合して不定形の状態で押し出し、押し出した素材を不定形のまま成形機用容器に導入し、導入した不定形の素材をペレット成形装置にてペレット形状に成形することが記載されている。
また、微粒状の無機充填材と有機マトリックス樹脂とを混合してセラミックスグリーン成形体(焼き上げ前の成形体)を成形し、該グリーン成形体を脱脂炉に入れて焼成温度よりも低い温度で樹脂を取り除く脱脂工程を行った後、脱脂後の成形体を焼結炉に入れて焼成して焼結体を得ることが行われている。
特開平8−252813号公報 特開2004−17502号公報
グリーン成形体を脱脂する際、該成形体に含まれる樹脂から発生する気体が該成形体にクラック等を生じさせることが懸念される。
本発明は、焼成用成形体に含まれる樹脂から発生する気体によるクラックの発生を防ぎ、焼成用成形体の製造を容易にさせ、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の焼成用成形体の製造方法は、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材と、当該充填材と等重量以下の流動状態の樹脂と、を含む素材を不定形押出機構にて混合して不定形の状態で押し出し、押し出した素材を不定形のまま所定の導入部に導入し、導入した不定形の素材を少なくとも用いて粉砕機構にて粉砕し、粉砕後の素材を少なくとも用いてペレット形状に成形して、押出成形または射出成形により成形する所定の成形機構にて成形可能とするペレット形状の成形用素材を生成する成形用素材生成工程と、生成した成形用素材を少なくとも用いて前記成形機構にて成形して焼成用成形体を形成する焼成用成形体形成工程とを備え、前記樹脂に、互いに熱分解する温度の異なる第一および第二の樹脂を少なくとも用い、前記成形用素材に、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材と当該充填材と等重量以下の流動状態の前記第一の樹脂とを含む第一の成形用素材と、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材と当該充填材と等重量以下の流動状態の前記第二の樹脂とを含む第二の成形用素材と、を少なくとも用い、前記成形用素材生成工程では、前記第一の成形用素材と前記第二の成形用素材とを別々に生成し、前記焼成用成形体形成工程では、前記第一の成形用素材を少なくとも含む素材と前記第二の成形用素材を少なくとも含む素材とを別々に混練して押出機構にて押し出して内層が前記第一の成形用素材を含む素材で外層が前記第二の成形用素材を含む素材となるように積層して成形することにより、加熱による脱脂時に前記内層の第一の樹脂から発生する気体の逃げ道が前記外層に形成されるように前記焼成用成形体を形成することを特徴とする。
また、本発明の焼結体の製造方法は、上記成形用素材生成工程と、上記焼成用成形体形成工程と、形成した焼成用成形体を加熱により脱脂し、焼成して焼結体を形成する焼成工程とを備えることを特徴とする。
すなわち、押出成形または射出成形により成形する所定の成形機構にて焼成用の成形体に成形可能とする成形用素材を少なくとも用いているので、当該成形用素材を成形することにより容易に焼成用成形体を形成することができ、形成される焼成用成形体には、加熱による脱脂時に内層の第一の樹脂から発生する気体の逃げ道が外層に形成される。これにより、焼成用成形体内に含まれる内層の第一の樹脂から発生する気体が前記逃げ道から外部へ逃げるので、焼成用成形体に含まれる樹脂から発生する気体によるクラックの発生を防止することができる。
また、上記成形用素材生成工程では、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材と、当該充填材と等重量以下の流動状態の樹脂と、を含む素材を不定形押出機構にて混合して不定形の状態で押し出し、押し出した素材を不定形のまま所定の導入部に導入し、導入した不定形の素材を少なくとも用いて粉砕機構にて粉砕し、粉砕後の素材を少なくとも用いてペレット形状に成形して、ペレット形状の成形用素材を生成する。従って、焼成用成形体の量産に好適である。
ここで、上記充填材には、微粒状の無機材料からなる充填材、微粒状の金属材料からなる充填材、微粒状の木質系材料からなる充填材、を用いることができる。上記微粒状は、粉末状ないしペレットよりも細かい粒状をいい、粉末状や微細な繊維状を含む。以下、同じである。
上記樹脂には、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂といった合成樹脂を用いることができる。上記流動状態の樹脂には、加熱軟化した熱可塑性樹脂、液状の熱硬化性樹脂、等が含まれる。前記液状は、低粘度の液状から高粘度の液状まで含む。
第一・第二(第一および第二)の成形用素材は、互いに熱分解する温度の異なる樹脂をそれぞれ含む素材に加えて、充填材と樹脂との配合割合が互いに異なる素材、焼成用成形体中の樹脂の結晶化度を変える結晶化度変更材料の配合割合が互いに異なる素材、とされてもよい
上記押出機構にて押し出して成形することには、例えば、押出成形すること、射出成形すること、が含まれる
また、前記焼成用成形体形成工程で、表面処理前成形体を形成した後、充填材を残して当該表面処理前成形体の表面に存在する樹脂を少なくとも除去して焼成用成形体を形成しても、より確実にクラックが発生しない。
なお、請求項2〜請求項4に記載された構成を焼結体の製造方法に対応させることも可能である。
以上説明したように、請求項1、請求項5に係る発明によれば、焼成用成形体に含まれる樹脂から発生する気体によるクラックの発生を防ぎ、焼成用成形体をより均質にさせて焼結体をより均質にさせ、ペレット形状とされた成形用素材を崩れやすくさせて容易に成形させ、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量をさらに向上させることが可能になる。
請求項2〜請求項4に係る発明では、焼成用成形体に含まれる樹脂から発生する気体によるクラックの発生をより確実に防ぎ、焼結体の製造歩留まりをさらに向上させることができる
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)焼成用成形体および焼結体の製造方法の説明:
(2)本製造方法に用いられる製造装置の構成:
(3)焼成用成形体および焼結体の製造方法の作用、効果:
(4)各種変形例:
(1)焼成用成形体および焼結体の製造方法の説明:
図1〜図3は本発明の一実施形態にかかる焼成用成形体および焼結体の製造方法の概略を示す流れ図であり、図4は焼成用成形体を製造する一例を示す模式図である。本焼結体の製造方法は、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材M1と、当該充填材と等重量以下の流動状態の樹脂M2と、を少なくとも含む素材から、焼成用の成形体に所定の成形機構A4にて成形可能とする成形用素材M6を生成する成形用素材生成工程S1と、生成した成形用素材M6を少なくとも用いて前記成形機構A4にて成形して焼成用成形体M8(グリーン成形体)を形成する際に、加熱による脱脂時に前記樹脂M2から発生する気体を内部から外部へ逃がすための逃げ道が確保される構造となるように焼成用成形体M8を形成する焼成用成形体形成工程S2と、形成した焼成用成形体を加熱により脱脂し、焼成して焼結体M9を形成する焼成工程S3とを備える。ここで、焼成用成形体M8は焼成して焼成体M9を形成するための成形体であり、成形用素材M6は成形機構A4にて焼成用成形体の形状に成形可能とする素材である。
成形用素材M6を生成するための素材は、充填材M1と樹脂M2のみ配合された素材でも、充填材M1と樹脂M2に充填材M1の重量未満の第三の素材M3,M5が配合された素材でもよい。第三の素材は、複数の種類の素材から構成されてもよい。充填材M1も、複数の種類の充填材から構成されてもよい。樹脂M2も、複数の種類の樹脂から構成されてもよい。
焼成用成形体M8を製造するための素材は、成形用素材M6のみでも、成形用素材M6に第三の素材M7が配合された素材でもよい。むろん、第三の素材M7は、複数の種類の素材から構成されてもよい。
焼成用成形体M8を形成するための素材に含まれる第三の素材M3,M5,M7の合計の配合割合は、重量比で充填材の重量未満となる配合割合が好ましい。
上記成形用素材生成工程S1では、充填材M1と樹脂M2とを含む素材を不定形押出機構(第二押出機構)A1にて混合して成形することなく不定形の状態で押し出し、押し出した不定形の素材M4を不定形のまま所定の導入部A2に導入し、導入した不定形の素材M4を少なくとも用いて所定の成形用素材生成機構A3で例えばペレット形状に成形して成形用素材M6を生成してもよい。すなわち、素材を不定形の状態で押し出す際に押出流量が制限されないので、流動状態の樹脂が充填材と等重量以下のような流動性の小さいフィラー高充填の素材であっても、単位時間当たりにペレットを大量に生成することが可能となり、このペレットを用いて焼成用成形体を大量生産することが可能となる。ここで、焼成用成形体には樹脂が含まれているので、焼成中や焼成前に焼成用成形体は崩れず、保形性の良好な焼成用成形体が得られる。また、樹脂が充填材の重量以下の重量とされているので、焼成用成形体から焼結体への収縮度合が小さい。従って、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量を向上させ、保形性に優れた焼成用成形体を形成して焼結体を製造することが可能となる。
なお、焼成用成形体を製造する際に押出成形や射出成形を行う場合、素材が粉体状であると、混練段階で原料を均質に混練するのが容易ではない。成形用素材をペレット形状にすることにより、成形用素材を用いて押出成形または射出成形により焼成用成形体を形成するのが容易となる。
上記導入部A2に導入する素材は、不定形の素材M4のみでも、充填材の重量未満で第三の素材M5を含んでいてもよい。
また、上記工程S1では、充填材M1と樹脂M2とを含む素材を不定形押出機構A1にて混合して成形することなく不定形の状態で押し出し(不定形押出工程S4)、押し出した不定形の素材M4を所定の粉砕機構A12にて粉砕し(粉砕工程S5)、粉砕後の素材(粉砕物M13)を少なくとも用いてペレット成形機構A13でペレット形状に成形してペレット(ペレット形状の成形用素材)M15を生成してもよい。ここで、ペレットM15は、成形機構A4にて焼成用成形体の形状に成形可能とする素材である。
すなわち、不定形の素材が一旦粉砕されてペレットとされるので、ペレットをより均質にさせ、焼成用成形体をより均質にさせて、より均質で良質の焼結体を得ることが可能となる。また、当該ペレットを原料として焼成用成形体の形状に成形する時に、原料段階ではペレット形状が維持される一方、混練段階でペレットがより崩れやすくなって分散性が向上するので、より容易に成形して焼成用成形体を得ることが可能となる。さらに、不定形の素材が粉砕されることによってペレットを成形する際に成形用の穴や隙間等に入りやすくなるので、単位時間当たりのペレットの生成量がさらに増え、焼成用成形体の生産量をさらに増やすことが可能となる。
上記ペレット成形機構A13には、直径1〜8mm程度の押出口を多数有するダイの各押出口から素材を棒状に押し出してカッタにより長さ1〜30mmに切断してペレット形状に成形する成形機を用いることができる。同ペレット成形機構A13に供給する素材は、上記粉砕物M13のみでも、充填材の重量未満で第三の素材M14を含んでいてもよい。
押出成形または射出成形により成形する場合、上記焼成用成形体形成工程S2では、ペレット形状の成形用素材M6を少なくとも含む素材を所定の押出機構で押し出して押出成形または射出成形により成形して焼成用成形体M9を形成する。
図2に示すように、樹脂M2が熱可塑性である場合には、所定の加熱機構A11にて不定形押出用素材M11を軟化させることができるので好適である。同図の例では、充填材M1と熱可塑性樹脂M12と必要に応じて第三の素材M3とを含む不定形押出用素材M11を加熱して熱可塑性樹脂M12を溶融させることにより素材M11を軟化させ、不定形押出機構A1にて素材M11を混合して成形することなく不定形の状態で押し出して所定の導入部A2に導入し、導入した不定形の素材M4と必要に応じて第三の素材M5とを含む素材を粉砕機構A12にて粉砕し、得られる粉砕物M13と必要に応じて第三の素材M14とを含む素材をペレット成形機構A13にてペレット化して、ペレットM15を形成している。なお、第三の素材M3が加熱により溶融する素材であれば、第三の素材M3を固形の原反として不定形押出機構A1に供給することができる。焼成用成形体形成工程S2では、ペレットM15と必要に応じて第三の素材M16とを用いて加熱機(混練用素材加熱機構)A24付き押出成形装置A20(成形機構A4を有する)にて素材を押出成形するか、ペレットM15と必要に応じて第三の素材M16とを用いて加熱機(混練用素材加熱機構)A30a付き射出成形装置A30(成形機構A4を有する)にて素材を射出成形するかして、焼成用成形体M9を形成している。
成形機構A4は、混練用の素材を焼成用成形体M8の形状に成形する。図2の例では、素材中に熱可塑性樹脂が含まれており、ペレットM15と必要に応じて第三の素材M16とを押出成形装置A20のホッパA21に投入すると、同装置A20は、加熱機A24にてペレットM15を含む混練用の素材を加熱して軟化させ、軟化した混練用の素材を押出機A22にて混合して所定のダイから押し出し、切断機A23にて所定の長さに切断して成形する。
また、ペレットM15と必要に応じて第三の素材M16とを射出成形装置A30に投入すると、同装置A30は、加熱機A30aにてペレットM15を含む混練用の素材を加熱して軟化させ、軟化した混練用の素材を混合して所定のダイから所定形状の金型内に射出し(押し出し)、所定の形状に成形する。
以上のようにして、焼成用成形体M8が製造される。
樹脂M2として熱可塑性樹脂を用いる場合、第二の加熱機構A24,A30aにて混練用の素材を加熱すると、混練用の素材を軟化させることができるので好適である。
上述した第三の素材M3,M5,M7,M14,M16の合計の配合割合は、充填材の性質を十分に残す観点からは、重量比で充填材の重量未満となる配合割合が好ましい。ここで、第三の素材M3,M5,M7,M14,M16が微粒状であると、充填材と樹脂を含む素材と混合されやすいので、焼成用成形体および焼結体をより確実に均質にさせる点で好適である。
混練用の素材を押し出す押出機構や不定形押出用素材を押し出す不定形押出機構A1には、一軸スクリュー混練押出機、二軸スクリュー混練押出機等の多軸スクリュー混練押出機、等を用いることができる。
なお、成形用素材を少なくとも用いてプレス成形により成形する成形機構A4を用いる場合、上記成形用素材生成工程S1では、充填材M1と樹脂M2とを含む素材を不定形押出機構(第二押出機構)A1にて混合して不定形の状態で押し出し、押し出した不定形の素材M4を所定の粉砕機構にて粉砕して粉砕された状態の成形用素材M6を生成してもよい。この場合、上記焼成用成形体形成工程S2では、粉砕された状態の成形用素材M6を少なくとも用いて所定のプレス成形型でプレス成形して焼成用成形体M9を形成する。
樹脂に熱可塑性樹脂を用いる場合、ペレット成形機構A13にて成形した成形用素材を第一の冷却機構にて冷却する第一冷却工程を設けてもよい。すると、ペレット形状の成形用素材を速やかに固化させることができ、ペレットが相互に接着してしまうことを防止することができる。さらに、ペレット形状の成形用素材を冷却することにより容易にペレットを適宜保管することができ、保管したペレットを用いて焼成用成形体を製造することも可能となるので、焼成用成形体の生産の自由度を向上させることができる。
また、成形機構A4にて成形された素材を第二の冷却機構にて冷却する第二冷却工程を設けてもよい。すると、焼成用成形体の形状の素材を速やかに固化させることができ、焼成用成形体が相互に接着してしまうことを防止することができる。さらに、焼成用成形体の形状の素材を冷却することにより容易に焼成用成形体を適宜保管することができ、保管した焼成用成形体を用いて焼結体を製造することも可能となるので、焼結体の生産の自由度を向上させることができる。
充填材M1には、微粒状の無機、金属、木質系材料を用いることができ、アルミナ、窒化アルミニウム、アルミナシリカやジルコニアシリカやフライアッシュ等のシリカ、ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、チタニア、ジルコニア、ガラス、スラグ、これらの混合物、等の微粒状(粉末状ないしペレットよりも細かい粒状)の無機素材、金、銀、鉄、ステンレス鋼、クロム合金、ニッケル合金、青銅、等の微粒状の金属素材、木粉、木毛、木片、木質繊維、木質パルプ、木質繊維束、等の微粒状の木質系材料、等を用いることができる。無機素材は、結晶質の素材でも、非晶質ガラスのように非晶質の素材でもよい。木質系材料を用いて焼成用成形体を形成する場合、窒素ガスや炭酸ガスやアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で焼成用成形体を焼成することにより、木質系材料を燃焼させることなく炭化させて焼結体を形成することができる。微粒状の充填材M1の粒径は、0.001〜1000μmが好ましく、粒径をより揃えるために0.02〜500μm、0.1〜100μmとしてもよい。充填材M1の粒度を調整すると、焼成用成形体や焼成体の強度を調整することができる。
樹脂M2には、ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリスチレン,ポリブデン,ポリメチルメタアクリレート,塩化ビニル,ポリアミド(ナイロン),ポリカーボネート,ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート、これらの混合物、等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂、これらの混合物、等の熱硬化性樹脂、等を用いることができる。PPやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂は、ペレットを生成して容易に焼成用成形体の形状に成形することができる点で好適な樹脂であるとともに、焼成時に焼却されて除去される点でも好適な樹脂である。
樹脂M2が溶融状態(流動状態)であれば、そのまま充填材M1と混合して軟化した素材とすることができる。樹脂M2が熱可塑性樹脂である場合、加熱機付き混練押出機に対して固形の原反として樹脂M2を投入可能である。ここで、熱可塑性樹脂を図2の混練用素材加熱機構A24,A30aにて加熱された混練用素材の温度におけるMFRが10g/10min以上(好ましくは100g/10min以上)の樹脂とすると、混練用素材から焼成用成形体の形状に成形する時に良好な流動性が得られ、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量を向上させることができる。PPのような熱可塑性樹脂では、一般に分子量が小さくなるほど流動性が大きくなる(MFRが大きくなる)ため、比較的低分子量の熱可塑性樹脂を用いると良好な流動性が得られる。樹脂としてPPを用いる場合、200〜230℃程度でペレットから焼成用成形体への成形を行うため、この温度範囲内のMFRが10以上(100以上)のPPを使用すればよい。なお、JIS K7210に関連するISO規格に規定されているPPの試験条件はJIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃)であるため、この条件でのMFRが10以上(100以上)のPPを用いてもよい。なお、同じ条件下でMFRが大きい樹脂であるほどペレットから焼成用成形体への成形が容易となるため、素材中の樹脂の配合割合をより少なくさせることができる。
樹脂M2が無機成分や金属成分を含まない化合物とされていると、焼成用成形体を焼成したときに残留しないので、不要成分の無い良質の焼結体を製造することができる。焼成時に残留しない樹脂M2としては、C(炭素)原子とH(水素)原子とO(酸素)原子のみからなる高分子化合物が非常に好ましいが、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物でもよい。
本実施形態では、素材中の樹脂M2の重量比を充填材M1の重量比以下として、フィラー高充填としている。充填材M1と樹脂M2の好ましい配合割合は、充填材が51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)に対し、樹脂が0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。充填材の合計を51重量%(70重量%)以上とするのは焼成用成形体を焼成したときに収縮度合を小さくして焼結体を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂を0.1重量%(5重量%)以上とするのは焼成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。
第三の素材M3として、例えば、樹脂M2と相溶性があり、かつ、親水基を有する相溶化剤を用いると、充填材と樹脂とのなじみを向上させることができ、焼成用成形体をより均質にさせ、焼結体をより均質にさせる。親水基としては、水酸基(ヒドロキシル基)、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホ基、等の官能基がある。相溶化剤をC原子とH原子とO原子のみからなる高分子化合物とすると、あるいは、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物とすると、焼成用成形体を焼成したときに相溶化剤が残留しないので、不要成分の無い高品質の焼結体を得ることができる。
素材中の好ましい配合割合は、充填材の合計が51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)であるのに対し、樹脂と相溶化剤の合計が0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)であり、相溶化剤のみが0.05〜5重量%である。充填材の合計を51重量%(70重量%)以上とするのは焼成用成形体を焼成したときに収縮度合を小さくして焼結体を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂と相溶化剤の合計を0.1重量%(5重量%)以上とするのは焼成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。また、樹脂と相溶化剤との好ましい配合比は、樹脂50〜99重量%に対し、相溶化剤1〜50重量%である。
相溶化剤として、素材に含まれる樹脂M2と相溶性のある合成樹脂の原料に所定の有機酸を添加して合成して得られる酸変性合成樹脂を用いると、焼成用成形体を焼成したときに有機酸が残留しないので、高品質の焼結体を得ることができる。樹脂M2と相溶性のある合成樹脂としては、合成樹脂とされた樹脂M2そのもののでもよいし、樹脂M2とは異なる合成樹脂でもよい。上記有機酸としては、樹脂に親水基を付与するマレイン酸を用いることができるが、フマル酸等のカルボキシル基を有する有機酸でもよい。合成樹脂を有機酸により変性した酸変性合成樹脂も通常変性していない合成樹脂に似た性質を有するため、酸変性合成樹脂のみを樹脂M2として使用してもよい。
熱可塑性樹脂をマレイン酸で変性した酸変性合成樹脂を製造するには、付加重合前の熱可塑性樹脂の原料にマレイン酸を添加して付加重合を行えばよい。すると、付加重合後の高分子には、親水基の一つであるカルボキシル基が付加される。従って、酸変性合成樹脂は、充填材M1とのなじみが良くなっている。
一般に、合成樹脂を有機酸で変性した酸変性合成樹脂を製造するには、重合前の合成樹脂の原料に有機酸を添加して重合を行えばよい。すると、重合後の高分子には、カルボキシル基が付加され、充填材M1とのなじみが良くなる。
第三の素材M3として、樹脂成形用の滑剤を用いてもよい。すると、ペレットから焼成用成形体の形状に成形する時に充填材間のすべりが良好となるので、成形しやすくさせることができる。滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、ラウリル酸ラウリル、長ステアリン酸ステアリル、長脂肪酸高級アルコールエステル、ベヘニン酸ベヘニン、ミリスチン酸セチル、等の脂肪酸エステル、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、等を用いることができる。滑剤をC原子とH原子とO原子のみからなる高分子化合物とすると、あるいは、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物とすると、焼成用成形体を焼成したときに滑剤が残留しないので、不要成分の無い高品質の焼結体を得ることができる。
素材中の好ましい配合割合は、充填材の合計が51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)であるのに対し、樹脂と滑剤の合計が0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)であり、滑剤のみが0.05〜5重量%である。充填材の合計を51重量%(70重量%)以上とするのは焼成用成形体を焼成したときに収縮度合を小さくして焼結体を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂と滑剤の合計を0.1重量%(5重量%)以上とするのは焼成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。また、樹脂と滑剤との好ましい配合比は、樹脂20〜99重量%に対し、滑剤1〜20重量%である。
第三の素材M3として、繊維状素材を用いてもよい。すると、繊維状素材が焼成用成形体を崩れにくくさせるので、保形性に優れた焼成用成形体を形成して焼結体を製造することが可能となる。繊維状素材としては、樹脂M2として使用可能な合成樹脂の繊維の他、ガラス繊維、セピオライト(Si12Mg8O30(OH)4(H2O)4・8H2O)、ワラストナイト(CaSiO3)、アスベスト(石綿)、マグネシウムウイスカ、等の鉱物繊維、等を用いることができる。繊維状素材をC原子とH原子とO原子のみからなる高分子化合物とすると、あるいは、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物とすると、焼成用成形体を焼成したときに繊維状素材が残留しないので、不要成分の無い高品質の焼結体を得ることができる。
素材中の好ましい配合割合は、充填材の合計が51〜99.8重量%(より好ましくは70〜95重量%)であるのに対し、樹脂と繊維状素材の合計が0.2〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)であり、繊維状素材のみが0.1〜30重量%である。充填材の合計を51重量%(70重量%)以上とするのは焼成用成形体を焼成したときに収縮度合を小さくして焼結体を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂と繊維状素材の合計を0.2重量%(5重量%)以上とするのは焼成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。この条件で、素材中の樹脂の好ましい配合割合は0.1重量%以上(より好ましくは5重量%以上)である。
なお、微粒状の無機素材または金属素材にシランカップリング剤を反応させて充填材M1を得るシランカップリング工程をさらに設けてもよい。すると、充填材と樹脂とのなじみが向上し、焼成用成形体をより均質にさせ、焼結体をより均質にさせることができる。ここで、微粒状の無機素材または金属素材としては、そのまま充填材M1となりうる素材を用いることができる。シランカップリング剤は、分子の一端に加水分解でシラノール基(Si-OH)を与えるエトキシ基やメトキシ基を有し、他端に有機官能基を有する。シランカップリング剤としては、特開平8−252813号公報に記載されたオルガノシラン処理用反応剤SiX1234(X1、X2、X3、X4の少なくとも一つは約10乃至35個の炭素原子を有する非官能化されたアルキルまたはアルケニル基、X1、X2、X3、X4の少なくとも一つはアルコキシ基またはハロゲン化物)等を用いることができる。微粒状の無機素材または金属素材に対してシランカップリング剤を用いてシランカップリング処理を行うと、微粒状の無機素材または金属素材に疎水性の有機官能基が付加され、疎水性が付与される。従って、微粒状の無機素材または金属素材は、樹脂M2とのなじみが良くなる。
シランカップリング処理は、例えば特開平8−252813号公報に記載された方法で行うことができる。すなわち、イソプロピルアルコールまたは約5〜50体積%のイソプロピルアルコールを含む水の中に微粒状の無機素材または金属素材を高速ミキサで一様となるように十分に分散させ、生成したスラリーにオクタデシルトリエトキシシランを徐々に加え、60℃付近に維持して約15〜60分間撹拌し、その後遠心分離機でcake状の表面変性した無機素材または金属素材を分離し、約120℃で約5〜10時間乾燥すればよい。
微粒状の無機素材または金属素材にシランカップリング剤を反応させるときのシランカップリング剤の配合量は、微粒状の無機素材または金属素材を基準として0.1〜15重量%が好ましい。
素材中の好ましい配合割合は、シランカップリング処理を行った充填材の合計が51〜99.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)であるのに対し、樹脂が0.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。シランカップリング工程で得られた充填材の合計を51重量%(70重量%)以上とするのは焼成用成形体を焼成したときに収縮度合を小さくして焼結体を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂を0.1重量%(5重量%)以上とするのは焼成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。
上述した相溶化剤や滑剤や繊維状素材は、炭素原子と水素原子と酸素原子のみからなる化合物とされていてもよい。さらに、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む化合物とされてもよい。このような相溶化剤等は焼成しても残留しないので、不要成分の無い高品質の焼結体を得ることができる。
樹脂M2として常温(例えば20℃)で液状(流動状態)の合成樹脂を用いる場合、樹脂を溶融させてペレットを軟化させる必要が無くなるので、不定形押出用加熱機構A11(不定形押出用加熱工程)や混練用素材加熱機構A24,A30a(混練用素材加熱工程)が不要になる。液状の合成樹脂として熱硬化性樹脂を用いると、従来できなかった熱硬化性樹脂を原料とした焼成用成形体を製造することができる。
焼成工程S3では、焼成用成形体M8を所定の脱脂機構A5で加熱により脱脂し、脱脂後の焼成用成形体を所定の焼成機構A6で焼成して焼結体M9を形成する。焼成用成形体を脱脂するには、種々の公知の脱脂処理を採用することができ、例えば、焼成用成形体を脱脂炉あるいは焼結炉(脱脂機構A5)に入れ、焼成温度よりも低い温度の範囲内で150〜600℃程度に加熱して樹脂を気化させたり熱分解させたりして取り除く処理を行えばよい。脱脂後の焼成用成形体を焼成するには、種々の公知の焼成処理を採用することができ、脱脂後の焼成用成形体を脱脂温度よりも高い温度まで加熱して焼結体にある程度の強さと特性をもたせる処理を行えばよい。焼成機構A6には、バッチ式の焼成炉に焼成用成形体を入れて焼成する焼成装置、トンネル式の焼成炉に焼成用成形体を通過させて焼成する焼成装置など、種々の焼成装置を用いることができる。焼成炉を高温にさせる熱源としては、電気ヒータ、ガスバーナ、等、種々の熱源を用いることができる。焼成時の温度としては、充填材M1に無機または金属の素材を用いる場合、550〜2000℃が好ましく、800〜1600℃がさらに好ましい。550℃(800℃)以上にすると樹脂M2を確実に焼却して除去できる点で好ましい。なお、焼成温度を800℃程度と比較的低温にするとアモルファス(非晶質)の焼結体が得られやすく、焼成温度を1400℃程度と比較的高温にすると結晶化された焼結体が得られやすい。
ところで、焼成用成形体を脱脂する際、該成形体に含まれる樹脂から発生する気体が該成形体にクラック等を生じさせることが懸念される。そこで、本発明では、加熱による脱脂時に樹脂から発生する気体を内部から外部へ逃がすための逃げ道が確保される構造となるように焼成用成形体を形成している。
図3は、加熱により脱脂する時に樹脂M2から発生する気体を内部から外部へ逃がすための逃げ道が確保される構造の焼成用成形体M8を製造する例を示している。本製造方法では、成形用素材に、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材M22と当該充填材と等重量以下の流動状態の第一の樹脂M25と必要に応じて第三の素材M28とを含む第一の成形用素材(ペレットM32)と、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材M21,M23と当該充填材と等重量以下の流動状態の第二の樹脂M24,M26と必要に応じて第三の素材M27,M29とを含む第二の成形用素材(ペレットM31,M33)と、を少なくとも用いる。成形用素材生成工程S1では、第一の成形用素材M32と第二の成形用素材M31,M33とを別々に生成する。図の例では、充填材M21と樹脂M24とを少なくとも含む素材からペレット化機構A31にてペレットM31を形成し、充填材M22と樹脂M25とを少なくとも含む素材からペレット化機構A32にてペレットM32を形成し、充填材M23と樹脂M26とを少なくとも含む素材からペレット化機構A33にてペレットM33を形成している。なお、各ペレット化機構A31,A32,A33は、上述した不定形押出機構A1と必要に応じて粉砕機構A12とペレット成形機構A13とを備える機構である。
ここで、第一の成形用素材M32と第二の成形用素材M31とが異なり、第一の成形用素材M32と第二の成形用素材M33とが異なっていればよく、成形用素材M31と成形用素材M33とは異なっていても同じでもよい。従って、ペレット化機構A31にて形成されたペレットM31をペレットM33として用いてもよいし、ペレット化機構A31〜A33に共通の単一のペレット化機構を用いてペレットM31〜M33を形成してもよい。
本実施形態の焼成用成形体形成工程S2は、混練工程S7と積層工程S8と成形工程S9とを備えている。
混練工程S7では、第一の成形用素材M32を少なくとも含む素材と第二の成形用素材M31,M33を少なくとも含む素材とを別々に混練し、第一の積層用素材M35と第二の積層用素材M34,M36とをそれぞれ生成する。図の例では、それぞれペレットM31,M32,M33を少なくとも含む素材を所定の押出機構A34,A35,A36にて別々に混練し、混練された積層用素材M34,M35,M36をそれぞれ生成している。ここでも、第一の積層用素材M35と第二の積層用素材M34とが異なり、第一の積層用素材M35と第二の積層用素材M36とが異なっていればよく、積層用素材M34と積層用素材M36とは異なっていても同じでもよい。従って、押出機構A34にて形成された積層用素材M34を積層用素材M36として用いてもよいし、押出機構A34〜A36に共通の単一の押出機構を用いて積層用素材M34〜M36を形成してもよい。
次に、積層工程S8では、第一の成形用素材M32を少なくとも含む素材と第二の成形用素材M31,M33を少なくとも含む素材とを別々に混練して押出機構A34,A35,A36にて押し出して内層が第一の成形用素材M32を含む素材で外層が第二の成形用素材M31,M33を含む素材M37となるように積層する。そして、成形工程S9では、積層された状態の積層用素材M37を所定の成形機構A37にて焼成用成形体の形状に成形し、内層M42が第一の成形用素材M32を少なくとも含む素材で外層M41,M43が第二の成形用素材M31,M33を少なくとも含む素材の構造を有する焼成用成形体M40を形成する。ここで、加熱による脱脂時に内層M42の樹脂M25から発生する気体の逃げ道が外層M41,M43に形成されるように焼成用成形体を形成している。これにより、焼成用成形体に含まれる樹脂から発生する気体によるクラックの発生が防がれ、焼結体の製造歩留まりが向上する。
脱脂時の焼成用成形体に気体の逃げ道を確保する一例として、内層用の第一の樹脂M25と外層用の第二の樹脂M24,M26とを互いに熱分解する温度の異なる樹脂にすることが挙げられる。例えば、上記PPと上記PEとは、互いに熱分解する温度の異なる熱可塑性樹脂である。また、同じPP(同じ種類名の樹脂)でも、平均分子量が異なれば、通常、熱分解する温度が異なる。
この場合、内層M42に含まれる第一の樹脂M25と外層M41,M43に含まれる第二の樹脂M24,M26とは、互いに熱分解する温度が違っている。これにより、加熱により焼成用成形体M40を脱脂する時に、内層M42の樹脂M25から発生する気体の逃げ道が外層M41,43に形成される。従って、内層に生じる気体が外層を壊さずに外部へ逃げ、クラックが生じない。
また、脱脂時の焼成用成形体に気体の逃げ道を確保する一例として、成形用素材に、充填材と樹脂との配合割合が互いに異なる第一の成形用素材M32および第二の成形用素材M31,M33を少なくとも用いることが挙げられる。例えば、充填材M21〜M23に同じ充填材を用い、樹脂M24〜M26に同じ樹脂を用いるとして、90重量%の充填材と10重量%の樹脂とを配合した成形用素材と、80重量%の充填材と20重量%の樹脂とを配合した成形用素材とは、充填材と樹脂との配合割合が互いに異なる成形用素材である。
この場合、内層M42に含まれる第一の樹脂M25と外層M41,M43に含まれる第二の樹脂M24,M26とは、充填材の配合割合が異なることによって互いに熱分解する温度が違っている。これにより、加熱により焼成用成形体M40を脱脂する時に、内層M42の樹脂M25から発生する気体の逃げ道が外層M41,43に形成される。従って、内層に生じる気体が外層を壊さずに外部へ逃げ、クラックが生じない。
さらに、脱脂時の焼成用成形体に気体の逃げ道を確保する一例として、成形用素材に、形成される焼成用成形体M40中の樹脂M24〜M26の結晶化度を変える結晶化度変更材料が0重量%以上かつ充填材M21〜M23の配合割合未満であって互いに異なる配合割合で含まれる第一の成形用素材M32および第二の成形用素材M31,M33を少なくとも用いることが挙げられる。結晶化度変更材料には、金属塩等の核剤等を用いることができる。例えば、充填材M21〜M23に同じ充填材を用い、樹脂M24〜M26に同じ樹脂を用い、成形用素材M31〜M33の充填材の配合割合を同じにするとして、結晶化度変更材料を全く添加していない(配合割合0重量%)成形用素材と、結晶化度変更材料を充填材の配合割合未満で配合した成形用素材とは、結晶化度変更材料の配合割合が互いに異なる成形用素材である。また、同条件で、結晶化度変更材料を5重量%添加した成形用素材と、結晶化度変更材料を10重量%添加した成形用素材とは、結晶化度変更材料の配合割合が互いに異なる成形用素材である。
この場合、内層M42に含まれる第一の樹脂M25と外層M41,M43に含まれる第二の樹脂M24,M26とは、結晶化度変更材料の配合割合が異なることによって互いに熱分解する温度が違っている。これにより、加熱により焼成用成形体M40を脱脂する時に、内層M42の樹脂M25から発生する気体の逃げ道が外層M41,43に形成される。従って、内層に生じる気体が外層を壊さずに外部へ逃げ、クラックが生じない。
なお、上述した脱脂時の焼成用成形体に気体の逃げ道を確保する各例は、単独で用いる以外にも、組み合わせて用いてもよい。また、焼成用成形体中で内層と外層との間に中間層を設けるように、焼成用成形体を4層以上の構造にする場合にも、同様の手法を適用可能であり、第一の成形用素材M32で内層M42を形成し、第二の成形用素材M31,M33で外層M41,M43を形成すればよい。例えば、内層M42と外層M41との間の中間層を第三の成形用素材で形成し、内層M42と外層M43との間の中間層を第四の成形用素材で形成する場合、第三・第四の成形用素材は、第一の成形用素材と異ならせ、また、第二の成形用素材とも異ならせて、5層の焼成用成形体を製造することができる。この場合、第三・第四の成形用素材は、同じ素材でも異なる素材でもよい。
また、焼成用成形体を積層構造にしなくても、脱脂時の焼成用成形体に気体の逃げ道を確保することが可能である。
図4に示すように、焼成用成形体形成工程S2では、成形用素材M6を成形機構A4にて成形して表面処理前成形体M51を形成し、充填材M51aを残して当該表面処理前成形体M51の表面に存在する樹脂を少なくとも除去して焼成用成形体M52を形成してもよい。樹脂を除去する際には、樹脂M2のみを除去してもよいし、酸変性合成樹脂等の相溶化剤、滑剤、樹脂繊維等の繊維状素材、等も除去してもよい。
焼成用成形体M52を形成するための樹脂としては、表面処理前成形体M51の表面を加熱して樹脂を除去する場合には、上述した各種樹脂を用いることができる。また、酸、アルカリ、有機溶剤により劣化して除去される樹脂を用いると、表面処理前成形体M51の表面に酸、アルカリ、有機溶剤を接触させることにより、表面処理前成形体M51の表面に存在する樹脂を劣化により除去して焼成用成形体M52を形成することができる。さらに、紫外線により劣化して除去される樹脂を用いると、表面処理前成形体M51の表面に紫外線を照射することにより、表面処理前成形体M51の表面に存在する樹脂を劣化により除去して焼成用成形体M52を形成することができる。
成形用素材M6を生成すると、成形用素材M6を少なくとも含む素材を成形機構A4にて焼成用成形体M52と概略同形に成形して表面処理前成形体M51を形成する(図の上段)。次に、充填材M51aを残して表面処理前成形体M51の表面に存在する樹脂を少なくとも除去して焼成用成形体M52を形成する(図の下段)。図の例では表面の樹脂を含む液状成分M51bが除去された様子が示されており、表面にある充填材M51aがむき出しになっている様子が示されている。樹脂を除去する面は、表面処理前成形体のある一面でもよいし、表面処理前成形体の全面など複数の面でもよい。
この場合、加熱による脱脂時に樹脂から発生する気体を内部から外部へ逃がすための逃げ道が既に形成された構造の焼成用成形体が形成されるので、焼成用成形体M52は、加熱による脱脂時に樹脂から発生する気体を内部から外部へ逃がすための逃げ道が確保される構造となっている。加熱により焼成用成形体M52を脱脂する時、内部の樹脂から発生する気体の逃げ道が表面に形成されているので、内部に生じる気体が焼成用成形体の表面側を壊さずに外部へ逃げ、クラックが生じない。
なお、脱脂時の気体の逃げ道を確保する構造にした積層構造の焼成用成形体を表面処理前成形体として、当該積層構造の焼成用成形体の表面に存在する樹脂を少なくとも除去して焼成用成形体を形成することにより、気体の逃げ道を確保する相乗的な効果を期待することができる。
(2)本製造方法に用いられる製造装置の構成:
樹脂M2に熱可塑性樹脂を用いる場合、上記ペレットM15を形成する装置には、上記粉砕機構A12を除いて、概略、特開2004−17502号公報に記載されたペレット製造装置(10)を用いることができる。同装置は、材料供給装置(11)、素材搬送装置(12)、素材加熱装置(13)、ペレット成形装置(20)、選別搬送装置(14)、制御盤(15)を備えている。
材料供給装置では、微粒状の充填材と断片形状の熱可塑性樹脂原反とを少なくともホッパ装置に投入すると、当該ホッパ装置内に収容された素材が粒状のまま撹拌されつつ混合され、素材搬送装置に供給される。素材搬送装置では、略円筒形状の中空管(図6の12b)の内部にスクリュー軸(図6の12c)が配設され、スクリュー軸の回転速度に応じた押出速度で素材が混合されながら流動体流出口(図6の12f)に向かって押し出される。素材搬送装置に併設された素材加熱装置(不定形押出用加熱機構)は、中空管内の素材を加熱するヒータ部を備え、中空管内を搬送される素材を加熱して熱可塑性樹脂を溶融させ、素材を軟化させる。ここで、ヒータ部は、熱可塑性樹脂を溶融させる温度に上昇させることができればよく、例えば、熱可塑性樹脂としてPPを用いる場合には200〜230℃程度とし、ポリアミドを用いる場合には270〜290℃程度とする。ペレット成形装置は、素材搬送装置から押し出された素材からペレットM15を形成する。選別搬送装置は、固化されたペレットを選別搬送網で選別し、選別搬送網上に残存したペレットについてはペレット収容部に収容し、選別搬送網から落下したペレットについては再利用のために回収する。制御盤は、複数の操作ボタンや、本ペレット製造装置の運転条件の設定や運転状態をモニタリングする操作ディスプレイ等を備え、操作者から操作を受け付け、当該操作に応じてペレット製造装置全体の制御を行う。
図5〜図7は、ペレット成形装置の要部を示している。なお、図6においてスクリュー軸12cとスクリューのネジ山については側面視して示している。以下、図6と図7を基準とした上下左右の関係により各部材の配置を説明する。
ペレット成形装置20は、円筒形状の金属製外筒部21、同外筒部の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた金属製の出口部22、同出口部の下側において開口31aを上側に向けて設置された粉砕機(粉砕機構)30、同粉砕機にて粉砕された素材m2を導入する成形機用容器23、同容器23内に設けられた押し込みローラ25,25、成形機用容器23の下側にて回転可能に取り付けられた金属製ダイフェースカッタ部26、同ダイフェースカッタ部を回転駆動する電動モータ27、等を備えている。
外筒部21の左側に設けられた素材流入口21aには、素材搬送装置から軟化状態の素材が流入する。外筒部21内に搬送された軟化状態の素材は、外筒部21内に先端部(左端部)が挿入されたスクリュー12gの回転動作により混合されながら右方向に押され、出口部22から右側に押し出され、不定形の素材m1として金属製の粉砕機用ホッパ32内に落下する。なお、素材搬送装置と外筒部21と出口部22が不定形押出機構を構成する。
出口部22には、成形用のダイではなく、製造されるペレットよりもはるかに径の大きい単一の開口22aが形成されており、軟化して混合された素材は同開口22aを貫通して成形されることなく不定形の状態で押し出される。
本実施形態では、ペレットと略同じ径とされた貫通穴が多数形成されたダイを外筒部21に取り付けておらず、出口部22では大きな抵抗が生じないため、素材の押出流量は大きくなる。通常、微粒状の充填材と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30と充填材の多い素材は、当該素材を試料として、押出機構内で不定形の素材が押し出される出口の位置(図6のP1)における素材の温度を試験温度θ(℃)とし、荷重Mnomを2.16kgとして、JIS K7210に準拠したMFRを測定すると、求められるMFRが1.0g/10min以下となる。MFRが小さいほど試料の流動性が小さいため、充填材の多い素材は流動性が小さいことになる。例えば、MFRが50g/10minのポリプロピレン(熱可塑性樹脂)を80重量%、粒径1mm以下の微粒状の木粉を20重量%配合した素材では、押出機構の出口の素材温度180℃を試験温度θとし、荷重Mnomを2.16kgとしてMFRを測定すると、MFRは0.0g/10minとなるか、或いは測定することができなくなってしまう。
流動性の小さい素材については、ペレット成形用のダイ(押出口が直径1〜8mm)を外筒部の端部に取り付けた押出成形機における素材の排出圧力Pe(上記出口の位置P1に相当する位置における素材の圧力)が大きくなりすぎ、押し出すことが困難となって、ペレットを大量生産することができない。なお、排出圧力Peは、押出成形機内において上記出口の位置P1に相当する位置に圧力計の検出部を挿入して測定することができる。特に、排出圧力Peが25.0MPa以上となる流動性の低い素材では、ペレット成形用のダイを装着した押出成形機では機械の耐久性の観点からペレットの成形を行っていない。通常、微粒状の充填材と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30である素材は樹脂が加熱軟化した状態で排出圧力Peが25.0MPa以上となってしまうが、このような流動性の小さい素材であっても本発明のペレット製造装置は押出機構にて混練しながら素材を押し出すことができ、ペレットを大量生産することが可能である。
本実施形態では、出口部の開口22aの断面積S1を外筒部21の出口部22側の端部における開口部分の断面積S0(外筒部の内側面で囲まれた部分の断面積)以上として、素材の排出圧力Peを確実に5.0MPa以下と小さくし、出口部から素材が円滑に押し出されるようにしている。図6ではS1=S0の場合を示しているが、S1>S0としてもよい。外筒部の出口部側の端部における断面積を比較対象とする限り、斜軸のスクリューを有する押出機でも同様のことが言える。むろん、S1<S0の場合であっても、成形するペレットよりもはるかに大きい径の開口を出口部に形成しておけば、素材を円滑に押し出すことが可能である。素材の排出圧力の観点から、出口部の開口は、素材の排出圧力Peを5.0MPa以下、より好ましくは3.0MPa以下、さらに好ましくは1.0MPa以下にさせる形状とすればよい。すると、単位時間あたり不定形の素材を大量に押し出すことができるので、ペレットを大量生産することができる。ここで、出口部の開口の断面積S1を大きくすれば排出圧力が小さくなり、S1を小さくすれば排出圧力が大きくなるので、同断面積S1を調節することによって排出圧力Peを調整することができる。
粉砕機用ホッパ32は、出口部の開口22aから押し出された不定形の素材m1を一旦収容し、下部開口32bから略上下方向を中心軸とする円筒形状の金属製粉砕室33内へ供給することができる。ホッパの開口32aは出口部22から離されて同出口部22の下側に位置しているので、押し出した素材m1が後続の素材m1の押し出しを阻害することなく、ホッパ32は出口部の開口22aから押し出された不定形の素材m1を収容することができる。そして、押出機構から押し出された素材を不定形のまま導入する所定の導入部31が、ホッパ32と粉砕室33に形成されていることになる。むろん、導入部は、一部が押出機構と繋がっている構造とされてもよいし、押出機構の出口部22の下側からホッパ32の上側まで不定形の素材を載置して移送するコンベアとホッパ32と粉砕室33とから構成されてもよい。
粉砕機(粉砕機構)30は、上記ホッパ32、同ホッパの下側において同ホッパの下部開口32bに連通する上部開口が形成された粉砕室33、同粉砕室内の下部において上下方向に回転軸を向けて回転可能とされて不定形の素材を載置する金属製載置テーブル34、左右方向に向けられた円柱状の軸部材35a,35aを回転軸として載置テーブル34に外周下部が当接して当該テーブル34上を転動可能な複数の金属製粉砕ローラ35,35、上下方向に向けて配設された円柱状の回転駆動軸36aを介して載置テーブル34を回転駆動する電動モータ36、成形機用容器23の上部において下方に向けて開口した図示しない粉体吐出口まで粉砕後の素材を移送する粉体輸送機37、等を備えている。軸部材35a,35aは、粉砕室33の側壁に固定されている。粉砕室33の下側(載置テーブル34の下面から下側)には、当該粉砕室33と略同じ径の円筒形状の金属製粉体収容室33aが設けられており、当該収容室33aに粉砕後の素材が粉体輸送機37へ吸い込まれる粉体吸引口37bが形成されている。
粉砕機30では、常時モータ36に通電してあり、回転駆動軸36aを介して載置テーブル34が回転駆動される。すると、載置テーブル34の上面で当該テーブル34の上下方向を軸とする回転動に従動して粉砕ローラが左右方向を軸として回転動し、粉砕室33内に導入された不定形の素材は、載置テーブル34上と粉砕ローラ35,35周面との間で粉砕される。ここで、導入された素材は微粒状の充填材に熱可塑性樹脂がなじんだ素材とされており、樹脂となじんだ充填材を有する軟化状態の素材が粉砕され、均質にされる。また、粉体輸送機37の送風機にも常時通電してあり、粉砕されて粉砕室33の内周面と載置テーブル34の外周面との間33bから収容室33a内に落下した素材は、粉体吸引口37bから粉体輸送機37に吸い込まれ、粉体吐出口よりも上側まで斜め上方に移送されて、粉体吐出口37aから下方に向けて吐出され、落下して成形機用容器23内に収容される。
なお、粉砕機構としては、公知の種々の粉砕機を使用可能である。
成形機用容器23は、筒形状の容器用外筒部23aと、同容器用外筒部の下側開口を塞ぐ底部円板23bとから構成されている。底部円板23bには、粉砕された素材の粒子よりも大きい範囲で直径1mm以上8mm以下、例えば直径3〜5mm程度の多数の貫通穴23dが略上下方向に向けて形成されている。容器用外筒部23aの上側の開口23cは粉砕機の粉体吐出口37aから離されて同吐出口37aの下側に位置しているので、成形機用容器23は吐出口37aから吐出された粉砕後の素材を収容する。粉砕機構にて粉砕された素材を導入する粉砕素材導入部24は、成形機用容器23に形成されていることになる。むろん、粉砕素材導入部は、一部が粉砕機構と繋がっている構造とされてもよい。
図8に示すように、底部円板23bは、略円形の貫通穴23dが多数形成されている。なお、ダイフェースカッタ部26の取付位置を点線により示している。
押し込みローラ25,25は、略水平に設置された略円柱状の棒状部材25aの両端にて回転可能に取り付けられている。棒状部材25aは、両端からの中間部にて略上下方向に設けられた回転軸材25bを中心軸として回転動可能に設けられている。回転軸材25bを取り付けたローラ駆動用電動モータ25cに対して通電を行って動作させ、回転軸材25bを回転させると、ローラ25,25が自ら回転しながら底部円板23b上を周回する(図5では左回り)。このとき、ローラ25,25は自ら回転しながら(図6に示されたローラ25では左回り)成形機用容器23内の粉砕後の素材を多数の貫通穴23dの一方の上側開口から押し込み、他方の下側開口から略棒状に押し出す。
図7、図8に示すように、ダイフェースカッタ部26は、カッタ駆動用電動モータ27への取付部となるカッタテーブル26aと、同カッタテーブルに取り付けられて固定される複数のカッタ26bとを備えている。各カッタ26bは、底部円板23bの下面を摺動し、回転動作することによって貫通穴23dの下側開口から下方へ押し出される略棒状の素材を粉砕後の素材の粒子よりも大きい範囲で長さ1mm以上30mm以下、例えば長さ3〜7mm程度に切断する。これにより、軟化した素材がペレット形状に成形される。なお、複数の貫通穴23dを有する成形機用容器23と、押し込みローラ25,25および同押し込みローラを駆動する機構25a〜cと、カッタ26bを有するダイフェースカッタ部26と、モータ27とが、ペレット成形機構を構成する。
ペレット形状に成形された素材は、冷却機にて冷却された冷水を入れた冷却槽内に落下し、冷却されて固化し、ペレットM15として冷却槽から回収される。冷却槽と冷却機とは、第一の冷却機構を構成し、ペレットどうしが接着することを防止させる。所定の大きさ以上のペレットは、選別搬送装置にてペレット収容部に収容される。
生成したペレットは、汎用的な樹脂成形用の押出成形機や射出成形機を用いて焼成用成形体の形状に成形することができる。積層構造の焼成用成形体M40を製造する場合、図9に示すように、各ホッパ61、軟化状態の積層用素材の押出方向を軸とした円筒形状の各金属製外筒部62、同外筒部62の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた各ペレット用素材を別々に押し出す押出口63aを有する金属製ダイ63、各外筒部62内に挿入された各スクリュー64、各スクリュー64を回転駆動する各スクリュー軸駆動モータ65、各外筒部62に併設されて当該外筒部内を所定温度に加熱する各加熱機(混練用素材加熱機構)66、ダイ63の外側(右側)に設けられた単一のカッタ67、を備える加熱機付き一軸スクリュー混練押出多層成形機60を用いることができる。同押出多層成形機60は、ダイ63の各押出口63aから軟化状態の各混練された積層用素材を別々に押し出し、当該各混練された積層用素材を当該押し出しに伴って移動させながら積層して、積層された状態の積層用素材M37を生成する。そして、移動する積層された状態の積層用素材M37を間欠的にカッタ67で切断することにより成形する。成形された積層用素材は、図示しない冷却槽にて冷却されて固化し、焼成用成形体M40として冷却槽から回収される。冷却槽には冷却機にて冷却された冷水が供給されるようになっており、これら冷却槽と冷却機とは、第二の冷却機構を構成し、焼成用成形体どうしが接着することを防止させる。
また、射出成形機としては、例えば、上記押出成形機60の各部61〜66と同様の構成を備えるとともに、図10に示すように、基部71、この基部71上に固定された固定金型72、基部71上で固定金型72の型面72zに対向する位置(右側)で水平(左右)方向に移動可能に設けられた移動金型73、この移動金型73内で当該移動金型とは別に水平(左右)方向に移動可能に設けられた肉厚調整金型74、移動金型73を水平方向に駆動する移動金型駆動機構75、肉厚調整金型74を水平方向に駆動する肉厚調整金型駆動機構76、肉厚調整金型74の型面74zに形成された複数の空気吸引孔74aに真空圧を作用させることの可能な真空ポンプ77、等を備える射出成形機70を用いることができる。本発明の射出成形型は、金型72〜74から構成される。
固定金型72には、型面72zに各混練された積層用素材の射出口72d〜fが形成され、型面72zとは反対側の面(左側)に各混練された積層用素材を射出成形型内に流入させる流入口72a〜cが形成されるとともに、内部に冷却通路72gや空気抜き孔72hが形成されている。固定金型の流入口72a〜cは、それぞれ各押出口63aに接続され、各押出機構にて各押出口63aから押し出される各混練された積層用素材が流入するようになっている。移動金型73には、内部に冷却通路73aが形成されている。肉厚調整金型74には、型面74zに複数の空気吸引孔74aが形成され、これらの空気吸引孔74aから水平(左右)方向に貫通して型面74zとは反対側の面(左側)から空気が吸引される貫通孔が形成されるとともに、内部に冷却通路74bが形成されている。各冷却通路72g,73a,74bは、図示しない冷却液循環機構に接続されており、内部を冷却水等の冷却液が通過するようになっている。
空気吸引孔74aに真空圧を作用させず型面72z,74z間を積層用素材1層分よりも広くさせた状態で移動金型73を固定金型72に当接させて混練された積層用素材の一つを押出口63aから所定量押し出して流入口72aに流入させ、射出口72dから射出成形型内に射出する。次に、型面72z,74z間を積層用素材1層分にさせる所定の位置まで肉厚調整金型74を固定金型72に近接させ、一旦金型72〜74を冷却して1層分の積層用素材を固化させ、空気吸引孔74aに真空圧を作用させて1層分の積層用素材を吸引させた肉厚調整金型74を固定金型72から離反させる。
その後、型面72z,74z間を積層用素材2層分よりも広くさせた状態で移動金型73を固定金型72に当接させて混練された積層用素材の別の一つを押出口63aから所定量押し出して流入口72bに流入させ、射出口72eから射出成形型内に射出する。次に、型面72z,74z間を積層用素材2層分にさせる所定の位置まで肉厚調整金型74を固定金型72に近接させ(図の状態)、一旦金型72〜74を冷却して2層分の積層用素材を固化させ、空気吸引孔74aに真空圧を作用させて2層分の積層用素材を吸引させた肉厚調整金型74を固定金型72から離反させる。
そして、型面72z,74z間を積層用素材3層分よりも広くさせた状態で移動金型73を固定金型72に当接させて混練された積層用素材の別の一つを押出口63aから所定量押し出して流入口72cに流入させ、射出口72fから射出成形型内に射出する。次に、型面72z,74z間を積層用素材3層分にさせる所定の位置まで肉厚調整金型74を固定金型72に近接させ(図の状態)、一旦金型72〜74を冷却して3層分の積層用素材を固化させ、空気吸引孔74aに真空圧を作用させて3層分の積層用素材を吸引させた肉厚調整金型74を固定金型72から離反させる。このようにして、焼成用成形体M40が形成される。
製造された焼成用成形体は、汎用的な脱脂装置や焼成装置を用いて焼結体M9にすることができる。例えば、図11に示すように、脱脂炉と焼成炉とを兼ね備えた炉内に複数の棚81aが設けられた炉81、炉内に熱を供給して所定温度に上昇させる熱供給装置82、を備えるバッチ式の脱脂焼成装置80を用いることができる。熱供給装置82は、設定温度に対応する電流量の電流を電気ヒータに通電する構成とすることができるが、ガスバーナを併用したり、ガスバーナのみで構成したりすることもできる。同脱脂焼成装置は、棚81aの上に載置された焼成用成形体M8を所定の脱脂温度で脱脂し、該脱脂温度よりも高い焼成温度で焼成して、焼結体M9を形成する。
なお、ペレット形状のペレットを生成する際に粉砕機構を省略する場合には、粉砕機30を省略し、不定形の素材が押し出される出口部22の下方に成形機用容器23を配置して、出口部22から不定形の状態で押し出される素材を不定形のまま成形機用容器23内に導入すればよい。
(3)焼成用成形体および焼結体の製造方法の作用、効果:
樹脂に熱可塑性樹脂を用いる場合、素材加熱装置の加熱により熱可塑性樹脂が溶融して素材が軟化する。素材は、フィラー高充填であるので、樹脂が溶融しても固形分が多いことによって流動性は大きくなりすぎず、粉砕可能な程度に軟化する。素材は、スクリュー12gにより混合されながら外筒部21内に押し込まれ、充填材に樹脂がなじんだ不定形の素材となって、成形されることなく不定形の状態で押し出される。ここで、出口部の開口の断面積S1が外筒部の出口部側端部における開口部分の断面積S0以上とされているので、MFRが1.0g/10min以下と低流動性の素材であっても、素材の排出圧力Peは5.0MPa以下、通常は1.0MPa以下となる。すると、軟化しているが流動性の低い素材は、図5に示す不定形の素材m1のように、成形されることなく不定形の状態で容易に押し出される。なお、素材中の充填材の配合割合が多いと素材m1は粉っぽい感じで押し出され、素材中の樹脂の配合割合が多いと素材m1は太いうどん状となって押し出される。押し出された不定形の素材m1は、落下して粉砕機用ホッパ32内に収容され、粉砕室33内に供給される。
導入部31に導入された不定形の素材m1は、充填材に樹脂がなじんだ素材とされており、当該素材が粉砕機30にて粉砕され、均質にされる。粉砕された素材m2は、粉体吐出口37aから落下して成形機用容器23内に収容される。粉砕素材導入部24に導入された粉砕後の素材は、押し込みローラ25,25により多数の貫通穴23dの上側開口から押し込まれる。なお、素材が粉砕されているので、貫通穴23d内に入り込みやすく、単位時間当たりのペレット成形量が多い。また、貫通穴23dに入った状態で、素材の粒子間に適度な空隙(ペレットから焼成用成形体への成形時の熱を加える混練工程で崩れる程度の空隙)が生じる。貫通穴23dに押し込まれた粉砕後の素材は、貫通穴23dの下側開口から略棒状に押し出される。そして、カッタ26bがさらに回転すると、略棒状の素材M4は、同カッタ26bにより断面方向に切断されて1〜30mmの長さとされ、粉砕後の素材の粒子よりも大きいペレット形状に成形される。ペレット形状の成形された素材は、冷却槽内に落下し、冷却されて固化する。生成したペレット(成形用素材)は、冷却槽から回収される。
複数の種類のペレットを生成する場合には、ペレットの種類毎に上述した処理を繰り返せばよい。
ペレットを生成する際、ペレットの大きさの開口を有するダイから直接素材を押し出す必要がないので、流動性の小さいフィラー高充填の素材であっても、単位時間当たりにペレットを大量に生成することが可能となる。また、押し出された不定形の素材を一旦粉砕すると、焼成用成形体や焼結体をより均質化させることが可能となる。さらに、充填材に樹脂が良くなじんだ後にペレット化されるので、当該ペレットを原料として押出成形や射出成形する時に原料段階ではペレット形状を維持させることができる一方、熱が加わる混練段階でペレットをより崩れやすくさせて良好に分散させ、成形が容易となる。加えて、不定形の素材が粉砕されることによってペレットを成形する際に成形用の穴や隙間等に入りやすくなるので、単位時間当たりのペレット生成量をさらに増やすことができる。
特に、高充填量の充填材と流動状態の樹脂とを含む素材を混練せずに粉砕してペレット形状に成形すると、充填材に樹脂がなじまず、充填材と樹脂とがばらばらに崩れて粉体状になりやすいペレットが形成される。本製造方法では、ペレットから焼成用成形体への成形時に原料段階ではペレットが粉体状に崩れることなく熱を加える混練段階で崩れて分散するため、混練段階で容易に原料を均質に混練することができる。
なお、素材中の樹脂の配合割合が多くて従来の押出成形機では成形後のペレットどうしがくっついてしまう素材であっても、成形後のペレットどうしがくっつかず分離した状態となる。ペレットどうしがくっついていると焼成用成形体を製造する時にペレットがスムーズに成形工程に送り込まれないが、ペレットどうしが分離しているため、スムーズに焼成用成形体を製造することができる。
生成したペレットm3を少なくとも積層用素材の原料として図9に示す押出成形機60のホッパ61に投入すると、モータ65に回転駆動されたスクリュー64の回転動作により混合されながらダイ方向に押される。このとき、加熱機66がペレットを加熱するので、熱可塑性樹脂が溶融し、ペレットが軟化する。各混練された軟化状態の積層用素材は、ダイ63の各押出口63aから押し出され、積層されて、カッタ67にて所定の長さに切断される。これにより、ペレットから焼成用成形体の形状に成形され、成形物が冷却されることにより焼成用成形体が形成される。また、図10に示す射出成形機70を用いる場合、混練された軟化状態の積層用素材が各押出口63aから押し出されて同じ射出成形型内に射出され、同射出成形型内で積層される。これにより、射出成形型内で積層された状態の積層用素材が成形され、成形物が冷却されることにより焼成用成形体が形成される。焼成用成形体には樹脂が含まれているので、焼成中や焼成前に焼成用成形体は崩れず、保形性の良好な焼成用成形体が得られる。さらに、フィラー高充填の素材から焼成用成形体を形成しているので、焼成用成形体から焼結体への収縮度合が小さくて済む。
形成した焼成用成形体M8を図11に示す脱脂焼成装置80の炉内に入れると、まず、熱供給装置82が炉内の温度を脱脂温度まで上昇させるので、焼成用成形体中の樹脂は気化したり熱分解したりして焼成用成形体から除去される。なお、樹脂をスムーズに除去するために、脱脂中の加熱温度を徐々に上昇させてもよい。次に、熱供給装置82が炉内の温度を焼成温度まで上昇させ、脱脂後の焼成用成形体が焼成される。ここで、樹脂の重量が充填材の重量以下とされているので、焼成用成形体から焼結体への収縮度合は小さい。そして、炉内が冷却されると、焼結体を炉内から取り出すことができる。これにより、均質な焼成用成形体から均質な焼結体を製造することができる。
素材に繊維状素材を添加していた場合、焼成用成形体が崩れにくくなるので、保形性に優れた焼成用成形体を形成して焼結体を製造することが可能となる。
製造された焼結体は、充填材が無機材料であれば種々のセラミック製品、充填材が金属材料であれば種々の金属製品、充填材が木質系材料であれば種々の炭製品として使用可能である。
焼成用成形体中で外層用の樹脂として内層用の樹脂が熱分解する温度よりも低い温度で熱分解する樹脂を用いると、脱脂工程では先に外層の樹脂が熱分解される。すると、脱脂中の焼成用成形体の外層に空隙が生じ、内層の樹脂が熱分解することにより発生する気体が当該空隙を通って内層から外部へ逃げると考えられる。すなわち、外層に生じる空隙が気体の逃げ道であり、当該空隙が生じることによって焼成用成形体は気体の逃げ道が確保された構造になると推測される。
一方、焼成用成形体中で外層用の樹脂として内層用の樹脂が熱分解する温度よりも高い温度で熱分解する樹脂を用いると、脱脂工程では先に内層の樹脂が熱分解されることになる。ここで、外層に存在する樹脂が外層に存在する充填材どうしをつなぎ止め、脱脂中に焼成用成形体が崩れてしまうことを防ぎながら、内層で発生した樹脂由来の気体の圧力により外層に当該気体が通過した通過孔が形成されるとも考えられる。すなわち、外層に生じる気体の通過孔が気体の逃げ道であり、当該通過孔が形成されることによって焼成用成形体は気体の逃げ道が確保された構造になると推測される。
以上より、内層用の樹脂と外層用の樹脂とで熱分解する温度の異なる樹脂を用いると、脱脂処理時に内層の樹脂に由来する気体の逃げ道が外層に形成され、クラックが発生せず、焼結体の製造歩留まりを向上させることが期待される。
また、焼成用成形体の各層では、充填材の配合割合が多い(樹脂の配合割合が少ない)ほど、樹脂の結晶化度が上がるため、熱分解する温度が上がると考えられる。焼成用成形体中で内層の充填材の配合割合を外層の充填材の配合割合よりも多くすると、外層の樹脂の方が熱分解する温度が低くなるため、脱脂工程では先に外層の樹脂が熱分解されることになる。すると、脱脂中の焼成用成形体の外層に空隙が生じ、内層の樹脂が熱分解することにより発生する気体が当該空隙を通って内層から外部へ逃げると考えられる。すなわち、外層に空隙(逃げ道)が生じることによって焼成用成形体は気体の逃げ道が確保された構造になると推測される。
一方、焼成用成形体中で内層の充填材の配合割合を外層の充填材の配合割合よりも少なくすると、脱脂工程では先に内層の樹脂が熱分解されることになる。ここで、外層に存在する樹脂が外層に存在する充填材どうしをつなぎ止め、脱脂中に焼成用成形体が崩れてしまうことを防ぎながら、内層で発生した樹脂由来の気体の圧力により外層に当該気体が通過した通過孔が形成されるとも考えられる。すなわち、外層に気体の通過孔(逃げ道)が形成されることによって焼成用成形体は気体の逃げ道が確保された構造になると推測される。
以上より、内層と外層とで充填材と樹脂との配合割合を異ならせると、脱脂処理時に内層の樹脂に由来する気体の逃げ道が外層に形成され、クラックが発生せず、焼結体の製造歩留まりを向上させることが期待される。
さらに、焼成用成形体の各層では、融点や流動性の同じ樹脂を用いていても、結晶化度変更材料の配合割合が多いほど、樹脂の結晶化度が上がるため、熱分解する温度が上がると考えられる。焼成用成形体中で内層の結晶化度変更材料の配合割合を外層の結晶化度変更材料の配合割合よりも多くすると、外層の樹脂の方が熱分解する温度が低くなるため、脱脂工程では先に外層の樹脂が熱分解されることになる。すると、脱脂中の焼成用成形体の外層に空隙が生じ、内層の樹脂が熱分解することにより発生する気体が当該空隙を通って内層から外部へ逃げると考えられる。すなわち、外層に空隙(逃げ道)が生じることによって焼成用成形体は気体の逃げ道が確保された構造になると推測される。
一方、焼成用成形体中で内層の結晶化度変更材料の配合割合を外層の結晶化度変更材料の配合割合よりも少なくすると、脱脂工程では先に内層の樹脂が熱分解されることになる。ここで、外層に存在する樹脂が外層に存在する充填材どうしをつなぎ止め、脱脂中に焼成用成形体が崩れてしまうことを防ぎながら、内層で発生した樹脂由来の気体の圧力により外層に当該気体が通過した通過孔が形成されるとも考えられる。すなわち、外層に気体の通過孔(逃げ道)が形成されることによって焼成用成形体は気体の逃げ道が確保された構造になると推測される。
以上より、内層と外層とで結晶化度変更材料の配合割合を異ならせると、脱脂処理時に内層の樹脂に由来する気体の逃げ道が外層に形成され、クラックが発生せず、焼結体の製造歩留まりを向上させることが期待される。
なお、焼成用成形体を積層構造とせず、単層構造とする場合、押出成形や射出成形をした直後は表面処理前成形体が形成されていることになる。ここで、表面処理前成形体の表面を加熱したり、酸、アルカリ、有機溶剤により劣化させたり、紫外線により劣化させたりすると、充填材を残して表面処理前成形体の表面に存在する樹脂が少なくとも除去され、場合によっては相溶化剤、滑剤、繊維状素材、等も除去される。
この場合、充填材どうしの間で樹脂等の除去された部分が空隙になっており、脱脂工程では内部の樹脂が熱分解することにより発生する気体が当該空隙を通って内部から外部へ逃げると考えられる。すなわち、表面に形成された空隙が気体の逃げ道であり、当該空隙が形成されることによって焼成用成形体は気体の逃げ道が確保された構造になると推測される。
以上より、押出成形や射出成形等の成形により一旦表面処理前成形体を形成し、脱脂前に当該表面処理前成形体の表面に存在する樹脂を少なくとも取り除いて焼成用成形体を形成すると、脱脂処理時に樹脂に由来する気体の逃げ道が表面に形成され、クラックが発生せず、焼結体の製造歩留まりを向上させることが期待される。
なお、樹脂M2を液状の合成樹脂とすると、樹脂を加熱溶融させる加熱工程を省略することができるので、加熱工程にかかる時間を無くすことができる。これにより、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量を増やすことができ、保形性に優れた焼成用成形体を形成して焼結体を製造可能とする好適な構成を提供することができる。
また、充填材M1に微粒状の木質系材料を用いる場合、酸素ガスを含まない不活性ガスの中で焼成用成形体を焼成することにより、酸素との反応を防いで木質系材料を炭化させ、カーボン素材の焼結体を製造することができる。この場合、焼成時の温度としては、550〜2000℃が好ましく、800〜1600℃がさらに好ましい。550℃(800℃)以上にすると樹脂M2を確実に焼却して除去できる点で好ましく、2000℃(1600)℃以下にすると燃焼効率の点で好ましいからである。充填材に木質系材料を用い、不活性ガス雰囲気下で焼成用成形体を焼成することにより、樹脂を用いてカーボン素材の焼結体を得ることができ、単位時間当たりの焼成用成形体の生産量を向上させ、保形性に優れた焼成用成形体を形成して良質のカーボン質焼結体を製造することが可能になる。
(4)各種変形例:
ペレットを形成する際、特開2004−17502号公報に開示されるように、一対の圧延ロールで不定形の素材を略平板状に圧延し、シュレッダ(樹脂細断機)で細断することによりペレット形状に成形してもよい。
樹脂M2として常温で液状(流動状態)の熱硬化性樹脂を用いる場合、図2の不定形押出工程S4では素材を加熱することなく不定形押出機構A1にて不定形の状態で押し出すことができる。そして、ペレット成形工程S6で例えばペレットM15を形成し、焼成用成形体形成工程S2では、成形機構A4にて焼成用成形体の形状に成形した後、成形後の素材を加熱機構にて加熱すると、素材中の熱硬化性樹脂が硬化して強固な焼成用成形体M8を形成することができる。すると、焼成用成形体が焼成中や焼成前に崩れることがなく、保形性の非常に良好な焼成用成形体が得られる。
また、ペレットM15から焼成用成形体の形状に成形する際に熱硬化性樹脂用の硬化剤や硬化促進剤を添加してもよい。すると、ペレットを加熱することなく素材中の熱硬化性樹脂を硬化させることができるので、強固な焼成用成形体M8を形成することができる。すると、焼成用成形体が焼成中や焼成前に崩れることがなく、保形性の非常に良好な焼成用成形体が得られる。
さらに、複数種類の樹脂のうち少なくとも一部の種類の樹脂に熱硬化性樹脂を用いることができる。樹脂として熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の双方を用いる場合、ペレットから焼成用成形体への成形を行うと、この段階で熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが互いになじんだ新規のポリマーブレンドを有する焼成用成形体を製造することができ、新規の焼結体を製造することができる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、焼成用成形体に含まれる樹脂から発生する気体によるクラックの発生を防ぎ、焼結体の製造歩留まりを向上させることが可能となる。むろん、本製造方法により得られる焼成用成形体や焼結体にも発明が存在し、良質の焼成用成形体や焼結体を提供することが可能となる。
焼成用成形体を製造し、さらに焼結体を製造する過程を示す概略の流れ図。 熱可塑性樹脂を用いて焼成用成形体を製造する一例を示す概略の流れ図。 焼成用成形体を製造し、さらに焼結体を製造する一例を示す概略の流れ図。 焼成用成形体を製造する一例を模式的に示す図。 ペレット成形装置の要部を示す斜視図。 ペレット成形装置の要部を示す垂直断面図。 ペレット成形装置の要部を示す垂直断面図。 成形機構の底部円板を上面から見て示す上面図。 加熱機付き押出成形機の構造を一部断面視して示す要部側面図。 加熱機付き射出成形機の構造を示す要部断面図。 脱脂焼成装置の構造を一部断面視して示す要部正面図。
符号の説明
20…ペレット成形装置(ペレット成形機構)
30…粉砕機(粉砕機構)
31…所定の導入部
60…押出成形機(成形機構を有する)
70…射出成形機(成形機構を有する)
80…焼成装置(焼成機構)
A1…不定形押出機構(第二押出機構)
A2…所定の導入部
A3…成形用素材生成機構
A4…成形機構
A5…脱脂機構
A6…焼成機構
A11…不定形押出用加熱機構
A12…粉砕機構
A13…ペレット成形機構
A20…押出成形装置
A24,A30a…加熱機(混練用素材加熱機構)
A30…射出成形装置
A31〜A33…ペレット化機構
A34〜A36…押出機構
A37…成形機構
M1,M21〜M23…微粒状の充填材
M2…流動状態の樹脂
M3,M5,M7,M14,M16,M27〜M29…第三の素材
M4,m1…不定形の素材
M6…成形用素材
M8,M40,M52…焼成用成形体
M9…焼結体
M11…不定形押出用素材
M12…熱可塑性樹脂
M13…粉砕物
M15,M31〜M33,m3…ペレット
M24〜M26…樹脂
M34〜M36…混練された積層用素材
M37…積層された状態の積層用素材
M41,M43…外層
M42…内層
M51…表面処理前成形体
m2…粉砕された素材
S1…成形用素材生成工程
S2…焼成用成形体形成工程
S3…焼成工程
S4…不定形押出工程
S5…粉砕工程
S6…ペレット成形工程
S7…混練工程
S8…積層工程
S9…成形工程

Claims (5)

  1. 微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材と、当該充填材と等重量以下の流動状態の樹脂と、を含む素材を不定形押出機構にて混合して不定形の状態で押し出し、押し出した素材を不定形のまま所定の導入部に導入し、導入した不定形の素材を少なくとも用いて粉砕機構にて粉砕し、粉砕後の素材を少なくとも用いてペレット形状に成形して、押出成形または射出成形により成形する所定の成形機構にて成形可能とするペレット形状の成形用素材を生成する成形用素材生成工程と、
    生成した成形用素材を少なくとも用いて前記成形機構にて成形して焼成用成形体を形成する焼成用成形体形成工程とを備え
    前記樹脂に、互いに熱分解する温度の異なる第一および第二の樹脂を少なくとも用い、
    前記成形用素材に、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材と当該充填材と等重量以下の流動状態の前記第一の樹脂とを含む第一の成形用素材と、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材と当該充填材と等重量以下の流動状態の前記第二の樹脂とを含む第二の成形用素材と、を少なくとも用い、
    前記成形用素材生成工程では、前記第一の成形用素材と前記第二の成形用素材とを別々に生成し、
    前記焼成用成形体形成工程では、前記第一の成形用素材を少なくとも含む素材と前記第二の成形用素材を少なくとも含む素材とを別々に混練して押出機構にて押し出して内層が前記第一の成形用素材を含む素材で外層が前記第二の成形用素材を含む素材となるように積層して成形することにより、
    加熱による脱脂時に前記内層の第一の樹脂から発生する気体の逃げ道が前記外層に形成されるように前記焼成用成形体を形成することを特徴とする焼成用成形体の製造方法。
  2. 前記第一および第二の成形用素材に、前記充填材と前記樹脂との配合割合が互いに異なる成形用素材を少なくとも用いることを特徴とする請求項1に記載の焼成用成形体の製造方法。
  3. 前記第一および第二の成形用素材に、形成される前記焼成用成形体中の前記樹脂の結晶化度を変える結晶化度変更材料が0重量%以上かつ前記充填材の配合割合未満であって互いに異なる配合割合で含まれる成形用素材を少なくとも用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼成用成形体の製造方法。
  4. 前記焼成用成形体形成工程では、前記成形用素材を前記成形機構にて成形して表面処理前成形体を形成し、前記充填材を残して当該表面処理前成形体の表面に存在する樹脂を少なくとも除去して前記焼成用成形体を形成することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の焼成用成形体の製造方法。
  5. 微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材と、当該充填材と等重量以下の流動状態の樹脂と、を含む素材を不定形押出機構にて混合して不定形の状態で押し出し、押し出した素材を不定形のまま所定の導入部に導入し、導入した不定形の素材を少なくとも用いて粉砕機構にて粉砕し、粉砕後の素材を少なくとも用いてペレット形状に成形して、押出成形または射出成形により成形する所定の成形機構にて成形可能とするペレット形状の成形用素材を生成する成形用素材生成工程と、
    生成した成形用素材を少なくとも用いて前記成形機構にて成形して焼成用成形体を形成する焼成用成形体形成工程と、
    形成した焼成用成形体を加熱により脱脂し、焼成して焼結体を形成する焼成工程とを備え
    前記樹脂に、互いに熱分解する温度の異なる第一および第二の樹脂を少なくとも用い、
    前記成形用素材に、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材と当該充填材と等重量以下の流動状態の前記第一の樹脂とを含む第一の成形用素材と、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充填材と当該充填材と等重量以下の流動状態の前記第二の樹脂とを含む第二の成形用素材と、を少なくとも用い、
    前記成形用素材生成工程では、前記第一の成形用素材と前記第二の成形用素材とを別々に生成し、
    前記焼成用成形体形成工程では、前記第一の成形用素材を少なくとも含む素材と前記第二の成形用素材を少なくとも含む素材とを別々に混練して押出機構にて押し出して内層が前記第一の成形用素材を含む素材で外層が前記第二の成形用素材を含む素材となるように積層して成形することにより、
    加熱による脱脂時に前記内層の第一の樹脂から発生する気体の逃げ道が前記外層に形成されるように前記焼成用成形体を形成することを特徴とする焼結体の製造方法。
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