JP2007109827A - 静電チャック - Google Patents

静電チャック Download PDF

Info

Publication number
JP2007109827A
JP2007109827A JP2005298221A JP2005298221A JP2007109827A JP 2007109827 A JP2007109827 A JP 2007109827A JP 2005298221 A JP2005298221 A JP 2005298221A JP 2005298221 A JP2005298221 A JP 2005298221A JP 2007109827 A JP2007109827 A JP 2007109827A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric layer
electrostatic chuck
substrate
aerosol
electrodes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005298221A
Other languages
English (en)
Inventor
Hironori Hatono
広典 鳩野
Junichi Iwazawa
順一 岩澤
Akihiko Matsumura
暁彦 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toto Ltd filed Critical Toto Ltd
Priority to JP2005298221A priority Critical patent/JP2007109827A/ja
Publication of JP2007109827A publication Critical patent/JP2007109827A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)

Abstract

【課題】耐電圧が高く、表面が平滑な、半導体性や絶縁性の基板を吸着保持する、エアロゾルデポジション法で形成させた静電チャックを提供する。
【解決手段】製膜粒子と製膜補助粒子を混在させてガス中に分散させたエアロゾルを、電極12の幅が300μmより小さなの2極以上の電極12を形成させた絶縁性支持プレート11に吹き付けて形成させて誘電体層13を形成させることで、耐電圧の高い10〜50μm層厚の誘電体層13とした静電チャック1とし、電極間に電位差を与えて不均一電界を発生させ、この不均一電界によって被吸着物である絶縁性の基板をグラジエント力によって強固に吸着することを可能とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板、MEMS用の石英基板などを静電吸着的に保持する静電チャックに関する。
フラットパネルディスプレイの製造では、年々大型化するガラス基板を製造装置に吸着固定させて、平面度の確保や基板温度の管理をすることが重要となっている。またこれらのガラス基板を製造装置まで搬送する手段としての吸着固定装置も必要となっている。ガラス基板は絶縁性であるため、静電的に吸着させることが難しく、従来は平置きしたり、アームでガラス基板を持ち上げて機械的に搬送するなどの手段が取られる場合があった。
この絶縁性の基板を静電的に吸着させる手段として、2極以上の精細な電極を絶縁性基板上に形成させて、これら電極間に電位差を与えて不均一電界を形成させることでこれを達成する静電チャックの提案が特許文献1、特許文献2に記載されている。
特許文献1では、電極幅を100μm以下、電極間隔を100μm以下、絶縁層の膜厚を10μm以下として、精細で微細な構造を達成することで、低電圧にて絶縁性の基板をクランプすることができるとしている。
またバイオチップや各種センサを製造するMEMS分野において、半導体ウェハを基板とするものから、近年では石英ガラスを基板とする方法が登場している。この分野においても絶縁性の石英ガラスを固定する方法として、従来は機械的なクランプ方法が用いられてきたが、加工精度を向上させるために、基板の平面度の確保が必要となってきており、静電的に吸着させる静電チャックの要求がある。
一方、基材表面に脆性材料の構造物を加熱工程なしに形成する方法として、エアロゾルデポジション法と呼ばれる手法が認知されている。
このエアロゾルデポジション法は、特許文献3にその詳細が記載されている。即ち、脆性材料などの微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから基材に向けて噴射し、金属やガラス、セラミックスなどの基材に微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子を変形や破砕を起さしめてこれらを接合させ、基材上に微粒子の構成材料からなる構造物をダイレクトで形成させることを特徴としており、特に加熱手段を必要としない常温で構造物が形成可能である。
このエアロゾルデポジション法(ガスデポジション法)を用いて、静電チャックを製造する提案が特許文献4に、また上述の不均一電界によるグラジエント力あるいはクーロン力、ジョンセンラーベック力により基板を吸着保持させる静電チャックの提案が特許文献5に記載されている。ここでは、複数の電極の間隔を10μm〜300μm、誘電体層の厚さを3μm〜100μmとし、20V〜2000Vなどの比較的低い印加電圧にて電気絶縁性基板の吸着させることが述べられている。
特表2000−502509号公報 特開2000−332091号公報 特許3348154号 特開2001−60619号公報 特開2005−223185号公報
不均一電界によって絶縁性の基板を吸着させる静電チャックにおいては、電極幅や電極間隔を小さくすることは、同じ印加電圧における吸着力の向上、あるいは同じ吸着力を出すための印加電圧の低下に寄与するために望ましい方法である。しかしながら、精細な電極を作るためには基板の表面にポアなどの欠陥を有しない材料を選択する必要があり、基板材料はガラスなどの基材に限定される。基板にポアがある場合は、電極の断線や隣接する電極同士の短絡が生じるなどの問題があり、また電極幅や間隔を精細なものにする場合にも工業的には同じ問題が生じやすい。
また誘電体層の層厚は薄い方が吸着には有効であるが、静電チャックとして利用できる程度の面積で誘電体層を形成させる場合は、CVD法などで誘電体層を形成させるプロセスにおいて発生する誘電体層中の欠陥の影響を受け、面積全面において良好な耐電圧が保証しにくいという課題がある。必要な吸着力を確保するためには、静電チャック全面に亘って形成された電極全体に一定の電位差を与えるように電圧を印加する必要があるが、誘電体層にある欠陥が大きい場合は、この部分で電流のリークが生じたり、電圧昇圧によって誘電体層が絶縁破壊を起こしてしまう。また層厚が薄いと、電極の厚みを拾ってしまい、誘電体層表面に凹凸が形成され、これも欠陥の誘発原因となることが考えられる。
被吸着物の平面度確保や密着度の観点からは、平坦で表面粗さの小さい表面が望ましいが、層厚を薄くした場合、表面研磨による平面出しが困難となる。また誘電体層そのものの表面粗さについて言えば、CVD法などで形成した誘電体層については、成長しやすい結晶面に成長が支配されて、構造は柱状晶や粒状晶などとなり、表面性状は凹凸が出来やすい。研磨による表面粗さを小さくする工程を行うことが考えられるが、層厚が薄いとこれは困難となる。誘電体層形成後の層の表面粗さに関してはエアロゾルデポジション法においても同じように微小な凹凸が存在し、表面研磨が必要となる。
MEMS用途で用いられる石英ガラス基板の深堀エッチングによる立体形状形成に際しては、基板保持の際の平面度確保が重要な課題となっているが、CVD法、エアロゾルデポジション法などで形成した誘電体層は残留応力を有しており、誘電体層形成後に基板の反りが発生し、基板が大きい場合はこれが顕著となり、平面度の確保が困難となる。そこで平面度を出すために誘電体層の表面から平面研削・研磨を行うが、反りの影響を受けて研磨後の誘電体層は面内での厚みがばらつくほか、もともと誘電体層が薄い場合は部分的に層を失ってしまう恐れがある。厚みのばらつきは、静電チャック面内での耐電圧のばらつきとなるため、もっとも薄い層の耐電圧値に支配されて、許容できる電圧値が決まり、それにより吸着力が決まることとなる。
特許文献5における静電チャックは、電気絶縁性の基板ではグラジエント力を用いて、電気伝導性基板ではクーロン力あるいはジョンセンラーベック力を用いて吸着させる目的の静電チャックである。グラジエント力を効果的に発現させるには、電極幅や電極間隔を小さくすることが有効である一方、クーロン力やジョンセンラーベック力を効果的に発現させるには、吸着面における電極の面積割合を大きく取ることが有効である。そのためここでは、電極デザインを櫛歯状の双極などとしながらも、電極の幅を300〜2000μmとして、どちらの基板の吸着にも対応できるデザインとなっている。従って、電気絶縁性の基板の吸着について最適化された電極デザインであるとは言えない。
電気絶縁性の基板の吸着力を大きくさせるためには、電極幅や電極間隔を小さく、誘電体層を薄くすることが効果的であるが、さらには印加電圧を増加させると2次関数的に吸着力が増大するために非常に効果的である。このためには逆に誘電体層の層厚を厚くすることがポイントとなり、層厚がミクロンから数十ミクロンオーダーにおいてこれは効果的であり、また同時に誘電体層の耐電圧値を高くして、一定層厚でも高い電圧をかけることができるようにするということが重要となる。
エアロゾルデポジション法で形成される誘電体層の耐電圧を向上させるためには誘電体層内のポアを極力低減、あるいは小さくすること、すなわち極力緻密にすることが有効である。特許文献5における静電チャックでは、誘電体層の厚みが10μmにおいて、印加電圧±500Vで吸着力を発現させているが、十分緻密な誘電体層を有していないために、耐電圧の安全率を大きく取ることができず、±1000V以上の電圧における保証がとれないため実用的でなかった。またこの保証をとろうとして層厚を数十μm以上とする場合、基材のそりが大きくなり、大面積で被吸着物を吸着保持する静電チャックを実現することが困難であった。
また特にMEMS用途でドライエッチングによる深堀エッチングを行うに際して、プラズマにさらされる時間が長いために誘電体層が酸化アルミニウムなどでかつ層厚が薄い場合は、誘電体層のプラズマによる損耗が激しいという問題もある。
そこで本発明では、非常に緻密で耐電圧の高い誘電体層を有し、グラジエント力を有効に発現させて、ガラス基板や石英ガラス基板などの絶縁性基板であっても、常温から強固な吸着力で吸着させる静電チャックを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明による静電チャックにおいては、絶縁性の基板を、通電時に形成される不均一電界に起因するグラジエント力によって吸着する静電チャックであって、この静電チャックは絶縁性の表面を持つ支持プレートの表面に2極以上の電極が配置され、支持プレートと前記電極を覆うように誘電体層が形成された構成であり、電極の幅は300μmより小さく、誘電体層の厚みは10μmを超え、50μmより小さく、誘電体層は、平均粒径が0.1μm以上1μm未満の脆性材料の製膜粒子と、平均粒径が1μm以上10μm未満の製膜補助粒子の混合物である微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを前記基材表面に噴射して衝突させて、形成させた多結晶構造物であることを特徴とする。
上述の構成、誘電体形成方法に従って作製した静電チャックは、電極幅が300μmより小さいために、支持プレート上に精細な電極を配置することが可能となり、グラジエント力を有効に発現させられる。また製膜粒子と製膜補助粒子を混在させたエアロゾルにて誘電体層を形成させるために、誘電体層の構造化が緻密で強度の高いものとなり、従って誘電体層の耐電圧値を高くすることができる。また誘電体層の層厚を10μm以上とすることで、層内に欠陥を有することがあっても、その影響を十分に抑えることが可能となり、誘電体層そのものが有する本来の耐電圧に近い電圧値まで昇圧させても誘電体層が絶縁破壊を起こすことがない。また層厚を50μmより小さくすることで、静電チャックのそりを少なくすることが可能となり、表面研磨をして、表面を平滑にできるとともに、研磨によって静電チャック面内での誘電体層の層厚のばらつきを少なくでき、耐電圧を高く維持させてかつ吸着力の面内ばらつきを小さく抑えることが可能となる。
絶縁性の基板の吸着が困難な場合には、基板の温度を上昇させて基板の体積抵抗率を低くし、ジョンセンラーベック力やクーロン力を働きやすくさせて吸着力を大きく取るなどのことがされているが、上述の構成による静電チャックであれば、常温にてほとんどグラジエント力を主体として、ガラス基板などの絶縁性の基板を強固に吸着させることが可能となる。
なお、この構成の静電チャックは、絶縁性基板の吸着に有効であるが、これに限ることなく、半導体性の基板の吸着にも利用することができる。また基材の温度を上げて吸着されてもよい。
本発明の静電チャックの好ましい形態においては、前記誘電体層の体積抵抗率が室温、大気中にて、1014Ω・cm以上であることを特徴とする。
もともとの材料特性として体積抵抗率が1014Ω・cm以上ある誘電体材料を使用した場合、エアロゾルデポジション法にて緻密な誘電体層を形成したならば、室温、大気中での体積抵抗率は、大気中の水分の誘電体層内吸着をほぼ防ぐことができるため、材料特性にほぼ等しい値を得ることができる。従ってこの値は、誘電体層の緻密度の指標ともなりえる。緻密化が進行するため、耐電圧が高くなる。また体積抵抗率が高ければ、電流のリークがなくなるために、電極間の電位差を最大に保つことができ、不均一電界を有効に利用することができる。
また本発明の静電チャックの好ましい形態においては、電極同士の間隔が10μmを超え、200μmより小さいことを特徴とする。
電極の間隔を誘電体層の層厚と同じかそれ以上にすることで、静電チャック全体での耐電圧を高く保持することができる。
また本発明の静電チャックの好ましい形態においては、製膜粒子が酸化イットリウム微粒子であり、誘電体層の主成分が酸化イットリウムであることを特徴とする。
酸化イットリウムは耐プラズマ特性に優れた材料であることが知られており、MEMS用途などで必要とされる長時間のプラズマ耐性の要求に応えられる材料として、エアロゾルデポジション法で形成が可能である。
なお、製膜補助粒子としては、酸化イットリウムを用いても良いし、あるいは酸化アルミニウムなどの硬質な酸化物材料を用いてもよい。さらに比重の大きな材料の採用も可能であるし、酸化物に限らず、窒化物、炭化物、ほう化物など、あるいは誘電体層中への混在が極めて少ないならば、金属材料微粒子や有機物材料微粒子を用いてもよい。
また本発明における静電チャックの好ましい形態においては、支持プレートが絶縁体である、さらには酸化アルミニウム焼成体であることを特徴とする。
電極を配置する材料となる支持プレートは絶縁性のものが考えられる。エアロゾルデポジション法で形成された誘電体層はその内部に応力を持つため、基板に反りが発生する。そのため基材としては硬度の高いセラミックス材料の利用が好適であり、酸化アルミニウム焼成体は基板材料として優れている。そのヤング率は200GPa以上あるとよい。
また本発明における静電チャックの好ましい形態においては、誘電体層の吸着面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.02μm未満、もしくは最大高さ粗さで0.1μm未満であることを特徴とする。
被吸着物の平面度を良く保持して吸着させるため、チャック表面になじませるために、エアロゾルデポジション法にて誘電体層を形成したのち、その表面を平面研磨するが、製膜補助粒子を混在させたエアロゾルで誘電体層を形成させることで、上述のような緻密な構造が達成できる。
本発明によれば、精細な2極以上の電極が形成された支持部レート上に、製膜粒子と製膜補助粒子を混合したエアロゾルを用いてエアロゾルデポジション法により誘電体層を形成した静電チャックが提供でき、非常に緻密で耐電圧の高い誘電体層を有し、グラジエント力を有効に発現させることで、ガラス基板や石英ガラス基板などの絶縁性の基板であっても、常温から強固な吸着力にて静電チャック上に保持させることができる。
以下に本件明細書で使用する語句の説明を行う。
(電極の幅)
本発明において電極の幅とは、入り組んで対をなした複数の電極において、各電極の端部から端部までの最短直線距離を示す。
(電極同士の間隔)
本発明において電極同士の間隔とは、入り組んで対をなした複数の電極において、隣り合う電極の端部から端部までの最短直線距離を示す。
(誘電体層の厚み)
本発明において誘電体層の厚みとは、入り組んで対をなした複数の電極の上面部から、誘電体層の上面までの最短直線距離を示す。
(グラジエント力)
本発明においてグラジエント力とは、複数の電極間に電圧を印加して不均一電界が形成された場合に発生する力のことを示す。
(製膜粒子)
エアロゾルデポジション法で形成される誘電体層の原料となる脆性材料の粒子。
(製膜補助粒子)
エアロゾルデポジション法において、製膜粒子に加えて使用する微粒子であり、製膜粒子と混在した状態で基材上に吹き付けられ、衝突し、それ自体はほとんど誘電体層の構成材料とはならず、基材上で誘電体層となる構造物を形成させる製膜粒子あるいは製膜粒子からできた誘電体層に機械的衝撃力を付与して、誘電体層の形成を補助し、この緻密化を推進させる役割を持つ。
(エアロゾル)
ヘリウム、窒素、アルゴン、酸素、乾燥空気、これらの混合ガスなどのガス中に前述の微粒子を分散させたものであり、一次粒子が分散している状態が望ましいが、通常はこの一次粒子が凝集した凝集粒を含む。エアロゾルのガス圧力と温度は任意であるが、ガス中の微粒子の濃度は、ガス圧を1気圧、温度を20℃と換算した場合に、ノズルから噴射される時点において0.0003mL/L〜0.06mL/Lの範囲内であることが構造物の形成にとって望ましい。
(多結晶)
本件では結晶子が接合・集積してなる構造体を指す。結晶子は実質的にそれひとつで結晶を構成しその径は通常5nm以上である。ただし、微粒子が破砕されずに構造物中に取り込まれるなどの場合がまれに生じるが、実質的には多結晶である。
本発明において、静電チャックを作製する方法であるエアロゾルデポジション法について説明する。これは脆性材料などの微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから基材に向けて噴射し、金属やガラス、セラミックスなどの基材に微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子を変形や破砕を起さしめて、これらを接合させ、基材上に微粒子の構成材料からなる構造物をダイレクトで形成させることを特徴としており、特に加熱手段を必要としない常温で構造物が形成可能である。
上記エアロゾルデポジション法に用いられる装置は、基本的にエアロゾルを発生させるエアロゾル発生器と、エアロゾルを基材に向けて噴射するノズルとからなり、ノズルの開口よりも大きな面積で構造物を作製する場合には、基材とノズルを相対的に移動・揺動させる位置制御手段を有し、減圧下で作製を行う場合には構造物を形成させるチャンバーと真空ポンプを有し、またエアロゾルを発生させるためのガス発生源を有することが一般的である。
エアロゾルデポジション法のプロセス温度は常温であり、微粒子材料の融点より十分に低い温度、すなわち数百℃以下で構造物形成が行われるところにひとつの特徴がある。
また使用される微粒子はセラミックスや半導体などの脆性材料を主体とし、同一材質の微粒子を単独であるいは混合させて用いることができるほか、異種の脆性材料微粒子を混合したり、複合して用いることが可能である。また一部金属材料や有機物材料などを脆性材料微粒子に混合したり、脆性材料微粒子表面にコーティングして用いることも可能である。これらの場合でも構造物形成の主となるものは脆性材料である。
このエアロゾルデポジション法によって形成される構造物において、結晶性の脆性材料微粒子を原料として用いる場合、構造物の脆性材料部分は、その結晶子サイズが原料微粒子のそれに比べて小さい多結晶体であり、その結晶は実質的に結晶配向性がない場合が多く、脆性材料結晶同士の界面にはガラス層からなる粒界層が実質的に存在しないと言え、さらに構造物の一部は基材表面に食い込むアンカー層を形成することが多いという特徴がある。
またエアロゾルデポジション法により形成される構造物は、微粒子同士が圧力によりパッキングされ、物理的な付着で形態を保っている状態のいわゆる圧粉体とは明らかに異なり、十分な強度を保有している。また、構造物形成において、脆性材料微粒子が破砕・変形を起していることは、原料として用いる脆性材料微粒子および形成された脆性材料構造物の結晶子サイズをX線回折法で測定することにより判断できる。すなわちエアロゾルデポジション法で形成される構造物の結晶子サイズは、原料微粒子の結晶子サイズよりも小さい値を示す。微粒子が破砕や変形をすることで形成されるずれ面や破面には、もともと内部に存在し別の原子と結合していた原子が剥き出しの状態となった新生面が形成される。この表面エネルギーが高い活性な新生面が、隣接した脆性材料表面や同じく隣接した脆性材料の新生面あるいは基板表面と接合することにより構造物が形成されるものと考えられる。また微粒子の表面に水酸基が程よく存在する場合では、微粒子の衝突時に微粒子同士や微粒子と構造物との間に生じる局部のずり応力により、メカノケミカルな酸塩基脱水反応が起き、これら同士が接合するということも考えられる。外部からの連続した機械的衝撃力の付加は、これらの現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕などの繰り返しにより接合の進展、緻密化が行われ、脆性材料構造物が成長するものと考えられる。
次にこの手法を用いて作製した静電チャックの構造について述べる。図1に示す静電チャック1は、表面を平面度良く研削・研磨された酸化アルミニウム焼成体からなる基板11の片面にチタン、銅の積層スパッタおよびその後のエッチングによるパターニングにて層厚300nmの双極の櫛歯状電極12を配置し、その上に層厚約20μmにてエアロゾルデポジションで形成した酸化イットリウムの誘電体層13を配置した構造となっている。誘電体層13の表面は研磨され、算術平均粗さが0.02μm未満、最大高さ粗さが0.1μm未満の精度となっている。なお静電チャックの形状は円盤状でもよい。電極構造も同心円状分布などが考えられる。
この静電チャック1の作用としては、例えば図示しないガラス基板を静電チャック1の上に静置したのち、数十から数kVで直流電圧を印加する。これでガラス基板が静電チャック1の表面に、平面度良く強固に固定される。
続いて、この手法を用いて作製した静電チャックの別の一態様についての構造を述べる。図2に示す静電チャック2は、表面を平面度良く研削・研磨された酸化アルミニウム焼成体からなる基板21の片面にチタン、銅の双極の櫛歯状電極22を配置し、その上に層厚約15μmにてエアロゾルデポジション法で形成した酸化イットリウムの誘電体層23が配置され、さらにその上に層厚10μmにてエアロゾルデポジション法で形成した、パターニングされた酸化イットリウムの誘電体層24が密着して配置され、基材21から誘電体層24を基材厚み方向で貫通して貫く通気孔25を有する。図2では、誘電体層23と誘電体層24の境界である接合部分は点線で示しているが、エアロゾルデポジション法で形成したこれらは、一体不可分となっている。またパターニングされた誘電体層表面の凹部は全てつながっており、通気孔25につながって、誘電体層24の上部に被吸着物が接触している状態において、ガスが通気し、充満する溝となっている。また基板21の内部にはヒータ26が備えられている。
この静電チャック2の作用としては、例えば図示しないガラス基板を静電チャック2の上に静置したのち、通気孔25からガスを吸引してガラス基板を静電チャック2の表面に仮固定し、数十から数kVで直流電圧を印加すること平面度良く強固に固定させる。続いてヒータ26に電流を流して加熱する。そのときに通気孔からヘリウムなどのガスを導入してガラス基板の温度を所望のプロセス温度に均熱させる。
次に、上述の静電チャックの誘電体層を形成させる手段であるエアロゾルデポジション法による製造工程について記述する。図3はエアロゾルデポジション装置30の一例を示したものであり、窒素ガスボンベ301の先にガス搬送管302を介してエアロゾル発生器303が設置され、その下流側に例えば直径2mmのエアロゾル搬送管304を介して誘電体層形成室305内に配置された例えば直径2mmの導入開口と10mm×0.2mmの導出開口をもつノズル306に接続されている。エアロゾル発生器303内には製膜粒子として平均粒径0.47μmの酸化イットリウム微粒子が、製膜補助粒子として平均粒径5.9μmの酸化アルミニウム微粒子が充填されている。製膜粒子と製膜補助粒子の比率は個数比で100:1などとする。ノズル306の開口の先には、XYステージ307に保持された電極が形成された酸化アルミニウム焼成体の基材308が配置されている。誘電体層形成室305は真空ポンプ309と接続されている。基材308には上述したような電極形成基板が採用される。
以下に上記エアロゾルデポジション装置30の作用を述べる。窒素ガスボンベ301を開栓し、ガス搬送管302を通じてガスをエアロゾル発生器303内に送り込み、同時にエアロゾル発生器303を運転させて製膜粒子と製膜補助粒子と窒素ガスが適当比で混合されたエアロゾルを発生させる。また真空ポンプ309を稼動させ、エアロゾル発生器303と構造物形成室305の間に差圧を生じさせる。エアロゾルはこの差圧に乗って下流側のエアロゾル搬送管304に導入されて加速し、ノズル306より基材308に向けて噴射する。基材308はXYステージ307により2軸に揺動され、エアロゾル衝突位置を変化させつつ、微粒子の衝突により基材308上に膜状の脆性材料構造物である酸化イットリウムの誘電体層が形成されていく。
基材に噴射された酸化イットリウムの製膜粒子は、衝突の衝撃を受けて破砕・変形を起こし、基材上に密着する形で誘電体層として構造物化していくが、この製膜粒子あるいは誘電体層に酸化アルミニウムの製膜補助粒子が衝突することで製膜粒子の破砕・変形が促進され、あるいは誘電体層の緻密化が進展し、強固で耐電圧に優れた酸化イットリウムの誘電体層を形成することとなる。
(実施例1)
上述のエアロゾルデポジション法にて、形成した静電チャックの吸着力を測定した。電極の幅は100μm、電極の間隔は100μm、酸化イットリウムの誘電体層の層厚は15μmとし、誘電体層の表面は研磨を行い平滑な面とした。10−3〜10−2Paの真空環境中で、14mmφのソーダライムガラスを静電チャック誘電体層表面に静置したのち、ソーダライムガラスの温度を90℃まで昇温し、直流電圧を±1000Vで印加して60秒後にソーダライムガラスを垂直上方に引き上げ応力をかけて、静電チャックから離脱した時点での吸着力を評価した結果、1320gf/cmの値を得た。
(実施例2)
上述のエアロゾルデポジション法にて、形成した静電チャックの吸着力を測定した。電極の幅は100μm、電極の間隔は100μm、酸化イットリウムの誘電体層の層厚は20μmとし、誘電体層の表面は研磨を行い平滑な面とした。10−3〜10−2Paの真空環境中で、14mmφのソーダライムガラスを静電チャック誘電体層表面に静置したのち、室温にて直流電圧を±1000Vで印加して60秒後にソーダライムガラスを垂直上方に引き上げ応力をかけて、静電チャックから離脱した時点での吸着力を評価した結果、200gf/cmの値を得た。
(実施例3)
上述のエアロゾルデポジション法に準じる方法で作製した金属基板上の誘電層について、誘電体層表面にプローブを設置して、金属基板との間に電圧をかけ、層厚方向の絶縁破壊電圧値を測定した。測定には菊水電子工業株式会社製耐圧試験器TOS5101を用い、低圧から徐々に直流電圧を昇圧しながら印加し、破壊した時点での値を破壊電圧値とした。誘電体層の層厚は18μmであり、7点の絶縁破壊電圧値を層厚で割った値は、267〜447V/μmであり、その平均値は352V/μmであった。
(実施例4)
上述の方法で作製した静電チャックの誘電層の表面粗さを測定した。測定には東京精密株式会社製表面粗さ形容測定機サーフコム130Aを使用し、評価長さ0.4mm、カットオフ値0.08mmにて5回測定を行った。その結果、算術平均粗さRaが、0.008〜0.012μm、最大高さ粗さRzが、0.083〜0.092μmであった。
本発明による静電チャックは、フラットパネルディスプレイ用製造装置、MEMS製造装置、半導体製造装置などに利用でき、ガラス基板、石英ガラス基板、半導体基板、その他ダミーウェハなどのセラミック基板の吸着、搬送に用いられる。
本発明に係る静電チャックの上面図(電極配置図)及び断面図 本発明に係る静電チャックの断面図 エアロゾルデポジション装置の一例を示した図
符号の説明
1…静電チャック
11…基材
12…電極
13…誘電体層
2…静電チャック
21…基材
22…電極
23…誘電体層
24…誘電体層
25…通気孔
26…ヒータ
30…エアロゾルデポジション装置
301…窒素ガスボンベ
302…ガス搬送管
303…エアロゾル発生器
304…エアロゾル搬送管
305…構造物形成室
306…ノズル
307…XYステージ
308…基材
309…真空ポンプ

Claims (8)

  1. 絶縁性の基板を、通電時に形成される不均一電界に起因するグラジエント力によって吸着する静電チャックであって、この静電チャックは絶縁性の表面を持つ支持プレートの表面に2極以上の電極が配置され、前記支持プレートと前記電極を覆うように誘電体層が形成された構成であり、前記電極の幅は300μmより小さく、前記誘電体層の厚みは10μmを超え、50μmより小さく、前記誘電体層は、平均粒径が0.1μm以上1μm未満の脆性材料の製膜粒子と、平均粒径が1μm以上10μm未満の製膜補助粒子の混合物である微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを前記基材表面に噴射して衝突させて、形成させた多結晶構造物であることを特徴とする静電チャック。
  2. 前記誘電体層の体積抵抗率が室温、大気中にて、1014Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック。
  3. 前記電極同士の間隔が10μmを超え、200μmより小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック。
  4. 前記製膜粒子が酸化イットリウム微粒子であり、前記誘電体層の主成分が酸化イットリウムであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の静電チャック。
  5. 前記支持プレートが絶縁体であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の静電チャック。
  6. 前記支持プレートが酸化アルミニウム焼成体であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の静電チャック。
  7. 前記誘電体層において、前記基板を吸着させる吸着面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.02μmで未満とすることを特徴とする請求項1乃至6に記載の静電チャック。
  8. 前記誘電体層において、前記基板を吸着させる吸着面の表面粗さが、最大高さ粗さRzで0.1μm未満とすることを特徴とする請求項1乃至6に記載の静電チャック。


JP2005298221A 2005-10-12 2005-10-12 静電チャック Pending JP2007109827A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005298221A JP2007109827A (ja) 2005-10-12 2005-10-12 静電チャック

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005298221A JP2007109827A (ja) 2005-10-12 2005-10-12 静電チャック

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007109827A true JP2007109827A (ja) 2007-04-26

Family

ID=38035463

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005298221A Pending JP2007109827A (ja) 2005-10-12 2005-10-12 静電チャック

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007109827A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007131943A (ja) * 2005-10-12 2007-05-31 Toto Ltd 複合構造物
WO2010028023A1 (en) * 2008-09-04 2010-03-11 Momentive Performance Materials Inc. Wafer processing apparatus having a tunable electrical resistivity
KR101219054B1 (ko) 2009-05-27 2013-01-18 도쿄엘렉트론가부시키가이샤 정전 흡착 전극 및 그 제조 방법, 그리고 기판 처리 장치
JP2013523074A (ja) * 2010-03-19 2013-06-13 エスアールアイ インターナショナル 静電付着及び静電積層のための材料
JP2020004751A (ja) * 2018-06-25 2020-01-09 日本特殊陶業株式会社 静電チャック、および、静電チャックの製造方法
US10889900B2 (en) 2016-03-01 2021-01-12 Nippon Steel Corporation Ceramic laminate
CN113748500A (zh) * 2019-06-28 2021-12-03 日本碍子株式会社 静电卡盘

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001003180A (ja) * 1999-04-23 2001-01-09 Agency Of Ind Science & Technol 脆性材料超微粒子成形体の低温成形法
JP2005223185A (ja) * 2004-02-06 2005-08-18 Toto Ltd 静電チャックとその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001003180A (ja) * 1999-04-23 2001-01-09 Agency Of Ind Science & Technol 脆性材料超微粒子成形体の低温成形法
JP2005223185A (ja) * 2004-02-06 2005-08-18 Toto Ltd 静電チャックとその製造方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007131943A (ja) * 2005-10-12 2007-05-31 Toto Ltd 複合構造物
CN102203931B (zh) * 2008-09-04 2014-08-20 莫门蒂夫性能材料股份有限公司 具有可调电阻率的晶片加工装置
US7929269B2 (en) 2008-09-04 2011-04-19 Momentive Performance Materials Inc. Wafer processing apparatus having a tunable electrical resistivity
CN102203931A (zh) * 2008-09-04 2011-09-28 莫门蒂夫性能材料股份有限公司 具有可调电阻率的晶片加工装置
WO2010028023A1 (en) * 2008-09-04 2010-03-11 Momentive Performance Materials Inc. Wafer processing apparatus having a tunable electrical resistivity
KR101219054B1 (ko) 2009-05-27 2013-01-18 도쿄엘렉트론가부시키가이샤 정전 흡착 전극 및 그 제조 방법, 그리고 기판 처리 장치
JP2013523074A (ja) * 2010-03-19 2013-06-13 エスアールアイ インターナショナル 静電付着及び静電積層のための材料
US9401668B2 (en) 2010-03-19 2016-07-26 Sri International Materials for electroadhesion and electrolaminates
US10889900B2 (en) 2016-03-01 2021-01-12 Nippon Steel Corporation Ceramic laminate
JP2020004751A (ja) * 2018-06-25 2020-01-09 日本特殊陶業株式会社 静電チャック、および、静電チャックの製造方法
JP7122174B2 (ja) 2018-06-25 2022-08-19 日本特殊陶業株式会社 静電チャック、および、静電チャックの製造方法
CN113748500A (zh) * 2019-06-28 2021-12-03 日本碍子株式会社 静电卡盘
US11951583B2 (en) 2019-06-28 2024-04-09 Ngk Insulators, Ltd. Electrostatic chuck with high insulation performance and electrostatic attraction force

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4855177B2 (ja) 静電チャック装置
TWI518841B (zh) Electrostatic sucker
JP5094863B2 (ja) 基板吸着装置及びその製造方法
US8284538B2 (en) Electrostatic chuck device
TWI540672B (zh) 靜電吸持裝置
JP2007109827A (ja) 静電チャック
US20080037195A1 (en) Electrostatic chuck
JP4943086B2 (ja) 静電チャック装置及びプラズマ処理装置
WO2000072376A1 (fr) Mandrin electrostatique et dispositif de traitement
TW200405443A (en) Electrostatic absorbing apparatus
JP2008160097A (ja) 静電チャック、静電チャックの製造方法および基板処理装置
JP2005223185A (ja) 静電チャックとその製造方法
TW202308099A (zh) 靜電卡盤、基板固定裝置
US20080062610A1 (en) Electrostatic chuck device
JP4943085B2 (ja) 静電チャック装置及びプラズマ処理装置
JP2006066857A (ja) 双極型静電チャック
JP4241571B2 (ja) 双極型静電チャックの製造方法
JP2008042137A (ja) 静電チャック装置
JP2022095187A (ja) 静電チャック、基板固定装置
JP5279455B2 (ja) 静電チャック
JP2006049852A (ja) 静電チャック
JP5225023B2 (ja) 試料保持具および搬送装置
JP2002203893A (ja) 静電チャック
JP2002110773A (ja) 静電チャック
JP4676098B2 (ja) 吸着装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100419

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100422

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100817