JP2007106989A - 金属板ラミネート用水系接着剤、およびこれを積層してなる金属板ラミネート用ポリエステルフィルム - Google Patents

金属板ラミネート用水系接着剤、およびこれを積層してなる金属板ラミネート用ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 金属板と熱ラミネート後の初期密着性に優れ、かつ、ポリエステルの融点以上に加熱した場合でも形状を保持できると共に製缶後の缶品位に優れる接着剤であり、延伸フィルムの製造工程内において、延伸、熱固定処理と同時に接着剤の塗布、乾燥、硬化反応を進めることができる水系の接着剤を提供する。
【解決手段】 酸成分として、テレフタル酸を20〜75mol%、2,6−ナフタレンジカルボン酸を20〜75mol%、および3官能以上の芳香族カルボン酸を3〜20mol%含有し、ガラス転移温度が50〜100℃である共重合ポリエステル樹脂(A)100質量部と、前記樹脂と反応する多官能の硬化剤(B)3〜40質量部とを含有することを特徴とする金属板ラミネート用水系接着剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は金属板ラミネート用水系接着剤に関し、特に、この接着剤が積層されたポリエステルフィルムを金属板にラミネートし、絞り成形やしごき成形等に使用される材料として有用なものとすることができる、金属板ラミネート用フィルムに関する。
従来、金属缶の内外面の腐食防止には、熱硬化性樹脂を主成分とする溶剤型の塗料が塗布されていた。しかし、溶剤型塗料は塗膜を形成するために高温での加熱が必要であり、その時に多量の溶剤が発生するため、作業の安全性および環境の面からも問題があった。そのため、最近は溶剤を用いない腐食防止法として、熱可塑性樹脂による金属の被覆が提案され、熱可塑性樹脂の中でも特にポリエステルは加工性、耐熱性等に優れることから、ポリエステルをベースとした金属ラミネート用フィルムの開発が進められている。
フィルムを金属板に被覆する方法としては、熱可塑性樹脂を溶融させて直接金属板上に押出す方法や、熱可塑性樹脂フィルムを直接、または接着剤を介して熱圧着する方法がある。中でも、熱可塑性樹脂フィルムを用いる方法は、樹脂の取扱いが容易で作業性に優れ、かつ、樹脂膜厚の均一性にも優れるために有効な手法とされている。特に、フィルムを直接熱圧着した場合には接着剤を塗布、乾燥、硬化等の工程が排除でき、省エネルギー化、低コスト化が可能であるが、高腐食性の内容物を充填した場合に耐食性が劣ったり、接着性が低下する場合があった。そのために、フィルムと金属板の間に接着剤を介す方法も併用され、溶剤を使用しない、缶品位や作業性に優れた接着剤の開発が進められている。
このような用途に使用する接着剤としては、ガラス転移温度が−30〜40℃のブロック共重合ポリエステル樹脂とブロックイソシアネートを配合した組成物(特許文献1)や、ガラス転移温度が45〜80℃のポリエステルにエポキシ樹脂とブロックフリーイソシアネートを配合した組成物(特許文献2)が提案されている。特許文献1では、短時間で硬化反応が進行し、耐沸水性が優れるが、接着剤層がタックフリーにならないため、接着剤を塗布後にフィルムをロールで巻き取り保管することができなかった。一方、特許文献2では、ガラス温度を高くすることで巻き取り保管を可能にしながら、エポキシ樹脂を併用することで可撓性を付与して接着性を保持したものであるが、金属板への初期密着性に劣り、しかも、熱ラミネート後に製缶性を付与するためにフィルムの融点以上の温度で熱処理する場合があるが、その場合にフィルムの端部が収縮する問題があった。
また、芳香族ジカルボン酸成分、および、炭素数8以上のジカルボン酸と炭素数4以上のグリコール成分を特定量含有するポリエステルを、多価イソシアネートおよび/またはエポキシ樹脂で変性した組成物(特許文献3)が提案されている。特許文献3では、炭素数8以上のジカルボン酸と炭素数4以上のグリコール成分を特定量含有することで適度な柔軟性と硬さを与え、加工性と耐ブロッキング性が両立可能で、さらにレトルト後の耐白化性を改善したものである。しかし、特許文献3ではフィルムへ塗布する前段階として変性ポリエステルを作成しなければならず、工程が複雑であった。また、金属板への熱ラミネート後に、製缶性を付与するためにフィルムの融点以上の温度で熱処理する場合にフィルムの端部が収縮する問題があった。
さらに、上記いずれの特許文献においても、塗工性のために有機溶剤に溶解させる必要があり、環境面からも劣るものであった。また、延伸フィルムの製造とは別工程で接着剤を塗布する必要があり、コストアップに繋がっていた。
特開平4−266984号公報 特開平8−199147号公報 特開平11−293220号公報
本発明の課題は、金属板と熱ラミネート後の初期密着性に優れ、かつ、ポリエステルの融点以上に加熱した場合でも形状を保持できると共に製缶後の缶品位に優れる接着剤であり、延伸フィルムの製造工程内において、延伸、熱固定処理と同時に接着剤の塗布、乾燥、硬化反応を進めることができる水系の接着剤を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、多官能成分を特定量含有し、かつ、特定構造を有する共重合ポリエステル樹脂を、多官能の硬化剤で変性した組成物は、ポリエステルフィルムと金属板との接着剤として使用した場合に、熱ラミネート後の初期密着性に優れると共にポリエステルの融点以上に加熱した場合でも形状を保持し、かつ、高加工性、耐食性に優れ、水性ポリエステルを使用しながらも硬化反応後には耐レトルト性に優れることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
(1)酸成分として、テレフタル酸を20〜75mol%、2,6−ナフタレンジカルボン酸を20〜75mol%、および3官能以上の芳香族カルボン酸を3〜20mol%含有し、ガラス転移温度が50〜100℃である共重合ポリエステル樹脂(A)100質量部と、前記樹脂と反応する多官能の硬化剤(B)3〜40質量部とを含有することを特徴とする金属板ラミネート用水系接着剤。
(2)3官能以上の芳香族カルボン酸がトリメリット酸またはピロメリット酸であることを特徴とする(1)記載の金属板ラミネート用水系接着剤。
(3)硬化剤(B)が、イソシアネート基もしくはオキサゾリン基を含有するポリマーまたはメラミン樹脂であることを特徴とする(1)または(2)記載の金属板ラミネート用水系接着剤。
(4)ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートを主体とするポリエステル基材フィルムに、(1)〜(3)のいずれかに記載の接着剤が、厚さ(乾燥後)0.01〜1.0μm積層されたことを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
本発明によれば、優れた熱ラミネート性と高温熱処理時の形状保持性、成形性、特に絞り成形やしごき成形等の高加工性を有するとともに、耐食性、耐レトルト性といった缶品位に優れる接着剤および接着剤を積層したポリエステルフィルムを、省エネルギー、低コストで提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における共重合ポリエステル樹脂(A)は、酸成分が、テレフタル酸20〜75mol%、2,6−ナフタレンジカルボン酸20〜75mol%、および3官能以上の芳香族カルボン酸3〜20mol%で構成される必要があり、テレフタル酸20〜65mol%、2,6−ナフタレンジカルボン酸30〜70mol%、および3官能以上の芳香族カルボン酸5〜20mol%で構成されることが好ましい。これら3成分の合計が95mol%以上であることが好ましい。
3官能以上の芳香族カルボン酸としては、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸等が挙げられ、また、これらの無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等も含まれる。これらのカルボン酸の中で、高温熱処理時の形状保持性の点から、トリメリット酸、ピロメリット酸が好ましい。3官能以上の芳香族カルボン酸の添加量は3〜20mol%である必要があるが、官能基数により最適な添加量が異なり、3官能カルボン酸では7〜18mol%、4官能カルボン酸では4〜10mol%が好ましい。いずれも添加量が3mol%未満では架橋度が低く膜特性に劣り、20mol%を超えると重合時にゲル化し、所定の分子量に上げることが困難なばかりか、再現性良く重合できないことがある。
上記3成分以外の酸成分を共重合することも可能であるが、炭素数8以上の脂肪族ジカルボン酸を添加すると耐熱性が低下するため、共重合する酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸などが好ましく挙げられる。
共重合ポリエステル樹脂(A)を構成するアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等が挙げられ、これらの中から1種、または2種以上を組み合わせて使用することができる。特に、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなど、炭素数が5以下のグリコールを使用すると、高温処理時の凝集力の低下が小さく好ましい。また、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセロール、ペンタエリスリトールといった多価アルコールを添加することも出来る。
本発明における共重合ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は50〜100℃であることが必要であり、60〜90℃であることが好ましい。ガラス転移温度が50℃未満であると、高温熱処理時の形状保持性に劣り、また、レトルト処理等の熱処理により密着性が低下する場合がある。一方、ガラス転移温度が100℃を超える場合には、熱ラミネート時の初期密着性に劣り、また延伸工程前に塗布する場合にフィルムのヘイズが劣る場合がある。
本発明における共重合ポリエステル樹脂(A)の反応性末端基はポリエステルの重合性や水性化後のエマルションの安定性の面からカルボキシル基であることが有利である。その酸価は40〜70mgKOH/gであることが好ましく、45〜65mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が40mgKOH/g未満であると自己乳化型の水性化が困難となり、一方、酸価が70mgKOH/gを超えると樹脂の吸湿性が高く、ブロッキング等が発生し、保存安定性に劣る。
共重合ポリエステル樹脂(A)の反応性末端基であるカルボキシル基は、後述する硬化剤(B)と反応する。硬化剤(B)として、カルボキシル基末端との反応性が低いイソシアネート系ポリマーやメラミン樹脂を使用する場合、共重合ポリエステル樹脂(A)には、それらとの反応性が高い水酸基末端を導入して、カルボキシル基末端と水酸基末端の共存させることが好ましい。その水酸基価は2〜30mgKOH/gであることが好ましく、5〜25mgKOH/gであることがより好ましい。反応性の末端基としてカルボキシル基末端と水酸基末端が共存する場合には、前段落に記載の酸価範囲に限らず、水酸基価と酸価の合計として40〜70mgKOH/gであることが好ましく、45〜65mgKOH/gであることがより好ましい。前述のように、末端基の種類と量は、硬化剤との反応性によって適宜選定すればよい。
共重合ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度、酸価、水酸基価をそれぞれ上記範囲に設定する方法としては、樹脂の構成成分であるテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3官能以上の芳香族カルボン酸、および(多価)アルコール成分の共重合割合を制御する方法が挙げられる。
本発明における共重合ポリエステル樹脂(A)の極限粘度は、0.18〜0.35dl/gであることが好ましく、0.20〜0.30dl/gであることがより好ましい。0.18dl/g未満では、硬化後でも凝集力が不足し、密着性や加工性に劣ったり、耐レトルト性も低下する場合がある。0.35dl/gを超えると水性化が困難となり、水性化した液の安定性にも劣る。
共重合ポリエステル樹脂(A)の重合方法は特に限定されることはなく、例えば、エステル交換法、直接エステル化法等などの溶融重合法の公知の製造方法によって製造することができる。エステル交換触媒としては、Mg、Mn、Zn、Ca、Li、Tiの酸化物、酢酸塩等が挙げられる。また、重縮合触媒としては、Sb、Ti、Ge酸化物、酢酸塩等の化合物が挙げられる。
直接エステル化法での製造方法をさらに詳しく説明すると、本発明の共重合ポリエステル樹脂(A)の原料である酸成分、アルコール成分、および触媒を一括、もしくは3官能以上の芳香族カルボン酸を時間差で反応器に仕込み、系内の空気を排出し、窒素置換する。その後エステル化温度(200〜240℃)になるまで昇温し、攪拌しながら2〜8時間反応を行う。エステル交換反応終了後、重縮合温度(220〜280℃)まで昇温し、さらに系内を減圧にし高真空下で反応を行う。反応時間は製造する樹脂によって異なるが、通常2〜10時間である。重縮合反応後、系内に窒素を封入し減圧を解除し、樹脂を払いだすことにより共重合ポリエステル樹脂(A)が得られる。
本発明において共重合ポリエステル樹脂(A)の分子量を制御する方法としては、重縮合時のポリエステル溶融物を所定の粘度で重合を終了する方法や、一旦分子量の高いポリエステルを製造した後、解重合剤を添加する方法、さらに単官能カルボン酸や単官能アルコールを予め添加する方法などが挙げられる。本発明では、上記のいかなる方法によって分子量を制御してもよいが、3官能以上の成分が末端だけではなく、分子の間に配列していることが好ましい。
共重合ポリエステル樹脂(A)の重合においては必要に応じ添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を添加することができる。酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等を、熱安定剤としては、例えばリン系化合物等を、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系の化合物等を挙げることができる。
本発明の水系接着剤は、共重合ポリエステル樹脂(A)を、水中に溶解または微分散(乳化)させた形態(水性化)で用いる必要がある。乳化の方法としては、特に限定されないが、界面活性剤を添加する強制乳化法であってもよいが、ポリエステル中に親水基を有する自己乳化法、特にポリエステル中にカルボン酸やスルホン酸等のアニオン性基を有する自己乳化法が好ましい。水への溶解性が高いポリエステルの場合は水と混合し、必要に応じて加熱、加圧中に攪拌する方法や、水への溶解性が低いポリエステルの場合には水に少量の良溶媒を混合し、加熱、加圧中に攪拌後、最後に良溶媒を除去する方法が挙げられる。ポリエステルの良溶媒としては特に限定されないが、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン等が一般的であり、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン等を併用してもよい。
本発明において硬化剤(B)としては、共重合ポリエステル樹脂(A)と反応する多官能のものであれば特に限定されることはなく、例えば、イソシアネート基、オキサゾリン基、エポキシ基、カルボジイミド基を有する化合物や、メラミン樹脂、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらは必ずしも1種で用いる必要はなく、必要に応じて2種以上を混合して用いることが出来る。
硬化剤(B)の添加量は、共重合ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、3〜40質量部であることが必要であるが、その最適添加量は反応基の種類や濃度により異なる。添加量が3質量部未満では架橋反応が不十分で、金属との密着性に劣り、高温熱処理時の形状保持性やレトルト処理耐性も低く、膜性能に劣る。一方、40質量部を超える場合には、未反応成分が内容物に溶け出し、フレーバー性に劣る場合がある。さらに、アミン系の硬化剤が未反応で残ると耐レトルト性に劣る。
本発明の水系接着剤は、水性化した共重合ポリエステル樹脂(A)と硬化剤(B)を特定量混合したものであるが、塗装性や生産性の面から、固形分濃度は3〜30%が好ましい。また、水性液に少量の有機溶剤が含まれていてもよい。
本発明の水系接着剤は、水系である故に液の表面張力が高く塗工性が低い場合があり、必要に応じて界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤としては、例えばノニオン系、アニオン系、カチオン系のものが使用できるが、エーテル型、エステル型、エーテル・エステル型のノニオン系のものが安定性や食品安全性の面からも好ましい。界面活性剤の添加量は、水性化した共重合ポリエステル樹脂(A)や硬化剤(B)の種類や固形分濃度によっても異なるが、0.01〜1%の範囲が好ましい。過剰に添加した場合には乾燥後の塗膜性能を低下させ、また、内容物に溶出しフレーバー性を低下させる場合がある。
本発明の水系接着剤は、ロールコーティング法、グラビアロール法、ナイフコーティング法等の通常の塗装方法でポリエステル基材フィルムに塗布される。本発明の水系接着剤は、延伸後の基材フィルムに塗布することはもちろん可能であるが、基材フィルムの製造工程内において塗布することも可能であり、後者の方法では、延伸、熱固定処理と同時に乾燥、硬化反応を進めることができる。延伸方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれでも可能で、同時二軸延伸では延伸前、逐次二軸延伸では縦延伸後に塗布することが好ましく、必要に応じて塗布後延伸前に予備乾燥の工程を設けることが好ましい。
塗布後に水系接着剤を乾燥する温度は、150〜200℃が好ましく、乾燥時間は、1〜10秒が好ましい。
本発明の金属ラミネート用ポリエステルフィルムは、ポリエステル基材フィルムに上記水系接着剤を積層したものである。乾燥後の接着剤の厚みは0.01〜1.0μmが好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましい。厚みが0.01μm未満であるとレトルト後の密着性や耐食性に劣り、1.0μmを超えると乾燥、硬化に必要な熱量が増加して塗工生産性に劣るとともに、得られた膜の高温熱処理時の形状保持性にも劣る。
基材フィルムを構成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)および/もしくはポリブチレンテレフタレート(PBT)主体であることが好ましい。また、基材フィルムとしては、厚み精度や寸法安定性の面から二軸延伸フィルムが好ましい。
本発明において、基材フィルムを構成するPET主体のポリエステルとしては、PET、およびPETに他の成分を共重合したものを挙げることができ、融点は230〜256℃であることが好ましく、236〜256℃であることがより好ましく、246〜256℃であることがさらに好ましい。融点が230℃未満であると、結晶性が低下し、レトルト処理後に白化や白斑が発生したり、レトルト処理後の耐衝撃性が低下したりする。特に、PET主体のポリエステルの融点が246℃以上であると、耐熱性、レトルト処理後の耐衝撃性および長期保存後の耐衝撃性が向上する。また、缶加工時の治具との融着トラブルや、缶胴部の加工途中における破断トラブルの低減に効果がある。
PETに共重合する成分としては、特に限定されないが、酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。
また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等が挙げられる。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3官能化合物等を少量用いてもよい。これらの共重合成分は2種以上併用してもよい。
一方、基材フィルムを構成するPBT主体のポリエステルとしては、PBT、およびこれに他の成分を共重合したものであるが、融点は200〜223℃であることが好ましく、融点が200℃未満であるとポリエステルとしての結晶性が低く、結果としてフィルムの耐熱性が低下する。
共重合PBTを用いる場合には、融点が上記範囲内となるように共重合の割合や共重合する成分の構造を選択すればよいが、全アルコール成分に対し、1,4−ブタンジオールは80モル%以上が好ましく、特に90モル%以上が好ましい。1,4−ブタンジオールが80モル%未満であると、結晶性、特に結晶化速度が低下し、レトルト処理後の耐衝撃性やバリアー特性が低下する。
PBTに共重合することができる成分としては特に限定されず、上記のPETに共重合する成分と同様の成分を例示することができる。
本発明において基材フィルムは、上記PET主体ポリエステルとPBT主体ポリエステルとを混合して用いることもできる。特に、200〜256℃の間に2つ以上の融点を有する基材フィルムが好ましい。
本発明において基材フィルムの極限粘度は、0.7〜1.2の範囲が好ましい。極限粘度が上記範囲未満では缶の高次加工時に破断し、生産性を極端に悪化させる。特に缶の容量が大きくなり、そのためにラミネート金属板から缶に絞りしごき加工してゆく過程でフィルムの変形加工度が大きくなるため、それに追随できず、フィルム層にボイドが発生したりクラックが発生したりして、外部からのわずかな衝撃によってすらフィルム層の剥離やクラックの成長が助長され、缶の内面に用いられた場合には、内容物と缶の金属とが直接接触する結果、保味保香性が低下したり、フレーバー性に問題が生じたりする。また缶の外面においては、ボイドによりフィルムが白化した部分では、印刷外観が悪くなる。また、ボイドやクラックによって、長期保存時に缶が腐食してくる問題を生じる恐れがでる。
一方、極限粘度が上記範囲を超える場合にはフィルムの生産工程において樹脂の溶融押出機にかかる負荷が大きくなり、生産速度を犠牲にせざるを得なかったり、押出機中の樹脂の溶融滞留時間が長くなりすぎてポリエステル樹脂間の反応が進みすぎたりして、フィルムの特性の劣化を招き、結果的にラミネートフィルムの金属板の物性低下をもたらす。また、あまりに極限粘度の高いものは、重合時間や重合プロセスが長く、コストを押し上げる要因ともなる。
基材フィルムを構成する原料のポリエステルの重合方法は特に限定されず、例えば、エステル交換法、直接重合法等で重合することができる。エステル交換触媒としては、Mg、Mn、Zn、Ca、Li、Tiの酸化物、酢酸塩等が挙げられる。また、重縮合触媒としては、Sb、Ti、Ge酸化物、酢酸塩等の化合物が挙げられる。
重合後のポリエステルは、モノマーやオリゴマー、副生成物のアセトアルデヒドやテトラヒドロフラン等を含有しているため、減圧もしくは不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合することが好ましい。
ポリエステルの重合においては必要に応じ添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を添加することができる。酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等を、熱安定剤としては、例えばリン系化合物等を、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系の化合物等を挙げることができる。また、異なるポリエステル間の反応抑制剤として、従来より知られているリン系化合物を重合前、重合中、重合後に添加することが好ましい。特に、固相重合前の溶融重合終了時に添加することがさらに好ましい。
次に、基材フィルムの製造の一例を示す。ポリエステルをTダイを備えた押出機に供給し、250〜280℃の温度で3〜15分間溶融混合後にシート状に押出し、この押出されたシートを室温以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて冷却し、得られた未延伸シートを必要に応じて縦方向(MD)に1〜1.2倍程度の予備延伸し、その後にテンターにより50〜150℃の温度でMD及び横方向(TD)にそれぞれ2〜4倍程度の延伸倍率となるように二軸延伸し、さらに、TDの弛緩率を数%として、80〜220℃で数秒間熱処理を施すことによって製造することができる。二軸延伸方法としては、逐次または同時二軸延伸法を用いることができ、本発明の水系接着剤は前述の方法で塗布される。
延伸後の熱処理は、フィルムに寸法安定性を付与するために必要な工程であるが、その方法としては、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等の公知の方法を用いることができる。このうち、均一に精度良く加熱できることから熱風を吹き付ける方法が最適である。
フィルム製造時や製缶時の工程通過性をよくするため、シリカ、アルミナ、カオリン等の無機滑剤を少量添加して製膜してフィルム表面にスリップ性を付与することが望ましい。さらに、フィルム外観や印刷性を向上させるため、たとえば、フィルムにシリコーン化合物等を含有させることもできる。
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、鋼板、アルミ等の金属板に、直接加熱接着されるが、さらに接着剤を介して積層されてもよい。積層する金属板は、クロム酸処理、リン酸処理、電解クロム酸処理、クロメート処理等の化成処理や、ニッケル、スズ、亜鉛、アルミ、砲金、真鍮、その他の各種メッキ処理などを施した鋼板を用いることができる。
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムと金属板とを積層する方法としては、金属板を予め160〜250℃まで予熱しておき、これとフィルムとを、金属板より30℃、更には50℃以上低く温度制御されたロールによって圧接して熱圧着させた後、室温まで冷却することにより連続的に製造される。金属板の加熱方法としては、ヒーターロール伝熱方式、誘導加熱方式、抵抗加熱方式、熱風伝達方式等があげられ、特に、設備費及び設備の簡素化を考慮した場合、ヒーターロール伝熱方式が好ましい。また、ラミネート後の冷却方法については、水等の冷媒中に浸漬する方法や冷却ロールと接触させる方法を用いることができる。
以上のようにして得られたラミネート金属板は、そのまま加工処理を施してもよいが、基材フィルムのポリエステルの融点より10〜30℃高い温度で熱処理後急冷して、アモルファスの状態にすることにより、さらに高い加工性を付与することができる。特に、本発明の接着剤は、基材フィルムをアモルファス状態にする際に、基材フィルムを収縮させることなく、形状を保持できるだけの、高温での凝集力を有する。
上記ラミネート金属板が成形されてなる金属缶体としては、飲食料を充填して使用に供することができ得る形態にまで加工処理が施された金属缶体及びその一部分、例えば巻き締め加工が可能な形状に成形された缶蓋も含まれる。特に、厳しいネックイン加工が施される3ピース缶(3P缶)の缶胴部材や、絞りしごき加工によって製造される2ピース缶(2P缶)の缶胴部材として用いる場合に、本発明のフィルムの優れた加工性が発揮される。本発明のフィルムを用いた金属缶体は、その優れた耐レトルト性、耐食性から、コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、特に腐食性の高い酸性飲料(果汁飲料)や乳性飲料といった各種加工食品等の内容物を充填する場合に適している。
次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。実施例及び比較例における原料の製造方法、および特性値の評価法は、次の通りである。
(1)共重合ポリエステル樹脂(A)の製造
(A―1):
反応器にジメチルテレフタル酸40質量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル165質量部、エチレングリコール40質量部、1,4−ブタンジオール20質量部、ネオペンチルグリコール30質量部、酢酸マグネシウム0.12質量部、テトラ−n−ブチルチタネート0.10質量部を加え、常圧、窒素雰囲気中で攪拌しながら200℃に昇温し、その後4時間かけて260℃にまで徐々に昇温しエステル交換反応を行った。その後、250℃に降温し、無水トリメリット酸24質量部を添加後減圧し、0.65hPaの条件下で30分間重縮合反応を行い、極限粘度0.21、酸価57mgKOH/g、ガラス転移温度90℃の共重合ポリエステル樹脂(A−1)を得た。
(A−2):
反応器にジメチルテレフタル酸40質量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル165質量部、エチレングリコール40質量部、1,4−ブタンジオール20質量部、ネオペンチルグリコール30質量部、酢酸マグネシウム0.12質量部、テトラ−n−ブチルチタネート0.10質量部を加え、常圧、窒素雰囲気中で攪拌しながら200℃に昇温し、その後4時間かけて260℃にまで徐々に昇温しエステル交換反応を行った。その後、250℃に降温し、無水トリメリット酸20質量部を添加後減圧し、0.65hPaの条件下で30分間重縮合反応を行い、さらにトリメチロールプロパン10質量部を添加後減圧し、0.65hPaの条件下で30分間重縮合反応を行い、極限粘度0.24、酸価36mgKOH/g、水酸基価18mgKOH/g、ガラス転移温度88℃の共重合ポリエステル樹脂(A−2)を得た。
(A−3)〜(A−10):
表1に示した組成になるように、(A−1)と同様の方法で製造した。
(2)硬化剤(B)
(B−1):オキサゾリン基含有水溶性ポリマー(日本触媒社製 エポクロスWS700、固形分25%)
(B−2):ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製 アクアネート100)
(B−3):メラミン樹脂(旭電化社製 アデカレジンEM0104 固形分70%)
(3)共重合ポリエステル樹脂(A)の評価法
A.組成分析
日本電子社製プロトンNMR、JOEL LAMDBA300WBを用いて行った。分岐構造でピークが分離しなかったため、水酸化ナトリウムで加水分解後に測定を行った。B.極限粘度IV(dl/g)
フェノール/四塩化エタンの等質量混合溶媒を用いて、温度20℃、濃度0.5g/dlで測定した溶液粘度から求めた。
C.酸価(mgKOH/g)
ベンジルアルコール/クロロホルムの等質量混合溶媒を用いて、濃度0.1g/dl溶液を、0.1NのKOHベンジルアルコール溶液で滴定して求めた。指示薬は0.1%フェノールレッド・エタノール溶液を用いた。
D.水酸基価(mgKOH/g)
試料3gを精秤し、無水酢酸/ピリジンの1/99vol%溶液55mlを加え、45分間加熱還流攪拌し、続いて蒸留水5mlを加え5分間加熱還流し、さらにベンジルアルコール/クロロホルムの等質量混合溶媒50mlを加え5分間加熱還流攪拌した。冷却後、0.1NのKOHベンジルアルコール溶液で滴定して求めた。その際、上記Cで測定された値の0.88相当の酸価が同時に測定されるため経験的補正を行った。指示薬は0.1%フェノールレッド・エタノール溶液を用いた。
E.ガラス転移温度Tg(℃)
Perkin Elmer社製DSC7を用い、20℃/minで測定した。
(4)接着剤積層フィルムの評価法
F.初期密着性
テスター産業社製ラミネーターを用い、220℃に加熱した金属ロールと、80℃に加熱したゴムロールとの間に、試料フィルムと厚み0.30mmのアルミ板とを重ね合わせて供給し、速度1m/min、圧力2.5kgf/cmで加熱接着してラミネート金属板を得た。評価用には、接着剤を塗布後室温で3日以内のフィルムを用いた。得られた積層体から、幅18mmの短冊状の試験片(端部はラミネートせず、ラミネートされた部分がMDに8cm以上確保されるようにする)をTDに11枚切り出した。次に、この試験片のフィルム面に、JIS Z−1522に規定された粘着テープを貼り付け、島津製作所社製オートグラフで、10mm/minの速度で180度剥離試験を行い、その剥離強力を測定することにより、次の基準にしたがって密着性を評価した。
◎:10枚以上の試験片の剥離強力が2.9N以上であるか、又は2.9N以上でフィルムが破断。
○:5〜9枚の試験片の剥離強力が2.9N以上であるか、又は2.9N以上でフィルムが破断。
△:剥離強力が2.9N未満の試験片が7枚以上。
G.高温熱処理時の形状保持性
上記Fで得られたラミネート金属板に、フィルム面から金属板に到達する程度に、カッターで長さ30mm程度の十字の切り込みを入れた。その後、熱風乾燥機中280℃で1分熱処理後、2秒以内に30℃以下の水浴中で急冷し、フィルムが非晶質のラミネート金属板を得た。高温熱処理時の形状保持性を、切り込みの交差部のフィルムの開き具合により、次の基準にしたがって評価した。
◎:開きなし
○:交差部の開きが1mm以下
△:交差部の開きが1mmを超え5mm以下
×:交差部の開きが5mmを超える
H.耐レトルト性
上記Fで得られたラミネート金属板を熱風乾燥機中280℃で1分熱処理後、2秒以内に30℃以下の水浴中で急冷した後、フィルム面から金属板に到達する程度に、カッターで1mm間隔に100コの碁盤目切込みを入れた。次に、125℃で30分レトルト処理を行った後JIS K5400に準拠してサンプルの碁盤目テープ剥離試験を行った。粘着テープ(ニチバン社製CT24)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後剥離を3回繰り返した。判定は100マスの内、剥離したマス目の数により、次の基準にしたがって耐レトルト性を評価した。
○:剥離なし
△:剥離1〜5個
×:剥離6個以上
I.耐食性
上記Fで得られたラミネート金属板を熱風乾燥機中280℃で1分熱処理後、2秒以内に30℃以下の水浴中で急冷した後、フィルム面から金属板に到達する程度に、カッターで1mm間隔に100コの碁盤目切込みを入れた。次に、オレンジジュース(コカコーラ社製Qooオレンジ)中に浸漬し、55℃で4週間保存後に、上記Gと同様の碁盤目テープ剥離試験を行った。
実施例1
(水系接着剤の製造)
共重合ポリエステル樹脂(A−1)25質量部、水75質量部、イソプロピルアルコール5質量部、25%アンモニア1.2質量部を溶解槽に加え、80〜95℃で2時間攪拌して溶解させ、その後イソプロピルアルコール濃度が1質量%以下になるまで除去し、固形分25質量%の共重合ポリエステル樹脂水溶液を得た。その水溶液を固形分濃度が15質量%になるように水で希釈し、界面活性剤としてアセチレングリコールを0.05質量%添加後10分間攪拌して溶解させ、その後、共重合ポリエステル樹脂(A−1)100質量部に対して硬化剤(B−1)40質量部(固形分では10質量部)を添加し、固形分15.6質量%の水系接着剤を得た。
(接着剤積層フィルムの製造)
イソフタル酸4mol%共重合PET(極限粘度0.73dl/g、Tm240℃)をTダイを備えた押出機を用いて、280℃で溶融押出した。この時、280℃での滞留時間は8分であった。続いて、これを表面温度25℃の冷却ドラムに密着させて冷却し、厚さ200μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートの冷却ロール側に、100メッシュのグラビアロールで6g/mとなるように水系接着剤を塗布後50℃の熱風乾燥炉で20秒通過後、連続的にシートの端部をテンター式同時二軸延伸機のクリップに把持し、90℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度85℃でMD方向に3.0倍、TD方向に3.3倍で同時二軸延伸した。その後、TDの弛緩率を5%として、温度190℃で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却して巻き取り、接着剤が厚さ0.1μm積層された厚さ20μmの金属板ラミネート用ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示した。なお、ポリエステル基材フィルムの極限粘度は0.72dl/gであった。
実施例2〜8、比較例1〜5
(水系接着剤の製造)
実施例2〜8、比較例1〜5についても実施例1と同様の方法で水系接着剤を製造したが、硬化剤(B−2)は、添加する直前に固形分15質量%の水溶液を作成して使用し、(B−3)については固形分70%のままで添加した後、ホモミキサーで10分攪拌した。
(接着剤積層フィルムの製造)
比較例1、5については、実施例1と同様の方法で接着剤積層フィルムを製造した。
実施例2〜8、比較例2〜4については、下記の方法で接着剤積層フィルムを製造した。
極限粘度0.75dl/gのPET50質量部と、極限粘度1.1dl/gのPBT50質量部をドライブレンドし、これをTダイを備えた押出機を用いて、275℃で溶融押出した。この時、275℃での滞留時間は8分であった。続いて、これを表面温度18℃の冷却ドラムに密着させて冷却し、厚さ200μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートの冷却ロール側に、100メッシュのグラビアロールで6g/mとなるように水系接着剤を塗布後50℃の熱風乾燥炉で20秒通過後、連続的にシートの端部をテンター式同時二軸延伸機のクリップに把持し、60℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度80℃でMD方向に3.0倍、TD方向に3.3倍で同時二軸延伸した。その後、TDの弛緩率を5%として、温度180℃で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却して巻き取り、接着剤が厚さ0.1μm積層された厚さ20μmの金属板ラミネート用ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示した。なお、ポリエステル基材フィルムの極限粘度は0.85dl/gであった。
実施例1〜8で得られたフィルムは、初期密着性、高温熱処理時の形状保持性、耐レトルト性、耐食性に優れていた。また、共重合ポリエステルの末端に水酸基を導入した実施例3は、高温熱処理時の形状保持性が特に優れていた。
比較例1〜5で得られたフィルムは、上記の全ての性能を満足するものは得られなかった。比較例1では、共重合ポリエステル樹脂中の2,6−ナフタレンジカルボン酸(2,6−NDCA)量が多く、ガラス転移温度が高すぎるため、初期密着性や高温熱処理時の形状保持性に劣り、また延伸後のフィルム外観もヘイズが高いものであった。比較例2では、共重合ポリエステル樹脂中のテレフタル酸(TPA)量が多くて2,6−NDCA量が少なかったため、耐レトルト性や耐食性に劣った。比較例3では、共重合ポリエステル樹脂中の3官能成分の量が少なかったため、高温熱処理時の形状保持性と耐レトルト性に劣った。比較例4では、共重合ポリエステル樹脂中のガラス転移温度が低かったため、高温熱処理時の形状保持性、耐レトルト性、耐食性の全てに劣った。

Claims (4)

  1. 酸成分として、テレフタル酸を20〜75mol%、2,6−ナフタレンジカルボン酸を20〜75mol%、および3官能以上の芳香族カルボン酸を3〜20mol%含有し、ガラス転移温度が50〜100℃である共重合ポリエステル樹脂(A)100質量部と、前記樹脂と反応する多官能の硬化剤(B)3〜40質量部とを含有することを特徴とする金属板ラミネート用水系接着剤。
  2. 3官能以上の芳香族カルボン酸がトリメリット酸またはピロメリット酸であることを特徴とする請求項1記載の金属板ラミネート用水系接着剤。
  3. 硬化剤(B)が、イソシアネート基もしくはオキサゾリン基を含有するポリマーまたはメラミン樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の金属板ラミネート用水系接着剤。
  4. ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートを主体とするポリエステル基材フィルムに、請求項1〜3記載のいずれかに記載の接着剤が、厚さ(乾燥後)0.01〜1.0μm積層されたことを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。

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