JP2007106218A - 車両の操舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ランフラットタイヤを装着した車両がランフラット走行する際にも、車両の操舵制御装置により、適切に操舵制御する。
【解決手段】車両の操舵制御装置は、車両に装着されたランフラットタイヤの正規空気圧時におけるタイヤ特性に基づいて、ランフラットタイヤのパンク時におけるタイヤ特性を予測する特性予測手段を備える。更に、ランフラットタイヤがパンクした場合に、車両においてランフラットタイヤを操舵する際の操舵特性を、予測されたタイヤ特性に応じて調整する操舵特性調整手段を備える。
【選択図】図1
【解決手段】車両の操舵制御装置は、車両に装着されたランフラットタイヤの正規空気圧時におけるタイヤ特性に基づいて、ランフラットタイヤのパンク時におけるタイヤ特性を予測する特性予測手段を備える。更に、ランフラットタイヤがパンクした場合に、車両においてランフラットタイヤを操舵する際の操舵特性を、予測されたタイヤ特性に応じて調整する操舵特性調整手段を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば車両の操舵制御に関し、特にランフラットタイヤが装着された車両の操舵制御装置に関する。
通常の車両は、車体に備えられた車輪(以下、「タイヤ」とも言う)の空気圧のバランスが前後輪間及び左右輪間でとれているため、更に各車輪は所定の正規空気圧とされているため、操舵性が確保される。ここで例えば、車両に装着された前後左右の車輪のうちいずれかの車輪がパンクし、或いはテンパータイヤに交換されることで、車輪の空気圧のバランスが崩れるとする。すると、操舵力のバランスも崩れて操舵性が損われてしまうという問題が生じる。このような不具合に対処するため、例えばタイヤの空気圧が低下した場合、操舵アシストトルクを補正して直進性を保つ技術が提案されている(特許文献1参照)。また、車輪の空気圧が所定範囲から逸脱した際に、タイヤの空気圧に応じて制動制御量を変更する技術が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、例えば前述の特許文献1及び特許文献2に開示されている技術には、以下のような問題が生じ得る。
即ち、特許文献1及び特許文献2に開示された技術ではいずれも、タイヤの空気圧が変化した場合の制御であり、パンク時の制御についてまでは特に考慮されていない。ところが、実際にはパンクの前後においてタイヤ特性は空気圧低下時と比べて大幅に変化しており、空気圧が低下時と同様の制御では操安性の確保が十分なされない可能性がある。更に、このタイヤ特性の変化は非線形であるため、予測が困難である。またいずれも、タイヤの空気圧が実際に変化した時点での各種センサ測定値に応じた制御を行っているため、例えばパンクにおける急激なタイヤ特性の変化に対応できない可能性がある。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みてなされたものであり、ランフラット走行時においても操安性を確保することが可能な車両の操舵制御装置を提供することを課題とする。
本発明の車両の操舵制御装置は上記課題を解決するために、車両に装着されたランフラットタイヤの正規空気圧時におけるタイヤ特性に基づいて前記ランフラットタイヤのパンク時におけるタイヤ特性を予測する特性予測手段と、前記ランフラットタイヤのうち少なくとも一つがパンクした場合に、前記車両において前記ランフラットタイヤを操舵する際の操舵特性を、前記予測されたタイヤ特性に応じて調整する操舵特性調整手段とを備える。
本発明の車両の操舵制御装置によれば、ランフラットタイヤがパンクするのに先立って、ランフラットタイヤが正規空気圧のうちに、そのタイヤ特性に基づいて、例えばコントローラ等を備えてなる特性予測手段によって、ランフラットタイヤのパンク時における、即ちランフラット走行時におけるタイヤ特性が予測される。ここに、「正規空気圧時」とは、ランフラットタイヤがパンクしておらず、正規の空気圧に保たれている状態をいう。具体的に例えば、空気圧が200KPaである場合等をいうが、この値はタイヤの種類や路面の状況の他諸条件により異なってもよい。また、「タイヤ特性」とは、走行性能や操安性能或いは操舵性能に関連するタイヤの特性一般を意味するが、ここではランフラットタイヤにおける正規空気圧時とパンク時とで大なり小なり変化する特性を意味する。具体的には、コーナリングパワー(Cornering power:Cp)、キャンバスティフネス(Camber stiffness:Cs)、接地荷重及び対地キャンバ等、パンク時タイヤ特性を予測するために最低限必要な特性のみならず、予測の精度を上げるために有用な特性も含まれてよい。
ここで本願発明者の研究によれば、例えばパンク前の正規空気圧時に、コーナリングパワーを測定すると、この測定値を入力として後述する所定の計算式或いは変換テーブルを利用することで、正規空気圧時のコーナリングパワーから、ランフラット走行時におけるコーナリングパワーを予測することが可能であることが判明している。即ち、パンクの前に、パンク時のコーナリングパワーが予測可能である。
その後、車両の走行中や停止中に、ランフラットタイヤのうち少なくとも一つがパンクした場合には、例えばコントローラ等を備えてなる操舵特性調整手段によって、車両においてランフラットタイヤを操舵する際の操舵特性が、特性予測手段によって予測されたタイヤ特性に応じて調整される。ここに、「パンクした場合」とは、例えば、ランフラットタイヤの空気圧測定値が所定の閾値以下となり、且つ空気圧の低下勾配が所定の閾値以上である場合をいう。即ち、パンクにより、ランフラットタイヤの空気圧が急激に低下してしまう場合をいう。言い換えれば、ランフラットタイヤの空気圧測定値が大気圧の近傍まで下がるのみならず、タイヤ特性に変化が観察される程度に下がる場合も含む趣旨である。また、「操舵特性」とは、例えば運転手のハンドル操作量(入力)に対する実際の車両挙動(出力)を変化させることが可能な、操舵に直接的又は間接的に関連する特性を意味する。具体的に例えば、ギヤ比可変ステアリングシステム(Variable Gear Ratio Steering:VGRS)におけるステアリングギヤ比や電動パワーステアリング(Electric Power Steering:EPS)のゲイン、キャンバ角を含んでもよい。
ここで一般にはランフラットタイヤであっても、パンク時に操舵特性に何らの調整を加えなければ、タイヤの中の空気が抜けて空気圧が下がるが故に、タイヤ特性に大なり小なり変化が生じ、例えばハンドルを切っても車が曲がり難くなったり、偏摩耗の原因にもなったりする。或いは、車輪間の空気圧のバランスが急に崩れ、操舵性が大なり小なり損われてしまう可能性もある。
しかるに本発明によれば、上述の如くに、予めパンク前にランフラット時のタイヤ特性が予測されている。従って、現にパンクしてランフラット走行する場合でも、例えば既に予測されているランフラット走行時のコーナリングパワーに基づいて、迅速且つ容易にして、車両の操舵特性を調整することが可能となる。具体的には、例えば、パンクした際、予め予測されていたランフラット走行時のコーナリングパワー及びキャンバスティフネスに基づいて、パンク輪のステアリングギヤ比や操舵ゲイン、キャンバ角やステア制御量等を迅速に調整することが可能となる。従って、突然パンクした場合に於ても、運転手は何ら慌てることなく通常走行時と同様に又は類似に、車両を操舵することができる。例えば前述した特許文献1等における操舵アシストトルクを補正して直進性を保つ技術と比べて、ランフラット走行という想定外の事態に余裕をもって対処することができる。この際また、運転手による特別な操作は必要とされない。
以上のように本発明によれば、ランフラット走行時も、タイヤ特性の変化に応じた適切な操舵制御を行うことで、比較的良好な操舵性を得ることが可能となる。
本発明の操舵制御装置の一態様では、前記操舵特性調整手段は、前記車両の運転手による操作及び前記車両の挙動の少なくとも一方に応じて操舵量を設定する設定手段を有し、当該操舵制御装置は、前記設定された操舵量に基いて前記ランフラットタイヤを操舵する操舵制御手段を更に備え、前記操舵特性調整手段は、前記操舵特性の調整として前記設定手段により、前記設定される操舵量に対して前記予測されたタイヤ特性に応じて変更を加える。
この態様によれば、パンク前及びパンク後を通して、操舵特性調整手段が有する設定手段によって、例えばハンドル操作などの運転手による操作や、例えば現在の速度、現在の操舵角等の車両の挙動に応じて、操舵量が設定される。この操舵量に基いて、例えばパワーステアリング等を含んでなる操舵制御手段によって、ランフラットタイヤが操舵される。ここで特にパンク時には、設定手段により、設定される操舵量に対して、予め特性予測手段によって予測されていたタイヤ特性に応じて変更が加えわれる。従って、ランフラット走行する場合でも、迅速且つ容易に操舵量に対して変更を加えることができ、これにより、操舵制御手段が車両の操舵特性を迅速且つ容易に調整することが可能となる。
上述した設定手段及び操舵制御手段を備えた態様では、前記設定手段は、前記パンクした場合に、前記車両のコーナリングパワーの変化に応じて、前記ランフラットタイヤのパンクによる前記車両の操舵性能への影響を低減するように、前記変更を加えてもよい。
このように構成すれば、パンク時に、設定手段によって、車両のコーナリングパワーの変化に応じて操舵量に対して変更が加えられ、ランフラットタイヤのパンクによる車両の操舵性能への影響が低減される。言い換えれば、設定手段を有する操舵特性調整手段によって、パンク前に予め、正規空気圧時タイヤ特性である正規空気圧時のコーナリングパワーから、パンク時タイヤ特性であるパンク時のコーナリングパワーが予測されているので、ランフラット走行する場合でも、予測されたランフラット走行時のコーナリングパワーに基づいて、操舵制御手段が車両の操舵特性を調整できる。より具体的には、操舵制御手段が、パンク輪のオーバーオールギヤ比や操舵ゲイン等を迅速に調整することが可能となる。この際また、運転手による特別な操作は必要とされない。以上のように本態様によれば、比較的良好な操舵特性を得ることが可能となる。
上述した設定手段及び操舵制御手段を備えた態様では、前記設定手段は、前記パンクした場合に、前記車両のキャンバスティフネスの変化に応じて、前記ランフラットタイヤのパンクによる前記車両の操舵性能への影響を低減するように、前記変更を加えてもよい。
このように構成すれば、パンク時に、設定手段によって、車両のキャンバスティフネスの変化に応じて操舵量に対して変更が加えられ、ランフラットタイヤのパンクによる車両の操舵性能への影響が低減される。よって、コーナリングパワーのみに基づいて行う調整より、精度の高い調整を行うことが可能となる。例えば、パンク時のコーナリングパワーとキャンバスティフネスとの両者を予測し、この予測値に基づきパンク時のキャンバ制御量を予め精度よく予想することが可能となる。以上のように本態様によれば、比較的良好な操舵特性を得ることが可能となる。
本発明の操舵制御装置の他の態様では、前記車両の運転手による操作及び前記車両の挙動の少なくとも一方に応じて設定された操舵量に基いて、前記ランフラットタイヤを操舵すると共に、前記車両に係る操舵角に対する前記ランフラットタイヤの切れ角を変更可能である操舵制御手段を更に備え、前記操舵特性調整手段は、前記パンクした場合に、前記車両のコーナリングパワー及びキャンバスティフネスの少なくとも一方の変化に応じて、前記操舵角に対する前記切れ角を変更するように前記操舵制御手段を制御する。
この態様によれば、パンク前及びパンク後を通して、運転手による操作や車両の挙動に応じて設定された操舵量に基いて、例えばパワーステアリング、ギヤ比可変ステアリングシステム等を含んでなる操舵制御手段によって、ランフラットタイヤが操舵される。ここで特に、操舵制御手段は、車両に係る操舵角に対するランフラットタイヤの切れ角を変更可能である。即ち、ここでの操舵特性は、ステアリングギヤ比(ハンドルの操作量に対するタイヤの切れ角の割合)である。その後、パンク時には、操舵特性調整手段による制御下で、操舵制御手段における操舵角に対する切れ角が、車両のコーナリングパワー及びキャンバスティフネスの少なくとも一方の変化に応じて変更される。例えば、実際にランフラットタイヤがパンクした場合、操舵特性調整手段は、パンクした側のステアリングギヤ比が相対的に大きくなるように、可変ステアリングギアレシオ(Variable Gear Ratio Steering:VGRS)を調整する。即ち、パンク輪の空気圧が低下してハンドルが重くなる分と相殺されるように、ステアリングギヤ比が増大される。従って、例えば可変ステアリングギアレシオのようなハンドルの操作量とタイヤの切れ角の関係を柔軟に変化させる機構を備えた操舵制御手段において、良好な操舵特性を得ることが可能となる。
本発明の操舵制御装置の他の態様では、前記車両の運転手による操作及び前記車両の挙動の少なくとも一方に応じて設定された操舵量に基いて、前記ランフラットタイヤを操舵すると共に、前記ランフラットタイヤを操舵するためのパワーステアリングに係るゲインを変更可能である操舵制御手段を更に備え、前記操舵特性調整手段は、前記パンクした場合に、前記車両のコーナリングパワー及びキャンバスティフネスの少なくとも一方の変化に応じて、前記ゲインを変更するように前記操舵制御手段を制御する。
この態様によれば、パンク前及びパンク後を通して、運転手による操作や車両の挙動に応じて設定された操舵量に基いて、例えばパワーステアリング等を含んでなる操舵制御手段によって、ランフラットタイヤが操舵される。ここで特に、操舵制御手段は、ランフラットタイヤを操舵するためのパワーステアリングに係るゲインを変更可能である。その後、パンク時には、操舵特性調整手段による制御下で、操舵制御手段におけるパワーステアリングに係るゲインが、車両のコーナリングパワー及びキャンバスティフネスの少なくとも一方の変化に応じて変更される。例えば、実際にランフラットタイヤがパンクした場合、操舵特性調整手段は、パンクした側の操舵ゲインが相対的に大きくなるように、電動パワーステアリングを調整する。即ち、パンク輪の空気圧が低下してハンドルが重くなる分と相殺されるように、操舵ゲインが増大されることとなる。以上のようにパワーステアリング等を含んでなる操舵制御手段において、良好な操舵特性を得ることが可能となる。
本発明の操舵制御装置の他の態様では、前記車両の運転手による操作及び前記車両の挙動の少なくとも一方に応じて設定された操舵量に基いて、前記ランフラットタイヤを操舵すると共に、前記ランフラットタイヤに係るキャンバ角を変更可能であるキャンバ角変更手段を含む操舵制御手段を更に備え、前記操舵特性調整手段は、前記パンクした場合に、前記車両のキャンバスティフネスの変化に応じて、前記キャンバ角を変更するように前記キャンバ角変更手段を制御する。
この態様によれば、パンク前及びパンク後を通して、運転手による操作や車両の挙動に応じて設定された操舵量に基いて、例えばパワーステアリング、ギヤ比可変ステアリングシステム等を含んでなる操舵制御手段によって、ランフラットタイヤが操舵される。ここで特に、操舵制御手段は、ランフラットタイヤに係るキャンバ角を変更可能である、例えばキャンバ角可変機構等のキャンバ角変更手段を含む。その後、パンク時には、操舵特性調整手段による制御下で、キャンバ角変更手段におけるキャンバ角が、車両のコーナリングパワー及びキャンバスティフネスの少なくとも一方の変化に応じて変更される。例えば、実際にランフラットタイヤがパンクした場合、操舵特性調整手段は、算出されたキャンバ制御量に基づいて、既知のキャンバ角制御機構を調整する。特に、車両の旋回時には、パンク輪が旋回方向に傾くようにキャンバのポジティブ/ネガティブが決定される。例えば、前輪左側がパンクしている状態で右旋回する場合、ネガティブ方向にキャンバが調整される。即ち、パンク輪(前輪左側)が旋回方向(右)に傾くように調整される。すると、タイヤの中心線に対して直角横向きに働く力(キャンバスラスト)が生じ、傾けた方向に転がっていこうとする。従って、パンク輪の空気圧が低下して旋回しにくくなる分と相殺されるように、キャンバスラストが発生し、旋回し難さが大なり小なり解消されることとなる。以上のようにキャンバ角変更手段を有する操舵制御手段において、良好な操舵特性を得ることが可能となる。
本発明の操舵制御装置の他の態様では、前記車両の運転手による操作及び前記車両の挙動の少なくとも一方に応じて設定された操舵量に基いて、前記ランフラットタイヤを操舵すると共に、前記ランフラットタイヤの各々に係るステア制御量及び方向を変更可能であるステア変更手段を含む操舵制御手段を更に備え、前記操舵特性調整手段は、前記パンクした場合に、前記ランフラットタイヤのうちパンクしたタイヤに係る前記ステア制御量及び方向を、前記車両が傾斜路を直進する場合に増加するキャンバスラストを打ち消す側に変更するように、前記ステア変更手段を制御する。
この態様によれば、パンク前及びパンク後を通して、運転手による操作や車両の挙動に応じて設定された操舵量に基いて、例えばパワーステアリング、ギヤ比可変ステアリングシステム等を含んでなる操舵制御手段によって、ランフラットタイヤが操舵される。ここで特に、操舵制御手段は、ランフラットタイヤの各々に係るステア制御量及び方向を変更可能であるステア変更手段を含む。その後、パンク時には、操舵特性調整手段による制御下で、ステア変更手段によって、パンクしたタイヤに係る前記ステア制御量及び方向が、車両が傾斜路を直進する場合に増加するキャンバスラストを打ち消す側に変更される。一般にパンク時には、直進走行しようにもパンク輪側に進行方向が傾く可能性が往々にしてあり、例えば前輪左がパンクした場合、キャンバスラストが発生することで直進走行時に左に進行方向が傾いてしまう。この傾向は、走行路が傾斜している場合に顕著である。しかるに本態様では、ランフラット走行時には、傾斜面を直進走行する際に、パンク輪側に進行方向が傾かないようにステア制御が行われる。例えば、前輪左がパンクした場合、左に進行方向が傾いてしまう分、右側にステア制御が行われる。その際、好ましくは、ステア制御量は、パンク前後のキャンバスティフネスの変化量等に基づいて決められる。こうすれば直進傾斜走行時、キャンバスティフネスが考慮される分、車両偏向にも比較的精度よく対応することが可能となる。以上のようにステア変更手段を有する操舵制御手段において、良好な操舵特性を得ることが可能となる。
本発明の操舵制御装置の他の態様では、前記特性予測手段は、前記正規空気圧時におけるタイヤ特性の指数関数を用いて、前記パンク時におけるタイヤ特性を予測する。
この態様によれば、例えばコントローラ等を含んでなる特性予測手段によって、正規空気圧時におけるタイヤ特性の指数関数を用いて、パンク時におけるタイヤ特性が、関数演算により予測される。本願発明者の研究によれば、このような指数関数は予め、正規空気圧時におけるタイヤ特性とパンク時におけるタイヤ特性とを、実験的又は数学的に或いはシミュレーション等によって対応付けることで、指数関数に近似される形で特定可能である。よって、特性予測手段は、このように既知とされた指数関数を用いることで、即ち、正規空気圧時におけるタイヤ特性を入力として、パンク時におけるタイヤ特性を関数出力として迅速且つ容易に予測することができる。
本発明の操舵制御装置の他の態様では、前記ランフラットタイヤのうち少なくとも一つがパンクしたか否かを判定する判定手段を更に備え、前記操舵特性制御手段は、前記判定手段によりパンクしたと判定された場合に、前記操舵特性を調整する。
この態様によれば、車両の走行中には定期又は不定期に、判定手段によってランフラットタイヤのうち少なくとも一つがパンクしたか否かが判定される。そして、この判定手段によりパンクしたと判定された場合に、操舵特性制御手段によって操舵特性が調整される。従って、パンク時には、遅延なく操舵特性の調整を確実にして行うことが可能となる。
この態様では、前記判定手段は、前記パンクしたランフラットタイヤが前後輪及び左右輪のいずれであるかを判定し、前記操舵特性制御手段は、前記パンクしたと判定された前後輪及び左右輪の別に応じて、前記操舵特性の調整方法を変えるように構成してもよい。
このように構成すれば、操舵特性に対して、パンクしたランフラットタイヤの前後左右の位置に応じて最も適した調整を施すことが可能となる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から更に明らかにされる。
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
先ず本実施形態に係る車両の操舵制御装置が設けられた車両の構成を、図1を参照して、その基本動作と共に説明する。ここに、図1は、本発明の実施形態に係る車両の操舵制御装置の図式的なブロック図である。
図1において、実施形態に係る車両1は、制御装置100、ランフラットタイヤ120、Cpセンサ131等の各種センサ、及びEPS/VGRS141等の各種アクチュエータを備えて構成される。
制御装置100は、本発明に係る「特性予測手段」の一例としてのパンク時タイヤ特性予想部101と、本発明に係る「操舵特性調整手段」の一例としての操舵特性調整部102及び記憶部105とを備えて構成される。これらは好適には、周知の電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)、制御プログラムを格納した読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)、各種データを格納する随時書き込み読み出しメモリ(Random Access Memory:RAM)等を中心とした論理演算回路として構成されている。更に、Cpセンサ等の各種センサからの入力信号を受ける入力ポート及び、EPS/VGRS141等の各種アクチュエータに制御信号を送る出力ポートに対して、バスを介して接続されている。
ランフラットタイヤ120は、例えば周知のランフラットタイヤであり、タイヤの空気圧が失われても所定のスピードで一定距離を安全に走行可能に構成されている。例えば、空気圧0kPa時に通常の使用条件下において、80km/h以下で80kmまで走行することが可能となる。この特徴により、スペアタイヤがいらなくなり、省資源化・軽量化等のメリットがある。ランフラットタイヤの方式は大別すると、タイヤ内部にもうひとつタイヤを配置した「中子式」と、サイドウォールに剛性を持たせ変形を抑える「サイド補強式」とがある。いずれの方式にせよ、通常のタイヤでは想定されていないランフラット走行が可能となり、それ故に新たな課題も発生することとなる。本発明では、この点に着目した技術を提案し、本発明は、これらいずれの方式のランフラットタイヤに対しても有効である。尚、この態様における「ランフラットタイヤ」とは、上記二方式のほか、パンク時タイヤ特性予想手段が有効であれば足りる趣旨、言い換えれば正規空気圧時のタイヤ特性からパンク時のタイヤ特性が予想可能な方式であれば足りる趣旨である。
各種センサは、具体的にはCpセンサ131、空気圧センサ132、接地荷重センサ133、対地キャンバセンサ134、傾斜センサ135が含まれ、制御装置100と電気的に接続されている。
Cpセンサ131は、各ランフラットタイヤ120のコーナリングパワーを検知することが可能である。ここにコーナリングパワーとは、基本的には、タイヤのスリップ角とコーナリングフォースとの関係を示す係数である。コーナリングパワーはリアルタイム的に検知されなくとも、予め測定された測定値の他、例えば乗員が2名であると想定して相場値を記憶部に保持しておいてもよい。
空気圧センサ132は、各ランフラットタイヤ120の空気圧を検知することが可能である。
接地荷重センサ133は、例えば車高を検知可能なストロークセンサを含み、各ランフラットタイヤ120の接地荷重を検知することが可能である。
対地キャンバセンサ134は、例えばキャンバ角制御装置142内に設置され、各ランフラットタイヤ120の対地キャンバを検知することが可能である。
傾斜センサ135は、例えば封入された液体の傾斜に伴う静電容量の変化を角度変化として捉える方式であり、車両の傾斜角を検知することが可能である。
各種アクチュエータは、制御装置100と電気的に接続されており、具体的にはEPS/VGRS141及びキャンバ角制御装置142が含まれる。
EPS/VGRS141は、周知の電動パワーステアリング及びギヤ比可変ステアリングシステムを備え、例えば操舵特性調整部102の指令を受けてハンドルの操作量に対するタイヤの切れ角の割合(ギヤ比)やゲインを変更することが可能に構成される。
キャンバ角制御装置142は、キャンバ角変更用アクチュエータを備え、例えば操舵特性調整部102の指令を受けてキャンバ角を変化させることが可能に構成される。
以上図1に示した本実施形態に係る車両は、制御装置100、ランフラットタイヤ120、Cpセンサ131等の各種センサ、及びEPS/VGRS141等の各種アクチュエータを備え、後で詳述するように、各種センサの出力等に基づいて、制御装置100内のパンク時タイヤ特性予想部101により、パンク前にパンク時のタイヤ特性変化量を予測或いは予想する。従って、実際にパンクした場合における急激なタイヤ空気圧の変化に対しても操舵特性調整部102が迅速に適応することが可能となる。
次に図2に従って、本願発明者の研究により解明された、実施形態に係る正規空気圧時ランフラットタイヤのCp/Wとパンク時ランフラットタイヤのCp/Wの相関関係の一例を以下説明する。
ここに、図2は本発明の実施形態に係る正規空気圧時のCp/Wとパンク時のCp/Wの相関を表す特性図であり、Cp/Wは単位接地荷重(Weight:W)当りのコーナリングパワーを示す。また、横軸は正規空気圧時のCp/Wを、縦軸はパンク時のCp/Wを示す。
ここで、本願発明者の測定結果によると、正規空気圧時ランフラットタイヤのCp/Wとパンク時ランフラットタイヤのCp/Wは、例えば相関係数0.96であり、顕著な相関関係を有するといえる。従って、所定の指数関数を用いてフィッティングすることにより、未実測点を補完することが可能である。即ち、個々の車両について、その走行前や走行時に、正規空気圧時ランフラットタイヤのCp/Wが分かれば、予め設定されている所定の指数関数や所定の変換テーブルを利用してパンク時ランフラットタイヤのCp/Wを予測或いは予想することが可能である。
ここで、所定の指数関数とは具体的には式(1)であり、パンク時ランフラットタイヤのCp/W即ち(Cp/W@P=0)は、正規空気圧時ランフラットタイヤのCp/W即ち(Cp/W@P=正規)を用いて表わされる。尚、「P」は空気圧を示し、「α」及び「ξ」は夫々研究結果より得られた所定の定数を示す。
(Cp/W@P=0)=α×(Cp/W@P=正規)ξ 式(1)
式(1)を用いると、例えば車体に適合する「α」、「ξ」及び「Cp/W@P=正規」を夫々予め記憶部105に保持しておくことで、「Cp/W@P=0」を適宜算出することが可能となる。この算出をパンク前、好適には車両の出荷時に、或いは遅くとも通常走行時に、予め行っておくことで、現にパンクしてランフラット走行する場合でも、事前に予想された「Cp/W@P=0」即ちランフラット走行時のCpに基づいて、操舵制御手段が迅速に車両の操舵特性を調整することが可能となる。
式(1)を用いると、例えば車体に適合する「α」、「ξ」及び「Cp/W@P=正規」を夫々予め記憶部105に保持しておくことで、「Cp/W@P=0」を適宜算出することが可能となる。この算出をパンク前、好適には車両の出荷時に、或いは遅くとも通常走行時に、予め行っておくことで、現にパンクしてランフラット走行する場合でも、事前に予想された「Cp/W@P=0」即ちランフラット走行時のCpに基づいて、操舵制御手段が迅速に車両の操舵特性を調整することが可能となる。
以上図2に示すように、本実施形態に係る車両はパンクする前に、正規空気圧時ランフラットタイヤのCp/Wからパンク時ランフラットタイヤのCp/Wを予想することができる。このため、実際にパンクした場合における急激なタイヤ空気圧の変化に対しても操舵特性調整部102が迅速に適応することが可能となる。尚、図2に基づく予想方法は、「中子式」或いは「サイド補強式」いずれの方式のランフラットタイヤにも適用することが可能である。
次に図3に従って、本願発明者の研究により解明された、実施形態に係る正規空気圧時ランフラットタイヤのCp/Wとパンク時ランフラットタイヤのCs/Wの相関関係の一例を以下説明する。
ここに、図3は本発明の実施形態に係る正規空気圧時のCp/Wとパンク時のCs/Wの相関を表す特性図であり、Cs/Wは単位接地荷重(W)当りのキャンバスティフネスを表わす。また、横軸は正規空気圧時のCp/Wを、縦軸はパンク時のCs/Wを示す。
ここで、本願発明者の測定結果(即ち、図3のグラフ中の各点)によると、正規空気圧時ランフラットタイヤのCp/Wとパンク時ランフラットタイヤのCs/Wは、例えば相関係数0.94であり、顕著な相関関係を有すると言える。また、Cs/Wはパンクすると正規空気圧時と比べて相対的に上昇している。従って、所定の指数関数を用いてフィッティングすることにより、未実測点を補完することが可能である。即ち、個々の車両について、その走行前や走行時に、正規空気圧時ランフラットタイヤのCp/Wが分かれば、予め設定された所定の指数関数や所定の変換テーブルを利用してパンク時ランフラットタイヤのCs/Wを予測或いは予想することが可能である。
ここで、所定の指数関数とは具体的には式(2)であり、パンク時ランフラットタイヤのCs/W即ち(Cs/W@P=0)は、正規空気圧時ランフラットタイヤのCp/W即ち(Cp/W@P=正規)を用いて表わされる。尚、「P」は空気圧を示し、「β」及び「и」は夫々研究結果より得られた所定の定数を示す。
Cs/W@P=0=β×(Cp/W@P=正規)и 式(2)
式(2)を用いると、例えば車体に適合する「β」、「и」及び「Cp/W@P=正規」を夫々予め記憶部105に保持しておくことで、「Cs/W@P=0」を適宜算出することが可能となる。この算出をパンク前、好適には車両の出荷時に、或いは遅くとも通常走行時に、予め行っておくことで、現にパンクしてランフラット走行する場合でも、事前に予想された「Cs/W@P=0」即ちランフラット走行時のCsに基づいて、操舵制御手段が迅速に車両の操舵特性を調整することが可能となる。
式(2)を用いると、例えば車体に適合する「β」、「и」及び「Cp/W@P=正規」を夫々予め記憶部105に保持しておくことで、「Cs/W@P=0」を適宜算出することが可能となる。この算出をパンク前、好適には車両の出荷時に、或いは遅くとも通常走行時に、予め行っておくことで、現にパンクしてランフラット走行する場合でも、事前に予想された「Cs/W@P=0」即ちランフラット走行時のCsに基づいて、操舵制御手段が迅速に車両の操舵特性を調整することが可能となる。
以上図3に示すように、本実施形態に係る車両はパンクする前に、正規空気圧時ランフラットタイヤのCp/Wからパンク時ランフラットタイヤのCs/Wを予想することができるため、実際にパンクした場合における急激なタイヤ空気圧の変化に対しても操舵特性調整部102が迅速に適応することが可能となる。特に、図2におけるCpと図3におけるCsが共に考慮されることで、適応の精度が高まる。尚、図3に基づく予想方法は、好適には「サイド補強式」のランフラットタイヤに適用することが可能である。
次に、以上図1のように構成された車両の操舵制御装置が、図2及び図3に基づいてパンク時ランフラットタイヤの特性を予測し、具体的に走行制御に結びつけるまでの動作処理について、第1実施形態から第3実施形態に分類して説明する。
ここに第1実施形態は、パンク時のCp/Wを正規空気圧時のCp/Wから予測することを特徴とし、第2実施形態は更にパンク時のCs/Wも予測することを特徴とし、第3実施形態は、直進走行時に対応することを特徴とする。
先ず、本実施形態(第1実施形態)に係る車両の操舵制御装置の動作処理について、図1及び図2に加えて、図4を参照して説明する。ここに図4は本実施形態に係る車両の操舵制御装置の処理を示すフローチャートである。
図4において先ず、好ましくは車両の出荷前などに、予め正規空気圧時のコーナリングパワーがCpセンサ131により検知され、例えばメモリに保存される。具体的には、式(10101)から式(10104)に基づいて、正規空気圧時の前後左右各輪のコーナリングパワー(前輪_左Cp:CpfL、前輪_右Cp:CpfR、後輪_左Cp:CprL、後輪_右Cp:CprR)が算出され、該算出結果が式(10105)及び式(10106)に代入されることで正規空気圧時の前輪コーナリングパワー(Cpf)及び正規空気圧時の後輪コーナリングパワー(Cpr)が夫々得られ、記憶部105に保持される(ステップS1010)。
CpfL=(Cp*/W)×WfL 式(10101)
CpfR=(Cp*/W)×WfR 式(10102)
CprL=(Cp*/W)×WrL 式(10103)
CprR=(Cp*/W)×WrR 式(10104)
Cpf=CpfL+CpfR 式(10105)
Cpr=CprL+CprR 式(10106)
ここに、「Cp*」は正規空気圧時のコーナリングパワーを示し、「W」は接地荷重を示し、「WfL」は前輪左接地荷重を示し、「WfR」は前輪右接地荷重を示し、「WrL」は後輪左接地荷重を示し、「WrR」は後輪右接地荷重を示す。
CpfR=(Cp*/W)×WfR 式(10102)
CprL=(Cp*/W)×WrL 式(10103)
CprR=(Cp*/W)×WrR 式(10104)
Cpf=CpfL+CpfR 式(10105)
Cpr=CprL+CprR 式(10106)
ここに、「Cp*」は正規空気圧時のコーナリングパワーを示し、「W」は接地荷重を示し、「WfL」は前輪左接地荷重を示し、「WfR」は前輪右接地荷重を示し、「WrL」は後輪左接地荷重を示し、「WrR」は後輪右接地荷重を示す。
「Cp*」は、Cpセンサ131により実測される他、例えば事前に測定されて製品の出荷時に予め組み込まれた値を用いてもよいし、或いは2名乗車相当の相場値を用いてもよい。
「W」、「WfL」、「WfR」、「WrL」及び「WrR」は、夫々接地荷重に係る値であり、「Cp*」を前後左右輪に夫々分配する際に用いられる。尚、「W」を「WfL」、「WfR」、「WrL」及び「WrR」に夫々分配するために、例えばストロークセンサにより車高を検知し、該車高の検知結果に基づいてもよいが、相場値を用いることも可能である。
続いて、パンクを検知するために、4輪の空気圧及び接地荷重が、空気圧センサ132及び接地荷重センサ133により夫々検知され、記憶部105に保持される(ステップS1020)。
該保持された4輪の空気圧に基づいて、パンクか否かが判断される(ステップS1030)。即ち、空気圧が所定の閾値以下であり且つ、空気圧の低下勾配が所定の閾値以上であるか否か、つまり、空気圧が十分小さい値になっており更に急速に低下しているか否かが判定される。
尚、ステップS1030において、パンクか否かを判断するための条件は上述した「空気圧が所定の閾値以下であり且つ、空気圧の低下勾配が所定の閾値以上である」という条件に限られない。即ち、タイヤがパンクしていると客観的に判断され、本実施形態に係るステップS1040以降の処理が大なり小なり有効である限りにおいて、上述した条件を変更しても良い趣旨である。具体的に例えば、上述した条件に代えて「空気圧が所定の閾値以下であるか又は、空気圧の低下勾配が所定の閾値以上である」ことをパンクしていると判断するための条件としてもよい。この際当然ながら、後述する「パンクであると判断されない場合」に於ける具体的状況は適宜変更して解釈することとなる。具体的に例えば、「パンクであると判断されない場合」とは「空気圧が所定の閾値より大きく且つ、空気圧の低下勾配が所定の閾値より小さい場合」であると解釈することとなる。
ここで、パンクであると判断されない場合(ステップS1030:No)、即ち、空気圧が所定の閾値より大きい場合、或いは空気圧の低下勾配が所定の閾値より小さい場合、ステップS1020に戻り、本実施形態に係る以上説明したステップS1020以降の処理が繰り返されることとなる。
他方、パンクであると判定された場合(ステップS1030:Yes)、パンク輪の箇所を特定するために、先ずパンク発生輪が前輪であるか否かが判定される(ステップS1040)。
ここで、パンク発生輪が前輪であると判定された場合(ステップS1040:Yes)、更にパンク発生輪が左輪であるか否かが判定される(ステップS1050)。
パンク発生箇所が前輪_左であると判定された場合(ステップS1050:Yes)、パンク時タイヤ特性予想部101は、式(1)を応用した後述する式(10601)に基づいてパンク輪(前輪_左)のパンク時コーナリングパワー(CpfL0)を予測する(ステップS1060)。
CpfL0=α×(Cp*/W)ξ×WfL 式(10601)
続いて、該予想された前輪_左のパンク時コーナリングパワーに基づき、前輪左右のコーナリングパワーが合算される。具体的には、後述する式(10701)に示すように該予想された前輪_左のパンク時コーナリングパワーと、ステップS1010において算出された前輪_右のコーナリングパワーとが足し合わされることで、前輪側パンク時のコーナリングパワー(Cpf0)が算出される(ステップS1070)。
続いて、該予想された前輪_左のパンク時コーナリングパワーに基づき、前輪左右のコーナリングパワーが合算される。具体的には、後述する式(10701)に示すように該予想された前輪_左のパンク時コーナリングパワーと、ステップS1010において算出された前輪_右のコーナリングパワーとが足し合わされることで、前輪側パンク時のコーナリングパワー(Cpf0)が算出される(ステップS1070)。
Cpf0=CpfL0+CpfR 式(10701)
そして、該算出された前輪側パンク時のコーナリングパワーに基づき、パンクの影響が軽減されるように前輪操舵のギヤ比が調整される。具体的には、後述する式(10801)に示すように、操舵特性調整部102がEPS/VGRS141に対して、パンクにより低下した前輪側のコーナリングパワーを補完するために前輪操舵のギヤ比(Gf)を相対的に増加するよう指令を出す(ステップS1080)。
そして、該算出された前輪側パンク時のコーナリングパワーに基づき、パンクの影響が軽減されるように前輪操舵のギヤ比が調整される。具体的には、後述する式(10801)に示すように、操舵特性調整部102がEPS/VGRS141に対して、パンクにより低下した前輪側のコーナリングパワーを補完するために前輪操舵のギヤ比(Gf)を相対的に増加するよう指令を出す(ステップS1080)。
Gf=Gstg_ori×(Cpf/Cpf0) 式(10801)
ここに、「Gstg_ori」は前輪操舵のギヤ比のオリジナル値である。前輪操舵のギヤ比(オーバーオール・ステアリングギヤ比)は、ハンドルの回転角を車輪の切れ角で割った値を示すので、ギヤ比を大きくすれば大きくする程、ハンドルは軽くなると言える。本態様はこの作用効果を利用したものであり、パンクでコーナリングパワーが低下したために鈍ったハンドルの切れを、ギヤ比増加により取り戻そうという趣旨である。この際、パンクにより低下した前輪側のコーナリングパワーを大なり小なり補完することが可能である限りにおいて、例えば前輪操舵ゲインを増加させるように構成してもよい。
ここに、「Gstg_ori」は前輪操舵のギヤ比のオリジナル値である。前輪操舵のギヤ比(オーバーオール・ステアリングギヤ比)は、ハンドルの回転角を車輪の切れ角で割った値を示すので、ギヤ比を大きくすれば大きくする程、ハンドルは軽くなると言える。本態様はこの作用効果を利用したものであり、パンクでコーナリングパワーが低下したために鈍ったハンドルの切れを、ギヤ比増加により取り戻そうという趣旨である。この際、パンクにより低下した前輪側のコーナリングパワーを大なり小なり補完することが可能である限りにおいて、例えば前輪操舵ゲインを増加させるように構成してもよい。
他方、ステップS1050において、パンク発生箇所が前輪_左であると判定された場合(ステップS1050:No)、上述したパンク発生箇所が前輪_右である場合の処理(ステップS1060からステップS1080)を応用した処理が行われる。即ち、先ずパンク輪(前輪_右)のパンク時コーナリングパワー(CpfR0)が予測され(ステップS1061)、該予想された前輪_右のコーナリングパワーに基づき、前輪左右のコーナリングパワーが足し合わされる(ステップS1071)。そして、該足し合わされた前輪側パンク時のコーナリングパワーに基づき、パンクの影響が軽減されるように前輪操舵のギヤ比或いはゲインが調整される(ステップS1080)。
また、ステップS1040において、パンク発生輪が後輪であると判定された場合(ステップS1040:No)、上述したパンク発生箇所が前輪である場合の処理(ステップS1050からステップS1080)を応用した処理が行われる。即ち、先ずパンク発生輪が左輪であるか否かが判定され(ステップS1051)、該左右判定結果に応じてパンク輪のパンク時コーナリングパワー(CprR0若しくはCprL0)が予測され(ステップS1062或いはステップS1063)、該予想されたパンク輪のパンク時コーナリングパワーに基づき、後輪左右のコーナリングパワーが足し合わされる(ステップS1072或いはステップS1073)。そして、該足し合わされた後輪側パンク時のコーナリングパワーに基づき、パンクの影響が軽減されるように後輪操舵のギヤ比或いはゲインが調整される(ステップS1081)。尚、一般的な車両のEPS/VGRS141は図1に示すように前輪側に設置されていることを勘案して、後輪操舵の代わりに前輪操舵のギヤ比或いはゲインが調整されるよう構成されてもよい。即ち、パンクでコーナリングパワーが低下した後輪に比べて、相対的に曲がりやすくなっている前輪側の操舵特性を変更してもよい。具体的に例えば、前輪操舵のギヤ比或いはゲインを相対的に低下させてもよい。
以上説明した本実施形態によれば、操安定性向上のための処理を、比較的余裕をもって施すことが可能である。例えばランフラットタイヤを装着した車両がパンクした場合には、予めECUに保存されていた正規空気圧時のコーナリングパワーから、パンク時のタイヤ特性を予測し、急激な特性変化に対応することが可能となる。これにより、ランフラット走行時における操安定性が向上することとなる。
次に、以上のように構成された車両の操舵制御装置の第2実施形態に係る動作処理について、図1から図3に加えて、図5を参照して説明する。ここに図5は本実施形態に係る車両の操舵制御装置の処理を示すフローチャートである。本実施形態は、現存する代表的なランフラットタイヤにおいて、正規空気圧時とパンク時の変化が著しいコーナリングパワー特性とキャンバスティフネス特性に注目したものである。尚、本実施例に係る図5のフローチャートにおいて、第1実施形態に係る図4と同一のステップについては同一のステップ番号を付し、その詳細な説明を適宜省略する。
図5において先ず、好ましくは車両の出荷前などに、予め式(10101)から式(10104)に基づいて、正規空気圧時の前後左右各輪のコーナリングパワー(前輪_左Cp:CpfL、前輪_右Cp:CpfR、後輪_左Cp:CprL、後輪_右Cp:CprR)が算出される。(ステップS2010)。
続いて、第1実施形態と同様に、パンク判定後、パンク輪に応じたCpが予想される(ステップS1020からステップS1060)。
その後、パンク時タイヤ特性予想部101は、図3に基づいて、パンク輪のパンク時キャンバスティフネスも予想する。具体的には、パンク発生箇所が前輪_左であると判定された場合(ステップS1050:Yes)、式(2)を応用した下記式(20701)に基づいて前輪_左のパンク時キャンバスティフネス(CsfL0)が予想される(ステップS2070)。
CsfL0=β×(Cp*/W)и×WfL 式(20701)
そして、操舵特性調整部102が、パンク発生箇所(例えば前輪_左)の特性変化に応じたキャンバ制御量Ca*を下記式(20801)に基づいて算出する(ステップS2080)。
そして、操舵特性調整部102が、パンク発生箇所(例えば前輪_左)の特性変化に応じたキャンバ制御量Ca*を下記式(20801)に基づいて算出する(ステップS2080)。
Ca*=|CpfL-CpfL0|/CsfL0 式(20801)
その後、旋回走行か否かが判別される(ステップS2090)。
その後、旋回走行か否かが判別される(ステップS2090)。
ここで、旋回走行でない場合、即ち直進走行の場合(ステップS2090:No)、本実施形態に係るキャンバ制御は行われない。この時、後述する第3実施形態に係る直進走行時のステア制御を行ってもよい。
他方、旋回走行の場合(ステップS2090:Yes)、旋回方向が右か否かが判断される。即ち、パンク輪が旋回外輪か否かが判断される(ステップS2100)。
ここで、前輪_左パンク時に旋回方向が右である場合、即ち、パンク輪が旋回外輪である場合(ステップS2100:Yes)、パンクするとコーナリングパワーが低下して旋回しにくくなる分をキャンバスラスト分で補完するため、パンク輪が旋回方向に傾くようにキャンバ角が制御される。具体的には、操舵特性調整部102は、パンク輪のキャンバ角がCa*(この場合はネガティブキャンバ)となるようEPS/VGRS141に指令を出す(ステップS2110)。その結果、旋回し難くなっていたパンク輪が、旋回方向に傾き、コーナリングフォースが相対的に向上することで、比較的容易に旋回を行うことが可能となる。
他方、前輪_左パンク時に旋回方向が左である場合、即ち、パンク輪が旋回内輪である場合(ステップS2100:No)、操舵特性調整部102は、パンク輪のキャンバ角がCa*(この場合はポジティブキャンバ)となるようEPS/VGRS141に指令を出す(ステップS2111)。
尚、他の車輪がパンクであると判定された場合(ステップS1040:No、或いはステップS1050:No)も、上述したパンク発生箇所が前輪_左である場合の処理(ステップS1060からステップS2110)と同様にしてキャンバ制御が行われる。
以上説明した本実施形態によれば、予想したタイヤ特性に基づく比較的容易な制御により、急激な特性変化に対応することが可能となる。特に、Cp特性の低下分をCs特性の増加分により補正し、必要なタイヤ発生力(コーナリングフォース)を確保することが可能である。その結果、ランフラット走行時における操安定性が比較的向上することとなる。
次に、以上のように構成された車両の操舵制御装置の第3実施形態に係る動作処理について、図1及び図2に加えて、図6を参照して説明する。ここに図6は第3実施形態に係る車両の操舵制御装置の処理を示すフローチャートである。第1実施形態及び第2実施形態が共に旋回時の操安定性確保に有効な技術であったのに対して、本実施形態は、直進走行時の轍路面或いは傾斜路での操安定性を確保するための技術である。尚、本実施例に係る図6のフローチャートにおいて、第1実施形態に係る図4或いは第2実施形態に係る図5と同一のステップについては同一のステップ番号を付し、その詳細な説明を適宜省略する。
図5と同様に、図6においても先ず、好ましくは車両の出荷前などに、4輪タイヤの特性(前輪と後輪のコーナリングパワー等)が予め検知され、記憶部105に保持される。また、以下示す式(30101)から式(30104)に基づいて、正規空気圧時の前後左右各輪のキャンバスティフネス(前輪_左Cs:CsfL、前輪_右Cs:CsfR、後輪_左Cs:CsrL、後輪_右Cs:CsrR)も算出される(ステップS3010)。
CsfL=(Cs*/W)×WfL 式(30101)
CsfR=(Cs*/W)×WfR 式(30102)
CsrL=(Cs*/W)×WrL 式(30103)
CsrR=(Cs*/W)×WrR 式(30104)
ここに、添え字の「*」は正規空気圧時における特性値であることを示す。例えば、「Cs*」は正規空気圧時のキャンバスティフネスを示し、例えば事前に測定されて製品の出荷時に予め組み込まれた値を用いてもよいし、或いは2名乗車相当の相場値を用いてもよい。
CsfR=(Cs*/W)×WfR 式(30102)
CsrL=(Cs*/W)×WrL 式(30103)
CsrR=(Cs*/W)×WrR 式(30104)
ここに、添え字の「*」は正規空気圧時における特性値であることを示す。例えば、「Cs*」は正規空気圧時のキャンバスティフネスを示し、例えば事前に測定されて製品の出荷時に予め組み込まれた値を用いてもよいし、或いは2名乗車相当の相場値を用いてもよい。
そして、車両の走行時には、4輪の空気圧、接地荷重及び対地キャンバが、夫々検知され、記憶部105に保持される(ステップS3020)。その後、第2実施形態と同様に、ステップS1030からステップS2070の処理が行われ、パンク輪のコーナリングパワー及びキャンバスラストが予想される。
その後、本実施形態では、直進走行か否かが判別される(ステップS3080)。尚、この態様で「直進走行」とは、文字通りに直進走行である場合のほか、実質的な直進走行を含む趣旨である。
ここで、直進走行でない場合(ステップS3080:No)、後述する本実施形態に係るステア制御が特になされることなく、ステップS3020に戻り、本処理が再度実施される。
他方、直進走行の場合(ステップS3080:Yes)、例えば傾斜センサ135により、走行路が傾斜路であるか否かが判断される(ステップS3090)。ここで、傾斜路であるか否かは、傾斜センサ135による判断以外に、左右輪の対地キャンバや、キャンバスティフネスから判断してもよい。
ここで、走行面が平坦路の場合(ステップS3090:No)、後述する本実施形態に係るステア制御が特になされることなく、ステップS3020に戻り、本処理が再度実施される。
他方、走行面が傾斜路の場合(ステップS3090:Yes)、何ら対策を施さないと、パンク輪のキャンバスティフネスはパンク前に比して増大しているため、キャンバスラストが増長され、車両が大なり小なり偏向してしまう。そこで、操舵特性調整部102が、式(31001)に基づいて前輪側パンク輪のステア制御指令値(Afstg)を算出し、該算出結果に基づいたステア制御が行われる(ステップS3100)。ここに、「Afstg」の大きさはステア制御量(角度)を、「Afstg」の符号はステア制御の向き(正:右、負:左)を夫々意味する。
Afstg=(CsfL0-CsfL)/(CpfL0+CpfR) 式(31001)
ここで図3より、キャンバスティフネスはパンクすると正規空気圧時に比べて増加するので、「Afstg」の符号は正である。また、ステップS3101、ステップS3102及びステップS3103においてステア制御指令値の符号は夫々、負(左)、正(右)、負(左)である。即ち、例えば左輪がパンクした場合には、左に進行方向が傾いてしまう分、右向きにステア制御を行う一方で、右輪がパンクした場合には、右に進行方向が傾いてしまう分、左向きにステア制御を行うこととなる。
ここで図3より、キャンバスティフネスはパンクすると正規空気圧時に比べて増加するので、「Afstg」の符号は正である。また、ステップS3101、ステップS3102及びステップS3103においてステア制御指令値の符号は夫々、負(左)、正(右)、負(左)である。即ち、例えば左輪がパンクした場合には、左に進行方向が傾いてしまう分、右向きにステア制御を行う一方で、右輪がパンクした場合には、右に進行方向が傾いてしまう分、左向きにステア制御を行うこととなる。
尚、他の車輪がパンクであると判定された場合(ステップS1040:No、或いはステップS1050:No)も、上述したパンク発生箇所が前輪_左である場合の処理(ステップS1060からステップS3100)と同様にしてステア制御が行われる。
以上説明した本実施形態によれば、パンクが判明した時点でタイヤ特性を予測し、急激な特性変化に対応することが可能となる。具体的には、ランフラット走行時にはパンク輪のキャンバスラストが比較的増大し、直進走行時に車両が偏向してしまうが、本実施形態に係るステア制御によると、この偏向を抑制することが可能となる。これにより、ランフラット走行時における操安定性が向上することとなるのである。
尚、本実施形態では、パンクであると判定された(ステップS1030:Yes)後にパンク時コーナリングパワー或いはパンク時キャンバスティフネスが予想されるが、これらはパンク判明前に予想されてもよい。即ち、ステップS1010或いはステップS3010の処理と併せて、前後左右各輪のパンク時コーナリングパワー或いはパンク時キャンバスティフネスを予想し、更に各輪がパンクした場合に必要な車輪操舵のギヤ比、ゲイン、キャンバ制御量或いはステア制御量を事前に導出しておいてもよい。例えば、車両の出荷時に上記値を予め導出しておけば、一層迅速にパンクに対処することが可能となる上、ループ処理の間繰り返し予想処理を行う必要がなくなり、制御装置100の処理負担も軽減されることとなる。
尚、上述の実施形態では、前輪駆動自動車を用いていたが、その他に、後輪駆動自動車或いは、総輪駆動自動車を用いることができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両の操舵制御装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1…車両、100…制御装置、101…パンク時タイヤ特性予想部、102…操舵特性調整部、120…ランフラットタイヤ、131…Cpセンサ、141…EPS/VGRS、142…キャンバ角制御装置
Claims (11)
- 車両に装着されたランフラットタイヤの正規空気圧時におけるタイヤ特性に基づいて前記ランフラットタイヤのパンク時におけるタイヤ特性を予測する特性予測手段と、
前記ランフラットタイヤのうち少なくとも一つがパンクした場合に、前記車両において前記ランフラットタイヤを操舵する際の操舵特性を、前記予測されたタイヤ特性に応じて調整する操舵特性調整手段と
を備えることを特徴とする車両の操舵制御装置。 - 前記操舵特性調整手段は、前記車両の運転手による操作及び前記車両の挙動の少なくとも一方に応じて操舵量を設定する設定手段を有し、
当該操舵制御装置は、前記設定された操舵量に基いて前記ランフラットタイヤを操舵する操舵制御手段を更に備え、
前記操舵特性調整手段は、前記操舵特性の調整として前記設定手段により、前記設定される操舵量に対して前記予測されたタイヤ特性に応じて変更を加えることを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。 - 前記設定手段は、前記パンクした場合に、前記車両のコーナリングパワーの変化に応じて、前記ランフラットタイヤのパンクによる前記車両の操舵性能への影響を低減するように、前記変更を加えることを特徴とする請求項2に記載の操舵制御装置。
- 前記設定手段は、前記パンクした場合に、前記車両のキャンバスティフネスの変化に応じて、前記ランフラットタイヤのパンクによる前記車両の操舵性能への影響を低減するように、前記変更を加えることを特徴とする請求項2又は3に記載の操舵制御装置。
- 前記車両の運転手による操作及び前記車両の挙動の少なくとも一方に応じて設定された操舵量に基いて、前記ランフラットタイヤを操舵すると共に、前記車両に係る操舵角に対する前記ランフラットタイヤの切れ角を変更可能である操舵制御手段を更に備え、
前記操舵特性調整手段は、前記パンクした場合に、前記車両のコーナリングパワー及びキャンバスティフネスの少なくとも一方の変化に応じて、前記操舵角に対する前記切れ角を変更するように前記操舵制御手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。 - 前記車両の運転手による操作及び前記車両の挙動の少なくとも一方に応じて設定された操舵量に基いて、前記ランフラットタイヤを操舵すると共に、前記ランフラットタイヤを操舵するためのパワーステアリングに係るゲインを変更可能である操舵制御手段を更に備え、
前記操舵特性調整手段は、前記パンクした場合に、前記車両のコーナリングパワー及びキャンバスティフネスの少なくとも一方の変化に応じて、前記ゲインを変更するように前記操舵制御手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。 - 前記車両の運転手による操作及び前記車両の挙動の少なくとも一方に応じて設定された操舵量に基いて、前記ランフラットタイヤを操舵すると共に、前記ランフラットタイヤに係るキャンバ角を変更可能であるキャンバ角変更手段を含む操舵制御手段を更に備え、
前記操舵特性調整手段は、前記パンクした場合に、前記車両のキャンバスティフネスの変化に応じて、前記キャンバ角を変更するように前記キャンバ角変更手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。 - 前記車両の運転手による操作及び前記車両の挙動の少なくとも一方に応じて設定された操舵量に基いて、前記ランフラットタイヤを操舵すると共に、前記ランフラットタイヤの各々に係るステア制御量及び方向を変更可能であるステア変更手段を含む操舵制御手段を更に備え、
前記操舵特性調整手段は、前記パンクした場合に、前記ランフラットタイヤのうちパンクしたタイヤに係る前記ステア制御量及び方向を、前記車両が傾斜路を直進する場合に増加するキャンバスラストを打ち消す側に変更するように、前記ステア変更手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。 - 前記特性予測手段は、前記正規空気圧時におけるタイヤ特性の指数関数を用いて、前記パンク時におけるタイヤ特性を予測することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
- 前記ランフラットタイヤのうち少なくとも一つがパンクしたか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記操舵特性制御手段は、前記判定手段によりパンクしたと判定された場合に、前記操舵特性を調整することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の操舵制御装置。 - 前記判定手段は、前記パンクしたランフラットタイヤが前後輪及び左右輪のいずれであるかを判定し、
前記操舵特性制御手段は、前記パンクしたと判定された前後輪及び左右輪の別に応じて、前記操舵特性の調整方法を変えることを特徴とする請求項10に記載の操舵制御装置。
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