JP2007099789A - 固形レゾール型フェノール樹脂とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 専用の付加設備が不要で、煩雑な生産工程を経ることなく、固形レゾール型フェノール樹脂を製造できる製造方法及びこれから得られる固形レゾール型フェノール樹脂を提供する。
【解決手段】固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法であって、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒を用いて反応させ、フェノール類1モルに対して、メチロール基の含有量が1モル以上含有するレゾール型フェノール樹脂を合成する工程(a)、及び、前記レゾール型フェノール樹脂を酸性触媒で中和する工程(b)、を有することを特徴とした固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法である。さらに、上記方法で得られたことを特徴とする固形レゾール型フェノール樹脂である。
【選択図】 なし
【解決手段】固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法であって、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒を用いて反応させ、フェノール類1モルに対して、メチロール基の含有量が1モル以上含有するレゾール型フェノール樹脂を合成する工程(a)、及び、前記レゾール型フェノール樹脂を酸性触媒で中和する工程(b)、を有することを特徴とした固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法である。さらに、上記方法で得られたことを特徴とする固形レゾール型フェノール樹脂である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、固形レゾール型フェノール樹脂とその製造方法に関するものである。
レゾール型フェノール樹脂は、通常、仕込みモル比でフェノール類1モルに対しアルデヒド類を1〜3モルとして、触媒に水酸化ナトリウム、アンモニア水、第3級アミン、アルカリ土類金属等の酸化物、又は水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ性触媒を用いて反応することで得られる。特に固形レゾール型フェノール樹脂を得る場合、アルカリ触媒として2価金属の酸化物又は水酸化物を用いて反応したレゾール型フェノール樹脂は、フェノール類の水酸基に対してオルソ位にメチレン結合やメチロール基を含有するために特に硬化速度が速い特徴を有するが、この固形レゾール型フェノール樹脂は親水性のメチロール基が多い構造を有するため吸湿性が著しく大きい。このため樹脂は固形状になりにくく、半固形状の樹脂となりやすいため扱いが困難なことがある。一方、上記アルカリ性触媒としてアンモニア、第3級アミンを使用したり、芳香族アミンで変性したりすることで疎水性の固形レゾール型フェノール樹脂が得られるが、この樹脂は触媒や芳香族アミンを少量使用した場合には固形状になりにくいため多量に使用する必要がある。これは含窒素化合物がフェノール樹脂と架橋するためで、融点が上昇し固形化しやすくなるものの、同時に粘度が著しく上昇する問題がある。さらに、固形化するためには、液状レゾール型フェノール樹脂より高精度な脱水操作が必要となるが、例えば反応容器内で脱水すると溶融状態の樹脂は著しく粘度が高くなるが、レゾール型フェノール樹脂は一般的に熱に対して不安定であることから、反応容器から排出する時に適正な粘度に保つことが難しいことがある。
このような背景から、固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法については反応容器からの排出方法、脱水方法に関する知見が多くみられる。例えばレゾール型フェノール樹脂を排出するための設備等を使用する方法として、回転羽根式の混練機兼反応機で排出する方法(例えば、特許文献1参照)、2軸押出機で吐出する方法(例えば、特許文献2参照)、押出機で連続押出しする方法(例えば、特許文献3及び4参照)がある。脱水工程と反応容器からの排出工程を併せ持った方法として、流動床型の乾燥機を使用するもの(例えば、特許文献5参照)、薄膜蒸発機を用いるもの(例えば、特許文献6、7、8参照)、加熱式連続真空乾燥機を用いるもの(例えば、特許文献9参照)などがある。しかしながら、これらはいずれも専用の付加設備を要し、複雑な生産工程が必要となるという問題点がある。
本発明は、専用の付加設備が不要、且つ、煩雑な生産工程を経ることなく、固形レゾール型フェノール樹脂を製造できる製造方法及びこれから得られる固形レゾール型フェノール樹脂を提供するものである。
(1)固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法であって、
フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒を用いて反応させ、フェノール類1モルに対して、メチロール基の含有量が1モル以上含有するレゾール型フェノール樹脂を合成する工程(a)、及び
前記レゾール型フェノール樹脂を酸性触媒で中和する工程(b)、
を有することを特徴とした固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
(2)更に、前記(b)工程後に、前記レゾール型フェノール樹脂中の水分量が、前記レゾール型フェノール樹脂全体に対して、5重量%以下となるように脱水処理をする工程(c)、を有する(1)に記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
(3)前記酸性触媒は、有機スルホン酸、及び/又は無機酸を含むものである(1)又は(2)に記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
(4)前記固形レゾール型フェノール樹脂のpHは2.0〜8.0である(1)〜(3)のいずれかに記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法により得られた固形レゾール型フェノール樹脂。
(6)前記固形レゾール型フェノール樹脂中の未反応フェノール類の含有量が、前記レゾール型フェノール樹脂全体に対して、5重量%以下である(5)に記載の固形レゾール型フェノール樹脂。
(7)前記固形レゾール型フェノール樹脂中のジメチレンエーテル結合数は、フェノール類1モルに対して、0.5モル以上である(5)又は(6)に記載の固形レゾール型フェノール樹脂。
フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒を用いて反応させ、フェノール類1モルに対して、メチロール基の含有量が1モル以上含有するレゾール型フェノール樹脂を合成する工程(a)、及び
前記レゾール型フェノール樹脂を酸性触媒で中和する工程(b)、
を有することを特徴とした固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
(2)更に、前記(b)工程後に、前記レゾール型フェノール樹脂中の水分量が、前記レゾール型フェノール樹脂全体に対して、5重量%以下となるように脱水処理をする工程(c)、を有する(1)に記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
(3)前記酸性触媒は、有機スルホン酸、及び/又は無機酸を含むものである(1)又は(2)に記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
(4)前記固形レゾール型フェノール樹脂のpHは2.0〜8.0である(1)〜(3)のいずれかに記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法により得られた固形レゾール型フェノール樹脂。
(6)前記固形レゾール型フェノール樹脂中の未反応フェノール類の含有量が、前記レゾール型フェノール樹脂全体に対して、5重量%以下である(5)に記載の固形レゾール型フェノール樹脂。
(7)前記固形レゾール型フェノール樹脂中のジメチレンエーテル結合数は、フェノール類1モルに対して、0.5モル以上である(5)又は(6)に記載の固形レゾール型フェノール樹脂。
本発明によれば、専用の付加設備が不要、且つ、煩雑な生産工程を経ることなく、固形レゾール型フェノール樹脂を効率よく製造することができる。
また、固形レゾール型フェノール樹脂中の未反応フェノール類の含有量を、前記レゾール型フェノール樹脂全体に対して、5重量%以下にすることにより、特に煩雑な生産工程を経ることなく固形レゾール型フェノール樹脂を製造することができる。
さらに、前記固形レゾール型フェノール樹脂中のジメチレンエーテル結合の含有量を、フェノール類1モルに対して、0.5モル以上にすることにより、特にゲル化時間を適切にすることができるため、安定した生産を行うことができる。
また、固形レゾール型フェノール樹脂中の未反応フェノール類の含有量を、前記レゾール型フェノール樹脂全体に対して、5重量%以下にすることにより、特に煩雑な生産工程を経ることなく固形レゾール型フェノール樹脂を製造することができる。
さらに、前記固形レゾール型フェノール樹脂中のジメチレンエーテル結合の含有量を、フェノール類1モルに対して、0.5モル以上にすることにより、特にゲル化時間を適切にすることができるため、安定した生産を行うことができる。
本発明の製造方法は、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒を用いて反応させ、フェノール類1モルに対して、メチロール基の含有量が1モル以上含有するレゾール型フェノール樹脂を合成する工程(a)、及び
前記レゾール型フェノール樹脂を酸性触媒で中和する工程(b)、
を有することを特徴とする。
また、本発明の固形レゾール型フェノール樹脂は、上記本発明の製造方法にて得られることを特徴とする。
前記レゾール型フェノール樹脂を酸性触媒で中和する工程(b)、
を有することを特徴とする。
また、本発明の固形レゾール型フェノール樹脂は、上記本発明の製造方法にて得られることを特徴とする。
以下、本発明の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)について詳細に説明する。
まず、本発明の製造方法における上記工程(a)について説明する。
上記工程(a)で用いられるフェノール類としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2、3−キシレノール、2、4−キシレノール、2、5−キシレノール、2、6−キシレノール、3、5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、イソブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール、アリルフェノール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1−ナフトール、2−ナフトール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、経済的にも有利なフェノールが特に好ましい。
上記工程(a)で用いられるフェノール類としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2、3−キシレノール、2、4−キシレノール、2、5−キシレノール、2、6−キシレノール、3、5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、イソブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール、アリルフェノール、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1−ナフトール、2−ナフトール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、経済的にも有利なフェノールが特に好ましい。
上記(a)工程で用いられるアルデヒド類としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、パラヒドロキシベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、1−ナフチルアルデヒド、2−ナフチルアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの化合物の中でも、フェノール、オルソ置換フェノール類との反応性が優れ、工業的に大量生産され安価であるホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが好ましい。
これらの化合物の中でも、フェノール、オルソ置換フェノール類との反応性が優れ、工業的に大量生産され安価であるホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが好ましい。
上記工程(a)で用いられるアルカリ性触媒としては、特に限定はされないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水、トリエチルアミンなどの第3級アミン、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、炭酸ナトリウム、ヘキサメチレンテトラミンなどのアルカリ性物質を用いる。
上記工程(a)においては、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒を用いて反応させ、フェノール類1モルに対して、メチロール基の含有量を1モル以上含有することを特徴とする。こうすることにより、レゾール化が高まり、残留未反応ホルムアルデヒド類を少なくすることができる。このとき、アルカリ性触媒の逐添量は、通常フェノール類に対し、0.01〜10.0重量%の範囲であることが好ましい。更に好ましくは1〜8重量%である。アルカリ性触媒の逐添量を上記範囲とすることで、特に優れた触媒作用を実現でき、更に優れた硬化特性が得られる。また、後述する工程(b)において使用する酸性触媒の使用量を少なくすることができ、経済的である。
上記工程(a)におけるフェノール類とアルデヒド類のモル比は、フェノール類1モルに対し、通常アルデヒド類を1.0〜3.0モルであるが、好ましくは1.2〜2.5モルである。
アルデヒド類を上記範囲とすることで、上記のようにフェノール類1モルに対して、メチロール基の含有量を1モル以上にすることができる。
アルデヒド類を上記範囲とすることで、上記のようにフェノール類1モルに対して、メチロール基の含有量を1モル以上にすることができる。
上記工程(a)の反応条件としては特に限定はされないが、反応温度は、40〜120℃が好ましい。更に好ましくは60〜100℃である。反応温度を上記範囲とすることで、ゲル化することなく十分に反応させることができる。
反応時間については特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
反応時間については特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
次に、上記レゾール型フェノール樹脂を酸性触媒で中和する、本発明の製造方法における工程(b)について説明する。
上記工程(b)において用いられる酸性触媒の種類は特に限定されないが、例えば、蓚酸、酢酸などの有機カルボン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸、塩酸、硫酸などの無機酸などが挙げられる。この中でも無機酸が好ましい。無機酸を用いると特にゲル化時間を適切にすることができる。上記酸性触媒の使用量は特に限定されないが、反応系のpHが2〜8になることが好ましく、さらに好ましくは、pHが3〜6になることが好ましい。反応系のpHを上記範囲にすることで、ゲル化時間を適切なものとすることができ、安定製造が可能となる。
次に、本発明の製造方法においては、上記工程(b)後に、上記レゾール型フェノール樹脂中の水分量が5重量%以下となるように脱水処理をする工程(c)を用いることができ、これについて説明する。
一般にレゾール型フェノール樹脂は水分を含んでいると融点が低下する。固形レゾール型フェノール樹脂を得ようとした場合はこの水分により固形化が阻害されるため、脱水処理を行うが、液状のレゾール型フェノール樹脂を合成する場合よりも高精度の脱水操作が必要である。本発明の製造方法においては、上記工程(b)後の脱水方法としては、減圧脱水が一般的で好ましいが、常圧脱水でもよい。例えば、減圧脱水時の真空度は110torr以下であることが好ましく、さらに好ましくは80torr以下である。真空度を上記範囲とすることで、脱水時間を短縮することができ、樹脂特性のばらつきの少ない安定的なレゾール型フェノール樹脂を得ることができる。また、このような操作によりレゾール型フェノール樹脂中の水分を5重量%以下とすることができる。レゾール型フェノール樹脂中の水分量を上記範囲とすることで、特に煩雑な生産工程を省くことができる。すなわち、製造時、良好に固形化でき、融点が下がらないため運搬あるいは粉砕時に固結することを防止できる。
これらの方法により水分を十分に除去することができるが、更に除去するために、従来より知られている水分の除去装置を使用する工程と組み合わせてもよい。例えば、水分は、薄膜蒸発装置を使用することによって除去が可能である。
上記工程(a)、及び工程(b)のいずれにおいても、用いる反応溶媒としては、水が一般的で好ましいが、有機溶剤中でもよく、非極性溶媒を用いて非水系で行うこともできる。また、パラホルムアルデヒドなどを用いて反応溶剤なしで行ってもよい。有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、アルコール類、ケトン類、芳香族類で、アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等で、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等で、芳香族類としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらを単独で用いても、併用してもかまわない。
次に、本発明の固形レゾール型フェノール樹脂(以下、単に「フェノール樹脂」ということがある)について説明する。
本発明のフェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは3重量%以下である。未反応フェノール類の含有量を上記範囲とすることで、煩雑な生産工程を省くことができる。すなわち、製造時、良好に固形化でき、融点が下がらないため運搬あるいは粉砕時に固結することを防止できる。また、さらに真空蒸留などの操作を行うことにより、未反応フェノール類量を低減させることもできる。なお、本発明における未反応フェノール類の含有量は、JIS K0114に準拠し、ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノールを内部標準物質として内部標準法で測定した値である。
本発明のフェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは3重量%以下である。未反応フェノール類の含有量を上記範囲とすることで、煩雑な生産工程を省くことができる。すなわち、製造時、良好に固形化でき、融点が下がらないため運搬あるいは粉砕時に固結することを防止できる。また、さらに真空蒸留などの操作を行うことにより、未反応フェノール類量を低減させることもできる。なお、本発明における未反応フェノール類の含有量は、JIS K0114に準拠し、ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノールを内部標準物質として内部標準法で測定した値である。
次に、本発明のフェノール樹脂は、フェノール樹脂中のジメチレンエーテル結合数がフェノール類1モルに対し、0.5モル以上含有することが好ましい。さらに好ましくは、フェノール類1モルに対し、0.7モル以上である。ジメチレンエーテル結合の含有量を上記範囲とすることで、大幅な粘度上昇を起こすことなく、反応容器から樹脂を容易に排出することができる。なお、本発明のフェノール樹脂中におけるメチロール基及びジメチレンエーテル結合のモル数は、核磁気共鳴スペクトルを用い、常法の測定条件によって測定した。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここに記載されている「部」および「%」はすべて「重量部」および「重量%」を示し、本発明はこれら実施例により何ら制約されるものではない。
(実施例1)攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応器に、フェノール1000部、92%パラホルムアルデヒド660部、水酸化バリウム15部、純水140部を仕込み、80℃に昇温し、2時間反応を行った後、25%硫酸水溶液を15部添加した。その後、80torrで減圧蒸留を行い、110℃に達した後にフラスコから取り出し、未反応フェノールは2.8%、フェノール類1モルに対するジメチレンエーテル結合の含有量は0.9モルであるレゾール型フェノール樹脂1250部を得た。
(実施例2)実施例1において、92%パラホルムアルデヒド660部のかわりに、92%パラホルムアルデヒド900部使用した以外は同様の反応を行い、未反応フェノールが2.3%、フェノール類1モルに対するジメチレンエーテル結合の含有量が0.9モルであるレゾール型フェノール樹脂1380部を得た。
(実施例3)実施例1において、水酸化バリウム15部のかわりに、水酸化カルシウム15部使用した以外は同様の反応を行い、未反応フェノールが2.4%、フェノール類1モルに対するジメチレンエーテル結合の含有量が0.8モルであるレゾール型フェノール樹脂1240部を得た。
(比較例1)実施例1と同様のフラスコ中に、フェノール1000部、37%ホルムアルデヒド1294部、50%水酸化カルシウム水溶液40部添加し、100℃で4時間反応させた。反応後、80torrで減圧蒸留を行った後、90℃でフラスコから取り出し、未反応フェノールが2.9%、フェノール類1モルに対するジメチレンエーテル結合の含有量が0.3モルであるレゾール型フェノール樹脂1570部を得た。
(比較例2)比較例1において、50%水酸化カルシウムのかわりに、25%アンモニア水を使用した以外は同様の反応を行い、未反応フェノールが5.6%、フェノール類1モルに対するジメチレンエーテル結合の含有量が0.2モルであるレゾール樹脂1360部を得た。
実施例及び比較例で得られたレゾール型フェノール樹脂について、ゲル化時間、融点、溶融粘度、未反応フェノール量、水分量、ジメチレンエーテル結合数を測定した。結果を表1に示す。
(表の注)
・ ゲル化時間:JIS K6909に準拠し、150℃の熱板に樹脂2mlを用いて測定した。
・ ゲル化時間:JIS K6909に準拠し、150℃の熱板に樹脂2mlを用いて測定した。
・ 融点:JIS B7411に準拠し、測定した。
・ 溶融粘度:I.C.I.コーンプレートにより、110℃における粘度を測定した。
・ 未反応フェノール量:JIS K0114に準拠し、2,5−キシレノールを内部標準物質として内部標準法によって測定した。
(5)ジメチレンエーテル結合数:核磁気共鳴スペクトルを用い、測定した。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜3は、本発明の製造方法により得られた固形レゾール型フェノール樹脂であり、この方法以外により得られた比較例1、2に比較して融点が高く、低溶融粘度であった。更に、実施例は全て、未反応フェノール類の含有量が、樹脂全体に対して、5重量%以下であり、且つ、ジメチレンエーテル結合数が、フェノール類1モルに対して、0.5モル以上であった。
一方、比較例1で得られたレゾール型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量は低いものの、溶融粘度は高く、低融点であり、固形化しなかった。また、比較例2では、未反応フェノール類の含有量が高く、ゲル化時間が長いと共に溶融粘度が大きく上昇した。
以上のことにより、本発明の製造方法により得られた固形レゾール型フェノール樹脂は、高融点、低溶融粘度の特性を持ち、製造時のゲル化時間が適切であることから、専用の付加設備が不要で、煩雑な生産工程を経ることなく固形レゾール型フェノール樹脂を製造できることが示された。
一方、比較例1で得られたレゾール型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量は低いものの、溶融粘度は高く、低融点であり、固形化しなかった。また、比較例2では、未反応フェノール類の含有量が高く、ゲル化時間が長いと共に溶融粘度が大きく上昇した。
以上のことにより、本発明の製造方法により得られた固形レゾール型フェノール樹脂は、高融点、低溶融粘度の特性を持ち、製造時のゲル化時間が適切であることから、専用の付加設備が不要で、煩雑な生産工程を経ることなく固形レゾール型フェノール樹脂を製造できることが示された。
Claims (7)
- 固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法であって、
フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒を用いて反応させ、フェノール類1モルに対して、メチロール基の含有量が1モル以上含有するレゾール型フェノール樹脂を合成する工程(a)、及び
前記レゾール型フェノール樹脂を酸性触媒で中和する工程(b)、
を有することを特徴とした固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。 - 更に、前記(b)工程後に、前記レゾール型フェノール樹脂中の水分量が、前記レゾール型フェノール樹脂全体に対して、5重量%以下となるように脱水処理をする工程(c)、を有する請求項1に記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
- 前記酸性触媒は、有機スルホン酸、及び/又は無機酸を含むものである請求項1又は2に記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
- 前記固形レゾール型フェノール樹脂のpHは2.0〜8.0である請求項1〜3のいずれかに記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法により得られた固形レゾール型フェノール樹脂。
- 前記固形レゾール型フェノール樹脂中の未反応フェノール類の含有量が、前記レゾール型フェノール樹脂全体に対して、5重量%以下である請求項5に記載の固形レゾール型フェノール樹脂。
- 前記固形レゾール型フェノール樹脂中のジメチレンエーテル結合数は、フェノール類1モルに対して、0.5モル以上である請求項5又は6に記載の固形レゾール型フェノール樹脂。
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US8742056B2 (en) | 2010-03-25 | 2014-06-03 | Sumitomo Bakelite Co., Ltd. | Solid resol-type phenolic resin and method of manufacturing the same |
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2005
- 2005-09-30 JP JP2005287381A patent/JP2007099789A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8742056B2 (en) | 2010-03-25 | 2014-06-03 | Sumitomo Bakelite Co., Ltd. | Solid resol-type phenolic resin and method of manufacturing the same |
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