JP2007099745A - フェノールおよびシクロアルカノンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、アルミノケイ酸塩の存在下、シクロアルキルベンゼンヒドロパーオキシドを分解し、高い選択率でフェノールおよびシクロアルカノンを製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
細孔径が0.6nm以上のサイズを有するアルミノケイ酸塩の存在下、シクロアルキルベンゼンヒドロパーオキシドを分解させることにより、高い選択性で、フェノールおよびシクロアルカノンが得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、細孔径が0.6nm以上の細孔径を有するアルミノケイ酸塩の存在下、シクロアルキルベンゼンヒドロパーオキシドを分解させることを特徴とする、フェノールおよびシクロアルカノンの製造方法に関する。
【選択図】 なし
Description
即ち、本発明は、細孔径が0.6nm以上の細孔径を有するアルミノケイ酸塩の存在下、シクロアルキルベンゼンヒドロパーオキシドを分解させることを特徴とする、フェノールおよびシクロアルカノンの製造方法に関する。
ここでシクロアルキルベンゼンとしては、例えば、シクロペンチルベンゼン、シクロへキシルベンゼン、シクロヘプチルベンゼン、シクロオクチルベンゼンもしくはシクロドデシルベンゼン等が挙げられる。これら化合物は、その炭素原子上の水素原子が、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜4のアルキル基(メチル、エチル等)等で置換されても良い。また、2つ以上の脂環式化合物と芳香環からなる、例えば、1,4-ビシクロへキシルベンゼン等も挙げられる。
分子状酸素源としては、通常、酸素含有ガスが用いられる。酸素含有ガスとしては、例えば、空気、純酸素、更には、空気又は純酸素を、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスで希釈したものでもよい。また、空気に純酸素を添加した酸素富化空気を利用することもできる。
反応時間は反応条件により異なるが、通常、数分から数時間である。
反応圧力は、通常、0.01〜10Mpaであり、好ましくは0.1〜2MPaの範囲である。
この酸化反応において、反応に不活性な溶媒を使用することもできる。溶媒としては、例えば、アセトニトリル等のニトリル溶媒、二塩化エチレンや塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
ここで細孔径は、窒素によるガス吸着等温線測定により算出される。
0.6nm以上の細孔径を有するアルミノケイ酸塩としては、アルミノケイ酸塩であるゼオライトのうち、Y型ゼオライト(非特許文献6によるとY型ゼオライトの細孔径は0.74×0.74nmである。)やβゼオライト(非特許文献6によるとβゼオライトの細孔径は0.76×0.64nmである。)とその骨格置換ゼオライト(Ti-β)等が挙げられる。これらは、細孔径が反応分子であるシクロアルキルベンゼンヒドロパーオキシドと同程度以上の細孔を有するゼオライトであり、細孔径がシクロアルキルベンゼンヒドロパーオキシドより小さなZSM-5(MFI型)(非特許文献6によるとZSM-5の細孔径は0.56×0.53nmである。)等は十分な分解活性速度を有していない。その他、0.6nm以上の細孔径を有するアルミノケイ酸塩としては、メソ孔(IUPACによる定義;細孔径が2-50nm)を有するアルミノケイ酸塩も好適に使用できる。
なお、これらのアルミノケイ酸塩は単独のみならず混合して用いることもできる。
メソ孔を有するアルミノケイ酸塩は、特許文献3、4や非特許文献5に記載の方法に従って調製することができる。
反応時間は反応条件により異なるが、通常は数分から数時間である。
反応圧力は、通常、0.01〜10MPa、好ましくは0.1〜2MPaの範囲である。
この分解反応においては、反応に不活性な溶媒を用いることもできる。このような溶媒としては、例えば、アセトニトリル等のニトリル溶媒、二塩化エチレンや塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
冷却管を備えた50mlガラス製二つ口ナスフラスコに酸化触媒としてN-ヒドロキシフタルイミド(以下、NHPI)0.025g(0.15mmol)を計り取り、シクロへキシルベンゼン2.400g(15mmol)を加えた。純酸素ガスで系内を3回置換した後、冷却管上部に純酸素ガス風船をつけて封じ込めた。このフラスコを予め110℃に設定しておいたオイルバスに浸けて反応を開始した。4時間後に、フラスコをオイルバスから取り出し室温まで空冷して未反応酸素ガスを放出した。得られた反応液(シクロヘキシルベンゼンに対するシクロヘキシルベンゼンヒドロパーオキシドの生成率25%)にアセトニトリル10mlを加えて、酸触媒としてβゼオライト(東ソー製;HSZ-940HOA)0.050g加えた。80℃で2時間攪拌した後、反応液をFID検出器によるガスクロマトグラフィーを用いた内部標準法(内部標準物質:ドデカン)により生成したシクロヘキサノン、フェノール及び未反応のシクロヘキシルベンゼン等を定量した。
その結果、シクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシドの分解率は100%、シクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシド基準でシクロヘキサノンの選択率は88%、フェノールの選択率は85%であった。反応液からβゼオライトをグラスフィルターを用いて分離し、空気中、500℃で1時間焼成した。
このようにして得られた回収触媒(βゼオライト)を用いて、上記と同様にシクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシドを調製し、分解反応を再度行った。
その結果、シクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシドの分解率は100%、シクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシド基準でシクロヘキサノンの選択率は88%、フェノールの選択率は84%であった。
再度触媒(βゼオライト)を回収し、空気中、100℃で12時間乾燥後、蛍光X線による全元素定量したところ、使用前後の触媒組成であるSi/Al比(原子比)に変化はなく、X線回折によるβゼオライト構造も維持されていた。
酸触媒として酸型ZSM-5(N.Eケムキャット製;Si/Al=317)を用いた以外は実施例1と同様にシクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシドの分解反応を行った。その結果、シクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシドの分解率は60%、シクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシド基準でシクロヘキサノンの選択率は54%、フェノールの選択率は57%であった。
セチルトリメチルアンモニウムブロミド3.640g(10.0mmol)をイオン交換水50mlに溶解させた溶液に硝酸アルミニウム九水和物0.15g(0.4mmol)を加えて激しく攪拌した。これに予め27wt%ケイ酸ソーダ水溶液10mlにイオン交換水20mlを加えた溶液を加えて室温で3時間激しく攪拌した。1mol/L(リットル)の塩酸で、この溶液のpHを約8に調整し、テフロン(登録商標)内挿管付sus製オートクレーブにて110℃で30時間水熱合成を行った。生成した白色固体を濾取してイオン交換水で洗浄し、105℃で24時間乾燥した。次いで、空気中、室温から600℃まで1.7℃/分の昇温速度で昇温し、600℃で2時間焼成を行った。得られた酸化物について分析を行ったところ、X線回折測定及び窒素吸着測定による吸着等温線によりメソ多孔体であることを確認した。細孔径、比表面積はそれぞれ2.4nm、1065m2/gであった。蛍光X線によるSi/Al比(原子比)は207であった。以下、MSと略記する。
なお、比表面積及び細孔径は、高速比表面積・細孔径分布測定装置(NOVA-1200;ユアサアイオニクス社製)による窒素吸着測定(120℃真空下で30分前処理)にて行った。
酸触媒として前述したMSを用いた以外は実施例1と同様にシクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシドを調製し、分解反応を行った。その結果、シクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシドの分解率は100%、シクロへキシルベンゼンヒドロパーオキシド基準でシクロヘキサノンの選択率は88%、フェノールの選択率は85%であった。
回収した酸触媒(MS)については、使用前後の触媒組成であるSi/Al比(原子比)に変化はなく、X線回折によるメソ多孔体構造も維持されていた。
Claims (2)
- 細孔径が0.6nm以上の細孔径を有するアルミノケイ酸塩の存在下、シクロアルキルベンゼンヒドロパーオキシドを分解させることを特徴とする、フェノールおよびシクロアルカノンの製造方法。
- 細孔径が0.6nm以上の細孔径を有するアルミノケイ酸塩が、Y型ゼオライト、βゼオライト、若しくはこれらの骨格置換ゼオライト、又はメソ孔を有するアルミノケイ酸塩、或いはこれらのアルミノケイ酸塩を混合したものである請求項1に記載のフェノールおよびシクロアルカノンの製造方法。
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