JP2007093749A - Dlc膜を含む光学素子とその製造方法 - Google Patents

Dlc膜を含む光学素子とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 DLC膜を利用した光学素子の製造方法を改善して、設計から期待される光学特性により近い特性を有する光学素子を提供する。
【解決手段】 光学素子は、透光性基板(1)上に形成された透光性DLC膜(2)を含み、そのDLC膜は0.7μm以上で3μm以下の範囲内の厚さを有し、DLC膜の少なくとも一部の領域はその厚さを貫通するエネルギビーム(4)の照射によって屈折率が高められており、エネルギビームが照射された領域において、DLC膜(2)のビーム入射側面と基板側面とのいずれにおいても1.7以上の屈折率を有することを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明はDLC(ダイアモンドライクカーボン:ダイアモンド状炭素)膜を利用した光学素子とその製造方法に関し、特に、その光学素子の特性と製造方法の改善に関するものである。
有用な光学素子の典型例として、種々の回折光学素子が知られている。回折光学素子は、光の回折現象を利用することによって種々の機能を生じさせ得る光学素子である。より具体的には、波長合分岐、パワー合分岐、偏光合分岐、波長板、光アイソレータ、またはレンズなどの機能を有する回折光学素子が知られている。
一般に、回折光学素子は、透光性基板上に回折格子層を形成することによって作製される。その回折格子層の構造的相違に基づいて、回折光学素子は屈折率変調型とレリーフ型とに大別される。
周知のように、レリーフ型回折光学素子は、透光性基板上に形成された回折格子層を含んでおり、この回折格子層にはレリーフ構造が形成されている。すなわち、回折格子層においては、相対的に大きな厚さを有する局所的領域と相対的に小さな厚さを有する局所的領域とが周期的に交互に形成されている。そして、大きな厚さの領域を通過した光と小さな厚さの領域を通過した光との間で生じる位相差に起因して回折現象が生じ得る。そのようなレリーフ構造を有する回折格子層は、たとえば、透光性基板上に石英系ガラス層を堆積し、フォトリソグラフィとエッチングを利用してそのガラス層を加工することによって形成され得る。
しかし、レリーフ型回折光学素子の作製に必要なフォトリソグラフィやエッチングはかなり複雑な加工工程であり、相当の時間と手間を要する。また、そのエッチング深さを精度よく制御することが容易でない。さらに、レリーフ型回折光学素子においては、その表面に微細な凹凸が形成されているので、埃や汚れが付着しやすいという問題もある。
他方、周知のように、屈折率変調型回折光学素子は、透光性基板上に形成された回折格子層を含んでおり、この回折格子層には屈折率変調構造が形成されている。すなわち、回折格子層においては、相対的に小さな屈折率を有する局所的領域と相対的に大きな屈折率を有する局所的領域とが周期的に交互に形成されている。そして、低屈折率の領域を通過した光と高屈折率の領域を通過した光との間で生じる位相差に起因して回折現象が生じ得る。
そのような屈折率変調構造を有する回折格子層は、たとえばエネルギビーム照射を受けることによって屈折率が増大する材料を用いて形成することができる。たとえば、Geがドープされた石英ガラスは、紫外線照射によってその屈折率が増大することが従来から知られている。また、石英ガラスにX線を照射することによってもその屈折率が増大することも知られている。すなわち、透光性基板上に屈折率n1の石英系ガラス層を堆積し、そのガラス層にエネルギビームを周期的パターンで照射して局所的に屈折率をn2に高めることによって、回折格子層を形成することができる。
以上から分かるであろうように、屈折率変調型回折光学素子は、レリーフ型回折光学素子に比べて簡便な工程で短時間に作製することができる。また、屈折率変調型回折光学素子の表面は平坦であり得るので、レリーフ型回折光学素子の場合のように表面の微細な凹凸に埃や汚れが付着し易いという問題を生じない。
ところが、上述のように屈折率変調型回折光学素子は原理的には作製可能であることが従来から知られていたが、実用的な屈折率変調型回折光学素子を得ることは困難であった。なぜならば、たとえば石英系ガラスにエネルギビームを照射することによって得られる屈折率変化量はせいぜい0.002程度であって、効果的な屈折率変調型の回折格子層を形成することが困難だったからである。
このような状況において、DLC膜を利用することによって実用的な種々の屈折率変調型回折光学素子を作製し得ることが、最近の特許文献1の特開2004−163892号公報および特許文献2の特開2005−202356号公報などにおいて本発明者らによって開示されている。
図5から図7において、DLC膜を利用して屈折率変調型回折光学素子を作製する過程の簡略な一例が、模式的な断面図で図解されている。なお、本願の図面において、長さや厚さのような寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を反映してはいない。
まず、図5に示されているように、たとえばSiO2の基板1上に、DLC膜2がプラズマCVDによって堆積される。そのようなDLC膜2は、堆積されたままの状態において、典型的には1.55程度の屈折率を有している。
図6においては、DLC膜2上に、たとえばリフトオフ法によって金マスク3が形成される。その後、金マスク3の開口部を介して、紫外線、X線、または粒子線などのエネルギビーム4がDLC膜2に照射される。その結果、DLC膜2のうちでエネルギビーム4が照射されなかった領域はプラズマCVDによって堆積された状態のままの屈折率1.55を有するが、エネルギビーム4が照射された領域2aの屈折率としては、たとえば2.05程度まで高めることが可能である。このように、DLC膜におけるエネルギビーム照射による屈折率変化は石英系ガラスにおいて得られる屈折率変化に比べてはるかに大きいものであり、十分に回折効率の大きな回折格子層の形成が可能となる。
そして、図7に示されているように、金マスク3がエッチングによって除去され、屈折率変調型回折光学素子が得られる。
なお、図5から図7の例ではDLC膜上に金マスク3を形成する場合が示されたが、そのような金マスクの代わりに、DLC膜とは個別に作製された種々のマスクを繰り返して利用することもできる。
特開2004−163892号公報 特開2005−202356号公報
上述のように、DLC膜を利用することによって実用的な屈折率変調型回折光学素子を作製し得ることが、特許文献1および2などにおいて本発明らによって開示されている。
そのようなDLC膜を利用した屈折率変調型回折光学素子について本発明らがより詳細に検討したところ、作製された回折光学素子における光学特性が、設計から期待される特性値から大きくずれる場合が多いことを見出した。
そこで、本発明は、DLC膜を利用した光学素子の製造方法を改善して、設計から期待される光学特性により近い特性を有する光学素子を提供することを目的としている。
本発明による光学素子は、透光性基板上に形成された透光性DLC膜を含み、そのDLC膜は0.7μm以上で3μm以下の範囲内の厚さを有し、DLC膜の少なくとも一部の領域はその厚さを貫通するエネルギビームの照射によって屈折率が高められており、エネルギビームが照射された領域において、DLC膜のビーム入射側面と基板側面とのいずれにおいても1.7以上の屈折率を有することを特徴としている。
なお、DLC膜が0.7μm以上で2μm以下の範囲内の厚さを有する場合には、エネルギビームが照射された領域において、DLC膜のビーム入射側面と基板側面とのいずれにおいても1.8以上の屈折率を有し得る。また、DLC膜が0.7μm以上で1μm以下の範囲内の厚さを有する場合には、エネルギビームが照射された領域において、DLC膜のビーム入射側面と基板側面とのいずれにおいても1.9以上の屈折率を有し得る。
本発明による光学素子は、DLC膜の厚さを貫通して形成された相対的に高屈折率の局所的領域と相対的に低屈折率の局所的領域とを含む屈折率変調型回折光学素子であり得る。また、本発明による光学素子は、DLC膜の所定の位置からその膜面に平行な方向に離れるにしたがって屈折率が連続的に変化させられていてレンズ作用を生じる光学素子でもあり得る。
本発明による光学素子を製造する方法においては、DLC膜を加熱した状態でエネルギビームを照射して屈折率を高める工程を含むこと特徴としている。
なお、そのエネルギビームとしては、紫外線、X線、イオンビーム、および電子線から選択されたいずれかを含むことができる。
以上のような本発明によれば、DLC膜の厚さ方向に均一な屈折率を有する高屈折率領域を形成するように光学素子の製造方法を改善することができ、設計から期待される光学特性により近い改善された特性を有する光学素子を提供することが可能となる。
前述のように、本発明者らは、特許文献1および2において、DLC膜を利用して作製された種々の屈折率変調型回折光学素子を開示している。本発明者らはまた、特願2004−252705号において、DLC膜の膜面に平行な方向において連続的に屈折率が変化させられていてレンズ作用を生じる種々の光学素子をも開示している。
図3は、特願2004−252705号に開示された光学素子の作製方法の一例を模式的な断面図で図解している。この図において、DLC膜2上にはマスク3aが形成されている(基板は図示省略)。このマスク3aの厚さは、一点鎖線で表された中心軸Oから半径方向に離れるにしたがって連続的に増大させられている。このようなマスク3aを介してエネルギビーム4をDLC膜2に照射すれば、その中心軸Oの近傍ではエネルギビーム4のドース量が高いが、中心軸Oから半径方向に離れるにしたがってそのドース量が低下する。したがって、エネルギビーム4が照射されたDLC膜2は、矢印N1で表されているように、中心軸Oに近づくにしたがって相対的に高い屈折率を有することになる。その結果、DLC膜2は球面状凸レンズと同様なレンズ作用を生じる光学素子となり得る。
なお、マスク3aの厚さは、一点鎖線で表された中心縦断面Oから離れるにしたがって増大させられてもよい。その場合には、エネルギビーム4が照射されたDLC膜2は、矢印N1で表されているように、中心縦断面Oに近づくにしたがって相対的に高い屈折率を有することになり、柱面状凸レンズと同様なレンズ作用を生じる光学素子となり得る。
図4は、特願2004−252705号に開示された光学素子の作製方法の他の例を模式的な断面図で図解している。この図において、DLC膜2上にはマスク3bが形成されている(基板は図示省略)。このマスク3bの厚さは、一点鎖線で表された中心軸Oから半径方向に離れるにしたがって連続的に減少させられている。このようなマスク3bを介してエネルギビーム4をDLC膜2に照射すれば、その中心軸Oの近傍ではエネルギビーム4のドース量が低いが、中心軸Oから半径方向に離れるにしたがってそのドース量が増大する。したがって、エネルギビーム4が照射されたDLC膜2は、矢印N2で表されているように、中心軸Oから離れるにしたがって相対的に高い屈折率を有することになる。その結果、DLC膜2は球面状凹レンズと同様なレンズ作用を生じる光学素子となり得る。
なお、マスク3bの厚さは、一点鎖線で表された中心縦断面Oから離れるにしたがって増大させられてもよい。その場合には、エネルギビーム4が照射されたDLC膜2は、矢印N2で表されているように、中心縦断面Oから離れるにしたがって相対的に高い屈折率を有することになり、柱面状凹レンズと同様なレンズ作用を生じる光学素子となり得る。
本発明者らは、上述のようにDLC膜を利用して作製されたこれらの光学素子における光学特性が、設計から期待される特性値から大きくずれる場合の原因について詳細に検討した。その結果、エネルギビームが照射された領域においてDLC膜のビーム入射側面と基板側面との間で相当に大きな屈折率差の生じていることが、光学素子において設計から期待される光学的特性値から大きくずれる主要な原因であることが見出された。
そして、本発明者らがさらに検討したところ、DLC膜を加熱しながらエネルギビーム照射することによって、そのエネルギビームが照射された領域においてDLC膜のビーム入射側面と基板側面との間の屈折率差を顕著に減少させ得ることが見出された。そこで、DLC膜を加熱しながらエネルギビーム照射することによって、そのエネルギビームが照射された領域においてDLC膜のビーム入射側面と基板側面との間の屈折率差がどのように減少させ得るかが、以下の種々の実施形態において説明される。
まず、本発明による光学素子に利用し得るDLC膜は、種々の方法によって作製可能であり、たとえばプラズマCVDを利用して作製することができる。主成分として炭素を含むDLC膜を周知のプラズマCVDで堆積する場合に、種々の飽和または不飽和の炭化水素のガスまたは蒸気を原料ガスとして使用することができる。より具体的には、メタン(CH4、分子量16、飽和)、アセチレン(CH≡CH、分子量26、不飽和)、シクロプロパン(C36、分子量42、飽和)、プロパン(C38、分子量44、飽和)、ブチン(CH3C≡CCH3、分子量54、不飽和)、ブチレン(CH2=CHCH2CH3、分子量56、不飽和)、ベンゼン(C66、分子量78、飽和)、ヘキサン(C614、分子量86、飽和)、オクタン(C818、分子量114、飽和)などの炭化水素のガスまたは蒸気を利用して、主成分として炭素を含むDLC膜をプラズマCVDで堆積させることができる。
本発明者らは、これらの炭化水素のガスまたは蒸気をプラズマCVD反応室内に導入して、実際に薄膜を作製した。より具体的には、反応室内において、直径15mmの円盤状の基板電極上に4インチ径(直径約10cm)で厚さ600μmのウエハ状の石英ガラス基板が配置された。そして、50Paの反応室圧力と室温の基板温度の条件下で、周波数13.56MHzの高周波電力100Wが基板電極に印加され、主成分として炭素を含むDLC膜が石英ガラス基板上に作製された。こうして得られたDLC膜について、波長530nmの光に対する屈折率を分光エリプソメトリで測定した結果、その屈折率値は1.55であった。
(実施形態1)
図1は、上述のようにして得られたDLC膜に対してエネルギビームを照射して屈折率を高める方法を模式的な断面図で図解している。本発明らはまず、厚さ600μmの石英ガラス基板1上で0.7μmの厚さに堆積されたDLC膜2を加熱することなくエネルギビーム4を照射して、その照射領域においてDLC膜2の屈折率を高めた。本実施形態1においては、エネルギビーム4として、248nmの波長を有するKrFエキシマレーザ光が用いられた。
そのようなエネルギビーム4の照射によって屈折率が高められたDLC膜2を分光エリプソメトリで詳細に調べたところ、エネルギビーム4が照射された領域におけるDLC膜2の上面側では波長530nmの光に対する屈折率が照射前の1.55から照射後の2.0まで高められているが、下面側においては屈折率が照射前の1.55から照射後の1.63までしか高められていないことが分かった。すなわち、エネルギビーム4の照射領域において、厚さ0.7μmのDLC膜2の上面側と下面側とにおいて、0.37もの大きな屈折率差が生じていることが分かる。
図2の模式的なグラフ中で一点鎖線で表された矢印C1は、このようなエネルギビーム4の照射領域において、DLC膜2の上面側と下面側との間で生じている屈折率差を視覚的に示している。すなわち、図2のグラフにおいて、横軸はDLC膜2の厚(μm)さを表し、縦軸は屈折率を表している。そして、一点鎖線で表された矢印C1は、エネルギビーム4が照射された領域における厚さ0.7μmのDLC膜2の上面側では屈折率が2.0まで高められているが、下面側においては屈折率が1.63にまでしか高められていないことを表している。ただし、そのDLC膜2の上面側から下面側に至る厚さの途中において、屈折率変化がどのように分布しているかは示されておらず、矢印C1はDLC膜2の上面側と下面側との屈折率差のみを視覚的に表している。
いずれにしても、矢印C1はエネルギビーム4の照射によってDLC膜2の下面まで十分に屈折率を高めることができていないことを表しており、そのような場合には、設計から期待される光学特性から大きくずれた特性を有する光学素子しか得られないであろうことが容易に理解されよう。
本発明者らは次に、石英ガラス基板1上で0.7μmの厚さに堆積されたDLC膜2を加熱した状態において、波長248nmのKrFエキシマレーザ光4を照射して、その照射領域においてDLC膜2の屈折率を高めた。この際に、図1に示されているように、DLC膜2は基板1を介してヒータ5によって加熱された。基板1の下面には熱電対(図示せず)が接続され、その温度が150℃になるようにヒータ5が制御された。
そのような加熱状態でエネルギビーム4が照射されて屈折率が高められたDLC膜2を詳細に調べたところ、エネルギビーム4が照射された領域におけるDLC膜2の上面側では波長530nmの光に対する屈折率が照射前の1.55から照射後の2.0まで高められており、下面側においても屈折率が照射前の1.55から照射後の1.93まで高められていた。すなわち、DLC膜2を加熱した状態でエネルギビーム4を照射した場合には、厚さ0.7μmのDLC膜2の下面側まで十分に屈折率が高められ、上面側と下面側とにおいて僅かに0.07の小さな屈折率差しか生じていないことが分かる。
この状況が、図2のグラフ中の実線の矢印H1によって視覚的に表されている。すなわち、矢印H1はエネルギビーム4の照射によってDLC膜2の下面まで十分に屈折率を高めることができていることを表しており、そのような場合には、設計から期待される光学特性に近い特性を有する屈折率変調型回折光学素子が得られるであろうことが容易に理解されよう。
(実施形態2)
実施形態2は、DLC膜の厚さが0.7μmから1μmに変更されたことのみにおいて実施形態1と異なっている。本実施形態2の結果も、図2のグラフにおいて示されている。
図2において、一点鎖線で表された矢印C2は、DLC膜2を加熱しない状態でエネルギビーム4が照射された領域において、厚さ1μmのDLC膜2の上面側では屈折率が2.0まで高められているが、下面側では屈折率が1.6にまでしか高められていないことを示している。すなわち、エネルギビーム4の照射領域において、厚さ1μmのDLC膜2の上面側と下面側とにおいて、0.4もの大きな屈折率差が生じていることが分かる。
他方、図2のグラフ中の実線の矢印H2は、厚さ1μmのDLC膜2を加熱した状態でエネルギビーム4が照射された領域において、DLC膜2の上面側では屈折率が2.0まで高められており、下面側でも屈折率が1.9まで高められいることを示している。すなわち、DLC膜2を加熱した状態でエネルギビーム4を照射した場合には、厚さ1μmのDLC膜2の下面側まで十分に屈折率が高められ、上面側と下面側とにおいて僅かに0.1の小さな屈折率差しか生じていないことが分かる。
(実施形態3)
実施形態3は、DLC膜の厚さが0.7μmから2μmに変更されたことのみにおいて実施形態1と異なっている。本実施形態3の結果も、図2のグラフにおいて示されている。
図2において、一点鎖線で表された矢印C3は、DLC膜2を加熱しない状態でエネルギビーム4が照射された領域において、厚さ2μmのDLC膜2の上面側では屈折率が2.0まで高められているが、下面側では屈折率がエネルギビーム照射前の1.55から高められていないことを示している。すなわち、エネルギビーム4の照射領域において、厚さ2μmのDLC膜2の上面側と下面側とにおいて、0.45もの大きな屈折率差が生じていることが分かる。
他方、図2のグラフ中の実線の矢印H3は、厚さ2μmのDLC膜2を加熱した状態でエネルギビーム4が照射された領域において、DLC膜2の上面側では屈折率が2.0まで高められており、下面側でも屈折率が1.8まで高められいることを示している。すなわち、DLC膜2を加熱した状態でエネルギビーム4を照射した場合には、厚さ2μmのDLC膜2の下面側まで屈折率が高められ、上面側と下面側とにおいて0.2の小さな屈折率差しか生じていないことが分かる。
(実施形態4)
実施形態4は、DLC膜の厚さが0.7μmから3μmに変更されたことのみにおいて実施形態1と異なっている。本実施形態4の結果も、図2のグラフにおいて示されている。
図2において、一点鎖線で表された矢印C4は、DLC膜2を加熱しない状態でエネルギビーム4が照射された領域において、厚さ3μmのDLC膜2の上面側では屈折率が2.0まで高められているが、下面側では屈折率がエネルギビーム照射前の1.55から高められていないことを示している。すなわち、エネルギビーム4の照射領域において、厚さ3μmのDLC膜2の上面側と下面側とにおいて、0.45もの大きな屈折率差が生じていることが分かる。
他方、図2のグラフ中の実線の矢印H4は、厚さ3μmのDLC膜2を加熱した状態でエネルギビーム4が照射された領域において、DLC膜2の上面側では屈折率が2.0まで高められており、下面側でも屈折率が1.7まで高められいることを示している。すなわち、DLC膜2を加熱した状態でエネルギビーム4を照射した場合には、厚さ3μmのDLC膜2の下面側まで屈折率が高められ、上面側と下面側とにおいて加熱しない場合の屈折率差0.45に比べて小さな屈折率差0.3しか生じていないことが分かる。
なお、以上の実施形態においては基板1の下面が150℃の温度に加熱されたが、50℃以上にすればエネルギビーム照射時の加熱の効果が現れ、200℃以上にしてもその加熱の効果は変わらない。他方、エネルギビーム4を照射することなくDLC膜2を200℃以上に加熱しても、加熱だけでDLC膜2の屈折率を高めることはできない。
以上のように、本発明によれば、DLC膜の厚さ方向により均一な屈折率を有する高屈折率領域を形成するように光学素子の製造方法を改善することができ、設計から期待される光学特性により近い改善された特性を有する光学素子を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態においてDLC膜の屈折率を高める方法を図解する模式的断面図である。 本発明の種々の実施形態においてエネルギビームが照射されて屈折率が高められたDLC膜のエネルギビーム入射側面と基板側面との屈折率差を視覚的に示す模式的グラフである。 特願2004−252705号において本発明らによって開示された光学素子の作製方法の一例を図解する模式的断面図である。 特願2004−252705号において本発明らによって開示された光学素子の作製方法の他の例を図解する模式的断面図である。 先行技術においてDLC膜を用いて屈折率変調型回折光学素子を作製する方法の一例を図解する模式的断面図である。 図5に続く作製工程を示す模式的断面図である。 図6に続く作製工程を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 透光性基板、2 DLC膜、3、3a、3b マスク、4 エネルギビーム、5 ヒータ。

Claims (8)

  1. 透光性基板上に形成された透光性DLC膜を含み、
    前記DLC膜は0.7μm以上で3μm以下の範囲内の厚さを有し、
    前記DLC膜の少なくとも一部の領域はその厚さを貫通するエネルギビームの照射によって屈折率が高められており、
    前記エネルギビームが照射された領域において、前記DLC膜のビーム入射側面と基板側面とのいずれにおいても1.7以上の屈折率を有することを特徴とする光学素子。
  2. 前記DLC膜は0.7μm以上で2μm以下の範囲内の厚さを有し、
    前記エネルギビームが照射された領域において、前記DLC膜のビーム入射側面と基板側面とのいずれにおいても1.8以上の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記DLC膜は0.7μm以上で1μm以下の範囲内の厚さを有し、
    前記エネルギビームが照射された領域において、前記DLC膜のビーム入射側面と基板側面とのいずれにおいても1.9以上の屈折率を有することを特徴とする請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記光学素子は前記DLC膜の厚さを貫通して形成された相対的に高屈折率の局所的領域と相対的に低屈折率の局所的領域とを含む屈折率変調型回折光学素子であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学素子。
  5. 前記DLC膜の所定の位置からその膜面に平行な方向に離れるにしたがって屈折率が連続的に変化させられていてレンズ作用を生じることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学素子。
  6. 請求項1から5のいずれかの光学素子を製造するための方法であって、前記高屈折率領域は、前記DLC膜を加熱した状態でエネルギビームを照射して屈折率を高めることによって形成されることを特徴とする光学素子の製造方法。
  7. 透光性基板上に形成された透光性DLC膜を含む光学素子の製造方法であって、前記DLC膜を加熱した状態でエネルギビームを照射して屈折率を高める工程を含むこと特徴とする光学素子の製造方法。
  8. 前記エネルギビームは、紫外線、X線、イオンビーム、および電子線から選択されたいずれかを含むことを特徴とする請求項6または7に記載の光学素子の製造方法。
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JP2015094892A (ja) * 2013-11-13 2015-05-18 独立行政法人日本原子力研究開発機構 回折格子

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