JP2007219280A - 屈折率変調型回折光学素子の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】設計において期待される改善された特性を有する屈折率変調型回折光学素子を簡便かつ低コストで作製する方法を提供する。
【解決手段】1mrad以上の発散角を有するUVレーザ光(4b)を位相格子マスク(3a)を介してDLC膜(2)に照射することによって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法において、空気雰囲気中でUVレーザ光を5mW/mm2以下のパワー密度で照射することを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、屈折率変調型回折光学素子の作製方法の改善に関し、特に、特性の改善された屈折率変調型回折光学素子を簡便かつ低コストで作製する方法に関する。
周知のように、回折光学素子は、光の回折現象を利用することによって種々の機能を生じさせ得る光学素子である。より具体的には、波長合分岐、パワー合分岐、偏光合分岐、波長板、光アイソレータ、またはレンズなどの機能を有する回折光学素子が知られている。
一般に、回折光学素子は、透光性基板上に回折格子層を形成することによって作製される。その回折格子層の構造的相違に基づいて、回折光学素子はレリーフ型と屈折率変調型とに大別される。レリーフ型回折光学素子において回折が生じるのは、回折格子層のレリーフにおける厚い部分を通過する光の位相が薄い部分を通過する光の位相に比べて遅れることによって位相差が生じるかである。他方、屈折率変調型回折光学素子において回折が生じるのは、回折格子層の高屈折率領域を通過する光の位相が低屈折率領域を通過する光の位相に比べて遅れることによって位相差が生じるかである。
しかし、屈折率変調型回折光学素子は原理的には作製可能であるが、従来では実用的な屈折率変調型回折光学素子を作製することが困難であった。なぜならば、たとえば石英系ガラスに紫外光やX線のようなエネルギビームを照射することによって屈折率を高め得ることが知られているが、その場合の屈折率変化Δnは0.01以下程度に小さいからである。また、アルゴンレーザなどを用いて約500nmの波長の光をフォトポリマに照射してそれを熱処理することによってその屈折率変化Δnを0.04程度まで高め得ることも知られているが、屈折率差Δnが0.04程度の屈折率変調では良好な回折効率を有する回折光学素子を得るためには未だ不十分である。
ところが、近年において、本発明者らは、透光性DLC(ダイヤモンドライクカーボン:ダイヤモンド状炭素)膜を利用して良好な回折効率を有する屈折率変調型回折光学素子を作製し得ることを特許文献1の特開2004−163892号公報において開示している。すなわち、本発明者らは、イオンビームやSR(シンクロトロン放射)光のようなエネルギビームをDLC膜に照射することによってその屈折率変化Δnを0.1以上に顕著に高めることができることを確認している。そのようなDLC膜は、ガラス基板、ポリマ基板、およびその他の種々の透光性基板上にプラズマCVD(化学気相堆積)によって形成することができる。そして、そのようなプラズマCVDによって得られる透光性DLC膜は、通常は1.55程度の屈折率を有している。
図3から図5は、特許文献1に開示された屈折率変調型回折光学素子の作製過程を図解する模式的な断面図である。なお、本願の図面において、長さや厚さのような寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を反映してはいない。
図3に示されているように、たとえばシリカガラス基板1上に、DLC膜2がプラズマCVDによってたとえば2μmの厚さに堆積される。なお、屈折率変調型回折光学素子におけるDLC膜の厚さに特別な制限はなく、任意の厚さに設定し得る。ただし、DLC膜があまりに厚過ぎれば、その膜による光吸収効果が大きくなり過ぎることにおいて好ましくない。また、DLC膜があまりに薄過ぎれば、十分な回折効果を得ることが困難になる傾向にあるので好ましくない。現在利用可能なDLC膜においては、好ましくは0.5〜7μm程度の厚さ範囲内のDLC膜が屈折率変調型回折光学素子に利用される。しかし、より小さな光吸収係数を有するDLC膜が得られればより厚いDLC膜の利用も可能であろうし、屈折率変化Δnをより大きくできればより薄いDLC膜の利用も可能になるであろう。
図4においては、DLC膜2上に、たとえばリフトオフ法によって金マスク3が形成される。この金マスク3においては、たとえば幅0.5μmの金ストライプが0.5μmの間隔を隔てて繰り返し配列される。すなわち、この金マスク3は、ライン・アンド・スペースのパターンを有している。その後、金マスク3の開口部を介して、たとえば800keVの加速電圧の下でHeイオンビーム4がたとえば5×1017/cm2のドース量でDLC膜2内に注入される。
その結果、DLC膜2のうちでHeイオン4が注入されなかった領域2bは1.55の屈折率のままに維持されるが、Heイオン4が注入された領域2aの屈折率はたとえば2.05に高められ得る。すなわち、その屈折率変化Δnは0.6程度もの非常に大きな値になり得る。このようなDLC膜における屈折率変化は石英系ガラスやフォトポリマにおいて得られる屈折率変化に比べてはるかに大きいものであり、十分に回折効率の大きな回折格子層の形成が可能となる。
図5において、最終的に金マスク3がエッチングによって除去され、屈折率変調型回折光学素子が得られる。
しかしながら、上述のようなイオン照射によって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法では、そのように高い加速電圧でイオン照射する装置が高価である。そして、そのようなイオン照射装置を良好な状態に維持管理するためにも費用がかかる。また、イオン照射の代わりにSR光照射を利用する場合でも、シンクロトロンという大掛かりで高価な装置を要する。さらに、金マスクもコスト高の要因となるし、そのマスクのリフトオ法による形成やエッチングによる除去の手間も煩雑である。
このような観点から、本発明らは、UV(紫外)光を位相格子マスクを介してDLC膜に照射することによって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法を特許文献2の国際公開第2005/088364号パンフレットにおいて開示している。
図6は、特許文献2に開示された屈折率変調型回折光学素子の作製方法を図解する模式的な断面図である。この作製方法においては、たとえば厚さ100μmのスペーサ5を介して、シリカガラス製のレリーフ型位相格子マスク(回折格子)3aがDLC膜2に対して近接配置される。この状態で、たとえばKrFレーザ光(波長248nm)4aをたとえば16mW/mm2のエネルギ密度で1時間照射することによって、回折光学素子を作製することができる。このとき、位相格子マスク3aからの+1次回折光と−1次回折光との干渉光に露光される領域2aの屈折率が高められる。他方、その干渉光よって露光されない領域2bの屈折率は、成膜されたままの状態に維持される。
この場合、+1次回折光と−1次回折光との干渉光は、レリーフ型位相格子マスク3aの凹凸周期の1/2の周期で現れる。したがって、DLC膜中の所望の高屈折率領域2aの周期に比べて2倍の凹凸周期で形成されたレリーフ型位相格子マスク3aを用いることができる。
なお、図6における屈折率変調型回折光学素子の作製方法では高屈折率領域2aと低屈折率領域2bとの間の境界領域が膜厚方向に平行な場合が例示されているが、望まれる場合には、その境界領域を膜厚方向に対して傾斜させてもよいことは言うまでもない。そのためには、紫外光4aをDLC膜面に対して斜め方向に入射させて、0次回折光と+1次回折光または−1次回折光との干渉光による露光を利用すればよい。ただし、0次回折光と+1次回折光または−1次回折光との干渉光は、位相格子マスク3aの凹凸周期と同じ周期で現れる。したがって、DLC膜中の所望の高屈折率領域2aの周期に比べて同じ周期の凹凸で形成された位相格子マスク3aを用いなければならない。
特開2004−163892号公報 国際公開第2005/088364号パンフレット
図6に示されているように、位相格子マスク3aを介してDLC膜2にUVビーム照射することによって簡便かつ低コストで屈折率変調型回折光学素子を作製し得ることが本発明者らの検討によって分かったが、設計通りの望ましい回折特性を有する屈折率変調型回折光学素子を作製することが容易でないことが判明した。
そこで、本発明は、設計において期待される改善された特性を有する屈折率変調型回折光学素子を簡便かつ低コストで作製する方法を提供することを目的としている。
本発明の一つの態様によれば、1mrad以上の発散角を有するUVレーザ光を位相格子マスクを介してDLC膜に照射することによって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法において、空気雰囲気中でUVレーザ光を5mW/mm2以下のパワー密度で照射することを特徴としている。
本発明の他の態様によれば、1mrad以上の発散角を有するUVレーザ光を位相格子マスクを介してDLC膜に照射することによって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法において、希ガスまたは窒素ガスの雰囲気中でUVレーザ光を照射することを特徴としている。
以上のような本発明の態様において、位相格子マスクとDLC膜との間に100μm以下の厚さのスペーサを介在させた状態でUVレーザ光を照射することが好ましい。
本発明のさらに他の態様によれば、1mrad以上の発散角を有するUVレーザ光を位相格子マスクを介してDLC膜に照射することによって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法において、空気雰囲気中で位相格子マスクが前記DLC膜に接した状態で配置され、UVレーザ光を30mW/mm2以下のパワー密度で照射することを特徴としている。
本発明のさらに他の態様によれば、1mrad以上の発散角を有するUVレーザ光を位相格子マスクを介してDLC膜に照射することによって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法において、希ガスまたは窒素ガスの雰囲気中で位相格子マスクがDLC膜に接した状態で配置され、UVレーザ光を照射することを特徴としている。
以上のような態様の本発明において、UVレーザ光を位相格子マスクを介してDLC膜に照射することによってDLC膜中に形成される屈折率分布における高屈折率領域と低屈折率領域との屈折率差が0.1以上に高められ得る。
以上のような本発明によれば、特性の改善された屈折率変調型回折光学素子を簡便かつ低コストで作製することができる。
まず、本発明者らは、図6の作製方法において、何故に設計通りの望ましい回折特性を有する屈折率変調型回折光学素子を作製することが容易でないのかについて、その原因を解明すべく詳細に検討した。
その結果、UVレーザビームの発散角とそのレーザビームの照射によるDLC膜におけるアブレーションが重大な影響を及ぼしていることが判明した。
前述のように、UVレーザビームとしてKrFレーザビーム(波長248nm)がしばしば利用される。ここで、一般に市販されているKrFレーザ装置におけるビームは、1mrad以上の発散角を有している。
この場合、図6におけるような作製方法において、位相格子マスク3aとDLC膜2との距離が大きければ、位相格子マスクによる干渉パターンにおける強度変化割合がビームの発散角に起因して低下し、DLC膜2中において十分な屈折率変化が得られなくなる。
より具体的には、位相格子マスク3aとDLC膜2との距離が200μm以上であれば、位相格子マスクによる干渉パターンにおける強度変化割合がビームの発散角に起因して顕著に低下し、DLC膜2中において十分な屈折率変化が得られず、実用的な屈折率変調型回折光学素子が得られなくなる。したがって、位相格子マスク3aとDLC膜2との距離は、少なくとも150μm以下であることが望まれる。
他方、一般に位相格子マスクは空気との界面を前提として設計される。すなわち、一般には、位相格子マスク3aとDLC膜2との間に空気層が介在させられるのが前提である。
これらの事情と、位相格子マスク3aおよびDLC膜2との相互の取り扱いの簡便のために、100μm程度の厚さのスペーサ5が好ましく利用され得る。このことは、位相格子マスク3aおよびDLC膜2との間に100μm程度の厚さの空気層が存在することを意味する。なお、位相格子マスク3aにおけるレリーフの溝の深さは、僅かに0.1μm程度である。
このような状態において、特許文献2に開示されているようにたとえば16mW/mm2のエネルギ密度でUVレーザビームを1時間照射することによって回折光学素子を作製した場合、DLC膜2の表面にレーザビームによるアブレーションが生じていることが本発明者らによって新たに見出された。
すなわち、このようなアブレーションにおいて、たとえば厚さ2μmのDLC膜が1μm程度以上の厚さ減少を生じ得る。また、そのような厚さ減少に伴って、DLC膜の表面に明らかな凹凸が生じ得る。このようなDLC膜の厚さ減少と表面凹凸の生成は、得られる屈折率変調型回折光学素子の回折特性が設計目標値から大きくずれることを意味する。
本発明は、以上のような本発明者らによる新たな知見に基づいてなされたものである。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による屈折率変調型回折光学素子の作製方法を図解する模式的な断面図である。本実施形態1においては、厚さ100μmのスペーサ5を介して、シリカガラス製のレリーフ型位相格子マスク(回折格子)3aがDLC膜2に対して近接配置される。この状態で、KrFレーザ光(波長248nm)4bを5mW/mm2以下のエネルギ密度で照射することによって、0.15以上の屈折率差Δnを含む屈折率変調型回折光学素子を作製することができる。このとき、位相格子マスク3aからの+1次回折光と−1次回折光との干渉光に露光される領域2aの屈折率が高められる。他方、その干渉光よって露光されない領域2bの屈折率は、成膜されたままの状態に維持される。
すなわち、本実施形態1による図1の屈折率変調型回折光学素子の作製方法は先行技術による図6における作製方法に類似しているが、本実施形態1の場合においてはUVレーザビームの照射エネルギ密度が16mW/cm2から5mW/mm2以下へ顕著に低減させられている。
このことによって、図6の場合にはたとえば厚さ2μmのDLC膜が1μm程度以上の厚さ減少を生じ得るが、本実施形態1の場合には厚さ減少が0.5μm以下に低減させられ得る。また、図6の場合に比べて、本実施形態1の場合には表面凹凸の生成も軽減され、それらの凹凸の高低差も0.2μm以下に低減される。このことは、図6の場合に比べて、本実施形態1の場合にはより設計値に近い回折特性を有する屈折率変調型回折光学素子を作製し得ることを意味する。
(実施形態2)
本発明の実施形態2による屈折率変調型回折光学素子の作製方法においては、図1における空気雰囲気が希ガスであるArガスで置き換えられる。この状態で、たとえばKrFレーザ光(波長248nm)4bを120mW/mm2以下で好ましくは30mW/mm以下のエネルギ密度で照射することによって、0.1以上の屈折率差Δnを含む屈折率変調型回折光学素子を作製することができる。
すなわち、本実施形態2の場合には、酸素を含む空気雰囲気を希ガスで置き換えることによって、アブレーションを抑制しつつUVレーザビーム照射のエネルギ密度を少なくとも30mW/mm2程度まで高めることができる。そして、空気雰囲気の場合に比べて、より短いレーザビーム照射時間で0.1以上の屈折率差Δnを含む屈折率変調型回折光学素子を作製することができる。
また、図6の場合にはたとえば厚さ2μmのDLC膜が1μm程度以上の厚さ減少を生じ得るが、本実施形態2の場合には厚さ減少が殆ど生ぜず、表面凹凸の生成も軽減されて、それらの凹凸の高低差も0.1μm以下に低減され得る。このことは、図6の場合に比べて、本実施形態2の場合においても、より設計値に近い回折特性を有する屈折率変調型回折光学素子を作製し得ることを意味する。
なお、本実施形態2においては希ガスとしてArガスを用いる場合が説明されたが、ヘリウムのような希ガスでもよく、窒素のような不活性ガスでも同様の効果が得られる。
(実施形態3)
図2は、本発明の実施形態3による屈折率変調型回折光学素子の作製方法を図解する模式的な断面図である。本実施形態3においては、図1におけるようなスペーサ5が用いられず、シリカガラス製のレリーフ型位相格子マスク(回折格子)3aがDLC膜2に接して配置される。すなわち、位相格子マスク3aとDLC膜2との間で空気層が排除され、位相格子マスク3aにおける深さ0.1μmのレリーフ溝内に僅かな空気が残存するだけである。この状態で、KrFレーザ光(波長248nm)4cを30mW/mm2以下のエネルギ密度で照射することによって、実施形態1の場合に比べて、短い照射時間で0.15以上の屈折率差Δnを含む屈折率変調型回折光学素子を作製することができる。
また、図6の場合にはたとえば厚さ2μmのDLC膜が1μm程度以上の厚さ減少を生じ得るが、本実施形態3の場合には厚さ減少が0.1μm以下に低減させられ得る。また、図6の場合に比べて、本実施形態3の場合には表面凹凸の生成も軽減され、それらの凹凸の高低差も0.08μm以下に低減され得る。このことは、図6の場合に比べて、本実施形態3の場合にも、より設計値に近い回折特性を有する屈折率変調型回折光学素子を作製し得ることを意味する。
(実施形態4)
本発明の実施形態4による屈折率変調型回折光学素子の作製方法においては、図2における空気雰囲気が希ガスであるArガスで置き換えられる。この状態で、たとえばKrFレーザ光(波長248nm)4bを120mW/mm2以下で好ましくは30mW/mm以下のエネルギ密度で照射することによって、0.1以上の屈折率差Δnを含む屈折率変調型回折光学素子を作製することができる。
すなわち、実施形態3における酸素を含む空気雰囲気を希ガスで置き換えた本実施形態4の場合においては、アブレーションを抑制しつつUVレーザビーム照射のエネルギ密度を最大では120mW/mm2程度まで高めることができる。そして、空気雰囲気の場合に比べて、より短いレーザビーム照射時間で0.1以上の屈折率差Δnを含む屈折率変調型回折光学素子を作製することができる。
また、図6の場合にはたとえば厚さ2μmのDLC膜が1μm程度以上の厚さ減少を生じ得るが、本実施形態4の場合にも厚さ減少が殆ど生ぜず、表面凹凸の生成も軽減されて、それらの凹凸の高低差も0.1μm以下に低減され得る。このことは、図6の場合に比べて、本実施形態4の場合においても、より設計値に近い回折特性を有する屈折率変調型回折光学素子を作製し得ることを意味する。
なお、本実施形態4においては希ガスとしてArガスを用いる場合が説明されたが、ヘリウムのような希ガスでもよく、窒素のような不活性ガスでも同様の効果が得られる。
なお、図6に関して説明したように、屈折率変調型回折光学素子の作製において高屈折率領域2aと低屈折率領域2bとの間の境界領域が膜厚方向に対して傾斜させてもよいことは言うまでもない。そのためには、UVレーザビームを位相格子マスクの表面に対して斜め方向に入射させて、たとえば0次回折光と+1次回折光または−1次回折光との干渉光による露光を利用すればよい。このように位相格子マスクに対してレーザビームを斜めに入射させる場合、位相格子マスクの下面において全反射が生じることがある。しかし、実施形態3および4の場合のように位相格子マスクの下面がDLC膜と接している場合には、位相格子マスクの下面が空気層と接している場合に比べて全反射が起こり難くなるので、レーザビームの斜め入射の場合にもそのビームをより有効に利用することができる。
以上のように、本発明によれば、特性の改善された屈折率変調型回折光学素子を簡便かつ低コストで作製することができる。
本発明の一実施形態による屈折率変調型回折光学素子の作製方法を図解する模式的断面図である。 本発明の他の実施形態による屈折率変調型回折光学素子の作製方法を図解する模式的断面図である。 先行技術による屈折率変調型回折光学素子の作製方法の一例を図解する模式的断面図である。 図3に続く工程を示す模式的断面図である。 図4に続く工程を示す模式的断面図である。 先行技術による屈折率変調型回折光学素子の作製方法の他の例を図解する模式的断面図である。
符号の説明
1 シリカガラス基板、2 DLC膜、3 金マスク、3a 位相格子マスク、4 Heイオンビーム、4a、4b、4c UV光、5 スペーサ。

Claims (6)

  1. 1mrad以上の発散角を有するUVレーザ光を位相格子マスクを介してDLC膜に照射することによって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法において、
    空気雰囲気中で前記UVレーザ光を5mW/mm2以下のパワー密度で照射することを特徴とする屈折率変調型回折光学素子の作製方法。
  2. 1mrad以上の発散角を有するUVレーザ光を位相格子マスクを介してDLC膜に照射することによって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法において、
    希ガスまたは窒素ガスの雰囲気中で前記UVレーザ光を照射することを特徴とする屈折率変調型回折光学素子の作製方法。
  3. 前記位相格子マスクと前記DLC膜との間に100μm以下の厚さのスペーサを介在させた状態で前記UVレーザ光を照射することを特徴とする請求項1または2に記載の屈折率変調型回折光学素子の作製方法。
  4. 1mrad以上の発散角を有するUVレーザ光を位相格子マスクを介してDLC膜に照射することによって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法において、
    空気雰囲気中で前記位相格子マスクが前記DLC膜に接した状態で配置され、
    前記UVレーザ光を30mW/mm2以下のパワー密度で照射することを特徴とする屈折率変調型回折光学素子の作製方法。
  5. 1mrad以上の発散角を有するUVレーザ光を位相格子マスクを介してDLC膜に照射することによって屈折率変調型回折光学素子を作製する方法において、
    希ガスまたは窒素ガスの雰囲気中で前記位相格子マスクが前記DLC膜に接した状態で配置され、前記UVレーザ光を照射することを特徴とする屈折率変調型回折光学素子の作製方法。
  6. 前記UVレーザ光を前記位相格子マスクを介して前記DLC膜に照射することによって前記DLC膜中に形成される屈折率分布における高屈折率領域と低屈折率領域との屈折率差が0.1以上に高められることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の屈折率変調型回折光学素子の作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2009038143A1 (ja) * 2007-09-19 2011-01-06 旭硝子株式会社 導電性積層体

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