JP2007091823A - ポリグリセリンの精製方法、該方法により得られた精製ポリグリセリン及び精製ポリグリセリンを用いたポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

ポリグリセリンの精製方法、該方法により得られた精製ポリグリセリン及び精製ポリグリセリンを用いたポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 洗浄剤、リンス剤、可溶化剤等に用いることができる、安全性が高いポリグリセリン脂肪酸エステルを容易に製造できる方法を提供すること。
【解決手段】 リン酸系触媒の存在下にグリシドールを付加重合して得られるポリグリセリンを、イオン交換樹脂で処理することを特徴とする精製ポリグリセリンの製造方法、及びこの方法により得られる精製ポリグリセリンと脂肪酸をエステル化反応させることを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法。
【選択図】 なし

Description

ポリグリセリンの精製方法に関する。この方法により得られた精製ポリグリセリンに脂肪酸を反応させて得られるポリグリセリン脂肪酸エステルは、食品や化粧品などに用いるのに好適である。
ポリグリセリンの製造方法としては、グリシドールを付加重合する方法(例えば、特許文献1〜3参照)、及びグリセリンの重合による方法が知られている。グリセリンにグリシドールを付加重合して得られるポリグリセリンは、グリセリンの重合により得られるポリグリセリンよりも、鎖状ポリグリセリンの含有率が高く、環状物が少ないため、これを原料とするポリグリセリン脂肪酸エステルは透明安定性に優れ、ウォータースポットを形成しにくく、低刺激で気泡力が高いという特徴があり、食品、化粧品、医薬品などの可溶化剤、食器用水系リンス剤、洗浄剤として用いられている(特許文献4〜6参照)。
特開昭58−198429号公報 特開昭61−43627号公報 特開昭61−145137号公報 特開2004−267882号公報 特開2004−285099号公報 特開2004−285100号公報
しかし、グリシドールの付加重合で得られるポリグリセリンは、これに脂肪酸を反応させてポリグリセリン脂肪酸エステルを製造しようとすると、反応の制御が困難となることがある。これはポリグリセリン中にギ酸や酢酸が含まれており、これがエステル化反応中にpHを低下させるためと考えられる。
また、グリシドールの付加重合反応は、触媒としてリン酸やリン酸エステルを用いることが多いが、生成するポリグリセリン中には付加重合触媒に由来するリン成分が含まれており、人体への影響が懸念される。また、このポリグリセリンは、熱安定性が不十分で、エステル化反応中に異常な発熱が生じて反応が暴走しやすいという問題がある。
更にポリグリセリン中のギ酸、酢酸、リン分等は、このポリグリセリンを原料とするポリグリセリン脂肪酸エステルの熱安定性を低下させる原因となっている可能性が大きい。
従って、本発明は、グリシドールを付加重合させて得られるポリグリセリンを、ポリグリセリン脂肪酸エステルの原料として好適になるように精製する方法を提供しようとするものである。
本発明者が上記課題に鑑み鋭意検討した結果、グリシドールを付加重合して得られる粗ポリグリセリンを、陰イオン交換樹脂で処理して、ポリグリセリン中に含まれる陰イオン成分、特に、副生物であるギ酸、酢酸や、触媒に由来するリン分等を除去した精製ポリグリセリンは、脂肪酸とのエステル化反応が良好に進行することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、グリシドールを付加重合させて得られた粗ポリグリセリンを陰イオン交換樹脂で処理して陰イオン成分を除去することを特徴とするポリグリセリンの精製方法及びこの方法により得られる精製ポリグリセリンを脂肪酸とエステル化反応させることを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法に存する。
本発明によれば、食品、化粧品などに用いるのに好適なポリグリセリン脂肪酸エステルを容易に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
グリシドールの付加重合反応は、種々の方法で行うことができる。具体的には、グリシドールを単独で付加重合させる方法、グリセリンにグリシドールを付加重合させる方法等が挙げられる。
以下、グリセリンにグリシドールを付加重合させるポリグリセリンの製造について説明する。グリセリンへのリシドールの付加重合は、通常はリン系触媒の存在下に行われる。
リン酸系触媒としては、リン酸、無水リン酸、ポリリン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル類等が挙げられる。酸性リン酸エステルは、モノエステル体、ジエステル体、これらの混合物のいずれでもよい。
触媒は1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
触媒は、グリセリンに対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の割合で用いる。触媒が少ないと反応速度が小さく、逆に10重量%を越えて使用しても効果の向上は期待できないばかりでなく、リン分除去の負担が増加する。
グリセリンに対するグリシドールの仕込みモル比は、得ようとするポリグリセリンの重合度によって異なるが、3〜19、好ましくは3〜11である。
グリセリンとグリシドールとの反応は、反応容器にグリセリン及び触媒を入れ、これにグリシドールを少量ずつ添加して行う。反応は窒素ガス等の不活性ガス気流下に行うのが好ましい。反応温度は通常50〜180℃、好ましくは70〜160℃であり、より好ましくは120〜140℃である。反応温度が低すぎると反応速度が小さく、また180℃を越えると着色が激しくなり、230℃以上ではグリシドールが分解して副反応を起こすので好ましくない。
このようにして得られるポリグリセリンの平均重合度(n)は2以上であり、通常4〜20、好ましくは4〜12である。また、ポリグリセリンに占める鎖状ポリグリセリンの割合は60%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。
反応により生成したポリグリセリンは、そのまま陰イオン交換樹脂処理に供してもよく、また、精製処理を施してから陰イオン交換樹脂処理に供してもよい。精製方法としては、例えば、反応液にアルカリを添加してリン酸系触媒を中和したのち、脱水してポリグリセリンを回収する方法が挙げられる。また、この精製に加えて珪藻土による吸着処理を行って、着色成分などを除去するのも好ましい。
陰イオン交換樹脂によるポリグリセリンの処理は、ポリグリセリンに水を混合して通常30〜60重量%の水溶液にしてイオン交換樹脂と接触させることにより行う。
なお、陰イオン交換樹脂による処理に加えて陽イオン交換樹脂による処理を行うと、陽イオン成分も除去できるので好ましい。
陰イオン交換樹脂としては、強塩基性陰イオン交換樹脂及び弱塩基性陰イオン交換樹脂のいずれをも用いることができる。なお、弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いる場合には、ポリグリセリン水溶液を予め強酸性陽イオン交換樹脂で処理して、有機酸塩を遊離の有機酸にするなど、塩を形成している陰イオン成分を遊離状態にしておくのが好ましい。
強塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えば、交換基に4級アンモニウム基を有する樹脂等が挙げられる。その例としては、ダイヤイオンSA10A、SA11A、SA12A、NSA100、SA20A、SA21A、PA308、PA312、PA316、PA408、PA412、PA418(以上、三菱化学(株)製、商品名);アンバーライトIRA−400、IRA−401、IRA−402、IRA−410、IRA−411S、IRA−440B、IRA−458、IRA−458、IRA−478、IRA−900、IRA−904、IRA−910、IRA−958(以上、オルガノ(株)製、商品名)等が挙げられる。
弱塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えば、交換基が1〜3級アミノ基であるアクリル系、スチレン系ポリアミン型、スチレン系ジメチルアミン型のイオン交換樹脂等が挙げられる。その例としては、ダイヤイオンWA10、WA20、WA21J、WA30(以上、三菱化学(株)製、商品名);アンバーライトIRA−35、IRA−60E、IRA−68、IRA−93ZU、IRA−94S(以上、オルガノ(株)製、商品名)等が挙げられる。
ポリグリセリン水溶液のpHが9を超えるときには、全pH領域で使用が可能な強塩基性陰イオン交換樹脂を用いることが好ましい。また、ポリグリセリン水溶液のpHが9以下のときには、イオンの総交換容量が大きく、再生の容易な弱塩基性イオン交換樹脂を用いることが好ましい。
陽イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂及び弱酸性陽イオン交換樹脂のいずれをも用いることができる。
強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、交換基がスルホン基である樹脂が挙げられる。その具体例としては、三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK1B、SK104、SK110、SK112、SK116、PK208、PK212、PK216、PK220、PK228、HPK25(以上、商品名)、オルガノ(株)製、アンバーライトIR−120B、IR−124、200C、201B、252、IR−118(以上、商品名)等が挙げられる。
弱酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、交換基がカルボン酸基であるメタクリル酸系及びアクリル酸系のイオン交換樹脂等が挙げられる。その具体例としては、三菱化学(株)製ダイヤイオンWK10、WK11、WK100、WT01S、WK40(以上、商品名)、オルガノ(株)製、アンバーライトIRC−50、IRC−76(以上、商品名)等が挙げられる。
イオン交換樹脂は、ポリグリセリン水溶液に含まれている除去したいイオン種と交換可能な交換基が1当量以上となるように、用いることが好ましい。
イオン交換樹脂による処理方法は、バッチ式及びカラム式のいずれでもよい。
バッチ式は、1当量以上の交換基を有するイオン交換樹脂をポリグリセリン水溶液に加え、通常0.1〜10時間攪拌した後、イオン交換樹脂を分離する。イオン交換樹脂の分離は、例えば、濾過、遠心分離等の常法で行なうことができる。
カラム式は、循環法及び流通法のいずれでもよい。循環法とは、被処理液をイオン交換樹脂を充填したカラムに何回も通液する方法である。また、流通法とは、被処理液をカラムに一度だけ通液する方法である。
これらの方法の中では、イオン交換樹脂の使用効率、イオン性低分子量不純物の低減効果及び操作時間の面から、流通法が好ましい。
カラムに通液する際の空間速度〔ポリグリセリン水溶液供給容積速度(m3 /h)/カラムのイオン交換樹脂の体積(m3 )〕は、循環法では1h-1以上であることが好ましい。流通法では、空間速度は、通常100h-1以下であり、10h-1以下であるのが好ましい。また処理時間の短縮の観点からは、1h-1以上であることが好ましい。また、イオン交換樹脂の強度の観点からは、前記空間速度の範囲内で、イオン交換樹脂層の差圧が1MPa以下となるように操作することが好ましい。
カラムの容量は、イオン交換樹脂の膨潤収縮性、イオン交換樹脂の再生及び洗浄操作を考慮し、イオン交換樹脂体積の1.2〜5倍であることが好ましい。
陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを併用する場合、各樹脂をそれぞれ別のカラムに充填して用いる多床式精製方法でも、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を混合してカラムに充填して用いる混床式精製方法でもよい。
ポリグリセリン水溶液をイオン交換樹脂と接触させる際の操作温度は、イオン交換樹脂の熱分解の観点から、80℃以下であることが好ましい。
なお、ポリグリセリン水溶液は、イオン交換樹脂と接触する前に、必要に応じて、限外濾過や電気透析等の公知の前処理を行ってもよい。
イオン交換樹脂と接触処理させたポリグリセリン水溶液は、薄膜蒸発機等により水分を除去すると、精製ポリグリセリンが得られる。
イオン交換樹脂による処理は、ポリグリセリン中に残存するギ酸と酢酸の合計量が2μmol/g以下となるように行うのが好ましい。残存量がこれよりも多いと、ポリグリセリンを脂肪酸と反応させてポリグリセリン脂肪酸エステルを製造する際に、反応中にpHが低下し、反応の制御が困難となる。ポリグリセリン中に残存するギ酸と酢酸の合計量は0.5μmol/g以下、特に0.1μmol/g以下であるのが更に好ましい。
また、リン酸系触媒を用いてグリセリンとグリシドールを反応させたポリグリセリンの場合は、イオン交換樹脂による処理はポリグリセリン中に残存するリンが100ppm以下となるように処理するのが好ましい。残存するリンが50ppm以下、特に10ppm以下となるように処理するのが更に好ましい。なお、リンのなかでもリン酸イオンとして存在しているリンは、精製されたポリグリセリン中に正リン酸(H3PO4)換算で10ppm以下、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは2ppm以下であるのが好ましい。リンの含有量が多いポリグリセリンは熱安定性に乏しく、脂肪酸との反応に際して異常な発熱を生じて反応が暴走しやすい。
〔エステル化反応〕
本発明の方法により精製したポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応は、例えば、特開平7−145104号などに記載の公知の方法に従って行うことができる。
エステル化反応は、通常アルカリ触媒の存在下に行われる。アルカリ触媒としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。触媒は、ポリグリセリンと脂肪酸の総和に対して、通常0.001〜3重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%、さらに好ましくは0.001〜0.01重量%の割合で用いられる。
脂肪酸としては、任意のものを用いることができるが、通常は炭素数6〜24のもの、例えば、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸等の直鎖又は分岐状の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸等の直鎖又は分岐状の不飽和脂肪酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシル基などの置換基を有する脂肪酸などが挙げられる。
これらのなかでも、炭素数16以下のものを用いるのが好ましい。炭素数が14以下、特に12以下のものを用いるのが更に好ましい。なお、脂肪酸の炭素数が大きすぎると、得られるポリグリセリン脂肪酸エステルの溶液安定性が低下する場合があり、小さすぎると得られるポリグリセリン脂肪酸エステルの洗浄力や可溶化力が低下する恐れがある。
脂肪酸は、1種類を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込みモル比は、ポリグリセリンの平均重合度にもよるが、通常0.5以上、12以下である。上限は、6以下、特に3以下が好ましい。なお、この仕込みモル比は、この範囲内で所望の平均エステル化率、すなわちポリグリセリンの総水酸基に対するエステル化すべき水酸基の割合に応じて適宜調節する。平均エステル化率は、用途にもよるが、通常は5%ないし60%である。エステル化率が低すぎると未反応のポリグリセリンが多く、乳化剤としての機能が低下する。逆にエステル化率が高すぎると水溶性が低下し洗浄剤や可溶化剤の用途に適さなくなる。多くの用途には平均エステル化率が40%以下、特に20%以下のものが用いられる。
エステル化反応は、反応器にポリグリセリン、脂肪酸及び触媒を入れ、撹拌をしながら、所定温度に加熱して、生成水を反応系外へ留去しながら行う。反応温度は、通常150〜300℃、好ましくは180〜260℃である。エステル化反応は、反応器の気相部に窒素等の不活性ガスを流通させながら行うのが好ましい。
本発明の方法により得られるポリグリセリン脂肪酸エステルは、リンの含有量も著しく低減されているので人体への安全性が高い。また、全ポリグリセリン成分に占める鎖状ポリグリセリンの割合が通常60%以上、特に70%以上と鎖状ポリグリセリンの割合が高く、かつ、陰イオン性の不純物が除去されているため安定性がよい。例えば、本発明の方法で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルの10%水溶液を5℃で保持して、水溶液に濁りを生ずるまでの日数を測定する方法による水溶液の安定性は通常10日以上である。また、本発明の方法によれば、10重量%Na2SO4水溶液に1重量%となるように溶解した溶液を0℃以上100℃以下の特定の温度で、振とう攪拌した後1時間静置し、目視で濁りの発生を確認し、濁りが確認される最低温度である曇点が、90℃以上と高いポリグリセリン脂肪酸エステルを容易に得ることができる。従って、本発明の方法で得られるポリグリセリン脂肪酸エステルは、水溶性が高く、貯蔵中に沈殿や分解が生じ難いという特性を有しており、乳化剤として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。尚、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
グリセリンにグリシドールを付加重合して得られた平均重合度10のポリグリセリン(ダイセル化学工業(株)製 商品名PGL-10PS)に脱塩水を加えて50重量%水溶液とし、
これを、空間速度5h-1(流速1200ml/h)で、まず、H型にしたカチオン交換樹脂(三菱化学(株)製、商品名:SK1B)240mlを充填した耐圧ガラス製カラム(内径26mm、長さ500mm、)を通過させ、次に、OH型にしたアニオン交換樹脂(三菱化学(株)製、商品名:ダイヤイオンSA10A)240mlを充填した耐圧ガラス製カラム(内径26mm、長さ500mm)を通過させ、さらに、H型及びOH型のイオン交換樹脂よりなる混床用イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、商品名:SMT100)240mlを充填した耐圧ガラス製カラム(内径26mm、長さ500mm)を通過させて精製した。
次いで、ポリグリセリン水溶液は、薄膜蒸発機を用いて水を除去し、精製ポリグリセリンを得た。
得られた精製ポリグリセリン及び原料のポリグリセリンについて、リン原子、リン酸イオン、ギ酸イオン及び酢酸イオンの濃度を測定した。また、鎖状ポリグリセリンの割合を分析し、かつDSC測定を行った。結果を表−1及び2に示す。
ポリグリセリンに含まれるリン原子の濃度はICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析)、リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオンの濃度は、希釈IC(イオンクロマト)分析によって測定した。
ポリグリセリンに占める鎖状ポリグリセリン(以下、ポリグリセリンをPOGと略記することがある)の割合は、MALDI−TOF−MSによって求めた。
DSC測定は、メトラー・トレド社DSC821eを用い、セル:SUS密封、試料量:4mg、測定温度:25〜450℃、昇温速度:10℃/min、測定雰囲気:窒素の条件で行い、発熱開始温度と発熱ピークのピークトップ温度を測定した。
<実施例2>
実施例1で得られた精製ポリグリセリン600gを、窒素導入管、攪拌機、還流管、温度調節器、加熱ジャケット及び原材料仕込み口を備えた容量2リットルの反応容器に仕込んだ。次いで、ラウリン酸:ポリグリセリンのモル比が1:1となるような量のラウリン酸(純度99%)及びポリグリセリンとラウリン酸との総量に対して0.113重量%となる量の10%水酸化ナトリウム水溶液とを仕込み、窒素気流下、常圧で、内温を240℃に昇温し、この温度で3時間反応させた。反応終了後、内温を常温まで冷却した後、デカグリセリンラウリン酸エステル740gを得た。
分析の結果、このもののリン含有量は5.2ppmであり、全ポリグリセリン成分に占める鎖状ポリグリセリン成分の割合は75.3%であった。また本文に記載した方法により測定した曇点は90℃以上であり、水溶液の安定性は60日以上であった。
<比較例1>
グリセリンを重合して得られた平均重合度10のポリグリセリンのラウリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製 商品名L−10D)について、実施例1,2と同様にして、
リン原子の含有量、全ポリグリセリン成分に占める鎖状ポリグリセリン成分の割合、曇点及び水溶液の安定性を測定した。
その結果、リン原子<1ppm、リン酸イオン<1ppm、ギ酸イオン0.483μmol/g、酢酸イオン0.357μmol/g、鎖状ポリグリセリン成分の割合44.8%、曇点27.%、水溶液の安定性2日であった。
結果をまとめて、表−3及び表−4に示す。



Claims (7)

  1. グリシドールを付加重合させて得られた粗ポリグリセリンを陰イオン交換樹脂で処理して陰イオン成分を除去することを特徴とするポリグリセリンの精製方法。
  2. 陰イオン交換樹脂処理を、ポリグリセリン中に残存するギ酸と酢酸との合計量が2μmol/g以下となるように行うことを特徴とする請求項1に記載のポリグリセリンの精製方法。
  3. 粗ポリグリセリンがリン酸系触媒の存在下にグリシドールを付加重合させて得られたものであり、陰イオン交換樹脂処理をポリグリセリン中に残存するリンが100ppm以下となるように行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリグリセリンの精製方法。
  4. 粗ポリグリセリンがリン酸系触媒の存在下にグリシドールを付加重合させて得られたものであり、陰イオン交換樹脂処理をポリグリセリン中に残存するリン酸イオンが10ppm以下となるように行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリグリセリンの精製方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の精製方法で得られた精製ポリグリセリン。
  6. 請求項5に記載の精製ポリグリセリンに脂肪酸を反応させることを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法。
  7. リン酸系触媒の存在下にグリシドールを付加重合させて得られた、鎖状ポリグセリンの割合が60%以上である粗ポリグリセリンを陰イオン交換樹脂で処理して、残存するリンが100ppm以下、ギ酸と酢酸の合計量が2μmol/g以下の精製ポリグリセリンとし、これに脂肪酸を反応させることを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法。


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