JP2007091214A - 自動車のマスターシリンダ - Google Patents
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Abstract
【課題】マスタシリンダの内壁とピストンとの間に収容されたU字断面のシールが、急制動時に丸まってしまったり飛び出したり裂けたりする危険性をなくす。
【解決手段】ピストン4とマスタシリンダの内孔3との間に収容されたシール手段21は、外側リップ27と内側リップ28と中間半径方向クラウン29によって構成されている。剛性強化部材25が内側リップ28に組み込まれており、内側リップ28の周縁部に形成されリングを形成している。この剛性はピストン4がシール手段21に対してこすれることによりもたらせる内側リップ28のひっくり返りを防ぐ。また、ピストン4をマスターシリンダの内孔3内に保持するために、ピストン4の円周に溝31を形成し、非作動位置にある時に、溝31にシール手段21が収められるように設計されている。このように位置決めされると、シール手段21はピストン4がマスターシリンダの内孔3から外れるのを防ぐ。
【選択図】図2
【解決手段】ピストン4とマスタシリンダの内孔3との間に収容されたシール手段21は、外側リップ27と内側リップ28と中間半径方向クラウン29によって構成されている。剛性強化部材25が内側リップ28に組み込まれており、内側リップ28の周縁部に形成されリングを形成している。この剛性はピストン4がシール手段21に対してこすれることによりもたらせる内側リップ28のひっくり返りを防ぐ。また、ピストン4をマスターシリンダの内孔3内に保持するために、ピストン4の円周に溝31を形成し、非作動位置にある時に、溝31にシール手段21が収められるように設計されている。このように位置決めされると、シール手段21はピストン4がマスターシリンダの内孔3から外れるのを防ぐ。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車のマスターシリンダに関する。本発明の目的は、マスターシリンダの性能を改善することである。本発明はより具体的には自動車分野に向けられるものであるが、他の分野にも適用可能である。
タンデム型のマスターシリンダが知られており、これは第1液圧回路及び第2液圧回路とを備え、各回路は第1及び第2ピストンをそれぞれ備えている。第1ピストンと第2ピストンは、マスターシリンダの本体に形成された内孔内を滑動するようになっている。第1ピストンと第2ピストンは、それぞれ第1チャンバと第2チャンバとを画成する。第1チャンバと第2チャンバは、それぞれ第1液圧流体リザーバと第2液圧流体リザーバを介して、液圧流体すなわちブレーキ流体が満たされる。
マスターシリンダは第1、第2、第3及び第4のシール手段を備えている。第1のシール手段は、第1のチャンバ内に配置され第1シールカップを形成する。この第1シールカップは第1チャンバへの入り口に位置している。この第1シールカップは、第1チャンバをマスターシリンダの外部から隔絶している。第2のシール手段は第1のチャンバ内に配置され、第1シールを形成する。この第1シールは、マスターシリンダの内孔によって区画される壁と第1ピストンとの間に位置している。第1シールは、マスターシリンダの内孔における第1ピストンの位置に応じて、第1リザーバから第1チャンバへの液圧流体の通路を制御する。
第3シール手段は第2チャンバ内に配置され、第2シールカップを形成する。この第2シールカップは、第2チャンバへの入り口に配置され、第2チャンバを第1チャンバから隔絶する。第4シール手段は第2チャンバ内に配置され、第2シールを形成する。この第2シールは、マスターシリンダの内孔によって区画される壁と第2ピストンとの間に位置している。この第2シールは、マスターシリンダの内孔における第2ピストンの位置に応じて、第2リザーバから第2チャンバへの液圧流体の通路を制御する。
第1シール、第2シール、第1シールカップ及び第2シールカップはそれぞれ、マスターシリンダの内壁に形成された周縁溝に収容され、ピストンを取り囲んでいる。これらのシール及びシールカップはゴムでできており、U字形状に折り曲げられた部品としての外形を取っている。これらのシールとシールカップは、マスターシリンダの内孔内のピストンの移動軸線と同心の回転軸を持つリングを形成する。
非作動時、すなわち自動車のブレーキペダルが作動していない場合、第1チャンバと第2チャンバとは、それぞれ第1リザーバ及び第2リザーバからのブレーキ流体で満たされている。ブレーキ動作中、すなわちブレーキペダルが作動している場合においては、各リザーバから第1チャンバ及び第2チャンバへのブレーキ流体の流れは遮断される。実際上、第1ピストンと第2ピストンとは、マスターシリンダの壁に沿って前進しながら、第1シールと第2シールが第1リザーバと第2リザーバからそれぞれ第1チャンバ及び第2チャンバへの流体の通路を遮断するように、第1シールと第2シールに関してそれぞれ位置決めされる。そして、第1チャンバと第2チャンバの内部圧力は上昇する。その後、ブレーキ流体は各チャンバから自動車のブレーキ装置に注入される。
例えば、第1ピストンがマスターシリンダの壁に沿って移動している間、第1ピストンは第1シールに対してこすれが生じる。突然のブレーキが発生した場合、すなわちブレーキペダルが突然作動した場合、第1シールは対応する溝内でそれ自身丸まってしまい、そうでなければ溝から出てしまったり、場合によっては裂けてしまう。こうして、第1シールがもはや第1リザーバに関して第1チャンバに対するシールとして機能しない状態に到達する危険性がある。そして、第1チャンバ内に収容されている流体は、壁と第1ピストンとの間で漏れてしまう。その結果、ブレーキの効果が小さくなり、あるいは全く不十分となってしまう。そのようなブレーキは、自動車の運転者の安全を害するということは理解されるであろう。
この問題を解決するために、本発明では、ピストンに当接するシール手段のウィングの剛性が高められる。従って、シールの突然の戻りや移動中の場合のシールの損傷の危険性が低減される。この剛性を高めるために、第1シールと第2シールがそれ自身丸まったり裂けたりするのを避けるように、第1シールと第2シールの寸法を増大させることが可能である。
望ましくは、この結果をもたらすために、本発明は強化によってシールの一部に剛性を付与する。この剛性が高められた部分は、ピストンと当接する位置になるようにされている。そのような強化によって、(これは丸まりを防止する)半径方向の過剰な剛性(非作動中あるいは退避中の流れを容易にするように計算される)の増大を伴うことなく、ピストンの移動方向に平行な方向の剛性が適切に高まることになる。
従って、シールはもはやそれ自身丸まってしまう危険性や飛び出したり裂けたりする危険性がなくなる。
強化部材は可撓性リングの形態で作られる。
強化部材は可撓性リングの形態で作られる。
従って、本発明の目的は自動車のマスターシリンダであって、
内孔がくり抜かれた本体と、
前記本体の内孔によって形成される壁に沿って滑動しチャンバを画成する少なくとも1つのピストンと、
前記内孔と独立した少なくとも1つの液圧流体リザーバと、
前記チャンバのために、前記壁とピストンとの間に収容されU字形状をしている少なくとも1つのシールとを備え、
前記シールは剛性強化部材を備えていることを特徴とするマスターシリンダ。
内孔がくり抜かれた本体と、
前記本体の内孔によって形成される壁に沿って滑動しチャンバを画成する少なくとも1つのピストンと、
前記内孔と独立した少なくとも1つの液圧流体リザーバと、
前記チャンバのために、前記壁とピストンとの間に収容されU字形状をしている少なくとも1つのシールとを備え、
前記シールは剛性強化部材を備えていることを特徴とするマスターシリンダ。
本発明は以下の説明を読み、添付図面を確かめることによってより良く理解されるであろう。これらは例示を与えるだけであって、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明にかかる自動車のマスターシリンダ1を示している。マスターシリンダはここではタンデムマスターシリンダである。本発明はもちろん、マスターシリンダが単一の場合でも適用可能である。そのようなタンデムマスターシリンダ1は、内孔3がくり抜かれた本体2を有している。このマスターシリンダは、第1ピストン4を備える第1液圧回路と第2ピストン5を備える第2液圧回路も備えている。第1ピストン4と第2ピストン5は、本体2の内孔3によって区画される壁6に沿って滑動する。第1ピストン4と第2ピストン5は、マスターシリンダ1の内部で推力ロッド(図示略)の挿入部7の軸に沿って長手方向に滑動する。マスターシリンダは、ブレーキペダル(図示略)が押圧された場合にそれ自身が作動する推力軸によって作動する。この推力軸を受入れる受取部10はピストン4の後方端11に形成され、第1ピストンの前方端12は第2ピストン5に面するように置かれるようになっている。通常は、軸線7は第1ピストン4の移動軸線および第2ピストン5の移動軸線と同軸の軸線である。
図1は、本発明にかかる自動車のマスターシリンダ1を示している。マスターシリンダはここではタンデムマスターシリンダである。本発明はもちろん、マスターシリンダが単一の場合でも適用可能である。そのようなタンデムマスターシリンダ1は、内孔3がくり抜かれた本体2を有している。このマスターシリンダは、第1ピストン4を備える第1液圧回路と第2ピストン5を備える第2液圧回路も備えている。第1ピストン4と第2ピストン5は、本体2の内孔3によって区画される壁6に沿って滑動する。第1ピストン4と第2ピストン5は、マスターシリンダ1の内部で推力ロッド(図示略)の挿入部7の軸に沿って長手方向に滑動する。マスターシリンダは、ブレーキペダル(図示略)が押圧された場合にそれ自身が作動する推力軸によって作動する。この推力軸を受入れる受取部10はピストン4の後方端11に形成され、第1ピストンの前方端12は第2ピストン5に面するように置かれるようになっている。通常は、軸線7は第1ピストン4の移動軸線および第2ピストン5の移動軸線と同軸の軸線である。
マスターシリンダの第1ピストン4、第2ピストン5および壁6は、第1チャンバ13を区画する。マスターシリンダ1の第2ピストン5と壁6とは、第2チャンバ14を区画する。第1ピストン4は、第1チャンバ13内に収容される液圧ブレーキ流体すなわちブレーキ液を圧縮するように設計されている。第2ピストン5は、第2チャンバ14内に収容される液圧ブレーキ流体すなわちブレーキ液を圧縮するように設計されている。第1チャンバ13及び第2チャンバ14に収容されているそれぞれのブレーキ液は、第1液圧流体リザーバ15および第2液圧流体リザーバ16からそれぞれ来る。第1リザーバ15と第2リザーバ16は、第1導管17と第2導管18を介して第1チャンバ13と第2チャンバ14にそれぞれ流体を供給する。第1導管17と第2導管18とは、マスターシリンダの本体2にくり抜かれており、それぞれ第1チャンバ13と第2チャンバ14とはつながっている。
マスターシリンダ1は、少なくとも1つのシールも備えている。各チャンバは2つのシールを有していることが望ましい。これらのシール手段の各々は、U字形状の、軸線7に対する長手方向部を有してゴムで作られている。これらの手段の各々は、軸線7に関して同軸に位置決めされたリングを形成する。
上記したように、第1チャンバ13は第1シール手段即ち第1シールカップ19と第2シール手段即ち第2シール21を備えている。第2チャンバ14は、第3シール手段即ち第2シールカップ20と第4シール手段即ち第2シールを備えている。本発明はこれらのシールあるいはシールカップの何れか1つ、あるいはそれら又は全てに関連する。
第1シールカップ19と第2シールカップ20は、それぞれ第1チャンバ13の入口8と第2チャンバ14の入口9に位置している。第1シールカップ19は第1チャンバ13にマスターシリンダの外部に対するシールを提供する。第2シールカップ20は第1チャンバ14に、第1チャンバ13に対するシールを提供する。
第1シール21は本体2の内孔3の壁6と第1ピストン4との間に位置している。第2シール22は、本体2の内孔3の壁6と第2ピストン5との間に位置している。第1シール21と第2シール22とは、それぞれ第1ピストン4と第2ピストン5に面して配置されながら、第1周縁溝23と第2周縁溝24にそれぞれ配置されている。第1周縁溝23と第2周縁溝24とは、第1ピストン4の移動軸線の周囲で、この同じ軸線に直角な面において、本体2の壁6にくり抜かれている。
第1シール21と第2シール22は、それぞれ第1リザーバ15と第2リザーバ16からの、第1チャンバ13と第2チャンバ14のそれぞれの方向のブレーキ流体通路を制御するのを可能にする。
本発明によると、図1において、第1シールカップ19、第2シールカップ20、第1シール21及び第2シール22は、少なくとも部分的に剛性が確保されている。特に、図2において、第1シール21は第1剛性強化部材25を備えている。第2密封シール22、第1シールカップ19及び第2シールカップ20も強化されている。本発明の説明を簡略化するために、本発明は以下において、第1シール21に対して説明される。
第1シール21は、外側リップ27と内側リップ28とを有している。外側リップ27と内側リップ28はそれぞれ全体として円筒状である。これらのシリンダのために生じる線は、第1ピストン4の移動軸線に平行である。外側リップ27と内側リップ28は、中間半径方向クラウン29によって接続されている。外側リップ27と内側リップ28は、それらの間に開口30を画成し、それは第2チャンバ14の方へ向けられている。第1シール21は、第1ピストン4の移動軸線の回りに位置している。外側リップ27は第1ピストン4から離れた位置に配置されている。より正確には、外側リップ27は第1溝23の内部に配置され、非作動状態においてマスターシリンダ1の内孔3の壁6に当接している。内側リップ28は第1ピストン4に近接した位置に配置されている。内側リップ28は、少なくとも部分的に第1溝23の外側に位置しており、内孔3に整列状態で延びる(spanning the alignment of the bore 3)する第1溝23の位置に位置決めされる。より正確には、非作動状態で、すなわちブレーキペダルが作動していない状態で、ブレーキ液が第1リザーバ15と第1チャンバ13との間を第1オリフィス33を通して入るように、内側リップ28は第1ピストン4の位置に当接するように配置される。実際に、第1ピストン4と第2ピストン5は第1オリフィス33と第2オリフィス34をそれぞれ備えている。これらのオリフィスの各々は、マスターシリンダの壁6に面する第1端部47を通して現れ、また対応するチャンバに面する第2端部48を通して現れる。強化部材25は金属あるいは合成プラスチック材料から作られる。強化された第1シール21が合成プラスチック材料からなる強化部材を有する場合、そのような第1シールは、プラスチックからなる第1材料とプラスチックからなる以下の第2材料の第1成形及び第2成形によって得られる。第1成形は、強化部材25を形成するのを可能とし、第1シール21を形成するように、第1成形すなわち重ね成形(overmolding)が強化部材25に作りだされる。第1プラスチック材料は固く、第2材料は例えばゴムでできた柔軟材であることが望ましい。
第1強化部材25は、それがそのような柔軟特性の強化部材に密着するシールを提供するように形成される。
そのような第1シール21は、第1シール21の剛性を強化することができるようにするそのような強化部材25を有している。この剛性は、第1ピストン4がそのような第1シール21に対してこすれることによりもたらされる、内側リップ28のひっくり返りを防ぐ。マスターシリンダ1の壁6に沿って第1ピストン4が動く間、摩擦が発生する。解消すべき摩擦は、ピストンの突然の動きによってもたらされる。
そのような第1シール21は、第1シール21の剛性を強化することができるようにするそのような強化部材25を有している。この剛性は、第1ピストン4がそのような第1シール21に対してこすれることによりもたらされる、内側リップ28のひっくり返りを防ぐ。マスターシリンダ1の壁6に沿って第1ピストン4が動く間、摩擦が発生する。解消すべき摩擦は、ピストンの突然の動きによってもたらされる。
そのような強化された第1シール21は、第1ピストン4の移動中に、第1シール21が第1溝23から飛び出すのを防ぐのを可能にする。あるいは更に、そのような強化されたシール21は、第1ピストン4の同様な移動の間この第1ピストン21が裂けるのを防ぐようにすることができる。
このような方法で強化された第1シールは、弾性特性を保持しながら部分的に剛性が確保されている。
第1強化部材25は、強化された第1シール21を形成するように、内側リップ28に組み込まれている。強化部材25は内側リップ28に沿った少なくとも部分的周辺にある。図4において、第1強化部材25は、周縁部に完全に形成され、この例によればリングを形成している。第1強化部材25は、第1ピストン4の移動軸線と同軸の軸線を持つ円筒状に円形に延びている。リップ28と強化部材25は、円錐台形状を有することが望ましい。この円錐台形状のポイントは、ブレーキの間ピストンの前方移動方向に沿って向けられる。強化部材25はワイヤ、望ましくは平坦ワイヤで形成され、それぞれが他の残りの部分と接続されるように、一連の同じ形の銃眼部(crenellated portion)を備えている。銃眼部は環状リングを形成するようにお互いに接続されている。あるいは更に、同じ部分は共に接続されることなく、内側リップに沿って分配されてもよい。銃眼部のそれぞれは、第1部分39、第2部分40、第3部分41、第4部分42から形成される。第1部分39、第2部分40、第3部分41、第4部分42は、他の部分の残りにそれぞれ接続される。
第1強化部材25は、強化された第1シール21を形成するように、内側リップ28に組み込まれている。強化部材25は内側リップ28に沿った少なくとも部分的周辺にある。図4において、第1強化部材25は、周縁部に完全に形成され、この例によればリングを形成している。第1強化部材25は、第1ピストン4の移動軸線と同軸の軸線を持つ円筒状に円形に延びている。リップ28と強化部材25は、円錐台形状を有することが望ましい。この円錐台形状のポイントは、ブレーキの間ピストンの前方移動方向に沿って向けられる。強化部材25はワイヤ、望ましくは平坦ワイヤで形成され、それぞれが他の残りの部分と接続されるように、一連の同じ形の銃眼部(crenellated portion)を備えている。銃眼部は環状リングを形成するようにお互いに接続されている。あるいは更に、同じ部分は共に接続されることなく、内側リップに沿って分配されてもよい。銃眼部のそれぞれは、第1部分39、第2部分40、第3部分41、第4部分42から形成される。第1部分39、第2部分40、第3部分41、第4部分42は、他の部分の残りにそれぞれ接続される。
第1部分29は第1ピストン4の移動軸線に対して平行な第1方向に延びている。第2部分40はシリンダの第1円周の周りを第1方向に延びている。第3部分41は第1方向と反対の第2方向に延びている。第4部分42はシリンダの第2円周の周りを第1方向と同じ方向に延びる第2方向に延びている。
第1部分39、第2部分40、第3部分41、第4部分42は、それぞれ第1長さ43、第2長さ44、第3長さ45及び第4長さ46を備えている。第1長さ43と第3長さ45は、第1ピストン4の移動軸線に対して平行な軸線に沿って測定される。第2長さ44と第4長さ46は、それぞれシリンダの第1円周及び第2円周に沿って測定される。第1長さ43と第3長さ45は同一である。第2長さ44と第4長さ46は同一である。第1長さ43と第3長さ45は一方でお互いに同一であり、あるいは他方でお互いに異なっていてもよい。
そのような各部分のひも状部材は、強化部材に柔軟性と弾性の特性を与える。典型的に、平べったい性質を持つワイヤと部分39と41は、シール21の長手方向の剛性を増大させる。リップ28は、それ自身裏返ることはできない。一方、半径方向においては、そもそも著しく変化する。この特性を保持することは、一方で漏れ防止に好ましく、他方において液圧流体のゆっくりとした浸透にとっても好ましい。
第1ピストン4と第2ピストン5は、第1戻しバネ49と第2戻しバネ50によってそれぞれ非作動位置に戻される。
第1ピストン4及び/又は第2ピストン5がマスターシリンダの内孔3に維持されるようにするために、本発明ではこの同じ第1ピストン4及び/又は第2ピストン5を内孔3の内部の位置に保持することが可能である。この保持作用は、強化されたシールと第1ピストン4及び/又は第2ピストン5のの恊働によって作り出される。
第1ピストン4及び/又は第2ピストン5がマスターシリンダの内孔3に維持されるようにするために、本発明ではこの同じ第1ピストン4及び/又は第2ピストン5を内孔3の内部の位置に保持することが可能である。この保持作用は、強化されたシールと第1ピストン4及び/又は第2ピストン5のの恊働によって作り出される。
第1シール21と第1ピストン4との恊働は、図2における第1ピストン4の表面に半径方向に開けられた第1切欠き(rebate)すなわち溝31によって実現される。それは第2ピストン5にとっても同様である。このため、第1溝31についてのみ説明する。本発明に係る第1シール21は、内側リップ28と溝31との恊働によって内孔内に第1ピストンを維持する機能を有している。
第1ピストン4は、図2における切欠きの底において、溝31に当接して配置された第1シール21の内側リップ28の上部と共に内孔内に位置決めされる。第1シール21に対してこのように位置決めされた場合、第1ピストン4が内孔3から飛び出す危険性はもはやなくなる。この保持機能は、第1ピストン4の非作動位置への突然の戻り或いはマスターシリンダが運搬される場合に特に有用である。そのような運搬は、マスターシリンダを自動車に取り付ける見地において、一方の場所から他方の場所へ生じる。
より正確には、第1溝31は第1ピストン4の表面であって第1ピストンの全ての周面部に形成される。この第1溝31は図2における第1シール21に近接した第1ピストン4の位置に形成される。他の第1溝(図示略)は、上記した第1溝31の位置に或いはそれに加えて第1カップ19に近接した位置に作ることができる。
図2において、第1溝31は、第1ピストン4の後方端11の方向における前方端12から、第1ピストン4の軸線に対して長手方向に、共に連続して接続される第1表面35、第2表面36及び第3表面37を形成している。
第1表面35は軸線7に垂直な面に形成され、第2表面36は、第1表面35と第2表面36とが相互に直角となるようにこの同じ軸線に対して平行な面に形成されている。第3表面37は傾斜しており、第2表面36を第1ピストン4によって形成される残りの表面に接続する。
非作動時、すなわちブレーキペダルが作動していない場合において、第1シール21は、ブレーキ動作中に第1ピストンが前方に移動する方向である、第1オリフィスを通過する軸線に関して長手方向でかつピストンの軸線に関して平行な方向に、第1オリフィス33から下流の溝31に当接して配置される。第1オリフィス33は溝の第2表面36からくり抜かれている。第1シール21は、第1表面35だけに当接するかあるいは第2表面36にも同時に当接して位置決めされてもよい。あるいは第1シール21は、第1表面35だけに当接するかあるいは第2表面36だけに当接して位置決めされてもよい。第1ピストン4は、ブレーキ液が第1リザーバ15から第1導管17と第1オリフィス33を経由して第1チャンバ13の方向へ流れるように、第1シール21と第1導管17に対して配置されている。
そして、自動車のブレーキが掛けられた瞬間、すなわちブレーキペダルが作動した場合に、第1ピストン4は第2ピストン5の方向で第1ピストンの軸線に関して長手方向に、マスターシリンダの内孔に向かって押される。第1ピストン4はマスターシリンダの内孔3の壁6に沿って、従って第1シール21に沿って滑る。第1シール21は第1オリフィス33と第1導管17との間で第1ピストンに当接して位置決めされる。第1シール21は、第1オリフィス33を通過する軸線に関して長手方向で、ピストンの軸線に関して平行な方向であって、ブレーキ動作中に第1ピストンが前方に移動する方向において、第1オリフィスから上流に配置されている。ブレーキ液はもはや第1オリフィス33を通過しない。なぜなら、第1シール21は第1ピストンに当接して配置され、従って第1オリフィス33を通るブレーキ液への通路を遮断するからである。これにより、第1チャンバ13内で圧力上昇が発生する。第1シール21は第1ピストン4の表面の残りの部分に当接して配置される。しかし、第1シール21は第1溝31の第2表面あるいは第3表面に当接して配置することもできる。
第1シール21には、第1シール21と第1溝23の内部の壁6との間の空間52を遮断する少なくとも1つの再充填通路が備えられている。再充填通路51は、半径方向クラウン29から形成される。空間52は、マスターシリンダの機能とは独立したE.S.P(電子制御安定化プログラム)のような他のブレーキ装置へブレーキ液を供給するために蓄えることができる。
第1ピストン4が非作動位置に戻る場合、第1ピストン4は非作動位置へ壁6に沿って滑る。第1ピストン4が壁6に沿って滑る場合、第1シール21は再度第1導管17から第1チャンバ13に向けて、第1ピストン4と壁6の間をゆっくり入り且つ/又は導管17から第1チャンバ13へ第1オリフィス33を通って循環することのどちらかによって、ブレーキ液が循環するのを許容する。液体は、第1シール21の外側リップ27が壁6に対して隆起するという事実のために、第1ピストン4の残りの表面に面して配置された壁6の点とピストン4の間でゆっくり漏れる。壁6に対する第1シール21の外側リップ27の僅かな隆起は、ブレーキペダルが解放され始めるときはいつでも起こりうる。この隆起は、内側リップ28が未だ第1ピストン4に当接してこの同じ内側リップ28が未だ第1導管17から第1オリフィス33への流体通路を遮断しながら、ブレーキ液が外側リップ27と壁6の間でゆっくり漏れるのを可能にする。ブレーキ液は、再充填通路51を通って隆起した外側リップ27と壁6との間をゆっくり流れる。
第1チャンバは、第1ピストン4が最初の非作動位置に戻らないうちに再充填される。この早期の再充填は、第1ピストン4が最初の非作動位置に戻らない場合でも、要求が生じたときに再びブレーキを掛けることを可能にする。
第1シール21は内側リップ28の表面によって形成される面に垂直に隆起する第1突起38を有し、この表面は第1ピストン4に面して配置されるように設計されている。この突起38は第1シール21の周辺全体に形成されている。非作動状態において、この突起38は第1オリフィス33を遮断することなくこれに面して配置される。ブレーキ中に第1ピストン4は、突起38が第1ピストン4に当接する状況にされるように配置される。この突起38は、第1ピストン4の非作動距離を低減するのを可能にする。第1ピストン4の非作動距離は、自動車のブレーキ動作が得られるように、第1ピストン4が内孔3の中で移動すべき距離という意味に理解される。この距離は、第1ピストン4の軸線に関して長手方向において、第1ピストンが非作動位置にある場合に突起38が配置された場所に面する位置と、ブレーキ状態の間突起38が当接する位置に面する第1ピストン4の他の位置との間として算定される。一端第1ピストン4と接触して第1オリフィス33から上流に位置決めされると、突起38は第1導管17と第1オリフィス33との間の液体通路を遮断する。
本発明は、単一のチャンバと単一のピストンを備えるマスターシリンダの場合も適用できる。
Claims (9)
- 自動車のマスタシリンダ1であって、
内孔3がくり抜かれた本体2と
前記本体の前記内孔によって形成される壁に沿って滑り、チャンバ13、14を画成する少なくとも1つのピストン4、5と、
前記内孔から独立した少なくとも1つの液圧流体リザーバ15、16と、
前記壁とピストンとの間に収容されたU字断面を有する前記チャンバのための少なくとも1つのシール21、22と備え、
前記シールは、前記ピストンの移動軸線と同軸の軸線を持つ円筒の円周方向に延びる剛性強化部材25を備えており、前記強化部材は一連の同一な銃眼状部を有するワイヤから形成され、それぞれは他の残りに接続され、その部分はピストンの軸線に平行な第1の方向に延びる第1部分39と、そして円筒の第1円周によって支持されて第1方向に延びる第2部分40と、そして前記第1の方向とは反対の第2の方向に延びる第3部分41と、前記円筒の第2円周によって支持され前記第1方向と同一の第2方向に延びる第4部分42とから形成されることを特徴とするマスターシリンダ。 - 前記シールは外側リップ27と内側リップ28とを有し、前記外側リップと内側リップは中間部分29によって接続され、前記外側リップは前記ピストンから離れた第1位置に配置され、前記内側リップは前記ピストンに近接した第2位置に配置され、前記内側リップは強化部材を有していることを特徴とする請求項1に記載のマスターシリンダ。
- 前記ピストンは円周面上に周縁切欠きがくり抜かれ、その周縁切欠き31に対して前記シールの前記内側リップの先端部が当接するように設計され、前記切欠きは前記本体内で前記ピストンに対するストッパを形成することを特徴とする請求項2に記載のマスターシリンダ。
- 前記内側リップは、この内側リップの表面によって形成される面に対して直角に隆起する突起38を有し、前記内側リップの表面は前記ピストンに面して配置され、前記突起は前記ピストンが前記マスターシリンダの内孔内で移動した場合にピストンに当接するように設計されていることを特徴とする性急行2又は3に記載のマスターシリンダ。
- 前記強化部材は、前記リップに沿った少なくとも部分的な周縁にあることを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載のマスターシリンダ。
- 前記ワイヤは平坦であることを特徴とする請求項5に記載のマスターシリンダ。
- 前記第2部分と第4部分とはそれぞれ同一な第2長さ44と第4長さ46とを有し、前記第2長さと第4長さとは前記シリンダの円周に沿って測定されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のマスターシリンダ。
- 前記強化部材は金属製であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のマスターシリンダ。
- 前記強化部材はプラスチックで作られることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のマスターシリンダ。
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