JP2007090550A - 成型用フィルム - Google Patents

成型用フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2007090550A
JP2007090550A JP2005279888A JP2005279888A JP2007090550A JP 2007090550 A JP2007090550 A JP 2007090550A JP 2005279888 A JP2005279888 A JP 2005279888A JP 2005279888 A JP2005279888 A JP 2005279888A JP 2007090550 A JP2007090550 A JP 2007090550A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
polylactic acid
film
melting point
molding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005279888A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4734071B2 (ja
Inventor
Manabu Kimura
学 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Film Solutions Ltd
Original Assignee
Teijin DuPont Films Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin DuPont Films Japan Ltd filed Critical Teijin DuPont Films Japan Ltd
Priority to JP2005279888A priority Critical patent/JP4734071B2/ja
Publication of JP2007090550A publication Critical patent/JP2007090550A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4734071B2 publication Critical patent/JP4734071B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】 良好な成形加工性を備え、寸法安定性および耐熱性に優れる成型用フィルムを提供する。
【解決手段】 実質的に非配向構造のポリ乳酸の層Bと、この層に接して両側に設けられた配向構造のポリ乳酸の層Aとからなる成型用フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリ乳酸からなり生分解性を持つ成形用フィルムに関する。
ポリ乳酸は透明性が高く強靭なポリマーであるが、化学構造上、水の存在下に容易に加水分解する。そのため廃棄後には環境を汚染することなく分解され、環境への負荷が少ない。この特性を活かして、これをフィルム状にしたものに蒸着処理を施し、食品包装材料やシール材として使用されはじめている。
しかし、ポリ乳酸の融点は通常約170℃であり、延伸フィルムとする際に十分に高い温度で熱固定を行なうことができない。そのため得られるフィルムは熱収縮しやすいフィルムとなり、寸法安定性および耐熱性が不足する。また、ポリ乳酸のフィルムは柔軟性に乏しくそのままでは成型材料としての成形性を備えない。
ポリ乳酸の耐熱性を向上させるための方法として、L−乳酸単位のみからなるポリ−L−乳酸(以下「PLLA」という)とD−乳酸単位のみからなるポリ−D−乳酸(以下「PDLA」という)を溶液あるいは溶融状態で混合することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸を形成する方法が知られている。このステレオコンプレックスポリ乳酸を用いて実用的な強度を有する延伸フィルムを得るためには、PLLAおよびPDLAの分子量を10万以上とすることが必要であるが、このような大きな分子量では単一かつ完全なステレオコンプレックスポリ乳酸は得られない。なお、溶液ブレンドにおいて、10万以上の分子量のPLLAおよびPDLAからステレオコンプレックスポリ乳酸を形成する方法が試みられているが、この方法では溶液状態で長期間にわたって保持する必要があり生産性に問題がある。また、L−乳酸単位を70〜95モル%有する分子量20万程度の非結晶性ポリマーとD−乳酸単位を70〜95モル%有する分子量20万程度の非結晶性ポリマーとを、溶融ブレンドしステレオコンプレックスポリ乳酸を製造する方法も知られているが、これを延伸フィルムとしても成形加工性に乏しい。
特開昭63−264913号公報 特開2000−17163号公報
本発明の課題は、生分解性を持つポリ乳酸のフィルムでありながら、紙容器、化粧板や木工家具などに貼り合せて用いることのできる良好な成形加工性を備え、寸法安定性および耐熱性に優れる成型用フィルムを提供することにある。
すなわち本発明は、実質的に非配向構造のポリ乳酸の層Bと、この層に接して両側に設けられた配向構造のポリ乳酸の層Aとからなる成型用フィルムである。
本発明によれば、生分解性を持つポリ乳酸のフィルムでありながら、紙容器、化粧板や木工家具などに貼り合せて用いることのできる良好な成形加工性を備え、寸法安定性および耐熱性に優れる成形用フィルムを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリ乳酸の層A]
ポリ乳酸の層Aは、配向構造を有する層であり、この配向構造は延伸により形成される。延伸は一軸延伸、二軸延伸のいずれでもよい。層Aのポリ乳酸の融点は、好ましくは190〜220℃である。融点が190℃未満であると耐熱性に劣り好ましくなく、220℃を超えると成形加工性が劣り好ましくない。
層Aのポリ乳酸の融点は、層Bのポリ乳酸の融点より少なくとも15℃、好ましくは少なくとも20℃、特に好ましくは少なくとも30℃高い。融点の差が15℃未満であると、層Aのポリ乳酸の配向構造を維持しながら層Bのポリ乳酸を実質的に非配向の構造にすることができない。この場合には、層Aのポリ乳酸の溶融が一部起き始め、フィルム製造工程でフィルムの切断が発生したり、ロール状に巻き取ったフィルムが融着する問題が起こりやすくなる。層Aのポリ乳酸の融点の条件を満足するために、層Aのポリ乳酸としてステレオコンプレックスポリ乳酸を用いることが好ましい。
本発明の成形用フィルムとこれを用いた加工製品の寸法安定性、耐変形性および耐カール性を高い水準で維持するために、層Aのポリ乳酸のガラス転移温度は、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。このガラス転移温度は、ポリ乳酸を一度溶融した後、急冷、固化したサンプルを示差走査熱熱量計で20℃/分の速度で昇温したときに観察されるガラス転移温度であり、ポリマーの構造変化(比熱変化)温度である。
[ポリ乳酸の層B]
ポリ乳酸の層Bは実質的に非配向構造の層である。この非配向構造の層は、本発明の成形用フィルムを製造する工程のうちの延伸工程によって一旦形成された配向構造のポリ乳酸の層を融点以上の温度で熱処理することにより形成することができる。層Bのポリ乳酸の融点は、例えば160〜200℃、好ましくは165〜195℃であり、ポリ乳酸の層Aを構成するポリ乳酸より少なくとも15℃低い。融点が160℃未満であると耐熱性および強度が劣り、200℃を超えると成形加工性に劣る。融点はポリ乳酸を一度溶融した後、急冷、固化したサンプルを示差走査熱熱量計で20℃/分の速度で昇温したときに観察される融点であり、これは溶融吸熱ピーク温度である。
本発明の成形用フィルムは、層Aと層Bのポリ乳酸のそれぞれの溶融吸熱ピークが検出される。層Bのポリ乳酸のガラス転移温度は、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。ガラス転移温度が40℃未満であるとフィルム製造工程での粘着の問題が発生して好ましくない。
このような条件を満たすポリ乳酸として、好ましくはL−乳酸を主たる成分として重合し得られるポリL乳酸および/またはD−乳酸を主たる成分として重合し得られるポリD乳酸を用いる。
[層構成]
本発明の成形用フィルムは、実質的に非配向構造のポリ乳酸の層Bとこの層に接して両側に設けられた配向構造のポリ乳酸の層Aとからなり、好ましくは、1軸以上の延伸配向構造を熱処理により非配向構造としたポリ乳酸の層Bと、1軸以上の延伸配向構造を有するポリ乳酸の層Aとの積層構造を有する。そして本発明の成形用フィルムの表層は、配向構造のポリ乳酸の層Aから構成される。表層が、実質的に非配向構造であるとフィルムの耐熱性が劣るのみならず、フィルムの製造の際に工程内のロールにフィルムが粘着しやすいため生産性工程で不都合が生じる。
配向構造のポリ乳酸の層Aを表層に備える構成として、例えばA/B/A(ここで、/は層の構成を示す)タイプの3層構成、A/B/A/B/Aタイプの5層構成、さらにこれらの順序による7層、9層、2n+1(nは自然数)構成等のマルチ多層構成を挙げることができる。これら構成のうち、3層または5層の構成が好ましく、3層の構成が特に好ましい。
ポリ乳酸の層Bは、熱処理によって非配向構造とするが、この熱処理は、ポリ乳酸の層Bの両面にポリ乳酸の層Aを積層した状態で、ポリ乳酸の層Aの融点より低くかつポリ乳酸の層Bの融点より高い温度で行う。この熱処理により層Bのポリ乳酸は溶融状態になりその配向構造は実質的に非配向構造となる。この熱処理は、好ましくは、共押出製膜法における延伸処理後の熱固定処理時の温度を、層Aのポリ乳酸の融点より低くかつ層Bのポリ乳酸の融点より高い温度に設定することで行うことができる。
本発明の成形用フィルムにおいて、配向構造の層Aの総厚み(a)と、実質的に非配向構造の層Bの総厚み(b)の比(a/b)は、例えば0.01〜0.60、好ましくは0.02〜0.43、さらに好ましくは0.05〜0.17である。
この総厚み比は、例えば層構成がA1(厚み:a1)/B(厚み:b)/A2(厚み:a2)の3層からなる場合、層Aと層Bの総厚み比、すなわち(a1+a2)/(b)を意味する。また、層構成がA1(厚み:a1)/B1(厚み:b1)/A2(厚み:a2)/B2(厚み:b2)/A3(厚み:a3)の5層からなる場合、層Aと層Bの総厚み比、すなわち(a1+a2+a3)/(b1+b2)を意味する。この総厚み比(A/B)が0.01未満であると層Aの最表層厚みが小さくフィルム製造時の厚み制御が難しく、ポリ乳酸の層Bが一部表層に露出しやすく、フィルムの寸法安定性が不充分であり、耐熱性が劣り好ましくない。総厚み比が0.60を超えると実質的に非晶構造であるポリ乳酸の層Bの存在割合が少なく成形性が低くなり、例えば成形用フィルムを加熱あるいは余熱下で真空吸引成形加工する際の成形性加工性が不十分となり好ましくない。
本発明の成形用フィルムの総厚みは、例えば20〜100μm、好ましくは25〜80μm、さらに好ましくは30〜60μmである。総厚みが20μm未満であると製膜時にフィルムの破断や厚み斑が発生して好ましくない。総厚みが100μmを超えると成形用フィルムを加熱あるいは余熱下で成形加工する際の成形性が不十分となり好ましくない。
[不活性粒子]
本発明の成形用フィルムは、フィルムの易滑性を得るために、層Aのポリ乳酸に不活性粒子を含有させることが好ましい。不活性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2μmである。平均粒径が0.05μm未満であると成形用フィルムに十分な滑性が付与することができず好ましくなく、5μmを超えると成形用フィルムの透明性が失われて好ましくない。不活性粒子の形状は球形であることが好ましい。不活性粒子として球状の粒子を用いることで光線の散乱を低減して高い光線透過率を得ることができる。
不活性粒子は、Al、Si、CaおよびMgのいずれかの元素を含んでいることが好ましい。不活性粒子としては、例えば、Siを含む場合、平均粒子径の異なる2種類の球状シリカを組み合わせて、球状シリカと粒子径の異なる球状シリコーンを組み合わせて用いてもよい。
[製造方法]
層Aおよび層Bを構成するポリ乳酸自体は公知のポリ乳酸の重合方法により製造することができる。例えば、ラクチドの開環重合、乳酸の脱水縮合の方法によって製造することができる。これら方法にさらに固相重合を組み合わせてもよい。
本発明の成形用フィルムは、好ましくは共押出製膜法で製造される。例えば3層フィルム(A/B/A)を製造する場合を説明すると、先ず、層Aに用いるポリ乳酸のチップを乾燥してから溶融し、これと並行して層Bに用いるポリ乳酸のチップを乾燥してから溶融する。続いて、これら溶融したポリ乳酸をフィードブロックを設置したダイの内部でA/B/Aとなるように3層に積層したのち、冷却ドラム上にキャスティングして未延伸3層フィルムとする。引き続き、この未延伸3層フィルムを延伸して配向構造を有する3層延伸フィルムとする。この延伸は、ポリ乳酸の層Aが所望の配向構造を形成する条件で行えばよい。例えば層Aをのポリ乳酸のTg(ガラス転移温度)−10℃からTg+50℃の温度で、縦方向に2.5倍以上、好ましくは3〜6倍延伸し、次いでTg+10からTg+50℃の温度で、横方向に2.5倍以上、好ましくは3〜6倍延伸する。このとき延伸倍率は、面積倍率で8倍以上、さらには9倍以上であることが好ましい。
このようして得られた3層延伸フィルムに熱処理を施す。熱処理は、層Bのポリ乳酸の融点より高い温度で行なう。この熱処理により延伸配向構造の層Bのポリ乳酸が溶融して実質的に非配向の構造に変化する。この熱処理の温度は、好ましくは層Bのポリ乳酸の融点より5℃以上高い温度、かつ層Aのポリ乳酸の融点より10℃以上低い温度である。この熱処理を行なうことによって、ポリ乳酸の層Aには、熱固定処理を行なったのと同様の効果がもたらされる。熱処理の方法は、例えば、フィルムの延伸後直ちに工程内で熱処理する方法、フィルムの延伸を完了してフィルムをロール状に巻き取った熱熱処理する方法を適用することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例および比較例において用いた特性の測定方法ならびに評価方法は、次のとおりである。
(1)真空吸引成形性
成型加工性の評価として真空吸引成形による評価を行なった。市販のアズワン(株)取り扱い製品・ビフネルロートAF3(φ105mm)を用い、このロート上口部に評価用フィルムを両面テープなどで隙間無く貼付け、フィルム上方100mmにセットした1200W工業用ドライヤーにて約60秒、フィルム表面付近温度が80℃となるまで加熱した。その後、東京理化器械(株)アスピレーターA−3Sを用いて、ロート下部より減圧調整弁を用いて、50mmHgの真空度下でフィルムを10秒間吸引成形し、容器の形状の評価用サンプルを作成した。真空吸引成形性は、最も引張り成形されるロート端底部分の追従性およびフィルム厚みを測定することで評価した。
○:フィルムがロート端底部分まで十分に追従するよう成形されており、該端底部分のフィルム厚みが、元のフィルム厚みの10%以上に保たれている。
△:フィルムがロート端底部分まで十分に追従するよう成形されているが、該端底部分のフィルム厚みが薄く、元のフィルム厚みの10%未満である。
×:フィルムがロート端底部分まで十分に追従成形されず、あるいは追従成形されていても該端底部分でのフィルム破断などが確認される。
(2)耐熱性
上記(1)の真空吸引成形性の評価の方法で得られた容器の形状のフィルムサンプルに、オリーブ油50ccを入れ、1500Wの電子レンジにて3分間加熱した後の容器の形状のフィルムサンプルの様子を観察し、下記評価基準で耐熱性を評価した。
○:大きな変化なし。
△:変形などの変化あり。
×:破れるか溶融する。
(3)フィルム厚み
外付けマイクロメーターで100点測定し、平均値を求めてフィルムの厚みとした。
(4)各層の厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kVにて観測撮影し、その写真から各層の厚みを測定し、平均厚み、相対標準偏差を求めた。
(5)融点
サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させて融点(Tm)(単位:℃)を測定した。
(6)熱収縮率
フィルムサンプルを150℃×10分で熱処理する前後での、フィルム上の標点の間隔の変化から算出した。
[参考例]ポリ乳酸の製造
ポリ乳酸は以下の方法で製造した。
L−ラクチド100重量%に、オクチル酸スズを200重量ppm加え、190℃で重合を行い、ペレットを作製し、PLLA−1とした。得られたPLLA−1の重量平均分子量は13万、融点は170℃であった。
L−ラクチド97.5重量%に、D−ラクチドを2.5重量%加えたものに、オクチル酸スズを200重量ppm加え、190℃で重合を行い、ペレットを作製し、PLLA−2とした。得られたPLLA−2の重量平均分子量は12万、融点は158℃であった。
L−ラクチド95重量%に、D−ラクチドを5重量%加えたものに、オクチル酸スズを200重量ppm加え、190℃で重合を行い、ペレットを作製し、PLLA−3とした。得られたPLLA−3の重量平均分子量は12万であったが、融点は146℃であった。
L−ラクチド80重量%に、D−ラクチドを20重量%加えたものに、オクチル酸スズを200重量ppm加え、180℃で重合を行い、ペレットを作製し、PLLA−4とした。得られたPLLA−4の重量平均分子量は11万であったが、融点を明確に検出することはできなかった。
D−ラクチド100重量%に、オクチル酸スズを200重量ppm加え、190℃で重合を行い、ペレットを作製し、PDLA−1とした。得られたPDLA−1の重量平均分子量は13万、融点は170℃であった。
D−ラクチド97.5重量%に、L−ラクチドを2.5重量%加えたものに、オクチル酸スズを200重量ppm加え、190℃で重合を行い、ペレットを作製し、PDLA−2とした。得られたPDLA−2の重量平均分子量は12万、融点は158℃であった。
D−ラクチド95重量%に、L−ラクチドを5重量%加えたものに、オクチル酸スズを200重量ppm加え、190℃で重合を行い、ペレットを作製し、PDLA−3とした。得られたPDLA−3の重量平均分子量は12万であったが、融点は146℃であった。
D−ラクチド80重量%に、L−ラクチドを20重量%加えたものに、オクチル酸スズを200重量ppm加え、180℃で重合を行い、ペレットを作製し、PDLA−4とした。得られたPDLA−4の重量平均分子量は11万であったが、融点を明確に検出することはできなかった。
[実施例1]
上記参考例のPLLA−2とPDLA−2とを1対1の比率でチップ状態でブレンドしたものを120℃で6時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給して溶融温度260℃で溶融してダイ内部へ供給しポリ乳酸の層Aとする一方で、上記のPLLA−1を120℃で6時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給して溶融温度240℃で溶融し、ダイ内部へ供給し、ポリ乳酸の層Bとして、A/B/Aの3層に溶融ポリマーを積層して、表面温度20℃の冷却ドラム上に押出して急冷し未延伸3層フィルムを得た。この時、ポリ乳酸の層Aにできたステレオコンプレックスポリ乳酸の融点は、205℃であった。
続いて、この未延伸3層フィルムを縦方向に70℃で3.0倍、横方向に90℃で3.2倍に逐次2軸延伸した後、195℃で熱固定し、A/B/Aの構成の成形用フィルムを得た。この成形用フィルムの厚み構成は、ステレオコンプレックスポリ乳酸からなる両面の表層ポリ乳酸の層Aが2μm、内層ポリ乳酸層Bが46μmの合計50μmであった。加熱下での真空吸引成形性、耐熱性および熱収縮率の評価結果を表1に示す。いずれも良好な結果であった。
[実施例2]
実施例1において、PLLA−2の代わりにPLLA−3を、PDLA−2の代わりにPDLA−3を用いる以外は実施例1と同様にして、A/B/Aの構成の未延伸3層フィルムを得た。この時、ポリ乳酸の層Aにできるステレオコンプレックスポリ乳酸の融点は、195℃であった。続いて、このフィルムを実施例1と同様にして逐次2軸延伸した後、185℃で熱固定して、実施例1と同様の厚み構成の成形用フィルムを得た。加熱下での真空吸引成形性、耐熱性および熱収縮率の評価結果を表1に示す。いずれも良好な結果であった。
[実施例3]
実施例1において、ポリ乳酸の層BのPLLA−1の代わりにPDLA−1を用いる以外は実施例1と同様にして、A/B/Aの構成の成形用フィルムを得た。加熱下での真空吸引成形性、耐熱性および熱収縮率の評価結果を表1に示す。いずれも良好な結果であった。
[実施例4]
上記参考例のPLLA−1とPDLA−1とを1対1の比率でチップ状態でブレンドしたものを120℃で6時間乾燥し押出機ホッパーに供給して溶融温度270℃で溶融してダイ内部へ供給し、ポリ乳酸の層Aとする一方で、上記のPLLA−3とPDLA−3とを1対1の比率でチップ状態でブレンドしたものを120℃で6時間乾燥した後、別の押出機ホッパーに供給して溶融温度260℃で溶融してダイ内部へ供給し、ポリ乳酸層Bとして、A/B/Aの3層に溶融ポリマーを積層し、表面温度20℃の冷却ドラム上に押出して急冷し3層の未延伸フィルムを得た。このとき、ポリ乳酸層Aにできるステレオコンプレックスポリ乳酸の融点は220℃、ポリ乳酸層Bにできるステレオコンプレックスポリ乳酸の融点は195℃であった。
続いて、この3層の未延伸フィルムを縦方向に70℃で3.0倍、横方向に90℃で3.2倍に逐次2軸延伸した後、205℃で熱固定し、実施例1と同様の厚み構成の成形用フィルムを得た。加熱下での真空吸引成形性、耐熱性および熱収縮率の評価結果を表1に示す。特に、熱収縮率において良好な特性を得ることができた。
[比較例1]
実施例1において、PLLA−2の代わりにPLLA−4を、PDLA−2の代わりにPDLA−4を用いる以外は、実施例1と同様にポリ乳酸層Aおよびポリ乳酸の層Bを得、A/B/Aの構成の未延伸フィルムを得た。このとき、ポリ乳酸の層Aにできるステレオコンプレックスポリ乳酸の融点は180℃であった。
続いて、この3層の未延伸フィルムを実施例1と同様にして逐次2軸延伸した後170℃で熱固定して実施例1と同様の厚み構成の成形用フィルムを得た。評価結果を表1に示す。いずれの特性も満足のいくものではなかった。
[比較例2]
上記参考例のPLLA−1を120℃で6時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給して溶融温度200℃で溶融し、ダイ内部へ供給し、溶融ポリマーを表面温度20℃の冷却ドラム上に押出して急冷し、単層の未延伸フィルムを得た。続いて、この単層の未延伸フィルムを縦方向に70℃で3.0倍、横方向に90℃で3.2倍に逐次2軸延伸した後、150℃で熱固定し、厚みは50μmの延伸フィルムを得た。いずれの特性も満足のいくものではなかった。
[比較例3]
ポリ乳酸層Aを実施例1と同様にして作製する一方で、ポリ乳酸層Bを実施例4と同様にして作製し、A/B/Aの3層に溶融ポリマーを積層し、表面温度20℃の冷却ドラム上に押出して急冷し3層の未延伸フィルムを得た。この時、ポリ乳酸層Aにできるステレオコンプレックスポリ乳酸の融点は205℃、ポリ乳酸層Bにできるステレオコンプレックスポリ乳酸の融点は195℃であった。続いて、この3層未延伸フィルムを縦方向に70℃で3.0倍、横方向に90℃で3.2倍に逐次2軸延伸した後、195℃で熱固定し、実施例1と同様の厚み構成の3層フィルムを得た。評価結果を表1に示す。いずれの特性も満足のいくものではなかった。
Figure 2007090550

Claims (3)

  1. 実質的に非配向構造のポリ乳酸の層Bと、この層に接して両側に設けられた配向構造のポリ乳酸の層Aとからなる成型用フィルム。
  2. 層Aのポリ乳酸の融点が層Bのポリ乳酸の融点よりも15℃以上高い、請求項1記載の成型用フィルム。
  3. 層Aのポリ乳酸がステレオコンプレックスポリ乳酸である、請求項1記載の成型用フィルム。
JP2005279888A 2005-09-27 2005-09-27 成型用フィルム Active JP4734071B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005279888A JP4734071B2 (ja) 2005-09-27 2005-09-27 成型用フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005279888A JP4734071B2 (ja) 2005-09-27 2005-09-27 成型用フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007090550A true JP2007090550A (ja) 2007-04-12
JP4734071B2 JP4734071B2 (ja) 2011-07-27

Family

ID=37976808

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005279888A Active JP4734071B2 (ja) 2005-09-27 2005-09-27 成型用フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4734071B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010072013A1 (zh) * 2008-12-25 2010-07-01 伟盟工业股份有限公司 聚乳酸贴合板及其制造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003070460A (ja) * 2001-09-06 2003-03-11 Menicon Co Ltd 膜組織用裏打ち基材及びそれを用いた膜組織の保存/輸送方法
JP2003096285A (ja) * 2001-09-27 2003-04-03 Toray Ind Inc ポリ乳酸樹脂組成物、その製造方法および成形品
JP2004143432A (ja) * 2002-10-03 2004-05-20 Toray Ind Inc ポリ乳酸系樹脂延伸フィルムおよびその製造方法
JP2004358844A (ja) * 2003-06-05 2004-12-24 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 熱折り曲げ成形用ポリ乳酸系積層シート

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003070460A (ja) * 2001-09-06 2003-03-11 Menicon Co Ltd 膜組織用裏打ち基材及びそれを用いた膜組織の保存/輸送方法
JP2003096285A (ja) * 2001-09-27 2003-04-03 Toray Ind Inc ポリ乳酸樹脂組成物、その製造方法および成形品
JP2004143432A (ja) * 2002-10-03 2004-05-20 Toray Ind Inc ポリ乳酸系樹脂延伸フィルムおよびその製造方法
JP2004358844A (ja) * 2003-06-05 2004-12-24 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 熱折り曲げ成形用ポリ乳酸系積層シート

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010072013A1 (zh) * 2008-12-25 2010-07-01 伟盟工业股份有限公司 聚乳酸贴合板及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4734071B2 (ja) 2011-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2006095923A1 (ja) ポリ乳酸系組成物、その組成物からなる成形品
WO2009154150A1 (ja) 蒸着フィルム
JP5127296B2 (ja) 深絞り成型同時転写箔用ポリエステルフィルム
JPH1080990A (ja) ガスバリヤー性複合フィルム
JP2007016091A (ja) ポリ乳酸フィルム
JP3861488B2 (ja) ラップフィルム
CN103097128B (zh) 可收缩膜及其制造方法
JP4734071B2 (ja) 成型用フィルム
JP4345149B2 (ja) バリアフィルム
JP2001233950A (ja) 共重合ポリエステルエーテル及びそれからなるフィルム
JPH02204020A (ja) 成形用二軸延伸ポリエステルフィルム、成形転写用フィルムおよび成形容器用フィルム
JP2004202702A (ja) 易引裂性積層ポリエステルフィルム
JP5391666B2 (ja) 二軸延伸フィルム
JP2013199059A (ja) 積層フィルム
JP4518933B2 (ja) 二軸延伸生分解性フィルム
JP2012061691A (ja) 包装材料、電子部品包装材料、及び、分包体
JP2006305754A (ja) 紙容器貼合せ用フィルムおよびこれを備える紙容器ならびにその製造方法
JP5640973B2 (ja) ポリエステル系積層フィルム、それを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体
JP2023107433A (ja) フィルムおよび積層体の製造方法
JP2007076139A (ja) 密封袋用生分解性フィルム
JPH07228713A (ja) 軟質ポリエステル系フィルム
TW202248312A (zh) 雙軸定向膜、層合物及包含該膜之環保包裝材料
JP6160276B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂シート
JP2005112886A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルム
JP2008273004A (ja) 積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100831

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101021

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110425

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4734071

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250