JP2007085973A - Qcm分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来、水晶発振子をQCMセンサとして利用し、これをフローセル内で測定する場合、反応効率が低かったため、多孔質メンブレンと吸水パッドによるフローセルを考案したが、溶液が多量になったり、過大な吸水パッドになったりといった問題が発生していた。
【解決手段】 本発明では、多孔質メンブレンを2つに分離したことと、これらを制御する制御手段を設けたことにより、流路の分離と結合が可能になり、多量の溶液と過大な吸水パッドが必要なくなるとともに、水晶発振子の周波数変化を利用することで測定時の手間を軽減させた測定を可能にした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、目的物質を含んだ溶液を流路に流入し、フローセル内に配置した水晶発振子の電極上の固定化物質と目的物質との反応による共振周波数変化から目的物質量を求めるQCM分析装置に関する。
従来から水晶発振子を利用して、その圧電効果から微量な物質を検出する技術(QCM)が知られている。水晶発振子は、その電極表面に物質が吸着すると、その物質の重量に応じて共振周波数が変化する。これを利用すると、極めて微量な物質の重量を、この周波数変化から読み取ることができる。
これを利用したQCM分析装置として、特許文献1がある。図7に、このQCM分析装置の構成を示す。下部部材18の表面に設けられた凹部に板状の水晶発振子16が配置され、その上の上部部材20によりセル室が構成される。セル室のシールは、シール部材19で行い、フローセル21のシールは外部シール15で行う。目的物質を含んだ溶液は、孔12につながるスリット11からセル室に入り、水晶発振子16上を層流として流れ、スリット14につながる孔13からセル外に流出する。図8は、このフローセル21を使った実施例である。フローセル21は、恒温槽22中に配置されており、温度センサ23からの出力信号をもとにコンピュータ24で図示しないヒーターを制御することによって一定に維持される。フローセル21には、ローラーポンプ25によってチューブ26を介して容器27からの血液が循環される。血液循環経路の途中にはダンパー28が設けられている。29は、発振器や周波数カウンタを組み込んだ回路である。図7における水晶発振子16の電極表面には、目的物質の抗原または抗体の膜が結合されており、血液中の目的物質と反応して、電極表面に吸着する。目的物質が水晶発振子16に吸着すると、その吸着した目的物質量に応じて共振周波数の変化が起こる。この共振周波数の変化は、ケーブル17によりコンピュータ24などに接続されて、目的物質量が分析される。
しかしながら、この方法では水晶発振子の表面近傍を流れてきた目的物質のみ検出するため、ほとんどの目的物質は、水晶発振子の電極表面上に結合された固定化物質と反応できないまま水晶発振子表面上を通過する。このため、実際には溶液中の一部の目的物質のみしか検出できず、センサ本来の感度が発揮できずに検出感度が充分でないという欠点を有していた。また、ローラーポンプや循環機構などを必要とするので装置が大型化し、小型化の妨げになっていた。
これを解決するために、流路の代替として多孔質メンブレンを使用し、ローラーポンプによる循環機構の代わりに吸水パッドを利用するフローセルを考案した。多孔質メンブレンと吸水パッドは結合されており、多孔質メンブレンを流れる溶液は、吸水パッドへと導かれる。水晶発振子は、多孔質メンブレンの一部で接触している。この場合、多孔質メンブレンの狭い孔の間を目的物質が流れていくので、水晶発振子との接触確率が高くなる。また、吸水パッドにより溶液を吸水していくため、ローラーポンプなどが不要になり、小型化が可能になる。
特開平8−75628号公報(図2、図8)
しかしながら、このような構成では小型化と高効率化を可能にする代わりに、次のような問題が生じる。まず、測定初期にリファレンスのために流す溶液が多量に必要になるという点があげられる。これは、水晶発振子が安定するまでの時間中、溶液を流し続けなければ周波数が安定しないことに起因する。つぎに、この多量の溶液を吸収するために過大な吸収パッドが必要になるという問題があげられる。さらに、周波数が安定するまでの時間は常に周波数を監視しておく必要があり、周波数を監視しながら溶液を追加するという手間の問題が生じる。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、フローセル内を流れる目的物質を、水晶発振子の電極表面上に結合された膜に効率良く反応させ、検出感度を向上させるためにフローセル内に多孔質メンブレンを配置した場合においても、多量の溶液、及び過大な吸収パッドを必要とせず、周波数を監視しながら溶液を追加する手間をなくすことを目的とする。
そこで本発明のQCM分析装置は、以下に示す構成を採用する。
フローセル内に水晶板の表と裏に電極が配置された水晶発振子を配置し、電極の一方に目的物質に特異的に結合する固定化物質を結合させ、目的物質を含んだ溶液を流路内に流して、電極で生じる目的物質と固定化物質との反応を水晶発振子の周波数変化から求めることで、目的物質量を分析するQCM分析装置において、フローセル内に配置された多孔質メンブレンと、多孔質メンブレンを制御する制御手段と、溶液を吸収する吸収パッドと、水晶発振子を発振させる発振回路と、発振回路の周波数をカウントするカウンタと、カウンタの周波数を分析する制御回路と、制御回路の分析結果を表示する表示部とを有することを特徴とする。
多孔質メンブレンは、第一多孔質メンブレンと第二多孔質メンブレンにより構成されることが好ましい。
第一多孔質メンブレンと第二多孔質メンブレンは、制御手段によって分離及び結合することが好ましい。
制御手段は、昇降可能なガイドピンと、ガイドピンを制御する制御部によって構成され、水晶発振子の周波数変化に応じてガイドピンを昇降動作させる手段であることが好ましい。
ガイドピンは、フローセル内に配置され、第二多孔質メンブレンの一部と結合していることが
好ましい。
ガイドピンは、初期状態において上昇しており、第一多孔質メンブレンと第二多孔質メンブレンとを分離させることが好ましい。
制御回路は、目的物質が固定化物質に結合することによって生じる周波数変化を検出すると、制御部に前記ガイドピンを下降させる信号を出力し、第一多孔質メンブレンと第二多孔質メンブレンとを結合させることが好ましい。
制御回路は、水晶発振子の周波数変化が、安定周波数変化ΔF以内になると、制御部に前記ガイドピンを上昇させる信号を出力し、第一多孔質メンブレンと第二多孔質メンブレンとを分離させることが好ましい。
本発明のQCM分析装置においては、下記に記載する効果を有する。
フローセル内に設けた多孔質メンブレンを第一多孔質メンレブンと第二多孔質メンブレンの2つに分けたことにより、溶液の流れを分離することを可能にした。これにより、一時的に溶液を溜めておくことや、再び溶液を流すことが可能になるため、多量の溶液が必要なくなる。
フローセル内に、ガイドピンと制御部による制御手段を設けたことにより、周波数の変化に応じてガイドピンと接続された第二多孔質メンブレンを昇降させることができる。
水晶発振子は、目的物質などが吸着した場合、一定の周波数から大きな周波数変化を生じるため、目的物質が吸着したかどうかを検出することができる。この周波数変化を利用することにより、目的物質が吸着するとともに第二多孔質メンブレンを下降させて、第一多孔質メンブレンと結合させることができる。これにより、目的物質が流れてくると同時に第一多孔質メンブレンから第二多孔質メンブレンへの流れを作ることができる。
また、ある程度周波数が安定したところで、第二多孔質メンブレンを再び上昇させて、第一多孔質メンブレンと分離させることもできる。これにより、溶液の流れすぎを防ぎ、安定した周波数を維持させることができる。
溶液の流れが制御できるため、一定量の溶液だけで定量的な分析を行うことができる。また、必要とする溶液も少量でよいため、吸収パッドの大きさを小さくすることができ、小型化を可能にする。
周波数の変化に応じて、第一多孔質メンブレンと第二多孔質メンブレンの結合と分離が行えるため、周波数を監視して手動で操作するといった手間を省くことができ、正確な分析を可能にする。
以下図面を用いて本発明を利用したQCM分析装置の最適な実施形態を説明する。なお、図面において、同一の参照数字及び記号は同じ又は同様の構成要素を指すものとする。
図1は本発明の実施の形態におけるQCMセンサ1を示す図である。図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)に示す線A−Aに沿う断面図であり、図1(c)は図1(a)に示すB−B線に沿う断面図である。水晶板30は、表面、裏面を有しており、表面と裏面には、それぞれ電極31、32が蒸着されている。このような構成の水晶板30を水晶発振子33という。水晶発振子33は、ATカット発振子が好ましく、その温度特性は特に優れている。図1(a)に示すように電極31、32にはそれぞれリード電極34、35が設けられている。電極31、32は、金属の薄い層から構成され、金・クロムや金・ニッケルなどで構成される。水晶板30の厚さにおいて、その厚さは薄いほど共振周波数を高くすることができるが、薄すぎると水晶板30が破損したり、不安定な発振をする場合がある。このため、本発明の実施形態においては、40μmの厚さの発振子を採用している。その基本共振周波数は、38MHzであり、安定に発振する。
水晶発振子33は、基板36の上面に配置される。図1(b)のように、基板36の上面と対向する電極を電極31、もう一方の電極を電極32とする。リード電極34、35は、それぞれ外部端子と電気的に接続するために設けられている。図1(b)、及び図1(c)に示すように、リード電極35は、水晶板30の表面から端部へ至り、側面を通って下へ延び、そのまま裏面へと続いている。リード電極34は、水晶板30の裏面のみに配置され、水晶板30の端部までは至らない。図1(c)に示すように、基板36には、
これらリード電極34、35と電気的に接続するための内部配線37、38が作られており、少量の導電接着剤39により接続される。内部配線37、38は基板36の内部を通り、基板36の下面に続いている。基板36の下面には、この内部配線37、38とを、外部へ接続するための外部端子40、41が配置されており、内部配線37、38と電気的に接続されている。この外部端子40、41に外部から交流電圧を印加することにより、水晶板30を振動させることができる。撥水剤42は、基板36上に塗布され、QCMセンサ1が溶液に浸漬される際に、溶液中の目的物質が、水晶発振子33以外の部分に吸着してしまうことを避けるために、水晶発振子33以外の部分に塗布される。
続いて、水晶発振子33の封止方法について図1を用いて説明する。基板36には、あらかじめ弾性体43を配置しておく。弾性体43は、好ましくは、シリコーン樹脂が適しており、図1(a)に示すように、水晶板30の外周と同程度の枠で配置される。さらに、その厚さは、電極31の厚みよりも大きく、水晶板30の厚さ(40μm)程度が好ましい。また、弾性体43は、電極31に触れることがあってはいけないため、電極31の端部から300μm以上離して配置することが好ましい。弾性体43が直接電極31に接触すると、その接触により共振周波数が大きく変化してしまう。この弾性体43に水晶発振子33をのせると、支持体となる弾性体43が、水晶発振子33の振動を大きく阻害することなく柔軟に支持するため、安定した発振を行うことができる。
ここからは、電極32に形成される固定化物質と目的物質との特異的な反応について説明する。本発明の目的物質としては、特定の物質と特異的に複合体を形成する物であれば特に制限はなく、例えば抗原抗体反応や、相補的なDNAなどを用いることができる。抗原抗体反応により測定される成分としては、IgG、インフルエンザA抗原、インフルエンザB抗原などがあげられる。また、本発明の固定化物質としては、目的物質に特異的に結合するものであれば制限はないが、例えば抗原と抗原に特異的に結合する抗体や、DNAとDNAに相補的なDNA等があげられ、それぞれ一方のものが使用できる。
次に電極32上でおきる抗原抗体反応について図2を用いて説明する。図2(a)において、抗体50は、抗原51に特異的に反応する抗体であり、標識物質52と結合されている。また、電極32上には、抗体53が結合されており、抗原51に特異的に反応する第二抗体である。標識物質52としては、目的物質と特異的に結合する抗体と結合するものであれば制限はなく、目的物質の重量の増感物質として使用され、例えば金コロイドやポリスチレンビーズなどが使用できる。標識物質52は、あらかじめ抗体50と結合させておき、標識体を形成する。そこに、抗原51を図2(a)のように抗原抗体反応を利用して結合させて、複合体を形成する。このような複合体を、緩衝液と混合して試料溶液を作り、電極32上を通過するように流す。ここで緩衝液に用いる緩衝剤は緩衝能を有するものならば特に限定されず、緩衝液として、好ましくはPBSを用いる。図2(b)のように、複合体が流れてくると、電極32上の抗体53と抗原51とが抗原抗体反応により吸着し、電極32上に固定化される。このようにして、水晶発振子33の電極32に目的物質を固定化する。
ここからは、フローセル68の構造について、図3、図4を用いて説明する。図3は、フローセル68と周辺回路の構成について示し、図4は、図3中の線E−F間で切った断面図を示している。まず、図3において、フローセル68の内部は撥水処理が施されており、溶液中の目的物質が、電極32以外に吸着しないような構成になっている。第一多孔質メンブレン60は、図3及び図4のように配置され、その一部においてQCMセンサ1と接触するように配置される。また、第一多孔質メンブレン60は、その一部において第二多孔質メンブレンと結合可能な位置に配置される。第二多孔質メンブレン61は、図3及び図4のように配置され、ガイドピン62、63と接続されている。また、第二多孔質メンブレン61は、その一部において吸収パッド67と接続されている。また、第二多孔
質メンブレン61は、第一多孔質メンブレン60と結合可能な位置に配置される。また、第二多孔質メンブレン61は、ガイドピン62、63と第一多孔質多孔質メンブレン60が接触しないような大きさで形成される。ガイドピン62、63は、制御部66と接続されている。制御部66は、図示しない小型モータにより構成され、ソケット65を介して制御回路71と接続されている。これにより、制御部66は、制御回路71からの信号に応じて、ガイドピン62、63の昇降を行う。
第一多孔質メンブレン60、及び第二多孔質メンブレン61は、目的物質、標識体が吸着せずに流れるもので、部材としては、ガラス繊維、セルロース、ナイロン、架橋デキストラン、ニトロセルロース、各種のクロマトグラフィー用紙がある。吸収パッド67は、反応液、廃液を吸収でき、フローセル68内に配置できるもので、部材としては吸水性高分子化合物を使用することができ、セルロース、グラスファイバー、コットン、ポリウレタンなどがあげられる。
図3に示すようにQCMセンサ1は、フローセル68に配置されたソケット64と接続されている。発振回路69は、このソケット64と接続されており、交流電圧をQCMセンサ1に印加する。水晶発振子33は、この交流電圧によって固有共振周波数で振動を開始する。カウンタ70は、発振回路69と接続されており、発振回路69からの共振周波数をカウントする。制御回路71は、カウンタ70と接続されており、カウンタ70からの共振周波数を分析したり、この分析結果によって、制御部66に信号を出力したりする。また、制御回路71は表示部72と接続されており、分析結果や操作指示などを表示部72に表示する。
次に、第二多孔質メンブレン61の制御手段について、図5(a)、(b)を用いて説明する。図5(a)は、図3における周辺回路を取り除いた構成図であり、第一多孔質メンブレン60と第二多孔質メンブレン61が分離されている状態を示している。図5(b)は、第一多孔質メンブレン60と第二多孔質メンブレン61が結合している状態を示している。図5(a)にも示すように、制御手段は、第二多孔質メンブレン61と結合しているガイドピン62、63と、制御部66によって構成されている。制御部66は、図示しない小型モータにより構成されており、制御回路71からの信号に応じて、ガイドピン62、63を昇降させる。この際に、ガイドピン62、63は、第二多孔質メンブレン61と接続されているため、ガイドピン62、63の動作に応じて、第二多孔質メンブレン61も同様の動作をする。つまり、制御回路71からの信号が、ガイドピン62、63を上昇させる信号であった場合には、第二多孔質メンブレン61も上昇し、第一多孔質メンブレン60と分離されて、図5(a)のような状態へ変化する。逆に、制御回路71からの信号が、ガイドピン62、63を下降させる信号であった場合には、第二多孔質メンブレン61も下降し、第一多孔質メンブレン60と結合されて、図5(b)のような状態へ変化する。このような制御手段によって、第一多孔質メンブレン60と第二多孔質メンブレン61の分離と結合を制御することができる。
続いて、本発明のQCM分析装置の測定方法について図1、図3、図5、図6を用いて説明する。図6は、測定工程ごとの時間経過による周波数変化を示している。まず、図1(a)のQCMセンサ1の電極32上に固定化物質を結合させておく。この固定化物質は、目的物質に対して特異的に反応する抗原または抗体である。また、図5(a)に示すようにQCMセンサ1、第一多孔質メンブレン60、第二多孔質メンブレン61、吸収パッド67、ガイドピン62、63、制御部66を配置する。初期状態においては、図5(a)のようにガイドピン62、63をフローセル68の内部上壁にあたるように上昇させて、第一多孔質メンブレン60と第二多孔質メンブレン61を分離させておく。これは、水晶発振子33の共振周波数を安定化させるために行うものであり、溶液の流れを一時的に止めることができる。仮に、第一多孔質メンブレン60と第二多孔質メンブレン61を結
合させた状態で溶液を流した場合、すべての溶液が吸収パッド67に吸い取られてしまい、QCMセンサ1の電極32上に溶液が残らず、不安定な周波数変化がおきる。多量な溶液を使わないためにも、初期状態においてはガイドピン62、63を上昇させる必要がある。
続いて、図5(a)の状態で、始めに緩衝液である一定量のPBSを投入する。このときのPBS量は、第一多孔質メンブレン60に均一に浸る程度の量である。図6におけるF0は、空気中おける周波数であり、測定開始周波数である。測定開始からΔT1後のT1時間において、PBSが投入されると、第一多孔質メンブレン60にPBSが流れ、QCMセンサ1の電極32上を通過する。このとき、第二多孔質メンブレン61は、図5(a)のように第一多孔質メンブレン60と分離状態にあるため、加えたPBSは第一多孔質メンブレン60中を均一に広がる。この時の周波数は、図6におけるF0からF1へと大きな変化をする。この周波数変化は、PBSの粘度や温度による影響で生じる。これらの周波数は、発振回路69、カウンタ70を介し、制御回路71で記憶される。ある時間ΔT2が経過したT2時間には、安定した周波数F1へと変化する。このときの安定周波数は、使用する水晶発振子の基本共振周波数によって異なるが、仮に38MHzの水晶発振子を使用した場合には、1分あたりの周波数変化が±10Hz(±10Hz/分)以内の周波数F1で安定する。このような周波数に安定すると、制御回路71はこれを検出し、表示部72に安定したことを表示する。そして、使用者はこの表示を確認した後に、複合体とPBSが混合された試料溶液を投入する。このように制御回路71が、周波数を監視していることにより、使用者は正確な安定時間に試料溶液を投入することができ、周波数を目視で確認しながら試料溶液を投入するなどの手間がなくなる。続いて、試料溶液が投入されると、再び周波数が変化をし始める。これは、第一多孔質メンブレン60中を試料溶液が広がり、QCMセンサ1上に複合体が結合するためである。QCMセンサ1上に到達した複合体は、電極32上に固定化された固定化物質と反応して結合する。
水晶発振子33は、この複合体の吸着によって周波数が変化する。このときの周波数変化が、ある周波数変化ΔF0以上であった場合に、制御回路71から制御部66へ信号が出力される。この周波数変化ΔF0は、PBS中における周波数ドリフトや周波数ノイズとは異なる大きな周波数変化であり、使用する水晶発振子の基本共振周波数や、検出しようとする目的物質やその量によって異なる。この信号は、ガイドピン62、63を下降させるための信号であり、これを受けた制御部66は、ガイドピン62、63を下降させて図5(b)の状態へ変化させる。つまり使用者は、複合体が電極32上に吸着して、周波数が変化するのを確認してからガイドピン62、63を下降させるといった手間が必要ない。このとき、ガイドピン62、63を下降させるのは、複合体をすべて電極32上へ結合させる流れを作るためである。ガイドピン62、63が下降すると、第一多孔質メンブレン60と第二多孔質メンブレン61が結合して、PBSと複合体を含んだ溶液が第二多孔質メンブレン61上へと流れていく。この際、複合体は電極32上の固定化物質と反応するが、すべての複合体が固定化物質と反応できるわけではなく、反応できなかった複合体は、PBSとともに第二多孔質メンブレン61へと流れていく。第二多孔質メンブレン61上を流れたPBSと反応できなかった複合体との混合溶液は、吸水パッドへ吸収されていく。この下降するT2時間から電極32上の固定化物質に複合体が吸着していくため、周波数は変化する。そしてΔT3経過すると、大半の複合体は吸着し、周波数が安定する。このときの周波数変化が、ある周波数変化ΔF1以内に入ったところで、制御回路71はこれを検出し、表示部72に安定したことを表示する。この周波数変化ΔF1は、使用する水晶発振子の基本共振周波数によって決まる値であり、仮に使用する水晶発振子の基本共振周波数が38MHzであった場合には、ΔF1が±10Hz/分以内であることが好ましい。第一多孔質メンブレン60と第二多孔質メンブレン61が結合した状態が継続すると、混合溶液がすべて流れ去り、周波数が不安定な状態に変化するため、表示部72の表示を確認したらPBSを再び投入する。仮にすべての混合溶液が流れてしまった場
合には、QCMセンサ1の電極32上の所々に残った混合溶液によって、複合体以外による周波数変化が起きる。このような場合には、再びPBSを追加し、安定した周波数にしないと、複合体の吸着による周波数変化を求めることができない。このPBSを追加した時間T3からは、周波数はさらに安定し、ある周波数変化ΔF2以内の範囲に入ったところで、制御回路71から制御部66へ信号が出力される。この周波数変化ΔF2は、使用する水晶発振子の基本共振周波数によって決まる値であり、仮に使用する水晶発振子の基本共振周波数が38MHzであった場合には、ΔF1が±1Hz/分以内であることが好ましい。また、この信号は、ガイドピン62、63を上昇させるための信号であり、これを受けた制御部66は、ガイドピン62、63を上昇させる。即ち、第一多孔質メンブレン60と第二多孔質メンブレン61が再び分離されて、図5(a)のような初期状態になる。これによって、PBSの流れすぎによる不安定な周波数を排除し、周波数を安定化することができる。制御回路71では、このときの周波数がある周波数変化ΔF3の範囲に入ったところで、測定を終了する。この周波数変化ΔF3は、使用する水晶発振子の基本共振周波数によって決まる値であり、仮に使用する水晶発振子の基本共振周波数が38MHzであった場合には、ΔF3が±0.5Hz/分以内であることが好ましい。測定終了時の周波数をF2とし、T3時間からΔT4経過したT4時間に測定が終了する。よって、求めるべき周波数変化は、複合体が電極32上の固定化物質と結合して変化した周波数変化なので、F1からF2を引算した周波数変化ΔF4となる。このΔF4を以下のSauerbreyの式1のΔFに代入すると、電極32上に吸着した複合体の量を求めることができる。

ΔF=−2×Fre×Δm/(A×√(μ×ρ))(式1)

ここで、Freは基本共振周波数、Aは電極の面積、μは水晶発振子のせん断弾性係数、ρは水晶発振子の密度、ΔFは重量付加による周波数変化、Δmは重量変化である。また、複合体の量がわかれば、目的物質と標識体の質量比から、目的物質の量が求まる。これらの計算は、制御回路71により行われ、表示部72にその結果が表示される。
本発明のQCM分析装置のQCMセンサにおける構成図を示しており、(a)が平面図、(b)が(a)のA−A間で切断した断面図、(c)は(a)のB−B間で切断した断面図である。 本発明のQCMセンサで生じる抗原抗体反応について説明した図である。 本発明のフローセルを示す構成図である。 本発明のフローセルを示す構成図であり、図3の線E−Fで切った断面図である。 本発明のフローセルにおける第一及び第二多孔質メンブレンの分離及び結合状態を示す図であり、(a)が分離状態を示し、(b)が結合状態を示している。 本発明のフローセルにおける測定工程ごとの周波数変化を示したグラフである。 従来例におけるフローセルの構成図である。 従来例におけるフローセルの例を示した構成図である。
符号の説明
1 QCMセンサ
30 水晶板
31、32 電極
33 水晶発振子
42 撥水材
43 弾性体
50、53 抗体
51 抗原
52 標識物質
60 第一多孔質メンブレン
61 第二多孔質メンブレン
62、63 ガイドピン
64、65 ソケット
66 制御部
67 吸水パッド
68 フローセル
69 発振回路
70 カウンタ
71 制御回路
72 表示部

Claims (8)

  1. フローセル内に水晶板の表と裏に電極が配置された水晶発振子を配置し、前記電極の一方に目的物質に特異的に結合する固定化物質を結合させ、前記目的物質を含んだ溶液を流路内に流して、前記電極で生じる前記目的物質と前記固定化物質との反応を前記水晶発振子の周波数変化から求めることで、前記目的物質を分析するQCM分析装置であって、前記フローセル内に配置された多孔質メンブレンと、該多孔質メンブレンを制御する制御手段と、前記溶液を吸収する吸収パッドと、前記水晶発振子を発振させる発振回路と、該発振回路の周波数をカウントするカウンタと、該カウンタの周波数を分析する制御回路と、該制御回路の分析結果を表示する表示部とを有するQCM分析装置。
  2. 前記多孔質メンブレンは、第一多孔質メンブレンと第二多孔質メンブレンにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のQCM分析装置。
  3. 前記第一多孔質メンブレンと前記第二多孔質メンブレンは、前記制御手段によって分離または結合することを特徴とする請求項2に記載のQCM分析装置。
  4. 前記制御手段は、昇降可能なガイドピンと、該ガイドピンを制御する制御部によって構成され、前記水晶発振子の周波数変化に応じて前記ガイドピンを昇降動作させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のQCM分析装置。
  5. 前記ガイドピンは、前記フローセル内に配置され、前記第二多孔質メンブレンの一部と結合していることを特徴とする請求項4に記載のQCM分析装置。
  6. 前記ガイドピンは、初期状態において上昇しており、前記第一多孔質メンブレンと前記第二多孔質メンブレンとを分離することを特徴とする請求項4また請求項5に記載のQCM分析装置。
  7. 前記制御回路は、前記目的物質が前記固定化物質に結合することによって生じる周波数変化を検出すると、前記制御部に前記ガイドピンを下降させる信号を出力し、前記第一多孔質メンブレンと前記第二多孔質メンブレンとを結合させることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のQCM分析装置。
  8. 前記制御回路は、前記水晶発振子の周波数変化が安定すると、前記制御部に前記ガイドピンを上昇させる信号を出力し、前記第一多孔質メンブレンと前記第二多孔質メンブレンとを分離することを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載のQCM分析装置。
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