JP2007084733A - 樹脂組成物、及び赤外線吸収成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明によれば、良好な赤外線吸収性を示し、加えて耐熱性、低吸水、高透明性等に優れた樹脂組成物、及びそれを用いた赤外線吸収成形体を提供することができる。
【解決手段】 エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)、及び赤外線吸収体(B)を含む樹脂組成物。前記環状オレフィン系樹脂が、ポリノルボルネン樹脂であり、前記赤外線吸収体が、金属錯体化合物であることが好ましい。また、これらの樹脂組成物を主成分として構成される赤外線吸収成形体。
【解決手段】 エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)、及び赤外線吸収体(B)を含む樹脂組成物。前記環状オレフィン系樹脂が、ポリノルボルネン樹脂であり、前記赤外線吸収体が、金属錯体化合物であることが好ましい。また、これらの樹脂組成物を主成分として構成される赤外線吸収成形体。
Description
本発明は、樹脂組成物、及び赤外線吸収成形体に関する。
近年、プラズマディスプレーパネル(PDP)を搭載したテレビが広く普及してきている。このPDPはプラズマ放電を利用したディスプレーであり、このプラズマ放電は近赤外線(800〜1000nm)を発することが知られている。
一方、家電製品のリモコン、更にはパーソナルコンピューターの情報のやり取りに近赤外線を利用することが多くなっており、PDPの発する近赤外線がこれら機器の誤作動の原因になる可能性が高いことが常々指摘されているため、市販されているPDPの多くは、その全面板に近赤外線をカットするためのフィルターを備えるようになっている。
また、ビデオカメラ、デジタルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像装置であるCCDやCMOSイメージセンサが使用されているが、これら固体撮像装置はその受光部において近赤外線に感度を有するシリコンダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルターを用いることが多い。
上記の赤外線カットフィルターとしては、従来から各種方法で製造されたものが使用されている。例えば、ガラスなど透明基材の表面に銀等の金属を蒸着して近赤外線を反射するようにしたもの、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等に近赤外線吸収色素を添加したものなどが実用化されている。
しかしながら、蒸着法によるものは製造コストがかかる問題があり、一方、透明樹脂に近赤外線吸収色素を添加したものは耐熱性や耐湿性などの耐久性に問題がある。
透明樹脂に近赤外線吸収染料を添加したものの耐熱性や耐湿性等の耐久性を改良する方法としては、従来、近赤外線染料の耐久性を改良する方法が提案されている。例えば特許文献1〜5などにはこのような色素の耐久性を改良する方法が幾つか提案されている。しかしながらこれら色素の耐久性が改良されても、もう一方の透明樹脂の耐久性に問題があると近赤外線カットフィルターとしての耐久性は必ずしも改良されない
そこで、耐熱性や体質性等の耐久性に優れた環状オレフィン系樹脂を透明樹脂として使用することが提案されている。例えば、特許文献6には、主に極性基を有さない環状オレフィン系樹脂に近赤外線吸収染料を溶融混練りして得られた近赤外線吸収樹脂組成物係る樹脂組成物からなる成形体が開示されている。また、特許文献7においては、極性基を有する環状オレフィン系樹脂に染料を溶融混練りして得られた色素化合物含有樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、極性基を有さない環状オレフィン系樹脂を用いた場合には、吸水(湿)性に起因する問題や、樹脂と色素との相互作用による問題が発生する可能性は極めて少ないが、樹脂と色素との親和性が低く分散性に問題がある。このため、開示されているように溶融混練りした場合はもちろん、溶剤を使用して液状組成物として成形体を得たとしても、成形体中の色素濃度にバラツキが生じていわゆる「色ムラ」が生じたり、添加された色素が使用中に成形体の表面にブリードしたりする問題が生じることがある。また、添加する色素の量が多いと均一に分散せず、組成物あるいは成形体に濁りが生じることもある。
一方、極性基を有する環状オレフィン系樹脂を用いた場合には、樹脂が極性基を有することにより染料の分散性は良好であるが、極性基の種類や量によっては吸水(湿)性が高くなりすぎて耐久性に問題が生じる場合がある。また、溶融混練りで組成物を製造すると、熱履歴により樹脂や染料が変質してしまう場合がある他、ゲルや焼け等により得られた組成物中に異物が発生して、成形体を光学用途に用いようとした場合に問題が生じることがある。そこで、係る熱履歴の問題を避けるために溶剤を用いて樹脂と色素とを混合する、さらに、必要に応じて濾過をするという方法により組成物を得ることが考えられるが、添加する色素の種類や量によっては、極性基との相互作用により、色素の構造が変化してしまい所望の特性を失ってしまったりゲルが発生したりして、液状組成物の保存安定性に問題が生じることがある。
また、上記の問題を解決するために特定のノルボルネン化合物を含む単量体組成物を開環重合し、さらに水素添加して得られた特定の飽和吸水率を示す樹脂と特定の近赤外線吸収色素と溶剤を含む液状組成物が開示されているが、開環重合体の場合、分子中にオレフィン性不飽和結合を有しており、水素添加により飽和結合に変換するが、この不飽和結合が残っていると樹脂劣化等の原因になる。
特開昭60−209583号公報
特開昭61−152685号公報
特開平3−62878号公報
特開平8−225752号公報
特開2001−97984号公報
特開平6−200113号公報
特開平4−218558号公報
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
第一に、極性基を有さない環状オレフィン系樹脂を用いた場合には、吸水(湿)性に起因する問題や、樹脂と色素との相互作用による問題が発生する可能性は極めて少ないが、樹脂と色素との親和性が低く、分散性に課題があった。
第二に、極性基を有する環状オレフィン系樹脂を用いた場合には、樹脂が極性基を有することにより染料の分散性は良好であるが、極性基の種類や量によっては吸水(湿)性が高くなりすぎて耐久性に問題が生じる場合があった。また、添加する色素の種類や量によっては、極性基との相互作用により、色素の構造が変化してしまい、所望の特性を失ってしまったりゲルが発生したりして、液状組成物の保存安定性に課題を残すことがあった。
第三に、上記の問題を解決するために特定のノルボルネン化合物を含む単量体組成物を開環重合し、さらに水素添加して得られた特定の飽和吸水率を示す樹脂と特定の近赤外線吸収色素と溶剤を含む液状組成物が開示されているが、開環重合体の場合、分子中にオレフィン性不飽和結合を有しており、水素添加により飽和結合に変換するが、この不飽和結合が残っていると経時着色やゲル化などの樹脂の劣化が生じるという課題があった。
本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは良好な赤外線吸収性を示し、加えて耐熱性、低吸水、高透明性等に優れた樹脂組成物、及びそれを用いた赤外線吸収成形体を提供することにある。
[1]エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)、及び赤外線吸収体(B)を含む樹脂組成物。
[2]前記赤外線吸収体(B)が、金属錯体化合物である[1]記載の樹脂組成物。
[3]前記環状オレフィン系樹脂が、ポリノルボルネン樹脂である[1]または[2]記載の樹脂組成物。
[4]前記ポリノルボルネン樹脂が、ノルボルネン付加重合体である[3]記載の樹脂組成物。
[5]前記エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)が式(1)で示される繰り返し単位を含むものである[1]又は[2]記載の樹脂組成物。
[式(1)中、XはO、CH2、(CH2)2のいずれかであり、nは0〜5までの整数である。R1〜R4はそれぞれ水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、又はエステル基を含有する官能基、ケトン基を含有する官能基、エーテル基を含有する官能基、エポキシ基を含有する官能基のうちいずれであってもよい。R1〜R4は単量体の繰り返しの中で異なっていてもよいが、全繰り返し単位のR1〜R4のうち、少なくとも一つ以上はエポキシ基を有する官能基である。]
[6]エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)が式(2)及び式(3)で示される繰り返し単位を含むものである[1]又は[2]記載の樹脂組成物。
[式(2)(3)中、R1〜R7はそれぞれ水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、又はエステル基を含有する官能基、ケトン基を含有する官能基、エーテル基を含有する官能基のうちいずれであってもよい。R1〜R7は単量体の繰り返しの中で異なっていてもよい。]
[7] 更に光酸発生剤を含むことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]赤外線を実質的にカットし、可視光を透過する光学フィルターであることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を主成分として構成される赤外線吸収成形体。
[2]前記赤外線吸収体(B)が、金属錯体化合物である[1]記載の樹脂組成物。
[3]前記環状オレフィン系樹脂が、ポリノルボルネン樹脂である[1]または[2]記載の樹脂組成物。
[4]前記ポリノルボルネン樹脂が、ノルボルネン付加重合体である[3]記載の樹脂組成物。
[5]前記エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)が式(1)で示される繰り返し単位を含むものである[1]又は[2]記載の樹脂組成物。
[6]エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)が式(2)及び式(3)で示される繰り返し単位を含むものである[1]又は[2]記載の樹脂組成物。
[7] 更に光酸発生剤を含むことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]赤外線を実質的にカットし、可視光を透過する光学フィルターであることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を主成分として構成される赤外線吸収成形体。
本発明によれば、良好な赤外線吸収性を示し、加えて耐熱性、低吸水、高透明性にも優れた樹脂組成物、及びそれを用いた赤外線吸収成形体を提供することができる。
本発明で使用する環状オレフィンモノマーとしては、一般的には、シクロヘキセン、シクロオクテン等の単環体、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエン、ジヒドロトリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ジヒドロテトラシクロペンタジエン等の多環体が挙げられる。これらのモノマーに官能基が結合した置換体も用いることができる。
本発明で使用する環状オレフィン系樹脂としては、上記環状オレフィンモノマーの重合体が挙げられる。なお重合方法はランダム重合、ブロック重合など公知の方法が用いられる。具体例としては、ノルボルネン型モノマ−の(共)重合体、ノルボルネン型モノマ−とα−オレフィン類などの共重合可能な他のモノマ−との共重合体、およびこれらの共重合体の水素添加物などが具体例に該当する。これら環状オレフィン系樹脂は、公知の重合法により製造することが可能であり、その重合方法には付加重合法と開環重合法とがある。このうち、本発明で使用する環状オレフィン系樹脂はノルボルネンモノマーを付加(共)重合することによって得られる。
環状オレフィン系樹脂の付加重合体としては、(1)ノルボルネン型モノマ−を付加(共)重合させて得られるノルボルネン型モノマ−の付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマ−とエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマ−と非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマ−との付加共重合体が挙げられる。これらの樹脂は公知のすべての重合方法で得ることができる。
上記のうち、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合させて得られる付加(共)重合体が好ましいが、本発明はなんらこれに限定されるものではない。
本発明で使用するエポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)は、一般的には分子内にエポキシ基を含むモノマーを直接重合することによって得ることができるが、重合後に変性反応によって側鎖にエポキシ基を導入する方法によっても同様の重合体を得ることができる。変性反応としては、上記重合体にエポキシ基含有不飽和モノマ−をグラフト反応させる、上記重合体の反応性官能基部位にエポキシ基を有する化合物を反応させる、分子内に炭素−炭素二重結合を有する上記重合体に過酸やハイドロパ−オキサイドなどのエポキシ化剤を用いて直接エポキシ化させる等の公知の方法がある。
環状オレフィン系樹脂の付加重合体は、金属触媒による配位重合、又はラジカル重合によって得られる。このうち、配位重合においては、モノマーを、遷移金属触媒存在下、溶液中で重合することによってポリマーが得られる(NiCOLE R. GROVE et al. Journal of Polymer Science:part B,Polymer Physics, Vol.37, 3003−3010(1999))。
配位重合に用いる金属触媒として代表的なニッケルと白金触媒は、PCT WO 9733198とPCT WO 00/20472に述べられている。配位重合用金属触媒の例としては、(トルエン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(メシレン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(ベンゼン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(テトラヒドロ)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(エチルアセテート)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(ジオキサン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケルなどの公知の金属触媒が挙げられる。
ラジカル重合技術については、Encyclopedia of Polymer Science, John Wiley & Sons, 13, 708(1988)に述べられている。
一般的にはラジカル重合はラジカル開始剤の存在下、温度を50℃〜150℃に上げ、モノマーを溶液中で反応させる。ラジカル開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスイソカプトロニトリル、アゾビスイソレロニトリル、t−ブチル過酸化水素などである。
一般的にはラジカル重合はラジカル開始剤の存在下、温度を50℃〜150℃に上げ、モノマーを溶液中で反応させる。ラジカル開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスイソカプトロニトリル、アゾビスイソレロニトリル、t−ブチル過酸化水素などである。
上述重合系の適当な重合溶媒としては炭化水素や芳香族溶媒が含まれる。炭化水素溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、やシクロヘキサンなどであるがこれに限定されない。芳香族溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレンなどであるがこれに限定されない。ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、エステル、ラクトン、ケトン、アミドも使用できる。これら溶剤を単独や混合しても重合溶媒として使用できる。
本発明の環状オレフィン系樹脂の分子量は、開始剤とモノマーの比を変えたり、重合時間を変えたりすることにより制御することができる。上記の配位重合用が用いられる場合、米国特許No.6,136,499に開示されるように、分子量を連鎖移動触媒を使用することにより制御することができる。この発明においては、エチレン、プロピレン、1−ヘキサン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、などα―オレフィンが分子量制御するのに適当である。
本発明において重量平均分子量は10,000〜500,000、好ましくは80,000〜200,000さらに好ましくは100,000〜125,000である。重量平均分子量は標準ポリノルボルネンを用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。(ASTMDS3536−91準拠)
本発明で用いられるエポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂を製造するために使用する環状オレフィンモノマーとしては、一般式(7)で表されるノルボルネン型モノマーが好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基等が、アルケニル基の具体例としては、ビニル、アリル、ブチニル、シクロヘキシル基等が、アルキニル基の具体例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル基等が、アリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル基等が、アラルキル基の具体例としてはベンジル、フェネチル基等がそれぞれ挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。
アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基等が、アルケニル基の具体例としては、ビニル、アリル、ブチニル、シクロヘキシル基等が、アルキニル基の具体例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル基等が、アリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル基等が、アラルキル基の具体例としてはベンジル、フェネチル基等がそれぞれ挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。
エステル基を含有する官能基、ケトン基を含有する官能基、エーテル基を含有する官能基ついては、これらの基を有している官能基であれば特に構造は限定されない。エポキシ基を含有する官能基の好ましい具体例としては、グリシジルエーテル基を有する官能基が挙げられるが、エポキシ基を有する官能基であれば特に構造は限定されない。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂を製造するために使用する環状オレフィンモノマーとしては、例えば、アルキル基を有するものとして、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−ヘプチル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−ノニル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネンなど、アルケニル基を有するものとしては、5−アリル−2−ノルボルネン、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなど、アルキニル基を有するものとしては、5−エチニル−2−ノルボルネンなど、アルコキシシリル基を有するものとしては、ジメチルビス((5−ノルボルネン−2−イル)メトキシ))シランなど、シリル基を有するものとしては、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジメチルビス((2−(5−ノルボルネン−2−イル)エチル)トリシロキサンなど、アリール基を有するものとしては、5−フェニルー2−ノルボルネン、5−ナフチル−2−ノルボルネン、5−ペンタフルオロフェニル−2−ノルボルネンなど、アラルキル基を有するものとしては、5−ベンジル−2−ノルボルネン、5−フェネチル−2−ノルボルネン、5−ペンタフルオロフェニルメタン−2−ノルボルネン、5−(2−ペンタフルオロフェニルエチル)−2−ノルボルネン、5−(3−ペンタフルオロフェニルプロピル)−2−ノルボルネンなど、アルコキシシリル基を有するものとしては、5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−トリエトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(3−トリメトキシプロピル)−2−ノルボルネン、5−(4−トリメトキシブチル)−2−ノルボルネン、5ートリメチルシリルメチルエーテル−2−ノルボルネンなど、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、エステル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものとしては、5−ノルボルネン−2−メタノール、及びこのアルキルエーテル、酢酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、プロピオン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、酪酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、吉草酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプロン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプリル酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、ラウリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、ステアリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、オレイン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、リノレン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸i−ブチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリメチルシリルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエチルシリルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸イソボニルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル、5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボン酸メチルエステル、ケイ皮酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、5−ノルボルネン−2−メチルエチルカルボネート、5−ノルボルネン−2−メチルn−ブチルカルボネート、5−ノルボルネン−2−メチルt−ブチルカルボネート、5−メトキシ−2−ノルボルネン、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−エチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−n−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−n―プロピルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−i−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−i−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−オクチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−デシルエステルなど、エポキシ基を有するものとしては、5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネンなど、またテトラシクロ環から成るものとして、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−n−プロピルカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−i−プロピルカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(2−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(1−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−シクロヘキシロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(4’−t−ブチルシクロヘキシロキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−テトラヒドロフラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−テトラヒドロピラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−i−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(2−メチルポロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(1−メチルポロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−シクロヘキシロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(4’−t−ブチルシクロヘキシロキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−テトラヒドロフラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−テトラヒドロピラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−アセトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(メトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(エトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(n−プロポキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(i−プロポキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(n−ブトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(t−ブトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(シクロへキシロキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(フェノキシロキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(テトラヒドロフラニロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジ(テトラヒドロピラニロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン−8−カルボン酸、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン−8−カルボン酸、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.01,6]ドデック−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,12]ドデック−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,1001,6]ドデック−3−エンなどが挙げられる。
本発明で用いられるエポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)は一般的に式(8)で表されるように、ノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体である。
本発明で用いられるエポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)として、式(9)で表される重合体が硬化後のフィルム特性の点から好ましい。
共重合体中のエポキシ基を有するモノマーの含有率としては、ポリマー中に5〜95モル%、好ましくは、20〜80モル%、さらに好ましくは30〜70%の割合で使用する。こうして得られるポリマーは低吸水性(<0.3wt%)、低誘電率(<2.6)、低誘電損失(0.001)、ガラス転移点(170〜400℃)などの優れた物理特性を示す。
本発明に用いられる赤外線吸収体(B)はナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、インドフェノール系化合物、金属錯体化合物などが挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。
本発明に用いられる赤外線吸収体として、金属錯体化合物を用いることが好ましい。金属錯体化合物は、近赤外線を吸収する色素として使用可能な金属錯体化合物である。本発明において用いられる近赤外線を吸収する金属錯体化合物(以下、「特定色素」という。)は、良溶媒100重量部に対して0.1重量部を溶解したとき、係る溶液の波長800〜1000nmにおける光路長1cmで測定された分光透過率が60%以下、好ましくは30%以下であることが望ましい。また、PDP用前面板など用途によっては、波長400〜700nmのいわゆる可視光領域において、上記条件で測定された全光線透過率が50%以上、好ましくは65%以上であることが必要な場合もある。
上記特定色素としては、近赤外線を吸収する色素として作用する金属錯体化合物をいずれも用いることができ、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体化合物などを挙げることができる。具体的には、たとえば、特開平8−225752号公報、特開平8−253693号公報、特開平9−1111138号公報、特開平9−157536号公報、特開平9−176501号公報、特開平9−263658号公報、特開2000−212546号公報、特開2002−200711号、公報などにその構造や製造方法が開示されている金属錯体化合物を挙げることができる。また、たとえば、CIR−1080、CIR−1081(日本カーリット製)、YKR−3080、YKR−3081(山本化成製)、イーエクスカラーIR−10、IR−12、IR−14(日本触媒製)、SIR−128、SIR−130、SIR−159、PA−1001、PA−1005(三井化学ファイン製)等のフタロシアニン系化合物などの市販品を用いることもできる。
なお、本発明においては、金属イオンとキレート形成化合物とを独立に添加し、液状組成物となったときに、係る金属イオンとキレート形成化合物とが反応して近赤外線を吸収する金属錯体化合物、すなわち特定色素を形成するようにしてもよい。係る特定色素としては、例えば、特開平6−118288号公報に記載されている、リン酸エステル化合物と銅イオンとの反応生成物などが挙げられる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、本発明に係る環状オレフィン系樹脂中の極性基と金属イオンとが錯体を形成して、特定色素として作用する場合も含む。すなわち、本発明においては、樹脂組成物となったときに、近赤外線を吸収する機能を有する金属錯体化合物を含有していればよい。
本発明において、(b)成分である前記特定色素の使用量は所望の特性に応じて適宜選択されるが、本発明に係る環状オレフィン系樹脂(a)100重量部に対して、通常10-6〜30重量部、好ましくは10-5〜10重量部、さらに好ましくは10-4〜5重量部である。使用量が10-6重量部未満であると、近赤外線カットフィルターとしての機能を発揮しないことがあり、一方、30重量部を超えると、本発明の樹脂組成物もしくは該樹脂組成物から溶剤を除去して得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて成形体を得る場合の成形性に問題が生じることがある。
本発明における、エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)と赤外線吸収剤(B)を含む樹脂組成物には、必要に応じて光酸発生剤を添加することができる。光酸発生剤はエポキシ基の架橋を行うとともに、その後の硬化により基板との密着性を向上する。
光酸発生剤としては、公知のあらゆる化合物を用いることができる。好ましい光酸発生剤としてはオニウム塩、ハロゲン化合物、硫酸塩やその混合物である。例えばオニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、リン酸塩、アルソニウム塩、オキソニウム塩などである。前記のオニウム塩とカウンターアニオンを作ることができる化合物である限り、カウンターアニオンの制限はない。カウンターアニオンの例としては、ホウ酸、アルソニウム酸、リン酸、アンチモニック酸、硫酸塩、カルボン酸とその塩化物であるがこれに限定されない。オニウム塩の光酸発生剤としては、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロボレート、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロアルセナート、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロフォスフェート、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロサルフェート、4−チオフェノキシジフェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、4−チオフェノキシジフェニルスルフォニウムテトラフルオロアンチモネート、4−チオフェノキシジフェニルスルフォニウムテトラフルオロアーセナート、4−チオフェノキシジフェニルスルフォニウムテトラフルオロフォスフェート、4−チオフェノキシジフェニルスルフォニウムテトラフルオロスルフォネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルフォニウムテトラフルオロスルフォニウム、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルフォニウムテトラフルオロアンチモネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルフォニウムトリフルオロフォスフォネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルフォニウムトリフルオスルフォネート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムトリフルオロボレート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムテトラフルオロボレート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムヘキサフルオロアーセネート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムヘキサフルフォスフェート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムヘキサフルオロスルフォネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルフォニウムテトラフルオロボレート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムヘキサフルオアンチモネート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムヘキサフルオフォスフェート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムトリフルオロスフォネート、トリフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルヨードニウムヘキサフルオロアーセネート、トリフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルヨードニウムトリフルオロスルフォネート、3,3−ジニトロジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、3,3−ジニトロジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、3,3−ジニトロジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアーセネイト、3,3−ジニトロジフェニルヨードニウムトリフルオロサルフォネート、4,4−ジニトロジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4,4−ジニトロジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4−ジニトロジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアーセネイト、4,4−ジニトロジフェニルヨードニウムトリフルオロサルフォネートを単独で使用しても混合して使用しても良い。
ハロゲンを含有している光酸発生剤の例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)トリアジン、2−アリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、α,β,α−トリブロモメチルフェニルスルフォン、α、α―2,3,5,6−ヘキサクロロキシレン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロキシレン、1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタンとそれらの混合物である。
スルフォネート系の光酸発生剤としては、2−ニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート、2−ニトロベンジルメチルスフォネート、2−ニトロベンジルアセテート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルフォネート、1,2,3−トリス(メタンスルフォニルロキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(エタンスルフォニルロキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(プロパンスルフォニルロキシ)ベンゼンなどであるがこれに限定されない。
好ましくは、光酸発生剤としては4,4‘−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムトリフレート、4,4’,4“−トリス(t−ブチルフェニル)スルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルフォニウムジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4‘−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(t−ブチルフェニル)スルフォニムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートとそれらの混合物である。
本発明における光酸発生剤の配合割合としては、ポリマー100重量部に対して0.1から100重量部であり、より好ましくは0.1から10重量部である。
本発明における光酸発生剤の配合割合としては、ポリマー100重量部に対して0.1から100重量部であり、より好ましくは0.1から10重量部である。
本発明における、エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)と赤外線吸収剤(B)を含む樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、酸化防止剤,難燃剤,可塑剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加することができる。
本発明においてはこれらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、非反応性の溶剤と反応性の溶剤があり、非反応性溶剤は、ポリマーや添加物のキャリアとして働き、塗布や硬化の過程で除去される。反応性溶剤は樹脂組成物に添加された硬化剤と相溶性がある反応基を含んでいる。非反応性の溶剤としては炭化水素や芳香族である。例を挙げると、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンやデカヒドロナフタレンなどのアルカンやシクロアルカンの炭化水素溶剤であるがこれに限定されない。芳香族溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレンなどである。ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、アセテート、エステル、ラクトン、ケトンやアミドも有用である。反応性の溶剤としてはシクロヘキセンオキサイドやα−ピネンオキサイドなどのシクロエーテル化合物、[メチレンビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビスオキシランなどの芳香族シクロエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどのシクロアリファティックビニルエーテル化合物、ビス(4−ビニルフェニル)メタンなどの芳香族を単独でも混合して用いてもよい。好ましくはメシチレンやデカヒドロナフタレン、2−ヘプタノンである。
本発明に用いる樹脂組成物の樹脂固形分は約5〜60重量%である。さらに好ましくは、約10〜55重量%であり、さらに好ましくは、約20〜45重量%である。溶液粘度は5〜25,000cPであるが、好ましくは10〜3,000cPである。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)と赤外線吸収剤(B)を含む樹脂組成物、及び必要に応じて光酸発生剤、溶剤、増感剤、酸捕捉剤、レベリング剤、酸化防止剤,難燃剤,可塑剤、シランカップリング剤等を単純に混合することによって得られる。
次に本発明の赤外線吸収成形体の作成方法について述べる。ガラス、石英、透明プラスチック製の光学部品、あるいはCCDやC−MOSなどの固体撮像素子などに本発明の樹脂組成物を塗布する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、塗膜を乾燥させて成形体を得ることができる。また、本発明の樹脂組成物に光酸発生剤が含まれている場合、塗膜を乾燥後、化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜700nmの波長のものが好ましい。その後、化学線の照射後に続きベークを行う。この工程はエポキシ架橋の反応速度を増加させる。ベーク条件としては50〜200℃である。好ましくは80〜150℃で、さらに好ましくは90〜130℃である。その後、次に50〜200℃で加熱処理を行い、エポキシ基の硬化が完了し耐熱性に富む赤外線吸収成形体を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
《実施例1》
○環状オレフィン系樹脂組成物の作製
デシルノルボルンネン/グリシジルメチルエーテルノルボルネン=70/30コポリマーの共重合体(A−1)の例を挙げる。
すべてのガラス機器は60℃で0.1Torr下で18時間乾燥した。その後ガラス機器はグローボックスに移され、グローボックスに備え付けられた。エチルアセテート(917g)、シクロヘキサン(917g)、デシルノルボルネン(192g、0.82mol)とグリシジルメチルエーテルノルボルネン(62g、0.35mol)が反応フラスコに加えられた。反応フラスコはグローボックスから取り出し、乾燥窒素ガスを導入した。反応中間体は30分間溶液中に窒素ガスを通して脱気した。グローボックス中でニッケル触媒すなわちビストルエンビスパーフルオロフェニルニッケル9.36g(19.5mmol)がトルエン15mlに溶解して、25mlのシリンジに入れ、グローボックスから取り出し、反応フラスコに加えられた。20℃にて5時間攪拌して反応を終了した。次に過酢酸溶液(975mmol)を加え18時間攪拌した。攪拌を止めると水層と溶媒層に分離した。水層を分離した後、1lの蒸留水を加え、20分間攪拌した。水層が分離するので取り除いた。1lの蒸留水で3回洗浄を行った。その後ポリマーをメタノールに投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥した。乾燥後243g(収率96%)のポリマーを回収した。得られたポリマーの分子量はGPCによりMw=115,366 Mn=47,000、Mw/Mn=2.43であった。ポリマー組成はH−NMRからデシルノルボルネンが70モル%エポキシノルボルネンが30モル%であった。
《実施例1》
○環状オレフィン系樹脂組成物の作製
デシルノルボルンネン/グリシジルメチルエーテルノルボルネン=70/30コポリマーの共重合体(A−1)の例を挙げる。
すべてのガラス機器は60℃で0.1Torr下で18時間乾燥した。その後ガラス機器はグローボックスに移され、グローボックスに備え付けられた。エチルアセテート(917g)、シクロヘキサン(917g)、デシルノルボルネン(192g、0.82mol)とグリシジルメチルエーテルノルボルネン(62g、0.35mol)が反応フラスコに加えられた。反応フラスコはグローボックスから取り出し、乾燥窒素ガスを導入した。反応中間体は30分間溶液中に窒素ガスを通して脱気した。グローボックス中でニッケル触媒すなわちビストルエンビスパーフルオロフェニルニッケル9.36g(19.5mmol)がトルエン15mlに溶解して、25mlのシリンジに入れ、グローボックスから取り出し、反応フラスコに加えられた。20℃にて5時間攪拌して反応を終了した。次に過酢酸溶液(975mmol)を加え18時間攪拌した。攪拌を止めると水層と溶媒層に分離した。水層を分離した後、1lの蒸留水を加え、20分間攪拌した。水層が分離するので取り除いた。1lの蒸留水で3回洗浄を行った。その後ポリマーをメタノールに投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥した。乾燥後243g(収率96%)のポリマーを回収した。得られたポリマーの分子量はGPCによりMw=115,366 Mn=47,000、Mw/Mn=2.43であった。ポリマー組成はH−NMRからデシルノルボルネンが70モル%エポキシノルボルネンが30モル%であった。
実施例1で合成した樹脂228gをデカヒドロナフタレン342gに溶解した後、フタロシアニン系色素 SIR−159(三井化学ファイン製)の1.0%デカヒドロナフタレン溶液 500gを添加し、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)(0.2757g、2.71x10-4mol)を加えて溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
作製したこの環状オレフィン系樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で5分乾燥し、膜厚約50μmの塗膜を得た。この塗膜にプロキシミティマスクアライナー露光機(キャノン(株)製)により全面を1000mJ/cm2で露光を行った。その後ホットプレートにて100℃で4分、露光部の架橋反応を促進させるため加熱した。その後160℃、60分で硬化し、架橋反応を完結させた。
次に、前記のシリコンウェハーをフッ酸水溶液に浸漬し、フィルム状成形物をシリコンウェハーから剥離した。この成形物の透過率を測定した。また、100℃で24時間の加熱処理を行った後の成形物についても透過率の測定を行った。
加熱処理前の成形物の800nm、900nm、1000nmの透過率は、それぞれ15%、30%、80%であった。また、加熱処理後の透過率は処理前からの変化が5%以内であった。
《実施例2》
《実施例2》
実施例1で合成した樹脂228gを2−ヘプタノン342gに溶解した後、IR−820(日本化薬製)の1.0%2−ヘプタノン溶液 500gを添加し、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)(0.2757g、2.71x10-4mol)を加えて溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
作製したこの環状オレフィン系樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で5分乾燥し、膜厚約50μmの塗膜を得た。この塗膜にプロキシミティマスクアライナー露光機(キャノン(株)製)により全面を1000mJ/cm2で露光を行った。その後ホットプレートにて100℃で4分、露光部の架橋反応を促進させるため加熱した。その後160℃、60分で硬化し、架橋反応を完結させた。
次に、前記のシリコンウェハーをフッ酸水溶液に浸漬し、フィルム状成形物をシリコンウェハーから剥離した。この成形物の透過率を測定した。また、100℃で24時間の加熱処理を行った後の成形物についても透過率の測定を行った。
加熱処理前の成形物の800nm、900nm、1000nmの透過率は、それぞれ30%、20%、70%であった。また、加熱処理後の透過率は処理前からの変化が5%以内であった。
《実施例3》
《実施例3》
実施例1で合成した樹脂228gを2−ヘプタノン342gに溶解した後、YKR−2900(山本化成製)の1.0%2−ヘプタノン溶液 500gを添加し、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)(0.2757g、2.71x10-4mol)を加えて溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
作製したこの環状オレフィン系樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で5分乾燥し、膜厚約50μmの塗膜を得た。この塗膜にプロキシミティマスクアライナー露光機(キャノン(株)製)により全面を1000mJ/cm2で露光を行った。その後ホットプレートにて100℃で4分、露光部の架橋反応を促進させるため加熱した。その後160℃、60分で硬化し、架橋反応を完結させた。
次に、前記のシリコンウェハーをフッ酸水溶液に浸漬し、フィルム状成形物をシリコンウェハーから剥離した。この成形物の透過率を測定した。また、100℃で24時間の加熱処理を行った後の成形物についても透過率の測定を行った。
加熱処理前の成形物の800nm、900nm、1000nmの透過率は、それぞれ30%、30%、40%であった。また、加熱処理後の透過率は処理前からの変化が5%以内であった。
《比較例1》
《比較例1》
実施例1で合成した樹脂228gを2−ヘプタノン342gに溶解した後、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)(0.2757g、2.71x10-4mol)を加えて溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
作製したこの環状オレフィン系樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で5分乾燥し、膜厚約50μmの塗膜を得た。この塗膜にプロキシミティマスクアライナー露光機(キャノン(株)製)により全面を1000mJ/cm2で露光を行った。その後ホットプレートにて100℃で4分、露光部の架橋反応を促進させるため加熱した。その後160℃、60分で硬化し、架橋反応を完結させた。
次に、前記のシリコンウェハーをフッ酸水溶液に浸漬し、フィルム状成形物をシリコンウェハーから剥離した。この成形物の透過率を測定した。また、100℃で24時間の加熱処理を行った後の成形物についても透過率の測定を行った。
加熱処理前の成形物の800nm、900nm、1000nmの透過率は、全て100%であった。また、加熱処理後の透過率は処理前からの変化が5%以内であった。
本発明は、一定の波長域の光線のみを透過する環状オレフィン系樹脂組成物とそれを用いた低吸水性に優れた赤外線吸収成形体を有するPDPの前面板やCCDやC−MOSなどの固体撮像素子用感度補正部品、自動車や建物などのガラス等に装着される熱線カットフィルターに好適に用いられる。
Claims (8)
- エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)、及び赤外線吸収体(B)を含む樹脂組成物。
- 前記赤外線吸収体(B)が、金属錯体化合物である請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記環状オレフィン系樹脂が、ポリノルボルネン樹脂である請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 前記ポリノルボルネン樹脂が、ノルボルネン付加重合体である請求項3記載の樹脂組成物。
- 前記エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)が式(1)で示される繰り返し単位を含むものである請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- 更に光酸発生剤を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 赤外線を実質的にカットし、可視光を透過する光学フィルターであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の樹脂組成物を主成分として構成される赤外線吸収成形体。
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JP2005277090A JP2007084733A (ja) | 2005-09-26 | 2005-09-26 | 樹脂組成物、及び赤外線吸収成形体 |
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WO2013172145A1 (ja) * | 2012-05-15 | 2013-11-21 | 株式会社Adeka | 光硬化性樹脂組成物 |
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-
2005
- 2005-09-26 JP JP2005277090A patent/JP2007084733A/ja active Pending
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