JP2007084712A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時の加工性に優れることに加え、耐久性が高く且つスチールコードとコーティングゴムとの接着性が安定した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】カーカス及びベルトの少なくとも一方がコーティングゴムで被覆したスチールコードよりなる層を含む空気入りタイヤにおいて、カーカス及びベルトの少なくとも一方で、スチールコードを被覆するコーティングゴムに、ゴム成分100質量部に対し、硫黄1〜10質量部と、下記一般式(1):
Figure 2007084712

[Rは、水素、脂肪族基、脂環式基、又は芳香族基、nは1〜5の整数]で表される化合物0.1〜10質量部とを配合したゴム組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、空気入りタイヤ、詳しくは、カーカスプライの少なくとも一枚及び/又はベルト層の少なくとも一層をスチールコードの層で形成したカーカス及びベルトの少なくとも一方の湿熱劣化を抑制することにより、耐久性を向上させた空気入りタイヤに関するものである。更に詳しくは、加工性に優れ、製造工程における放置条件に左右されず、経時変化が小さく、スチールコードに対する初期接着性及び耐湿熱接着性が安定且つ良好なゴム組成物をスチールコードのコーティングゴムに用いた空気入りタイヤに関するものである。
1940年代後半にミシュラン社によってスチールラジアルタイヤが開発されて以来、カーカス及びベルトの少なくとも一方の補強材料としてスチールコードを用いたスチールコード補強空気入りタイヤは、順調にシェアを伸ばしている。特に近年、ベルテッドバイアスタイヤ、ラジアルタイヤへの移行に伴い、該スチールコード補強空気入りタイヤは、著しくシェアを伸ばしており、トラック用にも急激にシェアを伸ばしている。
一方、近年、自動車用タイヤに要求される性能は益々厳しくなってきており、タイヤの耐久性の更なる改良が望まれている。上記スチールコード補強空気入りタイヤにおいては、スチールコードと該コードを被覆するコーティングゴムとの接着性を確保することが重要であり、この接着性が低下するとカーカス及びベルトの少なくとも一方の耐久性が低下し、ひいてはタイヤの耐久性に問題が生じることが知られている。そのため、これまでスチールコードとコーティングゴムとの接着性を改良するために、様々な検討が行われてきた。
例えば、レゾルシン又は、レゾルシンとホルムアルデヒドとを縮合して得られるレゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂(以下、「RF樹脂」と略記する)を耐湿熱接着性向上の目的で配合したゴム組成物が報告されている(特許文献1参照)。RF樹脂を配合することで、スチールコードとゴムとの耐湿熱接着性は、確かに飛躍的に向上する。
しかしながら、レゾルシンやRF樹脂は極性が非常に高いためゴムとの相溶性に乏しく、混合、配合、保管時の条件によって、レゾルシンやRF樹脂が析出する、所謂ブルームが発生するため、配合ゴムの経時変化が大きく、安定して接着性を発現させることが困難であった。そのため、これら従来のゴム組成物をカーカス及びベルトのスチールコード用コーティングゴムに適用したタイヤは、製造時の加工性が悪い上、耐久性に改良の余地があった。
特開2001−234140号公報
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物と同等の耐湿熱接着性を有し、且つ該ゴム組成物よりもムーニー粘度が低く、レゾルシンやRF樹脂を配合した際に見られるブルームが抑制されており、経時変化が小さく安定した接着性を発現することが可能なゴム組成物を、カーカス及びベルトの少なくとも一方のスチールコードの層のコーティングゴムに適用することにより、製造時の加工性に優れることに加え、耐久性が高く且つスチールコードとコーティングゴムとの接着性が安定した空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定構造の化合物を所定量配合したゴム組成物を、カーカス及びベルトの少なくとも一方のスチールコードの層のコーティングゴムに適用することにより、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物を適用した場合よりもタイヤ製造時の加工性が改善されることに加え、スチールコードとコーティングゴムとの接着安定性が高いため、製造されたタイヤが高い耐久性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の空気入りタイヤは、一枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向外側に配設した一枚以上のベルト層からなるベルトとを備え、該カーカス及びベルトの少なくとも一方がコーティングゴムで被覆したスチールコードよりなる層を含む空気入りタイヤにおいて、
カーカス及びベルトの少なくとも一方で、スチールコードを被覆するコーティングゴムに、ゴム成分100質量部に対し、硫黄1〜10質量部と、下記一般式(1):
Figure 2007084712
[式中、Rは、水素、或いは炭素数1〜12の脂肪族基、脂環式基又は置換若しくは非置換の芳香族基であり、nは1〜5の整数である]で表される化合物0.1〜10質量部とを配合してなるゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤの好適例においては、前記コーティングゴムに用いるゴム組成物に配合される上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2):
Figure 2007084712
[式中、Rは、水素、或いは炭素数1〜12の脂肪族基、脂環式基又は置換若しくは非置換の芳香族基である]で表される化合物である。ここで、上記一般式(2)で表される化合物の中でも、上記一般式(2)中のRが水素又は炭素数1〜12のアルキル基である化合物が好ましく、上記一般式(2)中のRがメチル基である化合物及び上記一般式(2)中のRが水素である化合物が特に好ましい。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記コーティングゴムに用いるゴム組成物が、更に有機酸コバルト塩を前記ゴム成分100質量部に対しコバルト量として0.03〜1質量部含む。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム成分が、天然ゴム及びポリイソプレンゴム(IR)の少なくとも一方よりなる。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム成分が、50質量%以上の天然ゴム(NR)及び残部合成ゴムよりなる。
本発明によれば、カーカス及びベルトの少なくとも一方がコーティングゴムで被覆したスチールコードの層を含む空気入りタイヤにおいて、カーカス及びベルトの少なくとも一方で、スチールコードを被覆するコーティングゴムに、上記一般式(1)で表される化合物を所定量配合してなるゴム組成物を適用することにより、該ゴム組成物のムーニー粘度が低いためタイヤ製造時の加工性が高いことに加え、スチールコードとコーティングゴムとの接着耐久性及び接着安定性が高いため、高い耐久性を有する空気入りタイヤを提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。図1は本発明の実施形態を示す横断面図であり、図中、1はトレッド部を、2はトレッド部1の側部から半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部を、そして3はサイドウォール部2の半径方向内端に連なるビード部をそれぞれ示す。
ここでは、タイヤの骨格構造をなし、タイヤの上記各部1,2,3を補強するカーカス4を、一枚以上のカーカスプライにて構成するとともに、それぞれのビード部3に配設したそれぞれのビードコア5間にトロイダルに延びる本体部と、各ビードコア5の周りで、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部を有するものとする。図中のカーカス4は、一枚のカーカスプライよりなるが、本発明のタイヤにおいては、カーカスプライの枚数は複数であってもよい。
また、図中6はベルトを示し、ベルト6は、カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配設した一枚以上のベルト層からなる。図中のベルト6は、二枚のベルト層よりなるが、本発明のタイヤにおいては、ベルト層の枚数はこれに限られるものではない。
この空気入りタイヤは、カーカス4及びベルト6の少なくとも一方がコーティングゴムで被覆したスチールコードの層を含む。即ち、カーカス4のカーカスプライの少なくとも一枚及び/又はベルト6のベルト層の少なくとも一層が、スチールコードの層であればよく、一枚以上のカーカスプライ及び一層以上のベルト層がスチールコードの層であってもよい。
そしてここでは、カーカス4及びベルト6の少なくとも一方で、スチールコードを被覆するコーティングゴムに、ゴム成分100質量部に対し、硫黄1〜10質量部と、上記一般式(1)で表される化合物0.1〜10質量部とを配合してなるゴム組成物を用いる。該ゴム組成物に配合される上記一般式(1)で表される化合物は、レゾルシンやRF樹脂に比べゴム成分と混ざり易いという特徴がある。そのため、一般式(1)の化合物を配合したゴム組成物は、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物よりもブルームしにくい傾向がある。これは、一般式(1)の化合物がレゾルシンやRF樹脂に比べて極性が低いためであると推定される。更に、上記ゴム組成物は、経時変化が少なく、貯蔵期間に関わらず安定した接着性を発現することができる。そして、本発明の空気入りタイヤを構成するカーカス及びベルトの少なくとも一方のスチールコードの層のコーティングゴムには、かかるゴム組成物が用いられているため、該タイヤは製造時の加工性が高いことに加え、耐久性が高い。
上記コーティングゴムに用いられるゴム組成物のゴム成分としては、ゴム弾性を示すものであれば特に制限はないが、天然ゴムの他、ビニル芳香族炭化水素/共役ジエン共重合体、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等の合成ゴム等の公知のゴムの総てを用いることができる。該ゴム成分は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。スチールコードとの接着特性及びゴム組成物の破壊特性の観点から、該ゴム成分は、天然ゴム及びポリイソプレンゴムの少なくとも一方よりなるか、50質量%以上の天然ゴムを含み残部が合成ゴムであることが好ましい。
上記コーティングゴムに用いられるゴム組成物に配合される硫黄としては、特に制限はないが、通常粉体を用いる。上記コーティングゴム用ゴム組成物に配合される硫黄の配合量は、ゴム成分100質量部に対して1〜10質量部の範囲であり、3〜8質量部の範囲が好ましい。硫黄の配合量がゴム成分100質量部に対して1質量部以上であると、スチールコードとの接着性の点で好ましく、10質量部以下であると、過剰な接着層の生成が抑制されるため、接着性が低下しないので好ましい。
上記コーティングゴム用ゴム組成物に配合される上記一般式(1)で表される化合物において、式中のRは、水素、或いは、炭素数1〜12の脂肪族基、脂環式基、又は置換若しくは非置換の芳香族基であり、nは1〜5の整数である。ここで、nが2以上の場合、一般式(1)中の複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。一般式(1)で表される化合物としては、例えば、一般式(2)で表される化合物が挙げられる。一般式(2)中のRは、一般式(1)中のRと同義である。
ここで、上記脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基や、ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基が挙げられる。また、上記脂環式基としては、シクロへキシル基等が挙げられ、上記芳香族基としては、フェニル基、p-メチルフェニル基等が挙げられる。なお、上記一般式(1)中のRとしては、水素及びアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記一般式(1)の化合物の具体例としては、安息香酸-2-ヒドロキシフェニルエステル、安息香酸-3-ヒドロキシフェニルエステル、安息香酸-4-ヒドロキシフェニルエステル、p-トルイル酸-2-ヒドロキシフェニルエステル、p-トルイル酸-3-ヒドロキシフェニルエステル、p-トルイル酸-4-ヒドロキシフェニルエステル、m-トルイル酸-2-ヒドロキシフェニルエステル、m-トルイル酸-3-ヒドロキシフェニルエステル、m-トルイル酸-4-ヒドロキシフェニルエステル、4-エチル安息香酸-2-ヒドロキシフェニルエステル、及び3-エチル安息香酸-2-ヒドロキシフェニルエステル等が挙げられる。これらの中でも、安息香酸-3-ヒドロキシフェニルエステル、安息香酸-4-ヒドロキシフェニルエステル、p-トルイル酸-3-ヒドロキシフェニルエステル、p-トルイル酸-4-ヒドロキシフェニルエステル、m-トルイル酸-3-ヒドロキシフェニルエステル、及びm-トルイル酸-4-ヒドロキシフェニルエステルが好ましく、安息香酸-3-ヒドロキシフェニルエステル、p-トルイル酸-3-ヒドロキシフェニルエステル、及びm-トルイル酸-3-ヒドロキシフェニルエステルが特に好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物の製造法は特に限定されないが、例えば、下記一般式(3):
Figure 2007084712
[式中、Rは、水素、或いは炭素数1〜12の脂肪族基、脂環式基又は置換若しくは非置換の芳香族基であり、Xはハロゲン原子を表し、nは1〜5の整数である]で表される芳香族カルボン酸ハライドと、下記一般式(4):
Figure 2007084712
で表される化合物とを塩基の存在下または非存在下で反応させることで、上記一般式(1)で表される化合物を製造することができる。
上記一般式(3)中のR及びnは、上記一般式(1)中のR及びnと同義である。また、一般式(3)中のXはハロゲン原子を表し、該ハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
上記一般式(3)で表される化合物としては、安息香酸クロライド、p-トルイル酸クロライド、m-トルイル酸クロライド、安息香酸ブロマイド、p-トルイル酸ブロマイド、及びm-トルイル酸ブロマイド等が挙げられる。これらの中でも、安息香酸クロライド、p-トルイル酸クロライド、及びm-トルイル酸クロライドが好ましい。
一方、上記一般式(4)で表される化合物としては、カテコール、レゾルシン及びハイドロキノンが挙げられる。これらの中でも、レゾルシンが好ましい。
一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とを反応させる際に使用する塩基としては、通常、ピリジン、β-ピコリン、N-メチルモルホリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機塩基が用いられる。
一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とを反応させる際、原料を溶解させること等を目的として溶媒を用いることができる。該溶媒としては、上述の有機塩基をそのまま溶媒として使用してもよいし、反応を阻害しない他の有機溶媒を用いてもよい。このような溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。
一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とを反応させる際の反応温度は、特に限定されず、通常、−20℃〜100℃の範囲である。
前記の反応により得られる一般式(1)で表される化合物は、公知の方法により反応混合物から単離することができる。即ち、減圧蒸留等の操作により、反応に用いた有機塩基及び一般式(4)で表される化合物、反応に有機溶媒を使用した場合にはこの有機溶媒を留去し乾固させる方法、反応混合物に一般式(1)で表される化合物の貧溶媒を添加して再沈殿させる方法、反応混合液に水及び水と混和しない有機溶媒を添加して有機層に抽出する方法等が挙げられる。また、場合によっては再結晶により精製してもよい。
上記一般式(1)で表される化合物の貧溶媒としては、通常、水が用いられる。また、上記水と混和しない有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類が用いられる。
上記コーティングゴム用ゴム組成物において、上記一般式(1)で表される化合物の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲であり、0.3〜6質量部の範囲が好ましい。一般式(1)の化合物の配合量がゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上であると、ゴム組成物の湿熱接着性が向上し、10質量部以下であると、一般式(1)の化合物のブルームを抑制できる点で好ましい。なお、上記コーティングゴム用ゴム組成物において、一般式(1)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記コーティングゴムに用いられるゴム組成物には、更に有機酸コバルト塩を配合することができる。該有機酸コバルト塩としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト等が挙げられる。該有機酸コバルト塩は、有機酸の一部をホウ酸等で置き換えた複合塩でもよい。具体的には、マノボンド(商標:OMG製)等が挙げられる。該有機酸コバルト塩の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対してコバルト量として0.03〜1質量部の範囲が好ましい。有機酸コバルト塩の配合量がゴム成分100質量部に対してコバルト量として0.03質量部以上であると、ゴム組成物と金属補強材との接着性が向上し、1質量部以下であると、ゴム組成物の老化が抑制される。
上記コーティングゴム用ゴム組成物には、上記一般式(1)で表される化合物、ゴム成分、硫黄、有機酸コバルト塩の他、カーボンブラック及びシリカ等の充填剤、アロマオイル等の軟化剤、ヘキサメチレンテトラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサメチレンメチルメラミン等のメトキシメチル化メラミン等のメチレン供与体、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を通常の配合量で適宜配合することができる。
上記コーティングゴム用ゴム組成物の調製方法に特に制限はなく、例えば、バンバリーミキサーやロール等を用いて、ゴム成分に、上記一般式(1)の化合物、硫黄、有機酸コバルト塩及び各種配合剤を練り込んで調製することができる。混練りされたゴム組成物は、ロール等でシート状に加工され、更に加工されたゴムシート2枚がスチールコードを挟んだ状態に成形加工されて、カーカスプライやベルト層が形成される。形成されたベルト層は常法に従ってカーカスのタイヤ半径方向外側に積層され、その他の部材と共に本発明の空気入りタイヤを構成する。本発明の空気入りタイヤのトレッド踏面部、サイドウォール部及びビード部等には、通常のタイヤのそれらの部分に使用される材料、形状、配置を適宜採用することができる。
本発明の空気入りタイヤのカーカス及びベルトの少なくとも一方に用いられ上記ゴム組成物と接着されるスチールコードは、ゴムとの接着を良好にするために黄銅、亜鉛或いはこれらにニッケルやコバルトを含有する金属でメッキ処理されていることが好ましく、黄銅メッキ処理されているのが特に好ましい。また、該コードのサイズ、撚り数、撚り条件等は、タイヤの要求性能に応じて適宜選択される。
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
レゾルシン440.8g(4.0mol)をピリジン880.0gに溶解した溶液を氷浴上で15℃以下に保ちながら、これにm-トルイル酸クロライド123.7g(0.8mol)を徐々に滴下した。滴下終了後、得られた反応混合物を室温まで昇温し、一昼夜放置して反応を完結させた。反応混合物から、ピリジンを120℃〜150℃で減圧下に留去し、残留物にトルエン500gを加えて溶解し、10重量%塩酸水100gで3回洗浄し、その後水100gで洗浄した後、トルエン層を濃縮して結晶を析出させた。析出した沈殿をろ過、水洗し、得られた湿体を減圧乾燥して、淡黄色の粉体160g(粗収率85%/m-トルイル酸クロライド)を得た。HPLCで分析した結果、目的生成物であるm-トルイル酸-3-ヒドロキシフェニルエステルは97.5面積%であり、2.5面積%のレゾルシンを含んでいた。
(製造例2)
m-トルイル酸クロライドの代わりにp-トルイル酸クロライドを用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、p-トルイル酸-3-ヒドロキシフェニルエステル162.5g(粗収率89%/p-トルイル酸クロライド)を得た。HPLC分析では、純度98.1面積%であり、1.9面積%のレゾルシンを含んでいた。
(製造例3)
m-トルイル酸クロライドの代わりに安息香酸クロライドを用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、安息香酸-3-ヒドロキシフェニルエステル148.4g(粗収率88%/安息香酸クロライド)を得た。HPLC分析では、純度98.0面積%であり、2.0面積%のレゾルシンを含んでいた。
(実施例1〜4)
次に、2200mLのバンバリーミキサーを使用して、ゴム成分、硫黄、有機酸コバルト塩、上記製造例で製造した組成物、その他の配合剤を表1に示す配合処方で混練り混合してゴム組成物を調製し、得られたゴム組成物の耐ブルーム性及び加工性を下記の方法で評価した。また、該ゴム組成物でスチールコードを被覆してベルト層を形成し、該ベルト層を備えた、サイズ185/70 R 14のラジアルタイヤを常法により試作し、該タイヤのベルト層におけるスチールコードとコーティングゴムとの接着性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
<耐ブルーム性>
未加硫のゴム組成物を40℃で7日間貯蔵した後、配合剤がゴム表面に析出したか否かを目視で確認し、○、△、×で判定した。
○:表面に配合剤が析出していない
△:一部に析出
×:全面に配合剤が析出
<加工性(ムーニー粘度)>
未加硫のゴム組成物に対しJIS K6300-2001に準拠して、ML(1+4)130℃を測定した。数値が小さい程、ゴム組成物の加工性が良好であることを示す。
<湿熱接着性評価>
供試タイヤを、100℃、95%RHに保持した恒温恒湿槽中に5週間放置した後、タイヤからベルト層を取り出し、ベルト層中のスチールコードを引張試験機により50mm/minの速度で引張り、露出したスチールコードのゴムの被覆状態を目視で観察し、その被覆率を0〜100%で表示して湿熱接着性の指標とした。数値が大きい程、湿熱接着性が高く良好であることを示す。
<接着安定性評価>
成形後のグリーンタイヤを40℃、80%RHで7日間放置した後、加硫したタイヤからベルト層を取り出し、ベルト層中のスチールコードを引張試験機により50mm/minの速度で引張り、露出したスチールコードのゴムの被覆状態を目視で観察し、その被覆率を0〜100%で表示して接着安定性の指標とした。数値が大きい程、接着安定性が高く良好であることを示す。
(比較例1)
製造例で製造した組成物を配合しない以外は、実施例と同様にしてゴム組成物を調製し、評価した。また、該ゴム組成物を用い、実施例と同様にしてタイヤを試作し、同様にしてタイヤのベルト層におけるスチールコードとコーティングゴムとの接着性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
製造例で製造した組成物の代わりに、レゾルシンを2質量部配合する以外は、実施例と同様にしてゴム組成物を調製し、評価した。また、該ゴム組成物を用い、実施例と同様にしてタイヤを試作し、同様にしてタイヤのベルト層におけるスチールコードとコーティングゴムとの接着性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
製造例で製造した組成物の代わりに、RF樹脂を2質量部配合する以外は、実施例と同様にしてゴム組成物を調製し、評価した。また、該ゴム組成物を用い、実施例と同様にしてタイヤを試作し、同様にしてタイヤのベルト層におけるスチールコードとコーティングゴムとの接着性を評価した。結果を表1に示す。なお、RF樹脂は下記の方法で製造した。
まず、水1100g、レゾルシン1100g(10mol)、p-トルエンスルホン酸1.72g(10mmol)を冷却管、撹拌装置、温度計、滴下ロート、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに仕込み、70℃まで昇温した。37%ホルマリン溶液477g(5.9mol)を2時間かけて滴下し、そのままの温度で5時間保持し、反応を完結させた。反応終了後、10%水酸化ナトリウム水溶液を4g加え中和した後、冷却器をディーンスターク型還流器に変え、水を留去しながら150℃まで昇温し、更に20mmHgの減圧下で1時間かけて水を除去し、RF樹脂を得た。得られたRF樹脂の軟化点は124℃、残存レゾルシン量は17%であった。
(比較例4)
実施例2のゴム配合において製造例2で製造した組成物の配合量を12質量部に変更する以外は、実施例2と同様にしてゴム組成物を調製し、評価した。また、該ゴム組成物を用い、実施例と同様にしてタイヤを試作し、同様にしてタイヤのベルト層におけるスチールコードとコーティングゴムとの接着性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2007084712
表1から明らかなように、レゾルシン又はRF樹脂を含むゴム組成物をベルト層のコーティングゴムに用いた比較例2又は3のタイヤは、比較例1のタイヤに比べて接着安定性が大幅に低下していた。また、比較例2又は3でコーティングゴムに用いたゴム組成物は、ムーニー粘度が高いため加工性が悪く、耐ブルーム性も悪かった。
一方、上記一般式(1)の化合物を配合したゴム組成物をベルト層のコーティングゴムに用いた実施例のタイヤは、接着安定性高く、比較例1のタイヤに比べて湿熱接着性が向上していた。また、実施例でコーティングゴムに用いたゴム組成物は、ムーニー粘度が低いため加工性が良好で、耐ブルーム性も良好であった。
なお、実施例2〜3並びに比較例4の結果から、上記一般式(1)の化合物の配合量が増えるに従い、ゴム組成物のムーニー粘度が上昇して加工性が低下する傾向があるので、一般式(1)の化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲である必要がある。
本発明の空気入りタイヤの一例の横断面図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス
5 ビードコア
6 ベルト

Claims (8)

  1. 一枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向外側に配設した一枚以上のベルト層からなるベルトとを備え、該カーカス及びベルトの少なくとも一方がコーティングゴムで被覆したスチールコードよりなる層を含む空気入りタイヤにおいて、
    カーカス及びベルトの少なくとも一方で、スチールコードを被覆するコーティングゴムに、ゴム成分100質量部に対し、硫黄1〜10質量部と、下記一般式(1):
    Figure 2007084712
    [式中、Rは、水素、或いは炭素数1〜12の脂肪族基、脂環式基又は置換若しくは非置換の芳香族基であり、nは1〜5の整数である]で表される化合物0.1〜10質量部とを配合してなるゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2):
    Figure 2007084712
    [式中、Rは、水素、或いは炭素数1〜12の脂肪族基、脂環式基又は置換若しくは非置換の芳香族基である]で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記一般式(2)中のRが水素又は炭素数1〜12のアルキル基であることを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記一般式(2)中のRがメチル基であることを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記一般式(2)中のRが水素であることを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記コーティングゴムに用いるゴム組成物が、更に有機酸コバルト塩を前記ゴム成分100質量部に対しコバルト量として0.03〜1質量部含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ゴム成分が、天然ゴム及びポリイソプレンゴムの少なくとも一方よりなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記ゴム成分が、50質量%以上の天然ゴム及び残部合成ゴムよりなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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