JP2004238419A - 接着性ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物と同等の高い耐湿熱接着性を維持しつつ、レゾルシンやRF樹脂を配合した際に見られる粘度上昇及びブルームが抑制されており、経時変化が小さく安定した接着性を発現し得る接着性ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ゴム成分100質量部に対し、硫黄1〜10質量部と下記式(I)で表される化合物0.1〜10質量部とを配合してなる接着性ゴム組成物である。
【化1】
(式中、nは0〜100の整数で;R1は、夫々独立して水素、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基で;R2は、夫々独立して水素、水酸基、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基で;R3は、夫々独立して炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基である。)
【選択図】 なし
【解決手段】ゴム成分100質量部に対し、硫黄1〜10質量部と下記式(I)で表される化合物0.1〜10質量部とを配合してなる接着性ゴム組成物である。
【化1】
(式中、nは0〜100の整数で;R1は、夫々独立して水素、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基で;R2は、夫々独立して水素、水酸基、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基で;R3は、夫々独立して炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基である。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤや工業用ベルト等のゴム物品に用いられるスチールコード等の金属補強材との接着耐久性に優れた接着性ゴム組成物に関し、更に詳しくは、加工性に優れ、製造工程における放置条件に左右されず、接着性ゴム組成物の経時変化が小さく、金属補強材に対する初期接着性及び耐湿熱接着性が安定且つ良好な金属補強材コーティングゴム用接着性ゴム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用タイヤ、コンベアベルト、ホース等、特に強度が要求されるゴム製品には、ゴムを補強して強度を向上させる目的で、スチールコード等の金属補強材をゴム組成物で被覆した複合材料が用いられている。該ゴム−金属複合材料が高い補強効果を発揮して信頼性を得るためには、ゴム−金属補強材間に安定した経時変化の少ない接着が必要である。かかる複合材料を得るために、亜鉛、黄銅、真鍮等でメッキされたスチールコード等の金属補強材を、硫黄を配合したゴム組成物に埋設し、加熱加硫時にゴムの加硫と同時に接着させる、いわゆる直接加硫接着が広く用いられており、これまで、該直接加硫接着におけるゴム−金属補強材間の接着性、特に耐湿熱接着性を向上させるための様々な検討が行われてきた。
【0003】
例えば、レゾルシン、又はレゾルシンとホルムアルデヒドとを縮合して得られるレゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂(以下、「RF樹脂」という)をゴム組成物に配合する技術(特許文献1参照)があり、レゾルシン又はRF樹脂を配合することで、スチールコードとゴムとの耐湿熱接着性が飛躍的に向上する。しかしながら、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物は、粘度が高く加工性に問題があった。また、レゾルシンやRF樹脂は極性が高く、極性の低いゴム成分との相溶性が乏しいため、該レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物においては、混合、保管、タイヤ製造工程における放置時の条件によって、該レゾルシンやRF樹脂が析出する、所謂ブルームが発生する。そのため、該ゴム組成物は、経時変化が大きく、接着性の安定性に問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−234140号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物と同等の高い耐湿熱接着性を維持しつつ、レゾルシンやRF樹脂を配合した際に見られる粘度上昇及びブルームが抑制されており、経時変化が小さく安定した接着性を発現し得る接着性ゴム組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定構造の化合物をゴム成分に所定量配合することによって、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物と同等の耐湿熱接着性を有しつつ、該ゴム組成物の問題点である粘度上昇及びブルームの発生が抑制されており、配合、貯蔵等の条件によらず安定した接着性を発現し得る接着性ゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明の接着性ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄1〜10質量部と下記式(I)で表される化合物0.1〜10質量部とを配合してなることを特徴とする。
【化2】
(式中、nは0〜100の整数で;R1は、夫々独立して水素、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基で;R2は、夫々独立して水素、水酸基、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基で;R3は、夫々独立して炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基である。)
【0008】
本発明の接着性ゴム組成物の好適例においては、前記式(I)で表される化合物において、R1が水素で、R2が水素又は水酸基で、R3がエチレン基、プロピレン基及びブチレン基の何れかである。
【0009】
本発明の接着性ゴム組成物の他の好適例においては、前記式(I)で表される化合物において、nが0である。
【0010】
本発明の接着性ゴム組成物の他の好適例においては、上記接着性ゴム組成物は、更に有機酸コバルト化合物を前記ゴム成分100質量部に対しコバルト量として0.03〜1質量部配合してなる。
【0011】
本発明の接着性ゴム組成物の他の好適例においては、前記ゴム成分は、50質量%以上の天然ゴム(NR)及び残部合成ゴムよりなる。
【0012】
本発明の接着性ゴム組成物の他の好適例においては、前記ゴム成分は、天然ゴム及びポリイソプレンゴム(IR)の少なくとも一方よりなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の接着性ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄1〜10質量部と上記式(I)で表される化合物0.1〜10質量部とを配合してなる。式(I)で表される化合物は、レゾルシンやRF樹脂よりも極性が低いため、極性の低いゴム成分と混ざり易い。そのため、式(I)の化合物を配合したゴム組成物は、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物よりも粘度が低く、ブルームし難く、経時変化が少なく、貯蔵期間に関わらず安定した接着性を発現することができる。
【0014】
上記式(I)において、nは0〜100の整数であり、好ましくは0である。
【0015】
また、R1は、夫々独立して水素、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基である。具体的に、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基(異性体を含む)、ヘキシル基(異性体を含む)等を例示することができる。これらの中でも、R1としては水素が好ましい。
【0016】
更に、R2は、夫々独立して水素、水酸基、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基である。具体的に、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基(異性体を含む)、ヘキシル基(異性体を含む)等を例示することができる。これらの中でも、R2としては水素及び水酸基が好ましく、水素がより好ましい。
【0017】
また更に、R3は、夫々独立して炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基である。具体的に、炭素数1〜12のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基の他、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基及びそれらの異性体等を例示することができる。これらの中でも、R3としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(異性体を含む)、ブチレン基(異性体を含む)が好ましい。
【0018】
上記式(I)で表される化合物は、 1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
式(I)で表される化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対し0.1〜10質量部であり、0.3〜6質量部が好ましい。式(I)で表される化合物の配合量が0.1質量部未満では、耐湿熱接着性を向上させる効果が低く、10質量部を超えると、該化合物がブルームし、接着性が低下する。
【0020】
本発明の接着性ゴム組成物のゴム成分としては、天然ゴムの他;ビニル芳香族炭化水素/共役ジエン共重合体、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等の合成ゴム等の公知のゴムの総てを用いることができる。該ゴム成分は一種単独でも、ブレンドでもよい。接着特性及びゴムの破壊特性の観点から、該ゴム成分は、50質量%以上の天然ゴムを含むのが好ましい。また、合成ゴムの中では、ポリイソプレンゴムが好ましい。
【0021】
本発明の接着性ゴム組成物に配合される硫黄の配合量は、ゴム成分100質量部に対し1〜10質量部であり、3〜8質量部が好ましい。硫黄の配合量が1質量部未満では、スチールコード等の金属補強材との接着性が不十分であり、10質量部を超えると、接着層が肥大化し、接着性が低下する。
【0022】
本発明の接着性ゴム組成物は、更に有機酸コバルト塩を前記ゴム成分100質量部に対しコバルト量として0.03〜1質量部配合してなるのが好ましい。有機酸コバルト塩の配合量が0.03質量部未満では、ゴム組成物と金属補強材との接着性が充分でなく、1質量部を超えると、ゴム組成物の老化特性が悪化する。該有機酸コバルト塩としては、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト等が挙げられる。該有機酸コバルト塩は、有機酸の一部をホウ酸等で置き換えた複合塩でもよい。具体的には、マノボンド(商標:OMG製)が挙げられる。
【0023】
本発明の接着性ゴム組成物には、上記式(I)の化合物、ゴム成分、硫黄、有機酸コバルト塩の他、カーボンブラック及びシリカ等の充填剤、アロマオイル等の軟化剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を通常の配合量で適宜配合することができる。また、本発明の接着性ゴム組成物は、通常の方法で製造することができる。
【0024】
なお、本発明の接着性ゴム組成物と接着される金属補強材は、ゴムとの接着を良好にするために黄銅、亜鉛或いはこれらにニッケルやコバルトを含有する金属でメッキ処理されているのが好ましく、黄銅メッキ処理されているのが特に好ましい。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0026】
2200mLのバンバリーミキサーを使用して表1に示す配合処方のゴム組成物を混練り混合して、未加硫ゴム組成物を調製し、以下に示す方法でムーニー粘度及び接着性を測定・評価した。結果を表1に示す。
【0027】
(1)ムーニー粘度
JIS K6300−1:2001に準拠して、ムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数値が小さい程、粘度が低く良好であることを示す。
【0028】
(2)接着試験
黄銅(Cu:63質量%、Zn:37質量%)メッキしたスチールコード(1×5構造、素線径0.25mm)を12.5mm間隔で平行に並べ、該スチールコードを上下両側から各未加硫ゴム組成物でコーティングし、これを160℃で15分間加硫して、幅12.5mmのサンプルを作製した。ASTM−D−2229に準拠して、各サンプルのスチールコードを引き抜き、ゴムの被覆状態を目視で観察し、被覆率を0〜100%で表示して接着性の指標とした。数値が大きい程、接着性が高く良好であることを示す。なお、表1中の初期接着性は、加硫直後に測定した結果であり、耐湿熱接着性は、70℃、100%RHで4日間湿熱条件下で老化させた後に測定した結果である。
【0029】
(3)接着安定性
また、上記未加硫状態のスチールコード−ゴム組成物複合体を、40℃、80%RHの恒温恒湿槽中に7日間放置した後、160℃で15分間加硫して、上記と同様にしてゴムの被覆率を加硫直後に測定し、接着安定性の指標とした。
【0030】
なお、比較例3で使用したRF樹脂(表1中の化合物4)は、下記の方法で製造したものである。まず、水110g、レゾルシン110g(1mol)及びp−トルエンスルホン酸0.172g(1mmol)を、冷却器、撹拌装置、温度計、滴下ロート及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに仕込み、70℃まで昇温した。次に、37%ホルマリン溶液47.7g(0.59mol)を2時間かけて滴下し、そのままの温度で5時間保持し、反応を完結させた。反応終了後、10%水酸化ナトリウム水溶液0.4gを加えて中和し、冷却器をディーンスターク型還流器に代え、水を留去しながら150℃まで昇温し、更に20mmHgの減圧下で1時間かけて水を除去し、RF樹脂を得た。得られたRF樹脂は、軟化点が124℃であり、残存レゾルシン量は17%であった。
【0031】
【表1】
【0032】
レゾルシン又はRF樹脂を配合した比較例2又は3のゴム組成物は、比較例1に比べて耐湿熱接着性が向上するものの、ムーニー粘度が著しく上昇し、接着安定性も低下していた。
【0033】
一方、式(I)の化合物を配合した実施例1〜4のゴム組成物は、比較例1に比べてムーニー粘度の上昇が抑制され、且つ耐湿熱接着性が向上しており、更に接着安定性が良好であった。
【0034】
但し、実施例1〜3及び比較例4の結果から、式(I)の化合物の配合量が増えるに従い、ムーニー粘度が上昇して加工性が低下し、且つ接着安定性も低下する傾向があるので、式(I)の化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対し10質量部以下である必要がある。
【0035】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明により提供される接着性ゴム組成物は、粘度上昇が抑制されているため加工性が良好で、且つ金属補強材との耐湿熱接着性及び接着安定性に優れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤや工業用ベルト等のゴム物品に用いられるスチールコード等の金属補強材との接着耐久性に優れた接着性ゴム組成物に関し、更に詳しくは、加工性に優れ、製造工程における放置条件に左右されず、接着性ゴム組成物の経時変化が小さく、金属補強材に対する初期接着性及び耐湿熱接着性が安定且つ良好な金属補強材コーティングゴム用接着性ゴム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用タイヤ、コンベアベルト、ホース等、特に強度が要求されるゴム製品には、ゴムを補強して強度を向上させる目的で、スチールコード等の金属補強材をゴム組成物で被覆した複合材料が用いられている。該ゴム−金属複合材料が高い補強効果を発揮して信頼性を得るためには、ゴム−金属補強材間に安定した経時変化の少ない接着が必要である。かかる複合材料を得るために、亜鉛、黄銅、真鍮等でメッキされたスチールコード等の金属補強材を、硫黄を配合したゴム組成物に埋設し、加熱加硫時にゴムの加硫と同時に接着させる、いわゆる直接加硫接着が広く用いられており、これまで、該直接加硫接着におけるゴム−金属補強材間の接着性、特に耐湿熱接着性を向上させるための様々な検討が行われてきた。
【0003】
例えば、レゾルシン、又はレゾルシンとホルムアルデヒドとを縮合して得られるレゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂(以下、「RF樹脂」という)をゴム組成物に配合する技術(特許文献1参照)があり、レゾルシン又はRF樹脂を配合することで、スチールコードとゴムとの耐湿熱接着性が飛躍的に向上する。しかしながら、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物は、粘度が高く加工性に問題があった。また、レゾルシンやRF樹脂は極性が高く、極性の低いゴム成分との相溶性が乏しいため、該レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物においては、混合、保管、タイヤ製造工程における放置時の条件によって、該レゾルシンやRF樹脂が析出する、所謂ブルームが発生する。そのため、該ゴム組成物は、経時変化が大きく、接着性の安定性に問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−234140号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物と同等の高い耐湿熱接着性を維持しつつ、レゾルシンやRF樹脂を配合した際に見られる粘度上昇及びブルームが抑制されており、経時変化が小さく安定した接着性を発現し得る接着性ゴム組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定構造の化合物をゴム成分に所定量配合することによって、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物と同等の耐湿熱接着性を有しつつ、該ゴム組成物の問題点である粘度上昇及びブルームの発生が抑制されており、配合、貯蔵等の条件によらず安定した接着性を発現し得る接着性ゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明の接着性ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄1〜10質量部と下記式(I)で表される化合物0.1〜10質量部とを配合してなることを特徴とする。
【化2】
(式中、nは0〜100の整数で;R1は、夫々独立して水素、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基で;R2は、夫々独立して水素、水酸基、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基で;R3は、夫々独立して炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基である。)
【0008】
本発明の接着性ゴム組成物の好適例においては、前記式(I)で表される化合物において、R1が水素で、R2が水素又は水酸基で、R3がエチレン基、プロピレン基及びブチレン基の何れかである。
【0009】
本発明の接着性ゴム組成物の他の好適例においては、前記式(I)で表される化合物において、nが0である。
【0010】
本発明の接着性ゴム組成物の他の好適例においては、上記接着性ゴム組成物は、更に有機酸コバルト化合物を前記ゴム成分100質量部に対しコバルト量として0.03〜1質量部配合してなる。
【0011】
本発明の接着性ゴム組成物の他の好適例においては、前記ゴム成分は、50質量%以上の天然ゴム(NR)及び残部合成ゴムよりなる。
【0012】
本発明の接着性ゴム組成物の他の好適例においては、前記ゴム成分は、天然ゴム及びポリイソプレンゴム(IR)の少なくとも一方よりなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の接着性ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄1〜10質量部と上記式(I)で表される化合物0.1〜10質量部とを配合してなる。式(I)で表される化合物は、レゾルシンやRF樹脂よりも極性が低いため、極性の低いゴム成分と混ざり易い。そのため、式(I)の化合物を配合したゴム組成物は、レゾルシンやRF樹脂を配合したゴム組成物よりも粘度が低く、ブルームし難く、経時変化が少なく、貯蔵期間に関わらず安定した接着性を発現することができる。
【0014】
上記式(I)において、nは0〜100の整数であり、好ましくは0である。
【0015】
また、R1は、夫々独立して水素、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基である。具体的に、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基(異性体を含む)、ヘキシル基(異性体を含む)等を例示することができる。これらの中でも、R1としては水素が好ましい。
【0016】
更に、R2は、夫々独立して水素、水酸基、ハロゲン、又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基である。具体的に、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基(異性体を含む)、ヘキシル基(異性体を含む)等を例示することができる。これらの中でも、R2としては水素及び水酸基が好ましく、水素がより好ましい。
【0017】
また更に、R3は、夫々独立して炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基である。具体的に、炭素数1〜12のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基の他、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基及びそれらの異性体等を例示することができる。これらの中でも、R3としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(異性体を含む)、ブチレン基(異性体を含む)が好ましい。
【0018】
上記式(I)で表される化合物は、 1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
式(I)で表される化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対し0.1〜10質量部であり、0.3〜6質量部が好ましい。式(I)で表される化合物の配合量が0.1質量部未満では、耐湿熱接着性を向上させる効果が低く、10質量部を超えると、該化合物がブルームし、接着性が低下する。
【0020】
本発明の接着性ゴム組成物のゴム成分としては、天然ゴムの他;ビニル芳香族炭化水素/共役ジエン共重合体、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等の合成ゴム等の公知のゴムの総てを用いることができる。該ゴム成分は一種単独でも、ブレンドでもよい。接着特性及びゴムの破壊特性の観点から、該ゴム成分は、50質量%以上の天然ゴムを含むのが好ましい。また、合成ゴムの中では、ポリイソプレンゴムが好ましい。
【0021】
本発明の接着性ゴム組成物に配合される硫黄の配合量は、ゴム成分100質量部に対し1〜10質量部であり、3〜8質量部が好ましい。硫黄の配合量が1質量部未満では、スチールコード等の金属補強材との接着性が不十分であり、10質量部を超えると、接着層が肥大化し、接着性が低下する。
【0022】
本発明の接着性ゴム組成物は、更に有機酸コバルト塩を前記ゴム成分100質量部に対しコバルト量として0.03〜1質量部配合してなるのが好ましい。有機酸コバルト塩の配合量が0.03質量部未満では、ゴム組成物と金属補強材との接着性が充分でなく、1質量部を超えると、ゴム組成物の老化特性が悪化する。該有機酸コバルト塩としては、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト等が挙げられる。該有機酸コバルト塩は、有機酸の一部をホウ酸等で置き換えた複合塩でもよい。具体的には、マノボンド(商標:OMG製)が挙げられる。
【0023】
本発明の接着性ゴム組成物には、上記式(I)の化合物、ゴム成分、硫黄、有機酸コバルト塩の他、カーボンブラック及びシリカ等の充填剤、アロマオイル等の軟化剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を通常の配合量で適宜配合することができる。また、本発明の接着性ゴム組成物は、通常の方法で製造することができる。
【0024】
なお、本発明の接着性ゴム組成物と接着される金属補強材は、ゴムとの接着を良好にするために黄銅、亜鉛或いはこれらにニッケルやコバルトを含有する金属でメッキ処理されているのが好ましく、黄銅メッキ処理されているのが特に好ましい。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0026】
2200mLのバンバリーミキサーを使用して表1に示す配合処方のゴム組成物を混練り混合して、未加硫ゴム組成物を調製し、以下に示す方法でムーニー粘度及び接着性を測定・評価した。結果を表1に示す。
【0027】
(1)ムーニー粘度
JIS K6300−1:2001に準拠して、ムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数値が小さい程、粘度が低く良好であることを示す。
【0028】
(2)接着試験
黄銅(Cu:63質量%、Zn:37質量%)メッキしたスチールコード(1×5構造、素線径0.25mm)を12.5mm間隔で平行に並べ、該スチールコードを上下両側から各未加硫ゴム組成物でコーティングし、これを160℃で15分間加硫して、幅12.5mmのサンプルを作製した。ASTM−D−2229に準拠して、各サンプルのスチールコードを引き抜き、ゴムの被覆状態を目視で観察し、被覆率を0〜100%で表示して接着性の指標とした。数値が大きい程、接着性が高く良好であることを示す。なお、表1中の初期接着性は、加硫直後に測定した結果であり、耐湿熱接着性は、70℃、100%RHで4日間湿熱条件下で老化させた後に測定した結果である。
【0029】
(3)接着安定性
また、上記未加硫状態のスチールコード−ゴム組成物複合体を、40℃、80%RHの恒温恒湿槽中に7日間放置した後、160℃で15分間加硫して、上記と同様にしてゴムの被覆率を加硫直後に測定し、接着安定性の指標とした。
【0030】
なお、比較例3で使用したRF樹脂(表1中の化合物4)は、下記の方法で製造したものである。まず、水110g、レゾルシン110g(1mol)及びp−トルエンスルホン酸0.172g(1mmol)を、冷却器、撹拌装置、温度計、滴下ロート及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに仕込み、70℃まで昇温した。次に、37%ホルマリン溶液47.7g(0.59mol)を2時間かけて滴下し、そのままの温度で5時間保持し、反応を完結させた。反応終了後、10%水酸化ナトリウム水溶液0.4gを加えて中和し、冷却器をディーンスターク型還流器に代え、水を留去しながら150℃まで昇温し、更に20mmHgの減圧下で1時間かけて水を除去し、RF樹脂を得た。得られたRF樹脂は、軟化点が124℃であり、残存レゾルシン量は17%であった。
【0031】
【表1】
【0032】
レゾルシン又はRF樹脂を配合した比較例2又は3のゴム組成物は、比較例1に比べて耐湿熱接着性が向上するものの、ムーニー粘度が著しく上昇し、接着安定性も低下していた。
【0033】
一方、式(I)の化合物を配合した実施例1〜4のゴム組成物は、比較例1に比べてムーニー粘度の上昇が抑制され、且つ耐湿熱接着性が向上しており、更に接着安定性が良好であった。
【0034】
但し、実施例1〜3及び比較例4の結果から、式(I)の化合物の配合量が増えるに従い、ムーニー粘度が上昇して加工性が低下し、且つ接着安定性も低下する傾向があるので、式(I)の化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対し10質量部以下である必要がある。
【0035】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明により提供される接着性ゴム組成物は、粘度上昇が抑制されているため加工性が良好で、且つ金属補強材との耐湿熱接着性及び接着安定性に優れる。
Claims (6)
- 前記式(I)で表される化合物において、R1が水素で、R2が水素又は水酸基で、R3がエチレン基、プロピレン基及びブチレン基の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の接着性ゴム組成物。
- 前記式(I)で表される化合物において、nが0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の接着性ゴム組成物。
- 更に有機酸コバルト塩を前記ゴム成分100質量部に対しコバルト量として0.03〜1質量部配合してなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の接着性ゴム組成物。
- 前記ゴム成分が、50質量%以上の天然ゴム及び残部合成ゴムよりなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の接着性ゴム組成物。
- 前記ゴム成分が、天然ゴム及びポリイソプレンゴムの少なくとも一方よりなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の接着性ゴム組成物。
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