JP2016113491A - ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】空気入りタイヤにおいては、高硬度化が要求されている。このため、フィラーを高配合する等の手法が挙げられるが、このような配合ではゴム組成物の転がり抵抗が大きくなる。そこで転がり抵抗を低減するためにオイル量を低減する手法も挙げられるが、これではゴム組成物の粘度が高くなり加工性が悪化してしまうという問題点があった。また、該組成物には、耐水接着性および破断物性の向上が求められている。【解決手段】天然ゴムを80質量部以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部、硫黄を3〜10質量部、および有機酸コバルト塩を0.1〜10質量部配合してなるゴム組成物によって上記課題を解決した。【選択図】なし
Description
本発明は、ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、加工性を損なうことなく、硬度を高め、長期使用後の耐水接着性および破断物性に優れるゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
空気入りタイヤは左右一対のビード部およびサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とから主に構成されている。タイヤの内側にはカーカス層が設けられ、カーカス層の両端部はビードコアをタイヤ内側から外側へ包みこむように折り返されている。
トレッド部は、キャップトレッドとアンダートレッドとからなり、このアンダートレッドとカーカス層との間に、ベルト層が配設されている。
このベルト層には、強い衝撃や大きな荷重がかかるため、補強材としてスチールコードが用いられている。
トレッド部は、キャップトレッドとアンダートレッドとからなり、このアンダートレッドとカーカス層との間に、ベルト層が配設されている。
このベルト層には、強い衝撃や大きな荷重がかかるため、補強材としてスチールコードが用いられている。
近年、空気入りタイヤにおいては、とくに高速走行時の制動性能等の操縦安定性の向上が強く要求され、スチールコードを被覆するゴム組成物についてもこれを高硬度化し、剛性を向上させることが行われている。剛性を向上させるためには、フィラーを高配合する等の手法が挙げられるが、このような配合ではゴム組成物の転がり抵抗が大きくなる。そこで転がり抵抗を低減するためにオイル量を低減する手法も挙げられるが、これではゴム組成物の粘度が高くなり加工性が悪化してしまうという問題点があった。
一方、スチールコードを被覆するゴム組成物は、昨今のタイヤの長期利用化に鑑み、両者間における長期使用後の耐水接着性が優れていること、破断伸び等の破断物性が低下しないこと、が求められている。
一方、スチールコードを被覆するゴム組成物は、昨今のタイヤの長期利用化に鑑み、両者間における長期使用後の耐水接着性が優れていること、破断伸び等の破断物性が低下しないこと、が求められている。
なお下記特許文献1には、ゴム材料と特定構造のメチレンビス(アルキルスルフィド)およびフェノール系酸化防止剤等から選ばれる劣化防止剤とを混合する技術が開示されている。しかし特許文献1には、下記で説明する本発明のスチレン化フェノール化合物については開示も示唆もない。また、特定のスチレン化フェノール化合物を用いて加工性を損なうことなく、硬度を高め、長期使用後の耐水接着性および破断物性を改善しようとする技術思想は何ら開示されていない。
したがって本発明の目的は、加工性を損なうことなく、硬度を高め、長期使用後の耐水接着性および破断物性に優れるゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のジエン系ゴムに対し、特定のスチレン化フェノール化合物、硫黄および有機酸コバルトを特定量でもって配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.天然ゴムおよび/または合成イソプレンゴムを80質量部以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、
ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部、
硫黄を3〜10質量部、および
有機酸コバルト塩を0.1〜10質量部
配合してなるゴム組成物。
2.前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに窒素吸着比表面積(N2SA)が50〜130m2/gのカーボンブラックを30〜80質量部配合してなる前記1に記載のゴム組成物。
3.前記1または2に記載のゴム組成物により、スチールコードを被覆してなるゴム−スチールコード複合材。
4.前記3に記載のゴム−スチールコード複合材を用いた空気入りタイヤ。
ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部、
硫黄を3〜10質量部、および
有機酸コバルト塩を0.1〜10質量部
配合してなるゴム組成物。
2.前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに窒素吸着比表面積(N2SA)が50〜130m2/gのカーボンブラックを30〜80質量部配合してなる前記1に記載のゴム組成物。
3.前記1または2に記載のゴム組成物により、スチールコードを被覆してなるゴム−スチールコード複合材。
4.前記3に記載のゴム−スチールコード複合材を用いた空気入りタイヤ。
本発明によれば、特定の組成のジエン系ゴムに対し、特定のスチレン化フェノール化合物、硫黄および有機酸コバルトを特定量でもって配合したので、加工性を損なうことなく、硬度を高め、長期使用後の耐水接着性および破断物性に優れるゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)を必須成分とする。NRおよび/またはIRの配合量は、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに80質量部以上であることが必要である。NRおよび/またはIRの配合量が80質量部未満であると、破断伸びが悪化し、好ましくない。なお、NRおよびIR以外にも他のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)を必須成分とする。NRおよび/またはIRの配合量は、ジエン系ゴム全体を100質量部としたときに80質量部以上であることが必要である。NRおよび/またはIRの配合量が80質量部未満であると、破断伸びが悪化し、好ましくない。なお、NRおよびIR以外にも他のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
(スチレン化フェノール化合物)
スチレン化フェノール化合物は、下記式で表すことができる。
スチレン化フェノール化合物は、下記式で表すことができる。
本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、nが2であるジスチレン化フェノールまたはnが3であるトリスチレン化フェノールを主成分とする。本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、公知の製造方法により製造することができ、また商業的に入手も可能である。市販品としては、例えば三光(株)製SP−24(ジスチレン化フェノールを主成分とする)、TSP(トリスチレン化フェノールを主成分とする)等が挙げられる。
一般的に製造されたスチレン化フェノール化合物は、フェノール1モルに対してスチレン1モルが付加したモノスチレン化フェノール(上記式中、n=1);フェノール1モルに対してスチレン2モルが付加したジスチレン化フェノール(上記式中、n=2);フェノール1モルに対してスチレン3モルが付加したトリスチレン化フェノール(上記式中、n=3);およびその他の成分の混合物となる。本発明では、これらのスチレン化フェノール化合物のうち、主成分としてジスチレン化フェノールおよびトリスチレン化フェノールを使用する。上述のように製造されたスチレン化フェノール化合物は、主に、モノ、ジおよびトリ体の混合物であるので、本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、モノ体がある程度存在することができる。したがって本発明で言う、「ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とする」とは、ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールが全体の50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上を占めることを意味し、それ以外の成分としてモノスチレン化フェノールやその他の成分(例えばテトラ体あるいはそれ以上の付加物のスチレン化フェノール化合物)が含まれていてもよい。
なお、上記式におけるスチレン部位は、スチレンの誘導体であってもよい。例えば、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン等が挙げられる。
(有機酸コバルト塩)
本発明で使用する有機酸コバルト塩としては、例えばナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト、ホウ酸ネオデカン酸コバルト、アセチルアセトナートコバルト等を例示することができる。また、ホウ素を含む有機酸コバルト塩、例えばオルトホウ酸コバルト等も使用できる。
本発明で使用する有機酸コバルト塩としては、例えばナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト、ホウ酸ネオデカン酸コバルト、アセチルアセトナートコバルト等を例示することができる。また、ホウ素を含む有機酸コバルト塩、例えばオルトホウ酸コバルト等も使用できる。
(ゴム組成物の配合割合)
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、 ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部、硫黄を3〜10質量部、および有機酸コバルト塩を0.1〜10質量部配合してなることを特徴とする。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量が0.5質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると老化時の破断物性が低下する。
硫黄が3質量部未満であると、ワイヤーとの接着性が悪化し、逆に10質量部を超えると老化特性が悪化する。なお、本発明でいう硫黄には、加硫促進剤や樹脂に含まれる硫黄分は含まれないものとする。
前記有機酸コバルト塩の配合量が0.1質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に10質量部を超えると破断物性や接着性が悪化する。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、3〜10質量部がさらに好ましい。
前記硫黄の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜8質量部がさらに好ましい。
前記有機酸コバルト塩の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1〜3質量部がさらに好ましい。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、 ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部、硫黄を3〜10質量部、および有機酸コバルト塩を0.1〜10質量部配合してなることを特徴とする。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量が0.5質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると老化時の破断物性が低下する。
硫黄が3質量部未満であると、ワイヤーとの接着性が悪化し、逆に10質量部を超えると老化特性が悪化する。なお、本発明でいう硫黄には、加硫促進剤や樹脂に含まれる硫黄分は含まれないものとする。
前記有機酸コバルト塩の配合量が0.1質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に10質量部を超えると破断物性や接着性が悪化する。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、3〜10質量部がさらに好ましい。
前記硫黄の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜8質量部がさらに好ましい。
前記有機酸コバルト塩の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1〜3質量部がさらに好ましい。
(カーボンブラック)
また本発明では、効果が向上するという観点から、カーボンブラックを配合するのが好ましい。カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が50〜130m2/gである必要がある。窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g未満では、強度が不十分となり、逆に窒素吸着比表面積(N2SA)が130m2/gを超えると、発熱性が大となり、好ましくない。さらに好ましい窒素吸着比表面積(N2SA)は、70〜90m2/gである。なお、窒素吸着比表面積(N2SA)はJIS K6217−2に準拠して求めた値である。
またカーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、30〜80質量部が好ましく、50〜70質量部がさらに好ましい
また本発明では、効果が向上するという観点から、カーボンブラックを配合するのが好ましい。カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が50〜130m2/gである必要がある。窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g未満では、強度が不十分となり、逆に窒素吸着比表面積(N2SA)が130m2/gを超えると、発熱性が大となり、好ましくない。さらに好ましい窒素吸着比表面積(N2SA)は、70〜90m2/gである。なお、窒素吸着比表面積(N2SA)はJIS K6217−2に準拠して求めた値である。
またカーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、30〜80質量部が好ましく、50〜70質量部がさらに好ましい
(その他成分)
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
本発明のゴム−スチールコード複合材は、例えば、前記の各種成分をバンバリーミキサーやロールミキサーなどの汎用の混合機を用いて混合しゴム組成物を調製し、これにスチールコードを埋設させ、常法にしたがって例えば加硫することにより、得ることができる。
本発明のゴム−スチールコード複合材は、空気入りタイヤに用いるのが好ましく、アンダートレッドに埋設されるベルトに利用するのが好適である。
本発明のゴム−スチールコード複合材を用いた空気入りの製造方法はとくに制限されず、公知技術にしたがえばよい。
本発明のゴム−スチールコード複合材を用いた空気入りの製造方法はとくに制限されず、公知技術にしたがえばよい。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
実施例1〜4および比較例1〜5
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で未加硫のゴム組成物および加硫ゴム試験片の物性を測定した。
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で未加硫のゴム組成物および加硫ゴム試験片の物性を測定した。
ムーニー粘度:JIS K6300に準拠して、L形ローターを使用し、ムーニー粘度ML(1+4)100℃を求めた。結果は比較例1の値を100として指数表示した。指数が小さいほどムーニー粘度が低く、加工性が良好であることを示す。
硬度(20℃):JIS K6253に基づき、20℃にて測定した。結果は比較例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほど硬度が高いことを示す。
耐老化性:JIS K6251に基づき、切断時伸び(EB)を測定した。また、加硫ゴム試験片を70℃に加熱したオーブン内に96時間放置した熱老化後の加硫ゴム試験片についても、上記と同様に切断時伸び(EB)を測定し、以下の式によりEB変化率を求めた。
EB変化率:(熱老化後の加硫ゴム試験片のEB/熱老化前の加硫ゴム試験片のEB)× 100(%)
EB変化率が100に近いほど変化が小さく、耐老化性に優れることを意味する。
ワイヤー引抜力:ASTM D−2に準拠してコードを引き抜き、その引き抜き時の引抜力を調べた。なお、サンプルは70℃の温水に2週間浸漬したものを用いた。結果は比較例1の値を100として指数表示した。この値が大きいほどゴムに対する接着性が優れている。
結果を表1に示す。
硬度(20℃):JIS K6253に基づき、20℃にて測定した。結果は比較例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほど硬度が高いことを示す。
耐老化性:JIS K6251に基づき、切断時伸び(EB)を測定した。また、加硫ゴム試験片を70℃に加熱したオーブン内に96時間放置した熱老化後の加硫ゴム試験片についても、上記と同様に切断時伸び(EB)を測定し、以下の式によりEB変化率を求めた。
EB変化率:(熱老化後の加硫ゴム試験片のEB/熱老化前の加硫ゴム試験片のEB)× 100(%)
EB変化率が100に近いほど変化が小さく、耐老化性に優れることを意味する。
ワイヤー引抜力:ASTM D−2に準拠してコードを引き抜き、その引き抜き時の引抜力を調べた。なお、サンプルは70℃の温水に2週間浸漬したものを用いた。結果は比較例1の値を100として指数表示した。この値が大きいほどゴムに対する接着性が優れている。
結果を表1に示す。
*1:NR(TSR20)
*2:カーボンブラック(東海カーボン(株)製シースト300、窒素吸着比表面積(N2SA)=84m2/g)
*3:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*4:ステアリン酸コバルト(DIC(株)製)
*5:アロマオイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*6:スチレン化フェノール化合物−1(三光(株)製SP−F。モノスチレン化フェノール65モル%以上、ジスチレン化フェノール32モル%以下、トリスチレン化フェノール1モル%以下)
*7:スチレン化フェノール化合物−2(三光(株)製SP−24。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール60モル%以上、トリスチレン化フェノール40モル%以下)
*8:スチレン化フェノール化合物−3(三光(株)製TSP。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール30モル%以下、トリスチレン化フェノール65モル%以上、ポリスチレン化フェノール17%以下)
*9:老化防止剤(フレキシス社製サントフレックス6PPD)
*10:硫黄(四国化成工業(株)製ミュークロンOT−20)
*11:加硫促進剤(大内新興化学(株)製ノクセラーDZ)
*12:レゾルシン(田岡化学工業(株)製)
*13:硬化剤(CYTEC INDUSTRIES CYREZ 964RPC、ヘキサメトキシメチロールメラミン)
*2:カーボンブラック(東海カーボン(株)製シースト300、窒素吸着比表面積(N2SA)=84m2/g)
*3:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*4:ステアリン酸コバルト(DIC(株)製)
*5:アロマオイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*6:スチレン化フェノール化合物−1(三光(株)製SP−F。モノスチレン化フェノール65モル%以上、ジスチレン化フェノール32モル%以下、トリスチレン化フェノール1モル%以下)
*7:スチレン化フェノール化合物−2(三光(株)製SP−24。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール60モル%以上、トリスチレン化フェノール40モル%以下)
*8:スチレン化フェノール化合物−3(三光(株)製TSP。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール30モル%以下、トリスチレン化フェノール65モル%以上、ポリスチレン化フェノール17%以下)
*9:老化防止剤(フレキシス社製サントフレックス6PPD)
*10:硫黄(四国化成工業(株)製ミュークロンOT−20)
*11:加硫促進剤(大内新興化学(株)製ノクセラーDZ)
*12:レゾルシン(田岡化学工業(株)製)
*13:硬化剤(CYTEC INDUSTRIES CYREZ 964RPC、ヘキサメトキシメチロールメラミン)
上記の表1の結果から明らかなように、実施例1〜4で得られたゴム組成物は、特定の組成のジエン系ゴムに対し、特定のスチレン化フェノール化合物、硫黄および有機酸コバルトを特定量でもって配合したので、従来の代表的な比較例1に対し、加工性を損なうことなく、硬度が高まり、長期使用後の耐水接着性および破断物性に優れることが判明した。
これに対し、比較例2は、モノスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を使用しているので、硬度および耐水接着性が悪化した。
比較例3および4は、比較例1のゴム組成物に対し、老化防止剤を増量した例であり、耐水接着性が悪化した。
比較例5は、スチレン化フェノール化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、長期使用後の破断物性が悪化した。
これに対し、比較例2は、モノスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を使用しているので、硬度および耐水接着性が悪化した。
比較例3および4は、比較例1のゴム組成物に対し、老化防止剤を増量した例であり、耐水接着性が悪化した。
比較例5は、スチレン化フェノール化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、長期使用後の破断物性が悪化した。
Claims (4)
- 天然ゴムおよび/または合成イソプレンゴムを80質量部以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、
ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部、
硫黄を3〜10質量部、および
有機酸コバルト塩を0.1〜10質量部
配合してなるゴム組成物。 - 前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに窒素吸着比表面積(N2SA)が50〜130m2/gのカーボンブラックを30〜80質量部配合してなる請求項1に記載のゴム組成物。
- 請求項1または2に記載のゴム組成物により、スチールコードを被覆してなるゴム−スチールコード複合材。
- 請求項3に記載のゴム−スチールコード複合材を用いた空気入りタイヤ。
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Cited By (1)
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JP2020002326A (ja) * | 2018-07-02 | 2020-01-09 | 横浜ゴム株式会社 | 金属接着用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
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2014
- 2014-12-11 JP JP2014251021A patent/JP2016113491A/ja active Pending
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JP2020002326A (ja) * | 2018-07-02 | 2020-01-09 | 横浜ゴム株式会社 | 金属接着用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
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