JP2007084379A - 板ガラスの熱処理方法及び熱処理装置並びに熱処理用治具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 板ガラスに熱処理を施すに際して、搬送時等に板ガラスが不当に移動することを回避して板ガラスを適切に保持できるようにし、且つ煩雑な作業を不要にして作業能率の向上を図り得るようにした上で、板ガラスの全面に亘って傷が付く要因をなくして板ガラスの品位向上を図る。
【解決手段】 板ガラス5を耐熱性治具1に保持させた状態で、高温雰囲気に晒すことにより、板ガラス5に対して熱処理を施すように構成した板ガラスの熱処理装置であって、耐熱性治具1は、枠状の保持部3を有する単一の平面板状をなし、枠状の保持部3の表面側から板ガラス5の周縁部のみが枠状の保持部3の表面側部位4に接触及び離反可能となるように構成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、板ガラスに徐冷(アニール)等の熱処理を施すための方法及び装置並びに治具に係り、特に、高温雰囲気中で板ガラスを適切に保持するための技術に関する。
周知のように、液晶ディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイの製造時、特に低温ポリシリコン液晶ディスプレイの製造時には、高温(200〜600℃)での連続的な熱処理工程が実行されるのが通例である。この熱処理時には、パネルを構成するガラス基板が構造緩和を起こし、これに起因して体積が収縮するという事態を招く。
このような熱による収縮(いわゆる熱収縮)が大きいと、ガラス基板上に形成される回路パターンが初期の設定からズレを生じ、電気的な性能が損なわれるという致命的な欠陥を誘発する。また、これらの熱処理工程の実行中にガラス基板に成膜される膜層の位置合わせは、高い精度が要求されることから、ガラス基板としては、熱処理工程に伴う熱収縮が小さい特性を有していることが必要とされる。
この場合において、フラットパネルディスプレイに用いられているガラス基板は、オーバーフロー法(フュージョン法)やスロットダウン法等の各種方法により、溶融ガラスを板状に成形して得られるものであり、この成形後の板ガラスに対しては、上記のような熱収縮を低減することを目的として、徐冷処理(アニール処理)を施すのが通例である。
具体例として、一般的な液晶ディスプレイでは、ガラスの熱収縮率が60ppm程度まで許容されることから、例えばオーバーフロー法で成形される板ガラスに対して、比較的短時間のアニールを行えばよいが、低温ポリシリコン液晶ディスプレイでは、ガラスの熱収縮率が0〜20ppmの範囲内にあることが要求されるため、充分なアニールを行う必要がある。
ところで、上述のオーバーフロー法等により成形された板ガラスに対してアニール処理を施す手法として、下記の特許文献1によれば、複数本のロッド(棒状物)を組み付けて構成された支持部材に、複数枚の板ガラスを垂直姿勢で所定間隔おきに並べて支持させ、これを加熱炉の中に投入することが開示されている。
また、下記の特許文献2〜4によれば、複数枚の板ガラスを水平姿勢で積層すると共に、各板ガラスの相互間に合紙を介設し、もしくは水やアルコールを注入して濡らし、または各板ガラスの表面に水溶性無機物質と界面活性剤とを含む溶液からなる膜を形成し、このような積層構造とした上で板ガラスのアニール処理を行うことが開示されている。
更に、下記の特許文献5,6によれば、4つの平面板状体のそれぞれの内面に複数の溝を形成し、これらの平面板状体を2つのL型枠となるように組み付けると共に、各平面板状体の各溝に複数枚の板ガラスの縁部が挿入された状態となるように、2つのL型枠で複数枚の板ガラスを覆い、且つ、2つのL型枠同士をバンド構造体で締め付け、このような状態とした上で板ガラスのアニール処理を行うことが開示されている。
特開昭61−247632号公報 特開平6−247730号公報 特開平8−165133号公報 特開平8−231233号公報 特開平10−53427号公報 米国特許第5711778号明細書
しかしながら、上記の特許文献1に開示されたアニール処理の手法では、複数枚の板ガラスが、支持部材にそれぞれの底辺2箇所と両側辺1箇所ずつとが接触した状態で、所定間隔おきに並べられているに過ぎず、各板ガラスの移動を面と直交する方向に対して規制することはできない。このため、支持部材を加熱炉の中に搬入し或いは搬出する場合に、板ガラスが面と直交する方向に不当に移動するのみならず、隣接する板ガラスの面同士が接触してそれらの全面に亘って傷が付く等のおそれがあり、板ガラスの保持を適切に行うことが困難となる。このような問題は、近年におけるフラットディスプレイ用等のように板ガラスが大型になった場合には、特に深刻となる。
また、上記の特許文献2〜4に開示されたアニール処理の手法のうち、水平姿勢で積層された各板ガラス間に合紙を介在させる手法によれば、各板ガラス間に合紙を挟む際に或いは各板ガラスを抜き取る際に、板ガラスの全面が合紙と接触するため、異物を巻き込むなどして、板ガラスの全面に傷が付き或いはその全面に異物が付着するおそれがある。また、各板ガラスの表面を水やアルコールで濡らし或いはその表面に上記所定の溶液を塗布する手法によれば、濡らす作業や塗布作業等の面倒且つ煩雑な作業を強いられるばかりでなく、上記の板ガラスの大型化及びこれに伴う重量増によって、板ガラスの積層作業時或いはその抜き取り作業時に、板ガラスの全面に亘って傷が付くおそれもある。
更に、上記の特許文献5,6に開示されたアニール処理の手法によれば、板ガラスを一枚毎にL型枠の溝に挿入せねばならないため、面倒かつ煩雑な作業を余儀なくされ、作業能率が悪化すると共に、2つのL型枠は相互に分離して離間した状態で、複数枚の板ガラスの縁部を保持する構造であるため、板ガラスのセット時に、2つのL型枠の相互間にズレが生じて板ガラスの変形要因となるのみならず、バンド構造体で2つのL型枠を締め付けた場合には、板ガラスに不当な外力が作用し、板ガラスをより一層変形させる要因となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、板ガラスに熱処理を施すに際して、板ガラスの不当な移動及び板ガラスに対する不当な外力の作用を回避して板ガラスを適切に保持できるようにし、且つ煩雑な作業を不要にして作業能率の向上を図り得るようにした上で、板ガラスの全面に亘って傷が付く要因を可及的に低減させて板ガラスの品位向上を図ることを技術的課題とする。
上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る方法は、板ガラスを耐熱性治具に保持させた状態で、高温雰囲気に晒すことにより、板ガラスに対して熱処理を施す板ガラスの熱処理方法であって、前記耐熱性治具が、枠状の保持部を有する単一の平面板状をなし、前記枠状の保持部の表面側から板ガラスの周縁部のみが該枠状の保持部の表面側部位に接触及び離反可能となるようにして、前記耐熱性治具により板ガラスを保持させることに特徴づけられる。ここで、上記の「単一の平面板状」とは、例えば屈曲して連なる2以上の平面板状を排除する意味である(以下の「単一の平面板状」についても同様)。
このような方法によれば、単一の平面板状をなす耐熱性治具における枠状の保持部の表面側部位に、板ガラスの周縁部のみが表面側から接触及び離反可能とされていることから、板ガラスが耐熱性治具により保持される際に、板ガラスの全面が耐熱性治具に接触することはなく、その全面に亘って接触に起因する傷が付くおそれがなくなる。この場合、板ガラスに存する中央部所定範囲の有効領域を除外した周縁部のみが、耐熱性治具における枠状の保持部の表面側部位に接触するようにしておけば、その周縁部に接触傷が付いた場合であっても、大きな弊害とはならない。したがって、板ガラスの品位低下を抑制する上で、極めて有利となる。しかも、板ガラスの周縁部が、表面側から枠状の保持部の表面側部位に接触し得ることから、従来の具体的一例のように、板ガラスを面と直交する方向に規制せずに支持部材上に垂直姿勢で並べていた場合における板ガラスの不当な移動、特に板ガラスが大型となった場合の不当な移動が有効に回避される。加えて、板ガラスの表面に所定の溶液を塗布していた場合や、4つの平面板状体の内面にそれぞれ形成された溝に板ガラスの4つの周縁部を挿入していた場合の面倒且つ煩雑な作業が不要になると共に、バンド構造体で締め付けていた場合のような不当な外力が板ガラスに作用しなくなる。尚、耐熱性治具の材質は、膨張係数が零付近のものが好ましく、特に、結晶化ガラスであることが好ましいが、これ以外に、石英ガラス、セラミックまたは金属等であってもよい。
この場合、前記耐熱性治具は、中央部に開口部を有する額縁状の平面板状枠体であり、前記開口部を包囲する全枠部が、前記枠状の保持部であることが好ましい。したがって、この場合には、中央部に開口部を有する額縁状の平面板状枠体の全てが、上述の枠状の保持部を有する耐熱性治具に相当することになる。
このようにすれば、耐熱性治具が開口部を有しない板状体またはこれに準じる板状体である場合と比較して、軽量化及び材料の節減が図られると共に、持ち運び時や取り扱う際の利便性が向上する。しかも、板ガラスの4辺の縁部(全周縁部)が、全枠部の表面側部位に接触可能であることから、板ガラスの曲げ等の変形を低減させる上で有利となる。
また、板ガラスの保持態様としては、単一の耐熱性治具により単一の板ガラスを保持させることが好ましい。
このようにすれば、周縁部のみが耐熱性治具(枠状の保持部の表面側部位)に接触し得る板ガラスが一枚のみとなるので、板ガラスを耐熱性治具の所定位置に保持させるための作業が簡素化され、作業性が良好となる。すなわち、単一の耐熱性治具に、同一平面内で隣接するようにして複数枚の板ガラスを周縁部のみが接触及び離反可能となるように配置することも可能であり、本発明は、このような構成を排除するものではないが、上記の作業性等の点で対比すれば劣ることになるため、この点に着目すれば、一個の耐熱性治具により一枚の板ガラスを保持させることが好ましい。
更に、前記枠状の保持部における表面側の内周縁部に沿って形成された段付き凹部に、板ガラスを嵌め込んだ状態で保持させることが好ましい。尚、前記段付き凹部に板ガラスを嵌め込んだ状態においては、段付き凹部の外側面(外周端面)と板ガラスの外周端との間に、両者の熱膨張差に応じた隙間を形成しておくことが好適である。
このようにすれば、板ガラスが面に沿う方向に移動することを適切に規制できることになり、板ガラスに対する保持が確実化されると共に、このような移動の規制に伴って、板ガラスの周縁部と段付き凹部との間に摺動が生じ難くなり、これにより板ガラスの周縁部すらも傷が付くことを抑制できることになる。
この場合、前記段付き凹部の深さ寸法は、板ガラスの厚み寸法よりも長いことが好ましい。
このようにすれば、板ガラスは、耐熱性治具の段付き凹部に確実に収納された状態となるため、その保持がより一層適切化されると共に、板ガラスを保持してなる耐熱性治具を積層した場合であっても、板ガラスが隣接する他の耐熱性部材と不当な圧力で接触することはなく、板ガラスの接触傷の発生確率をより一層確実に低減させることが可能となる。
また、前記枠状の保持部の内周縁部に、該枠状の保持部に保持されている板ガラスの外周端を越えて外方側に窪む切欠き部が少なくとも周方向の1箇所に形成されていることが好ましい。
このようにすれば、板ガラスが枠状の保持部に保持された状態にある時に、板ガラスの外周端を越えて外方側に窪む切欠き部を利用して、板ガラスを枠状の保持部の表面側部位から容易に離脱させることができるため、板ガラスの厚みが薄い場合であっても、作業の困難化を招くことなく能率良く板ガラスを耐熱性治具から抜き取ることが可能となる。
以上の構成において、板ガラスを保持してなる耐熱性治具は、複数並列に配置されることが好ましい。
このようにすれば、複数枚の板ガラスに対して一挙に熱処理(代表例としてアニール処理)を施すことができるため、処理の高能率化を図る上で有利となることは言うまでもない。そして、この場合には、加熱炉等への投入が、バッチ処理でもよく、またコンベア等の搬送手段を利用した連続処理であってもよい。
この構成においては、隣り合う耐熱性治具の相互間に、複数のスペーサが周方向に間隔を隔てて介設されることが好ましい。
このようにすれば、板ガラスをそれぞれ保持してなる複数の耐熱性治具が、相互間に隙間を介在させた状態で並列配置されることになり、各板ガラスが隣りの耐熱性治具と接触する確率が激減するばかりでなく、各耐熱性治具に保持されている各板ガラスに作用する熱の温度分布は、スペーサ相互間の周方向隙間の存在により均一化され、各板ガラスに対して不当な偏りを生じることなく良好に熱処理が施される。
以上の構成において、板ガラスは耐熱性治具により水平姿勢で保持されていてもよく、もしくは垂直姿勢で保持されていてもよく、または傾斜姿勢で保持されていてもよい。この場合、水平姿勢としたならば、積層状態にするための積み重ね作業及び取り出し作業が容易となる利点を享受でき、また垂直姿勢としたならば、板ガラスの撓み等の変形が小さくなる利点を享受でき、更に傾斜姿勢としたならば、水平姿勢と垂直姿勢との両者の利点を一挙に享受でき且つ取り出し作業が最も容易になる。
一方、上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る装置は、板ガラスを耐熱性治具に保持させた状態で、高温雰囲気に晒すことにより、板ガラスに対して熱処理を施すように構成した板ガラスの熱処理装置であって、前記耐熱性治具は、枠状の保持部を有する単一の平面板状をなし、前記枠状の保持部の表面側から板ガラスの周縁部のみが該枠状の保持部の表面側部位に接触及び離反可能となるように構成されていることに特徴づけられる。
この熱処理装置は、特徴となる構成要素が、既に述べた基本となる熱処理方法と同一であり、したがって、この熱処理装置についての作用効果等に関する事項は、上記の基本となる熱処理方法について段落[0015]で既に述べた事項と同一であるため、ここでは便宜上、その説明を省略する。
また、上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る治具は、板ガラスに対して高温雰囲気中で熱処理を施す際に、板ガラスを保持する熱処理用治具(耐熱性治具)であって、枠状の保持部を有する単一の平面板状をなし、前記枠状の保持部の表面側から板ガラスの周縁部のみが該枠状の保持部の表面側部位に接触及び離反可能とされていることに特徴づけられる。
この熱処理用治具は、特徴となる構成要素が、既に述べた基本となる熱処理方法と同一であり、したがって、この熱処理用治具についての作用効果等に関する事項は、上記の基本となる熱処理方法について段落[0015]で既に述べた事項と同一であるため、ここでは便宜上、その説明を省略する。
以上のように本発明によれば、枠状の保持部を有する単一の平面板状をなす耐熱性治具(熱処理用治具)を用いることによって、板ガラスが不当に移動することなく且つ不当な外力を受けることなく適切に保持され、しかも板ガラスの表面への溶液の塗布や溝への挿入等の煩雑な作業が不要とされた上で、板ガラスの全面に亘って傷が付くおそれがなくなり、板ガラスの品位向上に寄与することができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る板ガラスの熱処理装置の構成要素である熱処理用治具つまり耐熱性治具を例示している。図1(a)に示すように、耐熱性治具1は、中央部に開口部2を有する額縁状の平面板状枠体であり、開口部2を包囲している矩形の全枠部3が、板ガラスを保持するための枠状の保持部とされている。この耐熱性治具1の全枠部3における表面側の内周縁部には、板ガラスを表面側から嵌め込むための段付き凹部4が内周縁全周に亘って形成されている。この段付き凹部4は、図1(b)に示すように、板ガラスの周縁部が接触する底面4aと、板ガラスの外周(4辺)を取り囲む外側面4bとから構成されている。尚、この実施形態では、耐熱性治具1が、結晶化ガラスで形成されている。
図2(a)は、板ガラス5をそれぞれ保持してなる複数の耐熱性治具1を水平姿勢で積層してなる熱処理装置を示す縦断正面図、図2(b)は、その熱処理装置の平面図である。
図2(a)に示すように、板ガラス5が耐熱性治具1の段付き凹部4に嵌め込まれた状態においては、板ガラス5の周縁部のみが段付き凹部4の底面4aに接触して載置されている。この場合、板ガラス5は、表面(有効面)が自由面となり、裏面の周縁部のみが耐熱性治具1における段付き凹部4の底面4aに接触している。そして、段付き凹部4の深さ寸法は、板ガラス5の厚み寸法よりも長くなるように設定されている。また、板ガラス5の外周端と段付き凹部4の外側面4bとの間には、隙間Sが設けられており、この隙間Sの横方向(同図における左右方向)のトータル寸法及び縦方向(同図における紙面と直交する方向)のトータル寸法は、耐熱性治具1と板ガラス5との熱膨張差に相当し、或いは熱膨張差に相当する分よりも長く(僅かに長く)なるように構成されている。
この熱処理装置は、図2(a),(b)に示すように、板ガラス5をそれぞれ保持した複数の耐熱性治具1が水平姿勢で上下方向に積層されてなると共に、各耐熱性治具1の相互間、即ち上下に隣り合う耐熱性治具1の相互間には、周方向に間隔を隔てて複数の平板状をなすスペーサ6のみが介設されている。この実施形態では、耐熱性治具1における横方向に延びる一対の横枠部3aのそれぞれの一部領域に接触する一対のスペーサ6と、縦方向に延びる一対の縦枠部3bのそれぞれの一部領域に接触する一対のスペーサ6とが、各耐熱性治具1の相互間に介設されている。そして、このように板ガラス5をそれぞれ保持した複数の耐熱性治具1が水平姿勢で積層されてなる集合物は、床面等に沿って移動可能な基台7上に載置されている。
このような構成の熱処理装置によれば、板ガラス5の周縁部のみ(詳しくは板ガラス5の裏面の周縁部のみ)が耐熱性治具1の段付き凹部4に接触することから、板ガラス5の中央部所定範囲の有効領域に接触傷が付くという不具合が回避され、板ガラス5の品位が向上する。更に、基台7上に、スペーサ6、耐熱性治具1、及び板ガラス5を順に積み重ねていくだけで、加熱炉に投入可能な熱処理装置を製作することができると共に、それらを上から順に取り外していくだけで、板ガラス5を容易に取り出すことができ、その製作作業や取り外し作業の簡素化及び容易化が図られる。しかも、加熱炉中においては、高温の熱気がスペーサ6の周方向隙間を通じて各板ガラス5の相互間隙間に流入することから、全ての板ガラス5が均一な温度条件で熱処理(例えばアニール処理)を受け得ることになる。
図3(a)は、板ガラス5をそれぞれ保持してなる複数の耐熱性治具1を垂直姿勢で積層してなる熱処理装置を示す縦断側面図、図3(b)は、その熱処理装置の正面図である。
この熱処理装置は、図3(a),(b)に示すように、垂直姿勢にある各耐熱性治具1の段付き凹部4に、板ガラス5の裏面における周縁部のみが接触して立て掛けられると共に、前後に隣り合う耐熱性治具1の相互間に、周方向に間隔を隔てて複数のスペーサ6が介設されてなるものである。厳密には、各耐熱性治具1の前面(表面)がそれぞれ、それらの開口部2と略同等の開口部8aを有する額縁状の押え板状体8で覆われ、この各押え板状体8の前面と、各耐熱治具1の後面(裏面)との間にそれぞれ、L字形のスペーサ6が配設されている。尚、耐熱性治具1の構成及び板ガラス5の大きさや厚みは、既述の場合と同様である。この場合、複数のスペーサ6は、耐熱性治具1における4つのコーナー部周辺にそれぞれ接触している。そして、このように板ガラス5をそれぞれ保持した複数の耐熱性治具1が垂直姿勢で積層されてなる集合物は、床面等に沿って移動可能な基台9X上にセットされている。
このような構成の熱処理装置によっても、板ガラス5の周縁部のみが耐熱性治具1の段付き凹部4或いは押え板状体8の内周縁に接触することから、板ガラス5の中央部所定範囲の有効領域に接触傷が付くという不具合が回避され、板ガラス5の品位が向上すると共に、スペーサ6の周方向隙間の存在により、全ての板ガラス5が均一な温度条件で熱処理を受け得ることになる。しかも、板ガラス5が垂直姿勢で保持されることから、板ガラス5に撓み等の変形が生じ難くなる。
図4は、板ガラス5をそれぞれ保持してなる複数の耐熱性治具1を傾斜姿勢で積層してなる熱処理装置を示す縦断側面図である。
この熱処理装置は、図4に示すように、傾斜姿勢にある各耐熱性治具1の段付き凹部4に、板ガラス5の裏面における周縁部のみが接触して立て掛けられると共に、傾斜状態で前後に隣り合う耐熱性治具1の相互間に、周方向に間隔を隔てて複数のL字形のスペーサ6のみが介設されてなるものである。尚、この場合も、耐熱性治具1の構成及び板ガラス5の大きさや厚みは、既述の場合と同様である。そして、このように板ガラス5をそれぞれ保持した複数の耐熱性治具1が傾斜姿勢で積層されてなる集合物は、床面等に沿って移動可能な基台9Y上にセットされている。尚、この熱処理装置の正面図(板ガラス5の面と直交する方向から視た図)は、図3(b)と比較して、押え板状体8が存在していない点を除外すれば、実質的に同一であるので、その図示を省略する。
このような構成の熱処理装置によっても、板ガラス5の中央部所定範囲の有効領域に接触傷が付くという不具合が回避され、板ガラス5の品位が向上すると共に、スペーサ6の周方向隙間の存在により、全ての板ガラス5が均一な温度条件で熱処理を受け得ることになる。しかも、板ガラス5が傾斜姿勢で保持されることから、基台9Y上に、耐熱性治具1、板ガラス5、及びスペーサ6を順に置いていくだけで、熱処理装置を容易に作製できると共に、それらを前から順に取り外していくだけで、板ガラス5を容易に取り出すことができ、その製作作業や取り外し作業がより一層容易化されると同時に、板ガラス5に撓み等の変形も生じ難くなる。したがって、既述の水平姿勢の場合と垂直姿勢の場合とのそれぞれの利点を兼ね備えることが可能となるばかりでなく、特に板ガラス5の取り出し作業が容易になる。
尚、以上の実施形態における熱処理装置で用いた耐熱性治具1に代えて、図5に示すような耐熱性治具10を使用してもよい。即ち、この耐熱性治具1の内周縁部には、周方向に180°隔てた2箇所に、外方側に窪む切欠き部11が形成されている。この切欠き部11は、耐熱性治具10の段付き凹部14に板ガラスを嵌め込んだ際に、板ガラスの外周端を越えてその外方まで窪むように形成されている。このような構成とすれば、耐熱性治具10の段付き凹部14に板ガラスが嵌め込まれた状態にある時に、板ガラスの外周端を越えて窪む切欠き部11を利用して、その板ガラスを容易に耐熱性治具10から取り出すことができるという利点を享受できる。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る板ガラスの熱処理装置の構成要素である耐熱性治具(熱処理用治具)を示す単体の斜視図、図1(b)は、図1(a)のb−b断面図である。 図2(a)は、前記熱処理装置を示す縦断正面図、図2(b)は、その平面図である。 図3(a)は、前記熱処理装置の第1の変形例を示す縦断側面図、図3(b)は、その正面図である。 前記熱処理装置の第2の変形例を示す縦断側面図である。 前記耐熱性治具の変形例を示す単体の斜視図である。
符号の説明
1 耐熱性治具
2 開口部
3 全枠部(枠状の保持部)
4 段付き凹部
5 板ガラス
6 スペーサ
10 耐熱性治具(熱処理用治具)
11 切欠き部
14 段付き凹部
20 耐熱性治具(熱処理用治具)
23 枠状の保持部

Claims (10)

  1. 板ガラスを耐熱性治具に保持させた状態で、高温雰囲気に晒すことにより、板ガラスに対して熱処理を施す板ガラスの熱処理方法であって、
    前記耐熱性治具が、枠状の保持部を有する単一の平面板状をなし、前記枠状の保持部の表面側から板ガラスの周縁部のみが該枠状の保持部の表面側部位に接触及び離反可能となるようにして、前記耐熱性治具により板ガラスを保持させることを特徴とする板ガラスの熱処理方法。
  2. 前記耐熱性治具は、中央部に開口部を有する額縁状の平面板状枠体であり、前記開口部を包囲する全枠部が、前記枠状の保持部であることを特徴とする請求項1に記載の板ガラスの熱処理方法。
  3. 単一の耐熱性治具により単一の板ガラスを保持させることを特徴とする請求項1または2に記載の板ガラスの熱処理方法。
  4. 前記枠状の保持部における表面側の内周縁部に沿って形成された段付き凹部に、板ガラスを嵌め込んだ状態で保持させることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の板ガラスの熱処理方法。
  5. 前記段付き凹部の深さ寸法は、板ガラスの厚み寸法よりも長いことを特徴とする請求項4に記載の板ガラスの熱処理方法。
  6. 前記枠状の保持部の内周縁部に、該枠状の保持部に保持されている板ガラスの外周端を越えて外方側に窪む切欠き部が少なくとも周方向の1箇所に形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の板ガラスの熱処理方法。
  7. 前記板ガラスを保持してなる耐熱性治具が、複数並列に配置されることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の板ガラスの熱処理方法。
  8. 隣り合う耐熱性治具の相互間に、複数のスペーサが周方向に間隔を隔てて介設されることを特徴とする請求項7に記載の板ガラスの熱処理方法。
  9. 板ガラスを耐熱性治具に保持させた状態で、高温雰囲気に晒すことにより、板ガラスに対して熱処理を施すように構成した板ガラスの熱処理装置であって、
    前記耐熱性治具は、枠状の保持部を有する単一の平面板状をなし、前記枠状の保持部の表面側から板ガラスの周縁部のみが該枠状の保持部の表面側部位に接触及び離反可能となるように構成されていることを特徴とする板ガラスの熱処理装置。
  10. 板ガラスに対して高温雰囲気中で熱処理を施す際に、板ガラスを保持する熱処理用治具であって、
    枠状の保持部を有する単一の平面板状をなし、前記枠状の保持部の表面側から板ガラスの周縁部のみが該枠状の保持部の表面側部位に接触及び離反可能とされていることを特徴とする熱処理用治具。
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