JP2007083266A - アルミニウム製品の製造方法 - Google Patents

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剛 南田
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Abstract

【課題】厚肉のアルミニウム製品にも薄肉のアルミニウム製品にも適用することが可能で、かつ、形状が複雑なアルミニウム製品や肉厚が不揃いのアルミニウム製品を簡単に製造することが可能なアルミニウム製品の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】製造すべきアルミニウム製品Aの一部を欠損させた形状に成形されたアルミニウム製又はアルミニウム合金製の基材1を用意するとともに、この基材1よりも融点の低いアルミニウム合金製の成形素材2を欠損部分Kに配置し、その後、成形素材2だけを溶融して溶湯3を形成し、欠損部分Kにおいて溶湯3を凝固させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルミニウム製品の製造方法に関する。
アルミニウム製品又はアルミニウム合金製品(以下、単に「アルミニウム製品」という。)の製造方法の一つとして、所定の形状に成形された砂型や金型に溶湯を注入する「鋳造」が知られている。
ところで、形状が複雑なアルミニウム製品(鋳物)や薄肉部分を有するアルミニウム製品を製造する場合には、重力を利用する鋳造方法よりも、加圧力を利用する鋳造方法(ダイカスト)が採用されることが多い(例えば、特許文献1参照)。
なお、特許文献1には、形状が複雑なアルミニウム製品や薄肉部分を有するアルミニウム製品を容易に製造することができるダイカスト用金型として、工具鋼からなる母材のキャビティ側の面に熱伝導率の小さい析出硬化系ステンレス鋼を積層したものが開示されている。
特開2000−317608号公報
ところが、特許文献1の金型は、その製造コストが高いという問題がある。また、ダイカスト法について共通する問題ではあるが、溶湯を圧入するための溶湯圧入装置が高価であるという問題もある。さらに、ダイカスト法では、金型に高圧が作用するとともに、高速で圧入される溶湯によって金型に大きな衝撃力が作用することから、重力を利用する鋳造方法の場合よりも、金型の寿命が短くなる虞がある。
また、ダイカスト法は、厚肉部分を有するアルミニウム製品や肉厚が不揃いなアルミニウム製品には不向きであるし、アルミニウム製品の形状が著しく複雑である場合には、湯回り不良が発生する虞もある。
そこで、本発明は、前記した従来の鋳造方法の短所を解消することが可能なアルミニウム製品の製造方法を提供することを課題とする。すなわち、本発明は、厚肉のアルミニウム製品にも薄肉のアルミニウム製品にも適用することが可能で、かつ、形状が複雑なアルミニウム製品や肉厚が不揃いのアルミニウム製品を簡単に製造することが可能なアルミニウム製品の製造方法を提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明に係るアルミニウム製品の製造方法は、製造すべきアルミニウム製品の一部を欠損させた形状に成形されたアルミニウム製又はアルミニウム合金製の基材を用意するとともに、前記基材よりも溶融温度の低いアルミニウム合金製の成形素材を欠損部分に配置し、その後、前記成形素材だけを溶融して溶湯を形成し、前記欠損部分において前記溶湯を凝固させることを特徴とする。
要するに本発明に係るアルミニウム製品の製造方法は、基材の欠損部分にアルミニウム合金の溶湯を補充することで所望形状のアルミニウム製品を製造するものである。なお、欠損部分は、意図的(自発的)に形成されたものであってもよいし、アルミニウム製品を製造する際に偶発的に形成されたものであってもよい。
欠損部分に配置した成形素材を溶融して流動性のある溶湯を形成すると、欠損部分が複雑な形状を呈している場合であっても、欠損部分の全域に溶湯が流れ込み、基材に付着した状態で凝固することになる。つまり、本発明によれば、形状が複雑なアルミニウム製品や肉厚が不揃いのアルミニウム製品を簡単に製造することが可能となる。なお、成形素材だけを溶融するには、成形素材を、その溶融温度以上かつ前記基材の溶融温度未満で加熱すればよい。
本発明は、一度に鋳造すると湯回り不良が発生するような複雑形状のアルミニウム製品を製造する場合や、何らかの原因によって欠損部分が発生したアルミニウム製品を補修して欠損のないアルミニウム製品を製造する場合に好適であるが、簡素な形状のアルミニウム製品を製造する場合にも勿論適用することができる。なお、欠損部分が発生したアルミニウム製品を補修して欠損のないアルミニウム製品を製造する場合においては、「欠損部分が発生したアルミニウム製品」が「基材」に相当する。
複雑形状のアルミニウム製品を製造する場合には、湯回り不良が懸念される領域を欠損させた形状の基材を使用するとよい。ここで、「湯回り不良が懸念される領域」とは、アルミニウム製品を一度に鋳造した場合に湯回り不良が発生する可能性が高い部位であって、例えば、湯口から離れたところにある領域、アルミニウム製品の薄肉部を成形するための狭小な領域、アルミニウム製品の突出部を成形するための凹状の領域や溝状の領域などが該当する。
なお、前記基材は、鋳造品であってもよいし、押出形材であってもよい。基材が鋳造品である場合には、押出形材である場合に比べて、基材の形状や寸法を自由に設定することが可能となる。また、基材が押出形材である場合には、鋳造品である場合に比べて、アルミニウム製品のうち基材で形成される部分の寸法精度が向上する。
また、本発明においては、前記成形素材の周囲に型枠を配置し、その後に前記成形素材を溶融してもよい。つまり、欠損部分を取り囲むように型枠を配置して、溶融した成形素材(溶湯)の移動範囲を制限してもよい。このようにすると、欠損部分が複雑な形状を呈している場合や欠損部分が基材に対して突出している場合であっても、欠損部分に溶湯が留まることになるので、寸法精度の高いアルミニウム製品を製造することが可能となる。なお、ダイカスト法により鋳造する場合と異なり、型枠に高い圧力や衝撃力が作用することがないので、型枠を重厚にする必要はない。
また、本発明においては、前記成形素材を、フラックスとともに溶融してもよい。このようにすると、基材や成形素材の表面に形成されている酸化皮膜が除去されるとともに、新たな酸化皮膜の生成が防止されるので、基材と溶融した成形素材(溶湯)との接合状態が良好なものとなる。
なお、成形素材の形態は、欠損部分に配置可能なものであれば特に制限はなく、前記欠損部分と略同一の形状に成形した「塊」でもよいし、繊維状や切片状を呈する微小片の集合体であってもよいが、好適には、粉末又は顆粒の集合体であることが望ましい。粉末又は顆粒であれば、欠損部分が狭小な空間であっても、隙間なく充填することが可能となる。なお、「集合体」は、微小片、粉末、顆粒を単に集合させただけのものでもよいし、バインダー(結合剤)やフラックスとともに加圧成形したものであってもよい。
アルミニウム合金の粉末は、アルミニウム合金の塊を機械的方法で粉化するか、あるいは、溶融したアルミニウム合金(すなわち、アルミニウム合金の溶湯)から直接粉化することにより得ることができる。特に、溶融したアルミニウム合金を真空又は不活性ガス中で噴霧することで粉化すれば、粉末中の酸化物の量が少なくなるので、不純物の少ないアルミニウム製品を得ることができる。
アルミニウム合金からなる顆粒は、例えば、アルミニウム合金製のワイヤを細かく切断することで得ることができる。
なお、前記成形素材は、より好適には、Al−Si系合金、Al−Cu系合金又はAl−Cu−Si系合金からなることが望ましい。このような組成の合金であれば、その融点が低いため、製造効率が向上する。
なお、本発明においては、真空中又は不活性ガス雰囲気中で前記成形素材を溶融するとよい。真空中又は不活性ガス雰囲気中で成形素材を溶融すれば、溶融した成形素材の表面に酸化膜が形成されることを防ぐことができるので、溶融した成形素材の湯回り性を良好に保つことができる。
本発明に係るアルミニウム製品の製造方法によると、形状が複雑なアルミニウム製品や肉厚が不揃いのアルミニウム製品を簡単にしかも安価に製造することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法は、図1に示すように、製造すべきアルミニウム製品Aの一部を欠損させた形状に成形されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の基材1を用意するとともに(図1の(a)参照)、基材1よりも溶融温度の低いアルミニウム合金製の成形素材2を欠損部分Kに配置し(図1の(b)参照)、その後、成形素材2だけを溶融して溶湯3を形成し(図1の(c)参照)、欠損部分Kにおいて溶湯3を凝固させることでアルミニウム製品Aを製造するものである(図1の(d)参照)。
基材1は、Al−Cu−Si系合金、Al−Si系合金、Al−Cu系合金、その他従来より鋳造用合金(重量鋳造用アルミニウム合金やダイカスト用アルミニウム合金)として使用されてきたアルミニウム合金又はアルミニウムからなる鋳造品である。なお、基材1の表面であって成形素材2(溶湯3)と接触する面に粗面加工を施しておくと、凝固した溶湯3をしっかりと基材1に付着させることが可能となる。
成形素材2は、本実施形態においては、Al−Cu−Si系合金からなる粉末(以下、「アルミニウム合金粉末」という。)の集合体である。このアルミニウム合金粉末は、溶融したAl−Cu−Si系合金を真空又は不活性ガス中で噴霧することで形成されたものである。このような製法で得たアルミニウム合金粉末であれば、粉末中の酸化物の量が少なくなるので、不純物の少ないアルミニウム製品Aを製造することが可能となる。ちなみに、前記した製法で得たアルミニウム合金粉末は、球状を呈し、その粒度は5〜500μm程度である。なお、Al−Cu−Si系合金の塊を機械的方法で粉化してもよい。機械的に粉化したアルミニウム合金粉末は、鱗片状(フレーク状)を呈し、その粒度は2〜200μm程度である。
成形素材2を構成するAl−Cu−Si系合金の組成は、基材1を構成するアルミニウムの溶融温度又はアルミニウム合金の液相線温度(より好適には固相線温度)よりも低い溶融温度(液相線温度)になるものであれば、特に制限はないが、好適には、溶融温度(融点)が525℃である三元共晶組成(Cu:26.7質量%、Si:5.3質量%)に近似するものであることが望ましい。具体的には、Cu(銅)を22〜37質量%、Si(珪素)を3〜12質量%含み、残部がAl(アルミニウム)及び不可避的不純物であるAl−Cu−Si系合金であることが望ましい。SiおよびCuの比率が前記した数値範囲にあれば、530〜560℃という低い温度範囲で成形素材2を溶融させることが可能となるので、基材1として使用可能なアルミニウム合金の種類が増える。
なお、SiおよびCuの比率が前記した数値範囲(Cu:22〜37質量%、Si:3〜12質量%)にあるAl−Cu−Si系合金で成形素材2を構成した場合に、基材1に用いることができる金属の種類としては、例えば、アルミニウム(溶融温度660℃)、JIS H 5202「アルミニウム合金鋳物」に規定されたAC3A(Al−Si系合金;液相線温度585℃、固相線温度575℃)、AC4A(Al−Si−Mg系合金;液相線温度595℃、固相線温度560℃)、AC4D(Al−Si−Cu−Mg系合金;液相線温度625℃、固相線温度580℃)、AC7A(Al−Mg系合金;液相線温度635℃、固相線温度570℃)、JIS H 5302「アルミニウム合金ダイカスト」に規定されたADC1(Al−Si系合金;液相線温度585℃、固相線温度574℃)、ADC3(Al−Si−Mg系合金;液相線温度590℃、固相線温度560℃)、ADC6(Al−Mg系合金;液相線温度640℃、固相線温度590℃)などが好適である。
なお、成形素材2を構成する金属の種類に特に制限はない。すなわち、成形素材2は、Al−Cu−Si系合金でなくともよく、基材1を構成するアルミニウム又はアルミニウム合金よりも低融点のアルミニウム合金であれば、例えば、Al−Si系合金やAl−Cu系合金など従来より鋳造用合金(重量鋳造用アルミニウム合金やダイカスト用アルミニウム合金)として使用されてきたアルミニウム合金であってもよい。
成形素材2をAl−Si系合金とする場合には、溶融温度(融点)が577℃である共晶組成(Al:88.3質量%、Si:11.7質量%)に近似するものであることが望ましく、成形素材2をAl−Cu系合金とする場合には、溶融温度(融点)が548℃である共晶組成(Al:67.0質量%、Cu:33.0質量%)に近似するものであることが望ましい。なお、成形素材2をAl−Si系合金の共晶組成もしくはAl−Cu系合金の共晶組成に近似する場合に、基材1に用いることができる金属の種類としては、例えば、アルミニウム(溶融温度660℃)、JIS H 5202「アルミニウム合金鋳物」に規定されたAC4D(Al−Si−Cu−Mg系合金;液相線温度625℃、固相線温度580℃)、JIS H 5302「アルミニウム合金ダイカスト」に規定されたADC6(Al−Mg系合金;液相線温度640℃、固相線温度590℃)などが好適である。
そして、アルミニウム製品Aを製造するには、まず、図1の(a)に示すように、基材1を用意する。なお、基材1は、従来より用いられている鋳造方法(例えば、砂型鋳造法、金型鋳造法、精密鋳造法など)により製造されたものである。
次に、図1の(b)に示すように、欠損部分K(図1の(a)参照)に成形素材2を配置する。本実施形態においては、欠損部分Kに未結合のアルミニウム合金粉末を投入すればよい。
なお、欠損部分Kに所定量のアルミニウム合金粉末を投入した後に、アルミニウム合金粉末の集合体(すなわち、成形素材2)を棒等で突き固めるか、成形素材2に振動を与えるなどしてアルミニウム合金粉末の充填率を向上させるとよい。また、成形素材2を溶融すると、見かけ上の容積が減少するので、成形素材2の見かけ上の容積を、欠損部分Kの容積よりも多くしておくのが望ましい。
続いて、成形素材2だけを溶融して溶湯3(図1の(c)参照)を形成する。具体的には、成形素材2が配置された基材1を図示せぬ加熱炉に入れ、加熱炉の熱源を利用して成形素材2だけを溶融すればよい。なお、成形素材2だけを溶融するには、加熱炉の温度を、成形素材2の液相線温度以上かつ基材1の液相線温度(より好適には固相線温度)未満にすればよい。
その後、溶湯3を適宜な冷却速度で冷却して欠損部分Kにおいて凝固させて、基材1と付着させると、図1の(d)に示すアルミニウム製品Aを得ることができる。
なお、図1の(b)に示す成形素材2を溶融する前に、図示せぬ加熱炉の内部を真空又は不活性ガス雰囲気にするとよい。真空又は不活性ガス雰囲気中で成形素材2を加熱して溶湯3を形成すれば、溶湯3の表面に酸化膜が形成されることを防ぐことができるので、溶湯3の湯回り性を良好に保つことができる。
以上、第一の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法によれば、欠損部分Kに配置した成形素材2を溶融して流動性のある溶湯3を形成するので、欠損部分Kが複雑な形状を呈している場合であっても、欠損部分Kの全域に溶湯3が流れ込み、基材1に付着した状態で凝固することになる。つまり、第一の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法によれば、形状が複雑で肉厚も不揃いなアルミニウム製品Aを簡単に製造することが可能となる。
なお、本実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法は、一度に鋳造すると湯回り不良が発生するような複雑形状のアルミニウム製品を製造する場合や、何らかの原因によって欠損部分が発生したアルミニウム製品を補修して欠損のないアルミニウム製品を製造する場合に好適であるが、簡素な形状のアルミニウム製品を製造する場合にも勿論適用することができる。なお、欠損部分が発生したアルミニウム製品を補修して欠損のないアルミニウム製品を製造する場合においては、「欠損部分が発生したアルミニウム製品」が「基材」に相当する。
また、第一の実施形態においては、成形素材2がアルミニウム合金粉末の集合体であるので、その取り扱いが容易になるとともに、欠損部分Kが狭小であっても、隙間なく充填することができる。
(変形例1)
前記した第一の実施形態においては、アルミニウム合金粉末のみからなる成形素材2を欠損部分Kに配置したが、アルミニウム合金粉末とフラックスとの混合体からなる成形素材2を配置してもよい。フラックスは、アルミニウム合金粉末および基材1の表面に形成されている酸化皮膜を除去するとともに、新たな酸化皮膜が形成されるのを防止することができるものであれば、その組成や形態に特に制限はないが、アルミニウム合金粉末がAl−Cu−Si系合金である場合には、KF−AlF3系の錯体からなるフッ化カリウム系の非腐食性フラックスにCsF(フッ化セシウム)を含有させたものを使用することができる。フラックス中に占めるCsFの割合は、コスト的には少ないほど有利であるが、10モル%に満たないとフラックスの融点を下げる効果が不十分となるので、フラックス中のCsFの割合は、10モル%以上とすることが望ましい。なお、フラックスの形態は、粉末であることが望ましいが、これに限定されることはなく、ペースト状のものであっても差し支えない。
(変形例2)
前記した第一の各実施形態においては、未結合のアルミニウム合金粉末を欠損部分Kに投入したが、図2の(a)に示すように、アルミニウム合金粉末の集合体を所定の形状に固結させてなる固結体を成形素材2として欠損部分Kに配置してもよい。固結体は、例えば、所定量のアルミニウム合金粉末をバインダー(結合剤)やフラックスとともに加圧成形することで得ることができる。なお、図2の(a)に示す成形素材2は、欠損部分Kに丁度納まる形状に成形されている。成形素材2をアルミニウム粉末の固結体とすれば、湯回り不良が懸念される領域Rに迅速に成形素材2を配置することが可能となるので、好適である。
(変形例3)
前記した第一の実施形態においては、成形素材2がアルミニウム合金粉末の集合体である場合を例示したが、繊維状や切片状を呈するアルミニウム合金製の微小片の集合体や顆粒の集合体であってもよい。アルミニウム合金の顆粒は、例えば、直径が1〜2.5mm程度のアルミニウム合金製のワイヤを細かく切断することで得ることができる。なお、成形素材2がアルミニウム合金粉末等の集合体である必要はなく、図2の(b)に示すように、欠損部分Kと略同一の形状に成形した「塊」でもよい。
(変形例4)
前記した第一の実施形態においては、基材1を鋳造品としたが、これに限定されることはなく、押出形材であってもよいし、展伸材に折曲げ加工を施したものであってもよい。基材1が押出形材である場合には、鋳造品である場合に比べて、アルミニウム製品Aのうち基材1で形成される部分の寸法精度が向上する。なお、SiおよびCuの比率が前記した数値範囲(Cu:22〜37質量%、Si:3〜12質量%)にあるAl−Cu−Si系合金で成形素材2を構成した場合には、溶融温度(液相線温度)が600℃以上の押出形材や展伸材(例えば、JISで規定された合金番号1100(純アルミニウム)、3003(Al−Mn系合金)、6063(Al−Mg−Si系合金など)が好適である。
(第二の実施形態)
第二の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法は、図3に示すように、成形素材2の周囲に型枠5を配置し、その後に成形素材2を溶融する点が第一の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法と異なる。
なお、本実施形態に係る基材1は、製造すべきアルミニウム製品Aを一度に鋳造すると仮定した場合に湯回り不良が懸念される領域を欠損させた形状に成形されている。
型枠5は、図3の(a)に示すように、欠損部分Kに対応する領域(空間)Rを備えている。型枠5は、鋳鉄や耐熱合金鋼で形成されていて、その内部には図示せぬ電熱線が埋設されている。なお、図示は省略するが、型枠5の適所に、領域Rに通じるガス抜き孔を形成してもよい。このようにすると、領域Rに残留したガスや成形素材2を溶融する際に発生するガス等を型枠5の外部に排出することが可能となる。なお、欠損部分Kがアルミニウム製品Aを鋳造する際に偶発的に形成されたものである場合には、アルミニウム製品Aを鋳造する際に使用した金型を型枠5とすればよい。
そして、アルミニウム製品Aを製造するには、まず、図3の(a)に示す型枠5の領域Rに成形素材2を配置する。すなわち、成形素材2の周囲に型枠5を配置する。
続いて、予め成形した基材1を型枠5に嵌め込み、その後、成形素材2だけを溶融して溶湯3(図3の(c)参照)を形成する。成形素材2を溶融するには、例えば、型枠5に埋設した図示せぬ電熱線に通電して加熱し、型枠5の温度を、成形素材2の液相線温度以上かつ基材1の液相線温度(より好適には固相線温度)未満にすればよい。
その後、溶湯3を適宜な冷却速度で冷却して欠損部分Kにおいて凝固させて、基材1と付着させると、図3の(d)に示すアルミニウム製品Aを得ることができる。
以上、第二の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法によると、第一の実施形態の場合と同様に、欠損部分Kに配置した成形素材2を溶融して流動性のある溶湯3を形成するので、欠損部分Kが複雑な形状を呈している場合であっても、欠損部分Kの全域に溶湯3が流れ込み、基材1に付着した状態で凝固することになる。つまり、第二の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法によれば、形状が複雑で肉厚も不揃いなアルミニウム製品Aを簡単に製造することが可能となる。
また、第二の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法においては、欠損部分Kを取り囲むように型枠5を配置して、溶湯3の移動範囲を制限したので、欠損部分Kが複雑な形状を呈している場合や欠損部分Kが基材1に対して突出している場合であっても、欠損部分Kに溶湯3が留まることになるので、寸法精度の高いアルミニウム製品Aを製造することが可能となる。なお、ダイカスト法により鋳造する場合と異なり、型枠5に高い圧力や衝撃力が作用することがないので、型枠5を重厚にする必要はない。
(変形例)
前記した第二の実施形態においては、成形素材2を基材1の下側に位置させているが、図4の(a)および(b)に示すように、基材1の上側に位置させてもよい。このようにすると、成形素材2を溶融して形成した溶湯3が、基材1側に流動することになるので、凝固した溶湯3をしっかりと基材1に付着させることが可能となる。
本発明の第一の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法を説明するための模式的な断面図であって、(a)は基材を示す図、(b)は欠損部分に成形素材を配置した状態を示す図、(c)は成形素材を溶融した状態を示す図、(d)はアルミニウム製品を示す図である。 (a)および(b)は、成形素材の配置方法の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第二の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法を説明するための模式的な断面図であって、(a)は型枠を示す図、(b)は欠損部分に対応する領域に成形素材を配置した状態を示す図、(c)は成形素材を溶融した状態を示す図、(d)は型枠を脱型した状態を示す図である。 本発明の第二の実施形態に係るアルミニウム製品の製造方法の変形例を説明するための模式的な断面図であって、(a)は欠損部分に対応する領域に配置した成形素材を溶融した状態を示す図、(b)は型枠を脱型した状態を示す図である。
符号の説明
1 基材
2 成形素材
3 溶湯
5 型枠
A アルミニウム製品

Claims (9)

  1. 製造すべきアルミニウム製品の一部を欠損させた形状に成形されたアルミニウム製又はアルミニウム合金製の基材を用意するとともに、前記基材よりも溶融温度の低いアルミニウム合金製の成形素材を欠損部分に配置し、その後、前記成形素材だけを溶融して溶湯を形成し、前記欠損部分において前記溶湯を凝固させることを特徴とするアルミニウム製品の製造方法。
  2. 前記成形素材の周囲に型枠を配置したうえで、前記成形素材を溶融することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム製品の製造方法。
  3. 真空中又は不活性ガス雰囲気中で前記成形素材を溶融することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム製品の製造方法。
  4. 前記成形素材は、アルミニウム合金からなる粉末又は顆粒の集合体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアルミニウム製品の製造方法。
  5. 前記成形素材は、溶融したアルミニウム合金を、真空又は不活性ガス中で噴霧することによって得られた粉末の集合体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアルミニウム製品の製造方法。
  6. 前記成形素材は、Al−Si系合金、Al−Cu系合金又はAl−Cu−Si系合金からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のアルミニウム製品の製造方法。
  7. 前記成形素材を、フラックスとともに溶融することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のアルミニウム製品の製造方法。
  8. 前記基材が鋳造品であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のアルミニウム製品の製造方法。
  9. 前記基材が押出形材であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のアルミニウム製品の製造方法。
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