JPH11216572A - 再溶融処理方法およびその装置 - Google Patents

再溶融処理方法およびその装置

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JPH11216572A
JPH11216572A JP1837198A JP1837198A JPH11216572A JP H11216572 A JPH11216572 A JP H11216572A JP 1837198 A JP1837198 A JP 1837198A JP 1837198 A JP1837198 A JP 1837198A JP H11216572 A JPH11216572 A JP H11216572A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弁間部の如く角部を有する処理部分に対し再
溶融処理する場合に、リメルト深さを確保しつつ肩だれ
に起因する欠肉部の発生を防止して、大幅な切加工を必
要とすることなく再溶融処理を可能とする。 【解決手段】 シリンダヘッド1の弁間部13の幅方向
中心位置132に向けてタングステン電極2により所定
深さのリメルト深さを確保し得るプラズマアーク3を印
加する。印加と同時に、粉体供給孔5,5から角部13
3,133側の偏心位置に向けてシリンダヘッド母材と
同材質の粉体6を供給する。できた凝固部7の両側肩部
には肉盛り部71,71が形成されて両角部に欠肉部の
発生が回避される。一側のみに角部が有る場合は、角部
の有る側にのみ粉体を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造品等のワーク
を対象にして、局部的に厳しい熱的環境に晒される部分
をプラズマアークやTIGアーク等の高密度エネルギー
で一瞬にして溶融させた後、その溶融部分を急冷して凝
固させることにより、組織を微細にして熱疲労強度を増
大させるという目的のために用いられる再溶融(リメル
ト)処理方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の再溶融処理方法およ
びその装置として、アルミニウム製のエンジン用シリン
ダヘッドをワークとして、その吸排気孔間の弁間部の局
部的表面層に対する再溶融処理方法が知られている(例
えば、特開平8−158026号公報参照)。このもの
では、再溶融処理した弁間部の両側部位と吸排気孔との
角部から溶融金属が垂れてしまう肩だれや溶け落ちの発
生を防止するために、再溶融処理対象の弁間部を最終形
状のものよりも予め幅広く形成し、再溶融処理後に切削
して弁間部の幅を最終形状と同一にすることを行うよう
にしている。すなわち、図5に示すように、まず、上記
吸排気孔11,12として最終口径Rのものよりもかな
り小径の仮孔11′,12′を有するシリンダヘッド
1′を鋳造して上記の互いに隣接する2つの仮孔1
2′,12′、11′,12′の各間の部分13′,1
4′を再溶融処理し、再溶融処理後に、各仮孔11′,
12′の内周面を切削により拡径加工して最終口径Rの
吸排気孔11,12,12を形成するという方法が採ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、再溶融処理
した部分の深さ(リメルト深さ)が深い程、ワークの有
する割れもしくはクラックの発生に対する感受性を低く
することができる。すなわち、熱疲労強度上、割れの生
じにくいワークにすることができる。
【0004】ところが、上記従来の再溶融処理方法およ
びその装置においては、上記リメルト深さの確保は図り
得るものの、吸引排気孔11,12を形成するために再
溶融処理後に仮孔11′,12′の内周面側からかなり
の肉厚部分(図5にdで示す部分)を仮孔11′,1
2′の内周面全体にわたり切削加工する必要があり、こ
のため、その切削加工に大幅に手間とコストを要するこ
とになる。
【0005】一方、上記の切削加工を省略するために、
当初から最終口径の吸排気孔を形成しておき、その弁間
部に対し再溶融処理する場合には、上記の肩だれを防止
するために、リメルト電流及び再溶融処理速度を制御す
ることにより入熱量を上記肩だれが生じない程度に下げ
てやる必要がある。しかし、入熱量の低下に伴いリメル
ト深さが図6にhで示すように浅くなり(低減化し)、
所定の熱疲労強度を確保し得ないものになってしまう。
【0006】逆に、上記リメルト深さを図6に一点鎖線
で示す位置まで深くしようとすると、ワークに対する再
溶融処理時の入熱量を増大させて広く溶融させる必要が
生じることになる。しかし、入熱量を増大させて深くし
ようとすると溶融池がトーチの進行方向に対し幅方向に
も広がり、肩だれ量が増加する。特に、上記の弁間部の
如き幅がかなり狭い部分に対する再溶融処理の場合に
は、図7に示すように重力の影響及び表面張力の影響を
受けて溶融池の両肩部81,81に肩だれ、ひいては溶
け落ちが生じその部分の肉が欠けて欠肉部82,82が
生じることになる。そして、欠肉部82,82が生じる
と不良品となり、上記の切削加工の手間以上に不都合を
生じることになる。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、上記の弁間部
の如く角部を有する処理部分に対し再溶融処理する場合
に、リメルト深さを確保しつつ肩だれに起因する欠肉部
の発生を防止して、大幅な切加工を必要とすることなく
再溶融処理を可能とすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、再溶融処理方法に係る第1の発明は、角部を有する
処理対象物に対し、高密度エネルギーを印加して上記角
部を含む処理部分を再溶融した後に冷却させる再溶融処
理を行う再溶融処理方法を対象とし、上記処理部分に肉
盛りするための粉体を供給する粉体供給手段を用い、こ
の粉体供給手段から粉体を上記処理部分の幅方向中心位
置から角部側にずらせた偏心位置に向けて供給しつつ、
高密度エネルギーを上記幅方向中心位置に向けて印加し
て上記処理部分の再溶融処理を行うようにすることを基
本構成とするものである。ここで、上記「高密度エネル
ギーの印加」は、例えばプラズマアーク、TIGアー
ク、レーザービーム、もしくは、電子ビームを印加する
ことにより行えばよい。また、「角部を有する処理対象
物」としては、上記のシリンダヘッドの弁間部のほか
に、例えばエンジンの点火プラグ孔周りや、キャビティ
内に角部を有する各種成形型等が挙げられる。さらに、
粉体供給手段により供給する「粉体」は、処理対象物に
応じて、または、再溶融処理の目的に応じて定めればよ
く、例えば上記弁間部の場合にはシリンダヘッドと同等
材質のものを、また、再溶融処理の目的が耐摩耗性にあ
るならば耐摩耗性に優れた材質のものを用いればよい。
【0009】上記の構成の場合、高密度エネルギーの印
加が処理部分の幅方向中心位置に向けて行われる一方、
粉体供給手段からの粉体の供給が上記中心位置よりも角
部側の偏心位置に向けて行われることになる。上記高密
度エネルギーの印加による溶融熱は、印加方向である中
心位置に比べ角部側の方が低くなる上に、その角部側の
偏心位置に対し新たな粉体が順次供給されることになる
ため、上記高密度エネルギーの印加に伴い形成される溶
融池においては、角部側の凝固が促進されその幅方向中
心位置よりも角部側の方がより早く凝固し始めることに
なる。このため、上記角部側の部位の凝固速度が早くな
る程、溶融地の角部側から垂れ落ちる時間が短くなり、
その結果、肩だれの発生が抑制されることになる。その
上に、上記角部側の偏心位置には粉体が連続して供給さ
れているため、その供給位置に対し母材の溶融池による
凝固に加えて上記供給された粉体による肉盛りが形成さ
れることになる。このため、リメルト深さを確保し得る
高密度エネルギーの印加を行っても、角部側からの肩だ
れを抑制し得る上に、その角部側への肉盛りの形成によ
り肩だれに起因する欠肉部を補充して欠肉部の発生を確
実に防止し得る。
【0010】従って、例えば弁間部を処理部分とする場
合には弁口(吸排気孔)として当初から最終口径に形成
したシリンダヘッドに対し上記の再溶融処理を行うこと
ができ、これにより、予め小径の仮孔を形成して再溶融
処理後に切削加工するという手間を省略して省力化及び
製造コストの低減化が図られる。また、上記の弁間部を
処理部分とする場合には、角部が弁間部の幅方向両側に
存在するため、高密度エネルギーを印加するトーチの両
側位置に粉体供給手段をそれぞれ配設し、これらの粉体
供給手段から上記弁間部の両角部に向けて粉体を供給す
ることにより、両側の角部側について上記の作用が得ら
れることになる。
【0011】上記の第1の発明を実施するための再溶融
処理装置に係る第2発明は、角部を有する処理対象物に
対し、高密度エネルギーを印加して上記角部を含む処理
部分を再溶融処理する再溶融処理装置を対象とし、高密
度エネルギーを上記処理部分の幅方向中心位置に向けて
印加するトーチと、上記処理部分の肉盛りのための粉体
を上記処理部分の幅方向中心位置から角部側にずらせた
偏心位置に向けて供給する粉体供給手段とを備える構成
とするものである。
【0012】上記の構成の場合、第1の発明による再溶
融処理方法を確実に実施することが可能になる。さら
に、粉体供給手段をトーチの進行方向に直交する幅方向
両側位置の処理部分に対し供給するように配設すること
により、例えば上記の弁間部の如く幅方向両側にそれぞ
れ角部を有するような処理部分に対しても上記の再溶融
処理方法を確実に実施することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0014】<第1実施形態>図1は、本発明の第1実
施形態に係る再溶融処理方法を実施するための再溶融処
理装置を示し、1は処理対象物としてのシリンダヘッ
ド、2はプラズマアーク3を印加するためのトーチとし
てのタングステン電極、4はこのタングステン電極2の
周囲に外挿されたノズル、5,5は肉盛り用粉体6を供
給する粉体供給手段の一部を構成する一対の粉体供給孔
である。
【0015】上記シリンダヘッド1の上面には、図2に
も示すように弁口としての2つの吸気ポート11,11
と、同じく弁口としての2つの排気ポート12,12と
が開口されており、互いに隣接する2つのポート間の隔
壁部が弁間部13,14,14,15とされている。上
記各吸気ポート11及び各排気ポート12は共に最終口
径(例えば排気ポートについては半径R)を有するよう
に再溶融処理前に予め形成されている。そして、特に、
両排気ポート12,12間の弁間部13と、吸気ポート
12及び吸気ポート11間の一側の弁間部14とを含
み、一側の排気ポート12をコの字状に囲むような軌跡
Pに沿った部分が再溶融処理対象の処理部分16とされ
ている。
【0016】上記タングステン電極2は、上記各弁間部
13,14の頂面131に対し正対し、かつ、その中心
軸Xが上記頂面131の幅方向Yの中心位置132に対
し延長線上に位置付けられて、上記中心位置132に向
けてプラズマアーク3を印加するように配設される。な
お、図1には各弁間部13,14の内の一方の弁間部1
3側についてのみ示すが、他方の弁間部14についても
図1と同様である。以下の説明においても同様である。
【0017】上記一対の粉体供給孔5,5は、上記各弁
間部13,14に対し幅方向D両側位置に位置付けられ
るようになっており(図3参照)、上記ノズル4の周壁
部を貫通して形成されている。そして、上記一対の粉体
供給孔5,5の各先端側部分51から開口52までが上
記各弁間部13,14の幅方向Y両側の角部133,1
33側の偏心位置に向けて延びるように斜めに傾斜され
(図1の軸線S参照)、これにより、上記両粉体供給孔
5,5の各開口52から各弁間部13,14の両角部1
33,133のそれぞれに向けて粉体6が供給されるよ
うになっている。この場合の粉体6は、上記シリンダヘ
ッド1の母材と同じ材質もしくは同等材質のものが用い
られる。例えば、上記シリンダヘッド1がアルミニウム
製であればその母材と同じ材質(例えばAC4D材:J
ISH5202)の粉末が用いられ、鋳鉄製であればそ
の母材と同じ材質の粉末が用いられる。
【0018】上記各粉体供給孔5の上流側は図示省略の
粉体供給ガス源及び粉体供給源と接続され、粉体供給ガ
ス源からの不活性ガス(例えばAr)の流量と、上記粉
体供給源のホッパローラの速度とにより供給量制御が行
われるようになっている。これらを含めて粉体供給手段
が構成される。
【0019】次に、上記構成の再溶融処理装置を用いて
上記処理部分16に対する再溶融処理の手順について図
2に基づいて説明する。
【0020】まず、処理部分16の始点位置161から
上記タングステン電極2によるプラズマアーク3の印加
を開始し、そのタングステン電極2をノズル4と共に軌
跡Pに沿って連続移動させていく。この時には両粉体供
給孔5,5からの粉体6の供給は行わない。そして、弁
間部13に近付いたら所定位置から上記両粉体供給孔
5,5から粉体6の供給を開始しその粉体6を供給しな
がら上記タングステン電極2及びノズル4を移動させて
いき、上記弁間部13を通過した後の所定位置で上記粉
体6の供給を停止する。さらに上記軌跡Pに沿って移動
していって、弁間部14に近付いたら所定位置から再び
上記粉体6の供給を開始し、上記と同様に弁間部14を
通過した後の所定位置で粉体6の供給を停止する。そし
て、粉体6の供給を停止した状態でタングステン電極2
からのプラズマアーク3の印加を続けながら移動し、終
点位置162に到達すれば上記タングステン電極2によ
るプラズマアーク3の印加と移動とを共に停止して再溶
融処理を終了する。上記の両弁間部13,14近傍での
粉体6の供給範囲は、図2に一点鎖線のハッチングによ
り図示した範囲である。
【0021】上記の各弁間部13,14の各範囲におい
て、粉体6を供給しながらプラズマアーク3の印加を行
うことにより、図1に示すように、弁間部13の頂部が
溶融され、その後、シリンダヘッド1の有する自己冷却
機能によりその溶融部が急冷されて凝固部7が形成され
ることになる。この凝固部7は、粉体6の供給なしに上
記プラズマアーク3の印加のみの場合の形状(同図に8
で示す一点鎖線参照)と比べ、粉体6の供給を受けた幅
方向Yの両側肩部に肉盛り部71,71が形成されるこ
とになる。そして、この両肉盛り部71,71の形成に
より、凝固部7の両側肩部は各弁間部13,14の本来
の両角部133,133よりも上方及び外側方に膨出し
た形状になる。
【0022】そして、このような凝固部7の形成の後、
各弁間部13,14の頂面131及び両側面134から
はみ出した部分の凝固部7が切削されて最終の弁間部1
3,14とされる。
【0023】このような再溶融処理方法によれば、幅が
かなり狭い各弁間部13,14の頂部に対し欠肉部を生
じることなく所定のリメルト深さを確保することができ
る。加えて、再溶融処理前のワークであるシリンダヘッ
ド1として最終口径を有する各ポート11,12が形成
されたものを用い、再溶融処理後は凝固部7のみを所定
形状に整える切削加工だけで済むことになる。従って、
再溶融処理前に最終口径よりもかなり小径のポートにし
ておき再溶融処理後に最終口径まで拡径する場合と比べ
本再溶融処理方法では切削加工における削り代が極端に
少なくすることができる。さらに、上記削り代に影響を
与える肉盛り部71,71は粉体6の供給量を調整する
ことにより低減調整することが可能であるため、不要な
余盛りをなくして上記削り代を可及的に低減させること
ができる。
【0024】なお、図1にTで示す軸線は粉体供給孔を
タングステン電極2の中心軸Xの延長線と各弁間部1
3,14の幅方向中心位置132との交点に向けて配設
し、その交点に向けて粉体を供給する場合を示すもので
あるが、この場合には粉体による余盛りが凝固部7の幅
方向Y中心位置に形成されてこの中心位置の肉が盛り上
がるだけで、両側肩部での肩だれは抑制できない上に、
その両側肩部に欠肉部が生じてしまうことになる。
【0025】<第2実施形態>図4は本発明の第2実施
形態に係る再溶融処理方法及び再溶融処理装置を示し、
この第2実施形態は一側にのみ角部91を有する処理部
分9を対象として再溶融処理を行う場合についてのもの
である。このような処理部分9は、例えば孔縁部の角
部、もしくは、成形型のキャビティ内面に設けられる凹
段部等において現れる。
【0026】この第2実施形態で用いる再溶融処理装置
としては、タングステン電極2の周囲を囲むノズル4′
に対し粉体供給孔5′を1つのみ設ける。この粉体供給
孔5′は、タングステン電極2の中心軸Xの延長線と上
記処理部分9の上面との交点位置よりも角部91側の偏
心位置に向けて延びるように配設され、これにより、上
記粉体供給孔5′からの粉体6から上記角部91側の偏
心位置に向けて供給されるようになっている。
【0027】そして、上記粉体供給孔5′から粉体6を
所定量ずつ連続して供給しつつ、タングステン電極2に
よりプラズマアーク3を印加して上記角部91に平行に
移動させることにより、上記角部91に対応する肩部位
置に肉盛り部101を有する凝固部10が形成されるこ
とになる。そして、上記凝固部10の内の本来の形状線
からはみ出した部分を切削することにより仕上げられ
る。
【0028】この第2実施形態の場合にも、肩だれに伴
う欠肉部を生じることなく所定のリメルト深さを確保す
ることができる。
【0029】なお、図4に8で示す一点鎖線の形状線は
上記粉体6を供給を行うことなくむプラズマアーク3の
印加のみを行った場合の凝固部の形状わ示すものであ
る。この場合には、角部91に対応する部分に肩だれが
生じ欠肉部が発生することになる。特に、第2実施形態
の処理部分9の如く一側のみに角部91を有する場合に
は溶融熱の周囲への放散に一側と他側とで違いがあり、
角部91が過溶融し易くなり、欠肉部が生じ易くなる。
この欠肉部の生じ易い部位に粉体6が供給されて肉盛り
部101が形成されることにより上記の欠肉部の発生が
確実に防止されることになる。
【0030】また、図4中41はノズル4の先端開口部
の他側(同図の右側)部分をすり鉢状に拡径させた部分
テーパ開口部、42は上記ノズル4の先端開口部の他側
部分を上方に後退させたカット部であり、いずれも、タ
ングステン電極2から印加されるプラズマアーク3(同
図に一点鎖線で示すプラズマアーク3参照)を角部91
とは反対側である他側に広がらせるためのものである。
すなわち、上記テーパ開口部41の形成によって、ガス
流速が下げられて上記プラズマアーク3が図面の右側に
広がって非対称形状になり、また、上記カット部42の
形成によって、タングステン電極2の先端部位に対する
ノズル4のウォール効果が右側部分のみ弱くなり、その
結果、上記プラズマアーク3が右側に広がって非対称形
状になるものである。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜3記載
の第1の発明における再溶融処理方法によれば、粉体供
給手段からの粉体を処理部分の幅方向中心位置よりも角
部側の偏心位置に向けて供給するようにしているため、
その角部側の凝固を促進するとともに、その角部側に肉
盛り部を形成することができる。このため、リメルト深
さを確保し得る高密度エネルギーの印加を行っても、角
部側からの肩だれを抑制することができる上に、その角
部側への肉盛りの形成により肩だれに起因する欠肉部を
補充して欠肉部の発生を確実に防止することができる。
【0032】従って、例えば弁間部を処理部分とする場
合には弁口(吸排気孔)として当初から最終口径に形成
したシリンダヘッドに対し上記の再溶融処理を行うこと
ができ、これにより、予め小径の仮孔を形成して再溶融
処理後に切削加工するという手間を省略して省力化及び
製造コストの低減化を図ることができる。
【0033】請求項4、5記載の第2の発明における再
溶融処理装置によれば、第1の発明による再溶融処理方
法を確実に実施することができる上に、粉体供給手段を
トーチの進行方向に直交する幅方向両側位置の処理部分
に対し供給するように配設することにより、例えば上記
の弁間部の如く幅方向両側にそれぞれ角部を有するよう
な処理部分に対しても上記の再溶融処理方法を確実に実
施することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2のB−B線における第1実施形態の縦断面
説明図である。
【図2】シリンダヘッドの平面説明図である。
【図3】図1のA−A線における断面図である。
【図4】第2実施形態の縦断面説明図である。
【図5】従来の再溶融処理方法を説明するための図2対
応図である。
【図6】リメルト深さが浅い再溶融処理の状態を示す断
面図である。
【図7】リメルト深さが深い再溶融処理の状態を示す断
面図である。
【符号の説明】
2 タングステン電極(トーチ) 3,3′ プラズマアーク(高密度エネルギー) 4,4′ ノズル 5,5′ 粉体供給孔(粉体供給手段) 6 粉体 9 処理部分 11 吸気ポート(弁口) 12 排気ポート(弁口) 13,14 弁間部(処理部分) 16 処理部分 91 角部 132 幅方向中心位置 133 角部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 角部を有する処理対象物に対し、高密度
    エネルギーを印加して上記角部を含む処理部分を再溶融
    した後に冷却させる再溶融処理を行う再溶融処理方法で
    あって、 上記処理部分に肉盛りするための粉体を供給する粉体供
    給手段を用い、 この粉体供給手段から粉体を上記処理部分の幅方向中心
    位置から角部側にずらせた偏心位置に向けて供給しつ
    つ、高密度エネルギーを上記幅方向中心位置に向けて印
    加して上記処理部分の再溶融処理を行うようにすること
    を特徴とする再溶融処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 粉体供給手段から供給する粉体として、処理対象物の母
    材と同等材質のものを用いるようにすることを特徴とす
    る再溶融処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 処理部分として、エンジンのシリンダヘッドの互いに隣
    接する2つの弁口により挟まれた弁間部の頂部部分に適
    用することを特徴とする再溶融処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 粉体供給手段を、高密度エネルギーを印加するトーチの
    両側位置にそれぞれ配設し、 弁間部の両側の弁口により構成される両角部に向けて上
    記各粉体供給手段から粉体を供給するようにすることを
    特徴とする再溶融処理方法。
  5. 【請求項5】 角部を有する処理対象物に対し、高密度
    エネルギーを印加して上記角部を含む処理部分を再溶融
    処理する再溶融処理装置であって、 高密度エネルギーを上記処理部分の幅方向中心位置に向
    けて印加するトーチと、 上記処理部分の肉盛りのための粉体を上記処理部分の幅
    方向中心位置から角部側にずらせた偏心位置に向けて供
    給する粉体供給手段とを備えていることを特徴とする再
    溶融処理装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、 粉体供給手段は、上記トーチの進行方向に直交する幅方
    向両側位置の処理部分に対し粉体を供給するように配設
    されていることを特徴とする再溶融処理装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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