JP2007081067A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 漏れ電流を小さくするとともに静電容量を大きくすることが可能な電解コンデンサを提供する。
【解決手段】 この固体電解コンデンサでは、ニオブ粒子とモリブデン粒子との混合粉末を遊星型ボールミルでメカニカルアロイング処理することにより、ニオブとモリブデンとが偏在したニオブモリブデン複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いている。基体1b上には、酸化ニオブを含む酸化物層2が形成され、さらに、導電性高分子層3と第1導電層4aおよび第2導電層4bの積層構造を有する陰極4とが順次形成されている。また、導電性接着剤層6を介して陰極5と陰極端子7とが接続され、また、基体1bに一部が埋め込まれた陽極リード1aと陽極端子8とが溶接により接続されている。そして、陰極端子7および陽極端子8の端部が外部に引き出されるように、陰極4、陰極端子6および陽極端子7の周囲には、モールド外装樹脂9が形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に関し、特に、弁作用金属を含む陽極を用いた電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
従来、弁作用金属を含む合金からなる陽極を用いた電解コンデンサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図8は、従来の固体電解コンデンサの構造を説明するための断面図である。図8を参照して、従来の固体電解コンデンサの構造について説明する。
従来の固体電解コンデンサでは、図8に示すように、ニオブからなる陽極リード101a上に、陽極リード101aの一部を覆うように、ケイ素などを固溶した約100μmの平均粒径を有するニオブ合金粒子を真空中で焼結することにより作製した多孔質焼結体からなる約3mm×約1.8mm×約4.5mmの直方体状の基体101bが形成されている。
陽極101上には、基体101bの周囲を覆うように、酸化ニオブを含む酸化物層102が形成されている。ここで、酸化物層102は、誘電体層として機能する。
酸化物層102上には、酸化物層102の周囲を覆うように、ポリピロールなどからなる導電性高分子層103が形成されている。ここで、導電性高分子層103は、電解質層として機能する。
導電性高分子層103上には、導電性高分子層103の周囲を覆うように、陰極104が形成されている。陰極104は、導電性高分子層103の周囲を覆うように形成されたカーボン粒子を含む第1導電層104aと、第1導電層104aの周囲を覆うように形成された銀粒子を含む第2導電層104bとから構成されている。
陰極104の周囲のうち上面には、導電性接着剤層105が形成され、さらに、導電性接着剤層105を介して陰極104と陰極端子106とが接続されている。また、基体101bから露出した陽極リード101a上には、陽極端子107が溶接により接続されている。さらに、陰極端子106および陽極端子107の端部が外部に引き出されるように、陰極104、陰極端子106および陽極端子107の周囲には、モールド外装樹脂108が形成されている。これにより、従来の固体電解コンデンサが構成されている。
図9〜図13は、従来の固体電解コンデンサの形成プロセスを説明するための断面図である。図9〜図13を参照して、次に、上記のような構造を有する従来の固体電解コンデンサの形成プロセスについて説明する。
[陽極の作製]
まず、ケイ素などを固溶したニオブ合金のインゴットを粉砕することにより、約100μmの平均粒径を有するニオブ合金粒子を形成する。
次に、陽極リード101aの一部を埋め込んだ上記ニオブ合金粒子からなる成形体を約4×10−3Paの真空中で約1200℃の熱処理を行うことにより、図9に示すように、ニオブ合金粒子の多孔質焼結体からなる約3mm×約1.8mm×約4.5mmの直方体状の基体101bと陽極リード101aとを有する陽極101を形成する。
[誘電体層の形成]
次に、上記陽極101を約80℃に保持した約0.1wt%のリン酸水溶液中において約20Vの定電圧で約1000分間陽極酸化を行うことにより、図10に示すように、基体101bの周囲を覆うように、基体101b上に酸化ニオブを含む酸化物層102を形成する。
なお、酸化物層102を形成する前に、あらかじめ、エッチングにより表面を粗面化処理した基体101bに対して、上記陽極酸化を行うこともできる(例えば、特許文献2参照)。これにより、陽極101の比表面積が増大するので、静電容量が大きくなり、高容量化を図ることができる。
次に、表面に酸化物層102を形成した陽極101を大気下、常圧で、約285℃の温度に約30分間暴露させることにより酸化物層102を安定化させる。
[電解質層の形成]
次に、図11に示すように、ピロールの重合などにより、酸化物層102の周囲を覆うように、酸化物層102上に、ポリピロールなどからなる導電性高分子層103を形成する。
[陰極の形成]
次に、導電性高分子層103の周囲を覆うように、導電性高分子層103上に、カーボンペーストを塗布、乾燥することによりカーボン粒子を含む第1導電層104aを形成した後、第1導電層104aの周囲を覆うように、第1導電層104a上に銀ペーストを塗布、乾燥することにより銀粒子を含む第2導電層104bを形成する。これにより、図12に示すように、導電性高分子層103の周囲を覆うように導電性高分子層103上に第1導電層104aおよび第2導電層104bの積層構造を有する陰極104を形成する。
[電極端子の接続]
次に、陰極端子106上に塗布した導電性接着剤を介して陰極104の周囲のうち上面に陰極端子106とを接着し、この導電性接着剤を乾燥することにより、図13に示すように、陰極104と陰極端子106とを接続する導電性接着剤層105を形成する。また、陽極端子107を基体101bおよび酸化物層102から露出している陽極リード101a上に溶接する。
[モールド工程]
最後に、図8に示すように、陰極端子106および陽極端子107の端部が外部に引き出されるように、陰極104、陰極端子106および陽極端子107の周囲にモールド外装樹脂108を形成した。このようにして、図8に示すように、従来の固体電解コンデンサが形成される。
特開2002−373834号公報 特開平6−310380号公報
しかしながら、上記従来の固体電解コンデンサにおいても、モールド外装樹脂108の形成の際などに酸化物層102に作用する応力により、酸化物層102に亀裂が生じ易く、漏れ電流の増大を充分に抑制することが難しいという問題点があった。
また、上記従来の固体電解コンデンサでは、高容量化を図るために基体101bの表面をエッチングにより粗面化する場合、エッチング条件の制御が難しく、特に、基体101bがタンタル、ニオブおよびチタンなどの化学的に安定な材料の場合には、基体101bの表面に十分な凹凸を形成することが難しいので、比表面積を大きくすることが難しいという問題点があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、
この発明の1つの目的は、漏れ電流を小さくするとともに、容易に高容量化することが可能な電解コンデンサを提供することである。
この発明のもう1つの目的は、漏れ電流を小さくするとともに、容易に高容量化することが可能な電解コンデンサの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による電解コンデンサは、弁作用金属を含む陽極と、陽極を電解液中で陽極酸化することにより陽極上に形成された弁作用金属の酸化物を含む酸化物層と、酸化物層上に形成された陰極とを備え、陽極中には、電解液に可溶な酸化物を形成する添加金属が偏在しているとともに、酸化物層上には、陽極酸化することにより添加金属の酸化物が除去された凹部が形成されている。なお、本発明における「電解コンデンサ」とは、弁作用金属の表面に形成された酸化物層を誘電体として用いたコンデンサを意味する広い概念である。
この第1の局面による電解コンデンサでは、上記のように、陽極中に添加金属が偏在しているので、この陽極の機械的強度を向上させることができる。これにより、陽極に応力が作用した場合においても、陽極は変形しにくいので、陽極上に形成された酸化物層に亀裂などの欠陥が生じにくい。その結果、陽極と陰極との間の漏れ電流を小さくすることができる。
また、この酸化物層上には、添加金属の酸化物が除去された凹部が形成されているので、表面が粗面化されており、大きな比表面積を有している。これにより、静電容量を大きくすることができる。さらに、陽極中に偏在している添加金属より形成される酸化物は、陽極酸化に用いる電解液に対して可溶性を有するので、容易に、陽極酸化による弁作用金属の酸化物を含む酸化物層の形成と同時に、酸化物層の表面からこの添加金属の酸化物を除去することができる。従って、この第1の局面においては、容易に、漏れ電流が小さく、高容量化することが可能な電解コンデンサを得ることができる。
なお、陽極酸化に用いる電解液としては、硫酸、硝酸、塩酸などの酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを含む水溶液、および、フッ化アンモニウム水溶液、フッ化カリウムなどのフッ素イオンを含む水溶液が好ましい。
上記第1の局面による電解コンデンサにおいて、好ましくは、弁作用金属は、タンタル、ニオブおよびチタンからなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有し、添加金属は、モリブデン、スズおよびケイ素からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する。このように構成すれば、これらの弁作用金属を含む陽極の機械的強度を向上させることができるので、容易に、漏れ電流を小さくすることができる。
また、陽極上に形成された酸化物層に含まれるタンタル、ニオブおよびチタンの酸化物は、大きな比誘電率を有しているとともに、陽極中に偏在しているモリブデン、スズおよびケイ素より形成される酸化物は、それぞれ、陽極酸化に用いる電解液に対する可溶性が大きいので、陽極酸化の際に、容易に、陽極の粗面化処理を行うことができる。これらにより、さらに容易に、高容量化することが可能な電解コンデンサを得ることができる。
また、この発明の第2の局面による電解コンデンサは、タンタル、ニオブおよびチタンからなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する弁作用金属を含む陽極と、陽極上に形成された弁作用金属の酸化物を含む酸化物層と、酸化物層上に形成された陰極とを備え、陽極中には、モリブデン、スズおよびケイ素からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する添加金属が偏在しているとともに、酸化物層上には、添加金属の酸化物が除去された凹部が形成されている。
この第2の局面による電解コンデンサでは、上記のように、タンタル、ニオブおよびチタンからなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する弁作用金属を含む陽極中にモリブデン、スズおよびケイ素からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する添加金属が偏在しているので、この陽極の機械的強度を向上させることができる。これにより、陽極に応力が作用した場合においても、陽極は変形しにくいので、陽極上に形成された酸化物層に亀裂などの欠陥が生じにくい。その結果、陽極と陰極との間の漏れ電流を小さくすることができる。
また、陽極上に形成された酸化物層に含まれるタンタル、ニオブおよびチタンの酸化物は、大きな比誘電率を有しているとともに、この酸化物層上には、モリブデン、スズおよびケイ素の酸化物が除去された凹部が形成されているので、表面が粗面化されており、大きな比表面積を有している。これらにより、静電容量を大きくすることができる。さらに、陽極中に偏在しているモリブデン、スズおよびケイ素より形成される酸化物は、それぞれ、種々の溶液に対する可溶性が大きいので、この陽極の表面を酸化した後、溶液中へ浸漬することにより、容易に、酸化物層の表面からこの添加金属の酸化物を除去することができる。従って、この第2の局面においては、容易に、漏れ電流が小さく、高容量化することが可能な電解コンデンサを得ることができる。
上記第1の局面および第2の局面による電解コンデンサにおいて、好ましくは、酸化物層中には、添加金属の酸化物が偏在している。このように構成すれば、酸化物層の機械的強度が向上するので、陽極および酸化物層に応力が作用した場合においても、陽極および酸化物層が変形しにくい。これにより、より一層、陽極上に形成された酸化物層に亀裂などの欠陥が生じにくいので、陽極と陰極との間の漏れ電流をさらに小さくすることができる。
上記第1の局面および第2の局面による電解コンデンサにおいて、好ましくは、陽極中における添加金属の含有量は、1質量ppm〜200質量ppmの範囲である。このように構成すれば、陽極の内部および表面に添加金属が適度に偏在するので、漏れ電流を、より一層、小さくすることができるとともに、酸化物層の表面の粗面化処理を容易に行うことができる。その結果、容易に、比表面積が大きく、高容量の電解コンデンサを得ることができる。
また、この発明の第3の局面による電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属を含む陽極を形成する工程と、陽極を電解液中で陽極酸化することにより陽極上に弁作用金属の酸化物を含む酸化物層を形成する工程と、酸化物層上に陰極を形成する工程とを備え、陽極中には、電解液に可溶な酸化物を形成する添加金属が偏在しているとともに、酸化物層を形成する工程は、陽極酸化することにより酸化物層上に添加金属の酸化物が除去された凹部を形成する工程を含む。
この第3の局面による電解コンデンサの製造方法では、上記のように、陽極中に添加金属が偏在しているので、この陽極の機械的強度を向上させることができる。これにより、陽極に応力が作用した場合においても、陽極は変形しにくいので、陽極上に形成された酸化物層に亀裂などの欠陥が生じにくい。その結果、陽極と陰極との間の漏れ電流を小さくすることができる。
また、この酸化物層上には、添加金属の酸化物が除去された凹部が形成されているので、表面が粗面化されており、大きな比表面積を有している。これにより、静電容量を大きくすることができる。さらに、陽極中に偏在している添加金属より形成される酸化物は、陽極酸化に用いる電解液に対して可溶性を有するので、容易に、陽極酸化による弁作用金属の酸化物を含む酸化物層の形成と同時に、酸化物層の表面からこの添加金属の酸化物を除去することができる。従って、この第3の局面においては、容易に、漏れ電流が小さく、高容量化することが可能な電解コンデンサを製造することができる。
また、この発明の第4の局面による電解コンデンサの製造方法は、タンタル、ニオブおよびチタンからなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する弁作用金属を含む陽極を形成する工程と、陽極上に弁作用金属の酸化物を含む酸化物層を形成する工程と、酸化物層上に陰極を形成する工程とを備え、陽極中には、モリブデン、スズおよびケイ素からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する添加金属が偏在しているとともに、酸化物層を形成する工程は、酸化物層上に添加金属の酸化物が除去された凹部を形成する工程を含む。
この第4の局面による電解コンデンサの製造方法では、上記のように、タンタル、ニオブおよびチタンからなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する弁作用金属を含む陽極中にモリブデン、スズおよびケイ素からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する添加金属が偏在しているので、この陽極の機械的強度を向上させることができる。これにより、陽極に応力が作用した場合においても、陽極は変形しにくいので、陽極上に形成された酸化物層に亀裂などの欠陥が生じにくい。その結果、陽極と陰極との間の漏れ電流を小さくすることができる。
また、陽極上に形成された酸化物層に含まれるタンタル、ニオブおよびチタンの酸化物は、大きな比誘電率を有しているとともに、この酸化物層上には、モリブデン、スズおよびケイ素の酸化物が除去された凹部が形成されているので、表面が粗面化されており、大きな比表面積を有している。これらにより、静電容量を大きくすることができる。さらに、陽極中に偏在しているモリブデン、スズおよびケイ素より形成される酸化物は、それぞれ、種々の溶液に対する可溶性が大きいので、この陽極の表面を酸化した後、溶液中へ浸漬することにより、容易に、酸化物層の表面からこの添加金属の酸化物を除去することができる。従って、この第4の局面においては、容易に、漏れ電流が小さく、高容量化することが可能な電解コンデンサを製造することができる。
上記第3の局面および第4の局面による電解コンデンサの製造方法において、好ましくは、陽極を形成する工程は、弁作用金属を含む粒子と添加金属を含む粒子との混合粒子をメカニカルアロイング処理することにより弁作用金属と添加金属とが偏在した複合粒子を形成する工程と、複合粒子の焼結体を形成する工程とを有する。なお、本発明において、「メカニカルアロイング処理」とは、ボールミルやビーズミルなどのように、材料を溶解することなく、機械的な作用により複合粉末を作製する方法を意味する広い概念である。
このように構成すれば、弁作用金属と添加金属とが偏在した陽極を容易に形成することができる。さらに、陽極を粒子の焼結体で構成することにより、さらに比表面積を大きくすることができる。これにより、より一層、静電容量の大きい電解コンデンサを容易に製造することができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1による固体電解コンデンサの構造を説明するための断面図である。図1を参照して、本発明の実施例1による固体電解コンデンサの構造について説明する。
本発明の実施例1による固体電解コンデンサでは、図1に示すように、ニオブからなる陽極リード1a上に、陽極リード1aの一部を覆うように、ニオブとモリブデンとが偏在した約2μmの平均粒径を有するニオブモリブデン複合粒子の多孔質焼結体からなる約3.3mm×約2.7mm×約1.7mmの直方体状の基体1bが形成されている。ここで、ニオブおよびモリブデンは、それぞれ、本発明の「弁作用金属」および「添加金属」の一例である。
陽極1上には、陽極1の周囲を覆うように、酸化ニオブを含む酸化物層2が形成されている。また、この酸化物層2の表面には、微小な凹部が形成されている。ここで、酸化物層2は、誘電体層として機能する。
酸化物層2上には、酸化物層2の周囲を覆うように、ポリピロールからなる導電性高分子層3が形成されている。ここで、導電性高分子層3は、電解質層として機能する。
導電性高分子層3上には、導電性高分子層3の周囲を覆うように、陰極4が形成されている。陰極4は、導電性高分子層3の周囲を覆うように形成された約10μmの膜厚を有するカーボン粒子を含む第1導電層4aと、第1導電層4aの周囲を覆うように形成された約50μmの膜厚を有する銀粒子を含む第2導電層4bとから構成されている。
陰極4の周囲のうち上面には、導電性接着剤層5が形成され、さらに、導電性接着剤層5を介して陰極4と陰極端子6とが接続されている。また、基体1bから露出した陽極リード1a上には、陽極端子7が溶接により接続されている。さらに、陰極端子6および陽極端子7の端部が外部に引き出されるように、陰極4、陰極端子6および陽極端子7の周囲には、モールド外装樹脂8が形成されている。これにより、本発明の実施例1による固体電解コンデンサが構成されている。
図2〜図6は、本発明の実施例1による固体電解コンデンサの形成プロセスを説明するための断面図である。図2〜図6を参照して、次に、上記のような構造を有する本発明の実施例1による固体電解コンデンサの形成プロセスについて説明する。
[陽極の作製]
まず、約2μmの平均粒径を有するニオブ粒子と約0.35μmの平均粒径を有するモリブデン粒子とを総質量に対するモリブデン粒子の割合が約50質量ppmとなるように混合し、得られた混合粒子を超硬合金製のボールを用いた遊星型ボールミルで約4時間混合するメカニカルアロイング処理することにより、ニオブとモリブデンとが偏在した約2μmの平均粒径を有するニオブモリブデン複合粒子を作製した。
次に、陽極リード1aの一部を埋め込んだ上記ニオブモリブデン複合粒子からなる成形体を約3×10−3Paの真空中で約1100℃の熱処理を行うことにより、図2に示すように、ニオブモリブデン複合粒子の多孔質焼結体からなる約3.3mm×約2.7mm×約1.7mmの直方体状の基体1bと陽極リード1aとを有する陽極1を作製した。
[誘電体層の形成]
次に、上記陽極1を約60℃に保持した約0.1wt%の硫酸水溶液中において約20Vの定電圧で約10時間陽極酸化を行うことにより、図3に示すように、基体1bの周囲を覆うように、基体1b上に酸化ニオブを含む酸化物層2を形成した。ここで、酸化物層2は、誘電体層として機能する。ここで、硫酸水溶液は、本発明の「電解液」の一例である。
この酸化物層2の形成工程では、上記陽極酸化を行うことにより、酸化ニオブを含む酸化物層2の形成と同時に、陽極1に偏在しているモリブデンが酸化され、酸化モリブデンの一部が硫酸水溶液中へ溶出する。これにより、陽極1上には、酸化モリブデンが除去された微小な凹部を表面に有する酸化物層2が形成される。
また、酸化物層2を形成した陽極1に対して、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)を行った結果、陽極1および酸化物層2に含まれるモリブデンの含有量は、約30質量ppmであった。なお、陽極1および酸化物層2に含まれるモリブデンの含有量とは、陽極1および酸化物層2に含まれるニオブおよびモリブデンの総質量に対するモリブデンの質量の割合のことである。
[電解質層の形成]
次に、図4に示すように、電解重合などにより、酸化物層2の周囲を覆うように、酸化物層2上に、ポリピロールからなる導電性高分子層3を形成した。
[陰極の形成]
次に、導電性高分子層3の周囲を覆うように、導電性高分子層3上に、カーボンペーストを塗布し、約100℃で約30分間乾燥することによりカーボン粒子を含む第1導電層4aを形成した後、第1導電層4aの周囲を覆うように、第1導電層4a上に銀ペーストを塗布し、約170℃で約30分間乾燥することにより銀粒子を含む第2導電層4bを形成した。これにより、図5に示すように、導電性高分子層3の周囲を覆うように導電性高分子層3上に第1導電層4aおよび第2導電層4bの積層構造を有する陰極4を形成した。
[電極端子の接続]
次に、陰極端子6上に導電性接着剤を約2mg塗布した後、この導電性接着剤を介して陰極4の周囲のうち上面に陰極端子6とを接着した。さらに、導電性接着剤を約170℃の温度で約60分間乾燥することにより、図6に示すように、陰極4と陰極端子6とを接続する導電性接着剤層5を形成した。また、陽極端子7を基体1b、酸化物層2および導電性高分子層3から露出している陽極リード1a上に溶接した。
[モールド工程]
最後に、図1に示したように、陰極端子6および陽極端子7の端部が外部に引き出されるように、陰極4、陰極端子6および陽極端子7の周囲にモールド外装樹脂8を形成した。このようにして、図1に示すように、実施例1による固体電解コンデンサを作製した。
本発明の実施例1による固体電解コンデンサでは、陽極1中にモリブデンが偏在しているので、この陽極1の機械的強度を向上させることができる。これにより、陽極1に応力が作用した場合においても、陽極1は変形しにくいので、陽極1上に形成された酸化物層2に亀裂などの欠陥が生じにくい。特に、基体1bが多孔質焼結体からなる場合には、多孔質焼結体を構成する粒子の粒界部分に応力による亀裂が生じやすいが、上記のように、陽極1中にモリブデンを偏在させることにより、上記粒界部分における亀裂の発生を抑制することができる。その結果、陽極1と陰極4との間の漏れ電流を小さくすることができる。
また、この酸化物層2上には、酸化モリブデンが除去された微小な凹部が形成されているので、表面が粗面化されており、大きな比表面積を有している。これにより、静電容量を大きくすることができる。さらに、陽極1中に偏在しているモリブデンより形成される酸化モリブデンは、陽極酸化に用いる電解液に対して可溶性を有するので、容易に、陽極酸化による酸化ニオブを含む酸化物層2の形成と同時に、酸化物層2の表面からモリブデンを除去することができる。従って、実施例1による固体電解コンデンサでは、容易に、漏れ電流が小さく、高容量化することが可能な電解コンデンサを得ることができる。
また、本発明の実施例1による固体電解コンデンサでは、陽極酸化と同時に酸化物層2の表面から酸化モリブデンを電解液中に溶出させているが、本方法では、一部の酸化モリブデンは陽極表面に残存していると考えられるので、酸化物層2には、酸化モリブデンが偏在していると考えられる。これにより、酸化物層2の機械的強度が向上するので、陽極1および酸化物層2に応力が作用した場合においても、陽極1および酸化物層2が変形しにくい。これにより、実施例1による固体電解コンデンサでは、より一層、陽極1上に形成された酸化物層2に亀裂などの欠陥が生じにくいので、陽極1と陰極4との間の漏れ電流をさらに小さくすることができる。
また、本発明の実施例1による固体電解コンデンサの製造方法では、陽極1中にモリブデンが偏在しているので、この陽極1の機械的強度を向上させることができる。これにより、陽極1に応力が作用した場合においても、陽極1は変形しにくいので、陽極1上に形成された酸化物層2に亀裂などの欠陥が生じにくい。その結果、陽極1と陰極4との間の漏れ電流を小さくすることができる。
また、この酸化物層2上には、酸化モリブデンが除去された微小な凹部が形成されているので、表面が粗面化されており、大きな比表面積を有している。これにより、静電容量を大きくすることができる。さらに、陽極1中に偏在しているモリブデンより形成される酸化モリブデンは、陽極酸化に用いる電解液に対して可溶性を有するので、容易に、陽極酸化による酸化ニオブを含む酸化物層2の形成と同時に、酸化物層2の表面からこのモリブデンを除去することができる。従って、実施例1による固体電解コンデンサの製造方法では、容易に、漏れ電流が小さく、高容量化することが可能な電解コンデンサを製造することができる。
また、本発明の実施例1による固体電解コンデンサの製造方法では、基体1bを構成する多孔質焼結体の複合粒子は、ニオブ粒子とモリブデン粒子との混合粒子をメカニカルアロイング処理することにより形成されているので、ニオブとモリブデンとが偏在したニオブモリブデン複合粒子を容易に形成することができる。さらに、基体1bを上記複合粒子の焼結体で構成することにより、さらに比表面積を大きくすることができる。
(実施例2〜9)
この実施例2〜9では、陽極1および酸化物層2に含まれるモリブデンの含有量を約0.5質量ppm、約1質量ppm、約10質量ppm、約20質量ppm、約50質量ppm、約100質量ppm、約200質量ppmおよび約300質量ppmとそれぞれ変化させる以外は、実施例1と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。ここで、実施例2〜9では、ニオブ粒子とモリブデン粒子とを総質量に対するモリブデン粒子の割合が約0.8質量ppm〜約500ppmの範囲の割合となるように混合し、得られた混合粒子を実施例1と同様にメカニカルアロイング処理することにより作製した。
また、各実施例の陽極1および酸化物層2に対しては、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)を行うことにより、それぞれ、上記含有量のモリブデンが含有されていることを確認した。
(実施例10)
実施例10では、実施例1において約0.1wt%の硫酸水溶液中で陽極酸化を行ったのに代えて、約0.1wt%の硝酸水溶液中で陽極酸化を行う以外は実施例1と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。ここで、硝酸水溶液は、本発明の「電解液」の一例である。
(実施例11〜13)
この実施例11〜13では、ニオブとスズとが偏在したニオブスズ複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いた固体電解コンデンサを作製した。ここで、スズは、本発明の「添加金属」の一例である。
実施例11では、実施例1において上記ニオブモリブデン複合粒子の多孔質焼結体からなる基体1bに代えて、上記ニオブスズ複合粒子の多孔質焼結体からなる基体1bを用いる以外は実施例1と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。ここで、上記ニオブスズ複合粒子は、約0.099997gの質量の約2μmの平均粒径を有するニオブ粒子に対して約0.35μmの平均粒径を有するスズ粒子を約5×10−6gの割合で添加した混合粒子を超硬合金製のボールを用いた遊星型ボールミルで約4時間混合するメカニカルアロイング処理することにより作製した。
また、実施例12では、実施例11において約0.1wt%の硫酸水溶液中で陽極酸化を行ったのに代えて、約0.1wt%の硝酸水溶液中で陽極酸化を行う以外は実施例11と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。
また、実施例13では、実施例11において約0.1wt%の硫酸水溶液中で陽極酸化を行ったのに代えて、約0.1wt%の塩酸水溶液で陽極酸化を行う以外は実施例11と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。ここで、塩酸水溶液は、本発明の「電解液」の一例である。
なお、実施例11〜13において、酸化物層2を形成した陽極1に対して、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)を行った結果、いずれの実施例においても、陽極1および酸化物層2には、約30質量ppmのスズが含有されていることを確認した。
(実施例14〜17)
この実施例14〜17では、ニオブ粒子の内部および表面にケイ素が偏在したニオブケイ素複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いた固体電解コンデンサを作製した。ここで、ケイ素は、本発明の「添加金属」の一例である。
実施例14では、実施例1において上記ニオブモリブデン複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いるのに代えて、上記ニオブケイ素複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いており、さらに、約0.1wt%のフッ化アンモニウム水溶液中で陽極酸化を行う以外は実施例1と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。ここで、フッ化アンモニウム水溶液は、本発明の「電解液」の一例である。また、上記ニオブケイ素複合粒子は、約2μmの平均粒径を有するニオブ粒子と約0.35μmの平均粒径を有するケイ素粒子とを総質量に対するケイ素粒子の割合が約50質量ppmとなるように混合し、得られた混合粒子を超硬合金製のボールを用いた遊星型ボールミルで約4時間混合するメカニカルアロイング処理することにより作製した。
また、実施例15では、実施例14において約0.1wt%のフッ化アンモニウム水溶液中で陽極酸化を行ったのに代えて、約0.1wt%のフッ化カリウム水溶液中で陽極酸化を行う以外は実施例14と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。ここで、フッ化カリウム水溶液は、本発明の「電解液」の一例である。
また、実施例16では、実施例14において約0.1wt%のフッ化アンモニウム水溶液中で陽極酸化を行ったのに代えて、約0.1wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で陽極酸化を行う以外は実施例14と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。ここで、水酸化ナトリウム水溶液は、本発明の「電解液」の一例である。
また、実施例17では、実施例14において約0.1wt%のフッ化アンモニウム水溶液中で陽極酸化を行ったのに代えて、約0.1wt%の水酸化カリウム水溶液中で陽極酸化を行う以外は実施例14と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。ここで、水酸化カリウム水溶液は、本発明の「電解液」の一例である。
なお、実施例14〜17において、酸化物層2を形成した陽極1に対して、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)を行った結果、いずれの実施例においても、陽極1および酸化物層2には、それぞれ、約30質量ppmのケイ素が含有されていることを確認した。
(実施例18および19)
この実施例18および19では、ニオブ以外の弁作用金属を用いて固体電解コンデンサを作製した。
実施例18では、実施例1において上記ニオブモリブデン複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いるのに代えて、タンタル粒子の内部および表面にモリブデンが偏在したタンタルモリブデン複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いる以外は実施例1と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。ここで、タンタルは、本発明の「弁作用金属」の一例である。また、上記タンタルモリブデン複合粒子は、約3μmの平均粒径を有するタンタル粒子と約0.35μmの平均粒径を有するモリブデン粒子とを総質量に対するモリブデン粒子の割合が約50質量ppmとなるように混合し、得られた混合粒子を超硬合金製のボールを用いた遊星型ボールミルで約4時間混合するメカニカルアロイング処理することにより作製した。また、多孔質焼結体の作製に際しては、熱処理温度を約1400℃とした。
なお、実施例18において、酸化物層2を形成した陽極1に対して、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)を行った結果、陽極1および酸化物層2には、約30質量ppmのモリブデンが含有されていることを確認した。
また、実施例19では、実施例1において上記ニオブモリブデン複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いるのに代えて、チタン粒子の内部および表面にモリブデンが偏在したチタンモリブデン複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いる以外は実施例1と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。ここで、チタンは、本発明の「弁作用金属」の一例である。また、上記チタンモリブデン複合粒子は、約3μmの平均粒径を有するチタン粒子と約0.35μmの平均粒径を有するモリブデン粒子とを総質量に対するモリブデン粒子の割合が約50質量ppmとなるように混合し、得られた混合粒子を超硬合金製のボールを用いた遊星型ボールミルで約4時間混合するメカニカルアロイング処理することにより作製した。また、多孔質焼結体の作製に際しては、熱処理温度を約1100℃とした。
なお、実施例19において、酸化物層2を形成した陽極1に対して、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)を行った結果、陽極1および酸化物層2には、約30質量ppmのモリブデンが含有されていることを確認した。
(比較例1〜3)
比較例1〜3として、弁作用金属と電解液に可溶な酸化物を形成する添加金属とが均一に混合(固溶)した合金粒子の多孔質焼結体を用いて固体電解コンデンサを作製した。
比較例1では、実施例1において上記ニオブモリブデン複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いるのに代えて、モリブデンが均一に固溶したニオブモリブデン合金粒子の多孔質焼結体を基体として用いる以外は実施例1と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。
また、比較例2では、比較例1において上記ニオブモリブデン合金粒子の多孔質焼結体を基体として用いるのに代えて、モリブデンが均一に固溶したタンタルモリブデン合金粒子の多孔質焼結体を基体として用いる以外は比較例1と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。
また、比較例3では、比較例1において上記ニオブモリブデン合金粒子の多孔質焼結体を基体として用いるのに代えて、モリブデンが均一に固溶したチタンモリブデン合金粒子の多孔質焼結体を基体として用いる以外は比較例1と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。
ここで、比較例1〜3の上記モリブデンを含有する各合金粒子は、それぞれ、ニオブ、タンタルまたはチタンとモリブデンとの総質量に対するモリブデンの割合が約1000質量ppmとなるように混合、溶解し、得られた合金を粉砕することにより作製した。
なお、比較例1〜3において、酸化物層を形成した陽極に対して、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)を行った結果、いずれの比較例においても、陽極および酸化物層には、約1000質量ppmのモリブデンが含有されていることを確認した。
次に、実施例1および比較例1の陽極について、添加金属の偏在の有無を評価した。図7は、実施例1および比較例1の陽極について薄膜X線回折法により評価した特性図である。
図7より、比較例1の陽極では、ニオブ(Nb)の回折ピークだけが観察されており、モリブデン(Mo)の回折ピークが観察されていないので、モリブデンは、ニオブ中に完全に固溶されて均一な合金になっている。
これに対して、実施例1の陽極1では、NbおよびMoの回折ピークが観察されるので、陽極1においては、モリブデンがニオブに対して偏在した状態で存在していることがわかった。
(比較例4〜6)
比較例4〜6として、添加金属を含まない弁作用金属からなる粒子の多孔質焼結体を用いて固体電解コンデンサを作製した。
比較例4では、実施例1において上記ニオブモリブデン複合粒子の多孔質焼結体を基体1bとして用いるのに代えて、モリブデンを含まないニオブ粒子の多孔質焼結体を基体として用いる以外は実施例1と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。
また、比較例5では、比較例4においてモリブデンを含まないニオブ粒子の多孔質焼結体を基体として用いるのに代えて、モリブデンを含まないタンタル粒子の多孔質焼結体を基体として用いる以外は比較例4と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。
また、比較例6では、比較例4においてモリブデンを含まないニオブ粒子の多孔質焼結体を基体として用いるのに代えて、モリブデンを含まないチタン粒子の多孔質焼結体を基体として用いる以外は比較例4と同様のプロセスで固体電解コンデンサを作製した。
[評価]
次に、上記実施例1〜19および比較例1〜6により作製した固体電解コンデンサの漏れ電流および静電容量の評価を行った。なお、この漏れ電流は、陰極端子6と陽極端子7との間に約6Vの定電圧を印加し、約20秒後の漏れ電流を測定した。また、この静電容量の評価は、LCRメータを用いて陰極端子6と陽極端子7との間に約120kHzの周波数の電圧を印加することにより行った。結果を表1に示す。
Figure 2007081067
表1に示すように、弁作用金属がニオブの場合(実施例1〜17および比較例1、4)、弁作用金属がタンタルの場合(実施例18および比較例2、5)および弁作用金属がチタンの場合(実施例19および比較例3、6)において、それぞれ、添加金属が偏在した陽極1を用いることにより漏れ電流が小さくなるとともに、静電容量が大きくなった。
また、添加金属の含有量に関しては、好ましくは、約1質量ppm〜約200質量ppmの範囲、さらに好ましくは、約1質量ppm〜約50質量ppmの範囲であることがわかった。
また、陽極1に偏在させる添加金属としては、モリブデン、スズおよびケイ素をそれぞれ用いることができ、また、陽極酸化に用いる電解液としては、硫酸、硝酸、塩酸、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムをそれぞれ用いることができることがわかった。
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施例では、陽極1の弁作用金属は、ニオブ、タンタルまたはチタンから構成されていたが、本発明はこれに限らず、それぞれ、複数の弁作用金属を含んでいてもよい。また、同様に、陽極1に偏在している添加金属は、モリブデン、スズまたはケイ素から構成されていたが、それぞれ、複数の添加金属を含んでいてもよく、あるいは、他の電解液に可溶な酸化物を形成する金属を含んでいてもよい。さらに、上記弁作用金属や添加金属以外の窒素やフッ素などの他の元素を含んでいてもよい。
また、上記実施例では、陽極1の基体1bは、多孔質焼結体から構成されていたが、本発明はこれに限らず、箔状や板状の基体であってもよい。
本発明の実施例1による固体電解コンデンサの構造を説明するための断面図である。 本発明の実施例1による固体電解コンデンサの形成プロセスの第1工程を説明するための断面図である。 本発明の実施例1による固体電解コンデンサの形成プロセスの第2工程を説明するための断面図である。 本発明の実施例1による固体電解コンデンサの形成プロセスの第3工程を説明するための断面図である。 本発明の実施例1による固体電解コンデンサの形成プロセスの第4工程を説明するための断面図である。 本発明の実施例1による固体電解コンデンサの形成プロセスの第5工程を説明するための断面図である。 本発明の実施例1および比較例1の陽極について薄膜X線回折法により評価した特性図である。 従来の固体電解コンデンサの構造を説明するための断面図である。 従来の固体電解コンデンサの形成プロセスの第1工程を説明するための断面図である。 従来の固体電解コンデンサの形成プロセスの第2工程を説明するための断面図である。 従来の固体電解コンデンサの形成プロセスの第3工程を説明するための断面図である。 従来の固体電解コンデンサの形成プロセスの第4工程を説明するための断面図である。 従来の固体電解コンデンサの形成プロセスの第5工程を説明するための断面図である。
符号の説明
1 陽極
1a 陽極リード
1b 基体
2 酸化物層
3 導電性高分子層
4 陰極
4a 第1導電層
4b 第2導電層
5 導電性接着剤層
6 陰極端子
7 陽極端子
8 モールド外装樹脂

Claims (8)

  1. 弁作用金属を含む陽極と、
    前記陽極を電解液中で陽極酸化することにより前記陽極上に形成された前記弁作用金属の酸化物を含む酸化物層と、
    前記酸化物層上に形成された陰極とを備え、
    前記陽極中には、前記電解液に可溶な酸化物を形成する添加金属が偏在しているとともに、
    前記酸化物層上には、前記陽極酸化することにより前記添加金属の酸化物が除去された凹部が形成されている、電解コンデンサ。
  2. 前記弁作用金属は、タンタル、ニオブおよびチタンからなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有し、
    前記添加金属は、モリブデン、スズおよびケイ素からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. タンタル、ニオブおよびチタンからなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する弁作用金属を含む陽極と、
    前記陽極上に形成された前記弁作用金属の酸化物を含む酸化物層と、
    前記酸化物層上に形成された陰極とを備え、
    前記陽極中には、モリブデン、スズおよびケイ素からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する添加金属が偏在しているとともに、
    前記酸化物層上には、前記添加金属の酸化物が除去された凹部が形成されている、電解コンデンサ。
  4. 前記酸化物層中には、前記添加金属の酸化物が偏在している、請求項1〜3に記載の電解コンデンサ。
  5. 前記陽極中における前記添加金属の含有量は、1質量ppm〜200質量ppmの範囲である、請求項1〜4に記載の電解コンデンサ。
  6. 弁作用金属を含む陽極を形成する工程と、
    前記陽極を電解液中で陽極酸化することにより前記陽極上に前記弁作用金属の酸化物を含む酸化物層を形成する工程と、
    前記酸化物層上に陰極を形成する工程とを備え、
    前記陽極中には、前記電解液に可溶な酸化物を形成する添加金属が偏在しているとともに、
    前記酸化物層を形成する工程は、前記陽極酸化することにより前記酸化物層上に前記添加金属の酸化物が除去された凹部を形成する工程を含む、電解コンデンサの製造方法。
  7. タンタル、ニオブおよびチタンからなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する弁作用金属を含む陽極を形成する工程と、
    前記陽極上に前記弁作用金属の酸化物を含む酸化物層を形成する工程と、
    前記酸化物層上に陰極を形成する工程とを備え、
    前記陽極中には、モリブデン、スズおよびケイ素からなるグループより選択される少なくとも1つの元素を有する添加金属が偏在しているとともに、
    前記酸化物層を形成する工程は、前記酸化物層上に前記添加金属の酸化物が除去された凹部を形成する工程を含む、電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記陽極を形成する工程は、
    前記弁作用金属を含む粒子と前記添加金属を含む粒子との混合粒子をメカニカルアロイング処理することにより前記弁作用金属と前記添加金属とが偏在した複合粒子を形成する工程と、
    前記複合粒子の焼結体を形成する工程とを有する、請求項6または7に記載の電解コンデンサの製造方法。
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