JP2007073422A - 燃料電池スタック、及び燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

燃料電池スタック、及び燃料電池用セパレータの製造方法 Download PDF

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篤史 宮澤
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Noriko Uchiyama
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Abstract

【課題】膜電極接合体のシール部材とセパレータとの気密性を十分に保持することができる燃料電池スタック、及び燃料電池用セパレータの製造方法を提供する。
【解決手段】膜電極接合体90の周縁部90aにガスケット94を設け、この膜電極接合体90を燃料電池セパレータ3,3によって挟持して、該燃料電池セパレータ3の周縁部3aにガスケット94を弾接させた状態で、膜電極接合体90と燃料電池セパレータ3とを交互に積層してなる燃料電池スタックにおいて、前記燃料電池セパレータ3の周縁部3aの表面に窒化層を設けると共に、該周縁部にレーザー溶接を施して溶接部99を形成することにより、窒化層の表面を平滑化した。
【選択図】図4

Description

この発明は、燃料電池スタック、及び燃料電池用セパレータの製造方法に関し、特にステンレス鋼を用いて形成する固体高分子電解質型の燃料電池用セパレータに関する。
地球環境保護の観点から、燃料電池を自動車の内燃機関に代えて作動するモーターの電源として利用し、このモーターにより自動車を駆動することが検討されている。この燃料電池は、資源の枯渇問題を有する化石燃料を使う必要がないため、排気ガス等を発生することがない。また、燃料電池は騒音がほとんど発生せず、更にはエネルギーの回収効率も他のエネルギー機関と比べて高くすることが可能である等の優れた特徴を有している。
燃料電池は、使用される電解質の種類に応じて、固体高分子電解質型、リン酸型、溶融炭酸塩型及び固体酸化物型等がある。そのうちの一つである固体高分子電解質型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、電解質として分子中にプロトン交換基を有する高分子電解質膜を使用して、高分子電解質膜を飽和に含水させるとプロトン伝導性電解質として機能することを利用した電池である。固体高分子電解質型燃料電池は比較的低温で作動し、かつ発電効率が高い。更には、固体高分子電解質型燃料電池は他の付帯設備と共に小型で軽量であるため、電気自動車搭載用をはじめとする各種の用途が見込まれている。
前記固体高分子電解質型燃料電池は、燃料電池スタックを有する。燃料電池スタックは、電気化学反応により発電を行う基本単位となる単セルを複数個積層して両端部をエンドフランジで挟み、締結ボルトにより加圧保持されて一体に構成される。単セルは、高分子電解質膜とその両側に接合されるアノード(水素極)とカソード(酸素極)、及びセパレータにより構成される。
図18は、燃料電池スタックを形成する単セルの構成を示す断面図である。図18に示すように、単セル80は、固体高分子電解質膜81の両側に酸素極82及び水素極83を接合して一体化した膜電極接合体を有する。酸素極82及び水素極83は、反応膜84及びガス拡散層85(GDL:gas diffusion layer)を備えた2層構造であり、反応膜84は固体高分子電解質膜81に接触している。酸素極82及び水素極83の両側には、積層のために酸素極側セパレータ86及び水素極側セパレータ87が各々設置されている。そして、酸素極側セパレータ86及び水素極側セパレータ87により、酸素ガス流路、水素ガス流路及び冷却水流路が形成されている。
前記構成の単セル80は、固体高分子電解質膜81の両側に酸素極82、水素極83を配置して、通常、ホットプレス法により一体に接合して膜電極接合体を形成し、次に膜電極接合体の両側にセパレータ86、87を配置して製造する。前記単セル80から構成される燃料電池では、水素極83側に、水素、二酸化炭素、窒素、水蒸気の混合ガスを供給し、酸素極82側に空気及び水蒸気を供給すると、主に、固体高分子電解質膜81と反応膜84との間の接触面において電気化学反応が起こる。以下、より具体的な反応について説明する。
前記構成の単セル80において、酸素ガス流路及び水素ガス流路に酸素ガス及び水素ガスが各々供給されると、酸素ガス及び水素ガスが各ガス拡散層85を介して反応膜84側に供給され、各反応膜84において以下に示す反応が起こる。
水素極側:H2 →2H+ +2e- ・・・式(1)
酸素極側:(1/2)O2+2H+ + 2e-→H2O ・・・式(2)
水素極83側に水素ガスが供給されると、式(1)の反応が進行して、H+ とe-とが生成する。H+は、水和状態で固体高分子電解質膜81内を移動して酸素極82側に流れ、e- は負荷88を通って水素極83から酸素極82に流れる。酸素極82側では、H+とe-と供給された酸素ガスとにより、式(2)の反応が進行して、電力が生成する。
前述したように、燃料電池用セパレータは各単セル間を電気的に接続する機能を有するため、電気伝導性が良く、かつガス拡散層等の構成材料との接触抵抗が低いことが要求される。また、固体高分子型電解質膜は、スルホン酸基を多数有する高分子から形成されており、湿潤状態においてスルホン酸基をプロトン交換として用いるため、プロトン伝導性を有する。固体高分子型電解質膜は強酸性であるため、燃料電池用セパレータにはpH2〜3程度の硫酸酸性に対する耐食性が要求される。さらに、燃料電池に供給される各ガスの温度は80〜90[℃]と高温であり、また、水素極ではH+が生じるだけでなく、酸素や空気等が通過する酸素極は、標準水素極電位に対して0.6〜1[VvsSHE]程度の電位が負荷される酸化性環境下にある。このため、酸素極及び水素極と同様に、燃料電池用セパレータには強酸性雰囲気下で耐え得る耐食性が要求される。なお、ここで要求される耐食性とは、燃料電池用セパレータが強酸性の酸化環境下においても電気伝導性能を維持できる耐久性を意味する。つまり、カチオンが加湿水又は式(2)の反応により生成した水に溶け出すことにより、カチオンが本来プロトンの通り道となるべきスルホン酸基と結合してスルホン酸基を占有し、電解質膜の発電特性を劣化させる環境で、耐食性を測定する必要がある。
ここで、前記膜電極接合体の周縁部にシール剤を設け、前記膜電極接合体の両面側からセパレータを挟持した燃料電池スタックが開示されている。このシール剤は、熱硬化型シール剤であり、予め設定された塗布速度で塗布し、120℃近傍の温度でかつ所定の処理時間で硬化させている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−357861公報
しかしながら、前記従来の燃料電池スタックによっては、前記シール剤に当接するセパレータの当接部の表面に小さい凹凸がある場合は、この当接部にシール剤が押しつけられても、気密性を十分に保持することが困難であった。
そこで、本発明は、膜電極接合体のシール部材とセパレータとの気密性を十分に保持することができる燃料電池スタック、及び燃料電池用セパレータの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、膜電極接合体の周縁部に弾性を有するシール部材を設け、この膜電極接合体を燃料電池セパレータによって挟持して、該燃料電池セパレータの周縁部に前記シール部材を弾接させた状態で、膜電極接合体と燃料電池セパレータとを交互に積層してなる燃料電池スタックにおいて、前記燃料電池セパレータの表面に窒化層を設けると共に、該窒化層の表面を平滑にする平滑化処理を施したことを特徴とする。
本発明によれば、膜電極接合体のシール部材とセパレータとの気密性を十分に保持することができる燃料電池スタックが得られる。
以下、本発明の実施の形態に係る燃料電池スタック、及び燃料電池用セパレータの製造方法について、固体高分子型燃料電池に適用した例を挙げて説明する。
[第1実施形態]
(燃料電池用セパレータ及び燃料電池スタック)
図1は、本発明の第1実施形態による燃料電池用セパレータを用いて構成した燃料電池スタックの外観を示す斜視図である。図2は、図1に示す燃料電池スタック1の詳細な構成を模式的に示す燃料電池スタック1の分解斜視図である。
図2に示すように、燃料電池スタック1は、電気化学反応により発電を行う基本単位となる膜電極接合体90と燃料電池用セパレータ3とを交互に複数個積層して構成される。各単セル2は、固体高分子型電解質膜の両面に各々酸化剤極を有するガス拡散層と燃料極を有するガス拡散層とを形成して膜電極接合体90とし、膜電極接合体90の両側に燃料電池用セパレータ3を配置して、燃料電池用セパレータ3内部に酸化剤ガス流路と燃料ガス流路とを各々形成している。固体高分子型電解質膜としては、例えばスルホン酸基を有するフッ素系樹脂膜等を使用することができる。膜電極接合体90と燃料電池用セパレータ3とを積層した後、両端部にエンドフランジ4を配置して、外周部を締結ボルト5により締結して燃料電池スタック1を構成する。また、燃料電池スタック1には、各単セル2に水素ガス等の水素を含有する燃料ガスを供給するための水素供給ラインと、酸化剤ガスとして空気を供給する空気供給ラインと、冷却水を供給する冷却水供給ラインが設けられている。
図3は本発明の第1実施形態による燃料電池用セパレータと膜電極接合体とを分解して示す断面図、図4は図3の燃料電池用セパレータと膜電極接合体とを組み付けた断面図、及び図5は図4の要部を拡大して示す断面図である。
図3に示すように、膜電極接合体90は、電解質膜91と、該電解質膜91の両面に触媒層を介して形成されたガス拡散層92とを備えている。また、膜電極接合体90の周縁部90aには、電解質膜の両面を挟持する樹脂プレート93が形成されており、該樹脂プレート93の両面には、弾性を有するゴムからなるガスケット94(シール部材)が接着されている。
このガスケット94は、図3の右側である内周側と左側である外周側に、膜電極接合体90の板厚方向に突出する支持部95が形成されており、これらの支持部95,95の間に、断面略三角状に突き出る突出部96が形成されている。そして、突出部96の頂部96aの高さは、支持部95の高さよりも高く形成されている。
一方、燃料電池用セパレータ3は、アノードセパレータ98とカソードセパレータ97とを上下に押し当てた状態で配置されている。具体的には、アノードセパレータ98とカソードセパレータ97との周縁部3aは平面状に形成され、この周縁部同士を当接させた状態でレーザーを照射することによって溶接部99が形成され、前記アノードセパレータ98とカソードセパレータ97との周縁部同士が接合されている。
また、図4に示すように、膜電極接合体90の両面側からアノードセパレータ98とカソードセパレータ97とを挟み込んで組み付けることにより、ガスケット94の支持部95が燃料電池用セパレータ3の周縁部3aに当たるまで、ガスケット94の頂部96aが上下に押し潰されてシールされる。
さらに、図5に示すように、前記溶接部99は、ガスケット94の頂部96aに対向する部位に形成されている。即ち、ガスケット94の頂部96aに対向する部位は、ガスケット94を弾接したときの面圧が最も高く、所定値以上の面圧となる部位であり、最もガスケット94と燃料電池用セパレータ3との間の気密性が必要とされる部位でもある。従って、この部位にレーザーを照射することにより、効率的に気密性を向上させることができる。また、ガスケット94との当接部100よりも内方側に溶接部99を配置しているため、溶接部99の幅Wrは当接部100の幅Wgよりも小さく設定されており、耐腐食性の劣る溶接部をガスケットで被うことにより燃料電池セパレータの耐食性を高く保持することができる。
燃料電池用セパレータ3の模式図を図6に示す。図6(a)は、燃料電池用セパレータ3の模式的斜視図、図6(b)は、燃料電池用セパレータ3のA−A線による断面図、図6(c)は、燃料電池用セパレータ3のB−B線による断面図である。
図6(a)に示すように、燃料電池用セパレータ3の上面には、遷移金属又は遷移金属の合金からなる基材をプレス成形することにより、断面矩形状の燃料又は酸化剤の通路12が形成されている。そして、図6(b)(c)に示すように、基材の両面には、窒化層14が形成されている。即ち、アノードセパレータ98及びカソードセパレータ97を構成する基材は、基層13と、該基層13の表面及び裏面に形成された窒化層14とからなる。
ここで、窒化層14は、非常に脆いため、表面に微細な亀裂が生じやすく、また、窒化条件によっては、表面にポーラスな層を生じることがある。
しかし、本実施形態によれば、図3〜図5にて説明したように、燃料電池用セパレータ3の周縁部3aには、レーザーを照射しているため、窒化層14の表面が平滑になり、ガスケット94を押しつけた場合に気密性を高く保持することができる。
また、燃料電池用セパレータ3の周縁部3aのうち、ガスケット94の頂部96aに対向する部位は、ガスケット94を弾接したときの面圧が最も高く、所定値以上の面圧となる部位であり、最もガスケット94と燃料電池用セパレータ3との間の気密性が必要とされる部位でもある。従って、この部位にレーザーを照射することにより、効率的に気密性を向上させることができる。なお、レーザーを照射して、アノードセパレータ98及びカソードセパレータ97同士を接合することにより、アノードセパレータ98及びカソードセパレータ97の接合と同時に、窒化層の平滑化処理をも行うことができる。
さらに、本実施の形態に係る燃料電池用セパレータでは、遷移金属又は遷移金属の合金を基材として用いており、基材表面から深さ方向に立方晶の結晶構造を有する窒化層を設けている構成としたため、窒化層中の遷移金属原子が窒素原子との間で共有性に富んだ結合を形成していることに加え、金属原子間には金属結合が形成されているため、電気伝導性に優れた燃料電池用セパレータを得ることができる。また、立方晶の結晶構造を有する窒化層は燃料電池として通常使用されるpH2〜3の強酸性雰囲気においても化学的に安定であるため耐食性に優れる。このため、燃料電池用セパレータとカーボンペーパとの間の接触抵抗を低くおさえ、強酸性雰囲気においても継続的に良好な電気伝導性を示す燃料電池用セパレータが得られる。
基材は、Fe、Cr、Ni及びMoの群から選ばれる少なくとも一種以上の金属元素を含むステンレス鋼であることが好ましい。このような元素を含有するステンレス鋼として、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系、析出硬化系のステンレス鋼が挙げられる。これらの中でも、基材は、特にオーステナイト系ステンレス鋼から形成することが好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS304、SUS310S、SUS316L、SUS317J1、SUS317J2、SUS321、SUS329J1、SUS836等が挙げられる。
立方晶の結晶構造は、より具体的には、Fe(鉄)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)の群から選ばれる少なくとも一種以上の金属原子によって形成された面心立方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子が配置されたMN型の結晶構造であることが好ましい。
N型の結晶構造を図7に示す。
図7に示すように、MN型の結晶構造20は、Fe、Cr、Ni及びMoの中から選択される遷移金属原子21によって形成された面心立方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子22が配置された構造である。このMN型の結晶構造20において、Mは、Fe、Cr、Ni及びMoの中から選択される遷移金属原子21を表し、Nは窒素原子22を表す。窒素原子22はMN型の結晶構造20の単位胞中心の八面体空隙の1/4を占有する。すなわち、MN型の結晶構造20は、遷移金属原子21の面心立方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子22が侵入した侵入型固溶体であり、立方晶の空間格子で表すと、窒素原子22は各単位胞の格子座標(1/2,1/2,1/2)に位置する。MN型の結晶構造とすることにより、遷移金属原子21間の金属結合を維持したまま、遷移金属原子21と窒素原子22との間で強い共有結合性を示す。
また、このMN型の結晶構造20では、遷移金属原子M21はFeを主体としていることが好ましいが、FeがCr、Ni、Moなどの他の遷移金属原子と一部置換した合金であっても良い。
そして、このMN型の結晶構造では、高密度の転位や双晶を伴い、硬さも1000[HV]以上と高く、窒素が過飽和に固溶したfccまたはfct構造の窒化物であると考えられている(安丸、蒲池;日本金属学会誌,50,pp362−368,1986)。そして、表面に近いほど窒素濃度が高いことや、CrNが主成分とならないため、耐食性に有効なCrが減少せずに窒化後も耐食性が保たれる。このように、窒化層が少なくともFe、Cr、Ni、Moの群から選ばれる少なくとも一種以上の遷移金属原子によって形成された面心立方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子が配置されたMN型の結晶構造を有する場合には、pH2〜3の強酸性雰囲気における耐食性を一段と優れたものとすることが可能となる。
なお、窒化層の厚さは基材表面に厚さ0.5〜5[μm]の範囲で形成されていることが好ましい。この場合には、強酸性雰囲気における耐食性に優れる。なお、窒化層の厚さが0.5[μm]を下回る場合には、窒化層と基材との間に亀裂が発生したり、窒化層と基材との密着強度が不足することにより長時間使用すると窒化層が基材との界面から剥がれ易くなるため長時間の使用では充分な耐食性が得られにくくなる。また、窒化層の厚さが5[μm]を上回る場合には、窒化層の厚さの増大とともに窒化層内の応力が過大になって窒化層に亀裂が発生し、燃料電池用セパレータに孔食が発生し易くなり、耐食性の向上に寄与しにくくなる。
さらに、窒化層の極表面の窒素量が10[at%]以上かつ酸素量が35[at%]以下であることが好ましい。ここで、窒化層の極表面とは、窒化層の最表面から3〜4[nm]の深さ、つまり原子数十層程度の深さの原子層をさす。また、最表面とは、窒化層の最外部の原子一層をさす。遷移金属の表面に吸着した酸素分子の被覆率が高くなると、遷移金属原子と酸素原子との間に明瞭な結合が形成する。これが遷移金属原子の酸化である。このような遷移金属表面の酸化は、まず最外部の第一原子層が酸化されることによって起こる。第一原子層の酸化が終わると、次に、第一原子層へ吸着した酸素が遷移金属内の自由電子をトンネル効果によって受け取り、酸素が負イオンになる。そして、この負イオンによる強い局部電場のために、遷移金属イオンが遷移金属内部から表面上に引っ張り出され、引っ張り出された遷移金属イオンが酸素原子と結合する。すなわち二層目の酸化膜が生成する。このような反応が次から次へと起こって酸化膜が厚くなっていく。このように、窒化層中の酸素量が35[at%]より多い場合には、絶縁性の酸化膜が形成されやすくなる。これに対し、このように、窒化層の極表面の窒素量が10[at%]以上かつ酸素量が35[at%]以下である場合には、酸化膜の成長を抑制できてカーボンペーパとの間の接触抵抗を低く抑えることが可能となり、かつ、強酸性雰囲気における耐食性に優れた燃料電池用セパレータを得ることができる。
また、窒化層の最表面から10[nm]深さにおいて、窒素量が15[at%]以上かつ酸素量が26[at%]以下であることが好ましく、更には窒素量が18[at%]以上かつ酸素量が22[at%]以下であることがより好ましい。この場合には、強酸性雰囲気における耐食性に優れる。なお、この範囲からはずれる場合には、セパレータと電極間で発生する接触抵抗が高くなり、燃料電池スタックを構成する単セル1枚あたりの接触抵抗値が40[mΩ・cm]を超え、発電性能が悪化するという不具合がある。
さらに、窒化層の最表面から100[nm]〜200[nm]深さにおいて、窒素量が16[at%]以上かつ酸素量が21[at%]以下であることが好ましい。この場合には、窒化層中の窒素原子のケミカルポテンシャルを高めて、遷移金属原子の活量をより一層小さく抑えた状態で遷移金属原子が窒素原子と化合物を形成すると、遷移金属原子の自由エネルギーが下がり、遷移金属原子の酸化に対する反応性を低くすることができ、遷移金属原子が化学的に安定する。このため、酸素原子は受け取る自由電子がなくなり、遷移金属原子を酸化しなくなるため酸化膜の成長を抑えることができ、耐食試験後の接触抵抗を低く抑えることが可能となる。
このように、前記した構成を採用したことにより、本発明の実施の形態に係る燃料電池用セパレータは耐食性に優れている。そして、低コストで生産性が良好であると共に、隣接するガス拡散電極等の構成材料との接触抵抗が低く、燃料電池の発電性能の良い燃料電池用セパレータを得ることが可能となる。また、本発明の実施の形態に係る燃料電池スタックは、本発明の実施の形態に係る燃料電池用セパレータを用いたことにより、発電性能を損なうことなく高い発電効率を維持できると共に、小型化及び低コスト化を実現することが可能となる。
(燃料電池用セパレータの製造方法)
次に、本発明の実施の形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法について説明する。この燃料電池用セパレータの製造方法は、燃料又は酸化剤の通路が形成された遷移金属又は遷移金属の合金からなる基材に500[℃]以下の温度で窒化処理を施す窒化工程により、Fe、Cr、Ni及びMoの中から選択される遷移金属原子によって形成された面心立方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子が配置されたMN型の結晶構造を有する窒化層を形成する工程と、燃料電池セパレータの周縁部のうち前記シール部材が当接する当接部の表面を平滑化するレーザー照射(レーザー溶接)を施す工程とを有することを特徴とする。
ステンレス鋼の表面に高温で窒化処理を施すと、窒素が基材中のCrと結びつき、主としてNaCl型の結晶構造を有するCrN等の窒化物を析出するために燃料電池用セパレータの耐食性が低下する。これに対し、500[℃]以下の温度で窒化処理を施すと基材表面には、主としてNaCl型の結晶構造を有するCrN等の窒化化合物ではなく、Fe、Cr、Ni、Moの群から選ばれる少なくとも一種以上の金属原子によって形成された面心立方格子または面心正方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子が配置された結晶構造が形成される。この結晶構造は、窒化層の中でも特に耐食性に富むため、500[℃] 以下の低温で窒化処理を施すことにより燃料電池用セパレータの耐食性が向上する。また、セパレータと隣接するガス拡散電極等の構成材料との接触抵抗を低く抑えることができ、燃料電池の発電効率を維持でき、優れた耐久信頼性を有する燃料電池用セパレータを低コストにより得ることができる。
なお、窒化温度が350[℃]を下回る場合には、この結晶構造を有する窒化層を得るためには長時間の処理を必要とするために生産性が悪化する。このため、窒化処理は350〜500[℃]の範囲で、より好ましくは350〜500[℃]で行うのが好ましい。
また、窒化処理は、プラズマ窒化法であることが好ましい。窒化処理にはガス窒化法、ガス軟窒化法、塩浴法、プラズマ窒化法などを利用することが可能である。ガス軟窒化法は窒化処理中の酸素分圧が高いため窒化層中の酸素量が高くなる。これに対し、窒化処理のうち、プラズマ窒化法は、被処理物を陰極とし、直流電圧を印加して発生するグロー放電によって窒素ガスをイオン化し、イオン化した窒素が被処理物の表面へ高速加速衝突することで窒化する方法である。このため、プラズマ窒化法では、イオン衝撃によるスパッタリング作用により被処理物であるステンレス鋼表面の不動態皮膜を容易に除去しつつ窒化するためステンレス鋼に適した窒化方法であり、かつ非平衡反応によって基材中に窒素イオンを浸透させるために、前記結晶構造を短時間で容易に得ることができ、耐食性が向上する。
次に、本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法に用いる窒化装置の構成を図8に基づいて説明する。図8は、本実施形態の燃料電池用セパレータの製造方法に使用される窒化装置の構成を示す側面模式図である。
図8に示すように、窒化装置30は、バッチ式の窒化炉31と、この窒化炉31に雰囲気ガスを供給するガス供給装置32と、窒化炉31内でプラズマを発生させるプラズマ電極33a、33b及びこれらの電極33a、33bに直流電圧を供給する直流電源33と、窒化炉31内のガスを排出するポンプ34と、窒化炉31内の温度を検知する温度センサ37とを含んでいる。窒化炉31は内壁31a及び外壁31bを有し、内壁31aの天井部31cには燃料電池用セパレータの形状に加工したステンレス鋼箔44を吊下するステンレス製のハンガ36が設けられる。ガス供給装置32は、ガス室38とガス供給管路39とを有し、ガス室38には開口部が設けられ、この開口部にはそれぞれガス供給弁が設置され、Hガス、Nガス、Arガスが供給されている。窒化炉31の天井部31cには、ガス供給管路39の他端と連通する開口31dを有する。ガス供給管路39にはガス供給弁が設けられている。窒化炉31内のガス圧は、窒化炉31の底部31eに設けられたガス圧センサ40によって検知される。窒化炉31には冷却水流路(不図示)が設けられ、冷却水は窒化炉31の外壁31bに設けられた開口31fから冷却水流路に流入し、開口31gから流出する。開口31fには冷却水供給弁が設けられ、冷却水の流量を調節する。ポンプ34は、上記底部31eに設けられた開口31hと連通する排出管路41と接続される。温度センサ37は、窒化炉31の外壁31bに設けられた設置口31iに設置される。
窒化装置30には、グロー放電のために操作盤43から制御される直流電源33の他に、バイアス用のポテンショメータ35が設けられている。直流電源33は陽(+)極33aが窒化炉31の内壁31aに接続され、陰(−)極33bが接地されている。ポテンショメータ35は、バイアス用直流電源端子35cと接地回路35dとの間の電位差を、可動接触子により0[V]からバイアス電圧の範囲で分圧し、それにより得た電圧をバイアス回路35aを介して各ステンレス鋼箔44に供給する。直流電源33は操作盤43からの制御信号によりオン、オフされる。ポテンショメータ35は、操作盤43からバイアス制御回路35bを介してバイアス制御信号が供給され、この制御信号に応じて可動接触子が摺動する。従って、各ステンレス鋼箔44は、内壁31aに対し、直流電源33の端子間電圧と、可動接触子を介して供給されるバイアス電圧とを加えた電圧差を有する。なお、ガス供給装置32及びガス圧センサ40も、操作盤43によって制御される。
プラズマ窒化には窒素ガス及び水素ガスを使用し、窒素ガス及び水素ガスを放電させた低温非平衡プラズマ中においてステンレス鋼材にマイナスのバイアス電圧をかけることにより、ステンレス鋼材を400〜500[℃]の温度で窒化を行うことが好ましい。プラズマ窒化処理では、イオン衝撃によるスパッタリング作用により金属材料表面の不動態皮膜を容易に除去できる。一方、通常使用されるガス窒化や塩浴窒化を用いて窒化処理を行った場合には、窒化層の数〜数十[nm]オーダの最表層では酸化が起きて絶縁性酸化物が形成されるため、燃料電池のガス拡散層として通常使用されるカーボンペーパとの間の接触抵抗が増大する。これに対し、本発明のようにプラズマ窒化の手法を用いた窒化処理では、金属材料表面の酸素を除去しながら窒化反応を進めることができるため、窒化後の金属材料の最表層の酸素レベルを十分に低く抑えることが可能となる。さらに、カーボンペーパとの間の接触抵抗を、燃料電池として好適となるように低い値に維持することが可能となる。
また、プラズマ窒化処理をする際の処理条件は、温度400〜500[℃]、処理時間10〜60[分]、ガス混合比N:H=3:7〜7:3、処理圧力3〜7[Torr](=399〜931[Pa])とすることが好ましい。窒化処理条件を本範囲に規定したのは、処理時間が1[分]未満になると窒化層が形成されないからであり、逆に、処理時間が60[分]を超えると製造コストが高騰するからである。さらに、ガス混合比を本範囲に規定したのは、ガス中の窒素の割合が減少すると窒化層を形成することができないからであり、逆に、窒素の割合が増大すると還元剤として作用する水素量が減少して、基材表面が酸化されてしまうからである。このような処理条件下でプラズマ窒化処理をすることにより、MN型の結晶構造を有する窒化層を基材表面に形成することができる。
このように、本発明の実施の形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法によれば、簡便な操作により、膜電極接合体90のシール部材とセパレータとの気密性を十分に保持することができる燃料電池用セパレータを製造することが可能となる。
[第2実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態を説明するが、前記第1実施形態と同一内容については、説明を省略する。
本実施形態においては、燃料電池セパレータ3の周縁部3aのうちシール部材であるガスケット94が当接する当接部100の窒化層14を除去する窒化層除去処理を採用している。この窒化層除去処理は、具体的には、エッチング処理等を好適に用いることができる。
即ち、燃料電池セパレータ3の表面に窒化層14を形成したのち、ガスケット94が当接する当接部100の窒化層14をエッチング処理によって除去する。
図9は、本発明の第2実施形態による燃料電池用セパレータと膜電極接合体との当接部近傍を拡大して示す断面図である。
ガスケット94の突出部は、燃料電池用セパレータ3の当接部100に押しつけられている。そして、窒化層14のエッチング処理を施した部位は、この窒化層14が除去されて基材の基層13が露出している。エッチング処理を施した部位の内周側端部104は、ガスケット94との当接部100の内周側端部101から外周側にオフセットしており、外周側の端部102は、当接部100の外周側端部103から外周側にオフセットしている。なお、内周側とは、図9における右側方向であり、外周側とは図9における左側方向を示す。ここで、内周側は、ガスの流路となるため、この内周側には窒化層14を形成した部位を配置することにより、燃料電池セパレータ3の耐食性を高く保持することができる。
また、エッチング処理を施した部位は、前記燃料電池セパレータ3の当接部100のうち、ガスケット94を弾接させたときの面圧が所定値以上の部位でもある。なお、図9に示すように、ガスケット94の突出部96が燃料電池セパレータ3に当接する当接部100の幅はWgであり、窒化層14が除去されている部分の幅はWnである。
このように、窒化層14の平滑化処理として、窒化層14のエッチング処理を採用することにより、セパレータ3に歪みが生じた場合であっても、確実に平滑にすることができる。
[第3実施形態]
次いで、本発明の第3実施形態を説明するが、前記第1、第2実施形態と同一内容については、説明を省略する。
本実施形態における平滑化処理は、燃料電池セパレータの周縁部に窒化処理を施す際に、ガスケット94が当接する当接部100の窒化層14の形成を妨げる窒化層形成抑制処理である。具体的には、前記窒化層形成抑制処理は、ガスケット94が当接する当接部100をマスキングした状態で燃料電池セパレータ3の周縁部3aに窒化処理を施す処理を好適に採用することができる。
図10は、本発明の第3実施形態による燃料電池用セパレータと膜電極接合体90との当接部近傍を拡大して示す断面図である。
ガスケット94の突出部96は、燃料電池用セパレータ3の当接部100に押しつけられている。そして、マスキング処理を施した部位は、窒化層14が形成されずに、基材の基層13が露出している。マスキング処理を施した部位のうち内周側端部105は、ガスケット94との当接部の内周側端部104から外周側にオフセットしており、外周側端部106は、当接部の外周側端部103から外周側にオフセットしている。なお、内周側とは、図10における右側方向であり、外周側とは図10における左側方向を示す。ここで、内周側は、ガスの流路となるため、この内周側には窒化層を形成した部位を配置することにより、燃料電池セパレータの耐食性を高く保持することができる。
従って、マスキング処理を施した部位の幅はWmであり、当接部100の幅Wgとほぼ同等の寸法に設定されている。
また、マスキング処理を施した部位は、前記燃料電池セパレータの当接部100のうち、前記ガスケット94を弾接させたときの面圧が所定値以上の部位でもある。
このように、窒化層14の平滑化処理として、マスキング処理を採用することにより、セパレータ3に歪みが生じた場合であっても、確実に平滑にすることができる。
[第4実施形態]
次いで、本発明の第4実施形態を説明するが、前記第1〜第3実施形態と同一内容については、説明を省略する。
本実施形態における平滑化処理は、燃料電池セパレータ3の周縁部3aのうち前記ガスケット94が当接する当接部100の表面に樹脂層を形成する樹脂層形成処理である。
図11は、本発明の第4実施形態による燃料電池用セパレータと膜電極接合体90との当接部近傍を拡大して示す断面図である。
図11に示すように、燃料電池用セパレータ3の周縁部3aの表面には、樹脂層107が形成されている。この樹脂層107は、溶融樹脂を周縁部3aの表面に塗布して乾燥させることによって得られる。従って、表面に微細な凹凸がある窒化層14の表面を容易に平滑化することができる。なお、この樹脂層107を形成する部位は、ガスケット94との当接部100よりも広い範囲とすることが好ましい。即ち、当接部100の幅Wgは、樹脂層107の幅Wpよりも小さく設定されている。
(燃料電池車両)
本発明の第1実施形態〜第4実施形態による燃料電池車両の一例として、前述した本発明の実施の形態に係る燃料電池スタックを動力源とした燃料電池電気自動車を挙げて説明する。
図12は、燃料電池スタック1を搭載した燃料電池電気自動車の外観を示す図である。図12(a)は燃料電池電気自動車50の側面図、図12(b)は燃料電池電気自動車50の上面図である。図12(b)に示すように、車体51前方には、左右のフロントサイドメンバとフードリッジのほか、フロントサイドメンバを含む左右のフードリッジ同士を互いに連結するダッシュロア部材をそれぞれ組み合わせて溶接接合したエンジンコンパートメント部52を形成している。図12(a)及び(b)に示す燃料電池電気自動車70では、エンジンコンパートメント部52内に燃料電池スタック1を搭載している。
本発明の実施の形態に係る燃料電池セパレータを適用した発電効率の高い燃料電池スタック1を自動車等の移動体車両に搭載することにより、燃料電池電気自動車の燃費向上を図ることができる。また、小型化した軽量の燃料電池スタック1を車両に搭載することにより、車両重量を低減して省燃費化を図ることができ、走行距離の長距離化を図ることができる。さらに、小型化した燃料電池を移動体車両等に搭載することにより、車室内空間をより広く活用することができ、スタイリングの自由度を高めることができる。
なお、燃料電池車両の一例として電気自動車を挙げたが、本発明は電気自動車等の車両に限定されるものではなく、電気エネルギが要求される航空機その他の機関にも適用することが可能である。
以下、本発明の実施の形態に係る燃料電池用セパレータの実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例5について説明する。これらの実施例は、本発明に係る燃料電池用セパレータの有効性を調べたもので、異なる原料に対して異なる条件下で処理して各試料を調製したものであり、例示した実施例に限定されるものではない。
<試料の調製>
各実施例及び比較例では、表1に示すように、基材として、板厚0.1[mm]の、JIS規格のオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304、SUS316、SUS316L、SUS310)、のそれぞれの光輝焼鈍(BA)材を用いた。これらの基材を脱脂洗浄後、両面にプラズマ窒化処理(直流電流グロー放電によるプラズマ窒化処理)を施した。この表1に示すように、プラズマ窒化条件は、処理温度350〜550[℃]、処理時間10〜60[分]、ガス混合比を実施例1〜6ではN:H=3:7〜7:3とし、処理圧力3〜7[Torr](=399〜931[Pa])とした。
ここで、各試料は、以下の方法によって評価された。
<窒化層の結晶構造の同定>
前記方法によって得られた試料の窒化層の結晶構造の同定は、窒化処理を施すことによって改質した基材表面をX線回折測定を行うことにより同定した。装置は、マックサイエンス社製 X線回折装置(XRD)を用いた。測定は、線源はCuKα線、回折角20〜100[゜]、スキャン速度2[゜/min]の条件で行った。
<窒化層の厚さの測定>
窒化層の厚さは、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて断面観察することにより測定した。
<Feに対するCr原子比の測定及び極表面の窒素量及び酸素量の測定>
窒化層のFeに対するCr原子比の測定は、X線電子分光分析(XPS)により窒化層のFe濃度及びCr濃度を測定して求めた。また、窒化層極表面の窒素量及び酸素量をXPSを用いて測定し、測定結果より酸素量に対する窒素量の比O/Nを求めた。装置は、PHI社製 光電子分光分析装置Quantum-2000を用いた。測定は、線源としてMonochromated-Al-kα線(電圧1486.6[eV]、20.0[W])、光電子取り出し角度45[゜]、測定深さ約4[nm]、測定エリアφ200[μm]にてX線を試料に照射することにより行った。
<窒化層の最表面から10[nm]及び100[nm]深さにおける窒素量及び酸素量の測定>
窒化層の最表面から10[nm]及び100[nm]深さにおける窒素量及び酸素量の測定は、走査型オージェ電子分光分析装置によって行った。装置は、PHI社製 MODEL4300を用いた。測定は、電子線加速電圧5[kV]、測定領域20[μm]×16[μm]、イオン銃加速電圧3[kV]、スパッタリングレート10[nm/min](SiO換算値)の条件で行った。
<接触抵抗値の測定>
得られた試料を30[mm]×30[mm]の大きさに切り出して接触抵抗を測定した。装置は、アルバック理工製 圧力負荷接触電気抵抗測定装置 TRS-2000SS型を用いた。そして、図13(a)に示すように、電極61とサンプル62との間にカーボンペーパ63を介在させて、図13(b)に示すように、電極61a/カーボンペーパ63a/サンプル62/カーボンペーパ63b/電極61bの構成とした。そして、測定面圧1.0[MPa]にて1[A/cm]の電流を流した際の電気抵抗を2回測定し、各電気抵抗の平均値を求めて接触抵抗値とした。カーボンペーパは、カーボンブラックで担持した白金触媒を塗布したカーボンペーパ(東レ(株)製カーボンペーパ TGP-H-090 厚さ0.26[mm]、かさ密度0.49[g/cm]、空隙率73[%]、厚さ方向体積抵抗率0.07[Ω・cm])を用いた。電極は、直径φ20のCu製電極を用いた。この接触抵抗測定は、後述する電解試験の前後で2回測定を行った。
<耐食性の評価>
燃料電池では、水素極側に比較して酸素極側に最大で1[VvsSHE]程度の電位がかかる。また、固体高分子電解質膜は、分子中にスルホン酸基等のプロトン交換基を有する高分子電解質膜を飽和に含水させてプロトン伝導性を利用するものであり、強酸性を示す。このため、耐食性の評価は、電気化学的な手法である定電位電解試験を用いて、所定の定電位をかけた状態で一定時間保持後に溶液中に溶け出す金属イオン量を蛍光X線分析により測定し、イオン溶出量の値から耐食性の低下の度合いを評価した。
具体的には、各試料の中央部を大きさ30[mm]×30[mm]に切り出したサンプルをpH2の硫酸水溶液中で、温度80[℃]、電位1[VvsSHE]として100[時間]保持した。その後、硫酸水溶液中に溶け出したFe、Cr、Niのイオン溶出量を蛍光X線分析により測定した。
窒化層の結晶構造、窒化層の厚さ、窒化層の極表面の窒素量及び酸素量、酸素量に対する窒素量の比O/N、窒化層の最表面から10[nm]及び100[nm]深さにおける窒素量及び酸素量、接触抵抗値及びイオン溶出量を表2に示す。
さらに、図14に、前記実施例1及び比較例1により得られた試料のX線解析パターンを示す。
比較例1では、基材であるオーステナイト由来のピークのみが明確に観測されたのに対し、実施例1では、図中γで示す基材であるオーステナイト由来のピークの他には、前記MN型の結晶構造を示すS1〜S5のピークが観測された。ここで、Mは、Feを主体としており、Feの他にはCr、Ni、Moの合金を含む。なお、図10(a)に示す断面組織より窒化層の厚さを観測すると、実施例1においては表面に5[μm]程度の窒化層が形成されていた。このように、表面はMN型の結晶構造をもつ窒化層に覆われているにもかかわらず、X線回折ピークは基材であるオーステナイト由来のピークも観測されている。これは、本測定条件によるX線の基材への入射深さが10[μm]程度であることから、基材を検出していると判断した。なお、実施例2〜実施例6では、実施例1と同様に基材であるオーステナイト由来のピークの他に前記MN型の結晶構造のピークが観測された。
また、比較例2及び比較例3では、比較例1と同様に窒化層が形成されていないため、基材であるオーステナイト由来のピークのみが観測された。また、比較例4では、CrNとγ’相を示すピークが観測された。なお、γ’相は、CrがNと結合してCrNなどのCr系窒化化合物を形成するために、基材のCr濃度が低下することによってFe原子が面心立方格子を作る。そして、γ’相はこの格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子が侵入した結晶構造、すなわち八面体空隙の1/4に窒素原子が配置されたFeN型の結晶構造であり、Feの他にCrやNiの合金を含まない。このように、処理温度が500[℃]を越えた場合には、NaCl型の結晶構造を有するCrNなどのCr系窒化化合物が形成することがわかった。
次に、実施例1で得られた試料の倍率400倍による断面組織写真を図15(a)に、比較例1で得られた試料の断面組織写真を図15(b)に示す。図15(a)では、基材71の両表面に窒化層72が形成されているが、図15(b)では、基材73の表面には窒化層などの改質層が形成されていないことがわかる。
また、表2に示すように、MN型の結晶構造をもつ窒化層が形成された実施例1〜実施例6では、いずれも接触抵抗値が10.5[mΩ・cm]以下であった。これに対し、窒化層が形成されていない比較例1〜比較例3、比較例5では著しく接触抵抗値は高かった。燃料電池では、単位セル当りの理論的な電圧は1.23[V]となるが、反応分極、ガス拡散分極、抵抗分極により実際に取り出せる電圧が降下し、取り出す電流が大きくなるほど電圧は降下する。また、自動車用用途では、単位体積・重量当りの出力密度を大きくしたいことから、定置用より高電流密度側、例えば、電流密度1[A/cm]で使用される。電流密度が1[A/cm]の時には、セパレータとカーボンペーパと間の接触抵抗が20[mΩ・cm] 、つまり、図8(b)で示した測定法による測定値が40[mΩ・cm] 以下であれば接触抵抗による効率低下がおさえられると考えられる。本実施例1〜実施例6では、いずれも接触抵抗値が40[mΩ・cm] 以下であるため、単位セル当りの起電力が高く、起電力の高い燃料電池スタックを形成することが可能となる。
次に、イオン溶出量を測定した結果により、窒化層の厚さが0.5〜5[μm]である実施例1〜実施例6ではいずれもイオン溶出量が低く、耐食性に優れていることがわかった。
実施例と比較して、比較例1〜比較例3のようにオーステナイト系ステンレス鋼の表面を窒化処理しない場合には、基材表面に不動態膜が形成しているため接触抵抗が高い。また、不動態膜があるため、一般的にオーステナイト系ステンレス鋼は耐食性に優れているが、実施例1〜実施例6と比較すると劣ることがわかった。
更に、比較例4〜比較例5のように窒化処理を施しても、窒化層が主としてNaCl型の結晶構造を有するCrNを含む場合には、窒化処理を施していない比較例1〜比較例3と比較すると接触抵抗は低くなるが、耐食性が劣る。
また、表2よりXPSにより測定した窒化層極表面の窒素量、酸素量を及び酸素量に対する窒素量の比O/Nをみてみると、窒化層の極表面の窒素量が10[at%]以上かつ酸素量が35[at%]以下であり、O/Nが3.5以下である実施例1〜6では、いずれも接触抵抗値が40[mΩ・cm] 以下であった。これに対し、比較例1〜比較例3のようにオーステナイト系ステンレス鋼の表面を窒化処理しない場合には、基材表面に不動態膜が存在するため極表面の酸素量が多く、O/Nも非常に高い値であった。また、比較例4では主としてCrN等のCr系窒化物が析出するようになるために、接触抵抗も低く、O/Nも低い値であったが、イオン溶出量が多く耐食性が悪化する。
次に、図16に実施例1により得られた試料の走査型オージェ電子分光分析による深さ方向の元素プロファイルを示す。図16に示すように、窒化層の最表面では窒化処理中に若干の酸素分圧が存在するために酸化膜が存在し、その酸化膜の厚さを電子が自由に行き来できるため酸素量が一番高い。しかし、電子が自由に行き来できる範囲は最表面から3〜4[nm]の深さであるため、徐々に酸素量は低くなり窒素量が増えた。また、窒化層の最表面から10[nm]深さにおいて、窒素量が18[at%]であり酸素量が22[at%]であった。そして、窒化層の最表面から100[nm]深さにおいて、窒素量が17[at%]であり酸素量が17[at%]であった。なお、スパッター深さ50[nm]あたりから、基材の成分であるFeの割合が高くなった。このときの接触抵抗値は3[mΩ・cm]であり、イオン溶出量も低かった。このように、MN型の結晶構造をもつ窒化層が形成された実施例1では、接触抵抗も耐食性も満足できた。
同様に、接触抵抗値が40[mΩ・cm]以下である実施例1〜6のいずれにおいても、窒化層の最表面から10[nm]深さにおいて、窒素量が18[at%]以上かつ酸素量が25[at%]以下であり、さらに、窒化層の最表面から100[nm]深さにおいて、窒素量が17[at%]以上かつ酸素量が18[at%]以下であった。これに対し、接触抵抗値が245以上である比較例1〜比較例3では、窒化層の最表面から10[nm]深さにおける窒素量及び酸素量が前記値からはずれており、さらには、窒化層の最表面から100[nm]深さにおける窒素量及び酸素量も前記値からはずれていた。なお、不動態膜が形成されていない比較例4〜比較例5では、前記値を満足していた。
以上の測定結果より、実施例1〜実施例6は、比較例1〜比較例5に対しいずれの実施例においても立方晶の結晶構造である、Fe、Cr、Ni、Moの群から選ばれる少なくとも一種以上の遷移金属原子によって形成された面心立方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子が配置されたMN型の結晶構造を有する窒化層とすることで接触抵抗値が40[mΩ・cm]以下と低接触抵抗を示し、その上、イオン溶出量も少なく、耐食性に優れることから、低接触抵抗と耐食性の両方を同時に兼ね備える。
なお、本実施例においては、基材としてオーステナイト系ステンレス鋼を用いたが、これに限定されるものではなく、フェライト系もしくはマルテンサイト系ステンレス鋼を用いても、また、窒化処理としてプラズマ窒化処理を実施しているが、ガス窒化処理によっても同様の効果が得られる。
次に、図17(a)、(b)に、窒素量及び酸素量と接触抵抗値との関係を示す。図17(a)は、極表面の窒素量及び酸素量と接触抵抗値との関係を示している。図17(b)は、極表面の酸素量に対する窒素量の比O/Nと接触抵抗値との関係を示している。図17(a)に示すように、極表面において窒素量が多い(窒素濃度が高い)ほど接触抵抗値が低く、酸素量が低い(酸素濃度が低い)ほど接触抵抗値が低いことが明らかとなった。これは、前記したように、窒化層中の酸素量が多い場合には基材表面に絶縁性の酸化膜が形成されるため接触抵抗値が高く、基材表面に窒化層が形成されている場合には酸化膜の成長が抑制されるため接触抵抗値が低くなるためと考えられる。同様に、図17(b)に示すように、極表面の酸素量に対する窒素量の比O/N低いほど接触抵抗値が低いことが明らかとなった。
以上の測定結果より、実施例1〜実施例6は比較例1〜比較例5に対しいずれの実施例においても、遷移金属又は遷移金属の合金からなる基材から形成され、基材表面に燃料又は酸化剤の通路が形成された基層と、この基層の直接上に形成された立方晶の結晶構造を有する窒化層と、を備えることで、電解試験前の接触抵抗値が10[mΩ・cm]以下と低接触抵抗を示し、電解試験後の接触抵抗値も低く抑え、低い接触抵抗と耐食性の両方を同時に兼ね備える燃料電池用セパレータが得られた。
本発明の第1実施形態による燃料電池用セパレータを用いて構成する燃料電池スタックの外観を示す斜視図である。 図1の分解斜視図である。 本発明の第1実施形態による燃料電池用セパレータと膜電極接合体とを分解して示す断面図である。 図3の燃料電池用セパレータと膜電極接合体とを組み付けた断面図である。 図4の要部を拡大して示す断面図である。 本発明の第1実施形態による燃料電池用セパレータであり、本図のうち、(a)は燃料電池用セパレータの斜視図、(b)は(a)のA−A線による拡大断面図、(c)は(b)のB−B線による拡大断面図である。 本発明の第1実施形態による窒化層中に含まれるMN型結晶構造を示す模式図である。 本発明の第1実施形態による燃料電池用セパレータの製造方法に用いる窒化装置の側面模式図である。 本発明の第2実施形態による燃料電池用セパレータと膜電極接合体との当接部近傍を拡大して示す断面図である。 本発明の第3実施形態による燃料電池用セパレータと膜電極接合体との当接部近傍を拡大して示す断面図である。 本発明の第4実施形態による燃料電池用セパレータと膜電極接合体との当接部近傍を拡大して示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る燃料電池スタックを搭載した電気自動車の外観を示す図であり、(a)は電気自動車の側面図、(b)は電気自動車の平面図である。 本図のうち、(a)は各実施例で得られた試料の接触抵抗の測定方法を説明する模式図、(b)は接触抵抗の測定に使用する装置を説明する模式図である。 実施例1及び比較例1により得られた試料のX線回折パターンを示す図である。 本図のうち、(a)は実施例1により得られた試料の断面組織写真、(b)は比較例1により得られた試料の断面組織写真である。 実施例1により得られた試料の走査型オージェ電子分光分析による深さ方向の元素プロファイルを示す図である。 本図のうち、(a)は極表面の窒素量及び酸素量と接触抵抗値との関係を示す図、(b)は極表面の酸素量に対する窒素量の比O/Nと接触抵抗値との関係を示す図である。 燃料電池スタックを形成する単セルの構成を示す断面図である。
符号の説明
1 燃料電池スタック
3 燃料電池用セパレータ
3a 燃料電池用セパレータの周縁部
13 基層
14 窒化層
20 MN型結晶構造
21 遷移金属原子
22 窒素原子
90 膜電極接合体
94 ガスケット(シール部材)
99 溶接部
100 当接部
101,104,105 内周側端部
102,103,106 外周側端部
107 樹脂層

Claims (22)

  1. 膜電極接合体の周縁部に弾性を有するシール部材を設け、この膜電極接合体を燃料電池セパレータによって挟持して、該燃料電池セパレータの周縁部に前記シール部材を弾接させた状態で、膜電極接合体と燃料電池セパレータとを交互に積層してなる燃料電池スタックにおいて、
    前記燃料電池セパレータの表面に窒化層を設けると共に、該窒化層の表面を平滑にする平滑化処理を施したことを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 前記平滑化処理は、レーザー照射であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタック。
  3. 前記燃料電池セパレータをアノードセパレータ及びカソードセパレータから構成し、これらの各セパレータの周縁部同士をレーザー溶接で接合することにより、前記燃料電池セパレータの周縁部の表面を平滑にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池スタック。
  4. 前記燃料電池セパレータの周縁部のうち、前記シール部材を弾接させたときの面圧が所定値以上の部位にレーザー照射を施したことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池スタック。
  5. 前記平滑化処理は、燃料電池セパレータの周縁部のうち前記シール部材が当接する当接部の窒化層を除去する窒化層除去処理であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタック。
  6. 前記窒化層除去処理は、エッチング処理であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池スタック。
  7. 前記燃料電池セパレータの当接部のうち、前記シール部材を弾接させたときの面圧が所定値以上の部位に前記窒化層除去処理を施したことを特徴とする請求項5又は6に記載の燃料電池スタック。
  8. 前記窒化層除去処理を施す部位の内周側の端部は、シール部材との当接部の内周側端部から外周側にオフセットしており、外周側の端部は、当接部の外周側端部から外周側にオフセットしていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
  9. 前記平滑化処理は、燃料電池セパレータの周縁部に窒化処理を施す際に、前記シール部材が当接する当接部の窒化層の形成を妨げる窒化層形成抑制処理であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタック。
  10. 前記窒化層形成抑制処理は、前記シール部材が当接する当接部をマスキングした状態で、燃料電池セパレータの周縁部に窒化処理を施す処理であることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池スタック。
  11. 前記燃料電池セパレータの当接部のうち、前記シール部材を弾接させたときの面圧が所定値以上の部位に前記窒化層形成抑制処理を施したことを特徴とする請求項9又は10に記載の燃料電池スタック。
  12. 前記窒化層形成抑制処理を施す部位の内周側の端部は、シール部材との当接部の内周側端部から外周側にオフセットしており、外周側の端部は、当接部の外周側端部から外周側にオフセットしていることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
  13. 前記平滑化処理は、燃料電池セパレータの周縁部のうち前記シール部材が当接する当接部の表面に樹脂層を形成する樹脂層形成処理であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池スタック。
  14. 前記燃料電池セパレータの周縁部の窒化層は、Fe、Cr、Ni及びMoの群から選ばれる少なくとも一種以上の遷移金属元素を含む合金からなる基材の表面を窒化処理することにより、前記基材の表面から深さ方向に形成された立方晶の結晶構造を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
  15. 前記立方晶の結晶構造は、Fe、Cr、Ni及びMoの群から選ばれる少なくとも一種以上の遷移金属原子によって形成された面心立方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子が配置されたMN型の結晶構造であることを特徴とする請求項14に記載の燃料電池スタック。
  16. 前記窒化層の厚さは、0.5〜5[μm]であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
  17. 前記窒化層の最表面から10[nm]深さにおいて、窒素量が15[at%]以上かつ酸素量が26[at%]以下であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
  18. 前記窒化層の最表面から100[nm]〜200[nm]深さにおいて、窒素量が16[at%]以上かつ酸素量が21[at%]以下であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の燃料電池スタック。
  19. 燃料又は酸化剤の通路が形成された遷移金属又は前記遷移金属の合金からなる基材に500[℃]以下の温度でプラズマ窒化処理を施すことにより、Fe、Cr、Ni及びMoの中から選択される遷移金属原子によって形成された面心立方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子が配置されたMN型の結晶構造を有する窒化層を基材の表面層に形成する工程と、該窒化層の表面を平滑にする平滑化処理を施す工程とを有することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  20. 燃料又は酸化剤の通路が形成された遷移金属又は前記遷移金属の合金からなる基材に500[℃]以下の温度でプラズマ窒化処理を施すことにより、Fe、Cr、Ni及びMoの中から選択される遷移金属原子によって形成された面心立方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子が配置されたMN型の結晶構造を有する窒化層を基材の表面層に形成する工程と、燃料電池セパレータの周縁部のうち前記シール部材が当接する当接部の窒化層を除去する工程とを有することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  21. 燃料又は酸化剤の通路が形成された遷移金属又は前記遷移金属の合金からなる基材に500[℃]以下の温度でプラズマ窒化処理を施すことにより、Fe、Cr、Ni及びMoの中から選択される遷移金属原子によって形成された面心立方格子の単位胞中心の八面体空隙に窒素原子が配置されたMN型の結晶構造を有する窒化層を基材の表面層に形成する工程と、燃料電池セパレータの周縁部のうち前記シール部材が当接する当接部の表面に樹脂層を形成する工程とを有することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  22. 前記プラズマ窒化処理は、窒素ガス及び水素ガスを放電させた低温非平衡プラズマ中で、前記基材にマイナスのバイアス電圧をかけることにより行うことを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
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