JP2007071164A - スタータ - Google Patents

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Abstract

【課題】ピニオンギア3の内部に緩衝部材4を配置し、回転変動に追従してギア3、7間の叩きによる騒音の低減が可能な小型軽量なスタータ1の提供。
【解決手段】スタータ1の駆動機構2を構成するピニオンギア3を、モータの回転出力を伝達するピニオンインナ31と、ギア歯型を有するピニオンアウタ32とに内外に分割し、ピニオンアウタ32の内周側には複数個の放射状に突出たストッパを設け、同様に、ピニオンインナ31の外周側には同数個の放射状に突出た段差部を有する段付ストッパを設け、互いに回転摺動可能なように同軸に組合せ、対をなすストッパ間の段差部に収容部を形成し、所定の圧縮変形特性の付勢力を有する小型の圧縮コイルばねを同数個配置し、また、非段差部にはゴム弾性板を接合して、リングギア7の回転変動の追従性を向上させ、常に歯面間を当接させることによってギア3、7同士の叩きによる騒音の低減を図る。
【選択図】図1

Description

本発明は、リングギアとピニオンギアとの噛合いを通じてエンジンを始動するスタータに関するものである。
〔従来の技術〕
一般的に、エンジンの始動の際には、スタータのモータ出力軸に取付けられた一方向性クラッチ(オーバランニングクラッチ)を介してピニオンギアを進退駆動させて、クランクシャフトに設けられたリングギアと噛合させ、始動トルクをピニオンギアからリングギアに伝達させて、クランクシャフトを回転し、エンジンを始動させるようになっている。
従来、このように、リングギアとピニオンギアとの噛合いを通じて始動トルクを伝達するスタータでは、両ギアの歯面間に隙間(バックラッシュ)が不可避的に生じるために、通常のギア機構と同様に、両ギアの回転速度の変動に応じて両ギアの歯面同士が衝突し、このとき衝突による騒音の発生が問題となる。両ギアの回転速度の変動は、特にエンジンのクランキング時においては、エンジンの膨張行程期間と圧縮行程期間とでエンジンの発生トルクが正負に反転し、いわゆるトルク脈動が生じて、これに伴い回転速度の変動が生じて両ギアの歯面間で互いに繰返し叩く現象を起こし、不快な騒音を発生させていた。
この対策として、オーバランニングクラッチとモータ出力軸の間に、またはピニオンギアとの間に緩衝部材を配置し、回転変動を吸収して叩きを防止するものが開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1によれば、オーバランニングクラッチとモータ出力軸、またはピニオンギアとの間にスタータの回転トルクにより所定角度捩られるようにしたコイルばねを緩衝部材として介装することにより、ピニオンギアがエンジンのリングギアと噛合して始動回転するとき、エンジンのトルク変動に起因して回転変動が生じ、リングギアが瞬間的に速く回転しても、コイルばねに蓄積された付勢力でピニオンギアはリングギアの回転に素早く追従するから、両ギアやオーバランニングクラッチのローラなどの伝動面に隙間(バックラッシュ)や遊びが生じることはなく、伝動面同士での叩きによる騒音や磨耗破損の抑制が可能であった。
特開昭54−10838号公報
しかしながら、この特許文献1の場合であっても、大型のコイルばねを採用しているので、ピニオンギアの慣性が大きくなって、ゆっくりした回転変動はともかく比較的速い回転変動には追従できず、エンジンの圧縮・膨張行程のサイクル(周期)は速い回転変動であるため、両ギア間の叩きを十分に防止できないという懸念があり、更なる改良が望まれている。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ピニオンギアを内外に分割してピニオンインナとピニオンアウタとなし、弾性変形特性の良好な緩衝部材をその間に配置することにより、ピニオンギアの慣性を小さくし、回転変動の追従性を向上させ、両ギア間の叩きによる騒音の低減が可能な小型軽量のスタータを提供することを目的とする。
〔請求項1の手段〕
本発明では、エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと、モータの出力軸に進退可能に設けられ、エンジンの始動時に進退駆動されるピニオンギアとの噛合いによって、モータの出力トルクを伝達してエンジンを始動するスタータにおいて、ピニオンギアを内外に分割してピニオンインナとピニオンアウタとなし、ピニオンインナとピニオンアウタとの間に緩衝部材を収容し、出力トルクが緩衝部材を介してピニオンインナからピニオンアウタに伝達されることを特徴としている。
これによれば、ピニオンギアを分割して内部に緩衝部材を介装しているので、ピニオンギアの慣性を増加させることなく低慣性のままで、また、小型で弾性変形特性の良好な緩衝部材を採用してトルクを伝達することができるので、エンジンの圧縮・膨張行程に伴うトルクもしくは回転変動に追従し易く、駆動歯面間に隙間を生じさせず、常時当接させて、互いに叩き合うことにより発生する騒音を低減することができる。また、ピニオンギア内に緩衝部材を収容させることで、大型化を抑制し、コンパクトで小型のスタータの実現が可能となる。
〔請求項2の手段〕
請求項1に記載のスタータにおいて、ピニオンインナには外側に放射状に突出したストッパを複数個等間隔に設け、ピニオンアウタには内側に放射状に突出したストッパを同数個等間隔に設け、少なくとも一方の前記ストッパには段差部を有する段付ストッパをなし、ストッパと段付ストッパを交互に、かつ同軸に組合せて、段付ストッパの段差部と対向するストッパとの間に、所定の間隔を有する収容部を円周方向に複数個形成し、各収容部には緩衝部材を収容し、出力トルクが各収容部に収容された各緩衝部材に均等に伝達され、過大なトルクがかかるときには、ストッパと段付ストッパの非段差部が当接し、トルクが直接伝達されることを特徴としている。
これによれば、出力トルクは個々の収容部の緩衝部材の圧縮による回転トルクで伝達することができ、トルクもトルクを伝達する緩衝部材も円周方向に複数個設けた収容部によって複数に分けられるので、個々の収容部には小型の緩衝部材で済ませることが可能となり、小型の方が低慣性で高追従性の弾性変形特性の緩衝部材に組立て易く、従って回転変動への追従性が向上でき、駆動歯面間の隙間を生じさせず、常時当接させて互いに叩き合うことにより発生する打音を低減することがより容易となる。また、過大なトルクがかかるときは、ストッパの非段差部同士が当接し、トルクを直接伝達するので、収容部に収容された緩衝部材は全圧縮に到らないようにすることができ、緩衝部材の破壊や疲れ破壊(へたり)を防止することができる。さらに、小型の緩衝部材を円周方向に複数個収容するピニオンギアが構成できるので、小型で軽量なスタータの実現が可能となる。
〔請求項3の手段〕
請求項1または2に記載のスタータにおいて、緩衝部材は、第1の緩衝部材と第2の緩衝部材からなり、第1の緩衝部材は、エンジンの圧縮行程時に圧縮して付勢力を蓄え、膨張行程時に伸張して付勢力を放出し、エンジンの圧縮・膨張行程に伴うトルクならびに回転変動を吸収し、かつ追従する弾性変形特性を備え、各収容部に収容され、円周方向に複数個配置されて、出力トルクが均等に伝達されることを特徴としている。
これによれば、小型、低慣性、高追従特性の緩衝部材が構成でき、緩衝部材の圧縮による付勢力の迅速な応答が可能となって、結果、エンジンの圧縮・膨張行程に伴うトルクならびに回転変動に常に追従し、駆動歯面間の隙間を生じさせず、常時当接させて互いに叩き合うことにより発生する打音を低減することが容易にできる。また、小型の緩衝部材を円周方向に複数個収容するピニオンギアが構成できるので、小型で軽量なスタータの実現が可能となる。
〔請求項4の手段〕
請求項3に記載のスタータにおいて、第2の緩衝部材は、過大なトルクがかかるときには、トルクを吸収し、かつ放出する弾性変形特性を備え、各ストッパと各段付ストッパの非段差部が当接するいずれか一方の当接面と、各ストッパと各段付ストッパの非段差部のいずれか一方の当接面の反当接面側とに複数個配置されて、過大なトルクが均等に伝達されることを特徴としている。
過大なトルク時などストッパ同士が当接するとき大きな衝撃が生じやすいが、第2の緩衝部材によってこの衝撃が和らげられるとともに衝突騒音も防ぐことができる。また、第2の緩衝部材による過大なトルクの吸収ならびに放出が可能となるので、過大なトルク時でも第1の緩衝部材の付勢力の補助(付加)ができる。
〔請求項5の手段〕
請求項1ないし4のいずれか1に記載のスタータにおいて、第1の緩衝部材および第2の緩衝部材がばね、またはゴムもしくは樹脂からなることを特徴としている。
これによれば、安価で、小型軽量の静粛型スタータを得ることができ、さらに副次的効果として、両ギア間の衝撃吸収が可能となって、ギア歯面の磨耗や破損のない耐久性に優れたスタータを得ることができる。
本発明の最良の実施形態を、図に示す実施例1とともに説明する。
〔実施例1の構成〕
図1は、本実施例におけるスタータの駆動機構部の軸方向断面図であり、図2は、図1の要部のD−D断面での径方向半断面図である。
本実施例のスタータを、図1、2を参照して説明する。
このスタータ1は、主に、モータと減速機とマグネットスイッチ(以上図示せず)、および駆動機構2とからなる。モータの出力は減速機を介して(減速機なしの場合もある)、ヘリカルスプライン61の形成された出力軸6に伝達される。そのヘリカルスプライン61の上には、オーバランニングクラッチ5が配設され、クラッチアウタ52のボス部にはヘリカルスプライン61に嵌り合うクラッチヘリカルスプライン54が形成され、互いのヘリカルスプライン61、54の歯面同士で回転トルクを伝達しながら軸方向に進退移動する構造となっている。
また、本実施例の特徴部分である駆動機構2を構成するピニオンギア3は、ピニオンインナ31とピニオンアウタ32とに内外に分割され、内側に分割されたピニオンインナ31は、その一端側が軸方向に伸延して円筒形のクラッチインナ53と一体化し、その外周部とクラッチアウタ52との間にクラッチローラ51を介装してオーバランニングクラッチ5を構成している。ピニオンインナ31の他端側も同様に円筒形を有し、その内周面には軸受を介して摺動可能に出力軸6に支持され、また、外周面には同様に軸受を介して、外側に分割されたピニオンアウタ32を支持している。ピニオンアウタ32は、ギア歯型を有するとともに、ピニオンインナ31との間に緩衝部材4を介装し、板ばね37を介してストップカラー38にて、ピニオンインナ31の溝に嵌め込まれC型サークリップ36の端面に押圧され、緩衝部材4を内包する形態にてピニオンインナ31に固定されている。そして、モータの出力軸6の回転トルクがピニオンインナ31から緩衝部材4に作用し、緩衝部材4の圧縮によって付勢力を保持しながらピニオンアウタ32に伝達するよう、ピニオンアウタ32とピニオンインナ31は互いに回転移動可能なように配置され、コンパクトな低慣性のピニオンギア3を形成している。
図2に示すように、ピニオンアウタ32は、外側に分割されたピニオンギア3のギア歯型を有する円筒部材であり、そのピニオンアウタ32の内周面にはピニオンインナ31の回転トルクを伝えるとともに、圧縮コイルばね(本発明の第1の緩衝部材に相当する)41を保持するところのストッパ33が内側に複数個放射状に突き出し、かつ軸方向に十分な奥行寸法を持って構成されている。また、ピニオンアウタ32の複数個のストッパ33の内側に突き出した先端部が構成する内周面の径は、ピニオンインナ31の谷部の外径より十分大きく、互いに接触することなく回転移動ができる。
一方、内側に分割されたピニオンインナ31は、同様に内周面に摺動部を備える円筒部材であり、そのピニオンインナ31の外周面にはピニオンアウタ32に回転トルクを伝えるとともに、圧縮コイルばね41を保持するところの段差部を設けた段付ストッパ34が、ピニオンアウタ32のストッパ33と対をなす同数個に、放射状に突き出して構成されており、段付ストッパ34の段差部と対をなすストッパ33との間に圧縮コイルばね41を収容する収容部を形成し、この収容部が円周方向に複数個配列されて、各収容部に収容される各圧縮コイルばね41の圧縮によって、回転トルクを分担して均等に伝達する構成となっている。また、段差部を形成しない非段差部は、過大なトルクがかかるときには、ストッパ33と当接し、トルクを直接伝達できる構造となっており、収容部が密着することはなく、所定の間隔を保持するように構成されている。そして、複数個の段付ストッパ34の外側に突き出した先端部が構成する外周面の径は、ピニオンアウタ32の谷部の内径より小さく、互いに接触することなく回転移動ができるようになっている。
そして、各収容部に収容される各圧縮コイルばね41は、各収容部が円周方向に複数個に分れて小さな収容部にて構成されることに呼応し、小型の圧縮コイルばね41で済ませることができるので、個々の圧縮コイルばね41は弾性変形特性を良好に、また慣性を小さく設定することが可能となって、エンジンの圧縮・膨張行程に伴う回転変動に十分追従できる特性を持たせることが非常に容易となる。また、ピニオンインナ31の段付ストッパ34の非段差部が、過大トルクのかかったときにストッパ33と当接する面を正面と呼称するとき、非段差部の正面と背面に、所定の弾性変形特性を有するゴム弾性板42(本発明の第2の緩衝部材に相当する)を接合し、過大なトルクが作用してもピニオンアウタ32のストッパ33と、ピニオンインナ31の段付ストッパ34の非段差部が互いに突当って、衝突の衝撃を和らげ、またトルクに応じて弾性的に変形し、トルクを吸収し、また放出(付勢)することが可能な構成となっている。
なお、実施例1では、緩衝部材4として、第1の緩衝部材として圧縮コイルばね41を、第2の緩衝部材はゴム弾性板42を採用したが、これに限定することなく、第1、第2の緩衝部材ともに圧縮コイルばねとしても、ゴム弾性板としてもよいし、第1の緩衝部材はゴム弾性板を、第2の緩衝部材は圧縮コイルばねとしてもよい。また、ゴム材に限ることなく弾性特性を有する樹脂材でもよく、後述するようにエンジンの圧縮・膨張行程に伴うトルクならびに回転変動のサイクル(速さ)に追従できる弾性変形特性を持つ緩衝材であればよい。
また、実施例1では、ゴム弾性板42はピニオンインナ31の段付ストッパ34の非段差部の両面(当接面の正面と背面)に接合したが、これに限定することなく、ピニオンアウタ32のストッパ33の両面に接合されていても構わない。要は、両ストッパ33、34の母材同士での衝突を避け、かつ衝突の衝撃を和らげ、また回転トルクが作用しても弾性的に変形することが可能な構成であればよく、前記した圧縮コイルばねとゴム弾性板等々との組合せを考慮して、設定すればよい。
〔実施例1の作用〕
エンジンのキースイッチがスタータ位置に設定されると、バッテリ(図示せず)からマグネットスイッチの吸引コイル(図示せず)に通電されて、切替レバー(図示せず)が変位し、オーバランニングクラッチ5およびピニオンギア3は、レバー操作によってヘリカルスプライン61の上を軸方向(図示左方)へ押し出される。そして、ピニオンギア3は、エンジンのクランクシャフトに取り付けられたリングギア7に一時的に噛合し、通電と同時に発生するモータの回転トルクによって、エンジンをクランキングする。エンジンが始動すると、オーバランニングクラッチ5によって、スタータ1のピニオンギア3は空転し、モータの過回転が防止される。
エンジンのキースイッチがスタータ位置から外されると、マグネットスイッチの吸引コイルへの通電が停止され、同時にオーバランニングクラッチ5およびピニオンギア3は通電前の状態に戻り、ピニオンギア3はリングギア7より離脱し、静止状態へ戻る。
図3は、スタータにおけるエンジンのクランキング状態でのリングギアとピニオンギアの回転数(速度)およびモータの換算回転数(速度)の時間変化を示した作動特性図であり、図3(a)は従来のスタータの場合を、図3(b)は、本実施例のスタータ1における作動特性を示したものである。なお、従来のスタータに比べて本実施例のスタータ1は適切な緩衝部材4を配したピニオンギア3を備えているものである。
まず、従来のスタータを用いた場合を図3(a)にて説明する。図示するように、クランキングにおいて、a、b点はエンジンの上死点、下死点を示し、a点からb点までがエンジンの膨張行程を示し、b点からa点までが圧縮工程を示す。エンジンは上死点(a点)を過ぎると膨張行程となるため急激に回転数(速度)が上昇する。エンジンとリングギアはクランクシャフトにより一体的に運動するため、リングギアの回転数(速度)が急激に上昇する。しかし、モータはエンジンからの力がオーバランニングクラッチで遮断されるため、モータ自身のトルクとオーバランニングクラッチの空転トルクとの合成トルクにより加速されるのみであり、従って、図3(a)の二点鎖線のようにリングギアに比してゆっくりと増速する。このとき、ピニオンギアは図4(a)のように、Q面にてリングギアよりの回転力(トルク)を受けるオーバランモードでありリングギアと同一速度となっている。
エンジン(以後、エンジンはリングギアと一体回転するためリングギアの運動をエンジンの運動として説明する)がさらに回転し、下死点(b点)を過ぎると、図3(a)の実線のようにリングギアは圧縮力により減速される。この状態では、図3(a)の二点鎖線で示すようにモータはさらに増速を続けている。一方、ピニオンギアはオーバランニングクラッチの空転トルクにより減速されながら、図4(a)に示すようにリングギアと噛合ったまま一体で回転している。このとき、オーバランニングクラッチの空転トルクがピニオンギアの慣性より大きくなっているので、ピニオンギアは、リングギアより急速に減速されるため、依然として図4(a)のようにリングギアより力(トルク)を受ける状態になっている。
さらに、回転するリングギアは圧縮力が大きくなるので、より急速に減速され、ついには増速中のモータの回転数とA点にて同一となる。このA点までは、まだ図4(a)のように、リングギアからピニオンギア、オーバランニングクラッチを介してモータへ力が伝達される状態でありモータ出力軸からリングギアの間には、ギア間の駆動側のバックラッシュやオーバランニングクラッチの遊びなどがあって、すぐにはモータからの動力をリングギアに伝達できない。従って、ギア間のバックラッシュやオーバランニングクラッチの遊びが零となり、駆動が可能となるまでの空走時間(T1)の空走状態が生じ、図3(a)の実線で示すようにリングギアはさらに減速され、モータはさらに増速された状態となり、大きな相対回転差(N1)を生じた後、B点にて初めてピニオンギアの駆動歯面で噛合い、動力を伝達することになる。当然ギア間では衝突が生じ、大きな衝撃や騒音が発生する。
また、この衝突によりモータは図3(a)の二点鎖線に示すように急激に減速されるとともに、リングギアは増速されるため、リングギアの回転がモータの回転より再度大きくなる現象が生じ、つまりオーバランモード(図4(a))の歯面合わせを生じ、衝突が生じて大きな衝撃や騒音が発生することとなる。そして、次の空走状態が生じ、上記挙動と同様なことが起こって、結局、上死点(a点)を過ぎるまで衝突を繰返すこととなる。
一方、本実施例のスタータ1では、ピニオンインナ31とギア歯型を有するピニオンアウタ32とに内外に分割され、その間に緩衝部材4を介してモータの回転力(トルク)を伝達する構造であるため、緩衝部材4による付勢力が常にモータの回転方向に上乗せされるため図3(b)に示すようなエンジンの膨張行程においては、リングギア7はオーバランモード(図4(a))となるもののピニオンギア3の歯面は緩衝部材4による付勢力によりバックラッシュを持つことなくリングギア7の歯面に当接する駆動モード(図4(b))の挙動を示している。つまり、リングギア7もピニオンギア3も一体で回転し、図3(b)の実線(リングギア)と破線(ピニオンギア)の特性を示す。一方、モータはエンジンからの力がオーバランニングクラッチ5で遮断されるため、モータ自身のトルクとオーバランニングクラッチ5の空転トルクとの合成トルクにより加速されるのみであり、従って、図3(b)の二点鎖線のようにリングギア7に比してゆっくりと増速する。図4(b)はピニオンギア3がリングギア7を駆動し、トルクを伝達する駆動モードであって、この時、駆動歯面にはバックラッシュは存在せずに、バックラッシュは駆動歯面の背面側に生じる隙間Cとなる。
次に、エンジンの下死点(b点)を通過して圧縮行程に入ると、リングギア7は減速されオーバランモード(図4(a))は続くものの、ピニオンギア3の慣性やオーバランニングクラッチ5の空転トルクによって、ピニオンギア3は減速されるのが少し遅れ、緩衝部材4が変形を伴う時間だけ速度が高い状態(図3(b)のh部)が存在し、その後リングギア7の減速に合わせて減速する。この行程においてもピニオンギア3のリングギア7への当接歯面は緩衝部材4による付勢力によって保たれており、駆動モード(図4(b))に相当する歯面合わせを呈して、ギア3、7間での衝突が生じることはない。
さらに、回転するリングギア7は圧縮力が大きくなるので、より急速に減速され、ついには増速中のモータの回転数とA点にて同一となる。このA点までは速度の大きいリングギア7によるオーバランモード(図4(a))であるが、ピニオンギア3内に介装した緩衝部材4による付勢力によりピニオンギア3の歯面はリングギア7歯面に当接したままであるので、A点を通過してモータの回転数(速度)が増速してオーバランニングクラッチ5が繋がってピニオンギア3の駆動が始まっても、既に歯面は当接したままであるため、バックラッシュによる衝突を発生することなく駆動される。
ギア3、7間のドライブモードは、駆動モード(図4(b))の歯面合わせであり、バックラッシュは駆動歯面には存在せずに、背面に隙間Cが存在する。よって、上記説明の従来例での空走時間(T1)は発生せず、そのままモータ出力軸の回転力(トルク)が伝達、駆動される。このとき、減速するリングギア7の必要トルクに応じ、ピニオンギア3内に介装された緩衝部材4はその必要トルクに相当する作用力を受けるので弾性変形を伴い、緩衝部材4は少し縮むこととなる。モータ回転軸はその緩衝部材4が縮んだ分だけ回転が進み、あたかもリングギア7と比べれば少し遅れてからトルク伝達による減速が始まる挙動を示すこととなり、図3(b)に示すように、二点鎖線のモータのみが僅かに増速(遅れて)して(図3(b)のg部)、リングギア(実線)やピニオンギア(破線)の特性と同じ挙動を示すこととなる。
この図3(b)におけるA点以降の減速は、駆動ギア間にバックラッシュのないドライブモードとしての駆動モード(図4(b))の歯面合わせであるので、衝突や大きな騒音が発生することはなく、滑らかな回転駆動となる。また、リングギア7がさらに回転変動を生じたとしても、ピニオンギア3は低慣性であり、緩衝部材4の弾性変形特性も追従性は向上しているので、駆動歯面間に隙間等の生じることはなく、バックラッシュに依存する衝突や騒音の発生を十分抑制することができる。
〔実施例1の効果〕
本発明では、ピニオンギア3を、ピニオンインナ31とギア歯型を有するピニオンアウタ32とに内外に分割し、その間に緩衝部材4を収容する収容部を円周方向に複数個配列してモータの回転トルクを伝達する構造を採用している。従って、個々の緩衝部材4は小型で低慣性、かつ高追従性の弾性変形特性の作り込みが容易となり、緩衝部材4の圧縮による付勢力の迅速な応答を可能として、結果、エンジンの圧縮・膨張行程時に伴うトルクもしくは回転変動に十分追従でき、リングギア7の歯面とピニオンギア3の駆動歯面間に隙間を生じさせずに常時当接させて、互いに叩き合うことにより発生する騒音を低減することができる。
また、ピニオンインナ31には段差部を備えた段付ストッパ34が構成されているので、駆動時に過大なトルクが掛かったときでもピニオンアウタ32とピニオンインナ31のストッパ33、34同士(非段差部)が互いに当接して、トルクを直接伝達することができ、ばね等の圧縮コイルばね41が全圧縮に到らないようにすることができるので、圧縮コイルばね41の破壊や、疲れ破壊(へたり)を防止することができる。また、段付ストッパ34にはゴム弾性板42等の第2の緩衝部材が接合されるので、ストッパ同士の衝突や騒音の発生を防止することができるとともに、圧縮コイルばね41の付勢力の補助として付勢力を付加することができる。
また、緩衝部材4はばねやゴム、もしくは樹脂からなることを特徴とし、ピニオンギア3内に緩衝部材4をすべて収容しているので、大型化が抑制でき、安価で、小型で軽量な静粛型スタータを得ることができる。さらに、副次的効果として、クランキング時のリングギア7とピニオンギア3との噛合い衝撃を吸収することが可能となって、両ギア3、7間の磨耗や破損のない耐久性の優れたスタータを得ることもできる。
は、スタータの駆動機構の軸方向断面図である(実施例1)。 は、図1の要部のD−D断面での径方向半断面図である(実施例1)。 (a)は、従来のスタータのエンジンクランキング時の作動特性図であり(従来例)、(b)は、本発明のスタータのエンジンクランキング時の作動特性図である(実施例1)。 (a)は、リングギアとピニオンギアの歯面の噛合い状態を示すオーバランモードの模式図であり、(b)は、同様に駆動モードの模式図である(実施例1)。
符号の説明
1 スタータ
2 駆動機構
3 ピニオンギア
31 ピニオンインナ(クラッチインナ)
32 ピニオンアウタ
33 ストッパ
34 段付ストッパ
36 C型サークリップ
37 板ばね
38 ストップカラー
4 緩衝部材
41 圧縮コイルばね(第1の緩衝部材)
42 ゴム弾性板(第2の緩衝部材)
5 オーバランニングクラッチ
51 クラッチローラ
52 クラッチアウタ
53 クラッチインナ(ピニオンインナ)
54 クラッチヘリカルスプライン
6 出力軸
61 ヘリカルスプライン
7 リングギア

Claims (5)

  1. エンジンのクランクシャフトに設けられたリングギアと、
    モータの出力軸に進退可能に設けられ、前記エンジンの始動時に進退駆動されるピニオンギアとの噛合いによって、
    前記モータの出力トルクを伝達して前記エンジンを始動するスタータにおいて、
    前記ピニオンギアを内外に分割してピニオンインナとピニオンアウタとなし、
    前記ピニオンインナと前記ピニオンアウタとの間に緩衝部材を収容し、
    前記出力トルクが前記緩衝部材を介して前記ピニオンインナから前記ピニオンアウタに伝達されることを特徴とするスタータ。
  2. 請求項1に記載のスタータにおいて、
    前記ピニオンインナには外側に放射状に突出したストッパを複数個等間隔に設け、
    前記ピニオンアウタには内側に放射状に突出したストッパを同数個等間隔に設け、
    少なくとも一方の前記ストッパには段差部を有する段付ストッパをなし、
    前記ストッパと前記段付ストッパを交互に、かつ同軸に組合せて、
    前記段付ストッパの段差部と対向する前記ストッパとの間に、所定の間隔を有する収容部を円周方向に複数個形成し、
    前記各収容部には前記緩衝部材を収容し、
    前記出力トルクが前記各収容部に収容された前記各緩衝部材に均等に伝達され、
    過大なトルクがかかるときには、前記ストッパと前記段付ストッパの非段差部が当接し、前記トルクが直接伝達されることを特徴とするスタータ。
  3. 請求項1または2に記載のスタータにおいて、
    前記緩衝部材は、第1の緩衝部材と第2の緩衝部材からなり、
    前記第1の緩衝部材は、前記エンジンの圧縮行程時に圧縮して付勢力を蓄え、膨張行程時に伸張して付勢力を放出し、
    前記エンジンの圧縮・膨張行程に伴うトルクならびに回転変動を吸収し、かつ追従する弾性変形特性を備え、
    前記各収容部に収容され、円周方向に複数個配置されて、前記出力トルクが均等に伝達されることを特徴とするスタータ。
  4. 請求項3に記載のスタータにおいて、
    前記第2の緩衝部材は、前記過大なトルクがかかるときには、前記トルクを吸収し、かつ放出する弾性変形特性を備え、
    前記各ストッパと前記各段付ストッパの非段差部が当接するいずれか一方の当接面と、前記各ストッパと前記各段付ストッパの非段差部のいずれか一方の前記当接面の反当接面側とに複数個配置されて、
    前記過大なトルクが均等に伝達されることを特徴とするスタータ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1に記載のスタータにおいて、
    前記第1の緩衝部材および前記第2の緩衝部材がばね、またはゴムもしくは樹脂からなることを特徴とするスタータ。
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