JP2007070819A - 防音床構造、防音床材及び防音床構造の施工方法 - Google Patents

防音床構造、防音床材及び防音床構造の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】第三者歩行振動を気にならないレベルにまで改善し、かつ、重量床衝撃音の低減効果を低下させない床を得る。
【解決手段】床版と、前記床版上に配置固定される複数の防音床材1と、防音床材1上に積層固定される板材と、前記板材上に固定される表面仕上材とを具える防音床構造を提供する。この防音床構造では、防音床材1が、細長い支持部材2及び複数の衝撃吸収部材A,B,Cからなり、衝撃吸収部材Cが金属バネであり、衝撃吸収部材B,Cが金属バネ以外の衝撃吸収材であり、各衝撃吸収部材A,B,Cの各々離間させた支持部材2への配置固定によって、2群以上の衝撃吸収部材群I,II,IIIが形成されており、各衝撃吸収部材群I,II,IIIが2以上の衝撃吸収部材を含んでいる。また、防音床材1及び防音床材1を用いる防音床構造の施工方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として、階下の重量床衝撃音を大きく低減させるだけではなく、設置床上に於いて、床に直接又は椅子等を介して人等の荷重が加わった場所等で、第三者がその周囲を歩き回っても、第三者による歩行振動等を全く気にならないレベルにまで改善する事が出来る防音床構造、それに用いる防音床材及び防音床構造の施工方法に関する。
従来より、床版から一定高さを浮かせた浮板や二重床と呼ばれる床は、主として、RC造の上階床下面を下階の天井とする、直天と呼ばれる居室で、給排水配管を通す為や、バリアーフリーと呼ばれる段差のない床を形成させ易い為、多用されている。一方、戸建住宅や低層集合住宅では、天井空間やパイプシャフトに給排水管を通す為と天井高を低くする事を避ける為、浮床や二重床が使われていなかった。ところが、重量床衝撃音を改善する為には、浮床や二重床の様に直接床版に衝撃を受けない床構造が圧倒的に有利であり、かつ、衝撃吸収の仕組みを作り易い点から検討され始めた(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−144999号公報
一方、重量床衝撃音を改良する床自体は重量床衝撃源の床衝撃を直接受ける為、床本体は衝撃吸収する為の許容変位量を本来有する様に設計されている。ところが、第三者歩行床振動と言う、床に直接又は椅子等に座っている時、第三者が近くを歩行すると床振動を感じ、それに違和感があるので、この第三者歩行振動等を気にならないレベルにまで改善したいという要求が生じる。
本発明は、この第三者歩行振動等を気にならないレベルにまで改善し、かつ、重量床衝撃音の低減効果を低下させない床を得る事を目的とする。
本発明は、床版と、前記床版上に配置固定される複数の防音床材と、前記防音床材上に積層固定される板材と、前記板材上に固定される表面仕上材とを具える防音床構造において、前記防音床材が細長い支持部材及び複数の衝撃吸収部材からなり、前記各衝撃吸収部材のうち1以上が金属バネであり、前記各衝撃吸収部材のうち1以上が金属バネ以外の衝撃吸収材であり、前記各衝撃吸収部材の各々離間させた前記支持部材への配置固定によって2群以上の衝撃吸収部材群が形成されており、前記各衝撃吸収部材群が2以上の衝撃吸収部材を含んでいる事を特徴とする、防音床構造、防音床材及びかかる防音床構造の施工方法に係るものである。
従来、前述の第三者歩行振動を気にならないレベルにまで改善する要求は無く、又文献等にもこの様な対応は見られない。また、振動ピックアップで測定した振動減衰時間、振幅、振動周波数等々と感覚の相関は、極端に意図的に振動し易い床を試作した以外では、ほとんど得られない事を本発明者等は知見した。
ところが、その様な振動ピックアップで計測して、どの様な項目もほとんど同結果が得られる床であっても、驚くべき事であるが、人間の感覚の方がはるかに敏感にその差を感じる能力があるという知見を得た。
そこで、本発明者等は様々な振動計測データを蓄積すると共に、感覚チェックを必須として多くの実験を行った結果、第三者歩行振動等が、床構造の中で防音床材の衝撃吸収材の配置に大きく影響を受ける事を知り、本発明を完成した。
本発明は、従来から床衝撃音の解決が困難であった戸建住宅や低層集合住宅の様な構造材間の固定度が低い建築物において、構造上の大きな変更なしに、階下の重量床衝撃音の性能L−55を損なう事なく、階上の床に於いて、第三者歩行振動をほとんど感じないレベルにまで解消する事を課題としている。
本発明では、床の構成材としての防音床材に、金属バネを含む複数種類の衝撃吸収部材を用い、金属バネの特徴である大きな衝撃に対しては瞬時に変形するが、衝撃力が解除されると瞬時に復元するという特徴を有効に用いる。また、金属バネを、人の体重程度ではほとんど床が変形しない程度に、他種の衝撃吸収部材と組み合わせる。これにより、鉛直方向のゆれを非常に小さく出来る。
本発明では、防音床材を構成する衝撃吸収部材の支持部材に対する配置を複数で群状にする。これにより更に鉛直方向のゆれが小さくなる。この群内では、2以上の同じ種類の衝撃吸収部材を用いる事が出来る。また、この群内では、各衝撃吸収部材を、支持部材の幅方向に関して、支持部材の長さ方向の中心線の各々の外側において、対向及び/又は斜め方向に対向させて配置固定する事が出来る。これにより水平方向のゆれを解消出来る。
本発明者等は、第三者歩行振動を解消する1つの目安として、振動感覚と衝撃吸収部材の配置との関係を、1m角(以下、「1m」又は「単位面積」という事がある。)内で衝撃吸収部材を圧縮する応力が一番強い床部分と一番弱い床部分とを衝撃吸収部材の配置パターンから算出し、これが床組み後の振動感覚と相関がある事を見出した。
衝撃吸収部材の配置は、床平面1mで見た時、どの場所の単位面積であっても、衝撃吸収部材を3mm圧縮する応力が30kgf(294.2N、1kgf≒9.80665Nとして換算)/m2以上150kgf(1.471kN)/m2以下であって、衝撃吸収部材を5mm圧縮する応力が75kgf(735.5N)/m2以上400kgf(3.923kN)以下である様にすると良い。
つまり、衝撃吸収部材の上の単位面積当りの床の静荷重は、通常、40〜50kgf(392.3〜490.3N)/m2であるから、床の表面仕上材を施工した段階で、2〜4mm程度の衝撃吸収部材の変形があり、これを、床荷重変位の開始点となる様に設定すると、人が床に直接又は椅子に座った状態で周囲を第三者が歩行等する時、床荷重変位の開始点からは計算上はせいぜい1〜3mmの変位しか受けない。ところが、実際の床は1m角で床が切れている訳ではなく連続面として形成されているので、更に変位量は少なくなる。
この様に、衝撃吸収部材の圧縮強度を設計する事で、重量床衝撃音の性能をL−55に確保したまま、床振動の振幅を小さくする事によって、第三者歩行振動等による違和感が解消される。
床の単位面積当り3mm圧縮するための衝撃吸収部材の応力の和が30kgf/m2未満の時は、徐徐に床荷重変位の開始点が低くなり、衝撃吸収部材は非常に小さな圧縮応力になり過ぎ、却って衝撃変位の大きな床となり易く、床振動に横ゆれ感を与えるので好ましくない。逆に150kgf/m2を超えると、床変位開始点ではほとんど変位しない圧縮強度の強過ぎる床となり、重量床衝撃音が悪化し易いので好ましくない。単位面積当り5mm圧縮応力の和が75kgf/m未満であると、圧縮応力が小さくなり、床振動の振幅が大きく、第三者歩行振動の解消は難しくなるので好ましくない。逆に400kgf/m2を超えると、徐々に床衝撃時の変位が小さ過ぎる床となり、重量床衝撃音が悪化してしまい、L-55を確保出来なくなる傾向があるので好ましくない。
施工時、防音床材は長手方向に列状に配置され、前の列から一定の距離を離して次の列を形成する事が出来る。このとき、隣り合う防音床材に設けられた衝撃吸収部材又はそれらの群は圧縮強さの異なるものが隣り合う様に配置する事が出来る。この様に、異なる圧縮強さの衝撃吸収部材が交互に配置される様にすると、床面をより均一な圧縮強度に出来、横ゆれ感の解消に特に効果がある。
金属バネは圧縮強度が大きい割に粘弾性体の粘弾性体の衝撃吸収部材よりも相対的に大きな衝撃変位がとれるが、第三者歩行振動にはバネの感触が残り易く、違和感を与えるので、金属バネの近傍には粘性に富む粘弾性体の衝撃吸収部材を設ける事が好ましい。
さらに好ましくは、金属バネの高さを粘弾性体等の衝撃吸収部材よりも低くし、床の静荷重では床版や床板から金属バネが浮いた状態としておく事が好ましい。このとき、浮く距離は1.5mm以下が好ましく、更に好ましくは1mm以下である。つまり、1.5mmを超えて浮く事は、人の載荷によって1.5mm分が変位する事を意味し、粘弾性体は柔らかい故に、微妙な横ゆれが生じ、徐々に違和感が生じる為である。
この現象を最小に抑える為の更に好ましい他の例は、柔らかいポリマーを金属バネの先端の床版又は床板側に固定しておく事であり、これによって、直接バネが接地して生じるバネのビンビン感を抑制する事が出来る。このポリマーは、特に限定はしないが、各種ゴムやポリエチレン、ポリプロプレン、ナイロン、エチレン酢酸ビニル等の汎用ポリマーで充分であり、その厚みは0.3〜2mm程度が良い。この様にする事で、床の静荷重である程度の床変位を予め除去出来、ここを人が床に乗った時の変位開始点と出来、最終的には人にとって床変位の少ない、しっかりとした硬い床の印象を与える。それ故に、第三者歩行振動がほとんど気にならないのにLH55の音性能が確保された床が得られる。
本発明により、RC造はもとより、従来、衝撃音の改善効果が非常に出し難がった構造材間の固定度の低い戸建住宅や低層集合住宅での重量床衝撃音を大きく低減するだけでなく、この様な効果を得ようとすると柔らかい床である為に変位量が大きくなる傾向があった床の第三者歩行振動等をほとんど感じなくなる程度に、硬く床変位量の少ない床とする事が出来る。本発明により、床の振動が気にならず快適に生活する事が出来る。
本発明の防音床構造は、床版と、床版上に設置される防音床材と、防音床材上に積層固定される板材と、その上に設けられる表面仕上材とから構成する事が出来る。
(1)(床版)
床版は、一般に梁上に固定されるが、梁と床版の間は、防振ゴム、ゴムやポリマーの発泡体、コルク、フェルト等の振動絶縁材を介して固定する事が好ましい。床版には、木床パネル、ALC、押出中空セメント版、中空部に発泡体、粘弾性体、ゴム粉末、プラスチック粉末、砂等を単独又は併用して充填した押出中空センメント版等が例示される。床版上に、合板、パーチクルボード、石膏ボード等の板材を単体で又は組み合わせて床版を連結一体化して、その結果、全体として重く振動しにくい床版とする事が好ましい。前記板材は、床版の長手方向と板材の長手方向とを直交し、かつ床版の長辺、短辺の継目が板材の長辺、短辺の継目と一致しない様に積層する事が望ましい。
(2)(防音床材)
防音床材は細長い支持部材に複数の衝撃吸収部材を固定したものである。本発明の防音床材は、圧縮変位が非常に少ないので、床外周近傍を1周又は2周させて用いる端部際根太としても良い。また、防音床材は、支持材上に、別にスペーサを部分的に加えて、書棚等、特に重量のある載荷物に対し一定変位以上変位しない様な抵抗性を備えても良い。
(3)(支持部材)
支持部材の長さは、通常、建物のモジュールが910mmであるので、1820mm程度の長さが適当な長さとなる。また、施工時の切断ゴミを出さないという観点から、1820mmより若干短い長さと、900mm長さ、455mm長さ程度の三種を用意しておけば、たとえ切断しても、前記の短い部材と組み合わせれば良い。支持部材の材質は、特に制約はないが、施工性の観点からは、合板やパーチクルボードの様な木質材が、容易に切断出来るという点と、ビスや釘での固定が容易という点とで適している。支持部材の上面、つまり板材とのとり合い側は、ポリマー発泡体、ゴムシート等で微妙な高さを調整する事や、板材とのこすれ音の発生を防止する事も出来る。
(4)(衝撃吸収部材)
支持部材の上面及び下面の少なくとも1方に固定する衝撃吸収部材は、特に制限はしないが、金属バネとそれ以外の衝撃吸収部材とからなる。金属バネ以外の衝撃吸収部材は、特に制限せず、種々のばね、重合体、ゴム、プラスチック等からなるものであり、特に粘弾性体からなるものが好ましい。金属バネとしては、圧縮時に線同士が接触し難く、高さを低く出来る円錐状バネが水平方向に変位することもなく好適である。
金属バネを使うには、座金にかしめ部を形成し、しっかり固定して、座金を支持部材にビス固定又は接着又はそれらの併用をする事が良く、前述の如く、金属バネ先端の床版等に接地する部分に、ポリマーを固定して、バネと床版が直接接触して生じるバネのビンビン感を低減しておく事が好ましい。
特に、第三者歩行振動を改良するには、金属バネ以外に、粘弾性体の衝撃吸収部材を、1種〜3種で構成し、圧縮変位量と圧縮応力との組合せによって、床の第三者歩行振動等の低減と重量床衝撃音の低減との両立を図る事が好ましい。つまり、第三者歩行振動等を改善するには、相対的に圧縮強度の高い粘弾性体の衝撃吸収材を金属バネの近傍に用いる事で、床の静荷重では金属バネが床版からやや浮いた状態で用いる事が、鉛直方向の第三者歩行振動を改善する上で効果的である。
バネ先端の床版接地側等にポリマーを0.3mm〜2mm厚で固定する場合は、床版からやや浮いた状態ではなくても床版に接地していても床振動に悪影響を与え難くなるのでこの方法でも良いが、金属バネの近傍に相対的に圧縮強度の高い粘弾性体の衝撃吸収部材を用いる事に変わりはない。
重量床衝撃音のL−55を達成する事だけを目的とする場合と比べ、更に第三者歩行振動を気にならないレベルにまで低減しようとすると、衝撃吸収部材の支持部材1本当りの総数は増量せざるを得ない。これは、第三者歩行振動が、まず、第三者が被検者の周りを歩くとき、床に変位し易い所、変位し難い所が生じる事を、防音床材の段階で解消しておく必要からである。
この事は、実験を重ねる中で知り得た知見の中で予想外の知見である。防音床材上の複数の板材の積層方法、積層数の増加、層間の固定ピッチに拘らず、人が第三者歩行振動を感じない様に積層する事は不可能であった。さらに、検討する中で、結果として、防音床材の施工の段階で、変位の均一性を確保する事が、第三者歩行振動の改善の第一歩であるという知見が得られた。この第一歩に失敗すると、他の方法では、かかる問題を解消する事は困難若しくは出来ないと思われる。
第三者歩行振動を解消する為には、圧縮強度の大きい衝撃吸収部材(金属バネ)の数を増し、この圧縮強度の大きな金属バネ等の弾性に起因する縦ゆれを減衰させる事に注目すべきである。この為、粘弾性体の衝撃吸収部材を金属バネの近くに用いて、金属バネの弾性残りが生じない様に床版と支持材両方に固定する。これにより、粘弾性体の衝撃吸収部材は、金属バネと比べて相対的に復元性が遅いが故に、衝撃力解除と同時に金属バネが瞬時に復元しようとして、粘弾性衝撃吸収材を急激に引っ張り上げようとするが、粘弾性体の衝撃吸収部材がこの衝撃反力にブレーキをかけ、結果として、床振動の振幅の減少、振動減衰に非常に効果が高くなる。これが、第三者歩行振動等の改善が得られる衝撃吸収部材の分布バランスの均一化及び適正化の機構であり、この事によって、第三者歩行振動等が、重量床衝撃音の低減との相剰効果として、人体に対してもほとんど感じない程度にまで改善出来る。
本発明者等の実験結果からすると、支持部材への各衝撃吸収部材の配置は、芯々50mm〜250mmの2〜5個の衝撃吸収部材の群で用いるのがよい。また、群の芯々は200mm〜350mmであるのが好ましく、金属バネが支持部材の幅方向に関して支持部材の中心線の外側で各々対向及び/又は斜め方向に対向させる場合は、第三者歩行振動は非常に良い結果となる。ある衝撃吸収部材の群と別の衝撃吸収部材の群との区別は、群内の衝撃吸収部材間の距離よりも、群の間での衝撃吸収部材間の距離が長い事から定める事が出来る。
衝撃緩衝部材を群で分ける意義は、完全に解明している訳ではないが、本発明者等の検討によると、衝撃吸収材を群として用いる事で、衝撃吸収材より上の床構成材の静荷重による変位開始点を2〜4mmのうち、より2mmに近い所、つまり静荷重で2mm位しか変位しない床に設定する事が可能となる。このとき衝撃吸収材を単独で用いて変位開始点を2〜4mmに設定すると衝撃吸収材1個当りの圧縮強度が強すぎて重量床衝撃音は悪化しL-55は満足できなくなる。そこで1つ当りの衝撃吸収材の圧縮応力は小さくなっても群として全体の圧縮応力を大きくする事で床版への衝撃力を分散してやる事で、重量床衝撃音も悪化させる事なく、床の変位が少なく第三者床振動もほとんど感じなくなる床が得られる、と考えられる。
(5)(板材)
防音床材上に積層される板材は、特に制限されず、通常用いられる種々のものでよく、複数で積層して構成する事が出来る。防音床材の上に配置される最下層の板材は、使用する板材の中で一番曲げ剛性の大きいものを用いる事が望ましい。また、防音床材上の板材は、床衝撃を出来るだけ、広い面積に分散させる上で、上層の板材の長辺を下層の板材の長辺に対し、長辺同士を直交させ、下層の板材の弱い所、つまり、継目部分等を補強する様に、継目をずらして継目を覆う様にして、ビス固定する事が望ましい。これらの層に遮音材を用いる場合、遮音材は複数の板材間に介在させて使用する事が望ましい。これは、遮音材からの可塑剤、老化防止剤等の移行による表面仕上材の変色やその他の悪影響を防止する上で効果がある。
(6)(表面仕上材)
通常使用される床仕上材なら何でも使用出来る。但し、特に軽量床衝撃音改善用の仕上材は本発明では防音床構造自体でL−50以上の性能があるので特に使う必要はない。
(7)(防音床構造の施工)
施工面での工夫により更に床の均質化を行う方法としては、床外周の際根太の種類を問わず、防音床材は長辺の延長上に列が形成され、更にその列から一定ピッチで別の列を形成する事が出来る。このとき、防音床材の長辺方向に直交する方向に衝撃吸収部材の単体又は群が形成されるが、それ等の圧縮強度の強弱が列毎に交互に配置される様に、防音床材を一定寸法ずらして固定配置すると、より一層床の均質性が向上出来るので同じ材質であっても更に第三者歩行振動が改善出来る。
以下、図面を参照して、実施例により本発明をより一層具体的に説明する。
図1(a)は本発明の1例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、図1(b)は(a)の防音床材の側面図である。図2(a)は本発明の他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、図2(b)は(a)の防音床材の側面図である。図3(a)は本発明の更に他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、図3(b)は(a)の防音床材の側面図である。図4(a)は本発明の更に他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、図4(b)は(a)の防音床材の側面図である。図5(a)は本発明の更に他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、図5(b)は(a)の防音床材の側面図である。図6(a)は本発明の更に他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、図6(b)は(a)の防音床材の側面図である。図7(a)は本発明の更に他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、図7(b)は(a)の防音床材の側面図である。図8(a)は比較例の床材における衝撃吸収材の配置図であり、図8(b)は(a)の床材の側面図である。
各実施例に於いて、実験は以下の様にして行う。
上階開口部で、その四隅をRC造実験室の床にボルト固定した鋼板に、ボルト固定したジョイントボックスを設置し、大梁長辺2本と短辺1本と小梁2本をボルト固定して梁組を作り、短辺梁上に両端1列、中央2列の防振ゴムを貼り付け、その上に、ALC床版(100mm厚×606mm幅×1820mm長さ)を片側3枚ずつ載せ、計6枚をALC固定穴に固定治具を通し、梁と固定する。
次に、硬質石膏ボード(9.5mm厚×910mm幅×1818mm長さ)を敷き、その上に、パーチクルボード(12mm厚×910mm幅×1820mm長さ)をALCと直交方向に敷き、縦横303ピッチでDACビスにてALCに固定し、連結一本化床版を作製する。この床版は各実施例共に共通して用いる。
この上に、各実施例の防音床材を床版外周に1周させ、その内側に防音床材を長辺方向芯々で303mmピッチで床版に固定する。その上に、床材として、最下層にパーチクルボード(20mm厚×606mm幅×1818mm長さ)を防音床材の長辺方向に長辺を直交させて、縦横303ピッチでビス止めし、その上に、遮音マット(4mm厚×455mm幅×910mm長さ)を全面に敷き、次に、パーチクルボード(15mm厚×910mm幅×1820mm長さ)を最下層の板材の長辺に長辺を直交して設置し、最下層のパーチクルボードに縦横303mmピッチでビス固定する。次に、カラーフロアー(12mm厚×303mm幅×1818mm長さ)をビス固定する。
上述の防音床材上の板材、遮音マット、カラーフロアーは、各実施例において、全て同一物を共通して用いる。各実施例の相違は、防音床材の構成の相違のみである。
[実施例1]
図1(a)及び(b)に示す防音床材1を用いて、防音床構造を施工する。防音床材1は、各衝撃吸収部材を図1(a)及び(b)に示す様に配置する。
防音床材1は、支持材2として、9mm厚×100mm幅×1740mm長さの合板を用い、楕円台状粘弾性衝撃吸収材Aで、上面(22mm幅×42mm長さ、両端半径11mmの半円)及び下面(44mm幅×88mm長さ、両端半径22mmの半円)、高さ27mmを有するもの、円錐台状粘弾性衝撃吸収材Bで、上面(半径11mmの円)及び下面(半径22mmの円)、高さ27mmを有するもの、円錐状金属バネ衝撃吸収材Cで、座金3及びキャップ4を備え、上面(外径20mm)及び下面(外径37mm)、高さ25mmを有するものを用いる。
衝撃吸収材A、Bは、上面を支持材へ接着固定し、下面には1mm厚粘着シーラー5を設けて、床版との固定用とする。衝撃吸収材Cは下面の座金にカシメ固定してあり、座金の穴を利用して支持材にビス固定する。各衝撃吸収材は、支持材の左端より30mmの位置に印を入れ、そこから280mmピッチで印を計7ヵ所入れ、衝撃吸収材A、Bの各々1個ずつを組み合わせる衝撃吸収材群Iを4ヵ所、衝撃吸収材B、Cを各々2個ずつ組み合わせる衝撃吸収材群II,IIIを3ヵ所、支持材に、防音床材の長さ方向で左右対称となる様に配置して、防音床材1を作製する。なお、衝撃吸収材群IIは、防音床材の長さ方向での衝撃吸収材の芯/芯の長さが100mmである。
衝撃吸収材B、Cを組み合わせる群IIは、衝撃吸収材Bの2組及び衝撃吸収材Cの2組がそれぞれ各々支持材の幅の中心線6の外側で斜め方向に対向する様に配置する。衝撃吸収材B、Cを組み合わせる群IIIは、中央には支持材の幅の中心線6より外側に衝撃吸収材Cを各々対向させ、衝撃吸収材Bは中心線上で各々対向させて配置する。衝撃吸収材B、Cの群IIは、2つ用い、支持材の両側近くに対称的に配置する。この防音床材で防音床構造を施工する。
[実施例2]
図2(a)及び(b)に示す防音床材11を用いて防音床構造を施工する。防音床材11では、各衝撃吸収材を図2(a)及び(b)に示す様に配置する。
防音床材11では、支持材は実施例1と同様に合板(9mm厚×100mm幅×1740mm)を用い、衝撃吸収材A、B、Cも実施例1と同じものを用いる。異なる組合せの衝撃吸収材群IV、Vを用いる点が実施例1と異なる。両端に、衝撃吸収材A、Bの各々1個からなる群Iを用い、群Iの芯は両端から255mmとする。その他の群IV、Vの芯は280mmの等ピッチとする。
衝撃緩衝材群IVでは、中心線9上に衝撃吸収材Bを1個配置し、それを含む延長線上に衝撃吸収材Bを2個斜め方向に対向させて配置し、衝撃吸収材Bの対向方向に交差する様に斜め方向に衝撃吸収材Cを2個対向させて群を形成する。中央の群IVの両側に衝撃吸収材A1個と中心軸6上で対向する衝撃吸収材B2個からなる群Vを設ける。その両側には、中央に設けた衝撃吸収材B3個、C2個からなる群IVと同じ群IVを配置して防音床材とする。実施例1と同様に防音床構造を施工する。
[実施例3]
図3(a)及び(b)に示す防音床材21を用い防音床構造を施工する。防音床材21では、各衝撃吸収材を図3(a)及び(b)に示す様に配置する。
防音床材21では、実施例1、2と同様に、支持材、衝撃吸収材A、B、Cを用い、中心線6に関して対向する様に衝撃吸収材Bを用いる群VI、VII、VIIIを形成させ、これらの群の芯ピッチは両側255mm、その他を280mmピッチとする。衝撃吸収材B2個、C1個の群VIIは防音床材の長さ方向の衝撃吸収材の芯/芯の全長が150mmである。
[実施例4]
図4(a)及び(b)に示す防音床材31を用い防音床構造を施工する。防音床材31では、各衝撃吸収材を図4(a)及び(b)に示す様に配置する。
防音床材31では、実施例1〜3と同様に、支持材、衝撃吸収材A、B、Cを用い、衝撃吸収材A及びCからなる群IX及び単体の衝撃吸収材Aを形成させる。各群IX、II又は単体の衝撃吸収材Aの芯ピッチは、両側255mm、その他を280mmピッチとする。なお、衝撃吸収材B、Cが各々斜め方向に対向する群IIは、防音床材の長さ方向の衝撃吸収材の芯/芯の全体の長さを、実施例1及び2の100mmに対して、150mmの長さに拡げる。この防音床材を用いて、実施例1と同様に防音床構造を施工する。
[実施例5]
図5(a)及び(b)に示す防音床材41を用い防音床構造を施工する。防音床材41では、各衝撃吸収材を図5(a)及び(b)に示す様に配置する。
防音床材41では、衝撃吸収材の群VI、X、VII又は単体の衝撃吸収材Aを、芯々ピッチで、両側180mm、その他を210mmとする。この防音床材を用いて、実施例1と同様に防音床構造を施工する。なお、この例でも、支持材、衝撃吸収材A、B、Cは実施例1と同じである。
[実施例6]
図6(a)及び(b)に示す防音床材51を用い防音床構造を施工する。防音床材51では、各衝撃吸収材を図6(a)及び(b)に示す様に配置する。
防音床材51では、群Iを両端から255mm、その他で群I、Xの芯々ピッチを280mmとする。この防音床材を用いて、実施例1と同様に防音床構造を施工する。なお、この例でも、支持材、衝撃吸収材A、B、Cは実施例1と同じである。
[実施例7]
図7(a)及び(b)に示す防音床材61を用い防音床構造を施工する。防音床材61では、各衝撃吸収材を図7(a)及び(b)に示す様に配置する。
防音床材61では、群Iを両端から255mm、その他で群I、XIの芯々ピッチを270mmとする。この防音床材を用いて、実施例1と同様に防音床構造を施工する。尚、この例でも、支持材、衝撃吸収材A、B、Cは実施例1と同じである。
[比較例1]
図8(a)及び(b)に示す床材61を用い防音床構造を施工する。床材61は、各衝撃吸収材を図8(a)及び(b)に示す様に配置する。
この床材を用いて、実施例1と同様に床構造を施工する。尚、この例では、支持材、衝撃吸収材A、B、Cは実施例1と同じであるが、衝撃吸収材が群を形成していない。
[評価]
各実施例及び比較例において、JIS−A−1418−2:2000に準じて重量床衝撃音を測定し、第三者歩行床振動は、感覚評価として、被検者10名によって、非常に良い(◎)、良い(○)、気になる(△)、悪い(×)で評価し、それらの結果を集計する。これらの評価では、被検者が(1)直接床に座る、(2)椅子に座るの2種の状態で、その周囲を第三者が歩き回って評価する。その他の評価としては、被検者が歩行したときの歩行感、テーブル上のコップ中の水のゆれ、コーヒーカップとスプーンを受皿上に置いた時の音発生の有無も含める。それらの結果を、構造の概要と共に表1及び2に示す。
[単位面積当りの圧縮応力の和の求め方]
予め各種衝撃吸収材の6mm圧縮を行い、1mm単位で応力と変位の関係の測定を行なう。次に、施工面積中の防音床材の配置図を作成し、防音床材中への衝撃吸収材の配置を記入し、図の縮尺に応じた単位面積に相当する透明フィルムを、図中を上下、左右に平行移動させ、衝撃吸収材の種類と数により、3mmと5mmに圧縮した時の単位面積当りにかかる各衝撃吸収材の応力の和で一番大きい場合と一番少ない場合を探し出す。
[床の変位の開始点の求め方]
上記圧縮応力の計算で用いた各衝撃吸収材の1mm単位での応力と変位の測定値を用いて、同様に単位面積当りの圧縮応力の和で一番大きい場合と一番小さい場合の位置で、床構成材の単位面積当りの静荷重(M)からAmm〜Bmmの間を1mm単位で求め、Amm圧縮するに要する応力(x)とBmm圧縮するに要する応力(y)より、1mm変位の間では応力と変位は比例すると仮定して、次の式:
変位開始点=A(mm)+〔M−x〕/〔y−x〕(mm)より求める。
[金属バネの浮きの測定]
床版の面材パーチクルボードと金属バネ先端のキャップとの間にスキマゲージを差し込んで測定する。
Figure 2007070819
Figure 2007070819

以下、実施例及び比較例の結果から、本発明の効果を説明する。
実施例1は、1本の支持材に、粘弾性衝撃吸収材A、B各1個の群4個と粘弾性衝撃吸収材Bと、金属バネ衝撃吸収材C各2個を支持材の幅方向に対し、中心線から各々外側に斜め方向に対向して配置する群2個と、粘弾性衝撃吸収材Bと金属バネ衝撃吸収材Cを各2個のうち、金属バネ衝撃吸収材Cを支持材の幅方向に対し、中心線から各々外側に対向して固定配置する群1個とを配置する防音床材とした例である。
床の単位面積当りの3mm圧縮及び5mm圧縮では、各々圧縮強度の和は、3mmで30kgf/m2以上150kgf/m2以下、5mmで75kgf/m2以上400kgf/m以下の範囲であり、第三者歩行床振動をほとんど感じない床と言える。床変位の開始点も、一番圧縮強度が強い所と弱い所とが共に2〜4mmでその差も0.5mm程度しかない。これは、床がほぼ均一な変位をする事を示し、第三者歩行床振動で横ゆれを感じない床と言える。
床変位開始点では、圧縮強度の大きい金属バネがわずかに浮き、人の体重でバネが作用を始める事を示し、体重程度ではほとんど床の沈みが少ない床となる事を示している。
重量床衝撃音もL54であり、好結果となっている。第三者歩行床振動も10名の被検者共各項目で7割以上が非常に良いとし、残る者も良いと評価している。
実施例2は、1本の支持材に、粘弾性衝撃吸収材A、Bを各1個とする群を2個と、粘弾性衝撃吸収材A,Bを、Aの両側にBを設け、計3個とする群を2個と、粘弾性衝撃吸収材B3個と金属バネ衝撃吸収材2個を支持材の幅方向に対し中心線上と中心線から各々外側に斜め方向に対向して設ける群3個とを配置する防音床材とした例である。
床の単位面積当りの圧縮強度の和は、一番弱い所と強い所で、3mm圧縮及び5mm圧縮共に適正範囲であり、第三者歩行振動をほとんど感じない床と言える。床変位の開始点も、単位面積当りで一番圧縮強度が弱い所と強い所で、共に2〜4mmで、その差も0.5mmであり、均一な強度が得られ、横ゆれのない床と言える。床変位開始点での金属バネの浮きも0.8mmであり、人の体重程度ではほとんど床の沈みがない床と言える。重量床衝撃音もL56で良好な結果を示している。
10名の被検者による判定も歩行感を除き他の項目はいずれも7名以上が非常に良いとし、残る者も良いとしている。ただ、歩行感は6名が非常に良い、3名が良い、1名が気になる(少し硬い)という結果であったが、大略良いと判断される。
実施例3は、1本の支持材に、粘弾性衝撃吸収材Aの一方に支持材中心線の外側に各々1個ずつ粘弾性衝撃吸収材Bを設ける群を2個と、粘弾性衝撃吸収材Aの両側に粘弾性衝撃吸収材Bを支持材中心線の外側に斜めに対向させる群2個と、金属バネ衝撃吸収材Cを支持材中心線上に1個とその両側に粘弾性衝撃吸収材を各々斜めに対向して設ける群を3個とを配置する防音床材を用いる例である。
単位面積当りの圧縮強さ3mm及び5mmの各圧縮共に適正範囲であり、第三者歩行振動をほとんど感じない床と言える。床変位の開始点は、圧縮強度の一番弱い所も強い所も共に2〜4mmで、その差も0.64mmと少なく、均一な強度が得られ、横ゆれのない床と言える。床変位の開始点での金属バネの浮きも、1.3mmであり、人の体重での沈みも少ない床と言える。重量床衝撃音も、L55で良好な結果が得られる。10名の被検者による床の感覚テストも、全員が非常に良いか、良いという判断をしている。
実施例4は、1本の支持材に、粘弾性衝撃吸収材A1個と金属バネ衝撃吸収材C1個からなる群を2個と、粘弾性衝撃吸収材A1個を単独で2ケ所、粘弾性衝撃吸収材B2個と金属バネ衝撃材C2個とを各々支持材の中心線の外側に斜めに対向配置する群を3個とを配置する例である。
単位面積当りの3mm及び5mmの各圧縮強度も、適正範囲内であり、第三者歩行振動をほとんど感じない床と言える。床変位の開始点も、単位面積当り一番強い所と一番弱い所も共に2〜4mmで、その差も0.42mmと少なく、横ゆれのない均一な床と言える。床変位の開始点での金属バネの浮きはないが、体重程度でほとんど沈み込みがなく、バネ先端のキャップでバネのビンビン感が抑制されている。重量床衝撃音もL56で良好な結果が得られている。10名の被検者による床の感覚テストも、全員が非常に良いか、良いの判断を示し、特に問題がないと言える。
実施例5は、1本の支持材に、粘弾性衝撃吸収材A1個とその一方の側に粘弾性衝撃吸収材B2個とからなる群を2個と、粘弾性衝撃吸収材Aが単独で2ケ所と、金属バネ衝撃吸収材C2個と粘弾性衝撃吸収材2個とが各々、支持材の中心線の外側に斜めに対向して設けられる群が2個と、金属バネC1個を支持材中心線上とし、粘弾性衝撃吸収材B2個を中心線の外側に斜めに対向して設ける群が1個とを配置する例である。
単位面積当り圧縮強度は、一番強い所と弱い所の3mm及び5mmの各圧縮に於ける適正範囲内であり、第三者歩行振動をほとんど感じない床と言える。床変性の開始点も、圧縮強度が一番強い所と弱い所共に2〜4mmで、その差も0.65mmと少なく、均一な床で横ゆれがないと言える。床変位の開始点では0.1mm金属バネが浮き、体重での沈み込みが少ない事が判る。重量床衝撃音も、L54と良好な結果である。10名の被検者による床の感覚テストも、7名以上が各項目で非常に良いとし、全員が非常に良い、良いと判断している。
実施例6は、1本の支持材に、粘弾性衝撃吸収材A,Bを各々1個設ける群を4個、粘弾性衝撃吸収材Bと金属バネ衝撃吸収材とを各1個支持材中心線の外側に対向して設ける群を3個とを配置する例である。
床の単位面積当り一番圧縮の弱い所と強い所は、3mm及び5mmの各圧縮強度共に適正範囲内にあり、第三者歩行振動はほとんど感じない床と言える。床変位の開始点も、2〜4mmで、その差も1.02mmで、均一な横ゆれのない床と言える。床変位の開始点で金属バネの浮きはないが、体重程度ではほとんど沈みこみのない床で、金属バネ先端のポリマーギャップによりバネのビンビン感は解消されている。重量床衝撃音はL53と非常に良い。10名の被検者による床の感覚テストは7名以上が何れの項目も非常に良いと判断し、全員が良い以上の判断をしている。
実施例7は、1本の支持材に、粘弾性衝撃吸収材A、Bを各1個設ける群を4個と、粘弾性衝撃吸収材B1個を支持材の中心線上に設け、金属バネ衝撃吸収材C2個を支持材中心線から外側に斜めに対向して設ける群を3個とを配置する例である。
床の単位面積当りの圧縮強度が一番強い所と弱い所で、3mm圧縮及び5mm圧縮共に適正範囲内であり、第三者歩行振動をほとんど感じない床と言える。床変位の開始点は2〜4mmであり、その差も0.55mmと少なく、均一な横ゆれのない床である。床変位の開始点での金属バネの浮きはないが、体重程度でほとんど沈みこみがなく、バネ先端のポリマーギャップがバネのビンビン感の解消を行っている。重量床衝撃音はL54と良好な結果である。10名の被検者による床の感覚テストでは、9名以上が全項目で非常に良いとし、残る1名も良いとの判断であり、感覚的には一番評価が良い。
比較例1は、1本の支持材に、粘弾性衝撃吸収材A、B、金属バネ衝撃吸収材Cを各々単独で、Aを4個、Bを3個、Cを2個用いた例で、衝撃吸収材を近づけて群として用いていない例である。床の単位面積当りの圧縮強度は一番弱い所の強度が3mm及び5mm共に下限以下となり、第三者歩行振動を良く感じる範囲となっている。また、床変位の開始点も2〜4mmの範囲からずれ、一番弱い所では、4.61mmとなり、沈み込みの大きな床で、横ゆれを感じる床となっている。なお、床変位開始点での金属バネの浮きはないが、バネ先端のポリマーギャップでバネのビンビン感は解消されている。重量床衝撃音はL55であり良好である。10名の被検者による床の感覚テストでは特に第三者歩行床振動での評価が悪く、7名が悪いとして、1名が気になるとしている。歩行感も5名が悪い、2名が気になるとしている。コップの水のゆれも、5名が気になり、3名が悪いとしており、改善が求められている事がわかる。
本発明は、重量床衝撃音の大幅な低減があると同時に、床振動、特に第三者歩行床振動という新たな観点での床振動の非常に少ない床に用いられる。この様な床は、大きな衝撃を受ける事があっても床本体が大きな衝撃吸収能力を有していると言い換える事も出来、更には大きな衝撃を受けても床がゆれ難くなる。この様な床は、老人や幼児等という様な弱者がいる施設等の床に用いる事で、転倒時のけが等を最小限にする目的で使う事が考えられ、更には、工場等、振動のある場所の振動を極力抑える必要のある検査室等の床に好適と考えられる。
(a)は本発明の1例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、(b)は(a)の防音床材の側面図である。 (a)は本発明の他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、(b)は(a)の防音床材の側面図である。 (a)は本発明の更に他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、(b)は(a)の防音床材の側面図である。 (a)は本発明の更に他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、(b)は(a)の防音床材の側面図である。 (a)は本発明の更に他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、(b)は(a)の防音床材の側面図である。 (a)は本発明の更に他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、(b)は(a)の防音床材の側面図である。 (a)は本発明の更に他の例の防音床材における衝撃吸収部材の配置図であり、(b)は(a)の防音床材の側面図である。 (a)は比較例の床材における衝撃吸収材の配置図であり、(b)は(a)の床材の側面図である。
符号の説明
1,11,21,31,41,51,61 防音床材
2 支持材
A,B,C 衝撃吸収材
I,II,III,IV,V,VI,VII,VIII,IX,X,XI 衝撃吸収材の群
3 座金
4 キャップ
5 粘着シーラー
6 支持材の中心線

Claims (9)

  1. 床版と、前記床版上に配置固定される複数の防音床材と、前記防音床材上に積層固定される板材と、前記板材上に固定される表面仕上材とを具える防音床構造において、
    前記防音床材が細長い支持部材及び複数の衝撃吸収部材からなり、前記各衝撃吸収部材のうち1以上が金属バネであり、前記各衝撃吸収部材のうち1以上が金属バネ以外の衝撃吸収材であり、前記各衝撃吸収部材の各々離間させた前記支持部材への配置固定によって2群以上の衝撃吸収部材群が形成されており、前記各衝撃吸収部材群が2以上の衝撃吸収部材を含んでいることを特徴とする防音床構造。
  2. 前記衝撃吸収部材群が2以上の同じ種類の衝撃吸収部材を含んでおり、前記各衝撃吸収部材が、前記支持部材の長さ方向の中心線の各々の外側において、前記支持部材の幅方向に関して、対向及び/又は斜め方向に対向して配置固定されている、請求項1記載の防音床構造。
  3. 床面の任意の場所で1m当りに配置される衝撃吸収部材が、3mm圧縮するための応力の和として、30kgf(294.2N)/m2以上150kgf(1.471kN)/m2以下を有し、5mm圧縮するための応力の和として、75kgf(735.5N)/m2以上400kgf(3.923kN)/m2以下を有する、請求項1又は2記載の防音床構造。
  4. 衝撃吸収部材のうち、金属バネの高さが他の衝撃吸収部材の高さより低く、衝撃吸収部材の上の床構成材の静荷重を受け、前記金属バネ以外の衝撃吸収部材が変位している状態の床の変位開始点において、前記金属バネが床版又は床材と離れている、請求項1〜3のいずれか一項記載の防音床構造。
  5. 床版と前記床版上で積層固定される板材と前記板材上に固定される表面仕上材とを備える防音床構造に用いられ、床版と板材との間に配置固定される防音床材であって、
    細長い支持部材及び複数の衝撃吸収部材からなり、前記各衝撃吸収部材のうち1以上が金属バネであり、前記各衝撃吸収部材のうち1以上が金属バネ以外の衝撃吸収材であり、前記各衝撃吸収部材の各々離間させた前記支持部材への配置固定によって2群以上の衝撃吸収部材群が形成されており、前記各衝撃吸収部材群が2以上の衝撃吸収部材を含むことを特徴とする防音床材。
  6. 施工床面の外周近傍に1周又は2周させる防音床材であり、前記衝撃吸収部材が一定変位以上変位しないように、前記支持部材にスペーサが設けられている、請求項5記載の防音床材。
  7. 床版と、前記床版上に配置固定される複数の防音床材と、前記防音床材上に積層固定される板材と、前記板材上に固定される表面仕上材とを具える防音床構造の施工方法であって、
    (a)防音床材を準備する工程であって、前記防音床材が細長い支持部材及び複数の衝撃吸収部材からなり、前記各衝撃吸収部材のうち1以上が金属バネであり、前記各衝撃吸収部材のうち1以上が金属バネ以外の衝撃吸収材であり、前記各衝撃吸収部材の各々離間させた前記支持部材への配置固定によって2群以上の衝撃吸収部材群が形成されており、前記各衝撃吸収部材群が2以上の衝撃吸収部材を含んでいる工程及び
    (b)前記防音床材を床版と板材との間に配置固定する工程
    を含むことを特徴とする防音床構造の施工方法。
  8. (b)工程において、防音床材を施工床面の外周近傍に1周又は2周させて配置固定する工程、及び防音床材を施工床内側に一定間隔で列状に配置固定する工程を含む、請求項7記載の防音床構造の施工方法。
  9. (b)工程において、防音床材を列状に配置固定する工程を含み、その際、隣り合う防音床材の衝撃吸収部材又は衝撃吸収部材群の圧縮強度を強弱の組合せになるように配置する工程を含む、請求項7又は8記載の防音床構造の施工方法。
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