JP2007070197A - 窒化ホウ素焼成体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の六方晶窒化ホウ素焼成体の製造方法の問題点を解決し、ホットプレス等の
加圧装置を用いず、かつ非酸化性雰囲気とすることなく、大気中で常圧でhBNを焼成す
る方法とその焼成体を提供すること。
【解決手段】本発明は、六方晶窒化ホウ素と、焼成温度において液相を形成し六方晶窒化
ホウ素と濡れる性質を有する焼成用助剤とを混合し、大気中、無加圧で焼成することを特
徴とする窒化ホウ素焼成体の製造方法と、このようにして得られた六方晶窒化ホウ素とガ
ラス質物質からなる窒化ホウ素焼成体である。焼成用助剤としては、曹長石、NaAlS
38、カリ長石、KAlSi38などのアルミノケイ酸塩が好ましい。
【選択図】図5

Description

本発明は、六方晶型窒化ホウ素焼成体及びその製造方法に関する。より詳しくは、六方
晶窒化ホウ素を大気中で無加圧の条件で焼成する六方晶型窒化ホウ素焼成体の製造方法と
その焼成体に関する。
六方晶窒化ホウ素(以下「hBN」という)は、周期律表において、BNを構成するホ
ウ素(B)及び窒素(N)が、それぞれIIIb属及びVb属の元素であり、IVb属の炭
素(C)の前後に位置し、且つBNの低圧相であってCの低圧相である黒鉛に類似の結晶
構造であるため、黒鉛と極めて類似の特性を有する。そのため、高融点であると同時に、
潤滑性、離形性、機械加工性、耐食性に優れるといった性質を有する。一方、黒鉛と異な
る性質として、hBNは電気絶縁性が高いという特長がある。そこでこれらの性質を生か
して、金属溶融るつぼ、潤滑材、高周波電気絶縁材、製鋼用ノズル、保護管等に利用され
ている。
しかし、このhBNは上述のように高融点で且つ非酸化物であるため、焼成によって焼
き固めることが非常に難しく(難焼成性)、しかも離形性が高い(濡れ性が悪い)という
性質を有することから、焼成する際に適切な焼成助剤を選択することも困難な状況であっ
た。そこで従来は、hBNが安定である雰囲気として、真空中、アルゴン雰囲気中または
窒素雰囲気中(一般には窒素雰囲気中)で、ホットプレス装置等を用いて10MPaを超
える圧力で加圧すると共に1500〜2300℃もの高温を作用させて焼成していた。
しかし、このような従来の方法は次のような点で製造が困難でかつ高コストの製造方法
となるという問題があった。
(1)まず、真空中、アルゴン雰囲気中または窒素雰囲気中という雰囲気の中で焼成を行
なうため、真空中で焼成の場合は、炉内の空気を毎回排気して真空状態としなければなら
ず、アルゴンや窒素雰囲気中で焼成する場合には、真空にした後さらにアルゴンや窒素を
充填しなければならない。
(2)これに加えて、加圧状態で焼成するため、炉内にホットプレス機構を備える必要が
あり、気密性を保ちつつ油圧等の駆動によりプレスラムや型・パンチ等で試料を加圧する
構造とする必要がある。
(3)しかもこれらの装置が高温まで耐える構造とする必要があるために、高温耐久性の
ある材料を用いるのみならず、加熱に多大なエネルギー(一般には電力)が必要であると
同時に、さらに充分な冷却機構と膨大な量の冷却水も必要である。
(4)その上、ホットプレスで焼成するという制約から、大型品や複雑な形状の物品の作
製が極めて困難である。また、このように大変過酷な製造条件であるため環境負荷が非常
に大きい。
従って、hBNの製造のための従来の方法は製造装置もランニングコストも非常に大き
なものとなり、製品自身も非常に高価なものとならざるを得ず、必然的にその用途もごく
限られたものとなっていた。さらに、環境負荷が非常に大きいため、環境負荷低減に向け
ての対策も講じる必要があった。
このような従来のホットプレスによる加圧焼成法の問題点を解決し、製造コストを低下
させるとともに、大型品や複雑形状品の作製の製造を容易にするために、これまでにも種
々の常圧焼成法が試みられている(特許文献1〜6参照)。
例えば、特許文献1は、SiO2をhBNの焼成助剤として添加した場合に還元雰囲気
中でSiO2が還元されてSiOとして揮散するという欠点を改良するためになされたも
ので、これらの系にさらにB23を添加することにより問題解決を図っているものである
。特許文献2は、hBNに結合剤として無水硼酸(B23)や窒化アルミニウム(AlN
)を用いた場合には、高温電気特性の低下や溶融物に対する耐食性の劣化、さらにAlN
を用いた場合の成形体の機械的強度の低下や溶融物に対する耐食性の不足といった問題点
があったものを、それらの問題点を解決するためになされたもので、アルミニウムと珪素
の混合粉末、またはこれらの合金粉末等をhBNと混合して、窒素気流中又は窒素を主と
して含む微酸化性雰囲気中で焼成することにより解決を図っている。
また特許文献3は、無加圧で焼成する場合にサンプルが焼成中に膨張するために緻密化
しないという欠点を解決するためになされたもので、成形段階で可能な限り高密度な成形
体を作り低膨張率のモールド内にて不活性雰囲気中で焼成することにより加圧焼成をせず
に焼成中の膨張を抑えて緻密な焼成体を製造することにより解決を図っている。また特許
文献4は、従来技術がhBNの低い焼成性を補うために相手材(焼成助剤や結合剤)を多
量に添加して複合化を図るもので、これにより機械的強度は向上するがhBNの高温安定
性が低下するために用途が限られていたという問題を解決するためになされたもので、原
料粒度、焼成助剤の種類と量、焼成温度を制御することによって実用に耐える特性を有す
るものとすることにより解決を図っている。
特許文献5は、ホットプレス焼成体の問題として大型形状品や複雑形状品が得られず高
価となるという問題を解決するためになされたもので、アルカリ土類金属硼酸塩を適量含
有することにより常圧焼成で非酸化性雰囲気において焼成することによりこの問題の解決
を図っている。また特許文献6は、常圧焼成法による焼成体が高温度で強度低下特に耐熱
衝撃性が低下するという問題を解決するためになされたもので、窒化硼素を主体とする焼
成体中に炭素及び炭化硼素を分散含有していることにより解決を図っている。
これら先行技術は、何れもホットプレス焼成に伴う問題点である大型形状品や複雑形状
品の作製が困難で且つ焼成体が高価となる問題を解決するためになされたものではあるが
、ホットプレス機構を装備してはいないものの、非酸化性雰囲気中で焼成することが必須
であった。従って、hBNを大気から隔離し密閉した状態で焼成しなければならないこと
から、大がかりで複雑で且つ高価な製造設備が必要であり、しかも焼成を行なうその都度
毎回非酸化性雰囲気に炉内をガス置換しなければならず、常圧焼成であってもランニング
コストが高価となり、生産効率も良くなく、製品の価格が高価となり、且つ環境負荷の低
減も実現できなかった。しかも、現在まで、hBNを非酸化性雰囲気中でなく、大気中で
無加圧で焼成する先行技術は見出されていない。
特公昭47−38047号公報 特公昭48−43648号公報 特開昭61−132563号公報 特開昭63−303862号公報 特許第2614874号公報 特開2001−14477号公報
本発明は、以上のような従来のhBNの製造方法の問題点を解決し、ホットプレス等の
加圧装置を用いず、かつ非酸化性雰囲気とすることなく、大気中で常圧でhBNを焼成す
る方法とこのようにして得られたhBN焼成体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、以上のような課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、hBNの焼成
用助剤として、加熱により液相を生成する物質を使用することにより、焼成の進行による
hBNのそれ以上の酸化が抑制され、非酸化性雰囲気を採用せず、大気中であっても無加
圧でhBN焼成体を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の内容をその要旨とするものである。
(1)六方晶窒化ホウ素と、焼成温度において液相を形成し六方晶窒化ホウ素と濡れる性
質を有する焼成用助剤とを混合し、大気中、無加圧で焼成することを特徴とする窒化ホウ
素焼成体の製造方法。
(2)前記焼成用助剤が、hBNの表面の酸化物および/またはhBN表面が酸化して生
成した酸化物と反応して液相を生成する物質であることを特徴とする、前記(1)に記載
の窒化ホウ素焼成体の製造方法。
(3)前記焼成用助剤が、アルミノケイ酸塩を主成分とするものであることを特徴とする
、前記(1)または(2)に記載の窒化ホウ素焼成体の製造方法。
(4)前記焼成用助剤が、主にNa系、K系、Ca系、またはNaとK若しくはNaとC
aとの混合系のアルミノケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を主成分とするもので
あることを特徴とする、前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の窒化ホウ素焼成体の製
造方法。
(5)前記焼成用助剤が、曹長石、NaAlSi38、カリ長石、KAlSi38、灰長
石、CaAl2Si28、NaAlSi38−KAlSi38、NaAlSi38−Ca
Al2Si28からなる郡から選ばれるアルミノケイ酸塩の1種または2種以上を主成分
とするものであることを特徴とする、前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の窒化ホウ
素焼成体の製造方法。
(6)更に、添加剤として、La23、Y23、MgO、ZnO、B23、CaO又はS
iO2からなる群から選ばれる酸化物の1種または2種以上を含有することを特徴とする
、前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の窒化ホウ素焼成体の製造方法。
(7)主に六方晶窒化ホウ素とガラス質物質からなることを特徴とする窒化ホウ素焼成体

(8)前記ガラス質物質が、アルミノケイ酸塩を主成分とするものであることを特徴とす
る前記(7)に記載の窒化ホウ素焼成体。
(9)前記ガラス質物質が、Na系、K系、Ca系、またはNaとK若しくはNaとCa
との混合系のアルミノケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を主成分とするものであ
ることを特徴とする、前記(7)または(8)に記載の窒化ホウ素焼成体。
(10)前記ガラス質物質が、曹長石、NaAlSi38、カリ長石、KAlSi38
灰長石、CaAl2Si28、NaAlSi38−KAlSi38、NaAlSi38
CaAl2Si28からなる群から選ばれるアルミノケイ酸塩の1種または2種以上を主
成分とするものであることを特徴とする、前記(7)乃至(9)のいずれかに記載の窒化
ホウ素焼成体。
(11)前記ガラス質物質とともに、La23、Y23、MgO、ZnO、B23、Ca
O又はSiO2からなる群なら選ばれる酸化物の1種または2種以上の成分を含有するこ
とを特徴とする、前記(7)乃至(10)のいずれかに記載の窒化ホウ素焼成体。
以上のように、本発明によれば、hBNをアルミノケイ酸塩などの焼成助剤と混ぜ、大
気中で無加圧で焼成することにより、hBN焼成体を製造できるので、製造装置を非酸化
性雰囲気にガス置換する必要がなく、かつホットプレスのような加圧焼成を必要としない
ので、低コストでしかも大型形状品や複雑形状品を容易に、且つ効率よく製造することが
できる。また、焼成温度が比較的低いので、環境負荷を低く抑えることができる。こうし
たことにより、従来の方法で問題となっていた高いランニングコスト、生産効率の悪さ、
製品価格の高騰といった問題点を解消でき、電気的絶縁性と機械加工性があるhBN焼成
体を効率よく、低価格で製造することができる。
本発明は、加熱により液相(ガラス質も含む)を形成し、かつこの液相がhBNと濡れ
る性質を有する物質、例えば好ましくはアルミノケイ酸塩をhBNの焼成用助剤として使
用するものである。
即ち、このような焼成用助剤をhBNと混合し、必要に応じて成形加工を施し、大気中
で無加圧で加熱すると、まずhBNの表面が酸化され、この酸化相とアルミノケイ酸塩な
どの焼成用助剤とが反応して液相を形成し、そのためhBNと液相状態となったアルミノ
ケイ酸塩などの焼成用助剤との間の濡れ性が著しく改善され、且つhBN表面を液相状態
の焼成用助剤が覆い、その結果hBNのそれ以上の酸化の進行が抑制されることとなり、
大気中で無加圧でもhBNが焼成可能となったものである。
また、その結果、六方晶窒化ホウ素とアルミノケイ酸塩などの焼成用助剤から生成した
ガラス質物質からなる窒化ホウ素焼成体が得られる。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明に使用する六方晶窒化ホウ素(hBN)は特に制限はなく、一般に市販されてい
る粉末状のものを使用することができる。しかし、既に述べたように、hBN表面に酸化
物が生成するとアルミノケイ酸塩との濡れ性が著しく改善されるため、酸素含有量の多い
もの或いは酸化し易い粉体が好ましい。hBNの酸素含有量は1質量%以下のものでも使
用することができるが、ある程度酸化されたもの、例えば酸素含有量が数%のものがより
好ましい。また、hBNは微粉末状のものが容易に酸化されやすく好ましい。粉末の一次
粒子の粒子径はナノサイズ〜数100μmのものが好ましい。
市販のものとしては、例えば、一次粒径がナノサイズの三井化学(株)製NBN250が
挙げられる。これは、酸素含有量がカタログ値5.0wt%(実測値6.2wt%)と多
く、好適である。また、電気化学工業(株)製のSP−2の場合は、酸素含有量がカタロ
グ値で1.8wt%であり使用することはできる。また、これらの粉体に限らず、例えば
次の文献1〜3に例示されるようにhBN粉体粒子表面に酸化処理等を施して酸素含有量
を増加させても良い。
文献1:K. ODA and T. YOSHIO, “OXIDATION-KINETICS OF HEXAGONAL BORON-NITRIDE
POWDER,”J. MATER. SCI. 28, 6562-6566, 1993。
文献2:N. Jacobson et al., “High-temperature oxidation of boron nitride: I,
monolithic boron nitride,” J. AMER. CERAM. SOC. 82, 393-398, 1999。
文献3:K. Oda et al., ”Oxidation of boron nitride powder in wet oxygen,” J.
CERAM. SOC. JAPAN. 111, 81-82, 2003。
hBNの焼成用助剤としては、焼成温度に加熱して液相を形成し、かつhBNとの間で
濡れる性質を有する物質であれば制限はない。より詳細には、hBNの表面の酸化物およ
び/またはhBN表面が酸化して生成した酸化物と反応して液相を生成する物質であれば
よい。好適な例として、M(Si,Al)48、[ここで、M:Na,Ca,K又はこれ
らの二種以上からなる混合系]と表現できるアルミノケイ酸塩が挙げられる。この化合物
は、長石と呼ばれる鉱物で、その種類は多岐にわたっている。代表的には、Na系、K系
、Ca系、またはNa系を中心にNa−K混合系、Na−Ca混合系がある。Na系とし
ては、例えば曹長石、NaAlSi38などが、K系としては、例えばカリ長石、KAl
Si38などが、Ca系としては、灰長石、CaAl2Si28などが、混合系としては
、例えばNaAlSi38−KAlSi38、又はNaAlSi38−CaAl2Si2
8などが挙げられる。
また、これらのアルミノケイ酸塩は、産地によって組成が異なり、産地名を冠して呼称
されることが多い。例えば、平津長石、福島長石、釜戸長石、三河長石等である。海外の
製品としては、中国長石やインド長石、トルコ長石等がある。代表的構成物は、SiO2
、Al23、Fe23、TiO2、CaO、MgO、K2O、Na2Oである。これらの構
成比によって融解温度が異なる。なお、KAlSi38−CaAl2Si28の混合系は
存在しない。これらのアルミノケイ酸塩は何れのものも用いることもできる。なお、hB
Nの焼成用助剤としてのサイズに特別な制限はないが、粉砕・分級等を行い、1μm以下
或いはhBNと同等以下程度の大きさにして用いることが好ましい。
hBNが酸化すると上述のようにアルミノケイ酸塩などの焼成用助剤と濡れ性が改善さ
れるが、これに更に添加剤としてある種の酸化物を加えることによってその濡れ性を一層
向上させ、或いはhBNが酸化しなくても濡れるように濡れ性を改善することができる。
このような添加剤としては、例えば、La23、Y23、MgO、ZnO、B23、Ca
OやSiO2等が挙げられる。
hBN焼成体の製造に際しては、ボールミル等を用いてhBNの微粉末を調製し、これ
に上述の焼成用助剤および必要に応じて上述の添加剤を加えてよく混合し、これを一定の
形状に成形して焼成に付する。焼成用助剤の配合割合はhBNの微粉末に対して10〜7
0容積%であり、好ましくは30〜60容積%である。また、添加剤の配合割合はhBN
の微粉末に対して0.1〜20容積%であり、好ましくは0.3〜15容積%である。
上記のhBN粉末混合物の成形にあたっては、必ずしも必須ではないが、CIP(cold
isostatic press)を用いて、成形圧力を高めて成形すると焼成後の焼成体がより緻密化
するので好ましい。一般にはCIPによる成形圧力は100MPaであるが、200MP
a、400MPaあるいはそれ以上の圧力で成形するとより焼成体が緻密化して好適であ
る。
このようなhBN粉末混合物の成形品を加熱炉にて、常圧で大気が流通する雰囲気で加
熱・焼成して、本発明のhBN焼成体を得る。hBNの焼成条件は、hBNの特性により
酸化温度が異なるのでその点を考慮することが望ましい。さらに焼成助剤との反応によっ
て液相生成温度が異なるのでそれも考慮する。一般的に加熱温度は800〜1600℃で
あり、好ましくは900〜1400℃である。
より具体的には、例えば粒径約5μmの場合酸化は1100℃以上で進行するが、粒径
50nmの場合には約900℃以上で進行する。そのため、用いるhBN粉体の酸化特性
に応じて、且つ上述した焼成用助剤の液相生成温度と関連付けて焼成温度を選択する。
前述したような無加圧で非酸化性雰囲気で焼成を行った従来法では、焼成時の加熱温度
が1200〜2100℃であり、これに比べると本発明はより低温度で焼成することがで
きる。
既に述べたように、本発明では、hBNが酸化するか予め酸素含有量を高めた状態にせ
しめることにより、該焼成助剤が液相状態になってhBN粒子表面に濡れて覆うため、h
BNのそれ以上の酸化を防止するという作用を利用するものである。必要以上に加熱する
のはエネルギーの無駄使いにつながるため、そのようなことは避けるべきではあるが、焼
成温度を神経質に精密に制御する必要はない。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
初めに、焼成助剤としてNa系長石(曹長石)を粉砕分級し、1μm程度以下の美粉末
とした。この曹長石の微粉末を、エタノール中で湿式でボールミルを用いてhBN(酸素
含有量1.1重量%)粉末と24時間混合した後乾燥し、これを焼成用粉末とした。この
焼成用粉末の曹長石の含有量は30体積%(vol%)とした。これを金型を用いて直径
15mm、厚さ5mmに成形し、その後CIP(cold isostatic press)を用いて100
MPaで成形した。この成形品を電気炉に入れ、昇温速度20℃/分で昇温し、1300
℃で30分保持して焼成した後炉冷した。得られた焼成体について、密度測定を行ったと
ころ、60%であった。また、この焼成体のX線スペクトルを測定したところ、図1に示
すようにX線回折により焼成体の結晶相に起因するhBNピークが明瞭に確認できた。ま
た2θが20〜30度付近のバックグランドの高さからガラス相の存在が推定された。
なお、ここでいう密度は蒸留水を用いたアルキメデス法によった。即ち、乾燥時の重量
、水中重量および含水重量を測定し、嵩密度を算出する。予め測定したhBNと長石の密
度または既知のhBNと長石の密度を使用して、複合剤に基づいて理論密度を求め、嵩密
度と理論密度の比を相対密度(%)とした。
(実験例2〜50)
焼成助剤としては、曹長石、平津長石及び福島長石を用いた。曹長石は中国産の典型的
Na系長石であり、その融点(融解温度)は1260℃である。また平津長石は、Na系
とK系との混合系で、融点が1375℃である。一方、福島長石は、典型的K系長石であ
り、その融点は1350℃である。実施例1と同一のhBNの粉末を用い、それぞれの焼
成助剤の含有量を10〜50体積%とした焼成用粉末について、実施例1と略同様の方法
で焼成実験を行った。その結果を表1に示す。焼成後、何れのhBN焼成体にも、実施例
1の場合のhBN結晶の回折ピークとほぼ同様の回折ピークが明瞭に確認でき、hBNが
残存していることが確認できた。
(実験例51〜103)
実験例1〜50は、hBNの酸素の含有量が実測値で約1重量%の粉体であるのに対し
、ここでは、酸素含有量が同6.2重量%のhBN粉体を用いた。焼成助剤の種類、含有
量、成形圧力、添加剤の添加の有無及び焼成条件を種々変化させ、実施例1と同様の方法
で焼成実験を行った。その結果を表2に示す。焼成後、何れのhBN焼成体にも、実施例
1の場合のhBN結晶の回折ピークとほぼ同様に回折ピークが明瞭に確認でき、hBNが
残存していることが確認できた。
(曲げ強度試験)
実施例3で得られた焼成体のうち代表的なサンプル数個について、3点曲げ強度試験を
行なった。その結果を表3に示す。これからいずれのサンプルも十分な曲げ強度を有する
ことがわかる。
また、試験例52,67および82で得られた焼成体について、それらの破断面を倍率
1000倍の走査型電子顕微鏡写真によって観察した。その結果を図2、図3および図4
に示す。これからもいずれのサンプルも気孔がそれほど多くなく、比較的均質なhBNの
焼成体が得られていることがわかる。
hBNの濡れやすさの確認のために、次の評価試験を行なった。
(本発明例)
hBNのみで作製した成形体(直径15mm、高さ5mm)の上に長石の代表例として
曹長石の成形体(直径6mm、高さ3mm)を載せ、昇温速度毎分20℃で1300℃、
及び1400℃まで加熱し、30分保持した後炉冷した。加熱後の成形体の側面写真を図
5に示す。この写真から成形体上のhBNと曹長石の接触角を測定したところ、加熱温度
が1300℃のもので50度、加熱温度が1400℃のもので36度であった。
一般に接触角90度を境に、90度未満では濡れ性が良好であり、90度を越えると濡
れ性が悪い。hBNを曹長石と加熱した場合には、いずれも接触角が90度未満の小さな
値であり、良好な濡れ性を発揮した。
(比較例)
雰囲気を窒素気流中とした以外は上記の本発明例の場合とほぼ同じ条件で、濡れ性の評
価試験を行った。その加熱後の成形体の側面写真を図5に比較例1として示す。
この写真からわかるように、hBNと曹長石との接触角は132度であり、hBNと曹
長石との濡れ性は悪いことがわかった。
次に、比較例2として、上記の本発明例と同様の焼成助剤を用いないhBNのみで作製
した成形体を用いて、これを大気中で1400℃、30分焼成した。その結果は、表2に
示すように、成形体の全てが酸化・分解してしまい、残存するものは全く見られなかった
本発明の方法によれば、六方晶窒化ホウ素の焼成体を従来の方法に比べて低コストで容
易に製造することができ、また大型形状のものや複雑な形状のものも製造することができ
る。従って、これを材料とした、金属溶融るつぼ、潤滑材、高周波電気絶縁材、製鋼用ノ
ズル、保護管等のような多くの部材を低コストで製造することができる。
実施例1で得られた焼成後のhBN焼成体のX線回折プロファイルである。 試験例52の焼成後のhBN焼成体の破断面のSEM写真である。 試験例67の焼成後のhBN焼成体の破断面のSEM写真である。 試験例82の焼成後のhBN焼成体の破断面のSEM写真である。 実施例5及び比較例1のhBNと長石との濡れ性を示す写真である。

Claims (11)

  1. 六方晶窒化ホウ素と、焼成温度において液相を形成し六方晶窒化ホウ素と濡れる性質を
    有する焼成用助剤とを混合し、大気中、無加圧で焼成することを特徴とする窒化ホウ素焼
    成体の製造方法。
  2. 前記焼成用助剤が、hBNの表面の酸化物および/またはhBN表面が酸化して生成し
    た酸化物と反応して液相を生成する物質であることを特徴とする、請求項1に記載の窒化
    ホウ素焼成体の製造方法。
  3. 前記焼成用助剤が、アルミノケイ酸塩を主成分とするものであることを特徴とする、請
    求項1または2に記載の窒化ホウ素焼成体の製造方法。
  4. 前記焼成用助剤が、Na系、K系、Ca系、またはNaとK若しくはNaとCaとの混
    合系のアルミノケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を主成分とするものであること
    を特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の窒化ホウ素焼成体の製造方法。
  5. 前記焼成用助剤が、曹長石、NaAlSi38、カリ長石、KAlSi38、灰長石、
    CaAl2Si28、NaAlSi38−KAlSi38、NaAlSi38−CaAl2
    Si28からなる群から選ばれるアルミノケイ酸塩の1種または2種以上を主成分とする
    ものであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の窒化ホウ素焼成体の製
    造方法。
  6. 更に、添加剤として、La23、Y23、MgO、ZnO、B23、CaOまたはSi
    2からなる群から選ばれる酸化物の1種または2種以上を含有することを特徴とする、
    請求項1乃至5のいずれかに記載の窒化ホウ素焼成体の製造方法。
  7. 主に六方晶窒化ホウ素とガラス質物質からなることを特徴とする窒化ホウ素焼成体。
  8. 前記ガラス質物質が、アルミノケイ酸塩を主成分とするものであることを特徴とする請
    求項7に記載の窒化ホウ素焼成体。
  9. 前記ガラス質物質が、Na系、K系、Ca系、またはNaとK若しくはNaとCaとの
    混合系のアルミノケイ酸塩から選ばれる1種または2種以上を主成分とするものであるこ
    とを特徴とする、請求項7または8に記載の窒化ホウ素焼成体。
  10. 前記ガラス質物質が、曹長石、NaAlSi38、カリ長石、KAlSi38、灰長石
    、CaAl2Si28、NaAlSi38−KAlSi38、NaAlSi38−CaA
    2Si28からなる群から選ばれるアルミノケイ酸塩の1種または2種以上を主成分と
    するものであることを特徴とする、請求項7乃至9のいずれかに記載の窒化ホウ素焼成体
  11. 前記ガラス質物質とともに、La23、Y23、MgO、ZnO、B23、CaO又は
    SiO2からなる群なら選ばれる酸化物の1種または2種以上の成分を含有することを特
    徴とする、請求項7乃至10のいずれかに記載の窒化ホウ素焼成体。
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