JP2007070159A - 球状金属酸化物粉末、その製造方法及び用途 - Google Patents

球状金属酸化物粉末、その製造方法及び用途 Download PDF

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【課題】表面が緻密な成形焼結体の製造が容易な金属酸化物粉末、特にシリカ粉末又はアルミナ粉末及びその製造方法を提供すること。平滑性の高められた金属酸化物焼結体、薄膜の多層基板に対しても充填性及び電気的特性とが高められた樹脂基板及び狭隙充填性が高められた電子部品の封止材を提供すること。
【解決手段】金属粉末及び/又は金属酸化物粉末の火炎による熱処理物であって、平均粒子径0.1〜2μm、比表面積2〜30m/g、15μm以上の粗大粒子数が300個/g以下であることを特徴とする球状金属酸化物粉末。本発明の球状金属酸化物粉末の焼結体からなる金属酸化物焼結体。本発明の球状金属酸化物粉末を含有させた樹脂成形体。本発明の球状金属酸化物粉末を樹脂及び/又はゴムに含有させてなる電子部品の封止材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、球状金属酸化物粉末、その製造方法及び用途に関する。
シリカガラスは、化学薬品容器、光学機器、分析・計測器具などに幅広く用いられている。従来、シリカガラスは、天然水晶を原料として真空炉で電気溶融するか、酸水素炎で溶融するなどの方法で製造され、そのシリカガラス塊を切断、研削といった機械加工や火炎加工することによって所望の形状の製品を得ている。近年、この加工労力を軽減するために、シリカガラス粉末を予め所望の形状に成形した後、焼結してシリカガラス成形体を製造する方法が研究されている。そのシリカガラス成形体は、例えば合成シリカ等の非晶質シリカ粉末をプレス成形(特許文献1)や鋳込み成形(特許文献2)して、融点近くの温度で焼成して製造されているが、いずれの方法にあっても、シリカ粉末の型への充填性が十分でないために、成形焼結体に気泡が残留してしまい、更には型から外す時に気泡が起点となって剥離してしまうため、表面の粗いものしか得られず、その研磨加工には多くの手間がかかった。
特開平9−48623号公報 特開平11−209133号公報
本発明の目的は、表面が緻密な成形焼結体の製造が容易な金属酸化物粉末、特にシリカ粉末又はアルミナ粉末及びその製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、本発明の球状金属酸化物粉末を用いて製造された、平滑性の高められた金属酸化物焼結体、薄膜の多層基板に対しても充填性及び電気的特性とが高められた樹脂基板及び狭隙充填性が高められた電子部品の封止材を提供することである。
本発明は、金属粉末及び/又は金属酸化物粉末の火炎による熱処理物であって、平均粒子径0.1〜2μm、比表面積2〜30m/g、15μm以上の粗大粒子数が300個/g以下であることを特徴とする球状金属酸化物粉末である。この場合において、15μm以上の金属粒子数が10個/g以下であること、球状金属酸化物粉末がシリカでありアルミナ、酸化鉄、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムの含有量がそれぞれ50ppm以下であること、球状金属酸化物粉末がアルミナでありシリカ、酸化鉄、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムの含有量がそれぞれ50ppm以下であることが好ましい。
また、本発明は、金属及び/又は金属酸化物粉末の火炎による熱処理物を、回収前又は回収後に、コアンダブロックを有する気流分級機で処理することを特徴とする上記球状金属酸化物粉末の製造方法である。気流分級は、150℃以上の気流を用い、その流速を50m/s以上として行うことが好ましい。
また、本発明は、本発明の球状金属酸化物粉末の焼結体からなる金属酸化物焼結体であり、本発明の球状金属酸化物粉末を含有させた樹脂成形体からなる樹脂基板であり、本発明の球状金属酸化物粉末を樹脂及び/又はゴムに含有させてなる電子部品の封止材である。
本発明によれば、気泡が少なく平滑性が高められた金属酸化物焼結体、薄膜の多層基板に対しても充填性と電気的特性とが高められた樹脂基板、狭隙充填性が高められた電子部品の封止材と、それらの製造などに好適な球状金属酸化物粉末及びその製造方法が提供される。
本発明の金属酸化物粉末が火炎処理物である理由は、球形度の高い金属酸化物粉末が生産性良く得られるためである。
球状金属酸化物粉体の平均粒子径が0.1μm未満であるか、又は比表面積が30m/gをこえると、封止材又は樹脂基板を製造するために、それをゴム又は樹脂に配合して組成物を調整すると粘度が高くなり過ぎて流動性が低下し、またその組成物を用いて成形物としたときにうねりが生じる。また、金属酸化物焼結体の原料としたときには、かさ密度が高いために成形密度が低くなり、その結果、焼結体密度も上がらないので、成形焼結体中に気泡が残留しやすくなり、また型からの離型時に気泡が剥離の起点となって表面の平滑性が保てないという問題がある。平均粒子径が2μmをこえるか、比表面積が2m/g未満であると、相対的に15μm以上の粗大粒子の含有量が多くなり、焼結時に結晶質であるクリストバライトに転移しやすくなる。また樹脂基板や封止材とした場合の狭隙充填性が劣り、ボイド等の不具合が生じやすくなる。さらに、樹脂基板用充填剤とした場合、粗大粒子部分での凹凸やドリル加工時の粒子脱落等による配線パターンの断線等の不具合を招きやすくなる。
15μm以上の粗大粒子数が300個/g以下であっても、15μm以上の金属粒子が10個/g以下であることが好ましく、これによってシリカガラス焼結体の透明性が極度に低下するの防ぐことができる。また、樹脂基板や封止材の電気的信頼性の低下を防ぐことができる。ここで、15μm以上の金属粒子の金属種は、シリコン、アルミニウム、鉄、クロム及びニッケルである。極度な透明性の低下ないしは部分的な熱膨張率差にもとづくクラック発生の予防の観点から、球状金属酸化物粉末がシリカである場合、アルミナ、酸化鉄、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムの含有量がそれぞれ50ppm以下であることが望ましく、また球状金属酸化物粉末がアルミナである場合、シリカ、酸化鉄、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムの含有量がそれぞれ50ppm以下であることが望ましい。
球状金属酸化物粉末の「球状」の程度としては、平均球形度が0.90以上であることが好ましく、特に0.95以上であることが好ましい。平均球形度が大きくなると、転がり抵抗が少なくなるので成形性、充填性が高まる。平均球形度は以下のようにして測定される。実体顕微鏡(例えばニコン社製商品名「モデルSMZ−10型」)、走査型電子顕微鏡等にて撮影した粒子像を画像解析装置(例えば日本アビオニクス社製)に取り込み、粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定する。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の真円度はA/Bとして表示できる。そこで、試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πrであるから、B=π×(PM/2π)となり、個々の粒子の真円度は、真円度=A/B=A×4π/(PM)として算出することができる。このようにして得られた任意の粒子300個の真円度を求めその平均値を平均球形度とした。
平均粒子径は、レーザー回折光散乱法による粒子径分布測定にもとづく値である。粒子径分布測定機としては、例えばベックマンコールター社製商品名「モデルLS−230」がある。測定は、試料と水を混合し、ホモジナイザーを用いて出力200Wで1分間の分散処理をしてから行う。また、PIDS(Polarization Intensity Differential Scattering)濃度は45〜55%に調製する。なお、水の屈折率には1.33を用い、粉末の屈折率には文献値、例えば非晶質シリカでは1.50を用いた。
比表面積は、窒素ガス吸着によるBET1点法により測定する。
球状金属酸化物粉末の中でも、結晶質シリカ粉末、合成シリカ粉末又は金属シリコン粉末を火炎処理された非晶質シリカ粉末は、熱膨張率が低いので、焼結体、樹脂基板及び封止材の製造に特に適合する。シリカの非晶質率は、粉末X線回折装置(例えばRIGAKU社製商品名「モデルMini Flex」)を用い、CuKα線の2θが26°〜27.5°の範囲において試料のX線回折分析を行い、特定回折ピークの強度比から測定する。すなわち、結晶質シリカは26.7°に主ピークが存在するが非晶質シリカでは存在しないので、両者が混在しているとその割合に応じた26.7°のピーク高さが得られることを利用し、結晶質シリカ標準試料のX線強度に対する試料のX線強度の比を測定して、結晶質シリカ混在率(試料のX線回折強度/結晶質シリカのX線回折強度)を算出し、非晶質率(%)=(1−結晶質シリカ混在率)×100、から非晶質率を求める。
つぎに、本発明の製造方法について説明する。原料粉末としては、例えばシリコン、アルミニウム、チタン等の金属粉末、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の金属酸化物粉末から選択された一種又は二種以上の粉末が用いられるが、中でも、シリコン、アルミニウム、シリカ、アルミナは、比較的安価に入手し易く、また火炎処理によって容易に球状金属酸化物粉末となるので好ましい。
原料粉末の火炎による熱処理は、炉内に形成された火炎に原料粉末を供給する(例えば特許第1568168号公報)か、又は原料粉末を水、燃料等のスラリーにして供給することなどによって行われるが、本発明においては、得られた球状金属酸化物粉末をコアンダブロックを有する気流分級機で処理することが特徴である。これによって、酸化反応の不十分な金属粒子や、異常成長したり、一旦炉体に付着し剥離した粗大粒子等を分離除去することができる。ここで、コアンダブロックを有する気流分級機とは、飛散降下経路の差が粉末の粒径によって異なる現象(コアンダ現象)を利用するため、湾曲したブロックを備えさせ、その湾曲面に沿わせて気流を噴出させる構造の分級機のことであり(例えば特開平8−89900号公報)、市販機としては、例えば株式会社マツボー社製商品名「エルボージェット分級機」などがある。
気流分級の処理は、球状金属酸化物粉末の回収前又は回収後のいずれであっても良い。気流の温度は、水分の凝集による悪影響をなくす観点から150℃以上、特に250℃以上であることが好ましい。気流に用いるガス種は、空気、酸素、窒素、ヘリウム、アルゴン等のいずれでも可能である。回収前のインライン分級であれば、球状酸化物粉末の製造に用いたガスを利用することができるが、回収後の分級のときは、ガスを加熱して用いる。気流の流速は、コアンダブロック入口の流速で50m/s以上、特に80m/s以上とするのがよい。この流速によって、気流中の粉末の分散性が高まりコアンダ効果が高まる。
本発明の金属酸化物焼結体は、本発明の球状金属酸化物粉末を成形後焼結して製造されたものである。成形方法としては、金型成形、等方静水圧プレス成形、鋳込み成形、押出成形、射出成形、ドクターブレード成形、ローラーマシン成形等いずれであってもよい。好ましくは、押出成形後に乾燥してもクラックが発生しにくい、水を加えず有機バインダーを主に用いた熱間押出成形法が好ましい。熱間押出成形するには、球状金属酸化物粉末と有機バインダーとを混練して押出成形用の混練物を得る。用いる有機バインダーには特に限定がなく、例えばポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンエチレン・酢酸ビニル共重合体、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、蜜ロウ等であり、例えばオクチルアルコール、デシルアルコール等の高級アルコール、ビニル系化合物及び/又は界面活性剤等の消泡剤、例えばステアリン酸、ステアリルアルコール等の分散剤なども用いることができる。これらの添加剤を使用したときには焼結前に加熱除去をしておくことが好ましい。焼結原料の混合には、加熱ニーダー、撹拌ミキサー、ロール混練機などを用いる。混練して得られた混練物はフレーク状あるいはペレット状の粒状とした後、熱間押出成形機等にて成形する。用いる成形機は特に限定されず、通常のプラスチック等の押出成形に用いられる加熱押出成形用のもの、例えば2軸スクリュー方式の押出成形機を用いることができる。混練物と直接接触する箇所は、押出成形体への金属異物混入を抑制するために、超硬など耐摩耗仕様であることが好ましい。
押出成形体を所望の長さに切断した後、例えば400〜800℃にて脱脂を行ってから、空気、窒素、減圧等の雰囲気中、例えば1000〜1600℃の温度で焼結を行う。表面がより平滑な成形焼結体を製造するには、13Pa以下の減圧雰囲気の焼結であることが好ましい。1000〜1600℃温度の保持時間の一例は10〜180分である。
本発明の樹脂基板は、本発明の球状金属酸化物粉末を含有した樹脂硬化体からなるものである。たとえば、エポキシ樹脂ワニスと本発明の球状金属酸化物粉末を含む混合物をガラスクロスに含浸させ硬化させたものである。本発明の樹脂基板は、従来の樹脂基板よりも、より少ない球状酸化物粉末の使用量で所要の低熱膨張と高ガラス転移温度を有するものとなるので、樹脂組成物の流動性がよくなり、ガラスクロスへの含浸作業が容易となる。また、粗大粒子の脱落等による配線パターンの断線や絶縁不良等の不具合もなくなる。
本発明の封止材は、本発明の球状金属酸化物粉末を、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、シリコーンゴムなどのゴムに含有させたものである。本発明の封止材には、従来よりも多くの球状金属酸化物粉末を混入させることができるので、封止材の半田耐熱性、耐湿性、低熱膨張性、機械的特性、電気絶縁性が高まる。
実施例1
LPG−酸素で形成された火炎中にシリカ粉末原料(平均粒子径1.5μm)を10kg/hrのフィード量で連続的に供給した。火炎による熱処理を受けて製造された球状金属酸化物粉末を、ブロワーでコアンダブロック構造を有する気流分級機(株式会社マツボー社製商品名「エルボージェット分級機」)に送給し気流分級した後、バグフィルターで捕集した。気流のガス温度は300℃、コアンダブロック入口の流速は80m/sである。バグフィルターからの回収粉末について以下の特性を測定した。それらの結果を表1に示す。
実施例2〜15
原料粉末の種類を表1に示す材質に変更したこと(実施例2〜8)、原料粉末の不純物量を変更したこと(実施例9〜13)、気流温度を120℃としたこと(実施例14)、気流分級機入口の流速を40m/sとしたこと(実施例15)以外は、実施例1と同様にして粉末を製造した。なお、原料粉末の金属シリコン、アルミニウムの平均粒子径は10μm、アルミナのそれは0.6μmである。それらの結果を表1、表2示す。
粉末特性のうち、平均粒径は前述のレーザー回折光散乱法(ベックマンコールター社製「モデルLS−230」)にて測定した。比表面積は窒素ガス吸着によるBET1点法にて測定した。粗大粒子、金属粒子、及びアルミナ、シリカ、酸化鉄、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムの不純物量は以下の方法で測定した。
(1)粗大粒子、金属粒子
球状金属酸化物微粉末10gを5質量%水スラリーとして超音波分散処理後、15μm目開きのナイロンメッシュにて吸引濾過した。篩上残分をマイクロスコープにて観察し、粗粒子数及び金属粒子数をカウントした。ここで、着色しており金属光沢を持つ粒子を金属粒子としてカウントした。カウントした金属粒子を化学発光分析で同定したところ、シリコン、アルミニウム、鉄、クロム及びニッケルであることを確認した。
(2)不純物量
化学発光分析を用いて各元素の不純物量を測定した後、不純物量が全て酸化物由来の不純物として計算して求めた。
比較例1、2
気流分級処理をすることなくバグフィルターで回収したこと以外は実施例1(比較例1)又は実施例4(比較例2)と同様にして粉末を製造した。それらの結果を表2に示す。
なお、表1、表2に示した各粉末の平均球形度はいずれも0.90以上、シリカ粉末の非晶質率はいずれも99%以上であった。
Figure 2007070159
Figure 2007070159
実施例16
上記実施例、比較例で製造された球状金属酸化物粉末60質量部に、市販のポリビニルアルコールを39質量部と分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩 東亞合成社製商品名「A−6114」)1質量部を加えて混合し、加熱ニーダーを用いて150℃で30分間混練した後、ロール機でシート化し、粉砕してフレーク状とした。このフレーク状物を内部を160℃に加熱した押出成形機で幅100mm×厚さ1mmのシート状に押出成形し、長さ100mmに切りそろえて成形体を製造した。これを大気中50℃/hrの昇温速度で600℃、1時間保持して脱脂した後、10Paの真空中、シリカ系の場合、1400℃、2時間、アルミナ系の場合(実施例5〜8)、1500℃、2時間保持し、焼結体を得た。得られた焼結体について、以下の評価を行った。それらの結果を表3、表4に示す。
(3)外観
得られた焼結体の色調、欠陥等を目視にて評価した。
(4)非晶質率
焼結体から試料を切り出し、上記したX線回折法にて非晶質率を測定した。なお、アルミナ系(実施例5〜8)は全てα−アルミナの結晶ピークのみが認められた。
(5)相対密度
アルキメデス法によって密度を測定し、球状金属酸化物微粉末の理論密度から算出した。球状金属酸化物粉末がシリカの場合は、非晶質シリカの理論密度に2.21g/cmを用いた。
(6)表面粗さ(Ra)
焼結体の表面粗さRaを、触針式表面粗さ計(東京精密社製商品名「モデルE−35A」)を用いて測定した。
Figure 2007070159
Figure 2007070159
実施例17
球状金属酸化物微粉末の半導体封止材料の充填材としての特性を評価するため、実施例1、3、7及び比較例2のそれぞれの球状金属酸化物微粉末を用いて液状封止材を調製し、以下に従う間隙浸透性及び短絡(ショート)発生状況を測定した。それらの結果を表5に示す。
液状封止材の調製
球状金属酸化物微粉末50質量部に、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート807」、エポキシ当量169)を22質量部、シランカップリング剤(信越化学工業社製商品名「KBM−403」)を0.5質量部、硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製商品名「MH700」、酸無水物当量168、)を20質量部、硬化促進剤として1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(サンアプロ社製商品名「DBU」)を7.5質量部を配合し、自転−公転式のプラネタリーミキサー(シンキー社製商品名「あわとり練太郎AR−360M」)を用いて、自転2000rpm、公転600rpmの条件で10分間混合した後、真空脱泡して液状封止材を調製した。
(7)間隙浸透性
10μm、30μmのギャップを形成した二枚重ねの平滑なガラス板をホットプレート上に載せ、100℃に加熱し、上記ガラス板の間隙に液状封止材を浸透させた。5分間で浸透した距離を計測し、各ギャップでの浸透距離の平均値にて浸透性を評価した。
(8)短絡(ショート)発生状況
液状封止材にてバンプ数370のFC−BGA(フリップチップ−ボールグリッドアレイ)パッケージのアンダーフィル封止を160℃にて行った後、端子間の短絡(ショート)発生状況を調べた。ここでバンプ間の抵抗が1kΩ以下となったものを短絡(ショート)とした。試料1000個のうち、ショートが発生したものをカウントした。
Figure 2007070159
つぎに、球状金属酸化物微粉末の樹脂基板用原料としての特性を評価するため、実施例1、3、7及び比較例2のそれぞれの球状金属酸化物微粉末を用いて樹脂基板を製造し、以下に従うボイド発生量及び耐湿信頼性を評価した。
樹脂基板の製造
2−エチル4−メチルイミダゾール0.2質量部とメチルエチルケトン200質量部からなる溶液に、臭素化ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂100質量部とジシアンジアミド5質量部を混合した後、更に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1質量部と、上記エポキシ樹脂100体積部あたり50体積部の球状金属酸化物粉末とを加え、高速ミキサーで15分間撹拌してワニスを調製した。このワニスをガラスクロス(日東紡績製「WE−116E」)に含浸させ、150℃の電気炉で5分間加熱した後、切断してプリプレグとなし、これを8枚重ね、その外表面に18μmの銅箔を設け、これを圧力5MPa、温度180℃で200分の加熱成型プレスをして厚さ0.8mmのエポキシ樹脂積層板を製造し樹脂基板とした。
(9)ボイド発生量
樹脂基板の表層の銅箔を除去し、軟エックス線装置(日立製作所製「BR−1505型」)を用いて、基板内100平方ミリメートル中のボイドの数を計測した。
(10)耐電食性試験
ライン間隔0.1mmくし形パターンを設け、85℃−85%RH雰囲気中で100VDC印加時の耐電食性試験(ライン間の抵抗が、108Ωになるまでの時間を測定)を行った。それら結果を表6に示す。
Figure 2007070159
本発明の球状金属酸化物粉末は、シリカガラス、樹脂基板、封止材の製造原料などとして使用することができる。シリカガラスの用途を例示すれば、パイプ、板、坩堝、炉心管、化学薬品用容器、光学ガラス用容器、光学レンズ、分析用セル、熱電対保護管、照明用チューブ、光ファイバー、光ファイバー保持管、外管等である。

Claims (9)

  1. 金属粉末及び/又は金属酸化物粉末の火炎による熱処理物であって、平均粒子径0.1〜2μm、比表面積2〜30m/g、15μm以上の粗大粒子数が300個/g以下であることを特徴とする球状金属酸化物粉末。
  2. 15μm以上の金属粒子数が10個/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の球状金属酸化物粉末。
  3. 球状金属酸化物粉末がシリカであり、アルミナ、酸化鉄、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムの含有量がそれぞれ50ppm以下であることを特徴とする請求項2に記載の球状金属酸化物粉末。
  4. 球状金属酸化物粉末がアルミナであり、シリカ、酸化鉄、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムの含有量がそれぞれ50ppm以下であることを特徴とする請求項2に記載の球状金属酸化物粉末。
  5. 金属及び/又は金属酸化物粉末の火炎による熱処理物を、回収前又は回収後に、コアンダブロックを有する気流分級機で処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の球状金属酸化物粉末の製造方法。
  6. コアンダブロックを有する気流分級機の操作を、150℃以上の気流を用い、その流速を50m/s以上として行うことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の球状金属酸化物粉末の焼結体からなることを特徴とする金属酸化物焼結体。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の球状金属酸化物粉末を含有させた樹脂成形体からなることを特徴とする樹脂基板。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の球状金属酸化物粉末を樹脂及び/又はゴムに含有させてなることを特徴とする電子部品の封止材。
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