JPH11268903A - 窒化珪素質充填材及び半導体封止用樹脂組成物 - Google Patents

窒化珪素質充填材及び半導体封止用樹脂組成物

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JPH11268903A
JPH11268903A JP7587698A JP7587698A JPH11268903A JP H11268903 A JPH11268903 A JP H11268903A JP 7587698 A JP7587698 A JP 7587698A JP 7587698 A JP7587698 A JP 7587698A JP H11268903 A JPH11268903 A JP H11268903A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】窒化珪素粉末を充填材として、特に半導体封止
用の充填材として用いるとき、充填性、流動性、熱伝導
性に優れる粉末を得ることが困難であった。 【解決手段】粒径が4〜192μmを60〜90重量
%、粒径が4μm未満を40〜10重量%含有し、嵩密
度が0.90(g/cm3)以上、且つ、タップ密度が
1.80(g/cm3)以上の窒化珪素粉とすることに
より、高充填で高流動性であり、硬化時の樹脂組成物の
熱伝導率を高くすることができる。さらに粉の真円度を
0.8以上とすることによりさらに優れた特性が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化珪素質からなる樹
脂等の充填材及びそれを用いた半導体封止用樹脂組成物
に関する。すなわち、樹脂組成物に優れた流動性と高熱
伝導性を具備させ、成形時の金型摩耗を低減した窒化珪
素質の充填材、それを用いた半導体封止用樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体の封止は、硬化剤等を含むエポキ
シ系樹脂に溶融シリカ、アルミナ等の酸化物系無機質粉
末からなる充填材を混合、混練して得られる樹脂組成物
を加熱等の操作で硬化させることにより行われてきた。
樹脂組成物の硬化体である封止材は、半導体素子の機能
を生かすために低熱膨張性、高熱伝導性、耐熱性、耐湿
性、低放射線等の様々な特性をバランス良く満足してい
ることが必要である。樹脂組成物を素子の上に充填して
封止する際に、信号を伝えるワイヤーが断線、またはワ
イヤーどうしが接触しないように、高流動性の樹脂組成
物が必要とされ、開発されてきた。一方、音声出力用や
定電圧電源用に使用されるパワ−ICの封止には溶融シ
リカよりも熱伝導性に優れる結晶性シリカとエポキシ樹
脂とからなる樹脂組成物が使用されているが、パワ−I
Cにおいても高集積化が進み、単位面積当たりの発熱量
が増加してきており、熱伝導性のより良好な樹脂封止材
が要求されている。
【0003】前記樹脂組成物に用いられる充填材につい
て、その特性改善例として、例えば特開昭60−516
13号公報には、1〜100μmの球状シリカ粉の表面
にシランカップリング材を付着させることで樹脂に対す
る分散性を向上させる方法が開示されている。また、特
開昭62−24154号公報には、石英ガラスの粉末を
火炎中にて溶融し、球状の粉末を得て、これにより高充
填性高流動性を達成している。更に特開昭63−282
146号公報では、充填材の粒度構成を適正化すること
により高充填性を達成している。そして、これらの技術
を組み合わせることにより、従来樹脂に対する無機質充
填材の充填率が75〜80重量%であったものが、最近
では90重量%近くにも達している。
【0004】一方、半導体素子で発生する熱を効率よく
逃がすために、封止材にも4w/m・K以上の高熱伝導
性が一層要求されてきている。この対策として石英ガラ
スでは前述のように充填量を増やすことで、特性を向上
してきた。しかし石英ガラスの熱伝導率は1〜5W/m
・Kと低く、これを用いて得られる樹脂組成物の熱伝導
性の向上は2.4w/m・Kと限界があった。更に、充
填量が増えれば成形時に使用される金型の摩耗が激しく
なると言う問題もあった。熱伝導性の向上のために特開
昭61−285247号公報、特開昭62−43415
号公報、特開昭63−179920号公報では石英ガラ
スよりも熱伝導率の高い窒化珪素を充填材として使用
し、且つ/又は特定の粒度配合をすることによって熱伝
導性の向上を図っている。特開平1−115940号公
報では、サイアロン、シリコンオキシナイトライドを利
用する方法が、また特開平6−24715号公報では、
窒化アルミニウム粉末を充填材として利用する方法が提
案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の高熱伝導絶縁性無機質材料は、充填性が低く、その結
果得られる樹脂組成物は期待したほどの高流動性,高熱
伝導性を有していないという問題があるし、窒化アルミ
ニウムを用いる時には、半導体封止樹脂中に浸入した水
分が窒化アルミニウムの表面と反応、多量のアンモニア
を発生し、これが水に溶解して半導体デバイスの電極を
腐蝕したり、リ−ク不良を発生したりする。
【0006】即ち、窒化珪素粉末を充填材として単独で
用いる場合には、充填性、流動性、熱伝導性、或いは耐
湿性等での課題が解決されずにあった。本発明は上記状
況に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、高充填し
ても高流動性の樹脂組成物が得られ、前記樹脂組成物が
硬化した時には高熱伝導性を有していて、半導体封止用
に好適な封止材が容易に得られるような充填材を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、2種の窒化
珪素粉末を組み合わせて樹脂に充填した場合の充填性、
又、得られる樹脂組成物の流動性及びその硬化体の熱伝
導性に与える影響を調べた結果、窒化珪素質粉末が特定
の粒度分布と嵩比重、タップ密度とすることにより、更
には窒化珪素質粉末を角の取れた丸みを帯びた粒子とす
ることにより、樹脂中に高充填され、得られる樹脂組成
物が高流動性を有し、その硬化体が高熱伝導性を示すこ
とを見出し、本発明に至ったものである。
【0008】即ち、本発明は、粒径が4〜192μmを
60〜90重量%、粒径が4μm未満を40〜10重量
%含有し、嵩密度が0.90(g/cm3)以上、且
つ、タップ密度が1.80(g/cm3)以上である窒
化珪素質充填材である。また、1μm以下の粒子の含有
量が10重量%以下である窒化珪素質充填材である。
【0009】さらに45μm以上の粒子の真円度が0.
8以上である窒化珪素質充填材であり、上記の充填材を
含有してなる半導体封止用樹脂組成物である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明における窒化珪素質粉末
は、それらの粉末を構成する粒子内部の構造、即ち結晶
性の程度、或いは結晶の大きさ、それらの凝集程度等に
制限されるものではないが、結晶構造に就いては、熱伝
導性に優れるβ型の方が好ましい。また、粉末を構成す
る粒子の形状については、樹脂への充填性と得られる樹
脂組成物の流動性に一層優れるという理由から破砕状か
ら角の取れた、より具体的には嵩密度で0.90(g/
cm3)以上、且つ、タップ密度で1.80(g/cm3
以上、更に好ましくは嵩密度で1.00(g/cm3
以上、且つ、タップ密度で1.85(g/cm3)以上の
ものである。嵩密度及びタップ密度が上述の値よりも低
くなって充填性が悪くなった場合は、樹脂組成物の流動
性が低下するばかりでなく、その硬化体の熱伝導性も低
下する。又、これらの値の上限に就いて特定するもので
はないが、生産性との兼ね合いで判断されるべきもので
ある。更に、粒子形状は画像解析法で測定される真円度
が0.80以上のものが好ましく、更に好ましくは0.
85以上である。球形度が0.80よりも低くなると、
充填性が悪くなり、樹脂組成物の流動性が低下するばか
りでなく、その硬化体の熱伝導性も低下する。
【0011】前記窒化珪素質粉末の製法としては、金属
シリコンの直接窒化法、酸化物還元法、気相合成法、イ
ミド熱分解法等が知られているが、本発明においてはい
ずれの方法で得られたものも用いることができる。又、
前記方法で得られた粉末を成形、或いは更に焼結して得
られる成形体を粉砕したものであっても構わない。更
に、前記の窒化珪素は、耐湿性向上のために、該表面を
酸化膜や有機膜等で被覆したものであっても良い。
【0012】本発明の粒子の他、窒化物系粉末及び/又
は金属酸化物を本発明の流動性と熱伝導性のバランスを
損なわない範囲内で添加することはさしつかえない。金
属酸化物としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チ
タニア、カルシア、マグネシアの群から選ばれた1種以
上、或いは前記金属酸化物の複化合物、例えばムライ
ト、スピネル、フォルステライト、ステアタイト等を用
いることができる。すなわち本発明で言う窒化珪素質粉
末はシリコンと窒素の合計量が70重量%以上であり、
X線回折法で主成分がα、β窒化珪素又はサイアロンで
ある。
【0013】本発明の充填材は、窒化珪素質粉末及び窒
化物系粉末、金属酸化物粉末以外の第三成分の添加を制
限するものではない。例えば、着色を目的としてカーボ
ンブラックや顔料を、樹脂の耐久性向上を目的にいろい
ろな安定剤を、或いはコスト低減を目的として安価な無
機充填材を、物性を損なわない程度に適宜添加すること
が許容される。
【0014】前記窒化珪素の粉末を構成する粒子の角を
取る方法に関しては、乾式、湿式等の従来公知の方法に
よれば良く、その製法を限定するものではないが、湿式
法で実施した方が、表面に緻密な酸化膜が構成され耐加
水分解性に優れる。
【0015】窒化珪素質粉末の粒径4〜192μmの占
める割合は、60〜90重量%であり、好ましくは70
%〜90重量%である。60重量%未満では成形時の流
動性が悪くなり、得られる樹脂組成物の硬化体の熱伝導
性が十分には向上しない。95重量%を越える割合とな
ると、樹脂への充填性が悪くなり、更に成形時の流動性
をも悪くする。
【0016】また、最大粒子径が200μm未満であ
り、且つ、平均粒径が6μm以上50μm以下の範囲で
あることが重要である。200μm以上の粒子が存在す
ると、得られる樹脂組成物を成形するに際し、金型の摩
耗が大きくなると共にゲ−ト詰まりによる成形不良が発
生する。そして、粒径が6μmより小さくなると粉末表
面積が増えるので、前述の耐湿性に問題が生じると共
に、得られる樹脂組成物の粘度の上昇が著しく、樹脂中
への均一分散ができないばかりでなく、充填が困難とな
る傾向があるし、余りにも小さな粒度の場合には熱伝達
が悪い粒子界面の数が多くなるためか高充填しても樹脂
組成物の熱伝導性が向上しない傾向がある。すなわち、
1μm以下の超微粉は10重量%と以下とするのが望ま
しい。1μm以下は耐湿性の観点から酸化物で構成する
のが望ましい。一方、平均粒径が50μmを越えて大き
くなると、得られる樹脂組成物の流動性が悪くなると共
に金型摩耗が激しくなる。
【0017】
【実施例】以下本発明を実施例に基づいて説明する。破
砕状窒化珪素粒子(平均粒径100μm)750gを5
φアルミナボ−ル6150gでサンドイッチする形で密
閉式5L容器に仕込み、その後水1100gを加えて内
容物がこぼれないようにシ−ルした後蓋をする。この容
器を回転台に設置し、120rpmで3時間処理する。
その後ボ−ルと角取り窒化珪素粒子とを分別し、6kg
の角取り窒化珪素に対し7.5%スラリ−濃度で攪拌機
付き100Lポリ容器に80L仕込み、40分攪拌、1
0分静置した後水面側より60Lを排出する。残った2
0Lに水を加え再度80Lとして同様の操作を繰り返
す。最終的に残った20Lをろ過、乾燥後150μmの
篩いにて解砕し、日本ニュ−マチック工業(株)製MD
Sセパレ−タ−処理を行い、平均粒径5〜80μmの分
級窒化珪素粉A、2〜5μmのB粉、1μm未満の粒子
からなるC粉を分級して得た。それぞれの特性を表1に
示す。また別途乾式振動ミルにより破砕粉Dを用意し
た。
【0018】
【表1】
【0019】窒化珪素質粉末A、B、C及びDを表2に
示す配合で混合し、混合後の粉末特性を測定した。その
結果を表2に示す。また表2に記載の混合粉末が60vo
l%を占める様に以下の樹脂配合と混合した。但し、窒
化珪素、樹脂配合品の比重はそれぞれ 3.192(g
/cm3)、1.20(g/cm3)と仮定した。
【0020】 <樹脂配合割合> O−クレゾ−ルノボラックのポリグリシジンエ−テル(軟化点75℃) 62.8重量部 フェノール・ホルムアルデヒド樹脂(軟化点80〜84℃) 31.7重量部 トリフェニルフォスフィン(硬化促進剤) 0.6重量部 エステルワックス(離形剤) 2.2重量部 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 2.7重量部 (シランカップリング剤)
【0021】
【表2】
【0022】前記混合粉末を前ロール表面温度116℃
〜121℃、後ロ−ル表面温度90℃〜96℃のミキシ
ングロールを用いて5分30秒間加熱混練した後、冷
却、粉砕して種々の樹脂組成物を得た。次に、樹脂組成
物を用いて、スパイラルフロー及び成形体の熱伝導率を
測定した。スパイラルフローは、スパイラルフロー金型
を用いてEMMI−66(Epoxy Molding Material;Society
of Plastic Industry)に準拠して測定した。成形温度
は175℃、成形圧力は45kg/cm2で成形した。
また、樹脂組成物硬化体の熱伝導率は、成形温度175
℃、成形圧力65kg/cm2の成形条件で直径2.7
75cm、厚さ0.287cmの円盤を成形、175℃
で5時間硬化させた後、平板直接法にて室温で測定し
た。結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】本発明において、混合粉末の特性は以下に
示す方法で測定した値である。平均粒径及び粒度構成は
粉末試料0.3gを水に超音波分散し、レーザー回折式
粒度分布測定装置(シーラスグラニュロメーター「モデ
ル715」)によって測定される値である。
【0025】嵩密度は、ホソカワミクロンパウダ−テス
タ−PT−E型を使用し、試料を試料ホルダ−に振幅を
加えながら徐々に容量100cm3のカップに自然落下
させ、試料がカップの縁より円錐状に積み上がる迄充填
する。その後カップ面の余分な粉をプレ−トを滑らせて
除去した後次式によって算出される値である。 嵩密度=(カップ総重量−カップ空重量)/100
g/cm3
【0026】タップ密度は、ホソカワミクロンパウダ−
テスタ−PT−E型を使用し、試料を試料ホルダ−に振
幅を加えながら徐々に容量100cm3のカップに自然
落下させ、試料がカップの縁より円錐状に積み上がる迄
カップを1回/secで3分間タップしつつ充填する。
その後カップ面の余分な粉をプレ−トを滑らせて除去し
た後次式によって算出した。
タップ密度=(カップ総重量−カップ空
重量)/100 g/cm3
【0027】球形度は、SEM(走査型電子顕微鏡)及
び画像解析装置を用いて測定する。SEMは日本電子
(株)製JSM−T100型を用い、画像解析装置とし
て日本アビオニクス(株)製を用いた。先ず充填材を4
5μm篩にて処理し、45μmオ−バ−となる粒子のS
EM写真から対象とする粒子の投影面積(A)と周囲長
(PM)を測定する。求める球形度は、周囲長(PM)
に対応する真円の面積を(B)とするとA/Bとして表
される。ここで、対象とする粒子の周囲長(PM)と同
一の周囲長を持つ真円を推定すると、 PM=2πr ・・・・・ (1) B=πr2 ・・・・・ (2) であるから、 (1)式より、r=PM/2π ・・・・・ (3) (2)式に(3)を代入して、 B=π×(PM/2π)2 ・・・・・ (4) となり、 球形度=A/B=A×4π/(PM)2 ・・・・・ (5) となる。(5)式に実測値A及びPMを代入して個々の
粒子の球形度を算出できる。本発明においては、充填材
の中で45μmを越えるような粒子を選択し、1写真5
0ヶ程度の粒子に就いて球形度を測定し、この平均値を
以て粒子の球形度とした。
【0028】溶出アンモニア量及び溶出水のEC(電気
伝導度)は純水80cc中に充填材8gを投入し、12
1℃で20時間処理した後、純水を加え100ccとし
た抽出液からそれぞれHORIBA製イオンクロマトグ
ラフィ−DS−14型でアンモニア溶出量を、DION
EX製電気伝導度計DX−100でECを測定した。
【0029】Fe含有量は金型摩耗度を計る目安で、ミ
キシングロ−ル時摩耗するFe量として、ミキシングロ
−ル後の樹脂組成物中のFe含有量からミキシングロ−
ル前の充填材単味中のFe含有量を引いた値であり、理
学電機工業(株)製蛍光X線装置RIX−3000で測
定された値である。
【0030】
【発明の効果】実施例から、本発明に係る充填材を用い
た樹脂組成物は、流動性に富み、しかも得られる硬化体
の熱伝導率も高いという、優れた効果を有していること
が明かである。即ち、本発明によれば、成形時の流動性
が阻害されることなく、充填材が高度に充填された熱伝
導率の高い樹脂組成物を容易に得ることができる為、例
えば半導体封止用に用いて好適である。更に、溶出アン
モニウムイオン量が少なくECが低い、また破砕状充填
材に比較し金型の摩耗度合いも低減できるという効果、
をも有している。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒径が4〜192μmを60〜90重量
    %、粒径が4μm未満を40〜10重量%含有し、嵩密
    度が0.90(g/cm3)以上、且つ、タップ密度が
    1.80(g/cm3)以上である窒化珪素質充填材。
  2. 【請求項2】1μm以下の粒子の含有量が10重量%以
    下であることを特徴とする請求項1記載の窒化珪素質充
    填材。
  3. 【請求項3】45μm以上の粒子の真円度が0.8以上
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化珪
    素質充填材。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3記載の充填材を含有
    してなることを特徴とする半導体封止用樹脂組成物。
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