JP2007064127A - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内燃機関及び電動モータのうちの少なくとも内燃機関を有する駆動手段に対して操作者からの運転許可指令及び運転停止指令を受け付ける指令受付手段81と、上記指令に基づいて駆動手段を制御し及びアイドルストップ条件が満たされると内燃機関を停止させるアイドルストップ制御を行う制御手段80とを備え、制御手段80は、アイドルストップ制御を行う際に内燃機関の停止前に、相対回転位相を遅角位相状態に制御し、上記指令に基づいて駆動手段を停止させる際に内燃機関の停止前に、相対回転位相を中間位相状態に制御する。
【選択図】 図7
Description
例えば、内燃機関のみを駆動手段とした車両では、車両の内燃機関における燃料消費量を節減するため、信号での停止時などでアイドリング状態になると内燃機関を停止するアイドルストップ制御が実行される。また、内燃機関と電動モータとを駆動手段とするハイブリッド車両では、内燃機関には燃費効率の高い回転領域と燃費効率の低い回転領域とがあることを考慮して、内燃機関の燃費効率の低い領域では電動モータにより駆動力を補い、これにより燃費効率を高める制御を行っている。
一般的に、駆動側回転部材に対する従動側回転部材の相対回転位相を中間位相状態に制御したとき、内燃機関へ送給される混合気の圧縮比が大きいため内燃機関の始動性は良好であるものの、始動時における振動が大きくなる。他方で、相対回転位相を中間位相状態よりも遅角方向に移動した遅角位相状態に制御したとき、中間位相状態よりも圧縮比が小さくなるため、始動時における振動は比較的小さくなる。但し、遅角位相状態では、内燃機関の始動性よりも低振動性が優先されているため、燃焼室内の温度が低いような始動環境のときには、確実な始動が行えないという問題もある。
また、内燃機関の停止から再始動までに長い期間があった場合、内燃機関を始動する段階では、流体の温度が低下してその粘度が高くなってしまう。そのため、流体給排装置の負荷が大きくなるので、流体給排装置の出力が大きくなければ上記相対回転位相を制御するのに必要な流体圧力を供給できないという問題がある。
上記目的を達成するための本発明に係る弁開閉時期制御装置の特徴構成は、内燃機関及び電動モータのうちの少なくとも内燃機関を有する駆動手段に対して、操作者からの運転許可指令及び運転停止指令を受け付ける指令受付手段と、
前記指令受付手段によって受け付けられた前記運転許可指令及び前記運転停止指令に基づいて前記駆動手段の運転を制御し、及び、アイドルストップ条件が満たされると前記内燃機関を停止させるアイドルストップ制御を行う制御手段と、を備え、
前記内燃機関は、クランクシャフトに対して同期回転する、内燃機関の弁開閉用の駆動側回転部材と、前記駆動側回転部材に対して相対回転可能に同軸に配置され、カムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成される流体圧室と、前記流体圧室内に配置され、前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相を前記相対回転の方向のうち遅角方向に移動させる遅角室と前記相対回転位相を前記相対回転の方向のうち進角方向に移動させる進角室とに前記流体圧室を仕切るベーンと、前記相対回転位相を中間位相状態に保持する中間位相保持機構と、ポンプによって前記遅角室及び前記進角室に対して流体を供給・排出可能である流体給排装置と、を備える弁開閉時期制御装置であって、
前記制御手段は、
前記アイドルストップ制御を行う際に前記内燃機関の停止前に、前記相対回転位相を、前記中間位相状態よりも遅角方向に移動した遅角位相状態に制御し、
前記運転停止指令に基づいて前記駆動手段を停止させる際に前記内燃機関の停止前に、前記相対回転位相を前記中間位相状態に制御するように構成されている点にある。
他方で、指令受付手段によって受け付けられた運転停止指令に基づいて駆動手段が停止されると、その後、長期間に渡って再始動されなかった後、つまり、燃焼室内の温度が低下した後で、内燃機関の再始動が行われる可能性が高い。よって、本特徴構成によれば、運転停止指令に基づいて駆動手段を停止させる際、相対回転位相を中間位相状態に制御するので、内燃機関の低振動性よりも始動性を優先して、再始動を確実に行うことができる。
また、内燃機関の停止前の、流体の温度が高く且つ粘度が低い状態(即ち、ポンプの負荷が小さい状態)であれば、ポンプの出力の大小に拘わらず、上記相対回転位相を制御するのに必要な流体圧力を供給できる。
従って、駆動側回転部材に対する従動側回転部材の相対回転位相を、始動性を優先した状態と低振動性を優先した状態とに適切に切り換えて内燃機関を始動可能にする弁開閉時期制御装置を提供できる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の別の特徴構成は、前記内燃機関に関する状態量を検出可能な状態量検出手段を備え、
前記流体給排装置は、前記遅角室及び前記進角室に対して流体を供給・排出可能である電動式ポンプを備え、
前記制御手段は、
前記アイドルストップ制御を行って前記内燃機関を停止させた後、前記状態量が設定条件を満たさなくなると前記電動式ポンプを作動させ、前記相対回転位相を前記中間位相状態に制御するように構成されている点にある。
また、駆動手段を停止した後で状態量が設定条件を満たさなくなると、相対回転位相を中間位相状態に制御するので、内燃機関の低振動性よりも始動性を優先して、再始動を確実に行うことができる。
上記目的を達成するための本発明に係る弁開閉時期制御装置の別の特徴構成は、内燃機関及び電動モータのうちの少なくとも内燃機関を有する駆動手段に対して、アイドルストップ条件が満たされると前記内燃機関を停止させるアイドルストップ制御を行う制御手段を備え、
前記内燃機関は、クランクシャフトに対して同期回転する、内燃機関の弁開閉用の駆動側回転部材と、前記駆動側回転部材に対して相対回転可能に同軸に配置され、カムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成される流体圧室と、前記流体圧室内に配置され、前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相を前記相対回転の方向のうち遅角方向に移動させる遅角室と前記相対回転位相を前記相対回転の方向のうち進角方向に移動させる進角室とに前記流体圧室を仕切るベーンと、前記相対回転位相を中間位相状態に保持する中間位相保持機構と、ポンプによって前記遅角室及び前記進角室に対して流体を供給・排出可能である流体給排装置と、を備える弁開閉時期制御装置であって、
前記内燃機関に関する状態量を検出可能な状態量検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記アイドルストップ制御を行う際に前記状態量が設定条件を満たしていると、前記内燃機関の停止前に、前記相対回転位相を、前記中間位相状態よりも遅角方向に移動した遅角位相状態に制御し、
前記アイドルストップ制御を行う際に前記内燃機関の状態量が設定条件を満たしていないと、前記内燃機関の停止前に、前記相対回転位相を前記中間位相状態に制御するように構成されている点にある。
他方で、内燃機関の運転に関する状態量が設定条件を満たしていないと、内燃機関の始動性が良くない状態にあると制御手段が判定するように構成できる。そして、アイドルストップ制御によって内燃機関が停止されると、その後、比較的短期間の間に内燃機関が再始動される可能性が高いので、始動性の良くない状態が維持されている間に内燃機関の再始動が行われる可能性が高い。よって、本特徴構成によれば、アイドルストップ制御を行う際に状態量が設定条件を満たしていないと、相対回転位相を中間位相状態に制御するので、内燃機関の低振動性よりも始動性を優先して、再始動を確実に行うことができる。
また、内燃機関の停止前の、流体の温度が高く且つ粘度が低い状態(即ち、ポンプの負荷が小さい状態)であれば、ポンプの出力の大小に拘わらず、上記相対回転位相を制御するのに必要な流体圧力を供給できる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の別の特徴構成は、前記流体給排装置は、前記遅角室及び前記進角室に対して流体を供給・排出可能である電動式ポンプを備え、
前記制御手段は、前記駆動手段を停止した後で前記状態量が設定条件を満たさなくなると前記電動式ポンプを作動させ、前記相対回転位相を前記中間位相状態に制御するように構成されている点にある。
また、駆動手段を停止した後で状態量が設定条件を満たさなくなると、相対回転位相を中間位相状態に制御するので、内燃機関の低振動性よりも始動性を優先して、再始動を確実に行うことができる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の別の特徴構成は、前記状態量検出手段は、前記内燃機関を通流するオイルの温度及び冷却水の温度のうちの少なくとも何れか一方を前記状態量として検出し、前記制御手段は、前記オイルの温度及び前記冷却水の温度の少なくとも一方がそれぞれに関する設定温度以上であるときに、前記状態量が前記設定条件を満たしていると判定する点にある。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の別の特徴構成は、前記状態量検出手段は、前記駆動手段を停止してからの経過時間を前記状態量として検出し、前記制御手段は、前記経過時間が設定時間以下であるときに、前記状態量が前記設定条件を満たしていると判定する点にある。
以下に、本発明の第1実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る弁開閉時期制御装置1の全体構成を示す側断面図である。図2〜図5は、図1のA−A断面に相当し、この弁開閉時期制御装置1の各状態を示す図である。図6は、ロック機構5及び中間位相保持機構6の拡大図である。
ベーン32は、図1に示すように、その内径側に備えられるスプリング33により、径方向外側に向けて付勢されている。
以上のように、本実施形態における作動油が本発明における「流体」に相当し、本実施形態における油圧回路7が本発明における流体給排装置に相当する。また、本発明における「ポンプ」は第1ポンプ71及び第2ポンプ72によって実現できる。
外部ロータ2と内部ロータ3との間には、外部ロータ2に対する内部ロータ3の相対回転位相の変位を所定のロック位相で拘束可能なロック機構5が設けられている。本実施形態においては、図2に示すようにロック位相は、相対回転位相が、中間位相状態よりも遅角方向に移動した遅角位相の中でも最も遅角側の最遅角位相に設定している。このロック機構5は、外部ロータ2に設けられた摺動溝52と、この摺動溝52に沿って摺動可能に設けられたロック部材53と、このロック部材53を径方向内側に付勢する付勢ばね54と、内部ロータ3に設けられ、相対回転位相がロック位相の状態でロック部材53が係合可能に形成された係合凹部51とを有して構成されている。本実施形態においては、ロック部材53は平板形状としており、摺動溝52及び係合凹部51の形状は、このロック部材53の形状に適合する形状に形成されている。なお、ロック部材53の形状は、その用途に従って、ピン形状等、他の形状を採用することができる。
また、外部ロータ2と内部ロータ3との間には、所定の位相変位許容範囲R内での相対回転位相の変位を許容するとともに位相変位許容範囲Rを超える相対回転位相の変位を規制する規制状態とすることが可能な中間位相保持機構6が設けられている。ここでは、中間位相保持機構6は、ロック機構5とは独立して動作可能としている。また、位相変位許容範囲Rは、ロック位相(最遅角位相)を含んで設定している。本実施形態においては、位相変位許容範囲Rは、一方端を後述する中間規制(中間ロック)位相(図4に示す位相)とし、他方端をロック位相(最遅角位相)としている。
図2において、外部ロータ2に対する内部ロータ3の相対回転位相は、中間位相状態よりも遅角方向に移動した最遅角位相状態に制御されている。図3は、上記相対回転位相を、最遅角位相状態から中間位相状態へ切り換える途中を示す。図4において、上記相対回転位相は中間位相状態に制御され、図5において上記相対回転位相は、中間位相状態よりも進角方向に移動した最進角位相状態に制御されている。
この最遅角位相状態において、油圧回路7から進角通路43及びこれと連通しているロック通路55に作動油を供給すると、図3に示すように、ロック機構5は、ロック部材53が係合凹部51から引退して解除状態となる。また、この際、作動油は進角通路43を介して進角室41にも供給されるので、ロック機構5が解除状態となった後に、相対回転位相は進角方向S1に変位する。しかし、中間位相保持機構6は、このとき規制状態のままであるので、位相変位許容範囲Rを超える相対回転位相の変位が規制され、図4に示すように、突出部材63の側面が規制凹部61の端面61b(図6参照)に当接することにより、相対回転位相が、位相変位許容範囲Rの一方端の中間位相状態(図4に示す位相)に拘束される。
また、図4に示す状態において規制通路65に作動油を供給すると、中間位相保持機構6は、突出部材63が規制凹部61から引退して解除状態となる。これにより、図5に示すように、相対回転位相を相対回転可能範囲内、すなわち最遅角位相と最進角位相との間の範囲内において任意の位相に変位させることが可能となる。図5において相対回転位相は、最進角位相状態に制御されている。
油圧回路7は、図7に示すように、エンジンにより駆動されて作動油の供給を行う第1ポンプ71と、この第1ポンプ71に対して下流側に設けられ、エンジンとは異なる動力により駆動されて作動油の供給を行う第2ポンプ72と、第1ポンプ71と第2ポンプ72との間に設けられて作動油が貯留可能な作動油貯留部73とを有している。また、油圧回路7は、流体圧室4及びロック機構5への作動油の供給を制御する第1制御弁74と、中間位相保持機構6への作動油の供給を制御する第2制御弁75と、を有している。
指令受付手段81は、車両に搭載されたイグニッションキーやシステムレディスイッチを用いて構成され、駆動手段に対して、操作者からの運転許可指令及び運転停止指令(イグニッションキーやシステムレディスイッチのオン操作及びオフ操作)を受け付けるように構成されている。そして、制御手段80は、指令受付手段81によって受け付けられた運転許可指令及び運転停止指令に基づいて駆動手段の運転を制御する。つまり、制御手段80は、運転許可指令が受け付けられると、エンジン及び電動モータを運転可能な状態にする。従って、エンジン及び電動モータを運転可能な状態においてアクセル操作などの運転操作が行われると、制御手段80は、その運転操作に応じて駆動手段を制御する。また、制御手段80は、運転停止指令が受け付けられると、エンジン及び電動モータを運転不能な状態にする。
状態量検出手段82は、エンジンの運転に関する状態量を検出可能に構成されている。エンジンの運転に関する状態量とは、例えば、エンジンを通流する潤滑系のオイルの温度、エンジンを通流する冷却水の温度などがある。従って、状態量検出手段82は温度計で実現可能である。
以上のように、本実施形態における作動油が本発明における「内燃機関を通流するオイル」に相当する。
また、油圧回路7は、第2ポンプ72に対して並行するように、第2ポンプの上流側の流路と下流側の流路とを連通させるバイパス流路79を有している。このバイパス流路79には、チェックバルブ79aを設けている。
エンジンは燃費効率の高い回転領域と燃費効率の低い回転領域とがあるため、ハイブリッド車両では、エンジンの燃費効率の低い領域において電動モータにより駆動力を補い、これにより燃費効率を高める制御を行っている。つまり、一般には、電動モータとエンジンを併用するハイブリッド車両では、エンジンの燃費効率が低い低車速で走行する場合は電動モータにより走行し、エンジンの燃費効率が高い領域では、エンジンにより走行する。従って、例えば、ハイブリッド車両において駆動手段(エンジン及び電動モータ)の制御を行う場合、制御手段80は、エンジンを運転させるか否かの判定を常に行っている。つまり、本実施形態では詳細な説明を省略するが、制御手段80は、エンジン停止条件(アイドルストップ条件)が満たされると(即ち、エンジンの燃費効率が低い状態であると)エンジンを停止させるアイドルストップ制御を行い、且つ、エンジン始動条件が満たされると(即ち、エンジンの燃費効率が高い状態であると)エンジンを始動させる制御を行っている。
駆動手段の運転制御(ステップ#2)のサブルーチンは、図10のフローチャートである。図10のステップ#21において制御手段80は、エンジンが運転中であるか否かを判定する。そして、制御手段80は、エンジンが運転中である場合にはステップ#22に移行し、エンジンが運転中ではない場合にはステップ#24に移行する。つまり、ステップ#21において制御手段80は、電動モータのみが運転中であるのか、又は、エンジン(或いはエンジン及び電動モータ)が運転中であるのかを判定している。
尚、エンジンの始動前後には、第2ポンプ72を作動させて作動油貯留部73に貯留されている作動油を流体圧室4等に供給するため、エンジンの停止中は予め十分な量の作動油を作動油貯留部73に貯留しておく必要がある。本実施形態では、エンジンを停止する際の上記相対回転位相の制御において、第2ポンプ72を使用せずに第1ポンプ71を使用するので、次にエンジンを始動するときまで、作動油貯留部73において十分な量の作動油が貯留されているようにできる。
他方で、制御手段80は、指令受付手段81が運転停止指令を受け付けない間は、ステップ#2に移行して、図10を参照して説明した駆動手段の運転制御を行う。
第2実施形態の弁開閉時期制御装置は、制御手段80がエンジンのアイドルストップ制御を行う際、エンジンの運転に関する状態量に基づいて、外部ロータ2に対する内部ロータ3の相対回転位相を遅角位相状態及び中間位相状態の何れか一方に切換制御する点で上記第1実施形態と異なる。つまり、本実施形態の弁開閉時期制御装置1は、図10に示したステップ#23のアイドルストップ制御の内容が第1実施形態と異なっており、他の装置構成や制御内容などは第1実施形態と同様である。
以下に第2実施形態の弁開閉時期制御装置について説明するが、第1実施形態と同様の装置構成及び制御内容については説明を省略する。
本実施形態では、エンジンの運転に関する状態量として、エンジンを通流する潤滑系のオイル(本実施形態では作動油)の温度、エンジンを通流する冷却水の温度などを用いる。
他方で、制御手段80は、状態量が設定条件を満たしていないと判定するとステップ#232に移行し、第1ポンプ71からの油圧により作動油を供給して、外部ロータ2に対する内部ロータ3の相対回転位相を上記中間位相状態へ制御する。よって、エンジンを再始動するにあたって、低振動性よりも始動性が優先される。
その後、ステップ#234において制御手段80はエンジンを停止する。
第3実施形態の弁開閉時期制御装置は、制御手段80がエンジンのアイドルストップ制御を行ってエンジンを停止させた後、エンジンの運転に関する状態量に基づいて、外部ロータ2に対する内部ロータ3の相対回転位相を遅角位相状態及び中間位相状態の何れか一方に切換制御する点で上記第1実施形態及び上記第2実施形態と異なる。つまり、本実施形態の弁開閉時期制御装置1は、図9に示したステップ#2の運転制御の内容が第1実施形態及び第2実施形態と異なっており、他の装置構成や制御内容などは第1実施形態又は第2実施形態と同様である。
本実施形態では、エンジンの運転に関する状態量として、エンジンを通流する潤滑系のオイル(本実施形態では作動油)の温度、エンジンを通流する冷却水の温度などを用いる。
他方で、制御手段80は、状態量が設定条件を満たしていないと判定するとステップ#27に移行し、電動式ポンプとしての第2ポンプ72からの油圧によって作動油を供給して、外部ロータ2に対する内部ロータ3の相対回転位相を上記中間位相状態へ制御する。よって、次にエンジンを再始動するにあたって、低振動性よりも始動性が優先される。
その後、制御手段80はステップ#29に移行して、エンジンを始動せずに電動モータのみで、アクセル操作などの運転操作に応じて駆動手段を制御する。
第4実施形態の弁開閉時期制御装置は、制御手段80が、駆動手段を停止して以降、上記状態量が設定条件を満たしているか否かの判定結果に基づいて上記相対回転位相を最遅角位相状態又は中間位相状態に制御するように構成されている点で第1実施形態から第3実施形態と異なる。
従って、ステップ#2の運転制御が上記第1実施形態と同様である場合、制御手段80は、アイドルストップ制御を行う際にエンジンの停止前に、上記相対回転位相を、中間位相状態よりも遅角方向に移動した遅角位相状態のうち最も遅角側の最遅角位相状態に制御する。
また、ステップ#2の運転制御が上記第2実施形態と同様である場合、制御手段80は、アイドルストップ制御を行う際に上記状態量が設定条件を満たしていると、エンジンの停止前に、上記相対回転位相を、中間位相状態よりも遅角方向に移動した遅角位相状態のうち最も遅角側の最遅角位相状態に制御し、アイドルストップ制御を行う際にエンジンの状態量が設定条件を満たしていないと、エンジンの停止前に、上記相対回転位相を中間位相状態に制御する。
更に、ステップ#2の運転制御が上記第3実施形態と同様である場合、制御手段80は、アイドルストップ制御によってエンジンを停止させた後、上記状態量が設定条件を満たさなくなると第2ポンプ72を作動させ、相対回転位相を中間位相状態に制御する。
その後、ステップ#8において制御手段80は、駆動手段を停止する。
つまり、第4実施形態では、指令受付手段81が受け付けた運転停止指令に基づいて駆動手段を停止するときにも、上記第2実施形態におけるアイドルストップ制御の場合と同様に、エンジンの運転に関する状態量が設定条件を満たしているか否かに基づいて相対回転位相を最遅角位相状態又は中間位相状態に制御している。
<1>
上記実施形態において説明したロック機構6及び中間位相保持機構6は、他の様々な構成に改変可能である。例えば、図14は、別実施形態に係る弁開閉時期制御装置1のロック機構5及び中間位相保持機構6の拡大図である。この図に示すように、本実施形態に係る弁開閉時期制御装置1では、中間位相保持機構6により相対回転位相の変位が許容される位相変位許容範囲Rは、ロック機構5により相対回転位相が拘束されるロック位相を間に含み、このロック位相に対して進角側に設定された第1中間位相状態と遅角側に設定された第2中間位相状態とを両端とする範囲として設定されている。このような中間位相保持機構6の構成によれば、相対回転位相は、ロック機構5をロック状態とすることによりロック位相に拘束され、ロック機構5を解除状態として中間位相保持機構6を規制状態とし、相対回転位相を進角方向に変位させることにより第1中間位相状態に拘束され、この状態で相対回転位相を遅角方向に変位させることにより第2中間位相状態に拘束される。従って、この中間位相保持機構6の構成によれば、エンジンの状態に応じて始動時の最適な弁開閉時期が得られるように、3つの位相を選択することが可能となる。また、ロック部材53を係合凹部51から引退させ、且つ、突出部材63を規制凹部61から引退させることで、位相変位許容範囲Rを超える相対回転位相の変位を許容する解除状態とすれば、相対回転位相を、図2、図3及び図5と同様の最遅角位相状態及び最進角位相状態にも制御可能である。
上記実施形態では、エンジンの運転に関する状態量が設定条件を満たしているか否かを判定するとき、その設定条件として、エンジンを通流する潤滑系のオイルの温度が下限温度以上であること、エンジンを通流する冷却水の温度が下限温度以上である場合について説明したが、他の設定条件を用いてもよい。例えば、図15は上記第3実施形態の改変例のフローチャートであり、ステップ#10〜ステップ#12では、エンジンの運転に関する状態量として駆動手段が停止してからの経過時間を用いている。そして、設定条件は上記経過時間が設定時間以下であること、としている。この場合、状態量検出手段82は制御手段80の時間計測機能で実現可能である。
以下に、図15を参照して本別実施形態のフローチャートについて説明するが、図15のステップ#1〜ステップ#8は上記第3実施形態と同様であるので、説明を省略する。
上記実施形態では、駆動手段がエンジン及び電動モータを備えたハイブリッド車両に弁開閉時期制御装置が設けられている例について説明したが、駆動手段がエンジンのみを備えた車両に弁開閉時期制御装置が設けられている場合であっても同様である。
但し、駆動手段がエンジンのみを備えた車両におけるアイドルストップ制御は、車両のエンジンにおける燃料消費量を節減するため、信号での停止時などでアイドリング状態になるとエンジンを停止するようなものである。このアイドルストップ制御において制御手段80は、例えば、車速がアイドル停止許可車速を超えるまで加速した後に、アクセルがオフされること、ブレーキがオンされること、及び、車速が設定速度以下になることなどのエンジン停止条件が満たされると、エンジンを自動的に停止するように構成されている。その後、制御手段80は、アクセルがオンされることやブレーキがオフされることなどのエンジン始動条件が満たされると、エンジンを再始動するように構成されている。
上記実施形態では、遅角室42及び進角室41に対して作動油を供給・排出可能である流体給排装置(油圧回路7)として、電動式ポンプである第2ポンプ72を用いた例について説明したが、第2ポンプ72の他の装置を用いてもよい。例えば、油圧回路7の内部に、機械式ポンプとしての第1ポンプ71が作動しているときに発生した高圧の作動油を高圧状態で貯留可能な機構を設け、第1ポンプ71が作動していない間にはその高圧状態の作動油を遅角室42及び進角室41に対して供給すればよい。
上記実施形態では、エンジンの運転に関する状態量として、エンジンを通流するオイルの温度及び冷却水の温度、駆動手段を停止してからの経過時間などを例示したが、エンジンの始動性が良好であるか否かの判定や、作動油の粘度が低いか否かの判定などが可能であるならば、他の状態量を採用してもよい。
駆動手段の運転中にエンジンの状態量が設定条件を満たしているか否かの判定を行う場合(アイドルストップ制御においてエンジンを停止させるとき、及び、運転停止指令においてエンジンを停止させるとき等)、及び、駆動手段の停止後にエンジンの状態量が設定条件を満たしているか否かの判定を行う場合において、各設定条件は同じでもよく又は異なっていてもよい。状態量が潤滑系のオイルの温度である場合を例に挙げると、図13のステップ#2のアイドルストップ制御においてエンジンを停止させるとき及び図13のステップ#5において駆動手段の運転を停止させるときには設定条件を「オイルの温度が80℃以上であること」とし、図13のステップ#10において駆動手段の停止後には設定条件を「オイルの温度が40℃以上であること」とするように設定してもよい。
上記実施形態及び別実施形態では、制御手段80が、アイドルストップ制御におけるエンジンの停止前に、第1ポンプ71からの油圧により上記相対回転位相を制御する(つまり、遅角室42又は進角室41への作動油の供給を行う)場合について説明したが、第1ポンプ71を停止させた直後に第2ポンプ72からの油圧により上記相対回転位相を制御するように改変してもよい。
但し、第2ポンプ72は、作動油貯留部73に貯留されている作動油を使用して作動油の供給を行うので、エンジンが停止中(つまり、第1ポンプ71が停止しているため、作動油貯留部73へは作動油の補充が行われない間)であれば、作動油貯留部73における作動油の貯留量を減少させてしまうことになる。また、エンジンの再始動前には第1ポンプ71が直ちに使用できないため、第2ポンプ72から各部へ作動油を供給しなければならないが、そのとき、作動油貯留部73における作動油の貯留量が不十分であれば、第2ポンプ72から各部への作動油の供給に支障をきたす虞がある。そのため、アイドルストップ制御において、第1ポンプ71を停止させた直後に第2ポンプ72からの油圧により上記相対回転位相を制御する場合には、作動油貯留部73における作動油の貯留量を十分に残しておく必要がある。
2 外部ロータ(駆動側回転部材)
3 内部ロータ(従動側回転部材)
4 流体圧室
6 中間位相保持機構
7 油圧回路(流体給排装置)
11 カムシャフト
32 ベーン
41 進角室
42 遅角室
71 第1ポンプ(ポンプ)
72 第2ポンプ(ポンプ、電動式ポンプ)
80 制御手段
81 指令受付手段
82 状態量検出手段
Claims (6)
- 内燃機関及び電動モータのうちの少なくとも内燃機関を有する駆動手段に対して、操作者からの運転許可指令及び運転停止指令を受け付ける指令受付手段と、
前記指令受付手段によって受け付けられた前記運転許可指令及び前記運転停止指令に基づいて前記駆動手段の運転を制御し、及び、アイドルストップ条件が満たされると前記内燃機関を停止させるアイドルストップ制御を行う制御手段と、を備え、
前記内燃機関は、クランクシャフトに対して同期回転する、内燃機関の弁開閉用の駆動側回転部材と、前記駆動側回転部材に対して相対回転可能に同軸に配置され、カムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成される流体圧室と、前記流体圧室内に配置され、前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相を前記相対回転の方向のうち遅角方向に移動させる遅角室と前記相対回転位相を前記相対回転の方向のうち進角方向に移動させる進角室とに前記流体圧室を仕切るベーンと、前記相対回転位相を中間位相状態に保持する中間位相保持機構と、ポンプによって前記遅角室及び前記進角室に対して流体を供給・排出可能である流体給排装置と、を備える弁開閉時期制御装置であって、
前記制御手段は、
前記アイドルストップ制御を行う際に前記内燃機関の停止前に、前記相対回転位相を、前記中間位相状態よりも遅角方向に移動した遅角位相状態に制御し、
前記運転停止指令に基づいて前記駆動手段を停止させる際に前記内燃機関の停止前に、前記相対回転位相を前記中間位相状態に制御するように構成されている弁開閉時期制御装置。 - 前記内燃機関に関する状態量を検出可能な状態量検出手段を備え、
前記流体給排装置は、前記遅角室及び前記進角室に対して流体を供給・排出可能である電動式ポンプを備え、
前記制御手段は、
前記アイドルストップ制御を行って前記内燃機関を停止させた後、前記状態量が設定条件を満たさなくなると前記電動式ポンプを作動させ、前記相対回転位相を前記中間位相状態に制御するように構成されている請求項1記載の弁開閉時期制御装置。 - 内燃機関及び電動モータのうちの少なくとも内燃機関を有する駆動手段に対して、アイドルストップ条件が満たされると前記内燃機関を停止させるアイドルストップ制御を行う制御手段を備え、
前記内燃機関は、クランクシャフトに対して同期回転する、内燃機関の弁開閉用の駆動側回転部材と、前記駆動側回転部材に対して相対回転可能に同軸に配置され、カムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材とにより形成される流体圧室と、前記流体圧室内に配置され、前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の相対回転位相を前記相対回転の方向のうち遅角方向に移動させる遅角室と前記相対回転位相を前記相対回転の方向のうち進角方向に移動させる進角室とに前記流体圧室を仕切るベーンと、前記相対回転位相を中間位相状態に保持する中間位相保持機構と、ポンプによって前記遅角室及び前記進角室に対して流体を供給・排出可能である流体給排装置と、を備える弁開閉時期制御装置であって、
前記内燃機関に関する状態量を検出可能な状態量検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記アイドルストップ制御を行う際に前記状態量が設定条件を満たしていると、前記内燃機関の停止前に、前記相対回転位相を、前記中間位相状態よりも遅角方向に移動した遅角位相状態に制御し、
前記アイドルストップ制御を行う際に前記状態量が設定条件を満たしていないと、前記内燃機関の停止前に、前記相対回転位相を前記中間位相状態に制御するように構成されている弁開閉時期制御装置。 - 前記流体給排装置は、前記遅角室及び前記進角室に対して流体を供給・排出可能である電動式ポンプを備え、
前記制御手段は、前記駆動手段を停止した後で前記状態量が設定条件を満たさなくなると前記電動式ポンプを作動させ、前記相対回転位相を前記中間位相状態に制御するように構成されている請求項3記載の弁開閉時期制御装置。 - 前記状態量検出手段は、前記内燃機関を通流するオイルの温度及び冷却水の温度のうちの少なくとも何れか一方を前記状態量として検出し、
前記制御手段は、前記オイルの温度及び前記冷却水の温度の少なくとも一方がそれぞれに関する設定温度以上であるときに、前記状態量が前記設定条件を満たしていると判定する請求項2〜4の何れか一項に記載の弁開閉時期制御装置。 - 前記状態量検出手段は、前記駆動手段を停止してからの経過時間を前記状態量として検出し、
前記制御手段は、前記経過時間が設定時間以下であるときに、前記状態量が前記設定条件を満たしていると判定する請求項2〜5の何れか一項に記載の弁開閉時期制御装置。
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